平成24(ワ)1189 調剤報酬等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年6月6日 札幌地方裁判所 その他
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判決文本文17,930 文字)

主文 1 被告北海道国民健康保険団体連合会は,原告に対し,60万7213円及びこれに対する平成24年6月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告社会保険診療報酬支払基金は,原告に対し,19万3872円及びこれに対する平成24年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告と被告北海道国民健康保険団体連合会との間では,これを3分し,その2を原告の,その余を同被告の負担とし,原告と被告社会保険診療報酬支払基金との間では,これを7分し,その6を原告の,その余を同被告の負担とする。 5 この判決は,1,2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告北海道国民健康保険団体連合会(以下「被告連合会」という。)は,原告に対し,192万7874円及びこれに対する平成24年6月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告社会保険診療報酬支払基金(以下「被告基金」という。)は,原告に対し,132万8300円及びこれに対する平成24年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,保険薬局を経営する訴外チェリーブロッサム株式会社(以下「訴外薬局」という。)に対して滞納賃料等請求権を有する原告が,民法423条により訴外薬局に代位して,上記請求権を被保全債権とし,訴外薬局が被告連合会及び被告基金に対して有する調剤報酬請求権(以下「本件調剤報酬請求権」 という。)及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法 被告基金に対して有する調剤報酬請求権(以下「本件調剤報酬請求権」 という。)及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を行使している事案である。 1 前提事実(争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって認められる事実)(1) 原告の訴外薬局に対する被保全債権原告は,調剤薬局開設のコンサルタント,不動産賃貸業等を主たる業とする特例有限会社である。 原告は,平成22年3月8日,保険薬局(健康保険法63条3項1号)を経営する訴外薬局に対し,賃料を月27万3000円,期間を同年4月1日から5年間,遅延損害金を年14.6%,契約終了後の損害金を賃料の倍額として,原告が所有する建物を賃貸し,また,同年3月31日,代金400万円で,上記建物に設置されている設備を売却した。訴外薬局は,賃料及び売買代金の支払を怠り,原告は,訴外薬局に対し,平成24年4月19日時点で,合計697万6931円(内訳は①未払賃料元金81万9000円,②①に対する平成24年1月19日から同年4月4日まで年14.6%の割合による遅延損害金2万5156円,③平成23年5月1日から平成24年2月21日まで月54万6000円の割合による賃料相当損害金の一部461万2615円,④売買代金元金39万3520円,⑤④に対する平成24年1月19日から同年4月4日まで年6%の割合による遅延損害金4967円,⑥平成23年4月29日から平成24年1月25日まで月14万7840円の割合による設備を不法に占有したことを理由とする不当利得金の一部112万1673円)の滞納賃料等請求権を有している。 訴外薬局は,無資力である。なお,現在,訴外薬局の営業実態はなく, 万7840円の割合による設備を不法に占有したことを理由とする不当利得金の一部112万1673円)の滞納賃料等請求権を有している。 訴外薬局は,無資力である。なお,現在,訴外薬局の営業実態はなく,その代表者の所在も不明である。 原告は,強制執行により,上記設備の引渡しを受け,これに含まれるパソコンのデータから,訴外薬局が,被告らに対し,平成23年8月分及び9月 分の調剤報酬等を請求していないことが確認された。原告は,被告らに対し,その支払を求めたが,被告らは,これを拒んだ。(以上につき,甲1から9まで,弁論の全趣旨)(2) 被告基金の業務被告基金は,社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立された法人である。 健康保険法76条1項では,保険者(全国健康保険協会及び健康保険組合。 同法4条)は,療養の給付に関する費用を保険薬局に支払うものとし,保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は,療養の給付に要する費用の額から,当該療養の給付に関し被保険者が当該保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とすると定められ,同法76条4項では,保険者は,保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは,①同法70条1項及び72条1項の厚生労働省令並びに②同法76条2,3項の定めに照らして審査の上,支払うものと定められている。そして,①の厚生労働省令として,「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」(乙ロ4。以下「療養担当規則」という。その内容は後記(4)のとおりである。)があり,また,②同法76条2項では,上記療養の給付に要する費用の額は,厚生労働大臣が定めるところにより,算定するものと定められており,上記の定めと 」という。その内容は後記(4)のとおりである。)があり,また,②同法76条2項では,上記療養の給付に要する費用の額は,厚生労働大臣が定めるところにより,算定するものと定められており,上記の定めとして,「診療報酬の算定方法」別表第3「調剤報酬点数表」がある。なお,同法76条3項では,保険者は,保険薬局との契約により,上記費用の額につき,別段の定めをすることが許容されているが,本件では,この契約は締結されていない。さらに,同法76条6項では,保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は,厚生労働省令で定めるとされ,この厚生労働省令として,「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」(乙ロ3。以下「請求省令」という。その内容は後記(5)のとおりである。)がある。 被告基金は,同法76条5項に基づき,上記の審査及び支払に関する事務を保険者から委託されている。 (3) 被告連合会の業務被告連合会は,国民健康保険法83条1項に基づいて設立された法人である。 同法45条1項では,保険者(市町村又は特別区(同法5条)及び国民健康保険組合(同法13条)。同法36条1項)は,療養の給付に関する費用を保険薬局(同法36条3項)に支払うものとし,保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は,療養の給付に要する費用の額から,当該療養の給付に関し被保険者が当該保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とすると定められ,同法45条4項では,保険者は,保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは,①同法40条に規定する準則並びに②同法45条2項に規定する額の算定方法及び③同法45条3項の すると定められ,同法45条4項では,保険者は,保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは,①同法40条に規定する準則並びに②同法45条2項に規定する額の算定方法及び③同法45条3項の定めに照らして審査した上,支払うものと定められている。そして,①同法40条1項では,上記準則については,上記(2)①の健康保険法70条1項及び72条1項の規定による厚生労働省令(療養担当規則)の例によると定められている。また,②国民健康保険法45条2項では,上記療養の給付に要する費用の額の算定については,上記(2)②の健康保健法76条2項の規定による厚生労働大臣の定めの例によると定められている。なお,③国民健康保険法45条3項では,保険者は,保険薬局との契約により,上記費用の額につき,別段の定めをすることが許容されているが,本件では,このような契約は締結されていない。さらに,同法45条8項では,保険薬局の療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は,厚生労働省令(請求省令)で定めるとされている。 被告連合会は,同法45条5項に基づき,上記の審査及び支払に関する事務を保険者から委託されている。 (4) 療養担当規則上記(2)及び(3)の療養担当規則(乙ロ4)では,次のとおり,保険薬局等が従うべき規定が設けられている。 すなわち,①保険薬局は,患者から療養の給付を受けることを求められた場合には,その者の提出する処方せんが健康保険法63条3項各号に掲げる病院又は診療所において健康保険の診療に従事している保険医等が交付した処方せんであること及びその処方せん又は被保険者証によって療養の給付を受ける資格があることを確かめなければならない(3条),②保険薬局は, 所において健康保険の診療に従事している保険医等が交付した処方せんであること及びその処方せん又は被保険者証によって療養の給付を受ける資格があることを確かめなければならない(3条),②保険薬局は,4条の規定により患者から費用の支払を受けるときは,正当な理由がない限り,個別の費用ごとに区分して記載した領収証を無償で交付しなければならない(4条の2第1項),③保険薬局は,10条の規定による調剤録に,療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し,これを他の調剤録と区別して整備しなければならない(5条),④保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師は,保険医等の交付した処方せんに基づいて,患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない(8条1項),⑤保険薬剤師は,処方せんに記載された医薬品に係る後発医薬品が次条に規定する厚生労働大臣の定める医薬品である場合であって,当該処方せんを発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているときは,患者に対して,後発医薬品に関する説明を適切に行わなければならない(同条3項),⑥保険薬剤師は,厚生労働大臣の定める医薬品以外の医薬品を使用して調剤してはならない(9条)などと定められている。 (5) 請求省令等上記(2)及び(3)の請求省令(乙ロ3)では,①保険薬局は,療養の給付又は公費負担医療に関し費用を請求しようとするときは,電子情報処理組織の使用による請求又は光ディスク等を用いた請求により行うものとする(1条),②レセプトコンピュータ(療養の給付等の請求を行う者の使用に係る 電子計算機であって,調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書(以下「レセプト」という。)を電磁的記録をもって作成することができるものをいう。 電子計算機であって,調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書(以下「レセプト」という。)を電磁的記録をもって作成することができるものをいう。)を使用していない保険薬局は,1条の規定にかかわらず,書面による請求を行うことができる(5条)などと定められている。 そして,請求省令の規定に基づき定められた厚生労働省告示第126号では,書面による請求の場合における請求書等の様式が定められており,その様式では,保険薬局の所在地及び名称,開設者の氏名の記載並びに押印が要求されている(乙イ1)。 (6) 公費負担医療本件調剤報酬請求権の中には,以下の公費負担医療がある。 ア生活保護法同法15条では,医療扶助(保護の1つである。同法11条1項4号。 保護は都道府県知事等が実施する。同法19条1項)は,困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して,薬剤等について行われると定められ,同法34条1項では,医療扶助は,現物給付によって行うものとすると定められている。そして,同法52条1項では,指定医療機関(同法50条1項)の診療方針及び診療報酬は,国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例によると定められており,同法53条4項では,都道府県等は,指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を,被告基金に委託することができると定められている。被告基金は,上記事務を都道府県等から委託されている。本件調剤報酬請求権のうち,別紙2の「甲8の1」欄の番号83から103まで,「甲8の2」欄の番号30から37までがこれに当たる(甲8の1,2,弁論の全趣旨)。 なお,同法53条1項は,都道府県知事が診療報酬請求を随時審査し,その額を決定することができるとしている。 イ 」欄の番号30から37までがこれに当たる(甲8の1,2,弁論の全趣旨)。 なお,同法53条1項は,都道府県知事が診療報酬請求を随時審査し,その額を決定することができるとしている。 イ障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 同法58条1項では,市町村等(同法8条1項)は,支給認定(同法52条1項)に係る障害者等(同法2条1項1号)が,指定自立支援医療機関(同法54条2項)から当該指定に係る自立支援医療(指定自立支援医療)を受けたときは,自立支援医療費を支給すると定められ,同法58条5項では,上記障害者等が指定自立支援医療機関から指定自立支援医療を受けたときは,市町村等は,当該障害者等が当該指定自立支援医療機関に支払うべき当該指定自立支援医療に要した費用について,当該指定自立支援医療機関に支払うことができると定められている。そして,自立支援医療費等の審査及び支払についての規定である同法73条の4項では,市町村等は,公費負担医療機関に対する自立支援医療費等の支払に関する事務を被告基金に委託することができると定められている。被告基金は,上記事務を市町村等から委託されている。本件調剤報酬請求権のうち,別紙2の「甲8の1」欄の番号225及び「甲8の2」欄の番号62がこれに当たる(甲8の1,2,弁論の全趣旨)。 ウ肝炎治療特別促進事業「感染症対策特別促進事業について」(平成20年3月31日健発第0331001号)(甲42)の別添5の肝炎治療特別促進事業実施要綱では,実施主体は都道府県とされ,事業の実施は,原則として各都道府県が対象医療を適切に行うことができる保険医療機関等に対し,当該事業に必要な費用に相当する金額を交付すること 治療特別促進事業実施要綱では,実施主体は都道府県とされ,事業の実施は,原則として各都道府県が対象医療を適切に行うことができる保険医療機関等に対し,当該事業に必要な費用に相当する金額を交付することにより行うものとされている。被告基金は,上記費用の審査及び支払事務を都道府県知事から委託されている(甲41)。本件調剤報酬請求権のうち,別紙2の「甲8の1」欄の番号223がこれに当たる(甲8の1,弁論の全趣旨)。 エ特定疾患治療研究事業「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)(甲40)では,実施主体は都道府県とされ,治療研究事業の実施 は,原則として各都道府県が対象疾患の治療研究を行うに適当な医療機関に対し,治療研究に必要な費用を交付することにより行うものとされている。被告基金及び被告連合会は,上記費用の審査及び支払事務を都道府県から委託されている(甲41)。本件調剤報酬請求権のうち,別紙1の「甲8の1」欄の番号82,「甲8の2」欄の番号54,別紙2の「甲8の1」欄の番号224及び261がこれに当たる(甲8の1,2,弁論の全趣旨)。 (7) 本件調剤報酬請求権原告が代位行使を主張している本件調剤報酬請求権は,被告連合会に対するものは別紙1の「請求額」欄のとおり合計164万6962円(平成23年8月分が128万4046円,同年9月分が36万2916円。なお,請求の減縮はされていない。),被告基金に対するものは別紙2の「請求額」欄のとおり合計132万8300円(同年8月分が114万6970円,同年9月分が18万1330円)である。 本件調剤報酬請求権について,訴外薬局は,被告らに対し,請求省令に従った請求をしておらず,被 おり合計132万8300円(同年8月分が114万6970円,同年9月分が18万1330円)である。 本件調剤報酬請求権について,訴外薬局は,被告らに対し,請求省令に従った請求をしておらず,被告らは,療養担当規則に照らした審査をしていない。 (8) 被告基金関係での再審査調整被告基金は,保険者による確認の結果(レセプトを受け取った保険者は,被告基金の審査結果を確認し,これに不服がある場合,被告基金に対し,不当利得返還請求を行うことがある。),訴外薬局に対し,返戻対象分として,①平成23年5月調剤のA分5万0620円,②同年6月調剤のB分2191円,③同月調剤のC分1505円,減額査定分として,平成22年10月調剤のD分1260円の合計5万5576円の不当利得返還請求権を有している(乙ロ8から11まで)。被告基金は,平成25年12月13日の本件弁論準備手続期日において,上記請求権をもって,訴外薬局の被告基金に対 する本件調剤報酬請求権と対当額において相殺するとの意思表示をした(顕著な事実)。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするための要件は何か。 【原告の主張】保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするには,療養担当規則に従った療養の給付を行うことのみで足りると解すべきであり,具体的な要件は,①処方せんの確認(3条),②処方せんに基づいた調剤(8条1項),③後発医薬品に関する説明(8条3項),④薬価基準に従った調剤(9条)で足り,⑤領収証の交付(4条の2),⑥調剤録の整備(5条)といった付随的な行為は要件でないと解すべきである。最高裁昭和52年(行ツ)第69号同53年4月4日第三小法廷判 価基準に従った調剤(9条)で足り,⑤領収証の交付(4条の2),⑥調剤録の整備(5条)といった付随的な行為は要件でないと解すべきである。最高裁昭和52年(行ツ)第69号同53年4月4日第三小法廷判決・集民123号501頁の原審である名古屋高判昭和52年3月28日・行集28巻3号265頁は,元来診療報酬請求権は,診療行為の対価であって,診療の都度その時点で客観的に発生するものであるから,診療報酬請求が法制上診療機関から被告基金に対して請求される形態をとるとはいえ,その性質自体は私法上の法律関係,例えば請負,委任等におけるのと別異に解すべき理由はない点に照らしても,これら一般取引上の債権の点検確認と異なるところがないと判示し,前掲最三小判昭和53年4月4日も,原審の判断は正当としている。また,裁判例(京都地判平成12年1月20日等)も,療養の給付を行えば直ちに調剤報酬請求権が発生すると解している。 また,請求省令に基づく手続が採られたか否かは,権利の発生に影響を与えるものではないというべきである。 【被告連合会の主張】保険薬局の被告連合会に対する調剤報酬請求権は,請求省令に則って保険薬局の開設者のみが請求できるものであって,その金額は,本件のように, パソコン上に残されていた調剤データと処方せん写しとを突合するだけで決定し得るものではなく,減額項目を含めた被告連合会の審査委員会の審査を経て初めて確定するものである。したがって,上記調剤報酬請求権は,保険薬局が療養担当規則に従った調剤を行った時点で発生するが,一連の請求及び審査の手続を経て(手続要件),金額が確定すること(実体要件)を停止条件として効力が発生する債権というべきである。前掲名古屋高判昭和 が療養担当規則に従った調剤を行った時点で発生するが,一連の請求及び審査の手続を経て(手続要件),金額が確定すること(実体要件)を停止条件として効力が発生する債権というべきである。前掲名古屋高判昭和52年3月28日は,被告基金が行う減点措置の法律上の性質が行政処分に当たるか否かが唯一かつ最大の争点であったもので,保険医療機関が被告基金に対して有する診療報酬請求権の手続要件や実体要件にまで踏み込んで,診療報酬債権の請求から審査に至る行為の法律上の性質を穿鑿したものではなく,ましてや法令に従った請求をしなくてもよいとか,審査を経て金額の確定をする必要はないなどの判断をしたものではない。そして,以上の主張は,最高裁平成17年(許)第19号同年12月6日第三小法廷決定・民集59巻10号2629頁が,病院又は診療所が被保険者に対して診察等の療養の給付をしたときに診療報酬を請求する権利を取得する旨を判示していることとも,何ら矛盾しない。 なお,被告連合会は,診療(調剤)報酬請求権の差押えを受けたり,譲渡が行われたりした場合であっても,保険薬局等の開設者の意思に基づき,かつ,療養担当規則に定められた所定の方式に従った請求がされない限り,差押債権者や譲受人に対し,当該債権の支払をしない運用を行っている。 【被告基金の主張】保険薬局の被告基金に対する調剤報酬請求権は,原告が主張するとおり,療養担当規則に従った調剤が行われた時点で発生するが,そのような調剤が行われたという立証がされなければならず,最低限,レセプトの原本の提出は必要であると解すべきである。被告基金は,健康保険組合等の保険者と委託契約を結んで審査支払業務を行っているのであり,実質的な支払者である 保険 すべきである。被告基金は,健康保険組合等の保険者と委託契約を結んで審査支払業務を行っているのであり,実質的な支払者である 保険者へ調剤報酬を請求するためには,請求の内訳であるレセプトが必要でもあるからである。 (2) 原告の主張する本件調剤報酬請求権につき,上記(1)の要件を充たしていると認められるか,認められるとしてその額はいくらか。 【原告の主張】ア本件調剤報酬請求権の額は,被告連合会に対するものは別紙1,被告基金に対するものは別紙2の各「請求額」欄のとおりである。 この点,①訴外薬局の作成に係るレセプトに記載されている処方内容のうち,医療機関が処方せんにより開示した処方内容と合致したもの(各別紙の「原告の主張」欄が「ア①」となっているもの)については,療養担当規則に従った調剤が行われたことに疑いがない。また,②医療機関が開示した処方内容が処方せん以外による回答であるもの(各別紙の「原告の主張」欄が「ア②」となっているもの)も,上記のとおり合致していれば療養担当規則に従った調剤が行われたと認められる。 また,医療機関が処方内容を開示しなかったが,医療機関が処方せんを交付したことを認めたもの(各別紙の「原告の主張」欄が「イ」となっているもの)も,療養担当規則に従った調剤が行われたと認められるべきである。なぜなら,訴外薬局が作成したレセプトは,22の医療機関から交付された処方せんに基づいて処方した結果を示したものであるが,その大部分である15の医療機関が開示した処方せんの処方内容について,レセプトに記載された処方内容と合致しており,処方内容の開示をしない医療機関の分についても,訴外薬局が同様の調剤を行っていたことを推認させるから 15の医療機関が開示した処方せんの処方内容について,レセプトに記載された処方内容と合致しており,処方内容の開示をしない医療機関の分についても,訴外薬局が同様の調剤を行っていたことを推認させるからである。 さらに,処方せんの交付が不明である4医療機関の分(各別紙の「原告の主張」欄が「ウ」となっているもの)についても,療養担当規則に従った調剤が行われた可能性は極めて高い。 したがって,本件調剤報酬請求権の全てについて,①処方せんの確認(上記(1)の要件①),②処方せんに基づいた調剤(同②)がされたと認めるべきである。 イまた,訴外薬局が医療機関の処方内容を遵守する内容の処方をしていたことからすれば,後発医薬品の処方に際して患者に対する十分な説明をしていたことは優に推認されるし(同③),薬価基準に従った調剤をしていたことも推認される(同④)。 【被告連合会の主張】別紙1の「請求額」欄の金額について,仮に,レセプトの原本の提出がされたものとして,訴外薬局が所有していたパソコンの中に残されていた調剤データを原告がプリントアウトしたものと原告が保険医療機関の処方せん等の写しと主張するものとの処方内容等を突合し,調剤報酬点数表等と突合して,請求点数と調剤報酬点数表等とが一致し,調剤データに記載された給付割合に応じて計算した結果は,別紙1の「事務確認額」欄の金額である(ただし,当該金額についても,再審査調整が行われる可能性はある。)。すなわち,被告連合会に対する本件調剤報酬請求権のうち,要件を充たしている可能性があるのは,合計48万9421円(平成23年8月分が33万8329円,同年9月分が15万1092円)である。 【被告基金の主 告連合会に対する本件調剤報酬請求権のうち,要件を充たしている可能性があるのは,合計48万9421円(平成23年8月分が33万8329円,同年9月分が15万1092円)である。 【被告基金の主張】別紙2の「請求額」欄の金額について,被告基金が確認した結果は,別紙2の「事務確認額」欄のとおりである(なお,保険薬局が被告基金に対して請求することのできる調剤報酬額は,患者が窓口で支払った一部負担金額を控除した額であるから,原告が主張するような調剤点数に10円を乗じた額ではない。)。処方せんの内容が判明しているものであっても,レセプトと照合した結果,処方せんとレセプトの内容が一致しないものが存在しており,処方せんの内容が判明しないものについて,レセプトが処方せんに基づくも のであるという真実性が立証されたということはできない。そうすると,被告基金に対する本件調剤報酬請求権のうち,要件を充たしていると認められるものは,合計24万9448円(平成23年8月分が18万4965円,同年9月分が6万4483円)である。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするための要件は何か。)について保険薬局は,被保険者に対して療養の給付としての薬剤の支給(健康保険法63条1項2号,国民健康保険法36条1項2号。以下「調剤」という。)を行った場合,法律の規定(社会保険診療報酬支払基金法1条,15条1項,健康保険法76条,国民健康保険法45条等)に基づき,保険者から委託を受けた被告基金又は被告連合会に対して調剤報酬を請求する権利を取得する(最高裁昭和43年(オ)第1311号同48年12月20日第一小法廷判決・民集27巻11号1594頁, に基づき,保険者から委託を受けた被告基金又は被告連合会に対して調剤報酬を請求する権利を取得する(最高裁昭和43年(オ)第1311号同48年12月20日第一小法廷判決・民集27巻11号1594頁,前掲最三小決平成17年12月6日参照)。 ところで,保険薬局の申請及び指定(健康保険法65条)は,保険薬局に対する療養の給付という委託を目的とした公法上の準委任契約であり,保険薬局の調剤報酬請求権は,保険薬局が,委任の趣旨に従った事務の履行,すなわち,法律の規定に基づく調剤を行ったことにより発生すると解すべきである。被告らの行う審査(健康保険法76条4,5項,国民健康保険法45条4,5項)は,適正な調剤報酬請求額を点検,確認するため実務上重要な役割を果たしているが,これを経なければ,実体法上,調剤報酬請求権が発生しないことにはならない。 この点,被告連合会は,上記調剤報酬請求権は,保険薬局が療養担当規則に従った調剤を行った時点で発生し,一連の請求及び審査の手続を経て(手続要件),金額が確定すること(実体要件)を停止条件として効力が発生する債権であると主張する。しかし,健康保険法76条及び国民健康法45条の各規定 上,療養の給付に関する費用の請求があった後に審査がされることとされ,審査の前に上記調剤報酬請求権を行使できるとされている(なお,被告連合会は,上記調剤報酬請求権の「請求」はできるが権利の行使はできないと主張するようであるが,通常,そのようには解し難い。)ことに照らしても,一連の請求及び審査の手続を経ること等が,保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするための停止条件であると解することはできず,上記主張は採用できない。また,上記のとおり,実体法上,調剤報酬請求権 ,一連の請求及び審査の手続を経ること等が,保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするための停止条件であると解することはできず,上記主張は採用できない。また,上記のとおり,実体法上,調剤報酬請求権が,法律の規定に基づく調剤行為によって発生する以上,請求省令に従った請求がされることが停止条件であると解することもできないし,レセプトの原本の提出が必要であると解することもできない。この点に関する被告らの主張は,採用できない。 したがって,保険薬局が被告らに対して調剤報酬請求をするには,法律の規定に基づく調剤,すなわち療養担当規則に従った調剤が行われたと認められれば足りると解される。そして,ここで療養担当規則に従ったといえるためには,①処方せんの確認(3条),②処方せんに基づいた調剤(8条1項),③後発医薬品に関する説明(8条3項),④薬価基準に従った調剤(9条)が認められれば足り,領収証の交付(4条の2),調剤録の整備(5条)といった調剤後の付随的な行為までは必要でないと解すべきである。 2 争点(2)(原告の主張する本件調剤報酬請求権について,上記1の要件を充たしていると認められるか,認められるとしてその額はいくらか。)について(1) 被告連合会関係について上記1で説示したところに基づき,原告の主張する本件調剤報酬請求権のうち被告連合会に対するもの(別紙1の「請求額」欄の金額)につき,要件を充たしていると認められるか,検討する。 アまず,別紙1の「事務確認額」欄の金額(平成23年8月分33万8329円,同年9月分15万1092円の合計48万9421円)は,被告連合会の主張をも総合すると,療養担当規則に従った調剤が行われたも のと推認される。 092円の合計48万9421円)は,被告連合会の主張をも総合すると,療養担当規則に従った調剤が行われたも のと推認される。 イ次に,原告は,上記ア以外にも,訴外薬局の作成に係るレセプト(甲8の1,甲8の2)に記載されている処方内容のうち,医療機関が開示した処方内容と合致するものがある(別紙1の「原告の主張」欄が「ア①」となっているもの)と主張するので,検討する。 この点,確かに,①E分(甲8の1・69。なお,中点以下は証拠写しの右下にある数字である。以下同じ。)(2079円)については,処方せん(甲イ33・24)では「1食前」と必ずしも時期が限定されずに指示されていたものが,単に「朝食前」と特定されて調剤が行われたにすぎないと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたと認められる。また,②F分(甲8の2・38)(2万1672円)についても,上記①と同様に,処方せん(甲イ33・95)では,三和十全大補湯エキス細粒3gにつき,「1食前」と指示されていたものが,「朝食前」とされたにすぎないと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたと認められる。 しかし,③G分(甲8の1・70)については,平成23年7月28日まで有効とされていたにすぎない処方せん(甲イ33・25,26)に基づき,同年8月26日に調剤が行われたと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。④H分(甲8の1・71,甲イ33・27)も,上記③と同じである。⑤I分(甲8の1・110)については,処方せん(甲イ33・45)では「朝食前」と指示されていたものが,指示に反して「毎食前」として調剤が行われたと認められるから,療養担当規則に従った調剤が ある。⑤I分(甲8の1・110)については,処方せん(甲イ33・45)では「朝食前」と指示されていたものが,指示に反して「毎食前」として調剤が行われたと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。⑥J分(甲8の1・132)については,平成23年8月23日に調剤が行われたと認められるが,これに対応する処方せんの交付を認めるに足りる証拠がないから(同月9日にも調剤が行われているが,上記の結果,当該レセプトによ る1個の請求に係る調剤行為全体が信用できない。),療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。⑦K分(甲8の1・134)については,処方せん(甲イ33・56)の被保険者証の記号・番号とレセプトのそれが一致しないから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。⑧L分(甲8の2・13)については,処方せん(甲イ30)の保険医名とレセプトのそれが一致しないから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。 ウ原告は,医療機関が開示した処方内容が処方せん以外による回答であるもの(別紙1の「原告の主張」欄が「ア②」となっているもの)も,訴外薬局の作成に係るレセプトに記載されている処方内容と合致しており,療養担当規則に従った調剤が行われたと主張する。確かに,処方せん以外による回答であっても,処方せんの交付が認められ,かつ,医療機関が開示した処方内容とレセプトの処方内容とが合致していれば,療養担当規則に従った調剤行為を認めない理由はない(なお,後記のとおり,被告基金は,上記と同様の原告の主張につき,上記の合致が認められないものを除いて,認めている。)。 そうすると,①M分(甲8の1・4),②L分(甲8の1・3 理由はない(なお,後記のとおり,被告基金は,上記と同様の原告の主張につき,上記の合致が認められないものを除いて,認めている。)。 そうすると,①M分(甲8の1・4),②L分(甲8の1・35,36),③N分(甲8の1・153),④O分(甲8の1・173),⑤P分(甲8の2・6),⑥Q分(甲8の2・9),⑦L分(甲8の2・12),⑧R分(甲8の2・15)(上記①~⑧の合計9万4041円)については,処方せんの交付が認められ(別紙1のとおり争いがない),医療機関が開示した処方内容(上記①,③~⑥につき甲21の2,上記②につき甲17,甲11,上記⑦につき甲12,上記⑧につき甲17)とレセプトの処方内容とが合致しているから,療養担当規則に従った調剤が行われたと認められる。 エ原告は,医療機関が処方内容を開示しなかったが,医療機関が処方せん を交付したことを認めたもの(別紙1の「原告の主張」欄が「イ」となっているもの)も,療養担当規則に従った調剤が行われた可能性が高いと主張し,確かに,保険薬局が通常の営業実態にあったのであれば,レセプトの記載からそのように推認することも可能であろう。 しかし,証拠(甲1,甲9)及び弁論の全趣旨によれば,訴外薬局は,本件調剤報酬請求権の対象となっている調剤が行われた平成23年8月及び9月当時,既に代表者と連絡が取れなくなり(同年2月中旬頃),建物の賃貸借契約は解除されている(同年4月10日)といった状態で,同年9月中旬頃には営業実態もなくなり,同月26日には全く連絡が取れない状態に至ったと認められる。しかも,本件で提出されているレセプト(甲8の1,甲8の2)は,原告が強制執行によって引渡しを受けた訴外薬局のパソコン内 業実態もなくなり,同月26日には全く連絡が取れない状態に至ったと認められる。しかも,本件で提出されているレセプト(甲8の1,甲8の2)は,原告が強制執行によって引渡しを受けた訴外薬局のパソコン内のデータを打ち出したものにすぎず,訴外薬局自身が処方せんにより点検,確認したものかは明らかではない。そのような訴外薬局の営業状態とレセプトの記載からすれば,医療機関が処方せんを交付したことを認めているとしても,その内容が明らかでない以上,療養担当規則に従った調剤が行われたと推認することはできないというべきである。原告の上記主張は採用できず,他に,療養担当規則に従った調剤が行われたと認めるに足りる証拠はない。 オ原告は,処方せんの交付が不明である分(別紙1の「原告の主張」欄が「ウ」となっているもの)についても,療養担当規則に従った調剤が行われたと主張するが,処方せんの交付及びその内容が不明である以上,療養担当規則に従った調剤が行われたと認めるには足りない。 カ以上によれば,原告の主張する本件調剤報酬請求権の中で被告連合会に対するもの(別紙1の「請求額」欄の金額)のうち,要件を充たしていると認められる額は,合計60万7213円(上記の太字ゴシック体の合計額)となる。 (2) 被告基金関係について上記1で説示したところに基づき,原告の主張する本件調剤報酬請求権のうち被告基金に対するもの(別紙2の「請求額」欄の金額)につき,要件を充たしていると認められるか,検討する。 アまず,別紙2の「事務確認額」欄の金額(平成23年8月分18万4965円,同年9月分6万4483円の合計24万9448円)は,被告基金の主張に照らすと,療養担当規則に従った調剤が行 する。 アまず,別紙2の「事務確認額」欄の金額(平成23年8月分18万4965円,同年9月分6万4483円の合計24万9448円)は,被告基金の主張に照らすと,療養担当規則に従った調剤が行われたものと認められる(なお,このうち別紙2の「甲8の1」欄の番号88,90,「甲8の2」欄の番号32,34,36,37について,生活保護法53条1項に基づく審査による金額の変動を認めるべき主張立証はない。)。 イ次に,原告は,上記ア以外にも,訴外薬局の作成に係るレセプト(甲8の1,甲8の2)に記載されている処方内容のうち,医療機関が開示した処方内容と合致するものがある(別紙2の「原告の主張」欄が「ア①」となっているもの)と主張する。 しかし,①S分(甲8の1・85)については,処方せん(甲14の2)では「エンシュア・リキッド」と指示されていた薬剤につき,これと異なる「エンシュア・H」の調剤が行われたと認められるから(乙ロ5),療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。②T分(甲8の1・176)については,処方せん(甲ロ33・62)ではトラムセット配合錠を4錠と指示されていた薬剤につき,同配合錠を8錠調剤していたと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない(同配合錠以外にも調剤が行われているが,上記の結果,当該レセプトによる1個の請求に係る調剤行為全体が信用できない。)。また,③Uの平成23年8月12日分(甲8の1・225)については,処方せん(甲15の2)では,アモキサン細粒10%を9mg,デパス細粒1%を0.9mg,セパゾン散1%を1.5mg,ドグマチール細粒50%を60mgと指示 されていた薬剤につき,アモキサン細粒 細粒1%を0.9mg,セパゾン散1%を1.5mg,ドグマチール細粒50%を60mgと指示 されていた薬剤につき,アモキサン細粒10%を0.09g(90mg),デパス細粒1%を0.09g(90mg),セパゾン散1%を0.15g(150mg),ドグマチール細粒50%を0.12g(120mg)と大きく異なる量で調剤が行われたと認められるから(なお,仮にレセプト(甲8の1・225)の記載が誤記であれば,調剤の内容を認めるに足りる証拠はない。),療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。 ④Uの同年9月9日分(甲8の2・62)についても,上記③と同様に処方せん(甲15の2)とは大きく異なる量で調剤が行われたと認められるから,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。 ウ原告は,医療機関が開示した処方内容が処方せん以外による回答であるもの(別紙2の「原告の主張」欄が「ア②」となっているもの)も,訴外薬局の作成に係るレセプトに記載されている処方内容と合致し,療養担当規則に従った調剤が行われたと主張する。処方せん以外による回答であっても,処方せんの交付が認められ,かつ,医療機関が開示した処方内容とレセプトの処方内容とが合致すれば,療養担当規則に従った調剤が行われたと認められることは,上記(1)ウで説示したとおりである。 被告基金は,原告の上記主張につき,次のものを除いて認めている。被告基金が争うV分(甲8の1・239)については,処方せんの交付は認められるが,医療機関が開示した処方内容(甲19)とレセプトの処方内容とが合致しない(平成23年8月1日分のアレグラ錠につき,処方せんでは14日分との指示がされているが,7日分の調剤が行われたと認められ るが,医療機関が開示した処方内容(甲19)とレセプトの処方内容とが合致しない(平成23年8月1日分のアレグラ錠につき,処方せんでは14日分との指示がされているが,7日分の調剤が行われたと認められ,当該レセプトによる1個の請求に係る調剤行為全体が信用できない。)から,療養担当規則に従った調剤が行われたとは認められない。 エ原告は,医療機関が処方内容を開示しなかったが,医療機関が処方せんを交付したことを認めたもの(別紙2の「原告の主張」欄が「イ」となっているもの)についても,療養担当規則に従った調剤が行われたと主張す るが,原告の上記主張が採用できないことは,上記(1)エで説示したとおりである。 オまた,原告は,処方せんの交付が不明である分(別紙2の「原告の主張」欄が「ウ」となっているもの)についても,療養担当規則に従った調剤が行われたと主張するが,原告の上記主張も採用できないことは,上記(1)オで説示したとおりである。 カ以上によれば,原告の主張する本件調剤報酬請求権の中で被告基金に対するもの(別紙2の「請求額」欄の金額)のうち,要件を充たしていると認められる額は,被告基金が一応認めているとおり,合計24万9448円となる。 そして,被告基金は,訴外薬局に対し,合計5万5576円の不当利得返還請求権を有し,被告基金に対する本件調剤報酬請求権と相殺するとの意思表示をしたから(前提事実(8)),訴外薬局が被告基金に対して有する調剤報酬請求権は,19万3872円となる。 3 結論したがって,原告の被告連合会に対する請求は60万7213円及びこれに対する弁済期後の日(訴状送達日の翌日)である平成24年6月11日から民法所定年5分の 万3872円となる。 3 結論したがって,原告の被告連合会に対する請求は60万7213円及びこれに対する弁済期後の日(訴状送達日の翌日)である平成24年6月11日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,原告の被告基金に対する請求は19万3872円及びこれに対する弁済期後の日(訴状送達日の翌日)である同月12日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がないから,主文のとおり判決する。なお,仮執行免脱宣言及び執行開始時期を判決が被告基金に送達された後14日を経過したときとすることは,相当でない。 札幌地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官本田晃 裁判官榎本光宏 裁判官貝阿彌健 (別紙1~2は,添付省略)

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