平成25(行ケ)10226 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年3月13日 知的財産高等裁判所 1部 判決 審決取消
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判決文本文12,223 文字)

平成26年3月13日判決言渡平成25年(行ケ)第10226号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年1月28日判決原告株式会社カムイワークスジャパン訴訟代理人弁護士稲元富保訴訟代理人弁理士宮田信道被告株式会社中条訴訟代理人弁護士平尾正樹訴訟代理人弁理士猪狩充 主文 1 特許庁が,無効2013-890005号事件について,平成25年7月5日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 前提となる事実 1 原告の商標原告は,欧文字の「KAMUI」の標準文字からなる商標を登録商標(以下「本件商標」という。)とし,指定商品を第28類「運動用具」とする商標(登録第5142685号。平成19年4月23日出願,平成20年6月20日登録,以下「本件商標登録」という。)の商標権者である(甲1,24)。 2 平成21年7月2日付けの被告の無効審判請求(1) 無効審判の経緯被告は,平成21年7月2日,本件商標は,商標法4条1項10号に該当すると 主張して,無効審判(無効2009-890077号事件。以下「前審判」という。)を請求した(なお,被告は,同項19号への該当性も無効理由として主張した。)。 特許庁は,平成22年4月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「 7号事件。以下「前審判」という。)を請求した(なお,被告は,同項19号への該当性も無効理由として主張した。)。 特許庁は,平成22年4月30日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「前審決」という。)をし,同審決は同年6月10日に確定し,確定審判の登録がされた(甲23,112)。 (2) 前審判における商標法4条1項10号該当性に係る被告の主張等前審判における本件商標が商標法4条1項10号に該当するとの被告の主張等の概要は,以下のとおりである(甲23,25,48,51,59,112)。 ア商標法4条1項10号該当性に係る主張の骨子被告は,平成9年ころから,被告の関連会社である有限会社カムイ(以下「カムイ社」という。)を介し,別紙前審判引用商標目録記載の商標(以下「前審判引用商標」という。)を使用してゴルフクラブの販売をし(以下,被告の製造,販売に係るゴルフクラブを「被告ゴルフクラブ」という。),前審判引用商標は,遅くとも本件商標登録の出願時には,被告がゴルフクラブに使用する商標として,日本国内の取引者・需要者に広く認識され,その状態は本件商標の登録査定時においても継続していた。本件商標は前審判引用商標と類似しており,本件商標の指定商品は前審判引用商標が使用されているゴルフクラブと類似する。 イ前審判引用商標が周知であることの具体的な主張被告が,前審判引用商標が周知であるとする具体的な主張は,以下のとおりである(判決注 「広く認識されていること」を便宜「周知」と表記する。)。 すなわち,①平成13年頃から,前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブ等のゴルフ用品の紹介記事がゴルフ関連の著名な専門誌等に掲載された,②前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブは,雑誌「月刊ゴルフ用品界」において,ウッドベスト5に常 引用商標を付した被告ゴルフクラブ等のゴルフ用品の紹介記事がゴルフ関連の著名な専門誌等に掲載された,②前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブは,雑誌「月刊ゴルフ用品界」において,ウッドベスト5に常連としてランクインした,③前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブは172名ものプロゴルファーに愛用され,「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の優勝者や上位入賞者にも愛用された,④被告とカムイ社は「ゴルフダイジ ェストドラコン日本選手権」の協賛企業であり,雑誌にオフィシャルスポンサーとして紹介され,当該記事に前審判引用商標が付された被告ゴルフクラブが掲載されていた,⑤前審判引用商標の付された被告ゴルフクラブは,平成13年から平成14年にかけて年間1万本以上が販売され,その後販売数は減少したが,多くのゴルフクラブが販売され,その年間販売金額は平成13年,平成14年で10億円以上,その後も数億円に上り,上記販売実績は,「2009年版ゴルフ産業白書」にウッドクラブの国内出荷金額上位24社に掲載されている他社より上回ったことについて主張した。 (3) 前審決特許庁は,平成22年4月30日,以下のとおり審決した。すなわち,前審判引用商標は,本件商標の登録出願時以前から,被告の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内の需要者の間に広く認識されていたとは認められず,本件商標は商標法4条1項10号に該当しないと判断し,請求不成立の審決(前審決)をした。なお,本件商標は,同項19号に該当しないとの判断も示した。(甲112)同審決は,同年6月10日確定した。 3 平成25年1月28日付けの被告の無効審判請求(1) 無効審判の経緯被告は,平成25年1月28日,本件商標は,商標法4条1項10号に該当すると主張して,無 ,同年6月10日確定した。 3 平成25年1月28日付けの被告の無効審判請求(1) 無効審判の経緯被告は,平成25年1月28日,本件商標は,商標法4条1項10号に該当すると主張して,無効審判(無効2013-890005号事件。以下「本件審判」という。)を請求した(なお,同項7号への該当性も無効理由として主張した。)。 特許庁は,同年7月5日,「登録第5142685号の登録を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月16日,原告に送達された。 (2) 本件審判における商標法4条1項10号該当性に係る被告の主張等本件審判における本件商標が商標法4条1項10号に該当するとの被告の主張等の概要は,以下のとおりである。 ア商標法4条1項10号該当性に係る主張の骨子被告は,平成8年以前から,ゴルフクラブについて「KAMUI」の文字単体からなる商標又は「K∧MUI」の文字単体からなる商標(以下,上記2つの商標を併せて「『KAMUI』単体商標」という。)並びに「KAMUIPRO」,「TYPHOONPRO」及び「KAMUITYPHOONPRO」の各文字からなる商標(以下,「KAMUI」単体商標と上記3つの商標を併せて「『KAMUI』単体商標等」という。)の使用を開始し,取り扱う全てのゴルフクラブに「KAMUI」単体商標等を付しており,「KAMUI」単体商標は,ゴルフ用品の需要者間に広く知られていた。 イ 「KAMUI」単体商標が周知であることの具体的な主張被告が,「KAMUI」単体商標が周知であるとする具体的な主張は,以下のとおりである。 すなわち,①「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブの紹介記事が雑誌等に掲載された,②被告は,雑誌「ゴルフ用品界」に定期的に広告を 周知であるとする具体的な主張は,以下のとおりである。 すなわち,①「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブの紹介記事が雑誌等に掲載された,②被告は,雑誌「ゴルフ用品界」に定期的に広告を出し,また,同雑誌において,「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブがウッドベスト5に常連としてランクインしていた,③被告ゴルフクラブは多数のプロゴルファーに使用されていた,④被告は「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の協賛企業であり,パンフレット等に協賛会社として記載され,「K∧MUI」の文字とくさび形図形を組み合わせた商標(以下「『K∧MUI+くさび図形』商標」という。)が広告宣伝された,⑤被告ゴルフクラブの売上本数は,平成13年及び平成14年には年間1万本を超え,それ以降も売れ行きは好調であり,被告ゴルフクラブの販売会社であるカムイ社の平成15年度から平成18年度の売上げは,年間約1億2000万円から約2億円であったことを主張した。 4 本件審決の理由本件審決の内容は,別紙審決書写しに記載のとおりであり,その要旨は以下のとおりである。 (1) いわゆる一事不再理についてア前審判は,商標法4条1項10号及び19号違反の事実に基づき,本件商標登録を無効にすることを求めて審判請求をしたものであるのに対し,本件審判は,同項7号又は10号違反の事実に基づき,本件商標登録を無効にすることを求めて審判請求をしたものであるから,前審判と本件審判とは,同一の事実に基づいて審判請求をしたものでない。 イ前審判と本件審判とでは,「KAMUI」単体商標の周知性に係る証拠のうち,被告ゴルフクラブの販売実績数のデータ,雑誌は同一であるが,①「使用プロ一覧」と題する書面(以下「使用プロ一覧表」という。)の記載内容が異なること, ,「KAMUI」単体商標の周知性に係る証拠のうち,被告ゴルフクラブの販売実績数のデータ,雑誌は同一であるが,①「使用プロ一覧」と題する書面(以下「使用プロ一覧表」という。)の記載内容が異なること,②カタログの発行年度が異なることから,同一の証拠ではなく,また,③本件審判における決算報告書は,前審判で主張した販売額を裏付けるためのものとして提出されたものであって,単なる補強証拠とはいえない。 ウしたがって,本件審判請求は,商標法56条1項で準用する特許法167条に規定された「一事不再理」に違反してされたものと認めることはできない。 (2) 商標法4条1項10号該当性について「K∧MUI+くさび図形」商標及び「KAMUI」単体商標は,本件商標が登録出願された平成19年4月23日の時点で,被告ゴルフクラブ及びその関連用品であるキャディバックを表示するものとして,ゴルフ関連の商品分野の需要者の間に広く認識されていたと認められ,その周知性は,本件商標の登録査定時(平成20年6月2日)においても継続していたと推認することができる。 本件商標は,「K∧MUI+くさび図形」商標及び「KAMUI」単体商標と全体として類似する。 したがって,本件商標は,商標法4条1項10号に該当する。 なお,本件審決は,同項7号については,その該当性を否定した。 第3 取消事由に関する当事者の主張 1 原告の主張 (1) 審決の確定効についての判断の誤り(取消事由1)ア商標法56条1項が準用する特許法167条は,①同一事実か否かは,無効理由ごとに判断すると解すべきであり,②同一の無効理由が実質的に同一証拠に基づく場合には,審決の確定効が及ぶと解すべきである。 前審決は,本件商標は商標法4条1項10号に該当しないとして無効審判請求は ごとに判断すると解すべきであり,②同一の無効理由が実質的に同一証拠に基づく場合には,審決の確定効が及ぶと解すべきである。 前審決は,本件商標は商標法4条1項10号に該当しないとして無効審判請求は成り立たないと判断し,確定した。したがって,前審決は,確定効を有するので,以下のとおり,この点を本件審判請求で争うことは許されない。 イ本件審決は,前審判と本件審判とでは,①使用プロ一覧表の記載内容が異なる,②カタログの発行年度が異なる,③本件審判における決算報告書は前審判で主張した販売額を裏付けるためのものであって,単なる補強証拠ではない,と判断した。 しかし,本件審決の上記判断には誤りがある。すなわち,(ア) 本件審判で提出された使用プロ一覧表は,前審判で提出された使用プロ一覧表と,記載されている内容が重複しており,使用するプロゴルファーの氏名が追加されているとしても,前審判で提出された使用プロ一覧表と実質的に同一の証拠と評価される。 (イ) 前審判と本件審判とでは,提出されたカタログの発行年度が異なるが,その立証事実は,被告が「KAMUI」単体商標等を使用していたという事実であり,共通することから,実質的に同一の証拠と評価される。 (ウ) 本件審判で提出された決算報告書は,前審判で主張した販売額を裏付けるための証拠であり,単なる補強証拠である。 以上のとおり,本件審判のうち本件商標が商標法4条1項10号に該当することを無効理由とする請求は,前審判と同一の事実及び同一の証拠に基づくものであり,本件審判請求において,前審決の確定効を争うことはできない。 (2) 商標法4条1項10号違反の認定判断の誤り(取消事由2)本件審決は,被告ゴルフクラブの販売本数の表(甲11-1)及び出荷明細(甲 11-1-1ないし11-1- ことはできない。 (2) 商標法4条1項10号違反の認定判断の誤り(取消事由2)本件審決は,被告ゴルフクラブの販売本数の表(甲11-1)及び出荷明細(甲 11-1-1ないし11-1-9)に基づいて被告ゴルフクラブの販売本数を,決算報告書(甲11-2ないし11-5)に基づいて被告の売上高を,使用プロ一覧表(甲11-31)に基づいて被告ゴルフクラブが納品されたプロゴルファーの人数を認定し,雑誌,新聞による宣伝広告なども加えて,被告がゴルフクラブに使用する「K∧MUI+くさび図形」商標及び「KAMUI」単体商標に周知性があると認定した。 しかし,本件審決の上記認定には誤りがある。 被告ゴルフクラブの販売本数に関する証拠(甲11-1,11-1-1ないし11-1-9)は信用性が乏しい。甲11-2ないし11-5の決算報告書は被告のものではなく,カムイ社のものであり,また,国内におけるゴルフクラブ等の売上げに関するものであることも立証されていない。使用プロ一覧表(甲11-31)も信用性に乏しい。したがって,上記証拠に基づいた事実認定には誤りがある。 また,被告提出の上記各証拠を信用するとしても,被告ゴルフクラブの販売本数,雑誌等による宣伝広告の回数,被告ゴルフクラブが占める市場シェアなどを総合的に判断すると,被告がゴルフクラブに使用する「K∧MUI+くさび図形」商標及び「KAMUI」単体商標が周知であるとは認められない。 2 被告の反論(1) 審決の確定効についての判断の誤り(取消事由1)に対して本件審判の無効理由は商標法4条1項7号及び10号であるのに対し,前審判の無効理由は同項10号及び19号であり,本件審判と前審判とでは無効理由が異なるから,同一事実とはいえない。また,本件審判と前審判とでは,証拠が異なる。 した 1項7号及び10号であるのに対し,前審判の無効理由は同項10号及び19号であり,本件審判と前審判とでは無効理由が異なるから,同一事実とはいえない。また,本件審判と前審判とでは,証拠が異なる。 したがって,本件審判請求は,前審決の確定効に反するものではない。 (2) 商標法4条1項10号違反の認定判断の誤り(取消事由2)に対して被告は,遅くとも平成8年時点で,ゴルフクラブにつき,「K∧MUI+くさび図形」商標,「KAMUI」単体商標等の使用を開始しており,被告ゴルフクラブ本体には,全て「K∧MUI+くさび図形」商標又は「KAMUI」単体商標が付さ れている。カムイ社の被告ゴルフクラブの販売本数は,平成13年及び平成14年は,年間1万本以上,平成15年から平成21年までの間は,年間約3000本から約8000本であり,また,カムイ社の被告ゴルフクラブの売上高は,平成15年度から平成18年度の間で年間約1億2000万円から約2億円であった。被告ゴルフクラブの出荷数量及び出荷金額は,全国145メーカー中20番目位である。 平成13年8月から平成19年1月の間に,雑誌等に被告ゴルフクラブの紹介記事が掲載されており,また,被告は,雑誌「ゴルフ用品界」に定期的に広告を出しており,同雑誌において,「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブがウッドベスト5に常連としてランクインしている。被告は「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の協賛企業であり,パンフレット等に協賛会社として記載され,「KAMUI」単体商標等が広告宣伝された。被告ゴルフクラブは多数のプロゴルファーによって使用されている。 本件審判では,被告ゴルフクラブの販売本数の資料として,平成16年及び平成17年の出荷明細を提出しており,その本数は,甲11-1の売上本数と一致する は多数のプロゴルファーによって使用されている。 本件審判では,被告ゴルフクラブの販売本数の資料として,平成16年及び平成17年の出荷明細を提出しており,その本数は,甲11-1の売上本数と一致するから,甲11-1は周知性認定の資料とすることができる。また,甲11-2ないし11-5はカムイ社の決算報告書であるが,カムイ社は被告のゴルフ用品の販売会社であり,その売上高はほとんどゴルフクラブのものである。使用プロ一覧表(甲11-31)は,プロゴルファーとの取引を示すものである。 以上によれば,被告の「K∧MUI+くさび図形」商標及び「KAMUI」単体商標はゴルフ用品の需要者間に広く知られていたと認められ,本件商標は,商標法4条1項10号に該当する。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,本件審判請求のうち商標法4条1項10号違反を理由とする請求については,前審決の確定効に反するものとして許されないというべきであり,本件審決には誤りがあると判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 審決の確定効についての判断の誤り(取消事由1)について (1) 審決の確定効について商標法56条1項が準用する特許法167条は,「特許無効審判・・・の審決が確定したときは,当事者及び参加人は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない」旨規定する同条は,当事者(参加人を含む。)の提出に係る主張及び証拠等に基づいて判断をした審決が確定した場合には,当事者が同一事項に係る主張及び立証をすることにより,確定審決と矛盾する判断を求めることは許されず,また,審判体も確定審決と矛盾する判断をすることはできない旨を規定したものである。同条が設けられた趣旨は,①同一事項に係る主張及び証拠に基づく矛盾する複数の確定審決が発生す 断を求めることは許されず,また,審判体も確定審決と矛盾する判断をすることはできない旨を規定したものである。同条が設けられた趣旨は,①同一事項に係る主張及び証拠に基づく矛盾する複数の確定審決が発生することを防止すること,②無効審判請求等の濫用を防止すること,③権利者の被る無効審判手続等に対応する煩雑さを回避すること,④紛争の一回的な解決を図ること等にあると解される。 そうすると,無効審判請求においては,「同一の事実」とは,同一の無効理由に係る主張事実を指し,「同一の証拠」とは,当該主張事実を根拠づけるための実質的に同一の証拠を指すものと解するのが相当である。そして,同一の事実(同一の立証命題)を根拠づけるための証拠である以上,証拠方法が相違することは,直ちには,証拠の実質的同一性を否定する理由にはならないと解すべきである。このような理解は,平成23年法律第63号による特許法167条の改正により,確定審決の第三者効を廃止することとし,他方で当事者間(参加人を含む。)においては,紛争の一回的解決を実現させた趣旨に,最も良く合致するものというべきである。 (2) 事実認定---本件審判請求に至るまでの経緯ア前審判について前審判における,商標法4条1項10号該当性に係る被告の主張は,第2,2(2)のとおりである。 要するに,被告は,前審判引用商標は,本件商標登録の出願時には,被告がゴルフクラブに使用する商標として,日本国内の取引者・需要者に広く認識されており, その状態は本件商標の登録査定時においても継続していること,本件商標は前審判引用商標と類似していること,本件商標の指定商品は前審判引用商標が使用されているゴルフクラブと類似していることを主張した。そして,前審判引用商標の周知性を裏付ける主要な事情として,①平 商標は前審判引用商標と類似していること,本件商標の指定商品は前審判引用商標が使用されているゴルフクラブと類似していることを主張した。そして,前審判引用商標の周知性を裏付ける主要な事情として,①平成13年頃から,前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブ等のゴルフ用品の紹介記事がゴルフ関連の著名な専門誌等に掲載された,②前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブは,雑誌「月刊ゴルフ用品界」において,ウッドベスト5に常連としてランクインした,③前審判引用商標を付した被告ゴルフクラブは172名ものプロゴルファーに愛用され,「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の優勝者や上位入賞者にも愛用された,④被告とカムイ社は「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の協賛企業であり,雑誌にオフィシャルスポンサーとして紹介され,当該記事に前審判引用商標が付された被告ゴルフクラブが掲載された,⑤前審判引用商標が付された被告ゴルフクラブは,平成13年から平成14年にかけて年間1万本以上が販売され,その後販売数は減少したが,多くのゴルフクラブが販売され,その年間販売金額は平成13年,平成14年で10億円以上,その後も数億円に上り,上記販売実績は,「2009年版ゴルフ産業白書」にウッドクラブの国内出荷金額上位24社に掲載されている他社より上回った等の事実関係を主張し,これらを立証すべく証拠を提出した。 これに対し,特許庁は,平成22年4月30日,請求不成立の審決(前審決)をし,同審決は同年6月10日確定した。 イ本件審判について本件審判における,商標法4条1項10号該当性に係る被告の主張は,第2,3(2)のとおりである。 要するに,被告は,「KAMUI」単体商標は,ゴルフ用品の需要者間に広く知られていたと主張し,「KAMUI」単体商標の周知性を裏 項10号該当性に係る被告の主張は,第2,3(2)のとおりである。 要するに,被告は,「KAMUI」単体商標は,ゴルフ用品の需要者間に広く知られていたと主張し,「KAMUI」単体商標の周知性を裏付ける主要な事情として,①「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブの紹介記事が雑誌等に掲載された,②被告は,雑誌「ゴルフ用品界」に定期的に広告を出し,また,同雑誌に おいて,「KAMUI」単体商標等を付した被告ゴルフクラブがウッドベスト5に常連としてランクインしていた,③被告ゴルフクラブは多数のプロゴルファーに使用されていた,④被告は「ゴルフダイジェストドラコン日本選手権」の協賛企業であり,パンフレット等に協賛会社として記載され,「K∧MUI+くさび図形」商標が広告宣伝された,⑤被告ゴルフクラブの売上本数は,平成13年及び平成14年には年間1万本を超え,それ以降も売れ行きは好調であり,被告ゴルフクラブの販売会社であるカムイ社の平成15年度から平成18年度の売上げは,年間約1億2000万円から約2億円であったことを主張し,これを立証すべく証拠を提出した。 (3) 判断ア同一事実について本件商標が商標法4条1項10号に該当するとの事項についての被告の主張事実は,被告が使用する商標は,本件商標登録の出願時には,被告がゴルフクラブに使用する商標として,日本国内の取引者・需要者に広く認識されており,その状態は本件商標の登録査定時においても継続していること,本件商標は被告が使用する商標と類似すること,本件商標の指定商品は被告の商標が使用されているゴルフクラブと類似することであり,その主張事実は,前審判及び本件審判において同一であると評価できる。 なお,本件審判では,周知であるとの被告の主張に係る商標が,以下の①ないし 標が使用されているゴルフクラブと類似することであり,その主張事実は,前審判及び本件審判において同一であると評価できる。 なお,本件審判では,周知であるとの被告の主張に係る商標が,以下の①ないし③のいずれであるか必ずしも明確ではない。 ①「KAMUI」単体商標のみ②「KAMUI」単体商標及び「K∧MUI+くさび図形」商標③①又は②に「KAMUIPRO」,「TYPHOONPRO」及び「KAMUITYPHOONPRO」の各文字からなる商標を含むしかし,本件審判において被告が周知であると主張する商標が上記のいずれであっても,それらは,前審判において判断の対象とした商標に含まれるというべきである。すなわち, ①「KAMUI」単体商標は,前審判における別紙前審判引用商標目録1,2及び4記載の商標に含まれる。 ②「K∧MUI+くさび図形」商標は,前審判における別紙前審判引用商標目録4記載の商標に図形を付加した商標である。 ③「KAMUIPRO」及び「KAMUITYPHOONPRO」の各文字からなる商標について原告が周知であると主張する部分は,いずれも「KAMUI」部分であると合理的に解される(「TYPHOONPRO」の文字からなる商標は,本件審決の判断の当否に直接関連するものではない。)。 以上によれば,前審判と本件審判とでは,被告が周知性を有すると主張する被告使用の商標は,互いに同一と評価できる。 (なお,本件審決は,前審判における無効理由が商標法4条1項10号及び19号該当性であるのに対して,本件審判における無効理由が同項7号又は10号該当性であるから,前審判と本件審判とは「同一の事実」に基づく審判請求ではないと判断する。しかし,同項10号所定の無効理由の存否について判断した審決が確定した後 における無効理由が同項7号又は10号該当性であるから,前審判と本件審判とは「同一の事実」に基づく審判請求ではないと判断する。しかし,同項10号所定の無効理由の存否について判断した審決が確定した後に,それと異なる無効理由を追加さえすれば,同項10号所定の無効理由の存否について判断した審決の確定効がなくなると解する審決の判断が,誤った理解に基づくことは明らかである。)イ同一証拠について前記のとおり,前審判と本件審判とでは,被告が使用する商標の周知性を裏付ける主張事実は,ほとんど同一であり,周知性を立証するための証拠は,そのほとんどが同一である。 なお,本件審判では,前審判とは異なり,「被告の2000年版商品カタログ」(甲10),「カムイ社の出荷明細」(甲11-1-1ないし11-1-9),「カムイ社の平成15年度ないし平成18年度の決算報告書」(甲11-2ないし11-5),「使用プロ一覧表」(甲11-31)が,証拠として提出されている。そこで,上記各証拠の性質につき,念のため検討する(なお,本件審判で新たに提出された上記以外 の証拠は,商標法4条1項10号該当性に関連するものではない。)。 (ア) 「被告の2000年版商品カタログ」(甲10)前審判において,被告は,他のカタログ(甲53,54)を提出したが,前審決において,提出に係る当該カタログは作成年月日が確認できないとされたことから(甲112),本件審判において,作成年月日の確認ができるカタログを提出したと解される。 (イ) 「カムイ社の出荷明細及び決算報告書」(甲11-1-1ないし11-1-9,11-2ないし11-5)前審判において,被告は,カムイ社が販売した被告ゴルフクラブの本数の表(甲11-1)を提出したが,前審決において,販売数の裏付けが 」(甲11-1-1ないし11-1-9,11-2ないし11-5)前審判において,被告は,カムイ社が販売した被告ゴルフクラブの本数の表(甲11-1)を提出したが,前審決において,販売数の裏付けがないことなどから同表に記載された本数が採用されなかったため,本件審判において,同表の信憑性を裏付けるために提出された証拠と解される。 (ウ) 「使用プロ一覧表」(甲11-31)前審判において,被告は,使用プロ一覧表(甲40)を提出したが,本件審判において,その形式を変更し,被告ゴルフクラブを使用するプロゴルファーの氏名等を追加記載したものを証拠として提出したと解される。 上記によれば,本件審判で提出された上記各証拠は,前審決における被告の主張を排斥した判断に対し,同判断を蒸し返す趣旨で提出された証拠の範囲を超えるものではない。 ウ小括以上によると,前審判と本件審判とでは,商標法4条1項10号違反の根拠として主張されている事実において同一であり,また,これを立証するために提出された証拠も実質的に同一であると評価できる。 したがって,本件審判における本件商標が同項10号に該当することを理由とする無効審判請求は,前審決の確定効に反するものとして許されないというべきである。本件商標が同項10号に該当するとして本件商標登録が無効であるとした本件 審決には,上記の点における誤りがある。 なお,被告は,本件商標が同項7号に該当しないとした審決の判断に対して誤りがある旨を指摘する。しかし,この点については取消事由とされておらず,判断しない。 2 結論以上によると,原告主張の取消事由1には理由があり,その余の点を判断するまでもなく,審決にはその結論に影響を及ぼす誤りがある。よって,審決を取り消すこととして,主文のとお 断しない。 主文 以上によると,原告主張の取消事由1には理由があり,その余の点を判断するまでもなく,審決にはその結論に影響を及ぼす誤りがある。よって,審決を取り消すこととして,主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官小田真治 別紙前審判引用商標目録

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