平成18(行コ)214 都税還付加算金還付請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第43号)

裁判年月日・裁判所
平成19年6月27日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文18,275 文字)

- 1 -主文 本件控訴に基づき,原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 本件附帯控訴を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の申立て 控訴の趣旨主文同旨 附帯控訴の趣旨原判決主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。 控訴人は,被控訴人に対し,5億0825万1400円及びこれに対する平成16年3月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 本件は,控訴人の税務官署がした都民税及び事業税の減額更正により生じた過納金の還付に際して加算すべき還付加算金の算定の起算日が争われている事案である。 被控訴人は,ドイツ連邦共和国の法人であり,昭和50年ころから東京連絡事務所を設置していたが,国税及び地方税を支払っていなかったところ,平成10年6月及び平成13年6月,麹町税務署長は,東京連絡事務所が恒久的施設であるとして法人税等の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分等(以下「本件法人税決定処分」という)を行った。そこで,被控訴人は,平成10。 年7月及び平成13年7月,千代田都税事務所長(以下「処分庁」という)。 に対し,事業税の課税標準として収入金額を記載した事業税と都民税の確定申告書を提出し(以下,それぞれ「平成10年申告「平成13年申告」とい」,い,併せて「本件申告」という,処分庁は事業税にかかる不申告加算金額。)- 2 -を決定し,被控訴人は,都民税及び事業税の各本税及び延滞金並びに事業税の不申告加算金を納付した。 被控訴人の申立てにより,日独の当局で日独租税条約に基づく相互協議を行った結果,平成15年7月,被控訴人が本邦で行っている事業は,事業税において収入金額を課税標準とする事業ではなく,所 を納付した。 被控訴人の申立てにより,日独の当局で日独租税条約に基づく相互協議を行った結果,平成15年7月,被控訴人が本邦で行っている事業は,事業税において収入金額を課税標準とする事業ではなく,所得を課税標準とする事業であることが確認された上で,具体的な所得について再計算が行われ,その結果,麹町税務署長は,平成15年9月,法人税について減額更正をした。処分庁は,平成16年1月,事業税について,所得を課税標準とする計算を行って減額更正をし,都民税について,麹町税務署長の更正した法人税額を課税標準とする計算を行って減額更正をした。 処分庁は,更正に基づいて発生した過納金について還付を行ったところ,その還付加算金のうち,不申告加算金に関する還付加算金については,地方税法(平成16年法律第17号による改正(以下「平成16年改正」という)前。 のもの)17条の4第1項1号により納付の日の翌日を起算日とし,都民税,事業税の各本税及びこれらに対する延滞金に関する還付加算金については,地方税法17条の4第1項4号,同法施行令6条の15第1項1号により更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日を起算日として計算を行い,これを支払った。 被控訴人は,これらの減額更正により生じた還付加算金(不申告加算金にかかる部分を除く)の起算日を納付の日の翌日とすべきであるとして,東京都。 知事に対して審査請求を行い,同審査請求が棄却された後,本件訴訟を提起して,還付加算金の起算日を納付の日の翌日として計算した金額と既払いの還付加算金の差額の合計である5億0825万1400円及びこれに対する被控訴人が控訴人に対して未払の還付加算金の支払を求めた日の翌日である平成16年3月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 - 万1400円及びこれに対する被控訴人が控訴人に対して未払の還付加算金の支払を求めた日の翌日である平成16年3月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 - 3 - 原審は,都民税にかかる還付加算金の起算日について,納付の日の翌日とすべきであるとして,控訴人に対し,4億8229万5900円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じたが,事業税にかかる還付加算金の起算日については更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日とすべきであるとして,被控訴人の請求を棄却した。 そこで,控訴人が本件の控訴をして,被控訴人の請求を全部棄却することを求め,被控訴人が本件の附帯控訴をして,事業税の還付加算金についても納付の日の翌日を起算日として計算をして支払うことを求めた。 その他,関係法令の定め,前提事実,争点及び当事者の主張は,次のとおり付加訂正し,5及び6のとおり当審における当事者の主張の要旨を付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決2頁26行目を次のとおり改める。 「二更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立てについての決定若しくは裁決又は判決を含む)により納付し又は納入すべき。 額が減少した地方税(当該地方税に係る延滞金を含む。次号において同じ)に係る過納金その更正の請求があった日の翌日から起算して3月。 を経過する日と当該更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日とのいずれか早い日三所得税の更正(申告書又は修正申告書の提出によって納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る。第5項において同じ)に。 基因してされた賦課決定により納付し又は納入すべき額が減少した地方税に係る過納金当 書又は修正申告書の提出によって納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る。第5項において同じ)に。 基因してされた賦課決定により納付し又は納入すべき額が減少した地方税に係る過納金当該賦課決定の基因となった所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日」 都民税にかかる還付加算金の起算日について(1)控訴人の主張の要旨- 4 -ア原審は,還付加算金の起算日について,地方税法は,税の過誤納の生じた原因が専ら納税者の行為に起因するものであるか,課税庁・課税主体の行為に起因するものであるかによって区別し,後者の場合において課税庁・課税主体に帰責事由が認められる期間に限って還付加算金が発生するものと定めていると判示している。しかし,納税者相互間の公平を維持し,大量の課税業務を画一的に処理するため,税法上の課税要件等は外観的状況により定められており,還付加算金についても,地方税法17条の4は,形式的に,課税庁が更正,決定等,具体的な債権額の確定行為を行った地方税にかかる過納金については還付加算金の起算日を納付日の翌日とし,納税者が申告書を提出することにより納付額を確定した地方税にかかる過納金については,還付加算金の起算日を更正日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日とすることを基本として,過誤納金の発生原因となった地方税の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して規定している。税法の適用は,上記の趣旨から形式的外観に応じて行われるべきであるところ,本件申告は,地方税法17条の4第1項1号が規定する場合のいずれにも形式的に該当しないから,この規定を本件の過納金について安易に適用したり類推適用することはできず,本件の過納金の還付加算金の起算日は,地方税法17条の4第1項4号及び地方税法施行令6条 のいずれにも形式的に該当しないから,この規定を本件の過納金について安易に適用したり類推適用することはできず,本件の過納金の還付加算金の起算日は,地方税法17条の4第1項4号及び地方税法施行令6条の15第1項1号により,更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日である。 イ被控訴人は,本件法人税決定処分がされた以上,この処分は取り消されない限り適法と推定されるから,被控訴人は都民税の申告納付を事実上義務づけられていたと主張するが,被控訴人は申告納付を法律上義務づけられていたわけではない。被控訴人が都民税について行ったのは期限後申告(平成16年改正前の地方税法53条26項,321条の8第26項。平成10年申告に適用されるべき平成13年法律第8号による改正(以下- 5 -「平成13年改正」という)前の法では53条6項,321条の8第6。 項。平成13年申告に適用されるべき平成14年法律第80号による改正(以下「平成14年改正」という)前の法では53条8項,321条の。 8第8項。以下の記述では平成16年改正前の法の条文のみを示す)で。 あり,期限内の申告について法人税額の更正,決定があった場合に義務づけられている申告(平成16年改正前の地方税法53条28項,321条の8第28項。平成10年申告に適用されるべき平成13年改正前の法では53条8項,321条の8第8項。平成13年申告に適用されるべき平成14年改正前の法では53条10項,321条の8第10項。以下の記述では平成16年改正前の法の条文のみを示す)とは異なる。期限後申。 告については,法人税額の決定,更正があっても,その法人税額を課税標準として申告しなければならないと法定されているわけではないからである。 また,被控訴人はその後も日独間の相互協議の申立てをしてい 告については,法人税額の決定,更正があっても,その法人税額を課税標準として申告しなければならないと法定されているわけではないからである。 また,被控訴人はその後も日独間の相互協議の申立てをしていたのであるから,都民税について申告しないことも可能であったのであって,本件の申告を義務修正申告と同視すべきではない。 ウ被控訴人の主張するように,本件法人税決定処分があったことを理由に,都民税の申告納付が事実上義務づけられていたとして,期限内に都民税を申告し,法人税額の更正,決定があった場合に義務づけられている義務修正申告の場合と同視するということになれば,義務修正申告を期限内に行わずに期限後に行った場合(以下「期限後自主修正申告」という)にも。 義務修正申告を期限内に行った場合と同視すべきことになるが,このように,法律に従って義務修正申告をしなかった場合について,法律に従って義務修正申告をした場合と同じ取扱いをするのは不当である。この期限後自主修正申告との均衡を考えれば,本件のようにそもそも期限内に都民税を申告しておらず,したがって義務修正申告の適用がない場合について,- 6 -義務修正申告と同視することはできない。 エ原審は,本件のように法人税額の決定,更正があり,その決定に従って都民税を期限後に申告納付した場合に,還付加算金の起算日を減額更正のあった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日とすると,法人税等の決定処分を受けても都民税の申告納付をせずに放置し,都民税について決定を受けてから納付をした場合に,還付加算金の起算日が納付の日の翌日となるのと比べて不公平であると判示する。しかし,法人税額の決定,更正があった場合にも,都民税について申告が法的に義務づけられていたわけではないから,申告をするかどうか,申告額をいくらとするか 翌日となるのと比べて不公平であると判示する。しかし,法人税額の決定,更正があった場合にも,都民税について申告が法的に義務づけられていたわけではないから,申告をするかどうか,申告額をいくらとするかは申告者自身がその責任で判断すべきであったのであり,法人税について相互協議の申立てをして争っていたのであるから,都民税についても争う余地はあったのに,都民税について自らの判断で申告納付をした以上,それにより結果的に不利益を受けたとしてもやむを得ない。 オ昭和50年法律第18号による地方税法の改正(以下「昭和50年改正」という)により,地方税法17条の4第1項1号は,地方税の額が。 更正,決定等により確定した場合に加え,義務修正申告により確定した場合にも,後に更正があった場合の還付加算金の起算日を納付日の翌日とすることになったが,この改正があったからといって,還付加算金の起算日について,すべてを実質的公平の原理により決定するようになったわけではない。改正後の規定は,実質的公平を斟酌しつつ,新たに画一的形式的な定めをしたものであるから,改正後についてはこの新たな定めに従うべきであり,この規定を離れるような解釈をすべきではない。 (2)被控訴人の主張の要旨ア地方税法17条の4第1項1号が,義務修正申告の場合について,納税者が申告して納付額が確定した場合の過納金であるにもかかわらず,還付加算金の起算日を納付の日の翌日としているのは,還付加算金の起算日を- 7 -地方税の確定原因に応じて画一的形式的に定めるのではなく,実質的公平の要請により,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するか,課税庁・課税主体の行為に起因するかにより区分することにしたことを示している。 本件で過納金が生じたのは,国税官署が誤った課税を行ったことにあるのであり,過 じた原因が専ら納税者の行為に起因するか,課税庁・課税主体の行為に起因するかにより区分することにしたことを示している。 本件で過納金が生じたのは,国税官署が誤った課税を行ったことにあるのであり,過納が生じた原因は,地方公共団体である控訴人にあるというべきであるから,還付加算金の起算日は納付の日の翌日とすべきである。 このように,被控訴人は,課税庁側の帰責事由により都民税及び事業税について納付日の翌日から還付までの期間,過納金相当額の金員の活用ができず,財産権の行使の機会を奪われたのであって,それにもかかわらず,納付日の翌日から還付の日までの期間の利子に相当する還付加算金を支払わないとすれば,これは憲法29条の保障する財産権を侵害するものである。 イいったん法人税等の決定処分がされれば,その処分は適法であるとの推定を受け,納税義務者としては,それを取り消す決定がない限り,決定処分と異なる立場をとることはできない。したがって,被控訴人としては,本件法人税決定処分に従って,都民税の申告納付をせざるを得なかった。 日本の法律は,すべての人がこのような適法の推定を遵守することを求めており,これを遵守する行動は納税申告制度の根幹である。被控訴人は,公権的判断を尊重するという社会規範ないし良識に従ったものである。 控訴人は,被控訴人が本件法人税決定処分があった後も自らの判断で都民税の申告納付をしなければよかったと主張しているが,地方公共団体の主張としては無責任である。また,被控訴人は,本件法人税決定処分を無視して都民税を申告しなければ,徴収権者である控訴人による強制徴収を受ける危険があったのであるから,都民税の申告をせざるを得なかったというべきである。 - 8 -ウ本件のように法人税等の決定処分を受け,その決定に従って都民税及び事業税の申告納付 よる強制徴収を受ける危険があったのであるから,都民税の申告をせざるを得なかったというべきである。 - 8 -ウ本件のように法人税等の決定処分を受け,その決定に従って都民税及び事業税の申告納付をした場合に,還付加算金の起算日を減額更正のあった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日とすると,法人税等の決定処分を受けても都民税及び事業税の申告納付をせずに放置し,都民税及び事業税について決定を受けてから納付をした場合に,還付加算金の起算日が納付の日の翌日となるのと比べて不公平であり,これは憲法14条の定める平等原則に反する。 エ控訴人は,被控訴人が日独租税条約に基づく相互協議の申立てをしたことを理由に都民税の申告納付をすべきではなかったと主張するが,これは相互協議の申立てをしたことにより被控訴人を不利に取り扱おうというものであって,日独租税条約24条の趣旨に反する。 オ被控訴人は,外国法人であるため,内国法人と全く異なる状況下にあったのであって,内国法人と同様に扱うべきではない。 内国法人は,法人税申告書及び法人事業税都民税申告書の提出を義務づけられているため,本件のように法人税の更正,決定があった場合には,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3項の規定により申告ないし修正申告をすべきことになり,同法17条の4第1項1号の適用を受けることができるが,被控訴人のような外国法人については,恒久的施設を有する場合を除き,これらの申告書を提出する義務を負わないため,これらの規定による申告をすべきことにはならず,上記17条の4第1項1号の適用を受けることができず,還付金の起算日の点で結果的に内国法人より不利益な取扱いを受けることになり,このような不利益な取扱いは無差別取扱いを定める日独租税条約24条に違反する。 条の4第1項1号の適用を受けることができず,還付金の起算日の点で結果的に内国法人より不利益な取扱いを受けることになり,このような不利益な取扱いは無差別取扱いを定める日独租税条約24条に違反する。 また,被控訴人の東京連絡事務所が恒久的施設といえるかどうかの判断は租税条約上の微妙な検討を要するものであり,被控訴人が恒久的施設ではないと判断し,法人税や都民税,事業税を申告納付しなかったことにつ- 9 -いて落ち度はなかった。 事業税にかかる還付加算金の起算日について(1)被控訴人の主張の要旨原審は,都民税に関しては被控訴人が本件法人税決定処分を受け,これに従って都民税の申告納付を余儀なくされたといえるが,事業税に関しては,被控訴人が収入金額を課税標準として事業税の税額計算を行い,自己の判断で任意に申告をしたとして,還付加算金の起算日は減額更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日としている。 しかし,麹町税務署長は,本件法人税決定処分において,収入金額を認定し,それに基づいて所得を算定して法人税を確定したものであり,被控訴人は,麹町税務署長から収入金額を示され,その収入金額をもとに事業税を申告したのであるから,被控訴人は,自ら収入金額を確定したとはいえず,都民税と同様,事業税についても国が確定した金額に従って申告納付せざるを得なかったものであり,したがって,還付加算金の起算日についても納付の日の翌日とすべきである。 (2)控訴人の主張の要旨仮に,被控訴人の主張のとおり,麹町税務署長が何らかの形で収入金額を示したとしても,それは所得金額の基礎となる数字として調査した内容を表示したにすぎない。また,事業税の課税標準となる収入金額は,保険の区分ごとに乗じる率が異なったり,控除すべき額があるなど独自の計算を必要とするも それは所得金額の基礎となる数字として調査した内容を表示したにすぎない。また,事業税の課税標準となる収入金額は,保険の区分ごとに乗じる率が異なったり,控除すべき額があるなど独自の計算を必要とするものである。したがって,被控訴人は結局,事業税の収入金額を自ら計算し,これを課税標準として税額を算定したものであり,確定的な事業税額の納付を義務づけられていたわけではないから,還付加算金の起算日を納付の日の翌日とすることはできない。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,本件の都民税及び事業税の減額更正により生じた過納金の還付- 10 -に際して加算すべき還付加算金の起算日は,いずれも減額更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日であると解すべきであり,この起算日を納付の日の翌日として計算の上,未払の還付加算金の支払を求める被控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 地方税法の規定の内容(1)地方税法17条は,地方団体の長は,過誤納にかかる地方団体の徴収金があるときは,遅滞なく過誤納金を還付すべき旨を定め,地方税法17条の4は,過誤納金を還付する場合の加算金について起算日等を規定している。 そして,地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項は,過納にかかる地方税の額が地方団体の更正,決定等により確定した場合については還付加算金の起算日を納付の日の翌日とし,過納にかかる地方税の額が納税者の申告によって確定した場合については,還付加算金の起算日を更正の日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日とすることを基本とし,過誤納金の発生の原因となった地方税の額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して規定している。 (2)ア具体的には,地方税法17条の4第1項1号は,①更正 の翌日とすることを基本とし,過誤納金の発生の原因となった地方税の額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して規定している。 (2)ア具体的には,地方税法17条の4第1項1号は,①更正,決定又は賦課決定,②53条28項若しくは321条の8第28項の規定による道府県民税ないし市町村民税(734条2項及び3項により,東京都は,都の特別区の存する区域内において,道府県民税及び市町村民税のうち,それぞれ法人等に対して課するものを都民税として課するものとされる)の申告書(法人税にかかる更正又は決定によって納付すべき法人税。 額を課税標準として算定した道府県民税及び市町村民税の法人税割額にかかるものに限る)又は72条の33第3項の規定による事業税の修正申。 告書の提出,③不申告加算金等の決定,の3つの事由により納付額が確定した地方団体の徴収金にかかる過納金について,還付加算金の起算日を- 11 -当該過納金にかかる地方団体の徴収金の納付日の翌日と規定している。 このうち,①の更正,決定又は賦課決定及び③の不申告加算金等の決定については,地方団体の長が具体的な納付額を確定したことから,還付加算金の起算日を納付日の翌日と定めているものと解される。そして,②に関しては,法人にかかる道府県民税,市町村民税について,申告書を期限内に提出し,又は更正,決定を受けたことによって額が確定していた場合において,その後法人税にかかる更正,決定を受けたこと等により,既に確定していた道府県民税,市町村民税の額に不足額があるときは,これを申告納付すべきものとされ(地方税法53条28項,321条の8第28項,事業税について,申告書を期限内に提出したことによって額が確定)していた場合において,その後,事業税の計算の基礎となった法人税の課税標準(所得)に れ(地方税法53条28項,321条の8第28項,事業税について,申告書を期限内に提出したことによって額が確定)していた場合において,その後,事業税の計算の基礎となった法人税の課税標準(所得)についての更正,決定を受けたときは,当該更正,決定後の課税標準を基礎として法定の期限内に修正申告すべきものとされている(72条の33第3項)ことを受けて,これらの要件を充足する申告ないし修正申告(以下これらを「義務修正申告」ということもある)によっ。 て申告納付されたときは,法律的には課税庁が納付額を確定したといえることから,①及び③と同様に還付加算金の起算日を納付日の翌日と定めているものと解される。 イこれに対し,地方税法17条の4第1項2号並びに同項4号及び地方税法施行令6条の15第1項1号は,申告書,修正申告書等の提出により納付額が確定した地方税にかかる過納金でその納付額を減少させる更正により生じたものは,納税者の申告により確定した税額にかかるものであることから,その還付加算金について,減額更正が納税者の更正の請求に基づく場合は更正の請求日の翌日から起算して3月を経過する日と当該更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日とのいずれか早い日の翌日を起算日とし(17条の4第1項2号,減額更正が更正の請求に基づか)- 12 -ない場合は,更正があった日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日を起算日としているものである(17条の4第1項4号,地方税法施行令6条の15第1項1号。 )ウまた,地方税法17条の4第1項3号は,所得税の更正(申告書又は修正申告書の提出により納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る)に基因してされた賦課決定により納付額が減少した地方税に。 かかる過納金については,所得税の申告により確定した 告書又は修正申告書の提出により納付すべき額が確定した所得税額につき行われた更正に限る)に基因してされた賦課決定により納付額が減少した地方税に。 かかる過納金については,所得税の申告により確定した税額にかかるものであることから,当該賦課決定の基因となった所得税の更正の通知日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日を起算日としているものである。 (3)地方税にかかる過誤納金の還付加算金の起算日については,従来一律に納付又は納入の日の翌日とされていたが,地方税法の昭和44年法律第16号による改正によって,更正の請求の期間が延長されて税の納付又は納入の時から遅れて更正の請求がされることが予想されること,及び民法の不当利得の規定によれば善意の受益者は利益の存する限度で利得を返還すれば足り,利得について利息を付して返還する必要がないとされていること等を勘案して,原則として,税額の確定が課税庁により行われた場合(上記(2)アの①③の場合)には納付又は納入の日の翌日を起算日とし,それ以外の場合には更正があった日,更正の請求がされた日等を基準として起算日とすることに,なった。さらに,昭和50年改正によって,上記(2)アの②の場合についてこれらの申告が法人税の更正,決定に伴って義務的に行われるものであって,法律的には課税庁が税額の確定をした場合と変わらないという理由から,納付日の翌日を起算日とすることとされたものである。 本件について(1)本件は,被控訴人が法人税の申告を行わなかったため,麹町税務署長が本件法人税決定処分を行い,被控訴人はそれを受けて都民税及び事業税の申告をしたところ,後に麹町税務署長が法人税について減額更正をし,控訴人- 13 -がこの法人税額を課税標準とする計算をして都民税の減額更正をし,事業税についても減額更正をした 都民税及び事業税の申告をしたところ,後に麹町税務署長が法人税について減額更正をし,控訴人- 13 -がこの法人税額を課税標準とする計算をして都民税の減額更正をし,事業税についても減額更正をした事案であり,その還付加算金算定の起算日について,地方税法17条の4第1項1号によるべきか,又は同項4号,地方税法施行令6条の15第1項1号によるべきかが争点となっている。 そこで検討すると,本件が,地方税法17条の4第1項1号のうち,上記2(2)ア①の更正,決定又は賦課決定や同③の不申告加算金等の決定により納付額が確定した場合に当たらないことは明らかである。 そして,同②の義務修正申告との関係については,この要件を満たすためには,都民税や事業税の申告を既にしたか,又は都民税や事業税の更正,決定を受けた法人であることが必要であるところ,被控訴人にかかる都民税や事業税は,申告書を期限内に提出したこと,又は更正,決定を受けたことによって確定していたわけではなく,本件法人税決定処分を受け,申告書の提出期限後に地方税法53条26項及び321条の8第26項並びに72条の33第1項の規定に従い都民税及び事業税の申告書を提出した(本件申告)のであるから,本件申告をもって地方税法53条28項若しくは321条の8第28項又は72条の33第3項に定める申告又は修正申告ということはできない。 (2)そうすると,本件の都民税及び事業税にかかる過納金は,法人税法17条の4第1項1号には該当せず,1号ないし3号に掲げる過納金以外の過誤納金であるから,同4号の定める場合に該当し,上記2(2)イの申告書,修正申告書等の提出により納付額が確定した地方税にかかる過納金でその納付額を減少させる更正により生じたもののうち,減額更正が更正の請求に基づかずにされた場合であり,地方税法施 記2(2)イの申告書,修正申告書等の提出により納付額が確定した地方税にかかる過納金でその納付額を減少させる更正により生じたもののうち,減額更正が更正の請求に基づかずにされた場合であり,地方税法施行令6条の15第1項1号の定める場合に該当するから,還付加算金の起算日は,更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日というべきである。 被控訴人の主張について- 14 -(1)被控訴人は,ア過納金の性質が課税主体と納税者との間における不当利得に類するものであり,納税者に還付する場合には,課税主体が利子に相当するものを納税者に支払うのが衡平にかなうことから還付加算金が定められたこと,民法上の不当利得にあっては,受益者が悪意である場合にのみ利得に利息を付して返還の義務を負うものとされていること(民法704条)の2点を踏まえて,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するものであるか,課税庁の行為に起因するものであるかによって区別し,基本的には,後者の場合において,かつ,過納が生じたことにつき課税庁・課税主体に帰責事由を認めることができる期間に限って,還付加算金が発生すると解されるとした上,イ都民税に関しては,麹町税務署長が本件法人税決定処分を行ったため,都民税の法人税割の課税標準である法人税額が国税官署により一応有効に確定され,被控訴人が申告納付をしなければ,しかるべき時期に処分庁がこの法人税額に従った都民税の決定を行うことが当然に予想される状況にあり,被控訴人は麹町税務署長が本件法人税決定処分を行った時点で,この法人税額に従った都民税の申告納付を事実上余儀なくされていたとし,ウ事業税に関しては,麹町税務署長は,本件法人税決定処分において収入金額を認定し,それに基づいて所得を算定して法人税を確定したものであり,被控 った都民税の申告納付を事実上余儀なくされていたとし,ウ事業税に関しては,麹町税務署長は,本件法人税決定処分において収入金額を認定し,それに基づいて所得を算定して法人税を確定したものであり,被控訴人は,麹町税務署長から収入金額を示され,その収入金額をもとに事業税を申告したのであるから,被控訴人は,自ら収入金額を確定したとはいえず,都民税と同様,事業税についても国が確定した金額に従って申告納付せざるを得なかったとし,エアないしウを理由に,都民税及び事業税の申告書の提出(本件申告)は,地方税法17条の4第1項1号のうち,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3項の規定により申告書ないし修正申告書を提出した場合(上記2(2)アの②)と同視するのが相当であり,同号を適用して還付加算金の起算日は納付の日の翌日とすべきであると主張する。 - 15 -確かに,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項は,過納金が不当利得に類するものであり,民法上の不当利得においては受益者が悪意の場合にのみ利息を付して利得を返還する義務を負っていることを勘案して定められたものと解されるが,その内容は,過納が生じた原因が専ら納税者の行為に起因するのか,課税庁の行為に起因するのかという実質に着目して還付加算金の起算日を定めたものとはいえず,むしろ,過納にかかる地方税の額の確定が課税庁により行われたのか納税者により行われたのかという形式面に着目し,所要の修正を加えた上で,地方税等の額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して画一的形式的に規定したものということができ,このような基準を地方税法に明記したことは,数字による正確な処理を要する課税業務を大量に扱う必要がある上,特に高い公平性が求められる租税行政の に区分して画一的形式的に規定したものということができ,このような基準を地方税法に明記したことは,数字による正確な処理を要する課税業務を大量に扱う必要がある上,特に高い公平性が求められる租税行政の特質を考慮すると,相応の合理性を有するものということができる。仮に,このような地方税等の額の確定原因という明確な基準ではなく,課税庁の善意悪意や,過納が生じた原因が専ら課税庁にあるのか納税者にあるのかといった具体的な適用につき判断の分かれ得る基準をもって定めれば,大量の業務を画一的に処理することは困難となるし,結果として租税行政を公平に行うことができなくなるおそれがあることは明らかである。なお,昭和50年改正によって,地方税法17条の4第1項1号において,同法53条28項,321条の8第28項,72条の33第3項に定める義務修正申告があった場合について,決定,更正等があった場合と同じ扱いとすることとされたのは,形式的にはこれらの義務修正申告によって地方税が確定しているとはいうものの,その申告内容,時期等が課税庁によって定められることが法定されていることに着目してのことであって,実質的衡平を考慮しつつも,形式的画一性を重視する上記の立法の基本方針に沿った改正であるということができる。 そして,上記のような立法の基本方針を踏まえると,地方税法17条の4- 16 -の規定の解釈適用に当たっては,これを厳格に適用することが要請されているというべきである。とりわけ,同条1項1号のうち義務修正申告にかかる部分は,上記のとおり,昭和50年改正において特に付加された部分で,しかも,具体的な根拠となる条項を摘記しているもので,このような改正経過及び規定の文言に照らすと,上記の規定により申告書ないし修正申告書の提出を義務づけられていない場合についてまで,課税 た部分で,しかも,具体的な根拠となる条項を摘記しているもので,このような改正経過及び規定の文言に照らすと,上記の規定により申告書ないし修正申告書の提出を義務づけられていない場合についてまで,課税庁が税額を確定した場合と同視したり類推適用を認めたりすることはできないと解するべきである。 よって,麹町税務署長が本件法人税決定処分を行ったことにより,この法人税額に従った都民税の申告納付を事実上余儀なくされ,また,麹町税務署長から示された収入金額をもとに事業税を申告納付せざるを得なかったから,被控訴人による申告書の提出は,地方税法53条28項,321条の8第28項又は72条の33第3項の規定により申告書ないし修正申告書を提出した場合と同視すべきであるとの被控訴人の主張は採用できない。 (2)被控訴人は,法人税等の決定処分を受け,その決定処分に従って都民税及び事業税の申告納付をした場合に,還付加算金の起算日を減額更正のあった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日とすると,法人税等の決定処分を受けても都民税及び事業税の申告納付をせずに放置し,都民税及び事業税について決定を受けてから納付をした場合に,還付加算金の起算日が納付の日の翌日となるのと比べて不公平であり,これは憲法14条の定める平等原則に反するとか,課税庁側の帰責事由により納付日の翌日から還付までの期間,過納金相当額の金員の活用ができなかったのに,課税庁が納付日の翌日から還付の日までの期間の利子に相当する還付加算金を支払わないとすれば,被控訴人の財産権の侵害であると主張する。 しかし,上記のとおり,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項1号の規定は,税額の確定が課税庁により行われたのか納税者により行われたのかという形式面に着目し,所要の修正を加- のとおり,還付加算金に関する地方税法17条の4及び地方税法施行令6条の15第1項1号の規定は,税額の確定が課税庁により行われたのか納税者により行われたのかという形式面に着目し,所要の修正を加- 17 -えた上で,具体的な税額の確定原因に応じて還付加算金の起算日を明確に区分して画一的形式的に規定したものであり,これは,租税行政を公平に行うべきであるとの要請等に照らして相応の合理性を有するものであるから,法人税等の決定処分を受けた後に都民税及び事業税の申告納付をした場合と,申告をせず,都民税及び事業税の決定を受けた後に納付した場合とで後者の方が還付加算金の起算日について有利な取扱いを受けることとなるとしても,それは,税額の確定原因が異なるために生じた合理的な区別というべきであって,このような差異があるからといって,憲法14条の平等原則に違反するとはいえない。また,還付加算金に関する地方税法の規定は,上記のとおり合理性を有するものであるから,この規定を適用した結果,本件の還付加算金の起算日が減額更正のあった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日となることをもって憲法29条の定める財産権を侵害するということはできない。 被控訴人は,いったん法人税の決定処分がされれば,その処分は適法であるとの推定を受け,納税義務者としては,それを取り消す決定がない限り,決定処分と異なる立場をとることはできず,したがって,被控訴人としては,決定処分に従って都民税の申告納付をせざるを得なかったし,これは公権的判断を尊重するという社会規範ないし良識に従ったものであると主張する。 確かに,本件は,被控訴人が,法人税の決定処分を受けたことを契機に,都民税及び事業税について当該決定等を基礎として税額を算定して期限後申告をしたところ,その後法人税について減額更正が ると主張する。 確かに,本件は,被控訴人が,法人税の決定処分を受けたことを契機に,都民税及び事業税について当該決定等を基礎として税額を算定して期限後申告をしたところ,その後法人税について減額更正があり,これに伴って還付がされ還付加算金が支払われることとなった場合に,還付加算金の起算日を一般の申告の場合と同様に扱うことは不合理であるとして訴えを提起したものであり,その心情は理解できないではないが,地方税法17条の4の上記の立法趣旨及びその文言に照らすと,同条の解釈適用に当たって被控訴人の主張を採用する余地がないことは既に説示したとおりである。むしろ,被控訴- 18 -人の上記主張を実現するかどうかは立法政策の問題であるというほかはない。 また,被控訴人は,本件法人税等決定処分を無視して都民税を申告しなければ,徴収権者である控訴人による強制徴収を受ける危険があったと主張するが,都民税の決定処分を待って納付をすれば強制徴収を受けることはないのであるから,この点の被控訴人の主張も理由がない。 (3)被控訴人は,本件申告が地方税法17条の4第1項1号のうち,地方税法53条28項,321条の8第28項又は72条の33第3項の規定により申告書ないし修正申告書を提出した場合と同視できないとしても,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する「申告書」とは,納税者が自主的に作成・提出した場合を指し,本件申告のような,国税について決定がされたために作成・提出された場合を含まないものと解すべきであるから,本件申告については同項2号が適用され,還付加算金はその「納付の日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」を起算日として計算されるべきであると主張する。 しかし,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する申告書について,納税者が自主的に作成,提出し 付の日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日」を起算日として計算されるべきであると主張する。 しかし,地方税法施行令6条の15第1項1号に規定する申告書について,納税者が自主的に作成,提出したものに限るべきであるとの被控訴人の主張は形式的にも実質的にも何ら根拠のないものであって,採用できない。 (4)被控訴人は,内国法人は,法人税申告書及び法人事業税都民税申告書の提出を義務づけられているため,期限内に申告していることから,本件のように法人税の更正,決定があった場合には,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3項の規定により申告をすべきことになるが,被控訴人のような外国法人については,恒久的施設を有する場合を除き,これらの規定による申告をすべきことにはならず,還付金の起算日の点で結果的に内国法人より不利益な取扱いを受けることになり,このような不利益な取扱いは日独租税条約24条に違反すると主張する。 しかし,日独租税条約24条は,ドイツ法人が同様の状況にある内国法人- 19 -と差別的な扱いを受けることはない旨を定めるものであって,外国法人については,その地位の特殊性に基づいて日本に恒久的施設を有する場合にのみ申告納税義務が発生するとされているのであり,恒久的施設を有するドイツ法人と内国法人との間に差別的な扱いがあるとは認められず,また,ドイツ法人が日本に恒久的施設を有しない場合は申告納税義務が生じないのであり,その置かれている状況は内国法人と異なるのであるから,その扱いに差異が生じたとしても,日独租税条約24条に違反するとはいえない。 そして,内国法人であっても,事業を行っているかどうか,事務所又は事業所を有する場所はどこか等について税務官署との間で見解が相違する場合には,都民税及び事業税について不申告のま 反するとはいえない。 そして,内国法人であっても,事業を行っているかどうか,事務所又は事業所を有する場所はどこか等について税務官署との間で見解が相違する場合には,都民税及び事業税について不申告のまま法人税にかかる決定がされることもあり,その場合には,地方税法53条28項,321条の8第28項及び72条の33第3項の規定により申告をすることはできず,還付加算金について被控訴人と同様の立場に立つことになるのであり,地方税法の上記条項が適用されるかどうかは,納税者が外国法人であるか,内国法人であるかによるのではなく,期限内に法人税申告書及び法人事業税都民税申告書を提出したかどうかによるのであるから,本件において被控訴人がこれらの申告書を提出しなかったために上記の規定による申告をすることにならなかったことが日独租税条約24条に違反するものとはいえない。 また,被控訴人は,被控訴人が法人税について期限内に申告をしなかったのは,被控訴人が外国法人であり,被控訴人の東京連絡事務所は恒久的施設に該当しないと判断したからであり,その判断は,日独租税条約上微妙な検討を要するものであり,その判断に基づいて法人税や都民税,事業税を申告しなかったことについて被控訴人に落ち度があったとはいえず,被控訴人を内国法人の場合と同列に扱うべきではないと主張する。 しかし,還付加算金の起算日は,上記のとおり,地方税の確定原因により区分して定められているのであって,法人税についての減額更正が日独租税- 20 -条約上の相互協議に基づくかそれ以外の事由に基づくか,あるいは,法人税,都民税及び事業税について期限内に申告しなかったのが納税者の落ち度によるのかどうかといった事情により,還付加算金の起算日について何ら差異を生じるものではないから,被控訴人の主張するとおり,法人税や都 都民税及び事業税について期限内に申告しなかったのが納税者の落ち度によるのかどうかといった事情により,還付加算金の起算日について何ら差異を生じるものではないから,被控訴人の主張するとおり,法人税や都民税,事業税の申告をしなかったことについて被控訴人に落ち度がなかったとしても,還付加算金の起算日についての前記判断は何ら左右されるものではない。 第4 結論 以上の次第で,本件の都民税及び事業税の還付加算金の起算日は,更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日というべきであるから,これと異なる起算日を前提として未払の還付加算金の支払を求める被控訴人の請求はいずれも理由がない。したがって,本件控訴に基づき,原判決中控訴人敗訴部分を取り消して被控訴人の請求を棄却し,本件附帯控訴は理由がないので棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第23民事部裁判長裁判官安倍嘉人裁判官片山良広裁判官後藤健

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