【DRY-RUN】主 文 原判決を破毀し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人玉井潤次の上告理由三、四、五について。 原審の認定によれば、本件土地については、
主 文 原判決を破毀し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人玉井潤次の上告理由三、四、五について。 原審の認定によれば、本件土地については、共有の性質を有する入会権が存在し、 その一部について慣行として存する「分け地」というのは、土地の共有権者(当時 は全部取上部落居住者であつた)が相談して、開墾に適した部分を権利者に分配し (現在のものは三、四十年前分配された)、各人に独占的に使用収益させている土 地を云うのであつて、そこでは桑の栽培等が許されており、また「分け地」の部分 が、最近において自由に譲渡されて、その結果譲り受けた部落民が他の「分け地」 を有する部落民より以上の利益を受けているというのである。しかし、入会地のあ る部分を部落民のうちの特定の個人に分配し、その分配を受けた個人がこれを独占 的に使用、収益し、しかも、その「分け地」の部分は自由に譲渡することが許され るというが如き慣行は、入会権の性質とは著しく相反するものと認めざるを得ない。 してみれば、本件「分け地」と称せられる部分については、特段の事情のない限り 入会権の存在を否定しなければならないのにかゝわらず「分け地」の部分を特定、 除外せず、本件土地全部について入会権の存在を認め、上告人の請求を排斥した原 判決は、法令の解釈適用を誤つたものであつて、論旨はその理由があり、原判決は 破毀を免れない。よつて、その他の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条を適 用し、裁判官小谷勝重を除くその余の裁判官全員一致の意見で主文の如く判決する。 裁判官小谷勝重の少数意見は次のとおりである。 原判決の認定によれば、本件入会権の地盤は二四筆の林野であり、訴外D及び被 上告人ら取上部落民の共有に属するところ、上告人は右訴外人からその共有持分の 譲渡を受けその旨登記 数意見は次のとおりである。 原判決の認定によれば、本件入会権の地盤は二四筆の林野であり、訴外D及び被 上告人ら取上部落民の共有に属するところ、上告人は右訴外人からその共有持分の 譲渡を受けその旨登記を経由しておるのであるが、本件林野全体には「柴山」「売 - 1 - り山」「分け地」の三つの分称があるけれども、うち「分け地」の部分は往年共有 権者たる取上部落民の協議により山麓のうち開墾に適する部分を全員に分配(そし て現時の分配は三、四十年前になされた)して独占とし、主として桑の栽培が許さ れておるのであるが、この「分け地」の持分は自由に譲渡が認められ、したがつて 譲受人はこの部分に関しては収益の範囲が拡張され、不平等の結果を生ずるけれど も、それは入会部落民間だけのことであつて、他部落民たる譲受人は取上部落民と ならない限り、その譲り受け部分に何ら収益の権利を取得し得ない慣習が行われて 現在に至つたというのである。 右の如く持分の譲渡により「分け地」に対する収益に不平等の結果が発生したと しても、それは入会権者たる取上部落民相互の間だけのことであつて、他部落民た る譲受人は取上部落民とならない限りは何らの収益権をも取得しない慣習が行われ て来たというのであるから、この「分け地」の部分のみが独立して、本件入会権の 外に存立する権利であるとは到底解することはできないのである。けだし入会権の 収益は入会権者平等であることが普通であるけれども、収益の平等は必らずしも入 会権の発生存続の要件ではないのである。すなわち入会林野のうち陽光湿度の異な る山麓中、開墾に適する部分だけを入会権者全員に事実上の分配をして、主として 桑等の栽培を許すこととしただけの関係の外は、当該部分を独立分筆したとか、ま たはそれを権利者各自の所有名義に分筆登記をしたとか、或は各自使用収益の方法 を無制限に 者全員に事実上の分配をして、主として 桑等の栽培を許すこととしただけの関係の外は、当該部分を独立分筆したとか、ま たはそれを権利者各自の所有名義に分筆登記をしたとか、或は各自使用収益の方法 を無制限にしたとか、若しくは持分の譲渡をした場合その譲受人が他部落民であつ てもその使用収益権を認めた事実若しくはその慣習が存在したとか、要するに該「 分け地」の部分が他の「柴山」「売り山」とは別個独立した権利の目的となつたも のと認められる関係が存在しない以上、ただ入会権者である取上部落民間における 譲渡の場合、その持分及び収益の割合に不平等の結果が発生するという一事だけで は未だもつて該部分が「柴山」「売り山」の入会権とは別異の権利となつたものと - 2 - は解し得られないのである。すなわちかかる内容は民法二六三条二九四条にいう「 各地方の慣習」による入会権の一内容を組成する部分に属するものと解すべきであ る。したがつて本件入会権は「柴山」「売り山」と共に右「分け地」に対する収益 の方法をも併せ内容とする本件林野の全域に対する一個の入会権としてその存立を 肯定するを至当とし、これを肯定しても毫も入会権の本質に反するものとは解せら れないのである。それ故原判決には多数意見判示の如き法令の解釈適用を誤つた違 法は存しないものと考える。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 池 田 克 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一 - 3 - 官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一 - 3 -
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