昭和25(ニ)2434 関税法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和26年9月17日 福岡高等裁判所 破棄差戻
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【DRY-RUN】主    文      各原判決を破棄する。      本件を原裁判所に差し戻す。          理    由  被告人両名の弁護人鶴田英夫の控訴趣意は、同弁護人の提出している各控訴趣意 書記載の

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判決文本文2,969 文字)

主文 各原判決を破棄する。 本件を原裁判所に差し戻す。 理由 被告人両名の弁護人鶴田英夫の控訴趣意は、同弁護人の提出している各控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引用する。 弁護人鶴田英夫の被告人Aに関する控訴趣意第二点の(一)及び被告人Bに関する控訴趣意第一点について。 記録を調べると、各原判決が被告人Aに対し、同被告人が他人の依頼をうけて密輸出すべき物資を、その情を知つて、運搬した事実、及び被告人Bに対し同被告人が印画紙等の密輸出を図つた事実を、それぞれ認定しその証拠資料として、被告人Aに対する判決の証拠の標目中「一、Bの検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書、一、Bの司法警察員に対する第二、三回供述調書」を、及び被告人Bに対する判決の証拠の標目中「一、Aの検察官事務取扱検察事務官に対する第二回供述調書、一、Aの司法警察員に対する第二、三回供述調書」を摘示していること、被告人両名は判決の言渡こそ各別にうけているが、共同被告人として、共同の審理をうけたもので、右各被告人の供述調書については、原審第六回公判期日の公判廷で、検察官のしたその取調の請求に対し、被告人両名及び弁護人は、いずれもこれを証拠とすることに同意しないと述べており、原審は刑事訴訟法第三百二十二条により取調べるといつてその証拠調をしていることが明らかである。 <要旨第一>案ずるに共犯関係のない共同被告人は、ただ手続上の便宜によつて各被告人の事件が同一の訴訟手続に併合</要旨第一>されて共同の審理をうけるもので被告人にとつては、第三者の関係にあるものと視るべきものであるから被告人の共同被告人に対する反対尋問権を確保するために、共犯関係のない共同被告人の公判外における供述、すなわち、共同被告人の作成した供述書又は共 つては、第三者の関係にあるものと視るべきものであるから被告人の共同被告人に対する反対尋問権を確保するために、共犯関係のない共同被告人の公判外における供述、すなわち、共同被告人の作成した供述書又は共同被告人の供述を録取した書面は、刑事訴訟法第三百二十一条の適用をうけるものと解するのが相当であり、従つて、これを証拠とすることの同意が得られない以上、同条所定の要件を具備するときに限り証拠能力を有するものといわねばならない。 <要旨第二>ところで共同被告人の検察官に対する供述調書について、被告人のこれを証拠とすることの同意が得られな</要旨第二>い場合、その証拠能力の有無を判定するに当つては、必らずしも、事件を分離し、共同被告人を証人として公判廷でその供述を求め、改めて被告人の反対尋問にさらさなくとも、もともと共同被告人は、同一の公判廷で共同の審理をうけ、刑事訴訟法第三百十一条第三項により、相互に反対尋問をなし得る機会が与えられておつて、被告人の共同被告人に対する反対尋問権は事実上確保されており、しかも共同被告人の公判廷における供述の内容は既に訴訟の経過によつて明白であるから、それが刑事訴訟法第二百二十一条第一項第二号後段の要件を具備するものと認められる限り、直ちにこれに証拠能力を認めて証拠とすることができるものと解するのが相当である。 してみれば、原審が共同被告人の検察官に対する供述調書を証拠とするにあたり所論のように厳格なる意味における被告人の共同被告人に対する反対尋問権の行使をさせないで、直ちにこれを、各被告人の事実認定の証拠に供したこと、すなわち、本件において、前記のとおり、被告人Aに対する事実認定の資料として共同被告人Bの検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書を、又、被告人Bに対する事実認定の資料として共同被告人Aの検察官事務取 わち、本件において、前記のとおり、被告人Aに対する事実認定の資料として共同被告人Bの検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書を、又、被告人Bに対する事実認定の資料として共同被告人Aの検察官事務取扱検察事務官に対する第二回供述調書を、それぞれ刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号後段の要件を具備するものと認めて、証拠に供したことは、前段説明したところによつて正当であるから、共同被告人の検察官に対する供述調書は被告人にとつて被告人の共同被告人に対する厳格なる意味における反対尋問権の行使がないので、犯罪事実認定の証拠能力を有しない。という論旨は理由がない。 つぎに冒頭に説明したとおり、共同被告人の供述を録取した書面が刑事訴訟法第三百二十一条の適用をうけるものとすれば、被告人によつて共同被告人の司法警察員に対する供述調書は、これを証拠とすることの同意がない限り、同条第一項第三号によつてその証拠能力の有無を判定せらるべきものであるところ、本件において共同被告人の司法警察員に対する供述調書すなわち、被告人A関係において共同被告人Bの司法警察員に対する第二、三回供述調書及び被告人Bの関係において、共同被告人Aの司法警察員に対する供述調書はいずれもその被告人にとつて、刑事訴松法第三百二十一条第一項第三号の要件を具備しないものであることは、多言を要しないところであるから、原判決が前記のとおり、各被告人の事実認定の資料として右に掲げた共同被告人の司法警察員に対する供述調書を右第三百二十一条第一項第三号の要件を具備するものと認めて証拠に供したことは、結局、法令の適用を誤つたものというの外なく、しかもその誤が原判決に影響を及ぼすことの明白であるためこの点の論旨はいずれも理由があり各原判決は刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条に則り破棄を免かれない。 前記 用を誤つたものというの外なく、しかもその誤が原判決に影響を及ぼすことの明白であるためこの点の論旨はいずれも理由があり各原判決は刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条に則り破棄を免かれない。 前記被告人Aに関する控訴趣意第三点及び同Bに関する控訴趣意第二点について。 各原判決は「佐世保税関支署長大蔵事務官C作成の告発書」をいずれも証拠の標目中にかかげているが、告発書は、告発者のたんなる意見乃至判断を記載した文書であつて、訴訟条件としての告発の有無が争われたときに、その条件具備の証明に供するのは格別、これを以て直接に、犯罪事実を認定すべき証拠となし得ないことは、いうまでもないところである、原判決は或は本件が訴訟条件を具備していることを表示する趣旨で掲げたのかもしれないが、判決に示すべき証拠の標目は、判示犯罪事実認定の資料に供した証拠に限るべきものであるから右のとおり証拠の標目の中に告発書を掲げたのは判示犯罪事実認定の資料に供したものと認めるの外ない。 すると、告発書を証拠の標目中に掲げて事実認定の証拠に供した原判決は、採証の法則に違背して法令の適用を誤つたものであり、その誤が原判決に影響を及ぼすことが明白であるから刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条に則りこの点においても亦破棄を免かれない。論旨はいずれも理由がある。 よつて、弁護人の被告人両名に関するその余の論旨に対する説明を省略し、刑事訴訟法第四百条本文に従い、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官白石亀裁判官後藤師郎裁判官大曲壮次郎)

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