- 1 -平成27年9月29日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官平成268869号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年7月6日判決 原告兵神装備株式会社 同訴訟代理人弁護士上谷佳宏同西川精一同松宮 慎 被告武蔵エンジニアリング株式会社 同訴訟代理人弁護士川田 篤主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙被告表示目録記載の表示を付した商品を製造し,販売し,輸出し,又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,別紙被告表示目録記載の表示を付した商品を廃棄せよ。 3 被告は,被告が使用するカタログ,ホームページ等の営業用物件から別紙被告表示目録記載の表示を抹消せよ。 4 被告は,原告に対し,844万6200円及びこれに対する平成26年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -第2 事案の概要等本件は,別紙原告表示目録記載の各標章(以下,同別紙に従い個別に「原告表示1ないし4」ともいう。)が,その製造販売する回転容積式一軸偏心ねじポンプ(以下「一軸偏心ねじポンプ」という。)及び同ポンプの構造を持つディスペンサーの商品等表示として著名ないし周知となっているとする原告が,被告に対し,被告による別紙被告表示目録記載の各表示をその商品の商品等 「一軸偏心ねじポンプ」という。)及び同ポンプの構造を持つディスペンサーの商品等表示として著名ないし周知となっているとする原告が,被告に対し,被告による別紙被告表示目録記載の各表示をその商品の商品等表示として使用して製造販売等する行為が不正競争防止法2条1項1号又は2号に該当する旨主張して,同法3条1項に基づき,別紙被告表示目録記載の表示を付した商品の製造販売等の差止め,及び,同条2項に基づきその廃棄及び表示の抹消を求めるとともに,同法4条に基づき損害賠償として844万6200円及びこれに対する不法行為の日の後である平成26年9月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 判断の基礎となる事実(認定に用いた証拠は末尾に掲記する。)(1) 当事者ア原告は,理化学機器の設計製作販売並びに修理及び据付等を目的とする株式会社であり,一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサーの製造,販売等を営んでいる。 イ被告は,食料品加工機械及び化粧品製造機械並びにその部品の設計,製作,販売や,空油圧機器並びにその部品の製造販売等を目的とする株式会社であり,一軸偏心ねじポンプの構造を持つディスペンサーの製造,販売等を営んでいる。 (2) 原告の登録商標等及びその使用ア原告は,次の登録商標を有している。 (ア) 原告登録商標1(甲1)商標登録第2375197号- 3 -ヘイシンモーノ① 指定商品/役務第6類「金属製荷役用パレット,荷役用ターンテーブル」他第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ 第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具」他第9類「アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器」他第11類「乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置」他② 出願日平成1年6月30日③ 登録日平成4年1月31日(イ) 原告登録商標2(甲2)商標登録第4666188号 ① 指定商品/役務第7類「ポンプ,真空ポンプ」第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事, 建具工事, 鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,ポンプの修理又は保守,塗装機械器具の修理又は保守,パルプ製造用・製紙- 4 -用又は紙工用の機械器具の修理または保守,包装用機械器具の修理又は保守」② 出願日平成13年11月22日③ 登録日平成15年4月25日イ原告は,これら登録商標を原告が製造販売する一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサー(以下「原告商品」という。)に使用している。 (3) 被告登録商標等及びその使用ア被告は,次の登録商標を有している(甲72)。 (ア プ及び同ポンプの構造を持つディスペンサー(以下「原告商品」という。)に使用している。 (3) 被告登録商標等及びその使用ア被告は,次の登録商標を有している(甲72)。 (ア) 商標登録第5615224号「MOHNOMASTER」(イ) 指定商品/役務第7類「半導体製造用・精密機械用液体精密定量吐出装置並びにその部品及び付属品,化学機械器具,塗装機械器具,食品製造用に使用される液状・液体又は流体状の食品を注入・塗布・添加及び噴射するための装置,その他の食品加工用又は飲料加工用の機械器具,樹脂等の液体定量ポンプ,その他のポンプ」第9類「実験・研究用自動分注・吸引装置,理化学機械器具として使用されるたんぱく質・生物試料・特殊試薬・水溶液・溶媒・アルコール溶液・溶剤・液晶・インク・オイル・磁性流体等の非接触飛滴吐出装置,その他の理化学機械器具,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具」(ウ) 出願日平成25年5月24日(エ) 登録日平成25年9月13日イ被告は,上記登録商標である別紙被告表示目録記載2(以下「被告表示2」という。)を被告が製造販売する一軸偏心ねじポンプの構造を持つデ- 5 -ィスペンサー(以下「被告商品」という。)に使用しているほか,被告表示2の日本語による片仮名表記である別紙被告表示目録記載1(以下「被告表示1」という。)を展示会やリーフレットに使用している(甲73,80。)。 (4) 一軸偏心ねじポンプの市場ア一軸偏心ねじポンプは,フランス人のRené Moineau(以下「Moineau博士」と表記する。)が1935年頃発明した特殊原理を用いたポンプであり,その回転容積式一軸偏心ねじポンプ(Progress ねじポンプは,フランス人のRené Moineau(以下「Moineau博士」と表記する。)が1935年頃発明した特殊原理を用いたポンプであり,その回転容積式一軸偏心ねじポンプ(ProgressingCavityPumps)との名称は構造に由来している(甲177,乙10)。 イ一軸偏心ねじポンプは,Moineau博士の発明を用いて世界の数社が製造販売してきているが,各社は,いずれも,そのポンプの名称に同博士にちなんだ名称を用いており,イギリスのMonoPumpsLtd.では「MONO」,アメリカのRobbins&Myers,Inc. では「MOYNO」,ドイツのNETZSCHPumpen&SystemeGmbH(以下「ネッチュ社」という。)では「MOHNO」と称している。 ウ原告は,昭和43年頃から,ネッチュ社から一軸偏心ねじポンプの技術供与を受け,昭和48年には同社とライセンス契約を締結するなどして,原告商品を製造販売し,その後原告登録商標1,2を取得して営業を展開している(甲1,2,97,98)。 エ日本国内には,海外の上記メーカーと技術提携して一軸偏心ねじポンプを製造販売する会社と,自己開発の会社とが存在するが,一軸偏心ねじポンプの国内市場における原告商品のシェアは,販売台数ベースで約90%を占めている(甲20,21,25,45,47,58,177)。 第2 争点- 6 - 1 原告表示が原告の商品等表示として著名ないし周知であるか(争点1) 2 原告表示と被告表示が類似し,原告商品と混同が生じているか(争点2) 3 原告の損害(争点3)第3 争点についての当事者の主張 1 争点1(原告表示が原告の商品等表示として著名ないし周知であるか)について(原告の主張)(1) 原告表示が著名な 争点2) 3 原告の損害(争点3)第3 争点についての当事者の主張 1 争点1(原告表示が原告の商品等表示として著名ないし周知であるか)について(原告の主張)(1) 原告表示が著名ないし周知な商品等表示であること原告は,昭和43年,ドイツのネッチュ社から,一軸偏心ねじポンプの技術供与を受け,一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサーを国内にて製造販売してきた。原告は,またネッチュ社が一軸偏心ねじポンプに使用してきた「MOHNOPUMP」の商標につきライセンスを受け,遅くとも昭和48年以降,「モーノ」(原告表示1),「MOHNOPUMP」(原告表示4)及びその片仮名表記である「モーノポンプ」(原告表示3)の標章を使用し,「ヘイシンモーノ」及び「ヘイシンモーノポンプ」については自ら原告登録商標1,2のとおり商標登録を受けた。 原告は,原告商品の製造販売を開始して以来,一貫して,一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサーのみを取り扱っているが,長年にわたる企業努力の結果,原告商品は,様々な業種においてその品質・性能が評価され,販売数量,売上も大きく伸び,現在では,一軸偏心ねじポンプの分野における原告のシェアは販売台数ベースで90%を占めるまでに至っている。また,昭和46年以降,40年余りの間,有名雑誌及び新聞等を媒体とした広告を行い,原告表示が付された原告商品が,雑誌,新聞テレビ等のメディアで紹介されてきた。 このように,原告は,この間,原告表示を,原告商品に使用し,広く宣伝広告してきており,またその原告商品が雑誌,新聞テレビ等のメディアで広- 7 -く紹介されてきたから,原告商品の需要者・取引者は,「モーノ」(原告表示1)又は「モーノポンプ」(原告表示3)と聞けば,原告商品を直ちに想 その原告商品が雑誌,新聞テレビ等のメディアで広- 7 -く紹介されてきたから,原告商品の需要者・取引者は,「モーノ」(原告表示1)又は「モーノポンプ」(原告表示3)と聞けば,原告商品を直ちに想起するようになり,その結果,これらの表示は,日本全国に広く認知され,著名性を有し,少なくとも周知性を獲得している。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告は,「モーノ」は一軸偏心ねじポンプを発明したMoineau博士の姓を表示するもので,「モーノ」又は「MOHNO」には自他識別力がない旨主張するが,同博士の姓は,日本語でモーノと発音せず,「MOHNO」はネッチュ社による造語である。したがって,「モーノ」又は「MOHNO」には自他識別力がある。 イ被告は,「モーノポンプ」又は「MOHNOPUMP」は,普通名称である旨主張する。 しかし,競合他社の製品カタログやパンフレットにおいては,「モーノポンプ」は,一軸偏心ねじポンプの普通名称として使用されていないし,「モーノポンプ」以外に一軸偏心ねじポンプの商品名も数多く存在している。被告主張のとおり,「モーノポンプ」が普通名称であるというのであれば,原告の「ヘイシンモーノポンプ」と同様,他社についても,会社名に「モーノポンプ」を付加した商品等表示を使用するはずであるが,いずれのメーカーもそのような商品等表示は使用していない。 (被告の主張)(1) 原告表示が著名ないし周知な商品等表示でないことア原告による原告商品の広告,販売実績等は知らない。 イ不正競争防止法2条1項1号又は2号の前提として,ある人のある商品の出所を表示するに足りるだけの自他識別力のある表示である必要があるが,原告主張に係る原告表示は,いずれも人名又は普通名称にすぎず,商品等表示としての自他識別力を有 号の前提として,ある人のある商品の出所を表示するに足りるだけの自他識別力のある表示である必要があるが,原告主張に係る原告表示は,いずれも人名又は普通名称にすぎず,商品等表示としての自他識別力を有さないものである。 - 8 -すなわち,原告表示のうち,「モーノ」は,一軸偏心ポンプの発明者であるフランス人のMoineau博士の姓であり,「MOHNO」は,その欧文表記にすぎない。そして「モーノポンプ」は,同博士の発明に係る一軸偏心ねじポンプの普通名称であり,「MOHNOPUMP」は,その欧文表記にすぎないから,これら表示は,出所表示機能を有するような表示ではなく,原告の商品等表示とはなり得ない。またしたがって,「モーノ」又は「MOHNO」が,一軸偏心ねじポンプの発明者であるフランス人のMoneiau博士の姓として,「モーノポンプ」又は「MOHNOPUMP」が,同博士の発明に係る一軸偏心ねじポンプの普通名称として需要者間に広く認識されているとしても,これから,それらが原告の商品等の出所を示す商品等表示として周知又は著名であるといえるわけではない。 ウまた,そもそも原告商品には,原告登録商標2が商品等表示として使用されており,またこれに加えて使用される商品等表示は,欧文字としては「」(「ヘイシンピーシーポンプ」との称呼が生じ得る。)である。また,原告が販売するディスペンサーには「」が商品等表示として用いられている。 このように,原告商品に使用されている商品等表示は,原告主張に係る原告表示とは異なり,いずれも「ヘイシン」又は「HEISHIN」という原告の社名の片仮名表記が結合されているものである。そして,これらの商品等表示は,原告の社名に由来する表記との結合により初めて,当該表示に全体として自他識別力が生じているもので EISHIN」という原告の社名の片仮名表記が結合されているものである。そして,これらの商品等表示は,原告の社名に由来する表記との結合により初めて,当該表示に全体として自他識別力が生じているものである。 2 争点2(原告表示と被告表示が類似し,原告商品と混同が生じているか)について(原告の主張)(1) 原告表示と被告表示が類似していること- 9 -以下のとおり,被告表示は,原告表示と,称呼,観念及び外観が類似する。 ア 「MOHNO」はネッチュ社の商標であり,原告が我が国においてネッチュ社の商標である旨表示して使用してきた表示であるから,「モーノ」又は「MOHNO」がポンプ又はディスペンサーに使用される場合は,自他識別力を有するのであり,被告表示のうち「モーノ」又は「MOHNO」が要部となる。 イ被告表示の要部は,「モーノ」又は「MOHNO」であるから,これから「モーノ」の称呼が生じ,一方,原告表示である「ヘイシンモーノ」,「モーノポンプ」,「MOHNOPUMP」からも,自他識別力のある「モーノ」の称呼が生じるから,原告表示と被告表示の称呼は同一である。 ウ 「MOHNO」及びその片仮名表記である「モーノ」は,ネッチュ社が案出した造語であり,Moneiau博士の姓そのものではない。また,「MOHNOPUMP」及びその片仮名表記である「モーノポンプ」もネッチュ社による一軸偏心ねじポンプのブランド名であり,普通名称ではない。 原告は,一軸偏心ねじポンプの販売当初から,ネッチュ社のブランドとして,「モーノ」及び「MOHNO」を使用し続け,その結果,これらの表示は,需要者の間で原告の一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサーを示すものとして,周知著名となっている。したがって,「モー ノ」及び「MOHNO」を使用し続け,その結果,これらの表示は,需要者の間で原告の一軸偏心ねじポンプ及び同ポンプの構造を持つディスペンサーを示すものとして,周知著名となっている。したがって,「モーノ」又は「MOHNO」を含む被告表示は,原告表示と観念が共通しているといえる。 エ被告表示の要部は,「モーノ」又は「MOHNO」であり,原告表示の自他識別力を有する部分である「モーノ」又は「MOHNO」と同一であり,外観上も類似している。 - 10 -(2) 原告商品と混同が生じていること被告の製造販売する被告商品は一軸偏心ねじポンプを組み込んだ製品であり,ポンプ部分については原告商品と同一の機能を有するものである。 同一の機能を有するものに,同一の「モーノ」という表示が付されていることから,原告商品と被告商品の市場は実際に競合しており,混同が生じるであろうことは明らかである。 (被告の主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 被告表示は,「MOHNO」と「MASTER」とを合成した「MOHNOMASTER」との造語を一連読みすることから生ずる称呼,観念及び外観において,被告の商品等表示として自他識別力を有するものであり,その片仮名表記においても同様である。 他方,原告各表示は,「ヘイシン」との自他識別力のある部分を欠いており,その称呼,観念及び外観のいずれにおいても,原告の商品等表示としての自他識別力を有さないから,被告表示と原告表示とは類似するものではなく,また商品の混同も生じない。 また少なくとも,原告の主力製品は,一軸偏心ねじポンプであり,被告の主力製品は,ディスペンサーであるから,需要者が重複する範囲は限られている。 3 争点3(損害)について(原告の主張)(1) 被告は,平成25年6月以降 は,一軸偏心ねじポンプであり,被告の主力製品は,ディスペンサーであるから,需要者が重複する範囲は限られている。 3 争点3(損害)について(原告の主張)(1) 被告は,平成25年6月以降,①展示会等において,被告表示を付したブースを使用し,被告商品を展示するとともに,顧客に対して被告商品のリーフレット及びカタログを配布し,②被告のホームページにて被告表示を付した被告商品の画像,動画及びカタログを掲載して,③顧客に対し,被告表示を付したディスペンサーを少なくとも1台販売した。 - 11 -(2) 被告による上記の不正競争行為によって原告が受けた損害については,不正競争防止法5条2項により,被告が受けた利益が,原告が受けた損害と推定される。 (3) 被告は,前記(1)のとおり,被告表示を付した被告商品を少なくとも1台販売し,その利益率は少なくとも30%はあるから,被告が不正競争行為によって受けた利益は,以下のとおり算定され,原告が受けた損害は,88万0200円を下らない。 293万4000円(単価)×0.3(利益率)=88万0200円(4) また,原告は,本件訴訟の準備のため,調査会社を通じてアンケートを実施し,調査会社に対して493万3500円の調査費用を支払った。さらに,原告は,弁護士費用として,原告代理人事務所に対し,263万2500円を支払った。 (5) 以上により,原告が,被告の不正競争行為により受けた損害は,844万6200円を下らない。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 原告自らによる原告商品名の使用態様ア原告の商品総合カタログの記載(ア) 商品総合カタログの表紙の記載 1 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 原告自らによる原告商品名の使用態様ア原告の商品総合カタログの記載(ア) 商品総合カタログの表紙の記載① 昭和48年頃から昭和55年頃まで使用されていた商品総合カタログの表紙には,その上部の左上隅に小さく,ネッチュ社のドイツにおける登録商標である結合商標が表記され,その右に,「」と白抜きの文字で,やや大きいフォン- 12 -トで記載され,その下に小さなフォントで「UNDERLICENSEOFNETZSCHMOHNOPUMPENGMBHW-GERMANY」というように技術供与をネッチュ社から受けた旨が記載されていた。そして,中央やや右上の部分には,「ヘイシンモーノポンンプ」が太字で記載され,表紙の右下には小さなフォントで「ヘイシン」の下に「兵神装備株式会社」との記載がされていた(甲88,89)。 ② 昭和55年頃から平成6年頃まで使用されていた商品総合カタログの表紙には,右上部にヘイシンの下に「モーノポンプ」と2段に太字で記載され,右下には小さなフォントで「ヘイシン」の下に「兵神装備株式会社」との記載がされていた(甲90,91)。 ③ 平成7年頃から14年頃まで使用されていた商品総合カタログの表紙には,上半分に「モーノポンンプへのご招待」と灰色地にゴシック大文字の白抜きで記載され,中央部にヘイシンモーノポンプと太字で記載がされ,中央下部には,小さなフォントで「ヘイシン」の下に「兵神装備株式会社」との記載がされていた(甲92,174)。 ④ 原告登録商標2を出願した後である平成14年頃から使用されていた商品総合カタログの表紙には,平成13年に商標登録申請がされた原告登録商標2が記載され,商標登録後は,これに登録商標マー 74)。 ④ 原告登録商標2を出願した後である平成14年頃から使用されていた商品総合カタログの表紙には,平成13年に商標登録申請がされた原告登録商標2が記載され,商標登録後は,これに登録商標マークが付されて登録済の商標であることが明示されている。なお,表紙の下には小さなフォントで「兵神装備株式会社」あるいは「HEISHIN」との記載がされていた(甲93,94)。 (イ) 上記カタログ本文における原告商品名の記載原告登録商標2を出願した後で,その登録前に発行された商品総合カタログ(甲93)には,その巻頭部分の欄外注意書部分に「原告は,主力商品である<ヘイシンモーノポンプ>の商標登録を<ヘイシンモーノ- 13 ->で取得しておりますが,カタログ本文中,読みづらい部分につきましては省略してモーノポンプと表記させていただいております」との記載がされている(ただし,同カタログで「モーノポンプ」との表記が用いられている箇所が特に読みづらいというわけではない(特に5頁)。)。 それ以前の商品カタログでは,何の注意書きもなく「モーノポンプ」が多用されていた。また上記③の商品総合カタログ及び上記④のうち平成21年まで用いられた商品総合カタログのカタログ本文には,その巻頭に「モーノポンプは,フランスのモーノ博士によってその原理が発明された一軸偏心ネジポンプです」との記載があり,そのうち上記③のそれには,「日本では,兵神装備株式会社がただ1社のモーノポンプ専業メーカーとして,他社の追随をゆるさない技術蓄積を誇っています。」との記載があった(甲92,93)。 イそれ以外のカタログの記載昭和62年,平成9年各発行の機種別の商品カタログには,一軸偏心ねじポンプを用いた各種商品について,「ヘイシンモーノロボディスペンサー」, あった(甲92,93)。 イそれ以外のカタログの記載昭和62年,平成9年各発行の機種別の商品カタログには,一軸偏心ねじポンプを用いた各種商品について,「ヘイシンモーノロボディスペンサー」,「ヘイシンモーノFAフィリングシステム」,「ヘイシンモーノ定量充填システム」,「ヘイシンモーノ比例調合システム」など記載され,これらでは「ヘイシン」が小さいフォントで枠囲みされ,商品名に共通して「モーノ」の記載が用いられていた(甲99,100)。 ウ広告等原告は,昭和46年頃から相当数の雑誌及び新聞等の媒体を通じて広告宣伝を行ってきており,昭和48年頃までは,商品名について「ヘイシン」をつけない「モーノポンンプ」との記載のある広告を出していたが,その後,前に「ヘイシン」を付加したものが多くなった(甲3ないし6,甲9ないし13,61,69)。 - 14 -また,雑誌,新聞,テレビ番組,書籍及びウェブ等で原告自身,あるいは原告商品が取り上げられ,原告商品の表示として,「ヘイシンモーノポンプ」,「モーノポンプ」等の表示が記載されていたが,その記載の中には,「『モーノポンプ』のトップメーカー」,「『モーノポンプ』の専業企業」など,「モーノポンプ」が一軸偏心ねじポンプという種類のポンプを指すかのような記載も見られた(甲20ないし60)。 (2) 一般学術書等におけるモーノポンプの使用例ア一般学術書日本油空圧協会編『油空圧便覧』(オーム社,昭和50年)や,社団法人日本油空圧学会編『新版油空圧便覧』(オーム社,平成元年)のいずれにおいても,一軸ねじポンプの代表的なものとして「モーノ式ポンプ」が掲げられている(乙6の1,2)。 ポンプ工学関係の専門誌である「流体工学」の第12巻第9号(昭和51年9月1日発 いずれにおいても,一軸ねじポンプの代表的なものとして「モーノ式ポンプ」が掲げられている(乙6の1,2)。 ポンプ工学関係の専門誌である「流体工学」の第12巻第9号(昭和51年9月1日発行)掲載の論文には,容積形ねじポンプのうちトコロイドねじポンプの種類の一つとして,「モーノ形」が掲げられ,その図面の説明に「モーノポンプ」との記載がある(乙13)。 イ特許公報等平成26年4月8日時点において特許公報又は実用新案公報のテキスト検索を試みると,「モーノポンプ」の記載を含むものが2177件,「モーノ式ポンプ」の記載を含むものが6件,「モアノポンプ」の記載を含むものが1件,「モイノポンプ」の記載を含むものが40件,「一軸偏心ねじポンプ」又は「一軸偏心ネジポンプ」の記載を含むものが457件,「プログレッシブキャビティポンプ」の記載を含むものが57件,それぞれ認められた(乙6の3,4,6の7及び8,6の11ないし14,6の82及び88)。 (3) 「モーノ」,「MOHNO」についての原告の説明- 15 -原告は,昭和55年以前の原告商品のカタログにおいては,「モーノポンプはフランスの数学者René Moineauが発明した。この種ポンプに使用されるMOHNOモーノという名称はRené Moineauの姓名に由来している。」との説明を記載していた(甲88,89)。 その後,昭和56年頃から,原告は,原告商品名と発明者とのつながりをわかりやすくするためとして,原告の商品カタログやホームページにおいて,発明者を「モーノ」博士と表記するようになり,「モーノポンンプは約50年前,フランスの数学者R.モーノ博士によって発明され,姓名にちなんで「モーノポンプ」と名付けられました。(登録商標)」,「モーノポンプは,フランス 士と表記するようになり,「モーノポンンプは約50年前,フランスの数学者R.モーノ博士によって発明され,姓名にちなんで「モーノポンプ」と名付けられました。(登録商標)」,「モーノポンプは,フランスのモーノ博士によってその原理が発明された,回転容積型の一軸偏心ねじポンプです。」などの説明を記載するようになった(甲90ないし94)。 (4) 他の一軸偏心ねじポンプの製造者等における同種商品の名称ア国内における原告以外の他の一軸偏心ねじポンプの製造者は,その一軸偏心ねじポンプの商品名として,「モノポンプ」,「モイノポンプ」,「モンローポンプ」,「ハイビスカスポンプ」等の「モーノポンプ」と異なる名称を用いており,一軸偏心ねじポンプを「モーノポンプ」と称して製造販売しているのは原告だけである(甲177ないし182)。 イ他方,原告製造に係る一軸偏心ねじポンプを組み込んだ各種製品を製造販売している事業者においては,その商品名に「モーノポンプ」を含む例が多いが,その用法は「モーノポンプ」が原告製造の一軸偏心ねじポンプを指すものとして用いられているのか,それとも一軸偏心ねじポンプそのものを指すものとして用いられているのか判然としないものが多い(甲110ないし113,171,乙6の91ないし104)。 (5) 一軸偏心ねじポンプの市場状況及び需要者の認識ア原告商品の販売台数は平成23年以降毎年5000台前後で,その売上- 16 -高は毎年90億円前後であり,販売台数ベースで原告が国内の90%のシェアを占めている。 イ平成26年6月頃に株式会社日経リサーチが業務用機器の認知度に関する調査として実施した製造業勤務者(自営業者を含む。)を対象にしたアンケート結果によれば,回答者の27%の者がMOHNOPUMP/モ 平成26年6月頃に株式会社日経リサーチが業務用機器の認知度に関する調査として実施した製造業勤務者(自営業者を含む。)を対象にしたアンケート結果によれば,回答者の27%の者がMOHNOPUMP/モーノポンプを認知しており,そのうち59.2%の者が,それが原告の商品であると認識していたことが認められ,これは他の一軸偏心ねじポンプにおけるそれより格段に多い割合である。他方,被告商品名である「モーノマスター」を認知していたのは,回答者の10%にすぎず,そのうち被告の商品であると正しく認識していたのは15.3%(アンケート対象1370人のうち21人)であるが,20.4%の者(アンケート対象1370人のうち28人)が原告商品と認識していた(甲84)。 2 争点1(原告表示が原告の商品等表示として著名ないし周知であるか)について(1) 原告は,原告商標1,2の商標権を有するものであるが,これと異なり,別紙原告表示が原告の商品等表示として著名ないし周知である旨主張する。 (2) そこで,まず「モーノ」(原告表示1)及び「MOHNO」(原告表示2)について検討すると,上記1(1)アないしウ認定のとおり,原告は,その商品カタログあるいは広告等において,「ヘイシンモーノ」,「ヘイシンモーノポンプ」,「モーノポンプ」(原告表示3)あるいは「MOHNOPUMP」(原告表示4)の表記を用いるほか,そのほか「モーノ」ないし「MOHNO」を含む商品名を多く用いているが,それにしても,そもそも「モーノ」ないし「MOHNO」を単体で商品等表示として使用している事実は認められない。 その上,上記認定第2の1(4)エによれば,一軸偏心ねじポンプの市場で90%のシェアを有する原告は,昭和56年以降,総合カタログの記載を始め,原告商品を広告宣伝するに際し,Moine められない。 その上,上記認定第2の1(4)エによれば,一軸偏心ねじポンプの市場で90%のシェアを有する原告は,昭和56年以降,総合カタログの記載を始め,原告商品を広告宣伝するに際し,Moineau博士を「モ- 17 -ーノ博士」と記載した上,「モーノポンプ」は「モーノ博士」がその原理を発明したポンプである旨の説明を積極的に行ってきたというのであるから,一軸偏心ねじポンプの需要者の多くは,「モーノ」の表示を見たとしても,これを原告の商品等表示と認識することはなく,一軸偏心ねじポンプの発明者である「モーノ」博士を想起するようになっていたものと認められる。 そして,このことは,後記検討するとおり,「モーノポンプ」は原告の周知の商品等表示と認められるけれども,その一方で,「モーノポンプ」が一軸偏心ねじポンプそのものを指すものとして使用されたり,あるいはモーノ式ポンプとの表現さえ使用されてきたりしている事実,すなわち,「モーノポンプ」あるいは「モーノ式ポンプ」が「モーノ」博士発明に係る原理を用いたポンプとの理解での用法が一定程度認められる事実からも裏付けられているといえる(以上の事実にかかわらず,「モーノポンプが原告の周知商品等表示と認められるべきことは後記する。」。 そうすると,「モーノ」という表記は,Moineau博士の姓の日本語表記としては不正確であり,またその欧文表記にすぎない「MOHNO」は異なる綴りからなる語であるけれども,これらの表示は,国内における一軸偏心ねじポンプの需要者の間では,発明者であるMoineau博士と結びつき,一軸偏心ねじポンプの発明者自身,あるいは,その発明した一軸偏心ねじポンプの原理を示すものとして認識されているものと認めるのが相当である。 したがって,「モーノ」あるいは「MOHNO」が,一軸偏心 一軸偏心ねじポンプの発明者自身,あるいは,その発明した一軸偏心ねじポンプの原理を示すものとして認識されているものと認めるのが相当である。 したがって,「モーノ」あるいは「MOHNO」が,一軸偏心ねじポンプの需要者の間において,特定の者の製造に係る一軸偏心ねじポンプの出所を表示する自他識別力を有するものとは認められないから,「モーノ」ないし「MOHNO」が原告の商品等表示であるとの主張は採用できない。 なお,原告は,「モーノ」ないし「MOHNO」は,ネッチュ社の造語である商標を使用している旨,したがって自他識別力があるように主張するが,- 18 -仮に原告が上記表示を使用し始めた契機がそうであるとしても,商品等表示として機能しているか否かは需要者の認識を中心に判断すべきであるから,この点の原告主張は失当である。 (3)ア次に「モーノポンプ」(原告表示3)について検討するに,上記認定の事実によれば,原告は,原告商品について,「ヘイシン」あるいは「ヘイシン」とともに「モーノポンンプ」の表示(原告表示3)を使用するほか,原告の取扱商品が原告表示3の商品であるとして長期間販売,広告を続けてきたこと,一軸偏心ねじポンプ市場において原告商品が占める割合は90%を占め,他方,原告以外の一軸偏心ねじポンプを製造販売している会社が,「モーノポンプ」を含む商品名を用いず,それ以外の商品名を使用していたことからすれば,一軸偏心ねじポンプの需要者間においては,「モーノポンプ」は代表的な一軸偏心ポンプの商品名として,すなわち,その製造販売者の原告の商品の出所表示として,周知になっているものと認められる。 イこの点被告は,「モーノポンプ」は一軸偏心ねじポンプを指す普通名称として使用されているものであり,原告の商品等表示としての機能を有さない旨主張 表示として,周知になっているものと認められる。 イこの点被告は,「モーノポンプ」は一軸偏心ねじポンプを指す普通名称として使用されているものであり,原告の商品等表示としての機能を有さない旨主張する。 確かに上記1(4)認定のとおり,「モーノポンプ」を一軸偏心ねじポンプというポンプの種類を指すものとして用いられている事例が少なからず認められる。その上,原告自身でさえも,かつては「モーノポンプの専業メーカー」,「モーノポンプのシェア90%以上」など,「モーノポンプ」を一軸偏心ねじポンプを指す普通名称であるかのように用いていた例さえも認められる(甲23,25,40,58,66)。 しかし,一軸偏心ねじポンプを製造販売している他の会社はいずれも「モーノポンプ」を含んだ商品名を使用しておらず,したがって,日本の市場において「モーノポンプ」といえば原告の商品しか存在しないから,同種- 19 -商品市場において「モーノポンプ」が普通名称化しているといえるわけではない。需要者による「モーノポンプ」をあたかも一軸偏心ねじポンプそのものであるかのようにする誤用例は,商品名の要部足り得る「モーノ」が,上記(2)のとおり,一軸偏心ねじポンプの発明者に結びついて認識されている状況があることに加え,原告が一軸偏心ねじポンプ市場をほぼ独占しているが故に,一軸偏心ねじポンプといえば原告商品であり,すなわち「モーノポンプ」であるとの市場状況が存することの影響であるとも考えられる(市場をほぼ独占しているがために,登録商標が普通名称のように誤解されている例が多いことは,一般によく知られた事柄と思われる。)。 そして,少なくとも原告は,被告が,一軸偏心ねじポンプの市場に参入する前である原告登録商標2の登録申請を出願した当時から,自らの商品カタログ等において,需 ,一般によく知られた事柄と思われる。)。 そして,少なくとも原告は,被告が,一軸偏心ねじポンプの市場に参入する前である原告登録商標2の登録申請を出願した当時から,自らの商品カタログ等において,需要者による誤用が広まって「モーノポンプ」が普通名称化しないよう配慮し始めたことがうかがえるところである。 そうすると,「モーノポンプ」が今でも一軸偏心ねじポンプそのものを指す誤用例が多く認められるとしても,「モーノポンプ」が普通名称化までしているとは認められないから,商品等表示としての機能が失われているとまでいうことができないというべきである。 (4) 最後に「MOHNOPUMP」(原告表示4)について検討するに,これは「モーノポンプ」の欧文表示として理解され得るものであるが,この表示については,昭和48年頃から昭和55年頃までのカタログに「HEISHINMOHNOPUMP」との記載が認められるものの,それ以降に原告において商品の表示として使用されていた事実を認めるに足る証拠はない。原告は「Mohno-pump」のドメイン名の使用を指摘するが,ドメイン名はアルファベットしか使用できないから,これだけでは,需要者にとって「MOHNOPUMP」が原告商品の表示として使用されているものと認識されるとは考えられない。 - 20 -したがって,「MOHNOPUMP」は,周知商品等表示である「モーノポンプ」の欧文表記にすぎないけれども,これが原告の商品等表示として周知性を獲得したとは認められないので,そのことを前提とする原告の主張は採用できない。 (5) 以上によれば,原告表示のうち,少なくとも「モーノポンプ」は,原告の商品等表示として,需要者に広く認識され著名であるとはいえずとも,少なくとも周知のものであると認められるが,それ以外の 。 (5) 以上によれば,原告表示のうち,少なくとも「モーノポンプ」は,原告の商品等表示として,需要者に広く認識され著名であるとはいえずとも,少なくとも周知のものであると認められるが,それ以外の原告表示が,周知ないし著名商品等表示であるとは認められないというべきである。 3 争点2(原告表示と被告表示が類似し,原告商品と混同が生じているか)について(1) 「モーノポンプ」と被告表示1「モーノマスター」は,その称呼において異なっている。 しかし,「モーノポンプ」のうち,ポンプは機械としてのポンプと認識されるから,原告表示は,「モーノ」に普通名詞であるポンプという語を結合した商標と認識されるし,他方,被告表示1「モーノマスター」についても,「マスター」は,たとえば被告商品にも多くに見られるように(乙1),ある商品名の末尾に付加して,同商品の優秀性を強調するためによく用いられる用語であるから,連続して記載されていたとしても独立した1語とは認識されず,「モーノポンプ」同様に,「モーノ」に上記意味での「マスター」という語を結合した商標であると認識される。 そして,「モーノ」は,通常の日本人にとっては,普通名詞とは認識されないものといえるから,原告と被告の両表示に共通する「モーノ」部分が,両表示のいずれにとってもその要部足り得るものとして注目されることになるはずである。 (2) しかし,上記2(2)のとおり,一軸偏心ねじポンプの需要者間では,「モーノ」は,一軸偏心ねじポンプの発明者と結びつき,一軸偏心ねじポンプの発- 21 -明者自身,あるいは,その発明した一軸偏心ねじポンプの原理を示すものと認識されるものであって,それ自体としては,出所表示機能を果たす自他識別力を有さないものである。 そうすると,上記需要者の認識を前提と 身,あるいは,その発明した一軸偏心ねじポンプの原理を示すものと認識されるものであって,それ自体としては,出所表示機能を果たす自他識別力を有さないものである。 そうすると,上記需要者の認識を前提とする限り,「モーノポンプ」及び「モーノマスター」とも,「モーノ」部分は要部となり得ないということになり,結局,両表示とも一体の語として観念を比較すべきであることになるから,両表示の観念は異なるものといわなければならない。 したがって,原告表示「モーノポンプ」と「モーノマスター」は類似しているものとは認められないというべきである。 そして,被告表示2「MOHNOMASTER」についても,上記表示は通常の日本人を前提として被告表示1と同様「モーノマスター」との称呼,観念を生じさせるものであるから,これが「モーノマスター」と類似しているといえないことは,上記説示したところと同様である。 なお,上記1(5)イのアンケート結果によれば,「モーノマスター」を認知していた回答者のうち,その出所を原告と誤解して認識していた者が,正しく被告と認識していた者より僅かに多いことが認められるが,それにしても,その人数はアンケート対象1370人のうち21人と28人との差にすぎず,これだけからは「モーノマスター」が「モーノポンプ」と類似し,需要者間に混同をもたらしていると結論づけることはできない。 4 結論以上のとおり,原告主張に係る営業表示のうち,「モーノポンプ」だけが周知の商品等表示と認められるものの,その表示であっても,被告の商品等表示とは類似しないから,原告の被告に対する請求は,その余の点を判断するまでもなくいずれも理由がないことになる。 よって,原告の被告に対する請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文の 被告に対する請求は,その余の点を判断するまでもなくいずれも理由がないことになる。よって,原告の被告に対する請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 主文 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官田原美奈子 裁判官大川潤子 原告表示目録 1モーノ 2MOHNO 3モーノポンプ 4MOHNOPUMP 被告表示目録 1モーノマスター 2MOHNOMASTER
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