平成27(ワ)6459 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年3月23日 大阪地方裁判所
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平成29年3月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成27年(ワ)第6459号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成29年1月23日判決原告山野商事株式会社同訴訟代理人弁護士河島眞一被告株式会社エムジェイディーバ同訴訟代理人弁護士吉野誉文 主文 1 被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成28年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1889万1757円及びうち94万1757円に対する平成27年7月10日から,うち1795万円に対する平成28年3月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求の要旨本件は,原告が,被告に対し,以下の各請求をした事案である。 (1) 原告は,被告が,フィットネスプログラム「Ritmix」に関するウェアを共同して製造販売すること等についての原告との包括的な業務提携契約等の合意を一 方的に破棄し,取引を終了させたことにより,損害を被ったとして,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,Ritmix のDVD撮影に要した費用である87万1640円の賠償金及びこれに対する平成27年7月10日(訴状送達の日の翌日)から り,損害を被ったとして,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,Ritmix のDVD撮影に要した費用である87万1640円の賠償金及びこれに対する平成27年7月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (2) 原告は,被告との間で,Ritmix のDVD撮影に採用されたウェアを販売し,その売上げを折半する旨の契約を締結したところ,被告が上記ウェアの類似品を販売したと主張し,同契約の履行請求権に基づき,販売額の半額である1万4400円及びこれに対する平成27年7月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (3) 原告は,被告との間で,原告がイベントの際に被告のウェアを販売し,被告が原告に対して販売額の35%に相当する手数料を支払う旨の販売委託契約を締結し,その上で,原告がウェアを販売したと主張し,同契約の履行請求権に基づき,販売額の35%に相当する5万5717円及びこれに対する平成27年7月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (4) 原告は,Ritmix のマスタートレーナーのパブリシティ権について独占的な利用許諾を受けるなどしているところ,被告が原告との取引終了後も上記トレーナーの画像をホームページ等に掲載し,上記パブリシティ権を侵害し,原告に固有の損害を被らせた旨主張し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,平成27年3月25日から平成28年3月17日までに生じた損害額である1795万円の賠償金及びこれに対する不法行為の最終日である平成28年3月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 2 前提事実(当 7日までに生じた損害額である1795万円の賠償金及びこれに対する不法行為の最終日である平成28年3月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠により明らかに認められる。)(1) 原告は,フィットネスプログラム「Ritmix」を中国,台湾地域で運営する株式会社であり,原告代表者の配偶者であるP1は,同地域を担当するRitmix のマスタートレーナーである。 被告は,フィットネス関係の衣料品を製造販売する株式会社である。 (2) 原告代表者及び被告代表者は,平成26年12月以降,フィットネスウェアを共同して製造販売することになどについて協議した。 被告は,P1の写真撮影を行うなどし,被告のウェアを着用したP1の画像をホームページ等に掲載した。 また,平成27年2月,アルゼンチンにおいて,P1等が出演してRitmix のDVD撮影が行われ,その際,出演者が着用するウェアとして,被告が原告と協議して新規に製作したTシャツ及び被告の既製品であるズボンが採用された。 その後,被告は,原告に対し,同年3月25日付け「御通知」と題する書面(甲6。以下「本件通知」という。)を送付し,原告との協議及び取引を終了し,全ての契約締結を見送る旨を伝えた。 (3) 被告は,その後も,被告のウェアを着用したP1の画像をホームページ等に掲載した。 3 争点(1) 前記1(1)の請求ついて(争点1)ア被告は,原告との間の包括的な業務提携契約等の合意を一方的に破棄したとして,債務不履行責任を負うかイ損害額(2) 前記1(2)の請求について(争点2)ア被告は,原告との間で,Ritmix のDVD撮影に採用されたウェアを販売し,そ 方的に破棄したとして,債務不履行責任を負うかイ損害額(2) 前記1(2)の請求について(争点2)ア被告は,原告との間で,Ritmix のDVD撮影に採用されたウェアを販売し,その売上げを折半する旨の契約を締結したかイ販売額の半額に相当する金額(3) 前記1(3)の請求について(争点3)ア被告は,原告との間で,イベントの際に被告のウェアの販売を原告に委託し,原告に販売手数料を支払う旨の契約を締結したかイ販売手数料の金額 (4) 前記1(4)の請求について(争点4)ア被告は,原告との取引終了後もP1の画像をホームページに掲載してP1のパブリシティ権を侵害し,原告に固有の損害を被らせたとして,不法行為責任を負うかイ損害額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(包括的な業務提携契約等の合意を一方的に破棄したことによる債務不履行責任の有無及び損害額)について【原告の主張】(1) 原被告間に業務提携契約及び各個別契約が成立していたことア包括的な業務提携契約の成立原告代表者及びP1は,平成26年12月4日,被告代表者及び被告の広告モデル(ライダー)であるP2と面会し,Ritmix について説明し,ウェアのコラボレーション(共同製作)や,P1を広告モデルとして採用する旨の契約(以下「ライダー契約」という。)を含め,業務提携先を探している旨申し向けた。そして,原告代表者は,同月中旬にRitmix のアップデートのために台湾に行く際に,被告の衣服を着用してみたい旨申し向け,被告代表者は,ズボン及びTシャツ3ないし5着を交付した。また,原告代表者は,原告代表者やP1が何度も台湾との間で往復し,台湾人の弟子,スタッフを活用することで被告の商品を台湾の一般客に 旨申し向け,被告代表者は,ズボン及びTシャツ3ないし5着を交付した。また,原告代表者は,原告代表者やP1が何度も台湾との間で往復し,台湾人の弟子,スタッフを活用することで被告の商品を台湾の一般客に販売することが可能である旨伝えたところ,被告代表者も乗り気になった。 このようにして,原被告間で,①原告がP1を介して被告の商品を広告宣伝すること,②被告がRitmix のコラボウェアを製作するとともに,P1の肖像を利用すること,③今後の具体的企画,日本国内ないし台湾での被告の商品の販売委託等やその詳細については順次相互に協議し誠実に遂行することを中核とした,包括的な業務提携契約が成立した。 イコラボ契約の成立 原告代表者らは,台湾からの帰国後である平成26年12月27日,被告代表者らと面会をし,台湾でのテストの結果報告を行い,平成27年2月にRitmix のDVD撮影がアルゼンチンで行われる旨を伝えた。 ここで,原被告間で,①被告がRitmix のDVD撮影用の衣装を製作し,②原告はP1をして同DVDへの出演を成功させる旨の個別契約が成立した。その際,原告は,被告に対し,ズボンを含めた衣装の製作を依頼し,ズボンの製作もコラボの対象に含まれていた。また,出演者分の衣装代が被告の負担,交渉のための原告代表者及び通訳人費用等が原告の負担であることについては,当然の前提とされていた。 ウコラボ商品(共同製作による商品)の販売に関する契約の成立DVD撮影用の衣装の製作依頼の際,原告代表者は,被告に対し,RMのロゴが付いている商品について,日本国内で販売すると他社の商標権を侵害することになり,台湾で販売する場合には原告に商標権があり,本国に10%のロイヤリティが発生する旨説明し,RMのロゴがなければ,他社の商標権を侵 る商品について,日本国内で販売すると他社の商標権を侵害することになり,台湾で販売する場合には原告に商標権があり,本国に10%のロイヤリティが発生する旨説明し,RMのロゴがなければ,他社の商標権を侵害することにはならない旨説明した。その上で,原告は,RMのロゴを外した商品を日本国内で販売する場合にはDVD採用モデルとして販売すること及びその場合には売上げも費用も折半とすることを提案し,被告の了承を得た。 これにより,ズボンを含めたDVD採用モデルのうち,商標登録されたRMのロゴの有無やウェア上下の別を問わず,RMのロゴのない商品については,DVD採用モデルとして販売することとし,その場合は売上げも費用も折半とする契約が成立した。 エ台湾での商品販売委託契約の成立原告と被告は,上記アの包括的な業務提携契約に基づき,被告の商品につき,原告を介して台湾で販売する旨の契約を締結した。 これに基づき,被告は,平成25年1月初旬,被告作成に係る「商品販売委託基本契約書」(甲25)を,原告に交付し,被告の商品を広告宣伝の上で販売するよう依頼した。 また,原告は,被告と協議の上,同月中旬,海外仕様に変更して具体的手続等を規定した「商品販売委託契約書」(甲26)を被告に交付し,海外での販売について具体的に協議を継続していた。 したがって,原被告間では,双方の署名待ちの段階であって,原被告間では,既に口頭では台湾での商品販売委託契約が締結されていた。 そして,同契約を前提にした場合,日常的に被告の商品を宣伝し,消費者から受注を受けるのは,原告に所属する台湾在住の台湾人インストラクターということになり,被告は,原告との間で,台湾人インストラクターとのライダー契約についても,合意していたことになる。 オ P1に関す 受けるのは,原告に所属する台湾在住の台湾人インストラクターということになり,被告は,原告との間で,台湾人インストラクターとのライダー契約についても,合意していたことになる。 オ P1に関するライダー契約の成立被告は,平成27年1月19日,「MJDIVAアドバイザリースタッフ(ライダー)契約書」(甲21)を原告に送付し,月額6万円までは,被告が原告に対して商品を無償で提供し,これを超える範囲については原告が被告から50%引きで商品を買い取るという条件を申し入れた。これに対し,原告は,上記の内容が被告に都合の良いものであり,再協議が必要であると考えたが,同月25日のイベントに関する打合せ等が未了であったため,ライダー契約の内容に関し,具体的な交渉を進めることができなかった。 しかし,原告及び被告は,少なくとも,P1が被告の商品の広告宣伝活動をし,被告がP1に商品を一定数無償交付し,原告がP1の画像の使用を被告に許諾するという範囲では合意しており,その範囲では,原被告間で,P1に関するライダー契約が成立していた。そして,被告は,ライダー契約に基づき,P1が被告の商品を着用している姿等の写真を撮影し,同写真を,インターネット販売サイトやフェイスブック等に掲示した。すなわち,P1に関するライダー契約について,合意に至っていなかったのは,被告から原告に対する現金報酬の有無及びその額のみであり,それ以外の部分については合意済みで,既に履行されていた。 カ NASのイベントにおいて被告の商品を販売する契約の成立 平成27年1月25日にフィットネスクラブ「NAS」大阪ドームシティ店において台湾人のインストラクター数名を招聘したフィットネスイベントを開催する予定であった。 その際,被告から協賛したい旨の申出を受け,原告と 5日にフィットネスクラブ「NAS」大阪ドームシティ店において台湾人のインストラクター数名を招聘したフィットネスイベントを開催する予定であった。 その際,被告から協賛したい旨の申出を受け,原告と被告は,原告が同イベントを利用して被告の商品を販売することとし,P1が参加予定者から購入の予約を募ってイベント時に注文品を配布し,原告が代金を回収して後に被告に支払う旨合意した。 この販売委託における原告の販売手数料は,台湾での商品の販売委託契約と同様に,販売価格の35%とされた。 原告は,参加者から注文を募って被告に発注し,イベント当日に,注文者に配布した上,代金を集金の上,被告にこれを交付した。 (2) 被告による本件通知に合理的理由がないことア被告がズボンを新規製作しなかったこと平成27年2月のアルゼンチンにおけるDVD撮影に際してP1の参加が予定され,原告と被告は,コラボ商品がDVDのウェアとして採用され,講師全員が着用して出演することを目標とし,開発を進めた。また,コラボ商品については,ウェア上下セットで開発すること,将来に上下とも一般向けに販売すること,その際の原価も売上げも折半とすること,ただし,Ritmix のロゴの入った商品についてはアルゼンチン本国で売上げの10%分のロイヤリティが発生するため,売上げからロイヤリティを先に控除することとされていた。 原告は,Ritmix の創始者であるP3と,交渉を重ね,P1が撮影時に持参するTシャツ,ズボンを出演するインストラクター全員がDVD全編にわたって着用する旨の内定が得られた。P3から,出演予定者全員の服のサイズが伝えられ,さらに被告代表者にも伝えられた。 この間,Tシャツのデザイン画については比較的に早い段階で数種が提案され,その後の変更を経て 旨の内定が得られた。P3から,出演予定者全員の服のサイズが伝えられ,さらに被告代表者にも伝えられた。 この間,Tシャツのデザイン画については比較的に早い段階で数種が提案され,その後の変更を経て,2種のデザインが決定された。 他方で,ズボンについては,原告代表者が催促をしても,被告からデザインの提示等はなく,新規の製作では撮影までに間に合わず,被告の既製服を利用するほかなくなった。これらコラボウェア一式が原告の元に届いたのは,原告が日本を発つ4日前であった。 イ被告が台湾人のライダー契約の約束を反故にしたこと原告及び被告は,口頭により,台湾人インストラクターとライダー契約を締結することについても合意していた。 平成27年1月24日,台湾人インストラクター3名が来日し,被告代表者との顔合わせが行われた。しかし,被告は,突然,同人らに関し,ライダー契約を締結しない旨通知し,さらに,原告に対し,原告を通じた台湾での販売の委託に関する協議を打ち切る旨通知した。 ウ被告が一方的にコラボ商品の販売開始を通知したことP1は,平成27年2月27日,被告代表者及びP2に対し,LINEで,帰国の報告と打合せをしたい旨申し向けた。これに対し,P2は,P1に対し,上記(1)ウの合意に反し,コラボ商品のTシャツにつき,RMのロゴを外したものを,自社オリジナル商品として販売を開始する旨通知した。 エ被告による本件通知に合理的理由がないこと被告は,原告に対し,平成27年3月26日,取引を解消してDVD撮影に使ったウェア上下を販売しないこと,ライダー契約を解消すること等を通知した。 被告は,これまでの各個別契約にもかかわらず,①台湾人インストラクターとのライダー契約をとりやめて原告を通じた台湾での販売委託を反 ア上下を販売しないこと,ライダー契約を解消すること等を通知した。 被告は,これまでの各個別契約にもかかわらず,①台湾人インストラクターとのライダー契約をとりやめて原告を通じた台湾での販売委託を反故にし(上記イ),上記イベントで原告が行った委託販売分の35%の手数料を支払っていない。また,被告は,②P1に関するライダー契約についても,その内容を被告に一方的に有利なものとした。さらに,③DVD撮影用のウェアについても,ズボンの作成が間に合わなかった(上記ア)。 これに加え,被告は,同年2月27日のLINEで,従前の合意に反して自社の 販売を開始する旨を一方的に通知した(上記ウ)。 原告は,被告から事前の約束に反する一方的な販売開始通知を送られ,原告代表者は,被告代表者に対して,電話で抗議した際に,従前に積もり積もったものが爆発し,声を荒げたが,その原因は被告側にあり,この点を度外視した被告の取引解消通知には,合理的理由がない。 被告代表者は同年3月2日未明にお詫びのメールを送信し,これを受けて,原告代表者も,同月12日に,面会の上で協議を継続することを希望するメールを送信した。したがって,被告による本件通知は,原告の電話の内容とは無関係であり,合理的理由がない。 (3) 被告の責任原告及び被告は,包括的な業務提携契約の内容として,内容未確定な企画について,誠実に協議し遂行する義務を負っていた。 上記のとおり,原告は,被告とのコラボレーション企画を成功させるべく,Ritmixの創始者と協議を重ね,コラボ商品をDVDに採用させることに成功するとともに,P1のフェイスブック等を通じてコラボレーション企画の宣伝を行うなど,多大な費用と労力を重ねてきた。それにもかかわらず,被告は,コラボ商品としてズボンを新規製作せず,台湾人 ことに成功するとともに,P1のフェイスブック等を通じてコラボレーション企画の宣伝を行うなど,多大な費用と労力を重ねてきた。それにもかかわらず,被告は,コラボ商品としてズボンを新規製作せず,台湾人インストラクターとのライダー契約を締結せず,原告による商品販売の委託を理由なく中止し,コラボ商品の販売条件を無視し自社商品として販売しようとするなどした上,突然に,合理的な理由なく業務提携契約の解除を通知し,原告との合意を一方的に破棄した。 したがって,被告は,原告に対し,債務不履行による損害賠償責任を負う。 (4) 損害額従来,原告代表者はRitmix のDVD撮影に同行していなかったが,コラボ商品の採用交渉があったため,原告代表者及びスペイン語の通訳者が同行することとなった。両名について生じた渡航費,宿泊費,通訳報酬は,コラボ商品の採用交渉がなければ支出する必要がなかったものである。 したがって,原告は,撮影実費である87万1640円の損害を被った。 【被告の主張】平成27年2月にアルゼンチンにおけるDVD撮影に際し,P1が参加することが予定されていたこと,アルゼンチンにおいてDVD撮影が行われ,その際に被告が製作したTシャツ,ズボンが着用されたことは認め,その余は否認ないし争う。 (1) コラボ商品の製作及びP1のライダー契約等に関する協議についてア被告代表者及びP2は,平成26年12月4日に原告代表者及びP1と初めて会い,Ritmix の説明を受け,Ritmix がアルゼンチンに本部を置き,人気があるダンスであり,P1がRitmix のマスタートレーナーとして台湾,韓国,中国で活躍する人気のインストラクターであること,平成27年2月にインストラクター向けのDVDの撮影があり,その撮影におい るダンスであり,P1がRitmix のマスタートレーナーとして台湾,韓国,中国で活躍する人気のインストラクターであること,平成27年2月にインストラクター向けのDVDの撮影があり,その撮影において,コラボ商品を作り,P1を含むダンサーに着用させれば,被告の知名度が上がり,被告の商品を台湾や韓国で売れば売上げが伸びると考えられることを説明された。 また,P1がDVDに出演し,P3の許可が得られることを前提として,被告代表者は,原告代表者から,DVD撮影の際に,P1らが着用するためのコラボ商品の製作や,P1についてのライダー契約の締結を提案された。これに対し,被告代表者は,原告代表者に対し,コラボ商品の製作について,できる範囲において協力する旨回答し,DVD撮影用のコラボ商品を作ることになった。その結果,原被告間で,被告が原告に対してDVD用の商品を納品,提供する旨の合意が成立した。 イライダー契約については,継続して協議を進めることとなり,協賛品として,P1に対し,試験的に複数の商品を提供した。 また,被告は,平成27年初めに新商品の販売を予定していたため,平成26年12月27日,P1に対し,商品宣伝用の撮影に参加しないか尋ねたところ,P1の快諾を受け,平成27年1月8日に撮影が行われ,その際,被告は,P1から撮影による画像の使用を許可された。被告代表者は,原告代表者に対し,同月19日にライダー契約の契約書案を送付したところ,同月21日に修正を求められ,他社 のブランドを自由に着てもよいこととし,撮影モデルとなる義務を負わないこととする内容を再提案したが,契約締結に至らなかった。 このように,被告はP1との間で商品宣伝の撮影について合意し,撮影を行ったにすぎず,ライダー契約を締結してはいない。 ウ被告は,台湾等へ大 とする内容を再提案したが,契約締結に至らなかった。 このように,被告はP1との間で商品宣伝の撮影について合意し,撮影を行ったにすぎず,ライダー契約を締結してはいない。 ウ被告は,台湾等へ大量に商品を販売する積極的な意図がなく,台湾用の商品を用意できない状態でもあったため,被告は台湾等で商品を販売する旨の提案には応じなかった。商品販売委託契約書は,仮に契約を締結する場合の形式を示したものにすぎない。 (2) コラボ商品の内容について被告は,平成26年12月27日,原告との間で,コラボ商品を生産するに当たり,Tシャツの数量,デザイン,男女比率及びスケジュール等を協議した。原告代表者は,被告代表者に対し,平成27年1月末頃,RMのロゴを外したデザインも作った方が被告が単独で売れて良いのではないかと提案し,RMのロゴを外したものは,コラボ商品とせずに被告単独モデルとすることが確認された。 被告は,原告から,Ritmix が商標登録している特定のデザインのRMのロゴを使えないとの説明を受けたが,原告に同ロゴを使用する台湾での権利があること及び本国に10%のロイヤリティが発生するとの説明は受けていない。また,被告は,商標登録されていないデザインでRMのロゴを付けた場合には,Ritmix の商標権を侵害することがないとの説明を受けた。そのため,商標登録されていないデザインのRMのロゴを付けた商品をDVD撮影用モデルとすること,DVDの反応によって,商品を販売するか決めることが話し合われた。 その後,2種類のデザインが決定し,被告は,Tシャツを製造した。他方で,ズボンについては,打合せの時から特段の話はなく,工場側の日程が間に合わなかった。そこで,被告は,原告に事情を説明した上で,別の企画で生産予定であったズボンをDVD用の協賛 ャツを製造した。他方で,ズボンについては,打合せの時から特段の話はなく,工場側の日程が間に合わなかった。そこで,被告は,原告に事情を説明した上で,別の企画で生産予定であったズボンをDVD用の協賛品として納品し,コラボ商品ではないため,ロゴやプリント等を入れなかった。被告は,期日に間に合うように,Tシャツ及びズボンを納品し, 原告も納得し納品を受け入れ,被告は,これらの商品の納品をもってDVD撮影に関する業務を終えた。 このように,コラボ商品はRMのロゴの入った2種類のTシャツのみであり,ズボンはコラボ商品ではない。 (3) NASでのイベントに伴う協議について被告代表者は,平成26年12月27日の打合せの際,台湾のインストラクターが平成27年1月下旬にNASでのイベントにおいて商品を提供するよう依頼を受け,台湾人インストラクターとのライダー契約についても検討して欲しい旨伝えられた。 これに対し,被告は,P1らに対しイベント用のウェアを提供することのみ約束した。また,被告は,P1から,購入希望者に被告の商品を販売したいとの申出を受け,販売手数料等を支払えないことを確認した上で,P1を通じて定価の1000円引で販売することに応じたにすぎず,被告から原告に販売を委託したことはない。 そして,被告は,イベントのために来日した3名の台湾人インストラクターとライダー契約について話をしたが,被告の商品に対する要望が多く,要望を受け入れることができない旨伝えた。 イベント後に撮影が行われ,平成27年1月30日,P1から画像を掲載してよい旨伝えられ,被告は,この提案を断ることができず,画像を掲載した。 (4) 本件通知の経緯について被告代表者は,平成27年2月27日,原告代表者との間で,電話で,Tシャツの販売展 載してよい旨伝えられ,被告は,この提案を断ることができず,画像を掲載した。 (4) 本件通知の経緯について被告代表者は,平成27年2月27日,原告代表者との間で,電話で,Tシャツの販売展開について協議をした際,RMのロゴが付いていない予備のTシャツを販売したい旨を伝えたところ,被告の今後の計画が意向に沿わなかったためか,原告代表者は,突如として激高し,被告代表者に対し,大声で威嚇し脅迫した。 被告代表者は,原告代表者の言動に恐怖を感じ,今後の取引関係を維持することは不可能であると判断し,本件通知を送付し,協議を終了させた。 したがって,当事者間の協議が終了した原因は,原告代表者の通常の交渉を越えた発言態度等にあり,被告が責められる事情はない。 (5) 撮影実費について平成26年12月29日の時点で,被告が提供する衣装が採用されることが内定していた。また,原告代表者が現地で交渉すべき必要はなく,P1のみでも対応が可能であり,電話で採用の確認をすることもできた。 したがって,原告の主張する撮影実費は不要な出費であり,因果関係が認められない。 2 争点2(DVD撮影に採用されたウェアを販売し,売上げを折半する旨の契約の成否及び販売額の半額に相当する金額)について【原告の主張】前記1【原告の主張】(1)ウのとおり,原告は,被告との間で,DVD撮影に採用されたウェアを販売し,売上げを折半する旨の契約を締結した。 被告は,本件通知の直前に,デパートの催事等で,コラボ商品の類似品を販売した。 コラボ商品の販売については,売上げを原被告間で折半することとされていたから,被告は,原告に対し,コラボ契約に基づき販売額の半額を支払う義務がある。 類似品の販売額は2万8800円であるから,原告は, ボ商品の販売については,売上げを原被告間で折半することとされていたから,被告は,原告に対し,コラボ契約に基づき販売額の半額を支払う義務がある。 類似品の販売額は2万8800円であるから,原告は,被告に対し,上記の契約に基づき,その半額である1万4400円の支払を求める。 【被告の主張】被告は,原告との間で,売上げを折半する旨合意しておらず,RMのロゴが付いていないものはコラボ商品としない旨合意した。ズボンは,具体的なデザイン等の打合せがなされておらず,DVD用の商品として提供されたにすぎず,RMのロゴも付いておらず,コラボ商品ではない。 また,DVD用のズボンと被告がデパートで販売していた商品は,デザイン,型紙及び縫製自体が異なり,類似していない。 具体的には,販売商品にはMJDIVAのロゴが付いているが,DVD用のズボンには同ロゴが付いていない。また,販売商品については,迷彩柄に白生地のリブが付けられているが,DVD用のズボンには付けられておらず,単に迷彩柄にアクセント生地が右方に付けられているだけである。さらに,販売商品については,リブが灰色の別生地が使われているが,DVD用のズボンは迷彩柄のアクセント生地が使われている。そして,販売商品の前面のメイン色はオレンジであるが,DVD用のズボンは灰色であり,色合いも異なる。 3 争点3(イベントの際の販売委託契約の成否及び販売手数料の金額)について【原告の主張】前記1【原告の主張】(1)カのとおり,原告は,被告との間で,NASでのイベントの際に販売委託契約を締結した。 その後,原告は,参加者から注文を募って被告に発注し,イベント当日に,注文者に配布した上,代金を集金の上,被告にこれを交付した。 具体的には,原告は,NASのイベントにお 委託契約を締結した。 その後,原告は,参加者から注文を募って被告に発注し,イベント当日に,注文者に配布した上,代金を集金の上,被告にこれを交付した。 具体的には,原告は,NASのイベントにおいて,参加者に対し,被告のTシャツ(販売価格4320円)を17枚,被告のパンツ(販売価格6264円)を3枚販売し,9万2232円(Tシャツ7万3440円,パンツ1万8792円)の売上げを得た。また,原告は,イベント終了後に,参加者に対し,Tシャツ13枚,パンツ1枚を販売し,その販売合計額は,6万6960円(Tシャツ5万6160円,パンツ1万0800円)であった。 したがって,原告がNASのイベントに関連して販売した被告の商品の売上げ総額は,15万9192円であり,原告は,被告に対し,上記の合意に基づいて,その35%である5万5717円の販売委託手数料の支払を求める。 【被告の主張】被告は,P1に頼まれて商品を提供したにすぎず,原告との間で,NASのイベントにおいて販売手数料を支払うとの合意をしていない。 4 争点4(P1の画像の掲載による不法行為の成否及び損害額)について【原告の主張】(1) P1の画像の掲載による不法行為の成立被告は,原告に対して,平成27年3月25日に今後の取引を停止する旨の本件通知を送付したことにより,P1の画像を保有して使用する権限を失い,同日以降,保有,使用していた画像を削除する義務を負うところ,少なくとも平成28年3月17日まで,楽天のみならず自社サイトやyahooにおいてもP1の画像を使用した。 このように,被告は,取引停止以降も,P1の宣材写真を長期間使用し,自ら画像の掲載を停止したと述べながら画像を掲載するなどして,本訴の提起以降も画像の削除を求められながらも の画像を使用した。 このように,被告は,取引停止以降も,P1の宣材写真を長期間使用し,自ら画像の掲載を停止したと述べながら画像を掲載するなどして,本訴の提起以降も画像の削除を求められながらも,画像の掲載を継続していた。被告の姿勢は,原告だけでなく,裁判所や被告代理人までも欺くものであり,極めて悪質である。したがって,被告の行為は,P1の肖像権及びパブリシティ権の侵害に当たる。 P1は,原告代表者の配偶者であり,P1は外国籍であることもあり,契約交渉等の難しい日本語を伴う対応が困難であることから,普段から,原告に自身の契約関係の処理を委ねているのみならず,その肖像権及びパブリシティ権を独占的に原告に譲渡ないし使用許諾をしており,原告も,P1の肖像等を利用した商品化ビジネスを展開しようとしていた。したがって,原告は,P1の肖像権等の侵害者に対し,原告固有の損害賠償請求権を有する。 (2) 損害額被告は,原被告間のコラボレーションの開始以降,P1の肖像写真を自社ホームページや通販サイト,フェイスブック等で掲示していたが,本件通知を送付してP1の肖像を利用する権限を失った平成27年3月25日以降も,平成28年3月17日まで,合計359日間にわたり,P1の肖像写真の掲示を継続した。 他方で,P1は,日本,台湾,中国等で活躍するフィットネスインストラクターである。実際に,同年9月25日に,台湾において,P1が出演したRitmix のイベ ントにおいても,わずか1日のイベントで50万円を売り上げるなど,P1の顧客誘因力は,相当に高い。そして,上記のイベントでの売上げから入場料収入を除いた売上げは16万円余りであり,NASのイベントでの被告の商品の販売額は16万円弱であり,その売上げ実績がほぼ同程度であって,P1には,同程 高い。そして,上記のイベントでの売上げから入場料収入を除いた売上げは16万円余りであり,NASのイベントでの被告の商品の販売額は16万円弱であり,その売上げ実績がほぼ同程度であって,P1には,同程度の顧客誘引力が常に備わっている。 したがって,上記期間中に,被告が原告の有するP1の肖像権及びパブリシティ権を継続的に侵害したことによる原告の損害は,1日当たり5万円を下らない。 そうすると,原告が被った損害の合計額は,1795万円である。 【被告の主張】(1) 肖像権は,個人の人格権に由来するものであり,原告の主張する肖像権及びパブリシティ権はP1に帰属するため,原告が肖像権及びパブリシティ権の侵害を主張すべき基礎を欠く。 (2) 被告は,平成26年12月下旬,商品販売用の写真撮影を行うに当たり,P1は同撮影に参加する旨回答した。そのため,被告は,平成27年1月8日,P1の参加の下,販売用写真の撮影を行い,商品販売用として同写真を掲載することとなった。被告は,撮影を行うに当たり,P1に対し報酬等が発生しないことを説明し,P1は写真がインターネット上に掲載されることも了解した。また,被告は,同月下旬頃,P1及び台湾インストラクターと撮影を行った。その際,P1から,同月30日,LINEで,写真を使用しても問題がない等のメッセージが送られた。 このような経緯により,被告は,P1から画像を掲示することについて使用期間の定めのない承諾を得た上で,P1の画像を販売用画像として掲示し,P1の写真について,P1の同意の下,7点の商品に関するものを掲載したにすぎない。 (3) 被告は,平成27年2月27日の原告代表者の言動を受け,取引の継続が不可能であると判断し,同年3月11日頃には掲載した全ての商品の販売を停止した。また,被 るものを掲載したにすぎない。 (3) 被告は,平成27年2月27日の原告代表者の言動を受け,取引の継続が不可能であると判断し,同年3月11日頃には掲載した全ての商品の販売を停止した。また,被告は,P1が写っている画像を削除したり差し替えたりしたが,数枚の写真については,削除することができなかった。当該画像は,遅くとも同年10 月には表示されなくなり,肖像権の侵害は終了した。既に画像が流通していたため,完全に削除することは難しく,一部が残存しているにすぎない。そして,一度流通することに同意を与え,同意の下流通した画像について,完全に削除することが困難であることは明らかであり,そうであるにもかかわらず,被告が意図せずに画像が数枚程度残存したとしても,そのことでもって肖像権及びパブリシティ権の侵害に当たると評価することはできない。 加えて,上記の写真は,商品を紹介するために撮影されたものにすぎず,他のモデルと並んで没個性的に撮影され,P1の顧客吸引力を利用することを目的として撮影されたものでもない。被告は,同画像を商売目的であえて残存させたわけではなく,主観的にも客観的にも画像を顧客吸引のために使用していない。したがって,被告の行為は,違法性を欠く。さらに,当該画像は,主に日本の顧客を対象とし,台湾での人気を示すイベントに関する売上げとは無関係であり,日本における顧客吸引力があるとはいえない。P1の日本における認知度は不明であり,同人の画像が掲載されていたからといって,売上げが上昇した事実はない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,証拠(甲33,乙2,後掲のもの)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 (1) Ritmix の概要等ア Ritmix とは,アルゼンチンの 認定事実前提事実,証拠(甲33,乙2,後掲のもの)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 (1) Ritmix の概要等ア Ritmix とは,アルゼンチンのフィットネストレーナーであるP3が創設した,ダンス音楽に合わせて同一の振り付けでエアロビクス運動を行うフィットネスプログラムである。 Ritmix は,1国につき1名のマスタートレーナーが認定され,導入地域においては,マスタートレーナーが,Ritmix を一般のフィットネス愛好家に教授する講師(オフィシャルトレーナーと呼ばれる。以下,「インストラクター」ともいう。)を新たに育成する認定カリキュラムの開催と,既存のオフィシャルトレーナーに対するア ップデートを行う。アップデートに際しては,アルゼンチン本国で教材DVDが撮影されることとなっており,同DVDが全世界のオフィシャルトレーナーに配布されるとともに,マスタートレーナーが,同DVDに準拠したダンスの振り付けをオフィシャルトレーナーに直接教授することとされている。 イ原告代表者の配偶者であるP1は,平成24年11月,中国・台湾地域を担当するマスタートレーナーとして認定され,台湾においてオフィシャルトレーナー認定カリキュラム等を定期的に開講し,台湾のテレビ番組にも出演するなどしている(甲1の1,甲2の1,2の2)。平成27年2月のアップデート用DVDの収録に当たっては,P1が主役を担当することとなっており,そこで着用するウェアについてもP1が推薦権を有していた(原告代表者13,36ないし38頁)。 ウ原告代表者は,平成26年12月1日までに,「RITMIX」,「RM」等の台湾の商標権を取得し,「RITMOS」との中国の商標権を取得していた(甲43の1ないし43の4 ないし38頁)。 ウ原告代表者は,平成26年12月1日までに,「RITMIX」,「RM」等の台湾の商標権を取得し,「RITMOS」との中国の商標権を取得していた(甲43の1ないし43の4,原告代表者5頁)。 (2) DVD撮影に使用するウェアの共同製作に向けた協議ア原告は,Ritmix をモチーフとする事業を展開するに当たり,提携するアパレル業者を探しており,共同製作したウェアが平成27年2月にアルゼンチンで行われるRitmix のDVD撮影の際にインストラクターが着用するウェアに採用されれば,多大な宣伝効果があると考えていたところ,原告代表者及びP1と,被告代表者及び被告の広告モデル(ライダー)であるP2は,知人の紹介で,平成26年12月4日に面会した。その際,原告代表者らは被告代表者らに,Ritmix の内容や,P1がマスタートレーナーであることを説明し,フィットネスウェア等の商品の製造販売のために業務提携をすることや,P1とライダー契約を締結すること,平成27年2月にアルゼンチンで行われるRitmix のDVD撮影の際にインストラクターが着用するウェアを製作することについて話し合った。 (原告代表者2,3頁,被告代表者1,2,44頁)イこの協議を踏まえ,原告は,平成26年12月半ば,台湾において,オ フィシャルトレーナーに被告の商品を試着させて写真を撮影し,台湾からの帰国後の同月27日,被告に対し,LINEを通じて,インストラクターを撮影した画像を送信し,被告は,上記の画像を自社のフェイスブックに掲載した(甲12,13,原告代表者9,10頁)。 原告代表者と被告代表者は,同日,P1や他のインストラクターがDVDに出演する際に着用するTシャツ及びズボン2セットを協議して製作し,原告が クに掲載した(甲12,13,原告代表者9,10頁)。 原告代表者と被告代表者は,同日,P1や他のインストラクターがDVDに出演する際に着用するTシャツ及びズボン2セットを協議して製作し,原告がRitmixの創設者のP3に対して被告のウェアの採用を許可してもらえるよう交渉することを打ち合わせた。その際,原告代表者は,被告代表者に対し,中国,台湾において,RMのロゴ等の商標を登録している旨説明し,原告代表者と被告代表者は,DVD撮影で採用されたウェアを後に販売することについても協議した。これに対して被告は,被告の商品がDVD撮影で採用されれば被告の知名度が上がることから,悪い話ではないと考え,ウェアの提供に応じることとした。もっとも,被告としては,Tシャツは確実に製作できる見込みがあったのに対し,ズボンは製作する方向で打ち合わせたが,期間中に製作できるか不確定であった。(原告代表者3ないし6,25,26,33,34頁,被告代表者2,3,17ないし21,42,43頁)ウ P1及び原告代表者は,平成26年12月29日頃,P3から,P1を含む出演者が誰であるかや,出演者ごとのウェアのサイズを伝えられた(甲15)。 (3) P1に係るライダー契約に関する協議ア被告は約50名のフィットネス・インストラクターとの間で広告モデルとしてアドバイザリースタッフ(ライダー)契約を締結しており,そのうち約10名がRitmix 関係のインストラクターであった。また,被告のインストラクターをしていたP2は,マスタートレーナーとしてのP1のことを知っていた。(被告代表者6,16,38,41頁)。 イ被告は,平成27年1月8日,フォトスタジオにおいて,P1の写真を撮影し,撮影された画像を自社のフェイスブックに掲載した(甲14,乙1, っていた。(被告代表者6,16,38,41頁)。 イ被告は,平成27年1月8日,フォトスタジオにおいて,P1の写真を撮影し,撮影された画像を自社のフェイスブックに掲載した(甲14,乙1,原告代表者12頁,被告代表者26,27頁)。 ウ被告代表者は,原告代表者に対し,平成27年1月19日,被告のライダーに適用されている様式に基づいて作成した「MJDIVAアドバイザリースタッフ(ライダー)契約書」の案を送付した。被告側は,同契約書案において,P1は本来は条件に合致しないが,当初から特別枠としてランクが最高である「CLASS-S」を適用し(第5条),被告がP1に対して取扱商品を無償又は最大の割引率である50%引きで提供することとし(第6条),1か月間の無償提供の上限は通常販売価格で総額6万円程度とするなどした(第8条)。また,P1は,被告の契約アドバイザリースタッフとして,撮影,イベント等の際にできる限り被告の商品を着用するなどし,被告のブランドの知名度及びブランド力の向上に努めることとした(第9条)。 この契約書案について,原告代表者は,P1は,被告の商品を着用した宣伝広告をしなければならない一方,その報酬としては単なる商品の現物支給しかないこと等,原告の利益になるものではないと考えたため,それ以上,ライダー契約の協議は進まなかった。(甲20,21,原告代表者11頁,被告代表者6頁)(4) 被告の商品の販売委託契約等に関する協議ア原告代表者は,P1が育成した台湾のインストラクターが被告の商品をライダーとして着用して宣伝し,被告の商品を台湾に持ち込んで販売することを提案した(原告代表者7頁,被告代表者12,13頁)。 被告は,平成27年1月,原告の求めに応じて,「商品販売委託基本契約書」の ダーとして着用して宣伝し,被告の商品を台湾に持ち込んで販売することを提案した(原告代表者7頁,被告代表者12,13頁)。 被告は,平成27年1月,原告の求めに応じて,「商品販売委託基本契約書」の案(甲25)を原告に送付した。同契約書案においては,被告が原告に対して被告の取扱商品の販売を委託し(第1条),被告が販売価格を指定し,販売手数料を販売価格の35%とし(第4条),原告が毎月末日までの販売分から販売手数料を差し引いた額を翌月25日までに送金することとされていた(第10条)。(原告代表者7,8,44頁,被告代表者4,5頁)イこれに対し,原告は,海外での販売委託契約を想定して修正を加え,「商品販売委託契約書」の案(甲26)を作成し,被告に送付した。同契約書案におい ては,被告が原告に対して海外における被告の取扱商品の販売を委託し(第1条),販売価格を指定し(第3条),原告に対して販売手数料として,原告が顧客に対して販売した販売代金の35%を支払い(第5条),原告が,3か月ごとに,販売代金を日本円に換算した金額から送料及び販売手数料を相殺処理した残額を送金することとされていた(第7条)。 この契約書案に対して,被告代表者は検討したものの,回答するには至らなかった。(原告代表者8,9,44頁,被告代表者5頁)(5) NASでのイベントの際のやり取りア原告は,平成27年1月25日,フィットネスクラブ「NAS」大阪ドームシティ店において,P1が育成した台湾のインストラクター数名を招聘したダンスイベントの開催を企画していた。 イ原告代表者は,同月24日頃,同イベントのために来日した台湾人のインストラクターを被告代表者に引き合わせたところ,被告代表者は,サイズなど,被告が他のライダーとの間で締 を企画していた。 イ原告代表者は,同月24日頃,同イベントのために来日した台湾人のインストラクターを被告代表者に引き合わせたところ,被告代表者は,サイズなど,被告が他のライダーとの間で締結している契約の条件を超える内容の要望を受けたため,ライダー契約や販売委託契約の締結に応じられないとの意向を示した(原告代表者10頁,被告代表者24頁)。 ウ P1は,NASでのイベントに伴い,被告代表者に対し,イベント当日の同月25日,LINEにより,同イベントに参加するファンからのTシャツ及びパンツの注文を伝え,NASまで持参するよう依頼し,併せて,P1自身も,被告の商品であるネックレスを購入する希望を伝えた。被告代表者は,販売価格の1000円引でP1からの依頼に応ずることにしたが,P1に対し,会場内で顧客との間で金銭のやり取りをしないよう勧め,NASから注意されないよう留意するよう求めた。(甲31,被告代表者5,6頁)その後,原告は,被告代表者に対し,販売代金の全額を渡した(原告代表者23頁)。 エ NASでのイベントの後,被告の商品の購入者のうちの一人であるP4 は,3回にわたり被告商品を購入したが,そのうち3回目に購入したTシャツ10枚については,被告のホームページからではなく,P1に依頼した後,紹介を受けた被告の担当者と直接にメールのやり取りをして購入した(甲41の1ないし41の4)。 (6) DVD撮影に使用するTシャツ及びズボンの製作被告代表者は,原告代表者及びP1に対し,平成27年1月29日のメールで,DVD撮影用のTシャツのデザインを16種類提案し,その際,被告単独とコラボのいずれにも利用できるようにデザインを作成した旨説明した。原告は,同日,その中からデザインを絞り込んだ。(甲17,18 ,DVD撮影用のTシャツのデザインを16種類提案し,その際,被告単独とコラボのいずれにも利用できるようにデザインを作成した旨説明した。原告は,同日,その中からデザインを絞り込んだ。(甲17,18)原告代表者は,被告代表者に対し,同月30日のメールで,2種類のデザインを選んだ旨伝え,同日に送信したメールの中で,「パンツもコラボですよね?サイズは2つでしたよね??デザインはどんなんですか???画像を送って下さいね。」として,パンツ(ズボン)もコラボ商品であることの確認及びデザインの送付を求めたが,このメール以外には,デザイン画の送付を求めるなどの催促はしなかった(甲19,原告代表者41,42頁)。 被告代表者は,原告代表者及びP1に対し,同日のメールで,絞り込んだデザインの確認を求めた。原告代表者は,被告代表者に対し,同月31日のメールで,確定したデザインのTシャツの写真を送付し,Tシャツ及びパンツ(ズボン)が同年2月13日までに納品されるよう製造を依頼した。原告代表者は,被告代表者に対し,同月3日,メールにより,発注が済んだか,ウェアの上下ともに完成日が同じであるか,納品がいつになるかを問い合わせた。被告代表者は,原告代表者に対し,同日のメールで,全てのウェアの発注が完了し,納品が同月13日の予定である旨を回答した。(甲30,原告代表者43頁)(7) アルゼンチンでのDVD撮影被告は,平成27年2月,青色と白色の2種類のTシャツを完成した(甲4の1,4の2,被告代表者28頁)。 被告は,ズボンのデザイン,製作が間に合わず,被告の既製商品であるズボンで代用することになり,被告代表者はアルゼンチンへの出発の前日頃に原告代表者にTシャツ及びズボンを渡し,原告側はそれを了承した(原告代表者6,28,29頁, が間に合わず,被告の既製商品であるズボンで代用することになり,被告代表者はアルゼンチンへの出発の前日頃に原告代表者にTシャツ及びズボンを渡し,原告側はそれを了承した(原告代表者6,28,29頁,被告代表者7,40,41頁)。 原告代表者及びP1は,通訳者とともに,同月15日から同月26日までの間,アルゼンチンのブエノスアイレスへ渡航した(甲11の1ないし11の3,原告代表者13,14頁)。 原告代表者は,青色と白色のTシャツ及びズボン2セットを持参したが,現地でのP3の判断により,青色のウェアを使用してDVD撮影が行われ,白色のウェアは次回の撮影に採用されることになった(甲5,原告代表者12,13,38頁)。 その間,被告は,P1に対し,同月,3回にわたり,合計9点,合計6万0400円相当の商品を無償提供した(甲29の1ないし29の4,原告代表者12頁,被告代表者27頁)。 (8) アルゼンチンからの帰国後のやり取りP1,被告代表者及びP2は,平成27年2月27日,LINEのやり取りをし,P1はアルゼンチンからの帰国の報告をし,P2は,インストラクターがDVD撮影の際にTシャツを着用した画像を送信し,「またこちらのRMがはいってないMJDIVAのTシャツですが3月中旬販売予定でも大丈夫でしょうか? RMのLOGOなど一切なくMJDIVAの商品です。」とのメッセージを送信した(甲22,被告代表者27ないし30頁)。 原告代表者は,同日,被告代表者との電話の際,上記のLINEの内容を尋ね,交渉の内容を一方的に反故にされたと感じ,突然に声を荒げ,被告代表者に対し,仕事ができないようにするなどと言った(原告代表者14,20,29ないし33頁,被告代表者8,9頁)。 被告代表者は,原告代表者に対し,同年3月2日,「R 感じ,突然に声を荒げ,被告代表者に対し,仕事ができないようにするなどと言った(原告代表者14,20,29ないし33頁,被告代表者8,9頁)。 被告代表者は,原告代表者に対し,同年3月2日,「RMコラボ商品に関する覚書について」との件名のメールを送信し,「この度のRMコラボ商品の件では,ご気分 を害してしまい誠に申し訳ございませんでした。」と伝えた。また,DVD撮影用のコラボ商品について,覚書として,被告はコラボ商品である2種類のTシャツを原告に無断で製造販売しないこと,今後の製造販売は協議の上決定すること,製造費用を折半すること,パンツ(ズボン)は協賛商品とし,被告では販売しないこと,DVDが販売される予定の同年6月又は同年7月頃に一般顧客向け商品としての製造販売について協議をすること等を提案した。これに対し,原告代表者は,同年3月12日,被告代表者に対し,同月14日又は同月17日の面会を提案した。(甲23,24,原告代表者14,15頁,被告代表者10頁)(9) 本件通知等のやり取り被告訴訟代理人は,原告に対し,平成27年3月25日付け「御通知」と題する書面(甲6。本件通知)を送付し,原告との間で,取引の進め方及び協議のあり方等について大きな見解の差異を認識するに至り,信頼関係の構築が非常に困難であると思われ,被告はコラボ商品の販売等を行わず,原告との協議,取引を終了し,全ての契約締結を見送る旨を伝えた。 これに対し,原告訴訟代理人は,被告訴訟代理人に対し,同月28日付け「通知書」と題する書面(甲7)を送付し,被告からの申出に抗議をし,被告との間で「コラボ商品」の範囲についてこれまでに見解の相違があったとした上で,「コラボ商品」の特定を求め,P1の宣材写真の処遇等を明らかにするよう求めた。 これを受け からの申出に抗議をし,被告との間で「コラボ商品」の範囲についてこれまでに見解の相違があったとした上で,「コラボ商品」の特定を求め,P1の宣材写真の処遇等を明らかにするよう求めた。 これを受け,被告訴訟代理人は,原告訴訟代理人に対し,同年4月23日付け「ご連絡」と題する書面(甲8)を送付し,コラボ商品は被告が納品した2種類のTシャツを指し,2種類のパンツ(ズボン)はコラボ商品ではなく協賛品である旨,P1及び台湾のインストラクターを撮影した画像について,同年2月中旬から同年3月中旬にかけて,順次,楽天市場や被告のウェブサイトでの掲載をやめ,全ての画像の掲載を停止した旨等を回答した。(原告代表者15,16頁)(10) P1の画像の掲載状況被告は,楽天市場,ヤフーショッピング,被告のウェブサイトで,被告の商品の 販売を取り扱っていた(被告代表者35頁)。 被告は,平成27年6月25日の時点で,被告のフェイスブック,ブログ,ホームページ,ヤフーショッピング,楽天市場の被告のサイトにおいて,被告のウェアを着用したP1の画像を掲載し(甲10の1ないし10の5),同年10月2日の時点で,被告のホームページにP1の画像を掲載していた(甲42の1,42の2)。 もっとも,それらの画像が掲載された商品は,品切れ状態となっていた。 楽天市場でのP1の画像は,同月18日及び平成28年3月17日に削除された(乙3)。 2 争点1(包括的な業務提携契約等の合意を一方的に破棄したことによる債務不履行責任の有無及び損害額)について原告は,被告が,包括的な業務提携契約及び各個別契約を締結していたにもかかわらず,原告との合意を一方的に破棄したとして,債務不履行責任を負う旨主張する。 (1) 原告の主張する各契約の成否そこで, 告が,包括的な業務提携契約及び各個別契約を締結していたにもかかわらず,原告との合意を一方的に破棄したとして,債務不履行責任を負う旨主張する。 (1) 原告の主張する各契約の成否そこで,まず,原告の主張する各契約の締結が認められるかを検討する。 ア包括的な業務提携契約について原告は,平成26年12月4日の協議により,原被告間で,①原告がP1を介して被告の商品を広告宣伝すること,②被告がRitmix のコラボウェアを製作するとともに,P1の肖像を利用すること,③今後の具体的企画,日本国内ないし台湾での被告の商品の販売委託等やその詳細については順次相互に協議し誠実に遂行することを中核とした,包括的な業務提携契約が成立した旨主張する。 しかし,原告代表者と被告代表者が面会するのは同日が初めてである。確かに,原告側は,Ritmix をモチーフとする事業展開のために提携するアパレル業者を探していたことから,当初から提携に積極的であったと認められるものの,被告側は,知人の紹介で原告代表者らと面会したにとどまるから,同日の原告側の提案に対して被告側が前向きな回答をしたとしても,それをもって多項目にわたることを対象 とする包括的な業務提携契約が成立したとは直ちに認められず,現に,同日のやり取りは,Ritmix やアルゼンチンでのDVD撮影の説明や,それに対応するフィットネスウェアの製造販売の協議をするにとどまり,P1の肖像の利用を含む広告宣伝の対価,共同製作の商品の内容,販売時期等の重要事項については協議されていない。原被告間で,後に,ライダー契約の契約書案や商品販売委託契約の契約書案が取り交わされていることに鑑みると,原告及び被告は,これらの契約の前提となる包括的な業務提携契約を締結し,権利義務による拘束関係に入ろ 間で,後に,ライダー契約の契約書案や商品販売委託契約の契約書案が取り交わされていることに鑑みると,原告及び被告は,これらの契約の前提となる包括的な業務提携契約を締結し,権利義務による拘束関係に入ろうとしたのであれば,合意の前に契約書案を取り交わすことが想定されるところ,同日の協議は,契約書案を作成するほど内容が固まったものとはいえず,せいぜい,今後の各種契約について協議していくことが合意されたにとどまり,相互に相手方の業務内容を把握し,業務提携の可能性を探る段階にあったと認めるのが相当である。 したがって,同日の協議により,原告が主張する包括的な業務提携契約が成立したと認めることはできない。 イコラボ契約について原告は,平成26年12月27日の協議により,原被告間で,①被告がRitmixのDVD撮影用の衣装を製作し,②原告はP1をして同DVDへの出演を成功させる旨の個別契約が成立し,その際,ズボンの製作もコラボの対象に含まれ,出演者分の衣装代が被告の負担,交渉のための原告代表者及び通訳人費用等が原告の負担であることを前提としていた旨主張する。 原告は,同月4日の協議の後,台湾においてオフィシャルトレーナーに被告の商品を試着させて写真を撮影し,その結果を踏まえて被告と協議しており,同月27日の協議は,同月4日の協議及び台湾での撮影を踏まえて,内容が具体化している。 そして,前記認定事実からすれば,同月27日の協議によって,平成27年2月のアルゼンチンでのDVD撮影のためにウェアを共同製作すること,ウェアをTシャツ及びズボン2セットとすること,DVD撮影に採用されたウェアを後に販売することについては,原被告間で,共通認識が形成されたと認められる。そして,実際 に,その後にTシャツのデザイン案がやり取りされて2種 ットとすること,DVD撮影に採用されたウェアを後に販売することについては,原被告間で,共通認識が形成されたと認められる。そして,実際 に,その後にTシャツのデザイン案がやり取りされて2種類のデザインが決まり,Tシャツ及びズボン2セットが納品され,被告が原告に対してTシャツの販売について問い合わせており,また,販売委託契約書の案を取り交わした交渉も行われており,原告及び被告は,上記の共通認識に沿う行動をとっている。 したがって,原告及び被告は,平成26年12月27日頃,DVD撮影に使用するTシャツ及びズボン2セットを共同製作し,原告がDVD撮影に同ウェアが採用されるよう交渉し,後に共同製作したウェアを販売することを予定する旨を合意したと認められる。 この点について,被告は,単にDVD撮影用のウェアを提供することを合意したにすぎないと主張するが,前記認定事実のとおり,被告代表者は,原告がRitmixの創設者のP3に対して被告のウェアの採用を許可してもらえるよう交渉することや,DVD撮影で採用されたウェアを後に販売することについて協議した上で,ウェアがDVD撮影に採用されれば被告の知名度が上がると考えてウェアの提供に応じたのであるから,上記のとおり合意したと認めるのが相当であり,被告の上記主張は採用できない。 また,被告は,コラボ商品はTシャツのみであったと主張し,同日の時点でズボンの製作が間に合うか不確実であったと認められるが,被告代表者は,原告代表者にズボンの製作の見込みを十分に説明しておらず,ズボンの製作を断ってはいないから,被告の上記主張は採用できない。 他方,同日の協議では,ウェアの製作費用及び交渉のための費用の負担についてまで話し合われておらず,原告が主張するとおりの内容の契約締結の事実を認めることはできない 被告の上記主張は採用できない。 他方,同日の協議では,ウェアの製作費用及び交渉のための費用の負担についてまで話し合われておらず,原告が主張するとおりの内容の契約締結の事実を認めることはできない。 ウコラボ商品の販売に関する契約について原告は,ズボンを含めたDVD採用モデルのうち,商標登録されたRMのロゴの有無やウェア上下の別を問わず,RMのロゴのない商品については,DVD採用モデルとして販売することとし,その場合は売上げも費用も折半とする契約が成立し た旨主張する。 しかし,原告代表者は,RMのロゴの有無にかかわらず,取り分を半々とすることを提案したが,契約書案のやり取りはなされなかった旨供述しており(原告代表者45,46頁),原告が主張する契約の内容は書面にされていない上,そもそも原告代表者がこのような提案をしたことを裏付ける証拠もない。また,被告代表者は,RMのロゴを付したものがコラボ商品であり,ロゴを付さない単体の商品はコラボ商品ではないと認識し,ロゴが付されていなければ被告の商品として販売できると考えた旨供述し(被告代表者2,8,20,21頁),現に,平成27年1月29日のメールでも,Tシャツのデザインについて,被告単独とコラボのいずれにも利用できるようにデザインを作成したと述べており,このメールでのこの部分に対しては原告代表者から特段の反応はなかったのであるから,原被告間で,コラボ商品の対象が何であるか,認識が一致していないと認められる。原告訴訟代理人が同年3月28日付けで被告訴訟代理人に送付した書面において,コラボ商品の範囲について見解の相違があったとして,コラボ商品の特定を求めた事実は,コラボ商品の対象について双方の認識に齟齬があることを裏付けるものである。 したがって,コラボ商品の販売 おいて,コラボ商品の範囲について見解の相違があったとして,コラボ商品の特定を求めた事実は,コラボ商品の対象について双方の認識に齟齬があることを裏付けるものである。 したがって,コラボ商品の販売については,その対象範囲について双方の認識が一致しておらず,いまだ協議の途上にあったというべきであり,その販売契約に関する原告の上記主張は,採用できない。 エ台湾での商品販売委託契約について原告は,被告との間で,包括的な業務提携契約に基づき,口頭により台湾での商品販売委託契約を締結し,契約書の署名を待つ段階にあり,同契約を前提にすると,台湾人インストラクターに関するライダー契約についても合意した旨主張する。 しかし,原告の主張の前提となる包括的な業務提携契約の締結を認めることができないのは,前記のとおりである。また,原告と被告がそれぞれに作成した契約書案は,販売手数料を販売代金の35%とする点は共通するが,後に原告が送付した契約書案は海外での販売委託契約を想定して被告の契約書案を修正したものである ところ,同案に対して被告代表者からの回答はなかったのであるから,契約書の署名を待つばかりの段階にあったとはいえない。 したがって,台湾での商品販売委託契約は,いまだ契約締結に向けた交渉段階にあり,同契約の締結に関する原告の主張は,採用できない。 また,原告代表者は,被告が宣材写真の提供を受け,ウェブサイトに掲載しているので,台湾人インストラクターとのライダー契約が成立した旨供述する(原告代表者24,25頁)。しかし,原告が前提とする台湾での販売委託契約が成立しておらず,ライダー契約書の案も取り交わされていない以上,写真の掲載のみをもってライダー契約の成立を認めることはできない。 オ P1に関するライダー契約につ とする台湾での販売委託契約が成立しておらず,ライダー契約書の案も取り交わされていない以上,写真の掲載のみをもってライダー契約の成立を認めることはできない。 オ P1に関するライダー契約について原告は,被告との間で,報酬の有無及び額については合意に至っていなかったものの,P1が被告の商品の広告宣伝活動をし,被告がP1に一定数の商品を無償交付し,原告がP1の画像の使用を許諾するという範囲において,P1に関するライダー契約が成立していた旨主張する。 しかし,原告は,被告が作成したライダー契約書案について原告の利益になるものではないと考えたものの,対案を示さないまま協議が進んでいない上,報酬の有無及び額という重要事項について合意されていないのであるから,原告の主張するライダー契約の成立を認めることはできない。 確かに,被告は,原告から送付された画像や平成27年1月8日に撮影した画像をウェブサイト等に掲載しているが,この画像の利用は,画像の送付や写真撮影の際に個別に原告及びP1の許諾を受けたことに基づくとみることができる。また,被告がP1に対して同年2月に合計6万0400円相当の商品を無償提供したことは,被告が送付した契約書案の内容に沿うものであるが,同案に対する原告からの回答がなかったことに鑑みると,被告は,将来のライダー契約締結に向けて試行的に無償提供をしたとみるべきであり,無償提供の事実をもってライダー契約の締結を認めることはできない。 カ NASのイベントにおいて被告の商品を販売する契約について原告は,被告との間で,NASでのイベントに際し,P1が参加予定者に被告の商品を販売し,原告が販売価格の35%に相当する販売手数料を取得する旨の販売委託の合意をした旨主張し,原告代表者はこの主張に沿う供述を 被告との間で,NASでのイベントに際し,P1が参加予定者に被告の商品を販売し,原告が販売価格の35%に相当する販売手数料を取得する旨の販売委託の合意をした旨主張し,原告代表者はこの主張に沿う供述をする(原告代表者22頁)。 確かに,NASのイベントが開催された当時は,原告と被告との間で商品販売委託基本契約書の案が検討されている状況にあり,その状況下で,P1がイベントの際に参加者に被告の商品を販売し,後に原告が被告に販売代金を渡している。 しかし,同イベントの際に被告の商品が販売された経緯について,被告代表者は,P1から,被告の商品の購入を希望する顧客がいるとして,割引価格での販売を頼まれたもので,友達が友達に頼んで販売したというレベルのものであると供述している(被告代表者5頁)。そして,実際,同イベントで被告の商品を買ったのは,同イベントに参加するファンであり,P1は,LINEで,被告に対して購入希望者の注文を伝えているにすぎず,企業同士の取引であれば通常作成されるはずの売上関係の帳票類も特段作成されていない上,P1は,上記LINEで注文を伝える際に,被告に対し,個人的なネックレスの購入希望をも伝えているのであって,これらからすると,同イベントでの被告の商品の販売は,P1が個人的に依頼したものであるとの被告代表者の上記供述にも合理性がある。また,被告は,販売価格を1000円引としてP1からの依頼に応じており,その上に原告が主張するように上記商品販売委託基本契約書案の販売手数料を支払うというのは,被告にとって経済的に合理性のあるものとはいえない上,原被告間で取り交わされていた商品販売委託基本契約書案では,原告が販売代金から販売手数料を控除した残金を被告に送金することとされていたのに対し,原告はそのような控除をせずに販売代金の全額を被 い上,原被告間で取り交わされていた商品販売委託基本契約書案では,原告が販売代金から販売手数料を控除した残金を被告に送金することとされていたのに対し,原告はそのような控除をせずに販売代金の全額を被告に渡していることからも,同イベントでの被告の商品の販売を,上記の商品販売委託基本契約書案に係るものと同列の販売委託と捉えることはできない。 そうすると,被告は,P1から被告代表者への個人的な依頼に応じて,P1によ る被告の商品の販売に応じたとみるべきであり,原告及び被告が販売委託の合意をした旨の原告の主張は,採用できない。 この点について,原告は,被告の商品購入者のうちのP4が,P1への依頼の後に被告の担当者と直接にやり取りをして購入するに至っている点を指摘するが,そこでは,P1は単に紹介の役割を果たしているにすぎず,それをもって販売委託と捉えることはできない。 (2) 被告の債務不履行責任の有無次いで,上記(1)における各契約の成否の検討を踏まえ,被告が債務不履行責任を負うか検討する。 ア前記のとおり,原告及び被告は,平成26年12月27日頃,DVD撮影に使用するTシャツ及びズボン2セットを共同製作し,原告がDVD撮影に同ウェアが採用されるよう交渉し,後に共同製作したウェアを販売することを予定する旨を合意したと認められる。そして,この合意に基づいて,被告はDVD撮影用のウェアを製作し,原告はDVD撮影に同ウェアを採用させることに成功したのであるから,原告及び被告は,同ウェアの販売に向けて具体的に協議する段階に入ったということができる。このことに加え,原告は,上記の合意に基づいて,P1がウェアの推薦権を有するDVD撮影の機会を,被告と共同製作したウェアに費やしたのであり,被告もそのことを認識していたことを考慮す いうことができる。このことに加え,原告は,上記の合意に基づいて,P1がウェアの推薦権を有するDVD撮影の機会を,被告と共同製作したウェアに費やしたのであり,被告もそのことを認識していたことを考慮すると,被告は,この合意に基づいて,将来の同ウェアの販売に向けて誠実に交渉すべき義務を負い,被告が正当な事由なく交渉を拒否した場合には,同義務の違反による債務不履行責任を負うというべきである。 イそこで,被告が本件通知により原告との協議を終了させた理由を検討するに,本件通知の経緯,時期,内容に鑑みると,被告代表者が供述するとおり(9頁,10頁),P2が平成27年2月27日に原告代表者に対して,RMが入っていない共同製作のTシャツを同年3月中旬に販売する予定でよいかとのメッセージをLINEで送信したのに対して,原告代表者が同年2月27日の電話で被告代表者 に対して突然に声を荒げ,仕事ができないようにするなどと言ったことにより,原告との信頼関係の構築が非常に困難であると考えた点にあると認められる。 これに対し,原告は,同年3月2日に被告代表者が原告代表者の気分が害したことについてお詫びをして覚書の提案をしたメールのやり取りから,本件通知は上記の電話でのやり取りと無関係である旨主張する。しかし,被告代表者は,原告代表者が同月12日に面会を提案する連絡をしたのに対して,同月25日に被告訴訟代理人に依頼までして本件通知を発しており,その中では,被告は,原告との間で,取引の進め方及び協議の在り方等に対し大きな見解の差異が存在するものと認識するに至ったと述べている。そして,この間に大きな状況の変化があったことは何らうかがわれないことからすると,被告代表者が供述するとおり(10頁),上記の被告代表者から原告代表者へのお詫びのメールは,上記 に至ったと述べている。そして,この間に大きな状況の変化があったことは何らうかがわれないことからすると,被告代表者が供述するとおり(10頁),上記の被告代表者から原告代表者へのお詫びのメールは,上記の電話での原告代表者の発言により信頼関係が失われつつも,なお関係改善のための対応を試みたものであるにすぎず,それでも,結局,前記の電話での原告代表者の対応により失われた信頼関係が修復されることはなかったと認めるのが相当であり,原告の上記主張は採用できない。 ウそして,上記の電話で原告代表者がした発言は,被告が仕事ができないようにするなどといった一種の恫喝といえるものであり,それを声を荒げて言われた被告側の立場を考えれば,今後,共同製作したTシャツ等を販売していくに当たり,原告代表者との間で種々の協議・協力を重ねていく必要がある中で,行き違いのためにこのような発言がされるようでは信頼関係が構築できないと考えるに至ったことにも,無理からぬものがあるというべきである。 この点について,原告は,原告代表者が電話で声を荒げた原因が被告側にあると主張し,被告が平成27年2月27日に従前の合意に反して自社の販売を開始する旨を一方的に通知した点を挙げる。 しかし,前記のとおり,RMのロゴのない商品の扱いについて,原告が主張するコラボ商品の販売に関する契約の締結を認めることはできず,コラボ商品に関する 認識には齟齬があり,その対象範囲はいまだ協議の途上にあったというべきであるから,被告がRMのロゴのない商品を販売しようとすることが従前の合意に反するものとはいえない。また,P2によるLINEのメッセージの内容は,RMのロゴのないTシャツを同年3月に販売しても構わないか尋ねるものであるにすぎないから,被告による販売の開始を一方的に通知した するものとはいえない。また,P2によるLINEのメッセージの内容は,RMのロゴのないTシャツを同年3月に販売しても構わないか尋ねるものであるにすぎないから,被告による販売の開始を一方的に通知したともいえない。そして,これに対して原告代表者は,RMのロゴのない商品の扱いについての自己の認識を絶対視して,声を荒げて恫喝的な発言をしたというべきであるから,前記のとおり,被告代表者が信頼関係を構築できないと考えたことには無理からぬものがあるというべきである。 エまた,原告は,原告代表者が声を荒げた原因として,各個別契約の締結にもかかわらず,被告が台湾人インストラクターとのライダー契約をとりやめて,台湾での販売委託を反故にし,NASのイベントでの販売手数料を支払っていない点,被告がP1に関するライダー契約の内容を一方的に被告に有利なものとした点,ズボンの新規製作がDVD撮影に間に合わなかった点を挙げる。 しかし,これらはいずれも包括的な業務提携に積極的であった原告側の一方的な認識にすぎず,原告が主張する包括的な業務提携契約や各契約の締結を認めることができないことは前記のとおりである。 またズボンの新規製作については,確かに,原告がズボンがコラボ商品であることの確認及びデザインの送付を求めたのに対し,その間,被告は,ズボンの新規製作が間に合わなくなることを原告に十分に説明していなかったといえるが,ズボンについても被告の既製品を納品することによってDVD撮影に臨めるようにするための対応はなされている。 これらの事情に照らすと,原告代表者が声を荒げたことに合理的な事情があったと認めることはできない。 オ以上からすると,被告が本件通知により協議の終了させたことには正当な事由があるというべきである。 したがって 声を荒げたことに合理的な事情があったと認めることはできない。 オ以上からすると,被告が本件通知により協議の終了させたことには正当な事由があるというべきである。 したがって,被告が合理的な理由もなく一方的に本件通知を送付したとして債務不履行責任を負う旨の原告の主張は,採用できず,原告の被告に対する上記の債務不履行による損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 争点2(DVD撮影に採用されたウェアを販売し,売上げを折半する旨の契約の成否及び販売額の半額に相当する金額)について原告は,被告がデパートにおいてコラボ商品の類似品を販売した主張し,被告に対し,コラボ契約に基づいて販売額の半額の支払を求めている。 しかし,前記のとおり,そもそも,原告及び被告が原告の主張するコラボ契約を締結したと認めることができないから,原告の上記主張は採用できず,上記の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 4 争点3(イベントの際の販売委託契約の成否及び販売手数料の金額)について原告は,被告との間で,NASのイベントに伴う販売委託契約を締結したと主張し,被告に対し,同契約に基づいて販売手数料の支払を求めている。 しかし,前記のとおり,そもそも,原告及び被告が販売委託契約を締結したと認めることができないから,原告の上記主張は採用できず,上記の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 5 争点4(P1の画像の掲載による不法行為の成否及び損害額)について(1) 原告に対する不法行為の成否ア肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合,そのような肖像等を無断で使用する行為は,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使 1) 原告に対する不法行為の成否ア肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合,そのような肖像等を無断で使用する行為は,①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解するのが相当である(最高裁平成21年(受)第2056号同24年 2月2日第一小法廷判決・民集66巻2号89頁参照)。 イこれを本件についてみるに,P1は中国,台湾地域のマスタートレーナーとして認定され,台湾のテレビ番組にも出演し,平成28年9月25日に台湾で催されたRitmix のイベントでは,パンフレットで写真及び名前により紹介された2名のマスタートレーナーのうちの1名としてP1が紹介され,会場は数百人とうかがわれる参加者で埋め尽くされている(甲34,35)。 また,被告がP1の画像を掲載したのは,楽天市場等の日本人向けの販売サイトであるが,①フィットネスウェアを専門に取り扱う被告が契約する約50人のライダーのうち,Ritmix 関係のライダーは10人おり,Ritmix 関係は被告の事業上一定の比重を占めていたとうかがわれ,このことから,日本でも相応のRitmix 愛好家が存在するとうかがわれること,②被告でインストラクターをしているP2は,RitmixのマスタートレーナーとしてのP1のことを知っていたこと,③原告が開催したNASのイベントでも,P1は,イベントに参加したファンから相応の商品購入希望を得ていること,④被告の商品が販売されているBecomeという通販サイトでも,広告として,「RITMIX・ 告が開催したNASのイベントでも,P1は,イベントに参加したファンから相応の商品購入希望を得ていること,④被告の商品が販売されているBecomeという通販サイトでも,広告として,「RITMIX・リトモスのMTP1先生と台湾イントラも2015年1月に大阪でイベントレッスンを行ってくれました。」と記載され,P1の存在が広告効果を有することが前提とされていること(甲37)からすると,マスタートレーナーとしてのP1の肖像等は,日本のRitmix 愛好家の間でも一定の顧客吸引力を有していたと認められる。 以上からすると,P1には,自己の肖像等の顧客吸引力を排他的に利用するパブリシティ権を有していると認めるのが相当である。この点,被告は,P1には日本における顧客吸引力があるとはいえない旨主張するが,上記に照らし,採用できない。 そして,原告代表者が中国,台湾において「Ritmix」等の商標権を取得し,被告との間でのP1のライダー契約の交渉を主に原告代表者が行っていることに鑑みると,原告は,P1から独占的にパブリシティ権の利用許諾を受けており,被告 もそのことを認識していたものと推認される。 ウ本件において,原告との協議が継続している間は,被告がP1の画像をウェブサイト等に掲載することについて原告の承諾があったと認められるが,平成27年3月25日付けの本件通知を送付して原告との協議を終了させたことにより,原告の承諾も当然に撤回されたことになる。しかるに,被告は,自ら本件通知をしながら,その後もホームページ等からP1の画像を削除することなく掲載し続け,P1の肖像等を広告として使用したのであるから,被告の行為は,P1のパブリシティ権に係る原告の独占的利用権を侵害する不法行為を構成すると認められる(なお,原告は,P1の肖像権の侵害 なく掲載し続け,P1の肖像等を広告として使用したのであるから,被告の行為は,P1のパブリシティ権に係る原告の独占的利用権を侵害する不法行為を構成すると認められる(なお,原告は,P1の肖像権の侵害も主張するが,パブリシティ権を離れた純然たる肖像権の侵害をいうものとは解されない。)。 この点,被告は,P1の画像を顧客吸引のために使用していない旨主張するが,当該画像を掲載した商品自体は品切れで販売されない状態となっていたとしても,被告の商品を着用したP1の画像の掲載が継続する限り,その宣伝効果により被告の宣伝広告となるものであり,被告がP1の肖像等の顧客吸引力を利用していることに変わりはないから,被告の上記主張は,採用できない。 (2) 被告による掲載の期間原告は,楽天市場で掲載されたP1の画像が平成28年3月17日までに削除されたことを受けて,本件通知の日である平成27年3月25日から平成28年3月17日までに生じた損害の賠償を請求している。 そして,前記のとおり,平成27年6月25日の時点で被告のフェイスブック,ブログ,ホームページ,ヤフーショッピングのページ,楽天市場のページにP1の画像が掲載されており,また,本件訴訟が提起され,被告が答弁書で被告が管理していた画像については削除したと主張した後の同年10月2日の時点においても,被告のホームページにP1の画像が掲載されており,その後についても,P1の画像が被告の管理するサイトから削除されたと明確に判明するのは上記の楽天市場に係るものしかないことからすると,被告は,平成28年3月17日までの間,上記 の各ページにP1の画像を継続して掲載していたと推認するのが相当である。 この点,被告代表者は,平成27年3月の時点でP1の画像を非表示にしたが,同月以降に非表示にで 日までの間,上記 の各ページにP1の画像を継続して掲載していたと推認するのが相当である。 この点,被告代表者は,平成27年3月の時点でP1の画像を非表示にしたが,同月以降に非表示にできなかった画像があり,同年8月,同年9月,同年10月の辺りに表示されていた残りの画像を非表示にしたが,時期を明確には覚えていない旨供述する(被告代表者10ないし12,31,32,36頁)。 しかし,上記の供述内容は,画像を非表示にした時期が不明確であり,これを裏付ける証拠がない上に,被告訴訟代理人が原告訴訟代理人に対して同年4月23日付けの書面により同年3月中旬までに全ての画像の掲載を停止した旨回答し,答弁書においても同様の主張をしたこととも矛盾するため,この点についての被告代表者の供述は信用できず,上記の推認を覆すに足りない。 また,被告は,同月11日頃までには画像を掲載した全ての商品の販売を停止した旨主張するが,上記のとおり被告がP1の肖像等の顧客吸引力を利用していることに変わりはないから,商品の販売停止によって侵害行為が終了したと認めることはできない。 (3) 損害額の算定次いで,原告が被った損害の額について,検討する。 原告が独占的に利用を許諾されたP1のパブリシティ権は,肖像等が有する商品の販売等を促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利であるから,原告は,被告の行為により,画像の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭に相当する額の損害を受けたものと認められる。 そこで,原告がP1の画像の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭の額についてみるに,被告は,他の約50名のライダーに適用される契約書の様式に基づいてP1に関するライダー契約書を作成し,1か月当たり,通常販売価格で6万円程度を上限とする商品の無償提供を提 き金銭の額についてみるに,被告は,他の約50名のライダーに適用される契約書の様式に基づいてP1に関するライダー契約書を作成し,1か月当たり,通常販売価格で6万円程度を上限とする商品の無償提供を提案しており,ライダーに被告の商品の販売促進を依頼する場合の対価が1か月当たり約6万円であると見込んでいたとみることができる。また,原告は,自らの利益にはならないと考えて上記の提案には応じてお らず,広告宣伝の際にP1の画像の掲載を許諾する場合に,上記の金額を超える対価を想定していたと認められる。このような事情に加え,P1の顧客吸引力の程度,内容,P1の画像の掲載場所の数,掲載期間等を総合して考慮すると,P1の画像の掲載により原告に生じた損害額は,1か月当たり10万円と認めるのが相当である。 なお,原告は,被告が,「Buyee」の英語版,台湾語版,中国語版の各ホームページや,楽天グローバルマーケット,becomeのホームページにP1の画像を掲載した旨指摘するが(甲27の1ないし27の3,甲36,甲37,甲44の1ないし44の5),被告代表者は,これらのページを知らず,自らが掲載したものではない旨供述しており(被告代表者1,15,16,34頁),被告が上記の画像を掲載したと認めるに足りる証拠はないから,これらの掲載状況を損害額算定の際に考慮するのは相当ではない。 そして,被告が本件通知により原告との取引を終了してからP1の全ての画像を削除するまでには一定期間を要するものと認められるため,原告は,合計して,平成27年3月25日から平成28年3月17日までのうちの11か月分である110万円の損害を被ったと認めるのが相当である。 したがって,原告の被告に対する,P1の画像を掲載した不法行為による損害賠償請求は,110万円の賠償金及び 3月17日までのうちの11か月分である110万円の損害を被ったと認めるのが相当である。 したがって,原告の被告に対する,P1の画像を掲載した不法行為による損害賠償請求は,110万円の賠償金及びこれに対する不法行為の最終日である平成28年3月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 第5 結論以上のとおり,原告の請求は,被告に対し,P1の画像を掲載した不法行為による損害賠償として110万円及びこれに対する不法行為の最終日である平成28年3月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 髙松宏之 裁判官 田原美奈子 裁判官 林啓治郎 啓治郎

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