- 1 -主文原判決のうち上告人敗訴部分を破棄する。 前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人富川盛郎の上告受理申立て理由及び上告補助参加代理人徳田靖之,同鈴木宗嚴,同野尻昌宏の上告受理申立て理由について 本件は,被上告人らが,各自,一般廃棄物のうち,くみ取し尿及びし尿浄化槽汚泥(以下,併せて「し尿汚泥」という。)の収集運搬業並びに浄化槽清掃業を行おうとして,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)7条1項所定の許可及び浄化槽法35条1項所定の許可を申請したところ,いずれも不許可とする処分を受けたため,それらの取消しを求めている事案である。 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 (1)旧大野広域連合は,平成8年4月1日に大分県大野郡の旧三重町,旧野津町,旧緒方町,旧犬飼町,旧大野町,旧朝地町,旧千歳村及び旧清川村(以下,併せて「大野郡8か町村」という。)によって組織された広域連合(地方自治法284条3項)であり,大野郡8か町村における一般廃棄物の処理に関する事務を行っていたが,同17年3月30日に解散し,旧大野広域連合長が行っていた事務は,上告人が承継した。 (2)大野郡8か町村の区域内においては,昭和50年以降,上告補助参加人1社のみが,所要の許可を得て,し尿汚泥の収集運搬及び浄化槽の清掃を行ってきたところ,旧大野広域連合が定めた平成16年度の一般廃棄物処理計画(以下「本件- 2 -処理計画」という。)においても,し尿汚泥の収集運搬及び浄化槽の清掃については,許可業者である上告補助参加人1社で行うことが前提とされていた。 (3)被上告人らは,各自,大野郡8か町村の区域内において,一般廃棄物のうちし尿汚泥の収集運搬業及び浄化槽清掃業を行おうとして,平成1 許可業者である上告補助参加人1社で行うことが前提とされていた。 (3)被上告人らは,各自,大野郡8か町村の区域内において,一般廃棄物のうちし尿汚泥の収集運搬業及び浄化槽清掃業を行おうとして,平成15年12月1日,旧大野広域連合長に対し,前者につき廃棄物処理法7条1項所定の許可を,後者につき浄化槽法35条1項所定の許可を申請した。これに対し,同広域連合長は,同16年3月23日,上記各申請につき,いずれも不許可とする処分をした(以下,これらの不許可処分のうち,一般廃棄物収集運搬業の不許可処分を「本件収集運搬業不許可処分」といい,浄化槽清掃業の不許可処分を「本件清掃業不許可処分」という。)。本件清掃業不許可処分は,被上告人らにつき,浄化槽の清掃の結果,引き抜かれた汚泥,スカム等を適正に処理する体制が確認できないため,浄化槽法(平成16年法律第147号による改正前のもの。以下同じ。)36条2号ホ所定の欠格事由に該当することを理由とするものである。 他方,同広域連合長は,同年4月1日,上告補助参加人1社のみに対し,一般廃棄物のうちし尿汚泥の収集運搬業の許可処分(以下「本件許可処分」という。)及び浄化槽清掃業の許可処分をした。 原審は,上記事実関係の下において,本件収集運搬業不許可処分の取消請求は棄却すべきものとしたが,要旨次のとおり述べて,本件清掃業不許可処分には違法があると判断し,これを取り消した。 (1)旧大野広域連合長は,上告補助参加人1社で大野郡8か町村の区域内におけるし尿汚泥の収集運搬を行うことを前提として,本件収集運搬業不許可処分及び本件許可処分をしたのであるから,上告補助参加人は,大野郡8か町村の住民等か- 3 -らし尿汚泥の収集運搬の要請があった場合には,特段の事情のない限り,これに応ずる義務(以下「業務引受義務」という。 件許可処分をしたのであるから,上告補助参加人は,大野郡8か町村の住民等か- 3 -らし尿汚泥の収集運搬の要請があった場合には,特段の事情のない限り,これに応ずる義務(以下「業務引受義務」という。)があるというべきである。 (2)被上告人らがした浄化槽清掃業の許可申請は,仮に一般廃棄物収集運搬業の許可が得られない場合には,被上告人らが行う浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬を上告補助参加人に依頼することを前提としていることは明らかであり,上告補助参加人に業務引受義務があることにかんがみれば,被上告人らは上記汚泥等の収集運搬を上告補助参加人に業務委託することができる体制にあったというべきであるから,被上告人らが浄化槽法36条2号ホ所定の欠格事由に該当することを理由としてされた本件清掃業不許可処分には違法がある。 しかしながら,本件清掃業不許可処分に違法があるとした原審の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 (1)浄化槽清掃業の許可申請者が,浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬につき,これに必要な一般廃棄物処理業の許可を有しておらず,また,他の一般廃棄物処理業者に業務委託すること等により適切に処理する方法も有していない場合には,上記許可申請者は,浄化槽法36条2号ホにいう「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に当たると解するのが相当である(最高裁平成4年(行ツ)第122号同5年9月21日第三小法廷判決・裁判集民事169号807頁参照)。 (2)前記事実関係によれば,本件処理計画においては,大野郡8か町村の区域内でのし尿汚泥の収集運搬及び浄化槽の清掃については,許可業者である上告補助参加人1社で行うことが前提とされていたというのであるが,これ 事実関係によれば,本件処理計画においては,大野郡8か町村の区域内でのし尿汚泥の収集運搬及び浄化槽の清掃については,許可業者である上告補助参加人1社で行うことが前提とされていたというのであるが,これは,上記区域内における浄化槽の清掃とこれにより引き出される汚泥等の収集運搬については,両- 4 -者を一体として併せて上告補助参加人1社に行わせるという趣旨であると解され,本件収集運搬業不許可処分及び本件許可処分は,このような本件処理計画の趣旨の下にされたものということができる。そうであるとすれば,上告補助参加人としては,大野郡8か町村の住民等から浄化槽の清掃とこれにより引き出される汚泥等の収集運搬とを併せて依頼された場合に,これを引き受けて業務を適切に行いさえすれば,本件処理計画に従った業務を遂行しているということができるのであり,これを超えて,他の事業者が行う浄化槽の清掃により引き出される汚泥等につき収集運搬を行うことを義務付けられる理由はないというべきである。 (3)本件清掃業不許可処分がされた当時において,被上告人らが行う浄化槽の清掃により引き出される汚泥等の収集運搬につき,被上告人らと上告補助参加人との間で業務委託契約が締結される見込みがあったのかどうかなどの事実について審理を尽くすことなく,上告補助参加人の業務引受義務を根拠に,被上告人らは上記汚泥等の収集運搬を上告補助参加人に業務委託することができる体制にあったとして,本件清掃業不許可処分に違法があるとした原審の判断は,以上の点を正解しないものであり,同判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。 以上のとおりであるから,論旨は理由があり,原判決のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,同部分につき,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に 明らかな法令の違反があるというべきである。 以上のとおりであるから,論旨は理由があり,原判決のうち上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,同部分につき,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すのが相当である。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官今井功裁判官中川了滋裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫)
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