- 1 -平成17年11月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(行ウ)第3号使用認定取消請求事件(口頭弁論終結日平成17年8月17日)判決主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求の趣旨被告が別紙物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」といい,それぞれの土地を表示するときは,別紙物件目録記載の番号に従って,「本件土地1」のように表記する。)について平成14年11月8日付けでした使用の認定は,これを取り消す。 第2事案の概要本件は,我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」又は「米軍」という。)が使用する軍用地内に本件各土地をそれぞれ所有している原告らが,被告に対し,被告が本件各土地について「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」(地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後のもの。以下「駐留軍用地特措法」という。)5条の規定に基づいて行った使用の認定(以下「本件使用認定」という。)が違憲,違法であるとして,本件使用認定の取消しを求めるものである。 前提事実(証拠掲記のないものは,当事者間に争いがない。)(1) 原告Aは,本件土地1を,原告Bは,本件土地2ないし本件土地5を,それぞれ所有し,原告C,原告D,原告E,原告F,原告G,原告Hは,本件- 2 -土地6につき各自持分138分の4ずつ共有持分権を有している。 (2) 本件各土地は,いずれも駐留軍基地の1つである嘉手納飛行場の一部として使用されている。 嘉手納飛行場は,①沖縄本島中部の沖縄市,北谷町 6につき各自持分138分の4ずつ共有持分権を有している。 (2) 本件各土地は,いずれも駐留軍基地の1つである嘉手納飛行場の一部として使用されている。 嘉手納飛行場は,①沖縄本島中部の沖縄市,北谷町及び嘉手納町の1市2町にまたがって所在する飛行場本体と,②南部の那覇市に所在する統合通信システムから成っている。 嘉手納飛行場は,駐留軍の戦闘機,輸送機及び偵察機等の基地として使用され,そのための飛行場施設,管理事務所,家族住宅等が設置されている。 嘉手納飛行場のうち,南部及び東部は住宅地区として使用されており,その余の大部分は飛行場地区であって,2本の滑走路を中心に,誘導路,駐機場,管理事務所,格納庫,修理工場,洗機場,タワー,給油所等の航空機等の運行に必要な付帯設備及び保安緩衝地帯として使用されている。 本件各土地は,嘉手納飛行場の全体面積の0.04パーセントの面積であるが,嘉手納飛行場の家族住宅敷地(1筆),保安緩衝地帯用地(1筆),駐車場敷地(2筆),場内管理道路敷地及び浄水池敷地(1筆),着陸帯敷地(1筆)として使用されており,それぞれの土地の位置関係は,別紙「FAC6037嘉手納飛行場」のとおりである。(甲2,3,乙9)(3) 国による本件各土地の占有及び駐留軍への提供国は,沖縄県の日本復帰以降,「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(以下「日米安保条約」という。)6条及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「日米地位協定」という。)2条1項に基づいて,駐留軍が使用する施設及び区域として,嘉手納飛行場を含む駐留軍基地をアメリカ合衆国に提供している。 (乙3,4,6,7)(4) 本件使用認定の経緯- 3 - 地位協定」という。)2条1項に基づいて,駐留軍が使用する施設及び区域として,嘉手納飛行場を含む駐留軍基地をアメリカ合衆国に提供している。 (乙3,4,6,7)(4) 本件使用認定の経緯- 3 -嘉手納飛行場として使用している土地の大部分は,国と土地所有者との間で賃貸借契約を締結することで,その使用権原を取得していたが,本件各土地については,賃貸借契約が締結できなかった。 そこで,那覇防衛施設局は,駐留軍用地特措法に基づき,本件各土地の使用権原を取得してきたが,平成15年9月2日をもってその使用期間が満了することとなっていた。 那覇防衛施設局長は,平成14年8月28日,本件各土地について,引き続き駐留軍の用に供する必要があるとして,土地所有者及び関係人に対し,その提出期限を同年9月19日とする駐留軍用地特措法4条に規定する意見書の提出を依頼し,同月25日,同局長は,同条の規定に基づき,土地所有者等から提出された意見書等を添付し,本件各土地の使用認定申請書を防衛施設庁長官及び防衛庁長官を通じ,被告に提出した。 被告は,平成14年11月8日,駐留軍用地特措法5条の規定に基づき,本件各土地の使用について使用認定をし,同日,使用認定の告示をした。 (乙1,2,9) 争点及び争点に対する当事者の主張(1) 本件使用認定の違憲性等についてア日米安保条約及び日米地位協定は,憲法前文及び憲法9条に違反するか。 また,国際連合憲章に違反するか。 (原告らの主張)(ア) 憲法前文は,「日本国民は恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言し,憲法の基本原則としての恒久平和主義を高く掲げ,その目的を達成するために,憲法9条に するのであって,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言し,憲法の基本原則としての恒久平和主義を高く掲げ,その目的を達成するために,憲法9条においてあらゆる形態の戦力の不保持と交戦権の否認を明らかにし,戦争の放棄を定めた。この規定の意味すると- 4 -ころは,自衛隊のごとく自らが戦力を保持することはもとより,駐留軍のごとき外国の軍隊を日本国内に駐留させることも厳禁するものである。 沖縄を含む我が国内への駐留軍の駐留は,我が国政府の要請と政府による基地の提供,費用の負担等の協力のもとでなされているのであり,駐留軍は,憲法9条が禁止する「陸海空軍その他の戦力の保持」に当たる。したがって,米軍の駐留を許した日米安保条約及び日米地位協定は憲法違反であり,その実施を目的とする駐留軍用地特措法も憲法に違反する。 したがって,本件各土地の使用認定は,憲法前文及び憲法9条に違反し許されないものである。 (イ) 日米安保条約の当事国である日本国及びアメリカ合衆国いずれもが国際連合の加盟国であることは公知の事実である。したがって,両国は,国際連合憲章によって当然に拘束される。 国際連合憲章103条は,「国際連合加盟国のこの憲章に基づく義務と他のいずれかの国際協定に基づく義務とが抵触するときはこの憲章に基づく義務が優先する。」と定めており,国際連合加盟国である日米両国間において同憲章に反する条約を締結することは許されない。 そして,同憲章2条4項で「すべての加盟国は,その国際関係において,武力による威嚇又は武力の行使を,いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも,また,国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と定めている。そして,武力の行使が同憲章2条4項の の行使を,いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも,また,国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」と定めている。そして,武力の行使が同憲章2条4項の例外として明示的に定められた場合にのみ合法であることは,同憲章1条1項や前文7項から明らかであり,更には同憲章2条4項の準備作業によっても確認されている。 日米安保条約5条は「各締約国は,日本国の施政の下にある領域における,いずれか一方に対する武力攻撃が,自国の平和及び安全を危うく- 5 -するものであることを認め,自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と定める。 これは,日本に対する武力攻撃に対しアメリカ合衆国の反撃を認めるものである。しかし,日本とアメリカ合衆国との間には広大な太平洋が存在し,日本への武力攻撃がアメリカ合衆国の安全を脅かす事態は到底想定できない。日米安保条約5条は,一方に対する武力攻撃をもって自国の平和と安全を脅かすと「認める」としているが,上記条文の構造上は,他国への攻撃が自国の安全の脅威となるか否か,自国への攻撃と同視できる程度の影響を及ぼすか否かに関わりなく,「自国の平和及び安全を危うくするものである」と認めるとしているのである。これは前記国際連合憲章の禁止する同盟戦争・干渉戦争を容認するものであって,同憲章違反は明らかである。確かに日本に対する武力攻撃がアメリカ合衆国の経済活動にとって支障となり得るとしても,ことは「自衛権」である以上,経済的利益を超えた国家の安全を脅かすこと,少なくともそのおそれがなければ自衛権行使は許されないものである。 また,日米安保条約6条は,「日本国の安全に寄与し,並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため,アメリカ合衆国は, と,少なくともそのおそれがなければ自衛権行使は許されないものである。 また,日米安保条約6条は,「日本国の安全に寄与し,並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため,アメリカ合衆国は,その陸軍,空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と定める。これは米軍に対する日本の基地提供義務を定めるものである。 この基地提供は,国際法上は,提供する国(日本)自身の軍事行動である。かつて,日米安保条約6条により,日本を発進基地とする北ベトナム(ベトナム民主共和国)に対する空爆が米軍によって行われたが,日本の基地提供により,日本が北ベトナムから武力攻撃されていないにもかかわらず,日本が北ベトナムに対し軍事行動を行ったとみなされる。 国際連合憲章は,かかる軍事行動を集団的自衛権としても許してはいな- 6 -いのである。 以上からすると,日米安保条約は国際連合憲章に違反する。 (被告の主張)(ア) 違憲の主張について日米安保条約のような主権国としての我が国の存立の基礎に重大な関係をもつ高度の政治性を有するものが違憲か否かの法的判断は,純司法機能をその使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまない性質のものであり,一見極めて明白に違憲無効と認められない限りは,裁判所の司法審査の範囲外にある。そして,日米安保条約は,憲法前文,9条等に反して違憲無効であることが一見極めて明白であるとは認められない。したがって,裁判所は,日米安保条約が合憲であることを前提として駐留軍用地特措法の効力を審査すべきであり,原告らの上記主張は失当である。 (イ) 国際法違反の主張について条約は国家間の合意であるから,国内の司法裁判所がいかなる場合に条約を司法審査の対象とすることができるかを検討する必要がある。 行政事件を含む民事事件に 失当である。 (イ) 国際法違反の主張について条約は国家間の合意であるから,国内の司法裁判所がいかなる場合に条約を司法審査の対象とすることができるかを検討する必要がある。 行政事件を含む民事事件において裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」,すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって,かつ,それが法令により終局的に解決することができるものに限られる(最高裁判所昭和56年4月7日第三小法廷判決・民集35巻3号443頁参照)。したがって,国内の司法裁判所が条約を審査するには,国家と国民あるいは国民相互間の法的紛争を解決するに当たり,条約を直接適用して結論を導くことが可能であることを要する。そして,国内的効力の認められた条約につき直接適用が可能であるのは,当該条約が国家と国民との関係を規律したものであって,締結国- 7 -において条約に自動執行力を与える意思があり,規定内容が明確である場合に限られる。 しかるところ,国際連合憲章2条4項は,専ら国家相互の関係を規律するものであって,国家と国民との関係を規律するものではなく,直接適用可能性(自動執行力)がないことは明らかである。そうすると,我が国の司法裁判所は,具体的争訟において国際連合憲章2条4項を直接適用することができず,したがってまた,日米安保条約と国際連合憲章2条4項との効力関係も司法審査の対象になり得ない。 また,日米安保条約は,主権国としての我が国の存立に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するものであるから,前記合憲性判断と同様に,日米安保条約が国際連合憲章に違反するか否かの判断も,純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまないものであり,裁判所の司法審査の範 るものであるから,前記合憲性判断と同様に,日米安保条約が国際連合憲章に違反するか否かの判断も,純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまないものであり,裁判所の司法審査の範囲外にあるというべきである。この観点からも,日米安保条約と国際連合憲章2条4項との効力関係は司法審査の対象とはならないというべきである。 イ駐留軍用地特措法は,憲法29条に違反するか。 (原告らの主張)憲法29条は,土地所有権等の財産権の不可侵性を保障し(1項),正当な補償のもとに,公共のために用いる場合にのみ,その権利の制限を許している(3項)。 駐留軍や自衛隊のために土地等の財産を強制使用することは,憲法が財産権の制限を許している「公共のために用いる」場合に当てはまらない。 けだし,ここで公共のために用いるとは,社会全般の福祉の擁護と増進のために,土地等の財産を供する場合をいうのであり,社会全般の福祉とはおよそ無縁な,否むしろそれと対立し,国民生活に諸々の被害をもたらし,国民全般の福祉を破壊している駐留軍に土地を提供することが,憲法の定- 8 -める公共のために用いることに当てはまらないことは明らかだからである。 憲法のいう「公共の」の意味内容は,憲法自らの基本原則である人権の尊重,恒久平和主義などの理念を踏まえて解すべきもので,時の為政者の恣意的な解釈によって決められるべきものではなく,人権を侵し,平和を乱す事態が公共性の名のもとに許されてはならないことは当然である。したがって,駐留軍の用に土地を供することを目的とする駐留軍用地特措法は,憲法29条1項,3項に違反した無効なものであり,駐留軍用地特措法を適用してなした本件各土地の使用認定は,取消しを免れ得ないものである。 (被告の主張)日米安保条約6条,日米地位協定2条1項の定めると 29条1項,3項に違反した無効なものであり,駐留軍用地特措法を適用してなした本件各土地の使用認定は,取消しを免れ得ないものである。 (被告の主張)日米安保条約6条,日米地位協定2条1項の定めるところによれば,我が国は,日米地位協定25条に定める合同委員会を通じて締結される日米両国間の協定によって合意された施設及び区域を駐留軍の用に供する条約上の義務を負うものである。我が国が,その締結した条約を誠実に遵守すべきことは明らかであるが(憲法98条2項),日米安保条約に基づく上記義務を履行するために必要な土地等をすべて所有者との合意により取得できるとは限らない。これができない場合に,当該土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であることを要件として(駐留軍用地特措法3条),これを強制的に使用し,又は収用することは,条約上の義務を履行するために必要であり,かつ,その合理性も認められるのであって,私有財産を公共のために用いることにほかならない。 したがって,駐留軍用地特措法は,憲法29条1項,3項に違反するものとはいえない。 ウ駐留軍用地特措法は,憲法31条に違反するか。 (原告らの主張)駐留軍用地特措法においては,以下に指摘するように,使用・収用の認- 9 -定に至る事前手続における権利保護の手続が,土地収用法に比較して形式化・形骸化されており,適正手続を保障した憲法31条に違反するものである。 (ア) 土地収用法においては,起業者が国土交通大臣又は都道府県知事に事業認定申請書を提出する際の添付書類として事業計画書の添付を義務付けている(土地収用法18条)。そして,この事業計画書には,事業計画の概要,事業の開始及び完成の時期,事業に要する経費及びその財源,事業の施行を必要とする公益上の理由,収用又は使用の別を明らかにした事業に必 土地収用法18条)。そして,この事業計画書には,事業計画の概要,事業の開始及び完成の時期,事業に要する経費及びその財源,事業の施行を必要とする公益上の理由,収用又は使用の別を明らかにした事業に必要な土地等の面積,数量などの概要並びにこれらを必要とする理由,起業地等を当該事業に用いることが相当であり,かつ土地等の適正且つ合理的な利用に寄与することになる理由が記載されるようになっている(土地収用規則3条1項)。 事業計画書は,申請に係る事業の内容を具体的に説明するものであり,事業の認定機関は,この事業計画書に記載された事項をもとにして,収用の可否を判断するのであるが,駐留軍用地特措法は,使用又は収用の認定の申請に,このような事業計画書若しくはそれに相当する使用・収益の内容を具体的に説明した書類の添付を要求していない。 (イ) 土地収用法においては,国土交通大臣又は都道府県知事は,事業の認定を行おうとするとき,起業地が所在する市町村の長に対して,事業認定申請書及びその添付書類のうち,当該市町村に関係のある部分の写しを送付しなければならず(同法24条1項),同書類を受け取った市町村長は,公告の日から2週間,同書類を公衆の縦覧に供しなければならず,(同条2項),また,事業の認定に利害関係を有する者は,2週間の縦覧期間内に,都道府県知事に意見書を提出することができる(同法25条1項)と規定されている。 ところが,駐留軍用地特措法では,この事業認定申請書,添付書類の- 10 -送付及び縦覧の手続はなく,利害関係人の意見書の提出についての定めもないから,国民の権利保護手続として不十分である。 (ウ) 土地収用法は,事業の認定を行おうとする場合において,事業認定申請書の縦覧期間内に利害関係を有する者から公聴会の開催の請求があったときは,公聴会を開い 国民の権利保護手続として不十分である。 (ウ) 土地収用法は,事業の認定を行おうとする場合において,事業認定申請書の縦覧期間内に利害関係を有する者から公聴会の開催の請求があったときは,公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない(同法23条)と規定している。これは,憲法31条の適正手続の保障の一環として事業認定の公正・妥当さを保障するために認められた極めて重要な制度である。 ところが,駐留軍用地特措法は,土地収用法23条の適用を除外し,公聴会の制度を採用していない。 (エ) 憲法31条が行政手続においても適用されることは,確定した判例であり,具体的には,不利益を受ける者が告知と聴聞の機会を与えられる権利,事後の不服申立手続の存在,中立機関による事前の裁定,手続継続による期待権がそれぞれ保障されることになる。 しかし,駐留軍用地特措法は,収用委員会の裁決を経ることなく,内閣総理大臣の使用認定,防衛施設局長の裁決申請,担保提供等の一方的行為がなされれば,それだけで地主に対する事前の告知・聴聞の機会を与えることなく強制使用が可能となる。すなわち,対象土地の地主は,権利主張の機会が全く与えられないまま,内閣総理大臣の使用認定,防衛施設局長の意思のみで,自己所有の土地を自己が使用できないだけでなく,自己の望まない方法で使用されてしまうのである。 また,内閣総理大臣の使用認定,防衛施設局長の裁決申請,担保提供等がなされれば一方的に暫定使用権原が発生し,その適法性を争う手段が全く存在しないばかりか,中立機関による事前の裁定も存在しない。 起業者から独立した第三者機関である収用委員会が,国民の権利主張を聞いた上で,公正・中立な立場で審理・裁決をしてこそ中立機関による- 11 -事前の裁定がなされたといえるのであり,それが土地収用法制の基本的体系で 第三者機関である収用委員会が,国民の権利主張を聞いた上で,公正・中立な立場で審理・裁決をしてこそ中立機関による- 11 -事前の裁定がなされたといえるのであり,それが土地収用法制の基本的体系である。しかるに駐留軍用地特措法は,収用委員会の審査を全く経ることなしに,内閣総理大臣の使用認定,防衛施設局長の裁決申請と,その後の担保提供という一方当事者の手続のみで強制使用を可能としており,土地収用法制を根本から破壊するものである。 (オ) 以上により,駐留軍用地特措法は,憲法31条が保障する各種原則に二重三重に違反するものであり,駐留軍用地特措法に基づく本件使用認定は取消しを免れない。 (被告の主張)(ア) 行政手続については,それが刑事手続ではないとの理由のみで,そのすべてが当然に憲法31条による保障の枠外にあると判断することは相当ではないが,同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,保障されるべき手続の内容は,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものである。 これを駐留軍用地特措法の定める土地等の使用又は収用の手続についてみると,同法の定める手続の下に土地等の使用又収用を行うことが,土地等の所有者又は関係人の権利保護に欠けると解することはできず,駐留軍用地特措法は,憲法31条に違反するものではない。 (イ) また,駐留軍用地特措法15条に基づく暫定使用についても,憲法31条に違反するものではない。まず,駐留軍用地特措法15条に基づく暫定使用は,その定める一定の要件に該当する場合には,新たな行政処分を介在させずに,当然に同条1項所定の認定土地等につき暫定使用の権原が発生することを定めたものであり,行政処分による認定土地等の所有者の権利利益の制限を定めたものではない。また,①暫定使用は, 処分を介在させずに,当然に同条1項所定の認定土地等につき暫定使用の権原が発生することを定めたものであり,行政処分による認定土地等の所有者の権利利益の制限を定めたものではない。また,①暫定使用は,既に駐留軍の用に供されている土地等を引き続き駐留軍の用に供するため,必要な権利を取得するための手続がその使用期間の末日までに完了- 12 -しない場合に,その手続の完了に必要な期間に限って,従前からの使用の継続を認めるにすぎないものであること,②暫定使用は,我が国が負っている前記の条約上の義務の不履行という事態に陥ることを回避するために必要な措置として定められたものであること,③暫定使用は,引き続き駐留軍の用に供するためその使用について駐留軍用地特措法5条の規定による内閣総理大臣の認定がされていることをその要件の一つとしているが,この認定は,土地の所有者又は関係人の意見書等を添付している(駐留軍用地特措法4条1項)から,土地の所有者又は関係人には当該土地等を引き続き駐留軍の用に供することについての意見を述べる機会が与えられているといえる。そうすると,前記暫定使用の権原の発生を定めた各規定が憲法31条の法意に反するということはできない。 (2) 本件使用認定は,駐留軍用地特措法3条の「必要性」及び「適正且つ合理的」の要件を満たしているか。 (被告の主張)ア駐留軍用地特措法3条にいう「駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合」とは,使用又は収用しようとする土地等が日米安保条約6条,日米地位協定2条に基づき日米合同委員会において合意された施設及び区域に含まれていることを意味する。したがって,内閣総理大臣は,必要性を判断するに当たって,上記の点以上に,個々の施設及び区域が日米安保条約6条の目的の範囲内で使用されているか否かという具体的使用 区域に含まれていることを意味する。したがって,内閣総理大臣は,必要性を判断するに当たって,上記の点以上に,個々の施設及び区域が日米安保条約6条の目的の範囲内で使用されているか否かという具体的使用の実態についてまで審査する必要はない。 したがって,使用の実態が日米安保条約6条の目的を逸脱することは必要性の要件を欠くこととなり使用認定の違法事由となるとの原告らの主張は,使用認定の取消訴訟の審理の対象外のものであって,主張自体失当である。 イ(ア) 最高裁判所は,駐留軍用地特措法3条の「適正且つ合理的」の判断に- 13 -つき,「我が国の安全と極東における国際の平和と安全の維持にかかわる国際情勢,駐留軍による当該土地等の必要性の有無,程度,当該土地等を駐留軍の用に供することによってその所有者や周辺地域の住民などにもたらされる負担や被害の程度,代替すべき土地等の提供の可能性等諸般の事情を総合考慮してなされるべき政治的,外交的判断を要するだけでなく,駐留米軍基地にかかわる専門技術的な判断を要する」(最高裁判所平成8年8月28日大法廷判決・民集50巻7号1952頁)としている。 すなわち,駐留軍用地特措法3条にいう「適正且つ合理的」とは,対象土地等を駐留軍の用に供する必要があり,かつ,対象土地等を駐留軍の用に供することによる公共の利益と駐留軍の用に供することによって失われる利益とを比較衡量し,前者が後者に優っていることを意味する。 そして,事柄の性質上,使用認定に関する被告の上記裁量は極めて広範なものであることはいうまでもない。 以上のとおり,上記要件の判断は,被告の政策的,技術的な裁量に委ねられていると解されるから,被告のした使用認定の判断は,裁量の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した場合に限って違法となる。 (イ) 嘉手納飛行場は,全体として 件の判断は,被告の政策的,技術的な裁量に委ねられていると解されるから,被告のした使用認定の判断は,裁量の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した場合に限って違法となる。 (イ) 嘉手納飛行場は,全体として駐留軍用地として提供する必要があるから,嘉手納飛行場の枢要部分に位置する本件各土地自体も駐留軍用地として提供する必要がある。 本件各土地を駐留軍用地として提供することは,我が国が日米地位協定25条に定める合同委員会を通じて締結される日米両国間の協定によって合意された施設及び区域を駐留軍の用に供する条約上の義務(日米安保条約6条,日米地位協定2条1項)を履行するために必要不可欠であり,これによって得られる利益は日本国の安全及び極東における国際の平和と安全(日米安保条約6条)という極めて高度の公共の利益であ- 14 -る。 駐留軍用地を提供することによって失われる利益は,本件各土地の所有者がその使用を受忍しなければならなくなるという私益であり,かつ,これに限られる。しかも,使用認定の対象となった本件各土地については正当な補償金が支払われるから,当該所有者が使用認定により経済的損失を受けることはない。 (ウ) 以上のとおり,本件各土地は,これを含む当該駐留軍用地と一体となって駐留軍の用に供する必要があり,これによって得られる公共の利益が極めて高く,これが駐留軍用地として提供することによって失われる利益に優ることが明らかである。 (原告らの主張)ア駐留軍用地特措法3条は,「駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において,その土地等を駐留軍の用に供することが,適正且つ合理的であるときは,この法律の定めるところにより,これを使用し,又は収用することができる。」と定め,駐留軍用地特措法による収用のためには「駐留軍の用に供するための土地等を必要 することが,適正且つ合理的であるときは,この法律の定めるところにより,これを使用し,又は収用することができる。」と定め,駐留軍用地特措法による収用のためには「駐留軍の用に供するための土地等を必要とする場合」のほかに,「その土地等を駐留軍の用に供することが,適正且つ合理的」な場合でなければならないと明記している。 すなわち,駐留軍用地特措法による土地の使用認定(強制使用)は,上記の2つの要件を満たすことが必要である。 したがって,ここでいう「適正且つ合理的」という要件が,単なる「基地の必要性」,「日米安保条約に基づく基地提供義務」と同義語でないことは明らかである。 イ必要性の要件の不存在駐留軍基地の使用実態は,日米安保条約にいう「極東」の範囲を逸脱したものであり,日米安保条約の定める「駐留目的」の範囲内とはいえない。 - 15 -そもそも,駐留軍が日本の安全,日本の防衛とは無関係にアメリカ合衆国の国益を基準に行動する軍隊であるということ,また,「極東」の範囲を逸脱した目的を有していることは,アメリカ合衆国政府,アメリカ合衆国軍関係者から再三言明されてきたところである。 そうすると,駐留軍基地の使用実態が日米安保条約の駐留目的に反していることは明白であるから,本件各土地の使用認定は,駐留目的の範囲を超え,「必要性」の要件を欠くものである。 ウ適正且つ合理的の要件の不存在(ア) 本件各土地の使用状況等は以下のとおりであり,本件各土地を米軍基地のために提供することが「適正且つ合理的」とはいえない。 a本件土地2について本件土地2に関する使用認定申請目的は「保安緩衝地帯用地」であり,現状としては,荒地,広葉樹林になっている。 保安緩衝地帯とは,航空機の運航に伴う安全を図るために,建造物等の高度制限がなされる区域のことをいう。ところが,本 定申請目的は「保安緩衝地帯用地」であり,現状としては,荒地,広葉樹林になっている。 保安緩衝地帯とは,航空機の運航に伴う安全を図るために,建造物等の高度制限がなされる区域のことをいう。ところが,本件土地2は,嘉手納飛行場の側面東方1キロメートル以上の場所に存在し,本件土地2と滑走路の間には建物も存在しているのであるから,保安緩衝地帯として使用する必要性が全くない。 普天間飛行場内の土地のうち,昭和37年6月30日に返還された,滑走路の延長線上で,かつ,着陸帯の北端から約300メートルの位置に存在する土地や,昭和38年8月15日に返還された,着陸帯側面西方約170メートルの位置に存在する土地と対比しても,その必要性が存在しないことは明らかである。 b本件土地3について本件土地3に関する使用認定申請目的は「駐車場敷地」であるが,現状としては,駐車場だけでなく,広葉樹林や建物敷地となっており,- 16 -沖縄電力株式会社が使用する電力線及びその支線,沖縄県企業局が使用する送水管,管理道路,導線が存在する。 本件土地3は,駐留軍兵及びその家族が使用する駐車場のために必要として使用認定申請がなされているが,このような目的のために「強制」使用認定をする必要はない。すなわち,駐留軍兵,特にその家族が使用するための駐車場であれば,①その建設用地を駐留軍の用に供することと日米安保条約1条に掲げる目的遂行との関連性が低いのに対し,②駐車場自体が周辺地域に与える影響が小さいことから,基地周辺の土地を任意に提供してもらって建設し得る可能性が高いので,本件土地3を強制的に収用する必要はない。 また,本件土地3については,使用認定申請目的外に使用されている点(使用実態が異なるだけではなく,使用者についても駐留軍ではなく沖縄電力株式会社や沖縄県企業局という 3を強制的に収用する必要はない。 また,本件土地3については,使用認定申請目的外に使用されている点(使用実態が異なるだけではなく,使用者についても駐留軍ではなく沖縄電力株式会社や沖縄県企業局という日本法人が使用している。)で,著しい違法がある。 c本件土地5について本件土地5に関する使用認定申請目的は,「駐車場敷地」であるが,現状としては,駐車場だけでなく,沖縄県企業局が使用するポンプ室,送水管,電柱,支線が存在する。 本件土地5の使用認定には,本件土地2と同様の問題がある。 d本件土地4について本件土地4に関する使用認定申請目的は,「場内管理道路敷地及び浄水池敷地」であるが,現状として,沖縄県企業局コザ浄水場となっており,沖縄電力株式会社が使用する電力線及びその支線,沖縄県企業局が使用する送水管,管理道路,導線,貯水タンクが存在する。 本件土地4の使用認定には,本件土地2と同様の問題がある。 e本件土地1について- 17 -本件土地1に関する使用認定申請目的は「家族住宅敷地」であり,現状としては,住宅,道路,マンホール等が存在する。 本件土地2と同様の問題があるほか,住宅の高層化を進めればその敷地面積が激減するので,強制使用をする必要性は,更に低い。 (イ) 強制使用によって失われる利益a本件強制使用以前の違法状態嘉手納飛行場は,沖縄戦が始まる前の昭和18年に旧日本軍が地主の同意を得ずに強引に接収した。その後,昭和20年4月,米軍が旧日本軍から武力で接収した。この違法は著しく大きく,この違法状態を解消する必要は極めて高い。 b街作り,都市計画上の被害沖縄市の市域面積4900万平方メートルのうち,嘉手納飛行場,嘉手納弾薬基地,泡瀬通信施設,キャンプ瑞慶覧等の駐留軍基地が1761.2万平方メートルであり,35.9パーセント 作り,都市計画上の被害沖縄市の市域面積4900万平方メートルのうち,嘉手納飛行場,嘉手納弾薬基地,泡瀬通信施設,キャンプ瑞慶覧等の駐留軍基地が1761.2万平方メートルであり,35.9パーセントを占めている。 北谷町では駐留軍基地が56.4パーセント,嘉手納町では82.9パーセントを占めている。 これらの市町村では,基地がある故に,狭溢な場所に相当数の人々が住居や店舗を構えることを余儀なくされている。地区内に走る生活道路は4メートル未満がほとんどで,迷路状に延びており,袋地も多数存在する。市で認定されている道路も少なく,緑地やオープンスペースも乏しい。住宅地においては,全体的に排水,風通しが悪く,火災,浸水,水害,日照,通風,採光等の不良,自動車交通の不便等様々な被害が存在している。 c軍事基地があるが故の基地被害(a) 騒音嘉手納飛行場には,F15C戦闘機やKC135Rストラトタン- 18 -カー空中給油機等の常駐機に加え,空母鑑載機や国内外から飛来する航空機によって,タッチ・アンド・ゴーなどの飛行訓練や,低空飛行,住宅地域に近い駐機場でのエンジンの試運転が絶え間なく行われているため,騒音が激しく,正常な日常生活はもとより,疲労の過重,聴力の異常,授業の中断等,周辺住民に看過できないほどの甚大な被害を与えている。 また,通常の訓練の他,臨時的に行われるORI演習(運用即応観察)や定期的に行われるローリー演習(現地運用態勢訓練)などの演習期間中の騒音は一段と激しく,本基地の周辺住民は,激しく騒音禍に悩まされている。 (b) 航空機事故嘉手納飛行場においては,沖縄の日本復帰以前にも,大型航空機が墜落し,校舎,住宅等に多大な損害を与えるだけではなく,多数の死傷者をも出した事故が相次いで発生していた。それに引き続き,沖縄の日本 故嘉手納飛行場においては,沖縄の日本復帰以前にも,大型航空機が墜落し,校舎,住宅等に多大な損害を与えるだけではなく,多数の死傷者をも出した事故が相次いで発生していた。それに引き続き,沖縄の日本復帰以降も,嘉手納飛行場に所属する航空機の墜落事故が,嘉手納飛行場内及び沖縄本島周辺において多数回発生している。 墜落事故以外にも,嘉手納飛行場の所属機や嘉手納飛行場に飛来している航空機等による物品等落下事故,着陸失敗,緊急着陸,空中接触等の事故が多発しており,住民を絶えず不安に陥れている。 このように,嘉手納飛行場周辺及び嘉手納飛行場に離発着する飛行機の飛行コース下の住民は,常に航空機事故の危険にさらされているのである。 (c) PCB漏出事故嘉手納飛行場内の土地がPCBに汚染されていた事実が,米国下院軍事委員会環境回復審議会によって作成された太平洋基地視察報告書に記載され,嘉手納飛行場報道部も上記事実を認めている。 - 19 -(d) 油流出事故嘉手納飛行場周辺においては,沖縄の日本復帰以前にも,周辺地域への油流出事故が度々発生していた。また,日本復帰以降も油流出事故が続発し,周辺住民に不安を与えている。 (ウ) 以上より,本件使用認定は,「適正且つ合理的」の要件が存在していない。 (3) 本件土地1ないし5はいずれも地籍不明地であり,使用認定を行うことが許されないか。 (被告の主張)ア沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(以下「位置境界明確化法」という。)の規定する位置境界明確化作業の手続は,位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界を明確にすることを目的として,位置境界不明地域の指定に始まり,国土調査法による国土調査の成果としての認証に至る一連の手続であるが,国土調査の成果とし 続は,位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界を明確にすることを目的として,位置境界不明地域の指定に始まり,国土調査法による国土調査の成果としての認証に至る一連の手続であるが,国土調査の成果としての認証がなされていないということは,各筆の土地の位置境界が現実的,客観的に現地に即して特定されていないことを意味するものではない。成果認証作業は,基礎作業,地図編さん作業,復元作業により既に位置境界が確認された各筆の土地につき,その土地の正しい姿を登記簿に反映させるため,国土調査法による調査に準ずる調査を行い,その結果を地図及び簿冊に作成し,国土調査の成果としての認証の申請を行う手続にすぎないからである。本件においても,本件未認証土地は国土調査の成果としての認証を受けていないけれども,各筆の土地の位置境界は,以下のとおり,現地に即して特定されている。 イ本件土地1について(ア) 地籍調査の経緯昭和50年12月に地籍調査を開始し,現況地籍照合図等を閲覧に供- 20 -したが,原告Aは,閲覧せず,編さん地図確認書へも署名押印しなかった。 また,現地確認立会日は昭和54年3月16日であったが,原告Aは前記期日に立ち会わず,現地確認書への署名押印もしなかった。 (イ) 本件土地1は,以下のとおり,現地に即して特定されている。 字aは,字b,字c,字d,字e,字f,字g(以上は国土調査法上の認証地域),字hに隣接しており,字aと前記各小字との境界は,これら関係小字の各代表者,関係地主,古老等の協力による現地調査と測量の結果,見出され,沖縄市長と字の境界の確認協議を行い,同意を得て確定している。 字a(41筆,土地所有者27名)の地域について,原告Aを除く他の土地所有者(40筆,土地所有者26名)は,それぞれその所有する各筆の土地を現地に即して確 確認協議を行い,同意を得て確定している。 字a(41筆,土地所有者27名)の地域について,原告Aを除く他の土地所有者(40筆,土地所有者26名)は,それぞれその所有する各筆の土地を現地に即して確認し,現地確認書に署名押印している。 ウ本件土地2ないし5について(ア) 地籍調査の経緯昭和50年12月に地籍調査を開始し,現況地籍照合図等を閲覧に供し,原告Bから編さん地図確認書への署名押印を得た。 現地確認立会日は昭和54年3月15日であったが,原告Bは,前記期日に立ち会わず,現地確認書への署名押印もしなかった。 (イ) 字hは,字b,字c,字i,字j,字k,字f(以上は国土調査法上の認証地域),字aに隣接しており,字hと前記各小字との境界はこれら関係小字の各代表者,関係地主,古老等の協力による現地調査と測量の結果,見出され,沖縄市長と字の境界の確認協議を行い,同意を得て,確定している。 字h(99筆,土地所有者63名)の地域は,原告Bを除き,他の土地所有者(95筆,土地所有者62名)は,それぞれその所有する各筆- 21 -の土地を現地に即して確認し,現地確認書に署名押印している。 エ編さん地図確認書及び現地確認書への署名押印拒否の理由について(ア) 原告A及び原告Bが現地確認書への署名押印を拒否する等の対応をしているのは,その所有地の位置境界について,その隣接地所有者らとの間に異なった見解を有する等の理由で各筆の位置境界が現地において特定できないためではなく,専ら,米軍基地の存在に反対する立場から,那覇防衛施設局が行う駐留軍用地に係る位置境界明確化作業そのものに反対していることによる。 (イ) このことは,原告A及び原告Bに関する次のような事情をみれば,一層明らかである。 a原告A及び原告Bは,反戦地主会を代表し,昭和55年4月8 界明確化作業そのものに反対していることによる。 (イ) このことは,原告A及び原告Bに関する次のような事情をみれば,一層明らかである。 a原告A及び原告Bは,反戦地主会を代表し,昭和55年4月8日,国土調査法上の認証がなされれば新規に土地が登録されることとなる地主3名と那覇防衛施設局に赴き,「新規登録予定地主は,自分たちが現地確認書未押印のため登録されず,防衛施設局からの借料がもらえないでいる。現地確認書へは押印できないが,別の方法によって位置境界を認めるので,彼らに借料を支払ってほしい。」旨要請した。 これは,地籍明確化作業の過程において,原告A,原告Bらの属するブロックの各筆の土地の位置境界の復元が可能となったことを認め,新地籍による借料の支払を要求したものである。 b原告A及び原告Bは,いずれも,自己所有地が所在する同一ブロック内の他の土地所有者と,自己の土地の位置境界について争っていない。 cまた,原告Aは本件土地1について,原告Bは本件土地2ないし5について,それぞれ補償金を受領し,両原告以外に上記各土地の所有権を主張する者は現れていないのであって,その所有者が両原告であることは明らかである。 - 22 -オ沖縄県収用委員会が過去に行った裁決について沖縄県収用委員会は,昭和57年4月1日付け及び昭和62年2月24日付けの裁決において,本件未認証土地について,それぞれ,「・・・現地に即して精密に測量の上,特定されたものであることは,本件裁決申請の添付書類及び現地調査の結果からして明らかである。」,「地籍明確化法により未だ認証されていない土地であっても・・・基礎図,地籍編さん図,調査図の作成手続等及び所有者として登記がなされていること,隣接地の所有者らによって,その境界が確認されていることに徴すると,本件未認証土地 証されていない土地であっても・・・基礎図,地籍編さん図,調査図の作成手続等及び所有者として登記がなされていること,隣接地の所有者らによって,その境界が確認されていることに徴すると,本件未認証土地は,その地目,地積がその範囲において明確化されていることを認めることができる。従って,本件裁決申請に係る土地は,特定されているものと認められる。」としている。 また,沖縄県収用委員会は,平成10年5月19日付けの裁決において,本件未認証土地について,未だ特定されていないとして申請を却下しているが,那覇防衛施設局長が同処分を不服として,同年6月17日,行政不服審査法に基づいて建設大臣に対して審査請求を行ったところ,建設大臣は,平成12年11月17日付け裁決で,本件未認証土地は現地に即して特定されており,本件裁決申請は何ら土地収用法40条の規定に違反するものではないとして,沖縄県収用委員会の前記処分を取り消した。 (原告らの主張)ア位置境界明確化法による位置境界明確化作業は,関係地主全員の同意(協議の成立)を絶対条件とするものであり,合意がない以上,当該地籍不明地域に存する各筆の土地の位置境界等は,確定することができない。 本件土地1ないし5は,関係地主の協議が成立していない地域に存する土地であり,地籍明確化作業が保留されていて,その位置境界は未だ確定されていない。 イ本件土地1ないし5は,いわゆる地籍不明地域に存在する土地で,その- 23 -位置境界の確定がなされていない地籍不明地である。 本件土地1は,沖縄市字aに所在する土地であり,本件土地2ないし5は,沖縄市字hに所在する土地である。これらの小字であるa及びhにはそれぞれ百筆余の土地が所在するが,いずれの小字も地籍不明地域である。 これらの小字につき,地籍明確化作業において現況照合図が作 し5は,沖縄市字hに所在する土地である。これらの小字であるa及びhにはそれぞれ百筆余の土地が所在するが,いずれの小字も地籍不明地域である。 これらの小字につき,地籍明確化作業において現況照合図が作成されて,いずれも小字界は確定している。 しかし,本件土地1の所有者である原告A,本件土地2ないし5の所有者である原告Bは,いずれも地籍明確化作業の過程において,地図編纂作業における関係所有者全員による協議に参加しておらず,復元作業における現場確認にも立ち会っておらず,現地確認書に署名押印をしていない。 このようにa及びh内に所在する各筆の土地については,関係所有者全員による集団合意は成立していないのであるから,その後の地籍明確化作業は進行し得ず未了のままである。したがって,原告Aないし原告B所有の本件土地1ないし5のみならず,それらの小字地域内に所在するすべての各筆の土地についても位置境界は未だ確定していないのである。 ウ本件土地1は,本来の位置形状と本件使用認定申請によって特定されたとされる対象土地の位置形状が同一のものであるか否か必ずしも明らかではない。 本件土地1の北側隣接地は本来273番の土地であるところ,本件使用認定申請書添付の図面では271番2の土地が配置されていること,土地の形状は,本来は正方形に近い長方形であるが,細長い長方形となっていることに照らし,上記添付の図面に表示された土地が本件土地1と同一のものであるかはおおいに疑問がある。原告Aが,関係所有者全員の協議に参加せず,現地確認の立会いを拒否した理由は,これらの疑問が存するからである。 エ本件土地2ないし5の土地につき,本来の位置形状と本件使用認定申請- 24 -によって特定されたとされる対象土地の位置形状は,そのすべてがことごとく異なっており,また隣接地の配置に らである。 エ本件土地2ないし5の土地につき,本来の位置形状と本件使用認定申請- 24 -によって特定されたとされる対象土地の位置形状は,そのすべてがことごとく異なっており,また隣接地の配置についても本来のものと異なっている。原告Bが関係所有者全員による協議に参加せず,現地確認の立会いを拒否したのは,これらの理由に基づくものである。 したがって,これらの土地は,本件使用認定申請によって特定されたとされる対象土地と同一のものであるかは疑問の存するところである。 オ以上のとおり,本件土地1ないし5の各土地は,位置境界明確化法に基づく地籍明確化作業が完了しておらず,地籍不明地のままである。したがって,本件土地1ないし5の各土地に関する使用認定は,特定不可能な原告A及び原告Bの所有地の位置・数量を使用者である那覇防衛施設局長が一方的に指定した違法な申請に基づいて行われたものであるから,使用認定自体も違法なものとして取り消されるべきである。 カ被告は,本件土地1ないし5の各土地の位置境界は,現地に即して特定されているので,強制使用は可能である旨主張している。 本件使用認定申請書に記載された土地及びその添付書類として提出されている土地等の調書,位置図,実測平面図,概略図でもって特定された土地(同土地が現地に即して特定することは可能である。)が,本件使用認定の対象土地であることは否定しない。しかし,それらの対象土地が原告ら所有の本件土地1ないし5の各土地であるかは不明である。対象土地を現地に即して特定できることが,本件土地1ないし5の各土地の位置境界を特定するものではないからである。被告が特定したとされている土地は,あくまでも申請人である那覇防衛施設局長の一方的主張によって被申請人である原告Aないし原告Bの土地として指定されただけのものであり を特定するものではないからである。被告が特定したとされている土地は,あくまでも申請人である那覇防衛施設局長の一方的主張によって被申請人である原告Aないし原告Bの土地として指定されただけのものであり,これが真実被申請人の土地であるとする証拠はない。 したがって,被告の主張は理由がないといわざるを得ない。 第3当裁判所の判断- 25 - 争点(1)ア(日米安保条約及び日米地位協定が憲法前文,9条に違反するか。 また,国際連合憲章に違反するか。)について(1) 日米安保条約は,主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するものというべきであるから,その内容が違憲か否かの法的判断は,その条約を締結した内閣及びこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす点が少なくない。それゆえ,これが違憲か否かの法的判断は,純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には,原則としてなじまない性質のものである。したがって,一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは,裁判所の司法審査権の範囲外のものであって,それは第一次的には,条約の締結権を有する内閣及びこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく,終局的には主権を有する国民の政治的批判に委ねられるべきものと解するのが相当である。そして,日米安保条約については,一見極めて明白に違憲無効と評価することはできない(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決・刑集13巻13号3225頁参照)。 そうすると,日米安保条約が違憲か否かについて,裁判所の司法審査を求める原告らの主張は採用することができず,また,日米安保条約が違憲であることを前提とする原告らの主張もまた理由がない。 なお,原告らは,上記最高裁判決を前提としても,日米安保条約が違憲である旨るる主 める原告らの主張は採用することができず,また,日米安保条約が違憲であることを前提とする原告らの主張もまた理由がない。 なお,原告らは,上記最高裁判決を前提としても,日米安保条約が違憲である旨るる主張するが,いずれも原告ら独自の理解であり,採用することはできない。 (2) また,日米安保条約が主権国としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するもので,その法的効力に関する判断が純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には,原則としてなじまない性質のものであることは前記(1)のとおりである。そうすると,日米安保条約と国際連合憲章2条4項との効力関係についても,前記(1)で説示したのと- 26 -同様の理由により司法審査の対象になり得ないというべきであって,日米安保条約が国際連合憲章に違反するという原告らの主張も失当である。 争点(1)イ(駐留軍用地特措法が憲法29条に違反するか。)について日米安保条約6条,日米地位協定2条1項によれば,我が国は,日米地位協定25条に定める合同委員会を通じて締結される日米両国間の協定によって合意された施設及び区域を駐留軍の用に供する条約上の義務を負うものとされる。 我が国が,その締結した条約を誠実に遵守すべき義務を負うことは明らかである(憲法98条2項)が,日米安保条約に基づく上記義務を履行するために必要な土地等を,必ずしもすべて所有者との合意に基づき取得することができるとは限らない。そうすると,これができない場合に,当該土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であることを要件として(駐留軍用地特措法3条),これを強制的に使用し,又は収用することは,条約上の義務を履行するために必要であり,かつ,その合理性も認められるのであって,私有財産を公共のために用いることにほかなら して(駐留軍用地特措法3条),これを強制的に使用し,又は収用することは,条約上の義務を履行するために必要であり,かつ,その合理性も認められるのであって,私有財産を公共のために用いることにほかならないものというべきである。(最高裁判所平成8年8月28日大法廷判決・民集50巻7号1952頁参照)したがって,駐留軍用地特措法が憲法29条1項,3項に違反するとの原告の主張も理由がないというべきである。 争点(1)ウ(駐留軍用地特措法が憲法31条に違反するか。)について行政手続については,それが刑事手続でないとの理由のみで,そのすべてが当然に憲法31条による保障の枠外にあると判断することは相当ではないが,同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,保障されるべき手続の内容は,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものである(最高裁判所平成4年7月1日大法廷判決・民集46・5号437頁参照)。 そこで,駐留軍用地特措法の定める土地等の使用又は収用の手続についてみ- 27 -ると,同法の定める手続の下に土地等の使用又は収用を行うことが,土地等の所有者又は関係人の権利保護に欠けると解することはできない(前記最高裁判所平成8年8月28日大法廷判決参照)。 なお,原告らは,①駐留軍用地特措法が,所有者等の利害関係人が使用・収用認定に対する意見を述べる前提となる使用・収用認定申請情報の開示制度を欠如させていること,あるいは②駐留軍用地特措法が収用委員会の判断を経ないで一定の要件の下に防衛施設局長に対し「暫定使用権」を付与していることが,憲法31条に違反するなどと主張する。 確かに,原告ら主張のとおり,土地収用法においては,国土交通大臣又は都道 の判断を経ないで一定の要件の下に防衛施設局長に対し「暫定使用権」を付与していることが,憲法31条に違反するなどと主張する。 確かに,原告ら主張のとおり,土地収用法においては,国土交通大臣又は都道府県知事に市町村長への事業認定申請書等の写しの送付を,また,送付を受けた市町村長に送付に係る書類の縦覧をそれぞれ義務付け(24条),利害関係人に意見書の提出を求めている(25条)のに対し,駐留軍用地特措法においては,このような規定は存しない。 しかしながら,駐留軍用地特措法には,上記規定に相当するものとして,4条1項に,防衛施設局長は,使用・収用の認定の申請書を提出する際に,所有者又は関係人の意見書を添付しなければならない旨定めている。 そして,所有者又は関係人が使用・収用の認定処分につき最も利害関係を有すること,駐留軍用地特措法においては,使用・収用者は国のみに限られ,その目的も「駐留軍の用に供するため」に限られていること等に照らすと,駐留軍用地特措法が使用・収用認定申請情報の開示制度を欠如していることをもって,直ちに使用・収用される土地所有者等の権利保護に欠けるものとはいい難い。 また,暫定使用は,①既に駐留軍の用に供されている土地等を引き続き駐留軍の用に供するため,必要な権利を取得するための手続がその使用期間の末日までに完了しない場合に,その手続の完了に必要な期間に限って,従前からの使用の継続を認めるにすぎないものであること,②上記暫定使用は,我が国が- 28 -負っている前記の条約上の義務の不履行という事態に陥ることを回避するために必要な措置として定められたものであること,③上記暫定使用は,引き続き駐留軍の用に供するためその使用について駐留軍用地特措法5条の規定による内閣総理大臣の認定がされていることをその要件の一つとしているが,この として定められたものであること,③上記暫定使用は,引き続き駐留軍の用に供するためその使用について駐留軍用地特措法5条の規定による内閣総理大臣の認定がされていることをその要件の一つとしているが,この認定は,土地の所有者又は関係人の意見書等を添付した上でされた防衛施設局長の認定申請に基づいて行われるものとされており(駐留軍用地特措法4条1項),土地の所有者又は関係人には当該土地等を引き続き駐留軍の用に供することについての意見を述べる機会が与えられていること等に照らせば,収用委員会の判断を経ないで一定の要件の下に防衛施設局長に対し「暫定使用権」を付与していることをもって,直ちに駐留軍用地特措法が憲法31条に違反すると判断することはできない(最高裁判所平成15年11月27日第一小法廷判決・民集57巻10号1665頁参照)。 以上より,駐留軍用地特措法が憲法31条に違反するとの原告らの主張は,いずれも採用することができない。 争点(2)(本件使用認定は,駐留軍用地特措法3条の「必要性」及び「適正且つ合理的」の要件を満たしているか。)について(1) 駐留軍用地特措法は,駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において,当該土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であると認められるときは,当該土地等の使用認定をすべきものとしているところ(同法5条,3条),同法3条にいう「適正且つ合理的」とは,対象土地等を駐留軍の用に供する必要性があること及び対象土地等を駐留軍の用に供することによる公共の利益と駐留軍の用に供することによって失われる利益とを比較衡量し,前者が後者に優っていることと解すべきである。 そして,この認定に当たっては,我が国の安全と極東における国際の平和と安全の維持にかかわる国際情勢,駐留軍による当該土地等の必要性の有無,程度 較衡量し,前者が後者に優っていることと解すべきである。 そして,この認定に当たっては,我が国の安全と極東における国際の平和と安全の維持にかかわる国際情勢,駐留軍による当該土地等の必要性の有無,程度,当該土地等を駐留軍の用に供することによってその所有者や周辺地域- 29 -の住民などにもたらされる負担や被害の程度,代替すべき土地等の提供の可能性等諸般の事情を総合考慮してなされるべき政治的,外交的判断を要するだけでなく,駐留軍基地にかかわる専門技術的な判断を要することも明らかであるから,その判断は,被告の政策的・技術的な裁量に委ねられていると解するのが相当である(前記最高裁判所平成8年8月28日大法廷判決参照)。 (2) そこで検討するに,日本政府は,昭和47年5月15日,日米合同委員会において,日米安保条約6条及び日米地位協定2条に基づき駐留軍が沖縄県内で使用を許される施設及び区域の提供等について合意し,この合意によれば,本件各土地は提供に係る施設及び区域に含まれている。 また,本件各土地は,嘉手納飛行場の家族住宅敷地等として使用され,嘉手納飛行場全体と一体となって有機的に機能している。 そうすると,本件各土地は,いずれも嘉手納飛行場全体と一体となって有機的に機能する土地である以上,全体として駐留軍用地として提供する必要があるといえる。 なお,原告らは,嘉手納飛行場の使用実態が日米安保条約6条の目的を逸脱するものであり,本件各土地を使用・収用する必要性を欠くと主張する。 しかし,前記のとおり,日米安保条約の定める目的を逸脱しているか否かについては,司法審査の対象とはならないと解すべきであり,原告の主張は失当である。 (3) 強制使用によって失われる利益について前記のとおり,条約上の義務の履行として,嘉手納飛行場を全体として駐留軍用地とし ,司法審査の対象とはならないと解すべきであり,原告の主張は失当である。 (3) 強制使用によって失われる利益について前記のとおり,条約上の義務の履行として,嘉手納飛行場を全体として駐留軍用地として提供する必要があることが認められ,本件各土地も一体となって提供する必要性が認められる。そして,本件各土地はいずれも嘉手納飛行場と一体となって有機的に機能していること,本件各土地は使用認定の対象となることから正当な補償金が支払われること等に照らすと,原告らの主- 30 -張する駐留軍基地の実情やそれによって生じている問題を考慮しても,強制使用によって失われる利益が,本件各土地を駐留軍の用に供する必要性及び公共の利益に優越し,被告の裁量を明らかに逸脱しているとまでは認められないというべきである。 (4) そうすると,本件使用認定は,駐留軍用地特措法3条の要件を満たすものと認められ,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 争点(3)(本件土地1ないし5がいずれも地籍不明地であり使用認定が許されないか。)について(1) 証拠(各項掲記の他,甲7,10,原告B,原告A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ア第二次世界大戦後の沖縄における土地所有権認定作業(甲4)(ア) 米軍による土地所有権認定制度a沖縄においては,戦災によって公図・公簿が焼失し,県土は破壊され,多くの住民は死亡し,離散し又は収容所に保護されたため,所有権を中心とする市民の法秩序は混乱した状況にあった。 b米軍は,占領政策を遂行する上で,土地制度を整備し,公図・公簿を早急に再製する必要があったことから,1946年(昭和21年)2月28日付け米国海軍々政本部指令第121号「土地所有権関係資料蒐集に関する件」(以下「指令第121号」という。)を発 し,公図・公簿を早急に再製する必要があったことから,1946年(昭和21年)2月28日付け米国海軍々政本部指令第121号「土地所有権関係資料蒐集に関する件」(以下「指令第121号」という。)を発令し,土地の所有権認定に関する準備を始めた。その概要は以下のとおりである。 (a) 沖縄本島及びその周辺地域の各字において,すべての土地所有権に関して調査をする権限を与えられた10名の「字土地所有権委員」が,また,市町村においても,同様の権限を与えられた5名の「市町村土地所有権委員」が,各市町村長によってそれぞれ任命され,すべての土地所有権に関しての調査を行う権限が与えられた。 - 31 -(b)私有地の所有者は,隣接の土地所有者2人の保証人の連署を添えて土地所有権申請書を字土地所有権委員会に提出し,同委員会はこれに基づいて土地の調査測量を行い土地を表示した地図を作成し,土地所有権申請書を添えて市町村長に報告した。 (c) また,市町村土地所有権委員は,公有地や所有者の判明しない土地(未確定土地)について調査し,その結果を市町村長に報告した。 このようにして字と市町村の土地所有権委員会から報告を受けた市町村長は,受理した所有権関係資料を整理して土地所有権委員会によって認定された地図を沖縄諮詢会総務部の精査を受けるために提出することとされていた。 c米軍は,1950年(昭和25年)2月1日には,軍政本部指令第1号に基づき知事の任命による土地所有権認定中央委員会を組織し,土地所有権に関する資料の総合調整と土地問題の進言に当たらせた。 d更に米軍は,これらの作業がほぼ完了したとして,同年4月1日付けで米軍本部特別布告第36号「土地所有権証明書」を公布した。その主な内容は以下のとおりである。 (a) 字土地所有権委員会に対する土地所有権申請書の これらの作業がほぼ完了したとして,同年4月1日付けで米軍本部特別布告第36号「土地所有権証明書」を公布した。その主な内容は以下のとおりである。 (a) 字土地所有権委員会に対する土地所有権申請書の提出は,1950年(昭和25年)6月30日までとし,その後の所有権の主張は巡回裁判所に提訴する。 (b)土地所有権認定中央委員会は,土地所有権委員会における所有権申請書の蒐集,調査及び地図作成の正確性を確保するため帳簿審査をなし,土地所有権証明書用紙を作成して土地所有権委員会に同用紙を交付する。 (c) 土地所有権委員会は,土地所有権に争いのないものから証明書用紙に必要事項を記入し,土地の位置を示す申請人の原図に相違点があれば,証明書用紙に注意書を付すものとし,保証人の署名を欠い- 32 -た申請書は一括して30日間縦覧に供され,異議のある者は土地所有権委員会に申し立てる。 (d)村長は,一定期間公示した後,異議又は争いのないものに署名捺印して土地所有権証明書を交付するものとし,同証明書の謄本は,土地登記所,税務署及び中央土地事務所にそれぞれ送付する。 (e) 署名された土地所有権証明書は,適法な土地所有権の証拠として認められる。ただし,裁判所の決定による土地所有権の効力は,市町村長の発行した証明書よりも優先する。 (f) 指令第121号で組織された土地所有権委員会は,1951年(昭和26年)で任務を完了し,解散するものとし,土地所有権申請書原本は,地図及びその他の資料とともに中央土地事務所に送付される。 e以上の制度によって,土地所有権の認定証明及び登記に関する事務が進められたが,米軍は,1951年(昭和26年)6月13日琉球列島米軍民政府布告第8号「土地所有権」を公布し,土地所有権認定業務の一層効果的な完了を図った。このように, 定証明及び登記に関する事務が進められたが,米軍は,1951年(昭和26年)6月13日琉球列島米軍民政府布告第8号「土地所有権」を公布し,土地所有権認定業務の一層効果的な完了を図った。このように,終戦後の布告,布令に基づき,土地所有権証明書が交付され,同時に地図等も作成された。 (イ) 土地所有権認定制度の問題点戦後の沖縄における土地所有権認定作業は前記(ア)のとおりであるが,前記認定作業は,次のような幾多の悪条件が重なる中で実施されたため,その成果とされている地図や土地登記簿及び土地台帳は不完全なものであった。すなわち,a当時の人心は,虚脱状態から抜けきっておらず,生きるのが精一杯で土地に対する所有権意識が薄かった。 b測量器は,不完全きわまるもので,更に測量技術者も不足し,にわか仕込みの技術者の手によって測量が行われ,基準点の設置どころで- 33 -はなかった。 c戦争によって,人々は,離散,死亡,行方不明となったほか,海外からの未帰還者も多かった。 d基地のほとんどは立入禁止となり,原形物証が確認できても調査測量することができなかった。 特に地図は,土地の境界を現地において復元し得る能力が備わっていない粗末なものであった。 (ウ) 土地調査法に基づく地籍調査このように不正確な公図,公簿に替えて,より正確なものを作成すべく,琉球政府は,1957年立法第105号で,本土法の国土調査法を母体とした「土地調査法」を制定し,昭和35年度から糸満市(旧兼城村)等において地籍調査を開始し,昭和38年から本格的に名護市(旧久志村)ほか5市町村において地籍調査を行うこととなった。 土地調査法によって,復帰までの間に県下で約1260平方キロメートルの土地の調査が完了し,そのうち約998平方キロメートルの土地が確定,認定されて登記所に送付 村において地籍調査を行うこととなった。 土地調査法によって,復帰までの間に県下で約1260平方キロメートルの土地の調査が完了し,そのうち約998平方キロメートルの土地が確定,認定されて登記所に送付され,これにより当該土地の地積等の変更がなされた。しかし,調査済みの土地であっても,米軍に軍用地として使用されている土地については,1959年7月14日民政府指令第3号「米軍が権利を保有又は取得する土地に関する登記について」(以下「指令第3号」という。)により,分合筆,地積,地目変更が実質的に禁止された。したがって,土地調査の結果を登記簿に移記して活用することはできなかった(エ) 復帰後の地籍調査及び「位置境界明確化法」に基づく地籍明確化作業a沖縄の日本復帰前,土地調査法に基づいてなされた地籍調査は「沖縄県の復帰に伴う経済企画庁関係法令の適用の特別措置に関する政令」に基づき,国土調査法によってなされた地籍調査とみなされ,同- 34 -時に復帰後の地籍調査は国土調査法に基づいて継続された。なお,前記のとおり,指令第3号のため登記簿に移記することができなかった成果については,復帰に伴う同指令等の失効により,登記簿に移記されるに至ったが,前記のようにして作成された地図については,昭和47年8月10日付け那覇法務局長通達「復帰に伴う登記事務の取扱いについて」により,不動産登記法(平成16年法律第123号による改正前のもの。)17条所定の地図とはしない旨通達された。 b位置境界明確化法による土地の位置境界の明確化手続について位置境界明確化法は,前記ア(ア)のとおり,沖縄県の区域内において,位置境界の不明な地域が広範且つ大規模に存在することとなり,関係所有者等の社会的経済的生活に著しい支障を及ぼしていることに鑑み,位置境界不明地域内の各筆の土 (ア)のとおり,沖縄県の区域内において,位置境界の不明な地域が広範且つ大規模に存在することとなり,関係所有者等の社会的経済的生活に著しい支障を及ぼしていることに鑑み,位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化のため,昭和52年5月18日公布されたものである。 駐留軍用地における位置境界明確化作業手続の概要は,以下のとおりであり,本件土地1ないし5を含む一体の土地についても,この作業手順によって位置境界明確化作業が進められた。 (a) 位置境界明確化法の規定する位置境界明確化の作業手続は,これを基礎作業,地図編さん作業,復元作業,成果認証作業の4段階に大きく分類することができる。 基礎作業は,位置境界不明地域(太平洋戦争による破壊又はアメリカ合衆国の軍隊の行為によって,土地の形質が変更され,又は土地登記簿及び地図が滅失したことにより,各筆の土地の位置境界が明らかでないこととなった土地が広範に存在する地域をいう。)を指定し,前記地域について,市町村界,字界,物証等を記載した地図を作成する手続である。 まず,防衛施設庁長官は,位置境界不明地域を指定し(位置境界- 35 -明確化法2条1項,同法施行令1条1項),前記指定に係る地域を官報で告示するとともに沖縄県知事及び関係市町村長に通知する(同法施行令1条3項。本件土地1ないし5が位置境界不明地域に含まれることについて,乙12)。 那覇防衛施設局長(同法25条,同法施行令16条2項)は,位置境界不明地域について,市町村界にあっては,沖縄県知事及び関係市町村長と,市町村の区域内の字界にあっては,関係市町村長とそれぞれ協議の上,市町村界,字界及び道路等各筆の土地の位置境界を明らかにするため参考となる物の位置を記載した地図(以下「現況照合図」という。)を作成する(同法5条)。 現況照合図 ,関係市町村長とそれぞれ協議の上,市町村界,字界及び道路等各筆の土地の位置境界を明らかにするため参考となる物の位置を記載した地図(以下「現況照合図」という。)を作成する(同法5条)。 現況照合図作成の具体的手続は,およそ次のとおりである。 まず,各種測量の基準点となる地籍図根三角点及び地籍図根多角点を設置する。 次に,航空測量による現況地形図を作成する。 前記地籍図根点を基礎として,関係市町村,同法施行令3条1項により選任された協力委員,古老,関係土地所有者等の協力を得て,位置境界不明地域内の物証(道路,河川その他土地の位置境界を明らかにするために参考となる物),実測可能地,市町村界,市町村の区域内の字界の測量を行う。 その測量の結果を平板原図及び総合原図に作成し,市町村界については沖縄県知事及び関係市町村長と,字界については関係市町村長と協議し,前記市町村界,字界の確認を受ける。 確認を終了したときは,現況地形図に市町村界及び字界を表示した現況照合図を作成する。 次に,那覇防衛施設局長は,現況照合図及びこれに関する写真,書面を那覇防衛施設局等において一般の閲覧に供するとともに,そ- 36 -の旨を官報等により公告する(同法7条,同法施行規則2条)。 当該公告があったときは,当該位置境界不明地域内の土地所有者は,字等の区域ごとに代表者を定め,代表者はその住所,氏名等を那覇防衛施設局長に届け出なければならず(同法8条,同法施行規則4条),那覇防衛施設局長は前記届出があったときは,前記代表者に対し現況照合図及びこれに関する写真,書面を交付し,その旨等を官報等に公告する(同法9条,同法施行令5条,同法施行規則5条)。 (b)地図編さん作業は,基礎作業における調査,測量の結果得られた成果,資料等を基に,字等ごとに,関係所有者間の協議により 旨等を官報等に公告する(同法9条,同法施行令5条,同法施行規則5条)。 (b)地図編さん作業は,基礎作業における調査,測量の結果得られた成果,資料等を基に,字等ごとに,関係所有者間の協議により,各筆の位置,境界,形状,面積等を地図上において確認(編さん)する手続である。 那覇防衛施設局長は,関係所有者に対し,全員の協議により字等の区域内の各筆の土地の位置境界を確認するよう書面で求める(同法10条1項,同法施行規則6条)。 確認を求められた関係所有者は,全員の協議により,字等の区域内の各筆の土地の位置境界を確認する(同法10条2項)。 前記協議により各筆の土地の全部又は一部の位置境界が確認されたときは,関係所有者は,全員で那覇防衛施設局長に対しその旨及び協議の内容を書面で通知する(同法12条1項,同法施行規則7条)。 前記編さん作業は,位置境界不明地域内の土地所有者が自主的に行うものであるところ,同法11条に基づき,那覇防衛施設局長は,以下のとおり必要な援助を行った。 字等の区域(以下「ブロック」という。)ごとに,前記(a)の平板原図を写したブロック編さん図を作成する。このブロック編さん- 37 -図を利用して,関係所有者が各筆の土地の位置境界を協議し,確認する。確認されたときは,ブロック編さん図に各筆の土地を表示した図面(一筆地編纂図)を作成する。 次に一筆地編纂図に基づき各筆の土地の位置境界を現況地形図に表示し,現況地籍照合図を作成する。 現況地籍照合図を作成したときは,その旨を代表者に通知するとともに,一筆地編纂図,現況地籍照合図,面積測定計算簿その他参考資料を関係所有者の閲覧に供し,関係所有者に各筆の土地の位置境界の確認を求める。 関係所有者が前記確認をしたときは,編さん地図確認書を作成し,所有者の署名押印を求める。 ( 面積測定計算簿その他参考資料を関係所有者の閲覧に供し,関係所有者に各筆の土地の位置境界の確認を求める。 関係所有者が前記確認をしたときは,編さん地図確認書を作成し,所有者の署名押印を求める。 (c) 復元作業は,地図編さん作業により確認された各筆の土地の位置境界につき現地においてその筆界点に表示杭を設置し(表示杭を設置できない場合は,別に筆界点が表示できるよう所要の措置を講じる。),関係所有者がこれを確認する作業である。 那覇防衛施設局長は,同法12条1項の通知に係る土地の所有者に対し,土地の位置境界を現地に即して確認するため立ち会うべき場所,期日等をその立会期日の10日前までに書面で通知する(同法12条2項,同法施行令7条。乙18の1・2)。 通知を受けた者は,その通知に従って立ち会い,土地の位置境界を現地に即して確認しなければならない(同法12条3項)。この確認に先立って,一筆地編纂図に従い,各筆の土地につき,その筆界点に表示杭又は仮表示杭を設置する。 那覇防衛施設局長は,土地の位置境界が現地に即して確認されたときは,その土地の位置境界を表示した図面及びその土地の地番,面積等を記載した書面(現地確認書)を作成し,これに立会者の署- 38 -名押印を求める(同法12条4項,同法施行規則8条。乙16の1~3,乙17,乙19の1~3)。 (d)成果認証作業は,同法12条までの手続,すなわち,基礎作業,地図編さん作業,復元作業により既に位置境界が確認された各筆の土地につき,その土地の正確な姿を登記簿に反映させるため,土地の所有者,地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い,その結果を地図及び簿冊に作成し,国土調査の成果としての認証の申請に至る手続である。 現地確認書によりブロック内の各筆の土地の全部又は一部の位置境界が 目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い,その結果を地図及び簿冊に作成し,国土調査の成果としての認証の申請に至る手続である。 現地確認書によりブロック内の各筆の土地の全部又は一部の位置境界が明らかになったときは,那覇防衛施設局長は,所要の公示をした上,当該土地について,所有者,地番,地目の調査及び境界,地積の測量を行い,その結果を地図及び簿冊に作成する(同法14条,国土調査法7条)。(乙25の1・2,乙26)この地図及び簿冊を作成したときは,那覇防衛施設局長はその旨を公告し,かつ,関係市町村事務所等において前記公告の日から20日間前記地図及び簿冊を一般の閲覧に供する(位置境界明確化法14条3項,国土調査法17条1項)。 閲覧に供された地図及び簿冊に測量又は調査上の誤り等があると認める者は,閲覧期間内に那覇防衛施設局長に対し,その旨を申し出ることができ(位置境界明確化法14条3項,国土調査法17条2項),その申出に係る事実があると認めるときは,那覇防衛施設局長は地図及び簿冊を修正する(位置境界明確化法14条3項,国土調査法17条3項)。 那覇防衛施設局長は,前記地図及び簿冊について国土調査法19条5項の国土調査の成果としての認証を申請する(位置境界明確化法17条)。 - 39 -内閣総理大臣(平成11年法律第160号による改正により,現在は国土交通大臣に変更)は,その申請の地図及び簿冊を国土調査の成果と同一の効果があるものとして指定する(国土調査法19条5項。乙20の1)。 なお,内閣総理大臣は,この指定をしたときは,当該調査に係る土地の登記の事務を掌る登記所に前記地図及び簿冊の各写しを送付し(国土調査法20条1項),これを受け取った登記所は,前記送付に係る地図及び簿冊に基づいて,土地の表示に関する登記及び所有権の登記名義 土地の登記の事務を掌る登記所に前記地図及び簿冊の各写しを送付し(国土調査法20条1項),これを受け取った登記所は,前記送付に係る地図及び簿冊に基づいて,土地の表示に関する登記及び所有権の登記名義人の表示の変更の登記を行う(国土調査法20条2項)。 イ嘉手納飛行場は,嘉手納町,沖縄市,北谷町(当時は村)の三市町にまたがるため,市町界については,昭和52年6月7日,沖縄市長,嘉手納町長,北谷村長とが協議・確認をして署名し,字界については,関係市町村長と関係地主会代表者が確認して署名をし,市町村界,字界,ブロック界について確認をした(乙13,14)。 ウ本件各土地の特定について(ア) 本件土地1について那覇防衛施設局は,昭和50年12月に地籍調査を開始し,現地を調査測量して作成した現況地籍照合図等を閲覧に供したが,原告Aは,一筆地編纂地図確認書に署名,押印しなかった(乙15,16の2,乙17)。 那覇防衛施設局長は,各筆の土地の位置境界を,現地に即して確認するための現地立会日を昭和54年3月16日と定めたが,原告Aは,当日立ち会わず,現地確認書にも署名押印をしなかった(乙18の1,乙19の2)なお,本件土地1の所在する沖縄市字aの市町村界,字界,ブロック- 40 -界については,前記イのとおり確認がなされており,沖縄市字aの原告A以外の土地所有者はいずれも,位置境界について確認し,署名押印をしている(乙14,19の2)。 (イ) 本件土地2ないし5について那覇防衛施設局長は,昭和50年12月に地籍調査を開始し,現地を調査測量して作成した現況地籍照合図等を閲覧に供した上,昭和53年3月31日,原告Bから本件土地2ないし5に関し,一筆地編纂地図確認書に署名,押印を得ている。(乙15,16の1,乙17)那覇防衛施設局長は,各筆の土 た現況地籍照合図等を閲覧に供した上,昭和53年3月31日,原告Bから本件土地2ないし5に関し,一筆地編纂地図確認書に署名,押印を得ている。(乙15,16の1,乙17)那覇防衛施設局長は,各筆の土地の位置境界を,現地に即して確認するための現地立会日を昭和54年3月15日と定めたが,原告Bは,当日立ち会わず,現地確認書には署名押印をしなかった。(乙18の1,乙19の1)なお,本件土地2ないし5の所在する沖縄市字hの市町村界,字界,ブロック界については,前記イのとおり確認がなされており,沖縄市字hの原告B以外の土地所有者はいずれも,位置境界について確認し,署名押印をしている(乙14,19の1)。 (ウ) 原告Aは,本件土地1についての,また,原告Bは本件土地2ないし5についての補償金をそれぞれ受領している。また,原告Aないし原告B以外に現地で本件土地1ないし5とされている部分について所有権を主張する者はおらず,原告Aないし原告Bと隣接所有者らとの間で,土地境界紛争等も生じていない。(乙24の1・2)(2) 前記(1)イ,ウのとおり,本件土地1ないし5については,原告A,原告B以外の同じ小字の土地所有者は境界について確認し,特に争っていないことに加えて,原告A及び原告Bはいずれも本件土地1ないし本件土地2ないし5に関する軍用地料を受領していること,現地で本件土地1ないし5とされている部分について原告A及び原告B以外に所有権を主張している者はお- 41 -らず,原告Aないし原告Bと隣接所有者らとの間で,土地境界紛争等も生じていないことを併せ考慮すると,本件土地1ないし5については,いずれも現地に即して特定されているというべきである。 (3) なお,原告A,原告Bは,いずれも,本件土地1ないし5の形状が,現地において確認されたものと異なっ すると,本件土地1ないし5については,いずれも現地に即して特定されているというべきである。 (3) なお,原告A,原告Bは,いずれも,本件土地1ないし5の形状が,現地において確認されたものと異なっており,現地に即して特定されたとはいえないと主張する。 確かに,本件土地1についてみると,米軍占領下での土地所有権認定作業における土地所有権申請書に添付されている見取図又は測量図(甲8)と,現地において確認された地籍図(乙19の2)とでは,土地の形状が異なっており,地積についても異なっていることが認められる。 また,本件土地2ないし5についてみても,本件土地5以外は,同様に土地所有権認定作業における土地所有権申請書に添付されている見取図又は測量図(甲11~14)と,現地において確認された地籍図(乙19の1)とで,位置形状が異なっている。 しかし,米軍占領下における所有権認定作業は,前記(1)ア(ア)のとおり,確かに保証人2人の署名押印を得ているものであり,それなりに信用性は高いと認められるものの,その所有権認定作業が十分ではなく,作成された地図も現地復元性があるとまでは認められないものである。特に本件土地1ないし5のような米軍基地内の土地については,前記のとおり基地内の立入が禁止されており現地立会が困難であったことに鑑みると,土地の形状や位置関係自体も含めて土地所有権認定作業の成果には疑問を呈せざるを得ない。 そして,これと比較すると,位置境界明確化法に基づき,原告Aないし原告B以外の他の土地所有者が参加して確定しようとしたそれぞれの小字内の位置境界は,前記位置境界明確化作業の手順・内容に鑑み,信用性が高いというべきであり,原告A及び原告Bの上記主張を採用することはできない。 第4 結論 - 42 -以上の次第で,本件使用認定は適法であって,原 ,前記位置境界明確化作業の手順・内容に鑑み,信用性が高いというべきであり,原告A及び原告Bの上記主張を採用することはできない。 第4 結論 - 42 -以上の次第で,本件使用認定は適法であって,原告らが主張するような違憲,違法な点があるとは認められず,原告らの被告に対する本件各請求は,いずれも理由がないこととなる。 よって,主文のとおり判決する。 那覇地方裁判所民事第1部裁判長裁判官西井和徒裁判官岩﨑慎裁判官北村治樹- 43 -別紙物件目録 所在沖縄市字a地番272番地目宅地地積489.25平方メートル 所在沖縄市字h地番359番地目山林地積1203平方メートル 所在沖縄市字h地番361番2地目畑地積4633平方メートル 所在沖縄市字h地番362番地目宅地地積1186.77平方メートル 所在沖縄市字h地番385番地目山林- 44 -地積1041平方メートル 所在中頭郡嘉手納町i地番351番地目畑地積138平方メートル- 45 -別紙FAC6037嘉手納飛行場被告平成16年2月24日付別紙図面1(省略)
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