昭和35(ワ)635 福岡県公立学校教職員給与請求

裁判年月日・裁判所
昭和44年3月19日 福岡地方裁判所
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判決文本文12,411 文字)

主文 一、被告は原告らに対し、別紙第二「請求金額」欄記載の各金員およびこれに対する昭和三三年八月二二日からその支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。二、訴訟費用は被告の負担とする。事実 当事者双方の申立、主張および証拠の提出、援用、認否は、すべて別紙第一記載のとおりである。理由 第一、被告の本案前申立について被告が援用する地方自治法第二〇六条の規定は、給与その他の給付に関する処分について不服がある場合の不服申立について定めたものであるところ、原告らの本訴各請求は、要するに、原告らの給与負担者である被告に対し、昭和三三年八月分給与債権の未払分の支払を求めるものであつて、直接被告の給与その他の給付に関する処分に対する不服申立をその内容とするものではないことは本訴請求の原因に徴し明白であるのみならず、被告が行政法上の処分であると主張する本件給与減額は、被告が原告らに昭和三三年八月分給与を支給するにあたり、ただその一部を差し引いて支給しなかつたということだけのものであつて、とうてい行政法上の処分と認めるべき性質のものではない。したがつて、いずれにしても本訴各請求が地方自治法第二〇六条にいわゆる給与その他の給付に関する処分についての不服申立であることを前提とする被告の本案前申立は理由がない。第二、本案について原告らが昭和三三年(以下年数の表示なきはすべて昭和三三年を指す。)五月ないし八月頃、別紙第二「勤務校」欄記載の県下各市町村立小中学校に勤務していた教員であつて、その給与負担者は被告であり、その給与は「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」(以下給与条例という。)第九条第二項により毎月二一日その月の勤務に対応する分が支給されていたこと、被告が原告らに対し、八月二一日同月分 告であり、その給与は「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」(以下給与条例という。)第九条第二項により毎月二一日その月の勤務に対応する分が支給されていたこと、被告が原告らに対し、八月二一日同月分の給与を支給するにあたり、その給与から別紙第二「請求金額」欄記載の各金額をそれぞれ減額した残額のみを支給したことは当事者間に争いがなく、本件弁論の全趣旨によれば、原告らは八月中は正常に勤務して同月分給与についてはなんら減額事由は存在しなかつた事実を肯認できる。 条例」(以下給与条例という。)第九条第二項により毎月二一日その月の勤務に対応する分が支給されていたこと、被告が原告らに対し、八月二一日同月分の給与を支給するにあたり、その給与から別紙第二「請求金額」欄記載の各金額をそれぞれ減額した残額のみを支給したことは当事者間に争いがなく、本件弁論の全趣旨によれば、原告らは八月中は正常に勤務して同月分給与についてはなんら減額事由は存在しなかつた事実を肯認できる。二、次に、原告らが、平常の勤務日である五月七日に出校せず勤務しなかつたのに、同月二一日同月分の給与の支給をうけるにあたり、勤務しなかつた右五月七日の一日分給与(別紙第二「請求金額」欄記載の各金額)をも含めて支給をうけたことは当事者間に争いがなく、成立に争いがない乙第四号証原本の存在、成立ともに争いがない同第八、第一〇号証ならびに弁論の全趣旨を総合すれば、原告らが前記のとおり五月七日欠勤した際、その勤務しないことにつき給与条例第一四条に規定される任命権者(福岡県教育委員会-県教委という。)または所轄市町村教育委員会(服務監督権者)の承認がなかつた事実を認めることができ、右認定に反する証拠はない。三、被告は、原告らの前記承認なき欠勤の事実を前提として、地方公務員法第二四条第六項、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第四二条の規定に基づき原告ら県下市町村立小中学校教員の給与に関する事項を定めた給与条例第一四条第一八条により、勤務しなかつた五月七日の給与を八月分の給与から減額(以下本件減額ともいう。)したものであるから、右減額は適法であると主張するので、以下本件減額が適法であるか否かについて検討する。成立に争いがない乙第一ないし第七号証、原本の存在、成立ともに争いがない同第八ないし第一 う。)したものであるから、右減額は適法であると主張するので、以下本件減額が適法であるか否かについて検討する。成立に争いがない乙第一ないし第七号証、原本の存在、成立ともに争いがない同第八ないし第一〇号証、甲第一号証を総合して認められる本件減額事由の発生から本件減額に至るまでの経過の概要は次のとおりであり、これに反する証拠はない。すなわち、福岡県教職員組合(以下福教組という。)は全国的な勤評反対斗争の一環として五月七日県下市町村立小中学校教職員の一せい十割休暇斗争を実施し、県下約九三〇校の小中学校中その約九五%にあたる学校がこれに参加し、その一七、一八二名の教職員が同日一せいに全日ないし半日の休暇をしつて欠勤した。 して認められる本件減額事由の発生から本件減額に至るまでの経過の概要は次のとおりであり、これに反する証拠はない。すなわち、福岡県教職員組合(以下福教組という。)は全国的な勤評反対斗争の一環として五月七日県下市町村立小中学校教職員の一せい十割休暇斗争を実施し、県下約九三〇校の小中学校中その約九五%にあたる学校がこれに参加し、その一七、一八二名の教職員が同日一せいに全日ないし半日の休暇をしつて欠勤した。原告らもこれに参加し、五月七日は全日勤務せず、前記のとおり右欠勤につき承認がなかつたところから、本件減額の対象者となつたものである。そこで、県教委は将来給与の減額ないしなんらかの行政処分を実施する場合のあることにそなえ、ただちに県教委教育長の名において県下各市町村教育委員会等に対し、右斗争参加者個々につき休暇承認の有無、斗争参加の状況等の実態を具体的に把握した報告書を提出するよう指示したが、なにしろ前記の如く参加校、参加人員が極めて多数であつたうえ、当時福教組が行なつていた勤評反対斗争のため現場もかなり混乱しておりまた、各市町村教育委員会より提出された報告書も内容不備のため更に再調査書の提出を指示したものも少なくなく、右報告書が出揃い県教委においてその実態について完全に把握できたのは漸く五月末日頃であつた。しかも、当時県教委において前記の如き多数の県下小中学校教職員に対する給与減額を決定し、被告がこれを実施するためには、おそくともその月の一〇日頃からその作業に着手しなければ二一日の給与支給日に間に合わない実情にもあつた。以上の 記の如き多数の県下小中学校教職員に対する給与減額を決定し、被告がこれを実施するためには、おそくともその月の一〇日頃からその作業に着手しなければ二一日の給与支給日に間に合わない実情にもあつた。以上の如く、五月中の給与減額は事実上不可能であつたから、県教委は翌六月実施を目標にして着々その準備作業を進めていたところ、これを察知した福教組は勤評反対斗争とからませて右減額についても強く反対し、これに関する両者間の交渉を重ねるうち六月一〇日を経過したので県教委は同月はこれを見送ることにした。かくするうち、同月末頃より県議会が開催され、減額に関する法律上の根拠等について活発な質疑が提出されたので、県教委としては慎重かつ民主的に処理することとし、七月中は当時やはり教員に対する給与減額の問題を抱えていた東京都につきその法律上の根拠や減額実施の時期等を調査し、その他関係中央官庁の意見をも徴したりしながら、専ら東京都の出方を注目していたところ、東京都では七月中は減額しない意向であつたので、県教委もこれにならい、その後東京都では同月中旬頃に至り翌八月一一日支給の八月分給与から減額する旨決定したため、県教員もこれにならつて七月下旬頃全日欠勤者のみを対象として翌八月二一日支給の八月分給与から減額する旨決定して八月初旬頃その旨文書で福教組はじめ各関係機関に通知し、右決定に基づき被告は本件減額を実施した。 ら、専ら東京都の出方を注目していたところ、東京都では七月中は減額しない意向であつたので、県教委もこれにならい、その後東京都では同月中旬頃に至り翌八月一一日支給の八月分給与から減額する旨決定したため、県教員もこれにならつて七月下旬頃全日欠勤者のみを対象として翌八月二一日支給の八月分給与から減額する旨決定して八月初旬頃その旨文書で福教組はじめ各関係機関に通知し、右決定に基づき被告は本件減額を実施した。なお本件各減額金額はいずれも原告らの八月分給与手取額の三・四%程度の金額であつた。四、ところで、本件の場合、原告らは平常の勤務日である五月七日任命権者または服務監督権者の承認をうけることなく全日欠勤したものであるから、原告らの五月分給与債権は、五月七日の一日分については発生するに由なく(減額によつてはじめて欠勤日の給与債権が消滅するかの加き被告の主張は採用できない 承認をうけることなく全日欠勤したものであるから、原告らの五月分給与債権は、五月七日の一日分については発生するに由なく(減額によつてはじめて欠勤日の給与債権が消滅するかの加き被告の主張は採用できない。)、右一日分を差し引いた残額についてのみ発生したことは明らかである。然るに、被告は五月二一日同月分給与とともに発生しなかつた右欠勤日分の給与をすでに支給してまつたのであるから、右欠勤日分の給与の支給は明らかに過払であり、他に特別の事情なき限り、原告らは右過払をうけた金額につき法律上の原因なくして不当に利得したこととなり、被告は原告らに対し右過払金額につき不当利得返還請求権を有することは明らかである。したがつて、被告において原告らの八月分給与から右過払分給与を減額した本件減額は、五月七日分給与の返還請求権を自働債権とし八月分給与債権を受働債権として、その対当額においてなされた調整的相殺(なお、その意思表示は減額された給与残額の受領により相手方に到達したものと解すべきところ、前記乙第九、第一〇号証によれば、原告らは本件減額当時異議をのべて受領を拒否していたがその後間もなくいずれもこれを受領した事実を認めることができるから、右意思表示はその際原告らに到達したものと認める。)であると解するのが相当である。五、果してそうだとすれば、本件減額当時、地方公務員法第五八条第二項(昭和四〇年五月一八日法律第七一号による改正前の規定)による原告ら地方公務員にも適用があつた労働基準法第二四条第一項(なお、前記法律の改正にともない、地方公務員法第五八条第三項により労働基準法第二四条第一項の規定は地方公務員には適用されなくなつたが、同条の規定はそのまま改正後の地方公務員法第二五条第二項の規定として新しく設けられ、依然地方公務員に対し賃金、全額払の原則の適用あるこ 法第五八条第二項(昭和四〇年五月一八日法律第七一号による改正前の規定)による原告ら地方公務員にも適用があつた労働基準法第二四条第一項(なお、前記法律の改正にともない、地方公務員法第五八条第三項により労働基準法第二四条第一項の規定は地方公務員には適用されなくなつたが、同条の規定はそのまま改正後の地方公務員法第二五条第二項の規定として新しく設けられ、依然地方公務員に対し賃金、全額払の原則の適用あるこ 準法第二四条第一項の規定は地方公務員には適用されなくなつたが、同条の規定はそのまま改正後の地方公務員法第二五条第二項の規定として新しく設けられ、依然地方公務員に対し賃金、全額払の原則の適用あることにはかわりはない。)の法意(労働者に対する賃金全額払の原則)に徴すれば、同しかしながら、賃金債権に対して使用者は使用者が労働者に対して有する債権をもつて相殺することは許されないとの趣旨をも包含すかく解することは、かえつて過払給与の決済方法において当事者に極めて煩わしい手続を求めることとなるのみならず、本件の如く県条例により給与の支給日が毎月特定の日に定められその月の勤務に対応する給与がその日に支給され、しかもその支給日がその月の末日でない場合、その支給日以後に減額事由が発生したときはその月分の給与からの減額は一切不可能となるのに対し、その月の給与支給日以前に発生した減額事由についてはその月分の給与から減額が可能となり、減額事由の発生時期如何により減額の可否が決まるという全く不合理な結果が生じ、とうてい納得し難い。そもそもその月の勤務に対応する給与がその月に支給され、しかもその給与支給日が月末とされていないときには、もし減額事由が給与支給日以後に生じたら翌月に支給される次期給与で清算調整しうる趣旨が当然予定されていると解するのが、賃金支払の実態に則し当事者の意思に反しないというべきである。しかも清算調整の金額が特に労働者の生活に脅威を与えない程度のものであれば、右程度の各月給与間の清算調整としての相殺は労働基準法第二四条第一項にも違反せず前記最高裁判決にも牴触しないと解される。したがつて、毎月の給与支給日が一定されその月の勤務に対応する給与がその日に支給される場合でその支給日が月末でないとき減額事由がその支給日以後に発生した場合はその翌月の給 にも牴触しないと解される。したがつて、毎月の給与支給日が一定されその月の勤務に対応する給与がその日に支給される場合でその支給日が月末でないとき減額事由がその支給日以後に発生した場合はその翌月の給与からの減額であれば特にその金額が労働者の生活に脅威を与えないものである限り例外的に許されるものと解すべきであり、また、このことは、たとえ減額事由が給与支給日以前に発生し、観念的に右減額事由発生後最初に到来するその月の給与支給日に支給されるその月の給与からの減額が可能である場合でも、若しなんらかの客観的事情のためその月の給与からの減額が社会通念上不可能であると認められる場合も同様に考えられ、その場合も当然翌月給与からの減額が例外的に許されるものと解すべきである。 である限り例外的に許されるものと解すべきであり、また、このことは、たとえ減額事由が給与支給日以前に発生し、観念的に右減額事由発生後最初に到来するその月の給与支給日に支給されるその月の給与からの減額が可能である場合でも、若しなんらかの客観的事情のためその月の給与からの減額が社会通念上不可能であると認められる場合も同様に考えられ、その場合も当然翌月給与からの減額が例外的に許されるものと解すべきである。したがつて特に以上の説示の如き例外にあたらない給与減額は労働基準法第二四条第一項に違反し違法となる。六、これを本件の場合について考えてみるに、前認定事実によれば本件減額事由が発生したのは五月七日であつてその月の給与支給日である二一日前であつたが、これを同月の給与から減額することは社会通念上不可能であつたと認めるべきであり、その減額分も原告らの各月給与手取額の三・四%程度の金額であつたのであるから、当然翌六月の給与からの減額の限度においては例外的に許容せらるべき場合であつたといいうるところ、前認定のとおり本件減額が右限度を越え八月二一日まで遷延されたのは専ら県教委の裁量によるものであつて、これを社会通念上減額実施が同日まで不可能であつたと認めるべき事由とはとうていなし難いところである。もとより、前認定事実によれば、本件減額の手続がおくれたのは減額に反対する福教組の圧力の下に県教委が慎重かつ民主的にその手続を進めたことによるものであることこれを認めるに余りあり、県教委の並々ならぬ努力は り、前認定事実によれば、本件減額の手続がおくれたのは減額に反対する福教組の圧力の下に県教委が慎重かつ民主的にその手続を進めたことによるものであることこれを認めるに余りあり、県教委の並々ならぬ努力は充分評価すべきであるが、労働基準法第二四条第一項の法意および前記最高裁判決の趣旨に従う限り、同条の解釈は厳格であるべきであるから、左様な裁量による減額の遷延をもつていまだ社会通念上減額遷延のやむをえざる事由と見ることはできない。したがつて、本件減額はさきにのべた特に許容される例外の場合にはあたらないから労働基準法第二四条第一項に違反し違法であるというべきである。七、次に、被告は前記給与条例第一四条、第一八条は労働基準法第二四条第一項但書にいう法令に別段の定めがある場合に該当すると主張するが、右各規定はただ減額の事由とその計算方法を定めたものに過ぎず、その減額すべき額をその後の給与から減額することができるか否かについてはふれるところがないから右各規定をもつて労働基準法第二四条第一項但書にいう法令に別段の定めがある場合には該当しないものと解すべきである。 る。七、次に、被告は前記給与条例第一四条、第一八条は労働基準法第二四条第一項但書にいう法令に別段の定めがある場合に該当すると主張するが、右各規定はただ減額の事由とその計算方法を定めたものに過ぎず、その減額すべき額をその後の給与から減額することができるか否かについてはふれるところがないから右各規定をもつて労働基準法第二四条第一項但書にいう法令に別段の定めがある場合には該当しないものと解すべきである。八、次に被告は、本件減額を認めないと争議中の給与を減額できないこととなり、労働組合法上組合資格ないし不当労働行為との関連において法が排除しようとする事態を承認する結果となる旨主張するが、減額事由が争議行為によるものか否かという事実関係の如何により労働基準法第二四条第一項の解釈適用を左右することはできず、また給与過払分について給与減額以外にこれを是正する法律上の手段がないわけではないから、給与減額が不可能となつたとしても、必ずしも不当な結果が残るものでもなく、いずれにしても労働基準法第二四条第一項の適用上本件減額を適法とみることはできない。九、以上のとおり、被告の主張はいずれも採用できず本件減額 となつたとしても、必ずしも不当な結果が残るものでもなく、いずれにしても労働基準法第二四条第一項の適用上本件減額を適法とみることはできない。九、以上のとおり、被告の主張はいずれも採用できず本件減額は労働基準法第二四条第一項に違反するというほかはないから原告らから被告に対し八月分給与債権の未払分として、減額された別紙第二「請求金額」欄記載の各金額およびこれに対するその支払期限の翌日である昭和三三年八月二二日以降各支払ずみまで民法所定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴各請求はその理由がある。よつて、原告らの本訴各請求はいずれも正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九三条第一項本文を適用し主文のとおり判決する。なお、仮執行の宣言は本件の場合その必要がないと認められるので、これを付さないこととする。(別紙第一)給与請求事件準備手続結果の要約(被告の本案前の主張に対する原告らの反論)地方自治法二〇六条の規定は「給与その他の給付に関する処分」について異議申立を定めるものであるところ、原告らが求める本件請求は、被告が支払わなかつた給与一日分の支払を求める給与の支払請求事件であつて、被告の処分に対する不服の申立ではない。 執行の宣言は本件の場合その必要がないと認められるので、これを付さないこととする。(別紙第一)給与請求事件準備手続結果の要約(被告の本案前の主張に対する原告らの反論)地方自治法二〇六条の規定は「給与その他の給付に関する処分」について異議申立を定めるものであるところ、原告らが求める本件請求は、被告が支払わなかつた給与一日分の支払を求める給与の支払請求事件であつて、被告の処分に対する不服の申立ではない。被告は一日分の給与を減額したのは処分であるというが、それは事実上原告らに支給さるべき給与から一日分を差引いたにすぎないのであつて、行政法上にいうところの処分でないこと明らかである。被告の主張する「減額処分」の処分とは、内部的に減額を決定したその決定を示すもので、行政訴訟上の処分とは、法的に異なる概念を混同するものである。(請求の趣旨)一、被告は原告らに対し別紙第二「請求金額」欄記載の各金員およびこれに対する昭和三三年八月二二日からその支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。二、 混同するものである。(請求の趣旨)一、被告は原告らに対し別紙第二「請求金額」欄記載の各金員およびこれに対する昭和三三年八月二二日からその支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。二、訴訟費用は被告の負担とする。三、仮執行の宣言(請求の原因)一、原告らは昭和三三年五月ないし八月頃別紙第二「勤務校」欄記載の福岡県下各市町村立小中学校に勤務していた教員であつて、その給与負担者は被告である。そして原告らの給与は「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」(以下給与条例という。)九条二項により毎月二一日その月の勤務に対応する分を支給されていた。二、被告は原告らに対し、昭和三三年八月二一日同月分の給与を支給するにあたりその給与から別紙第二「請求金額」欄記載の各金額をそれぞれ一方的に減額した残額のみを支給し右減額の給与の支給をしない。三、しかしながら、原告らは昭和三三年八月分給与を減額されるいわれはないので本訴により右減額分(別紙第二「請求金額」記載の各金額)およびこれに対する右減額の日の翌日である昭和三三年八月二二日よりその支払ずみに至るまで民法所定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。(被告の主張に対する原告らの答弁)一、(1)原告らを含む県下公立学校教職員一七、一八二名が平常の勤務日である昭和三三年五月七日一せいに出校せず勤務しなかつたこと、被告主張の各条例に被告主張のような勤務しない場合の給与の減額、勤務時間の規定があり右各条例の規定を適用して原告らの給与から減額すべき金額(原告らが勤務しなかつた昭和三三年五月七日分給与)を算出すると別紙第二「請求金額」欄記載の金額となることは認めるがその余は争う。 の答弁)一、(1)原告らを含む県下公立学校教職員一七、一八二名が平常の勤務日である昭和三三年五月七日一せいに出校せず勤務しなかつたこと、被告主張の各条例に被告主張のような勤務しない場合の給与の減額、勤務時間の規定があり右各条例の規定を適用して原告らの給与から減額すべき金額(原告らが勤務しなかつた昭和三三年五月七日分給与)を算出すると別紙第二「請求金額」欄記載の金額となることは認めるがその余は争う。(2)争う。被告は手続上やむを得ない事情がある場合には、事実発生の月の分の給与をその後の月の分の給与から減額するこ を算出すると別紙第二「請求金額」欄記載の金額となることは認めるがその余は争う。(2)争う。被告は手続上やむを得ない事情がある場合には、事実発生の月の分の給与をその後の月の分の給与から減額することができると主張するが、本件の場合手続上やむを得ない事情がある場合には該当しない。即ち事実発生の日時は昭和三三年五月七日であるにもかかわらず給与の支給日である五月二一日、六月二一日、七月二一日には減額することなく、漸やく八月二一日に減額したのは、事務上やむを得ない事情によるのではなく、専ら手続の懈怠によるものである。また、原告らおよび福教組当時八月二一日まで、減額手続の実行を何等阻害したこともないのであるから、この点においても手続上やむを得ない事情があつたとは云えない。(3)争う。二、(1)原告らが昭和三三年五月七日出勤しなかつたのに、同日分の給与を同月二一日支給された五月分給与にふくめて支給されたことは認めるが、その余は争う。右支給ずみの昭和三三年五月七日分給与を、同年八月分(証拠関係)(省略)(別紙第二)(省略)(被告の本案前の申立)一、原告らの各請求を却下する。二、訴訟費用は原告らの負担とする。(被告の本案前の主張)一、原告らの本訴各請求は、被告が昭和三三年八月分の原告ら各給与から同年五月七日に欠勤した理由をもつて当日分の給与に相当する金額をそれぞれ減額したことを違法として右減額金額を請求するものであるが、原告らに対する給与の支給は「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」(以下給与条例という。)に基づくものである。二、右条例は地方公務員法二四条六項および「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」四二条ならびに「市町村立学校職員給与負担法」三条によつて定められているものである。 年五月七日に欠勤した理由をもつて当日分の給与に相当する金額をそれぞれ減額したことを違法として右減額金額を請求するものであるが、原告らに対する給与の支給は「福岡県公立学校職員の給与に関する条例」(以下給与条例という。)に基づくものである。二、右条例は地方公務員法二四条六項および「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」四二条ならびに「市町村立学校職員給与負担法」三条によつて定められているものである。すなわち市町村立学校教職員は地方公務員であり、地 公務員法二四条六項および「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」四二条ならびに「市町村立学校職員給与負担法」三条によつて定められているものである。すなわち市町村立学校教職員は地方公務員であり、地方自治法の適用を受け、同法二〇四条による給与の支給を受けるものである。三、したがつて、給与の支給に関し異議があるものは同法二〇六条により地方公共団体の長に異議申立てをすることができ、その決定に対し不服ある場合はじめて出訴するこができる。四、本件では、本件給与減額処分は昭和三三年七月三〇日になされ、右処分の内容は同年八月二一日原告ら各本人に対し減額した八月分給与を支給した際通知ずみである。しかるに、原告らは右処分に対し地方自治法二〇六条所定の異議申立てを経由せず本訴を提起したものであるから本訴は不適法である。(請求の趣旨に対する答弁)一、原告らの各請求を棄却する。二、訴訟費用は原告らの負担とする。(請求の原因に対する答弁)一、認める二、認める。三、争う。(被告の主張)被告が原告らに支給すべき昭和三三年八月分給与から原告ら主張の各金額を減額して支給した理由は次のとおりである。一、(1)原告らを含む福教組の一せい休暇斗争によつて県下公立学校教職員一七、一八二名は平常の勤務日である昭和三三年五月七日一せいに出校せず勤務しなかつたものであるが、原告ら県下市町村立学校教職員に適用される給与条例一四条、一八条によれば、県下公立学校教職員が勤務しないときはその勤務しないことにつき任命権者または市町村教育委員会の承認があつた場合を除くほかその勤務しない一時間につき給料の月額に一二を乗じて出た額を一週間の勤務時間に五二を乗じて出た数で除した額を減額して支給する定めであり、さらに「福岡県市町村立学校職員の勤務時間等に関する条例」および「福岡県議員の 一時間につき給料の月額に一二を乗じて出た額を一週間の勤務時間に五二を乗じて出た数で除した額を減額して支給する定めであり、さらに「福岡県市町村立学校職員の勤務時間等に関する条例」および「福岡県議員の勤務時間等に関する条例」によれば、教職員の一週間の勤務時間は合計四二時間四五分と定められているから、右各条例によつて原告らが勤務しなかつた昭和三三年五月七日分の給与(別紙第二「請求金額」欄記載の金額)当然減額すべきものである。 に一二を乗じて出た額を一週間の勤務時間に五二を乗じて出た数で除した額を減額して支給する定めであり、さらに「福岡県市町村立学校職員の勤務時間等に関する条例」および「福岡県議員の勤務時間等に関する条例」によれば、教職員の一週間の勤務時間は合計四二時間四五分と定められているから、右各条例によつて原告らが勤務しなかつた昭和三三年五月七日分の給与(別紙第二「請求金額」欄記載の金額)当然減額すべきものである。(2)而して、欠勤があつた場合任命権者ある県教育委員会が給与条例一四条所定の給与を減額すべき個々の事実を認定し、減額処分をなしたときはじめて給与が減額されるもので、その処分に基づいて知事は減額された給与の支出命令を発し、支給事務が行なわれるものである。右条例一四条には減額すべき時期について何等の制限を設けていないので、右減額手続は可及的速やかになすべきものであろうが、手続上やむを得ない事情がある場合は事実発生の後の月に事実発生の月の分の給与を減額する処分をなしても法令上違法ではない。(3)また、かかる減額処分は労働基準法の禁ずるところでない。すなわち、同法二四条一項は賃金の金額支払の原則を規定し同条一項但書をもつて法令に別段の定めがある場合には賃金の一部控除を認めているが、右法令に前記条例一四条が該当することは明らかである。したがつて、相殺の観念をいれる余地もない。二、(1)かりに、欠勤による給与の減少が当然発生するものとすれば、原告らは昭和三三年五月七日出勤しなかつたのに同日分の給与はすでに同月二一日に支給された同月分の給与にふくまれて支給ずみであるから、同日分の給与は慎重に実施することとなつて再度延期し、八月二一日の支給日に実施することに定められたものである。右減額支給の処分を実施することは予め原告らが所属する福教 にふくまれて支給ずみであるから、同日分の給与は慎重に実施することとなつて再度延期し、八月二一日の支給日に実施することに定められたものである。右減額支給の処分を実施することは予め原告らが所属する福教組が五月七日の一せい休暇斗争を決定した直後に各教職員に通達し、八月二一日の給料支給日に右減額処分を実施するにあたり、八月一日口頭をもって組合の代表者に通告し、さらに翌二日には八月一日付書面によりその旨通告し、八月二一日右減額支給を実施したものである。右の経過よりするも手続上やむを得ない事情の下にその実施がおくれ八月二一日に実施されたものであるから、右給与減額処分は単にその実施の時期がおくれたことによつて違法となるいわれはない。

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