平成19(行ウ)549 在留期間更新許可申請不許可処分無効確認請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年5月28日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文27,975 文字)

- 1 -主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び 理由 第1請求(主位的請求) 東京入国管理局長が原告の平成18年6月23日付け在留期間更新申請について同年8月28日付けで原告に対してした在留期間更新不許可処分が無効であることを確認する。 (予備的請求) 東京入国管理局長が原告の平成18年6月23日付け在留期間更新申請について何らの処分をしないことが違法であることを確認する。 東京入国管理局長は,原告に対し,在留資格を「定住者,在留期間を3年」とする在留期間更新許可処分をせよ。 第2事案の概要本件は,ペルー共和国(以下「ペルー」という)の国籍を有する日系三世の。 外国人男性であり,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)別表。 第二所定の「定住者」の在留資格で本邦に在留し,○の履歴のあった原告が,日系人及びその家族の上記在留資格に素行が善良であることの要件を加えた平成18年の法務省告示の改正後に,在留期間更新許可申請(以下「本件更新申請」という。)をし,上記改正に伴う許否の可能性に関する東京入国管理局長の通知書の記載及び同局横浜支局入国審査官の口頭の説明を踏まえ,申請内容を「出国準備を目的とする在留資格の変更申請」に変更する旨の申出書に署名してこれを提出し,在留資格変更許可処分を受けたところ,( )主位的に,東京入国管理局長 から,口頭の通知又はこれと同旨の通知書の交付により,本件更新申請について在留期間更新不許可処分(以下「本件不許可処分」という)の告知を受けた。 - 2 -とし,同処分は憲法14条1項(平等原則)等に違反する無効な告示に基づくもので無効であるとして,その無効の確認を求めるとともに,( )予備的に,仮 に同処分がされていないのであれ 。 - 2 -とし,同処分は憲法14条1項(平等原則)等に違反する無効な告示に基づくもので無効であるとして,その無効の確認を求めるとともに,( )予備的に,仮 に同処分がされていないのであれば,上記申請内容の変更の申出(以下「本件変更申出」という)は錯誤により無効であり,東京入国管理局長が原告の本件。 更新申請に対し許否の処分をしていないことは違法な不作為に当たるとして,①東京入国管理局長の不作為の違法確認を求め,②東京入国管理局長の原告に対する在留期間更新許可処分(在留資格「定住者,在留期間3年)の義務付け」を求めている事案である。 関係法令等の定め( )入管法等の定め ア入管法7条1項(上陸の条件)入国審査官は,本邦に入国しようとする外国人から上陸の申請があったときは,当該外国人が次の各号に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。 ①(略(1号))②申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく,別表第一の下欄に掲げる活動(括弧内略)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き,定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限る)を有する者としての活動のいずれかに該当し,か。 つ,別表第一の二の表及び四の表の下欄並びに五の表の下欄(ロに係る部分に限る)に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産。 業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(2号。 )③,④(略(3号,4号))イ入管法別表第二(定住者の項)- 3 -在留資格本邦において有する身分又は地位定住者法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者ウ入 ④(略(3号,4号))イ入管法別表第二(定住者の項)- 3 -在留資格本邦において有する身分又は地位定住者法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者ウ入管法21条(在留資格の更新),,(ア)本邦に在留する外国人は現に有する在留資格を変更することなく在留期間の更新を受けることができる(1項。 )(イ)上記(ア)の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は,法務省令で定める手続により,法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない(2項。 )(ウ)上記(イ)の申請があった場合には,法務大臣は,当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り,これを許可することができる(3項。 )エ入管法20条(在留資格の変更)(ア)在留資格を有する外国人は,その者の有する在留資格の変更を受けることができる(1項。 )(イ)上記(ア)の規定により在留資格の変更を受けようとする外国人は,法務省令で定める手続により,法務大臣に対し在留資格の変更を申請しなければならない(2項本文。 )(ウ)上記(イ)の申請があった場合には,法務大臣は,当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り,これを許可することができる(3項本文。 )(「」。)オ出入国管理及び難民認定法施行規則以下入管法施行規則という21条の2(ア)在留期間更新の申請をした外国人が,当該申請を在留資格の変更の申請に変更することを申し出ようとするときは,別記第30号の3様式による申出書1通を地方入国管理局に出頭して提出しなければならない- 4 -(5項。 )(イ)上記(ア)の申出があった場合には,当該申出に係る在 とを申し出ようとするときは,別記第30号の3様式による申出書1通を地方入国管理局に出頭して提出しなければならない- 4 -(5項。 )(イ)上記(ア)の申出があった場合には,当該申出に係る在留期間更新の()。 申請があった日に在留資格の変更の申請があったものとみなす6項( )平成2年法務省告示第132号(出入国管理及び難民認定法第7条第1 項第2号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件。以下「定住者告示」という。)ア定住者告示(ただし,平成18年法務省告示第172号(出入国管理及び難民認定法七条第一項二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件の一部を改正する件。同年4月29日施行。 以下本件改正告示という)による改正前のもの以下各条項を旧「」。 。 ,「1号」等という)。 入管法7条1項2号の規定に基づき,同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位であらかじめ定めるものは,次のとおりとする。 ①,②(略(旧1号,旧2号))③日本人の子として出生した者の実子(前二号に該当する者を除く)。 に係るもの(旧3号)④日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(前三号に該当する者を除く)に係。 るもの(旧4号)⑤~⑧(略(旧5号ないし旧8号))イ定住者告示(ただし,本件改正告示による改正後のもの)入管法7条1項2号の規定に基づき,同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位であらかじめ定めるものは,次のとおりとする。 ①,②(略(1号,2号))③日本人の子として出生した者の実子(前二号又は8号に該当する者を除く)であって素行が善良であるものに係るもの。 - 5 -④日本人の子と ,次のとおりとする。 ①,②(略(1号,2号))③日本人の子として出生した者の実子(前二号又は8号に該当する者を除く)であって素行が善良であるものに係るもの。 - 5 -④日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(前三号又は8号に該当する者を除く)であって素行が善良であるものに係るもの。 ⑤~⑧(略(5号ないし8号)) 前提事実(争いがない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( )原告は,▲年(昭和▲年)▲月▲日に出生した,ペルー国籍を有する外 国人男性である(甲1,6,乙1)。 原告の祖父P1及び祖母P2は,いずれも福島県で出生し,昭和10年2月8日に結婚し,1938年(昭和13年)ころペルーに移住し,ペルーで両名の間に3人の子が出生した。 原告の母は,原告の祖父母の第2子としてペルーで出生した日系二世であるが,日本国籍を留保しなかったため,ペルー国籍のみを有することとなった。 原告は,ペルー人の父と上記母との間にペルーで出生した日系三世である。 原告は,幼少のころ父母と別れ,養父母によって養育されたが,16歳,(,,,のころ以降原告の6人の兄弟・姉ら異父兄1人異父姉1人姉3人弟1人)と交流し,一時はペルー国内で姉2人及び弟と同居するようになった。 (,,,,,)以上について甲13ないし6 乙1( )法務大臣は,入管法別表二の「定住者」の在留資格について,平成2 年5月24日付けで定住者告示を定め「日本人の子として出生した者の,実子(日系二世。旧2号)及び「日本人の子として出生した者でかつて」日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(日系」 日付けで定住者告示を定め「日本人の子として出生した者の,実子(日系二世。旧2号)及び「日本人の子として出生した者でかつて」日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(日系」三世。旧3号)により,上記日系二世及び日系三世(以下,併せて「日系- 6 -人」という。)は,日系人であることを理由に定住者の在留資格を得ることができることとなった。 ( )原告は,平成12年8月26日,新東京国際空港(現在の成田国際空 港。以下「成田空港」という)に到着し,在留資格を「定住者,在留期。 」間を3年とする上陸許可を受けて本邦に上陸した(乙1)。 ( )原告は,姉のP3(以下「姉P3」という)から依頼され,平成▲年 。 ▲月▲日ころ,姉P3と共謀の上,同人所有の廃棄物である洗濯機2台及び冷蔵庫1台(合計約72キログラム)を,神奈川県大和市内の土地上に不法に投棄した(甲7,8,12)。 ( )原告及び姉P3は,平成15年1月20日,横浜簡易裁判所において, ,,上記( )の行為につき廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の罪により ○の略式命令を受け,同年2月4日,同命令は確定した(以下「本件刑事事件」という(甲7,8)。)。 ( )原告は,平成15年8月15日,在留資格を「定住者,在留期間を3 」年とする在留期間更新許可を受けた(乙1)。 ( )法務大臣は,(ア)平成18年3月29日,本件改正告示(同年4月29 日施行)をもって,定住者告示の一部改正を行い,日系人及びその一定の範囲の家族(日系人(3号及び4号。旧3号及び旧4号に相当)並びに日系人の配偶者(5号ハ。旧5号に相当,日系人の未成年で未婚の実子(6号)。 )(。 ハ旧6号ニに相当及び日系人の配偶者の未成年で未婚の実子6号ハ び4号。旧3号及び旧4号に相当)並びに日系人の配偶者(5号ハ。旧5号に相当,日系人の未成年で未婚の実子(6号)。 )(。 ハ旧6号ニに相当及び日系人の配偶者の未成年で未婚の実子6号ハ旧6号ニに相当)をいう。以下「日系人及びその家族」という)が定住者。 の在留資格を取得する要件に「素行が善良であるもの」との要件(以下「素行善良要件」ともいう。)を加え(以下,定住者告示の改正前後の上記各条項を「本件告示条項」という。なお,日系人及びその家族のうち,インドシナ難民及びヴィエトナム難民(同告示1号及び2号)並びに中国残留邦人及びその親族(同告示8号)については,素行善良要件は課されていな- 7 -い,(イ)上記告示の改正に際し,法務省のホームページに,同年4月付。)け法務省入国管理局名で「定住者告示」の一部改正について」との標題,「の下に,①同改正の理由が「定住者」の在留資格を有する者による犯罪,「が相当数発生していること,特に日系人として「定住者」の在留資格で入国して在留する外国人による重大事件が発生し,治安に対する国民の不安が高まっていること等を踏まえ」たものであること,②同改正に伴い,過去に日本に在留したことがある者がその在留中に日本国の法令に違反して懲役,禁錮若しくは罰金(道路交通法違反による罰金を除く)に処せられ。 たことがある場合は「素行が善良である」とは認められないこと,③同改,正に伴い,日系人及びその家族として「定住者」の在留資格で本邦に在留している外国人が在留期間を更新する場合にも,素行善良要件の審査が必要となること等の本件改正告示の解説を記載した文書(以下「本件解説文書」という)が掲載された(なお,本件解説文書中,本件告示条項にいう。 素行善良要件の具体的内容に関する上記(イ)②の記載は,法務省 要となること等の本件改正告示の解説を記載した文書(以下「本件解説文書」という)が掲載された(なお,本件解説文書中,本件告示条項にいう。 素行善良要件の具体的内容に関する上記(イ)②の記載は,法務省の行政規則の定めを公表したものである(乙7,8,弁論の全趣旨)。)。 ( )原告は,平成18年6月23日,東京入国管理局長に対し,在留期間更 新の許可申請(本件更新申請)をした(乙2)。 ( )法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成18年8月 28日,原告に対し,上記( )の本件更新申請について「あなたから申請 ,のあった在留期間更新許可申請(2006年6月23日付け申請番号横労E第○○号)については,審査の結果,下記理由により申請どおりの内容では許可できませんが,申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば,別紙の申出書を提出して下さい」と記載し「下記理由」と。 ,して「あなたが「定住者」の在留資格について法務大臣があらかじめ告示をもって定めた「素行が善良であるもの」の要件を満たしているとは認められず,また他に本邦への居住を認めるに足りる特別な理由も認められま- 8 -せん」と記載した通知書(甲2。以下「本件通知書」という)を交付し。 。 た(甲2)。 ()原告は,平成18年8月28日,本件更新申請を「出国準備を目的と する在留資格の変更申請」に変更する旨の東京入国管理局長宛ての申出書(乙3)に署名してこれを提出し,これを受けて,東京入国管理局長は,同日,原告に対し,在留資格を「特定活動,在留期間を2月とする在留資」格変更許可処分(以下「本件許可処分」という)をした(乙1,3)。 。 ()原告は,上記()の本件許可処分において定められた在留期限である 平成18年10 期間を2月とする在留資」格変更許可処分(以下「本件許可処分」という)をした(乙1,3)。 。 ()原告は,上記()の本件許可処分において定められた在留期限である 平成18年10月26日を超えて本邦に残留している(乙1)。 ()姉P3は,平成18年10月27日までに,在留資格を「定住者,在 」留期間を1年とする在留期間更新許可を受けた(甲12,乙9)。 ()原告は,平成19年8月27日,主位的請求について,本件訴えを提 起し,同年12月10日,予備的請求について,訴えの追加的併合の申立てをした(顕著な事実)。 争点 本件における争点は,次の( )ないし( )であるが,そのうち,次の( )ない し( )は,本案前の争点となる。本件訴えのうち,無効確認の訴えは,不許可 処分の存在を訴訟要件とし不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴え申,(請型)は,いずれも本件更新申請の存続を訴訟要件とするから,不許可処分が存在しなければ無効確認の訴えは不適法となり,本件更新申請が本件変更申出により変更されて存続していなければ,不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴えはいずれも不適法となるからである。 (本案前の争点)( )本件不許可処分の存否 ( )本件更新申請の変更の存否 ( )本件更新申請の変更の無効事由の有無 - 9 -(本案の争点)( )本件不許可処分の無効事由の有無 ( )本件更新申請に対する不作為の違法性の有無 ( )在留期間更新許可の作為義務の有無等 当事者の主張の要旨( )争点1(本件不許可処分の存否)について (原告の主張の要旨)ア東京入国管理局長は,平成18年8月28日,原告に対し,東京入国管理局横浜支局(以下「横浜支局」という。) 者の主張の要旨( )争点1(本件不許可処分の存否)について (原告の主張の要旨)ア東京入国管理局長は,平成18年8月28日,原告に対し,東京入国管理局横浜支局(以下「横浜支局」という。)入国審査官を通じて,口頭で,原告には○の前科があるから査証はもらえないことになったと告げ,これをもって,本件更新申請につき不許可とする処分(本件不許可処分)の告知をし,また,本件更新申請について「審査の結果,下記理由によ,」()り申請どおりの内容では許可できませんと明記した本件通知書甲2を交付し,これをもって,同申請につき不許可とする処分(本件不許可処分)の告知をした。 イ仮に本件通知書をもって本件不許可処分の告知とみることができないとしても,それは,本件不許可処分の告知が書面でされなかったことを意味するだけで,口頭で告知のされた本件不許可処分がなかったことになるものではない。 (被告の主張の要旨),,,ア東京入国管理局長が原告に対し本件不許可処分をした事実はなくまた,横浜支局入国審査官を通じて口頭で本件不許可処分をした事実もない。仮に,東京入国管理局長が本件不許可処分をしたのであれば,旅券上の申請受理印の近くに「不許可」と表示する扱いとなっているから(入国・在留審査要領26頁。乙4,原告の旅券に同表示がされている)はずであるが,本件ではかかる表示はされておらず(乙5,原告に対し)- 10 -本件不許可処分を通知した事実はなく,本件不許可処分は存在しない。 イ本件通知書(甲2)は「審査の結果,下記理由により申請どおりの内,容では許可できませんが,申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば,別紙の申出書を提出して下さい」と記載されていると。 おり,①本件更新申請の内容では許可できないとの不許可の の内,容では許可できませんが,申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば,別紙の申出書を提出して下さい」と記載されていると。 おり,①本件更新申請の内容では許可できないとの不許可の見込みと,②本件更新申請の内容を出国準備を目的とする申請に変更することを希望するのであれば,申請内容変更申出書を提出して変更することができることを通知したにすぎないものであり,同通知により,何ら原告の権利義務が形成され又はその範囲が確定されるものではないから,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行政事件訴訟法3条2項)とはならない。 ( )争点( )(本件更新申請の変更の存否)について (原告の主張の要旨)仮に本件更新申請に対する不許可処分が存在しなかったとしても,原告が本件変更申出をして本件更新申請の申請内容を変更した事実はない。 原告は,本件更新申請のため,横浜支局に出向いたところ,入国審査官から,①原告には○の前科があるから査証はもらえないことになった,②1週間以内に出国するようにとの説明を受けたため,納得できず退席しようとしたが,入国審査官から止められ,2か月間の在留を認めるので帰国する準備をするように伝えられ,申請内容変更申出書の用紙に署名するよう求められた。原告は,不許可処分がされた以上,指示に従わないと収容される可能性もあると考え,とりあえず入国審査官の指示に従って,その,。 ,,用紙に必要な事項を記載し署名したしかし日本語のできない原告はその用紙がどのような書面であるかを理解しておらず,本件変更申出をした事実はない。 (被告の主張の要旨)- 11 -原告は,平成18年8月28日,東京入国管理局長に対し,本件更新申請の申請内容を「出国準備を目的とする在留資格の変更申請」に変更する旨の申請内容変 た事実はない。 (被告の主張の要旨)- 11 -原告は,平成18年8月28日,東京入国管理局長に対し,本件更新申請の申請内容を「出国準備を目的とする在留資格の変更申請」に変更する旨の申請内容変更申出書(乙3)を作成して提出し,本件変更申出をして本件更新申請の申請内容を変更した。 ( )争点( )(本件更新申請の変更の無効事由の有無)について (原告の主張の要旨)ア仮に,外形的には,本件更新申請の申請内容を本件変更申出により在留資格変更申請に変更としたという事実が認められたとしても,本件改正告示は,後記イのとおり,憲法14条1項(平等原則)及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」という。)に違反して無効であり,本件改正告示を適用して本件更新申請に対して不許可処分をしても,不許可処分は重大かつ明白な瑕疵により無効であるところ,横浜支局入国審査官は,これが有効であることを前提として,原告に対し本件変更申出をして本件更新申請を変更するように説明したものであり,原告は誤った説明を聞いて,錯誤に陥り,本件変更申出をして本件更新申請を変更したものであるから,本件更新申請の変更は無効であると解さざるを得ない。 イ本件改正告示は,以下のとおり,憲法違反及び条約違反により無効である。 (ア)本件改正告示は,入管法別表二の定住者のうち,ラテン・アメリカ諸国の出身者が多数を占める日系人及びその家族が「定住者」の在留資格を取得する要件に素行善良要件を追加することとしたものであり(日系人及びその家族のうち,中国残留孤児及びその親族並びにインドシナ難民及びヴィエトナム難民は追加の対象から除外されている,日系人以外の外国人(以下「一般の外国人」という。)が入国な。)いし在留を申請する場合にはおよそ問題となら 児及びその親族並びにインドシナ難民及びヴィエトナム難民は追加の対象から除外されている,日系人以外の外国人(以下「一般の外国人」という。)が入国な。)いし在留を申請する場合にはおよそ問題とならない軽微な犯罪まで,- 12 -不許可処分の理由とすることが認められており,日系人について一般の外国人と異なる著しい不利益を課すものである。 (イ)本件改正告示は,その改正理由について,広島女児殺人事件(広島県で発生した「定住者」の在留資格で在留中のペルー国籍の男性による小学校1年生の女児の殺害事件)のような「定住者」の在留資格で入国・在留する外国人による重大犯罪が発生し,治安に対する国民の不安が高まっていることを背景として,素行善良要件を課したものとされているが,広島女児殺人事件の加害者は,他人名義の旅券を使用して定住者の在留資格を得た外国人であり,定住者の在留資格を有する者がした犯罪とはいえず,定住者の在留資格を有するラテン・アメリカ諸国の出身者による犯罪が相当数発生しているという事実もなく,治安に対する国民の不安が高まっているという事実もないから,本件改正告示については,その立法事実を欠き,その目的は不当であり,その必要性はない。また,本件改正告示は,上陸ないし在留の不許可処分という重大な差別的効果が発生するにもかかわらず,軽微な犯罪まで不許可処分の理由としており,その目的の達成と手段との間の均衡を失している。 (ウ)さらに,本件改正告示は,日系人全体について,上記事件のような犯罪を行うおそれのある者であり,緊急の治安対策の対象となる者であるという偏見を生じさせる差別的な効果をもたらすものである。 (エ)以上のとおり,本件改正告示は,ラテン・アメリカ諸国の出身者「」「」が多数を占める日系人及びその家族という社会的身分 であるという偏見を生じさせる差別的な効果をもたらすものである。 (エ)以上のとおり,本件改正告示は,ラテン・アメリカ諸国の出身者「」「」が多数を占める日系人及びその家族という社会的身分及び人種に基づいて一般の外国人と区別された集団に対し,(a)上記(ア)のとおり,軽微な○であっても,上陸ないし在留更新の不許可という著しく重大な差別的効果をもたらし,(b)上記(イ)のとおり,その目的は正当ではなく,その必要性がなく,目的達成の手段としても均衡を失- 13 -するものであり,(c)上記(ウ)のとおり,日系人全体について緊急の治安対策の対象となる集団との偏見を生じさせる差別的効果をもたらすものであり,(d)告示改正前の犯罪歴であっても,これらの差別的効果をもたらすことは,著しく不当であるから,①社会的身分による差別を禁止する憲法14条1項(平等原則)に違反し,違憲無効であり,②人種差別撤廃条約1条1項所定の人種差別の行為・慣行の従事及び助長・扇動を禁止する同条約2条1項(a)及び4条(c)にも違反し,無効である。 (被告の主張の要旨)ア原告は,本件更新申請について,申請内容変更申出書を提出しない場合には退去強制手続が開始されること,同書面を提出すれば出国準備のために一時的な在留が認められることを理解した上で同書面を提出した,,ものと認められるから申請内容変更申出書について原告に錯誤はなく本件変更申出が錯誤により無効であるとはいえない。 イ本件改正告示は,以下のとおり,合憲かつ適法である。 (ア)本件改正告示は,日系人及びその家族が本邦に上陸しようとする際に,一般の外国人よりも厳格な要件を課しているものではない。日,(,,,系人及びその家族は本件告示条項定住者告示3号4号5号ハ),,, びその家族が本邦に上陸しようとする際に,一般の外国人よりも厳格な要件を課しているものではない。日,(,,,系人及びその家族は本件告示条項定住者告示3号4号5号ハ),,,6号ハが存在することによりその世系等を理由に入国・在留上,,一般の外国人と区別ないし優先されているのに対し一般の外国人は「」。 本件告示条項に基づき定住者の在留資格が認められることはない日系人及びその家族が一般の外国人と同様の立場で入国・在留しようとする場合は,一般の外国人と同じ取扱いを受け,在留資格該当性の判断に際して「素行善良要件」が問題とされることはない。 (イ)外国人は,本邦に入国する権利,本邦に在留する権利ないし引き続き本邦に在留することを要求する権利を憲法上保障されているもの- 14 -ではなく,憲法14条1項による保障も,在留制度の枠内でのみ保障されるにすぎない。 (ウ)定住者告示は,法務大臣等が特別な理由を考慮して上陸を認めるべき外国人を類型化が可能な限り網羅的に列挙し,法務大臣等の裁量的な判断を具体化しているものであるところ,本件改正告示は,①広島女児殺害事件が発生したこと,②日系人を偽って入国・在留する事案が多く発生していたこと,③刑法犯検挙人員のうち「定住者」の在,留資格を有する者の人員が平成16年及び平成17年において200,,0名前後に達していたこと等を踏まえ国民の安心・安全を図るため素行善良要件を課したものであり,本件改正告示の目的は合理的である上,素行善良要件を満たさない外国人について,法務大臣等の広範な裁量権の行使の在り方を類型的判断から個別的判断にかからしめた,。 ものにすぎず法務大臣の裁量権の範囲に変更を加えるものではない(エ)日系人及びその家族は,本件告示条項が存在 法務大臣等の広範な裁量権の行使の在り方を類型的判断から個別的判断にかからしめた,。 ものにすぎず法務大臣の裁量権の範囲に変更を加えるものではない(エ)日系人及びその家族は,本件告示条項が存在することにより,その世系等を理由に,入国・在留上,一般の外国人と区別ないし優先されているといえるとしても,そのような扱いは,日系人及びその家族の日本人又は日本社会との結び付きを考慮したものであり,日系人及びその家族に対し,その日系性を理由に差別的不利益を課すものではなく,日系人及びその家族に対する差別を助長又は扇動するものでもないから,本件改正告示が憲法14条1項(平等原則)に違反するものではなく,人種差別撤廃条約に違反するものでもない。 ( )争点( )(本件不許可処分の無効事由の有無) (原告の主張の要旨)上記( )(原告の主張の要旨)イのとおりである。 (被告の主張の要旨)上記( )(被告の主張の要旨)イのとおりである。 - 15 -( )争点( )(本件更新申請に対する不作為の違法性の有無)について (原告の主張の要旨)上記( )及び( )(原告の主張の要旨)のとおり,本件変更申出は不存在 又は無効であり,本件更新申請は存続しているところ,東京入国管理局長が現在に至るまで相当の期間を超えてこれに対し許否の処分をしないことは,違法である。 (被告の主張の要旨)本件の不作為の違法確認の訴えは不適法であり,本案について答弁を要しない。 ( )争点( )(在留期間更新許可の作為義務の有無等)について (原告の主張の要旨)上記( )及び( )(原告の主張の要旨)のとおり,本件変更申出は不存在 又は無効であり,本件更新申請は存続しているところ,上記( )(原告の主 張の要旨)イのとおり,本件改 の主張の要旨)上記( )及び( )(原告の主張の要旨)のとおり,本件変更申出は不存在 又は無効であり,本件更新申請は存続しているところ,上記( )(原告の主 張の要旨)イのとおり,本件改正告示は憲法14条1項(平等原則)並びに人種差別撤廃条約2条1項(a)及び4条(c)に違反して無効であり,本件改正告示に基づく本件更新申請に対する不許可処分は重大かつ明白な瑕疵により無効となるから,東京入国管理局長が本件更新申請に対し許可処分をすべきことは明らかであり,これをしないことは裁量権の範囲の逸脱又は濫用となる。 (被告の主張の要旨)本件の義務付けの訴えは不適法であり,その本案について答弁を要しない。 第3当裁判所の判断 争点( )(本件不許可処分の存否)について ( )原告は,平成18年8月28日,東京入国管理局長が,原告に対し,本 件更新申請について,(ア)横浜支局入国審査官を通じて,口頭で,原告に- 16 -は○の前科があるから査証はもらえないことになったと告げ,これをもって,本件不許可処分の告知をし,また,(イ)「審査の結果,下記理由により申請どおりの内容では許可できません」と明記した本件通知書(甲2)を交付し,これをもって,本件不許可処分の告知をした旨主張する。 ( )そこで検討するに,(a)入管法施行規則21条の2第5項は,在留期間 の更新を申請した外国人が,当該申請を在留資格の変更の申請に変更することを申し出ようとするときは,別記第30号の3様式による申出書1通,,を地方入国管理局に出頭して提出しなければならないと定め同条6項は上記申出があった場合には,当該申出に係る在留期間の更新の申請があった日に在留資格の変更の申請があったものとみなすと定めており,上記様式による申出書が提出された場合には,法 らないと定め同条6項は上記申出があった場合には,当該申出に係る在留期間の更新の申請があった日に在留資格の変更の申請があったものとみなすと定めており,上記様式による申出書が提出された場合には,法令上当然に申請内容の変更の効力が発生し,在留期間の更新の申請は存続しなくなり,これに対する許否の応答は不要となること,(b)他方で,在留期間の更新の申請に対し許否の処分がされた後は,上記申出書の提出による申請内容の変更をすることはできなくなることにかんがみると,在留期間の更新の申請について,申,請者に在留資格の変更の申請への申請内容の変更の機会を与えるためには在留期間の更新の許否の処分をする前に,申請者に上記申出書の提出の機会を与えることが必要となる。そして,本件では,前記前提事実並びに証拠(甲2,12,乙3,6)及び弁論の全趣旨によれば,①平成18年8月28日,原告が交付を受けた本件通知書(甲2)には「通知書」の表題,の下に,本件更新申請について「審査の結果,下記理由により申請どおり,の内容では許可できませんが,申請内容を出国準備を目的とする申請に変更するのであれば,別紙の申出書を提出して下さい」と記載されていたこ。 と,②同日,本件通知書とともに,上記「別紙の申出書」として,別記第30号の3様式の申請内容変更申出書の用紙(乙3)が原告に交付され,その用紙には,変更を申し出る申請内容として「出国準備を目的とする在- 17 -留資格の変更申請」と記載されていたこと,③同日,原告が上記申請内容変更申出書の用紙に署名してこれを提出したのを受けて,東京入国管理局長は,原告に対し,在留資格変更許可処分(本件許可処分)をしたことがそれぞれ認められ,以上の一連の手続の経過を総合考慮すれば,東京入国管理局長は,本件更新申請について許否の処分をす ,東京入国管理局長は,原告に対し,在留資格変更許可処分(本件許可処分)をしたことがそれぞれ認められ,以上の一連の手続の経過を総合考慮すれば,東京入国管理局長は,本件更新申請について許否の処分をするのに先立ち,原告に対し,本件通知書をもって,審査の結果の方針として不許可となる見込みであることを告げ,爾後の手続の流れを教示した上で,不許可処分を受ける前に申請内容変更申出書を提出して申請内容を在留資格の変更の申請に,,変更する機会を与えたものと認めるのが相当であり本件通知書をもって本件更新申請について,確定的な申請棄却の法的効果を発生させる行政処分(直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809号参照)としての本件不許可処分又はその告知がされ)たものと認めることはできない。 ,(,,,),( )また 証拠 甲2 乙6原告本人及び弁論の全趣旨によれば 同日,本件通知書の交付に際し,原告は,横浜支局入国審査官から,本件通知書の文面(あなたが「定住者」の在留資格について法務大臣があらか「じめ告示をもって定めた「素行が善良であるもの」の要件を満たしているとは認められず」等の記載)に沿った説明として,通訳者を介して,本邦での本件刑事事件による○の犯罪歴の関係で本件更新申請について許可を受けられなくなった旨の説明を口頭で受けたことが認められるが,そもそ,,,も同入国審査官には自ら在留期間更新の許否の処分をする権限はなく法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした許否の処分を事実上本人に伝えることがあり得るにとどまるところ,上記( )のとおり,本 件通知書は,東京入国管理局長において,本件更新申請 なく法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした許否の処分を事実上本人に伝えることがあり得るにとどまるところ,上記( )のとおり,本 件通知書は,東京入国管理局長において,本件更新申請について許否の処分をするのに先立ち,原告に対し,審査の結果の方針として不許可となる- 18 -予定であることを告げ,爾後の手続の流れを教示した上で,不許可処分を受ける前に申請内容変更申出書を提出して申請内容を在留資格の変更の申請に変更する機会を与えたものと認められる以上,本件通知書の文面に沿った上記口頭の説明が,かかる本件通知書の趣旨・内容と矛盾する不許可処分の存在を前提としてされたものと認めることはできない。 ( )以上のとおり,本件の全証拠によっても,本件不許可処分の存在を認め ることはできず,このことは,一般に,地方入国管理局長が当該入国管理局に出頭した外国人に対し在留期間更新不許可処分をする場合には,当該外国人の旅券上の申請受理印の近くに「不許可」と表示する扱いとされているところ(法務省入国管理局「入国・在留審査要領。乙4,原告の旅」)券上にはかかる表示がされていないこと(乙5)からも,裏付けられるものというべきである。 したがって,上記( )(ア)及び(イ)の主張はいずれも採用できない。 争点( )(本件更新申請の変更の存否)について ( )前記前提事実,証拠(甲12,乙3,原告本人)及び弁論の全趣旨によ れば,原告は,平成18年8月28日,本件更新申請のために横浜支局に出頭した際,①同支局入国審査官の説明が日本語で行われたことから,スペイン語の通訳を要求したこと,②同入国審査官から,通訳者を介して,本邦での本件刑事事件(冷蔵庫と洗濯機の不法投棄)による○の犯罪歴の関係で本件更新申請について許可を受けられなく われたことから,スペイン語の通訳を要求したこと,②同入国審査官から,通訳者を介して,本邦での本件刑事事件(冷蔵庫と洗濯機の不法投棄)による○の犯罪歴の関係で本件更新申請について許可を受けられなくなった旨の説明を口頭で受け,在留期間経過後すぐに出国するのは無理であると答えたこと,③同入国審査官に対し,原告と同じく○に処せられた同姉について,在留期間の更新の許可がされる見込みの有無を尋ねたこと,④同入国審査官との間で出国準備のための在留期間を折衝し,その結果,同入国審査官から,出国準備のための在留期間を2か月とする前提で,前記1( )②の申請内容変 更申出書の用紙(乙3)の交付を受けたこと,⑤同入国審査官に対し,同- 19 -用紙(乙3)がどのような書面であるかについて通訳者を通じて質問し,その後にこれに署名したこと,⑥その際,同用紙(乙3)に署名しなけれ,,,ば在留期間の経過後は在留資格が認められなくなりこれに署名すれば更に2か月は出国準備のための在留資格が認められることを認識していたこと,そのため,後者の在留資格に不満はあったが,仕方なく署名するに至ったことがそれぞれ認められる。 ( )原告は,上記申請内容変更申出書の用紙(乙3)がどのような内容の書 面であるかを,通訳者を通じて同入国審査官に質問したが,同入国審査官及び通訳者からその内容の説明を受けられず,その内容を理解しないまま,(,)。 ,署名した旨主張しこれに沿う供述甲12原告本人をする他方で(),,,(ア)同入国審査官の陳述書乙6中には同入国審査官は原告に対し通訳者を介して,出国準備を目的とする在留資格の変更に申請内容を変更するか,在留期間更新の申請内容を維持して不許可処分を受けた上でこれを争うか,いずれかを選択する 中には同入国審査官は原告に対し通訳者を介して,出国準備を目的とする在留資格の変更に申請内容を変更するか,在留期間更新の申請内容を維持して不許可処分を受けた上でこれを争うか,いずれかを選択するように促し,前者の在留期間が2か月となる見通しを告げた上で,原告が前者を選択したことから,同用紙(乙3)を原告に呈示し,通訳者を介して,本件更新申請を「出国準備を目的とする在留資格の変更申請に変更したく,申し出ます」との文面の内容を説明した旨の供述の記載があるところ,(イ)①原告に呈示された上記申請内容変更申出書の用紙(乙3)がどのような内容の書面であるかを説明することは,その定型的な文言・体裁からすれば,同入国審査官及び横浜支局に常勤していた同通訳者(乙6)にとっては,容易なことであったと推認されること,②同入国審査官及び同通訳者において,かかる用紙(乙3)の内容について原告から現に質問を受けている以上,その内容の説明を殊更に拒む理由やその必要性はなく,また,当該用紙の内容について説明を求めた原告が質問に対する説明のないまま更に問い質すこともなく署名に応ずるというのは不自然であること,③原告は,前記( )⑥のとおり,同用紙 - 20 -(乙3)に署名しなければ在留期間の経過後は在留資格が認められなくなり,これに署名すれば更に2か月は出国準備のための在留資格が認められることを認識していたことを併せ考慮すれば,原告が同用紙(乙3)の内容について質問をした際に,同入国審査官及び同通訳者からその説明がされなかった旨の原告の上記供述はにわかに採用し難く,原告は,上記(ア)のとおり,同入国審査官及び同通訳者からその説明を受けたものと認めるのが相当であり,上記③の認識も踏まえ,同用紙(乙3)の内容が在留資格変更申請への申請内容の変更の申出であるこ ,原告は,上記(ア)のとおり,同入国審査官及び同通訳者からその説明を受けたものと認めるのが相当であり,上記③の認識も踏まえ,同用紙(乙3)の内容が在留資格変更申請への申請内容の変更の申出であることを理解した上で,在留期間経過後に更に2か月の在留資格を得ることを目的としてこれに署名したものと推認するのが相当であって,上記主張は採用できない。 したがって,本件更新申請の申請内容を出国準備を目的とする在留資格の変更申請に変更する旨の申出としての本件変更申出自体は,その意思表示が現に存在し,適式な様式でされたものと認められるので,本件変更申出による本件更新申請の変更の存在を前提とした上で,以下,その有効性(錯誤による瑕疵の有無)について検討することとする。 争点( )(本件更新申請の変更の無効事由の有無)について ( )原告は,仮に本件変更申出により本件更新申請が変更されたとしても, それは,原告が,横浜支局入国審査官から,本件改正告示が適用され,本件更新申請に対して不許可処分がされる見込みであるとの説明を信じたからであるところ,本件改正告示は憲法14条1項(平等原則)並びに人種差別撤廃条約2条1項(a)及び4条(c)に違反して無効であり,本件更新申請に対して本件改正告示を適用して不許可処分をすることは許されないから,本件変更申出による本件更新申請の変更は,原告の錯誤に基づくものであり,無効である旨主張する。 ,()( )ア憲法は日本国内における居住・移転の自由を保障する22条1項 にとどまり,外国人が本邦に入国し又は在留することについては何ら規- 21 -定しておらず,国に対し外国人の入国又は在留を許容することを義務付ける規定も存在しない。このことは,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別 については何ら規- 21 -定しておらず,国に対し外国人の入国又は在留を許容することを義務付ける規定も存在しない。このことは,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを,当該国家が自由に決定することができるものとされていることと,その考えを同じくするものと解される。したがって,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由を保障されていないことはもとより,本邦に在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもなく,入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められているものと解すべきである(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁,最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照。 )イそして,入管法が原則として一定の期間を限って外国人の我が国への上陸及び在留を許し,その在留期間の更新は法務大臣が「更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があると判断した場合に限り許可することとしている(入管法21条3項)のは,法務大臣に一定の期間ごとに当該外国人の在留中の状況,在留の必要性・相当性等を審査して在留の許否を決定させようとする趣旨に出たものであり,そして,在留期間の更新事由が概括的に規定されその判断基準が特に定められていないのは,更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ,その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨からであると解される。すなわち,法務大臣は,在留期間の更新の許否(上記相当の理由の有無)を決するに当たっては,外国人に対する出入国及び在留の公正な管理を行う目的であ 権の範囲を広範なものとする趣旨からであると解される。すなわち,法務大臣は,在留期間の更新の許否(上記相当の理由の有無)を決するに当たっては,外国人に対する出入国及び在留の公正な管理を行う目的である国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って,申請者の申請理由の当否のみならず,当該外国- 22 -人の在留中の一切の行状,国内の政治・経済・社会等の諸事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲等諸般の事情を総合的に勘案して,時宜に応じて的確に判断されるべきであり,このような判断は,事柄の性質上,出入国管理行政の責任を負う法務大臣の広範な裁量にゆだねられており,したがって,在留期間の更新の許否(上記相当の理由の有無)についての法務大臣等(法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長をいう。以下同じ)の判断が違法となるのは,その判断が全く。 事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に限られるものと解される(前掲最高裁昭和53年10月4日大法廷判決参照。 ),,,ウ他方入管法にいう定住者は入管法別表第二所定の在留資格であり法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者の地位であって(入管法2条の2第2項,別表第二),定住者告示は,入管法7条1項2号の同法別表第二の下欄に掲げる地位のうち「定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る」(同号括弧書)との規定を受けて定められたものである。入管法上,上陸の許可は,同法12条により法務大臣が特別に裁決をもってする場合を除き,入国審査官が行うものとされ(入管法9条1項,入国審 に限る」(同号括弧書)との規定を受けて定められたものである。入管法上,上陸の許可は,同法12条により法務大臣が特別に裁決をもってする場合を除き,入国審査官が行うものとされ(入管法9条1項,入国審査官は,本邦に上陸しようとする外国人から上陸の申請があ)った場合には,①旅券及び査証に係る条件,②在留資格に係る条件,③在留期間に係る条件及び④上陸拒否事由に係る条件に適合しているか否(),かを審査しなければならない入管法7条1項1号ないし4号ところ上記②の審査事項(同項2号)である定住者の在留資格に係る上陸の条件に適合する地位は,上記アのとおり,法務大臣が一定の要件を指定してはじめてその内容が確定され,それに基づいて個別の判断が行われる- 23 -ものであることから,定住者の在留資格を取得して本邦に上陸しようとする外国人の上陸手続を円滑に進める見地から,法務大臣が,定住者の在留資格に係る上陸の条件に適合する地位をあらかじめ告示をもって類型的に定めることとしたものと解される。 エそして,入管法上,どのような類型の外国人が定住者の在留資格に係る上陸の条件に適合する地位を認めるに相応しいかについて「法務大臣,が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者(別表」第二の定住者の項下欄)と概括的に規定されるのみで,その判断基準が特に定められていないのは,事柄の性質上,その判断を法務大臣の広範な裁量にゆだねる趣旨によるものと解され,その個別の判断及びその類型化としての定住者告示の定め方の判断に当たっては,上記( )イと同様 の諸般の事情を総合的に勘案し,時宜に応じて的確に判断されるべきであり,この点に関する法務大臣の判断が違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであ の諸般の事情を総合的に勘案し,時宜に応じて的確に判断されるべきであり,この点に関する法務大臣の判断が違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に限られるものと解される。 オこのように,定住者告示は,上陸の許否の判断基準として用いられるものであるが,外国人の出入国及び在留を公正に管理するという入管法の目的に沿って,入国の条件としての上陸の許否の判断基準と在留の継続の条件としての在留期間更新の許否の判断基準との整合性を図るためには,在留期間更新の許否の判断においても,定住者告示の趣旨・内容を尊重することは,十分に合理的な理由があると認められ,また,上記イのとおり「更新を適当と認めるに足りる相当の理由」の判断は法務大,臣等の広範な裁量にゆだねられているものと解されるので,定住者告示に定める要件をもって,上記「相当の理由」の判断における考慮の対象とすることは,法務大臣等の合理的な裁量的判断の在り方として是認さ- 24 -れるものというべきである。 ( )そこで,上記( )の判断の枠組みを踏まえて,本件改正告示が憲法14 条1項(平等原則)ないし人種差別撤廃条約に違反する無効なものといえるか否かについて検討する。 ア(ア)原告は,本件改正告示は,日系人及びその家族について素行善良要件を追加して,一般の外国人が入国ないし在留を申請する場合にはおよそ問題とならない軽微な犯罪まで不許可処分の理由とすることを認めるもので,日系人及びその家族に対して一般の外国人に比して著しい不利益を課すものである旨主張する。 (イ)しかしながら,一般の外国人は,たとえ素行善良要件を満たしたとしても,本件告示条項に基づき「定住者」の 日系人及びその家族に対して一般の外国人に比して著しい不利益を課すものである旨主張する。 (イ)しかしながら,一般の外国人は,たとえ素行善良要件を満たしたとしても,本件告示条項に基づき「定住者」の在留資格を認められることはなく,他方,本件告示条項の素行善良要件を満たさない日系人及びその家族が入国・在留を認められるためには「定住者」以外の,在留資格に該当するか,定住者告示の他の条項に該当するか,あるいは法務大臣等の個別の裁決等により「特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める(入管法別表第二の定住者の項下欄)」とされることが必要であるが,これは一般の外国人と異なることはない。すなわち,(a)日系人及びその家族は,本件告示条項によって定住者の在留資格を認められ,一般の外国人に比して有利な優遇的取扱いを受ける一方,(b)一般の外国人と同様の在留資格で入国・在留を認められることも可能であり,①上記(a)の取扱いに関し,本件改正告示により本件告示条項につき素行善良要件が課されることになっても,それは,日系人及びその家族について,一般の外国人よりも優遇される程度が本件改正告示の施行前に比して低減されたにすぎず,その施行後もなお優遇的取扱いは維持されているのであり,また,②上記(b)の場合には,通常の在留資格に関し,一般の外国人と別段異な- 25 -る取扱いを受けるものではなく,在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断を含め,一般の外国人と比較してより軽微な犯罪歴についてより不利な取扱いを受けることもないのであるから,本件改正告示が,日系人及びその家族に対し,入国・在留の許否において,一般の外国人に比して差別的な不利益を課すものとはいえない。 イ(ア)原告は,本件改正告示により素行善良要件が追加された理 ら,本件改正告示が,日系人及びその家族に対し,入国・在留の許否において,一般の外国人に比して差別的な不利益を課すものとはいえない。 イ(ア)原告は,本件改正告示により素行善良要件が追加された理由として,定住者の在留資格で入国・在留する外国人による犯罪が相当数にのぼり,重大事件(広島女児殺害事件)も発生し,治安に対する国民の不安が高まっていることが挙げられているが,そのような事実はなく,重大事件の被告人は上記の類型に該当せず,<A>本件改正告示については,改正の立法事実がなく,その目的は正当ではなく,その必要性がないし,その目的と手段との間の均衡を失している,<B>本件改正告示は,日系人全体について,上記事件のような犯罪を行うおそれのある者であり,緊急の治安対策の対象となる者であるという偏見を生じさせる差別的な効果をもたらすものである,<C>告示改正前の犯罪歴であっても,在留期間更新の不許可などの差別的な効果をもたらすことは,著しく不当である旨主張する。 (イ)しかしながら,法務大臣が定住者告示においてどのような要件を類型的に定めるかについては,上記( )エのとおり,上記( )イと同様 の諸般の事情を総合的に勘案して,時宜に応じて的確に判断されるべきであり,素行善良要件を追加した本件改正告示が,目的の不当性若しくは手段との不均衡又はその改正がもたらす差別的な効果により違法かつ無効であるとされるためには,日系人及びその家族のうち素行善良要件を満たさない者について,法務大臣の個別的な判断にゆだねずにあらかじめ定住者の地位を認めないものと類型的に定めることと- 26 -した判断が,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められることを要するものと のと類型的に定めることと- 26 -した判断が,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められることを要するものと解される。 ,,,「「」(ウ)そして(a)本件解説文書によれば本件改正告示は定住者の在留資格を有する者による犯罪が相当数発生していること,日系人として「定住者」の在留資格で入国し,在留する外国人による重大事,,件が発生し治安に対する国民の不安が高まっていること等を踏まえ日系人及びその家族が定住者の在留資格を取得する要件に素行が善良であることを追加したもの」であるとされているところ(乙8,(b))証拠(乙12,13,17)及び弁論の全趣旨によれば,①本件改正告示の告示日(平成18年3月29日)の直近の2年間(平成16年及び平成17年)に刑法犯として検挙された定住者の在留資格を有する者は,2000人前後に達していたのであり,刑法犯として検挙された在日外国人全体の中で定住者の在留資格を有する者の比率は,両年とも2割を超えていたこと(乙17,②内閣府の「社会意識に関)する世論調査(乙12)によれば,悪い方向に向かっている分野と」して治安を挙げた人の割合は平成16年2月調査で2位,平成17年2月調査で1位,本件改正告示が公布される直前の平成18年2月調査で1位であり,財団法人社会安全研究財団の「犯罪に対する不安感等に関する調査研究(乙13)によれば,在日外国人の犯罪が増え」ていると感じている人の割合は82パーセント(平成16年版の犯罪白書による数字)に達していたことがそれぞれ認められ,③広島女児殺害事件の加害者は,他人名義の旅券を用いて「定住者」の在留資格を取得して入国した者であったにせよ「定住者」の在留資格で入国, 犯罪白書による数字)に達していたことがそれぞれ認められ,③広島女児殺害事件の加害者は,他人名義の旅券を用いて「定住者」の在留資格を取得して入国した者であったにせよ「定住者」の在留資格で入国,し在留する外国人であったこと等にかんがみると,(c)本件改正告示の改正理由とされた上記(a)の事情については,上記(b)のとおりこ- 27 -れに対応する事実の存在が認められ,また,かかる事実の存在を踏まえて出入国管理の目的である国内の治安の維持(上記( )イ)の観点か ら「定住者」の在留資格の要件に原則として素行善良要件が付加されたものである以上,本件改正告示において素行善良要件を付加したことが,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるということはできず,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないし,不合理な差別又は人種差別の行為・慣行の従事及び助長・扇動に当たるということもできない。 なお,本件改正告示は,定住者のうち,(a)インドシナ難民及びヴィエトナム難民(1号,2号)並びに(b)中国残留邦人及びその親族(8号)については,例外的に素行善良要件を付加しておらず,その結果,日系人及びその家族のうち,これらに該当する者については素,,,行善良要件が課されないこととなるがこれは上記(a)については入管法自体が採用する難民保護の政策的な観点から,上記(b)については,特殊な歴史的経緯を背景として,中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)等に基づく中国残留邦人及びその親族の帰国促進等の政策的な観点から,それぞれ特別に例外とされたものと解され,上記(a)及び(b)に該当しない日系人の中にはラテン・アメリカ諸国以外の国の国籍を有する 等に基づく中国残留邦人及びその親族の帰国促進等の政策的な観点から,それぞれ特別に例外とされたものと解され,上記(a)及び(b)に該当しない日系人の中にはラテン・アメリカ諸国以外の国の国籍を有する者も含まれていることからすると,これらの取扱いの差異は,上記(a)及び(b)の難民及び中国残留邦人等に対する特別の優遇措置の結果として派生的に生じたものにすぎず,殊更に日系人のうち特定の人種・国籍の者を不利益に扱うものとはいえないから,これをもって,社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできず,不合理な差別又は人種差別の行為・慣行の従事及び助長・扇動に当たる- 28 -ということもできない。 (エ)そして,本件改正告示は,定住者の在留資格で本邦に入国し在留する外国人の中には日系人を偽って入国する者も多数含まれている事実(乙15)も踏まえつつ,上記のとおり,定住者の在留資格で本邦に入国し在留する外国人による重大事件を含む相当数の犯罪の発生という客観的事実を理由とするものである反面,それは在日外国人中の統計上の比率等を考慮したものであり,一部の上記例外を除き,大部分の日系人及びその家族は素行が善良であることを前提とした上で乙(15(法務大臣の所見,素行善良要件を満たす日系人及びその家族))については上記ア(イ)のとおりなお一般の外国人よりも優遇的な取扱いを維持するものであって,定住者の在留資格の在日外国人中の多数を占める日系人の全体を一律に犯罪性向のある者として治安対策の対象とする趣旨のものでないことは,当該告示の内容自体から明らかであるから,本件改正告示をもって,日系人全体について偏見を生じさせる差別的な効果をもたらすものであるということはできず,かかる観点から 象とする趣旨のものでないことは,当該告示の内容自体から明らかであるから,本件改正告示をもって,日系人全体について偏見を生じさせる差別的な効果をもたらすものであるということはできず,かかる観点からも,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえず,不合理な差別又は人種差別の行為・慣行の従事及び助長・扇動に当たるともいえない。 (オ)なお,本件改正告示の施行前の犯罪歴によって素行善良要件を欠くものとされる結果,本件のように,当該刑事罰に処せられた直後には在留期間の更新が許可され,本件改正告示の施行前には在留期間の更新が許可されなくなることが起こり得ることになるが,上記( )イ 及びエのとおり,定住者告示の定め方及び在留期間の更新の許否の判断に当たっては,法務大臣等の広範な裁量に基づき,出入国管理の目的である国内の治安の維持等の諸般の事情を総合的に勘案して,時宜に応じて的確に判断されるべきである以上,本件改正告示の施行前に- 29 -在留期間の更新が許可された後,その後の治安状況等の変化(上記(ウ))に応じて,これに対処する措置としての本件改正告示の施行後,にその適用により在留期間の更新が許可されなくなることがあってもこれをもって裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるということはできない。 ウ以上によれば,原告の上記ア(ア)及びイ(ア)の主張はいずれも採用することができず,本件改正告示は,日系人及びその家族との関係において,不合理な差別又は人種差別の行為・慣行の従事及び助長・扇動に当たるということはできないから,憲法14条1項(平等原則)に違反するものではなく,人種差別撤廃条例に違反するものでもないというべきであり,また,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものともいえないので,本件改正告示が無効であるということはできな 原則)に違反するものではなく,人種差別撤廃条例に違反するものでもないというべきであり,また,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものともいえないので,本件改正告示が無効であるということはできない。 したがって,本件改正告示は有効であり,在留資格更新の許否の判断において本件告示条項の内容を考慮の対象とすることは法務大臣等の合理的な裁量的判断の在り方として是認されるものである(前記( )オ)か ら,原告が,日本で○の履歴のある原告の本件更新申請について不許可処分がされる見込みであるとの入国審査官の説明を前提として本件変更申出をしたことについて,客観的事情と原告の主観的認識との間に齟齬があるとは認められない以上,本件変更申出により本件更新申請を変更したことが錯誤により無効であるとは認められないというべきである。 エなお,(ア)(a)横浜支局の入国審査官は,原告が日本での○の履歴により在留資格の更新許可を得られなくなった理由の原告への説明において,法律及び取扱いの改正と説明したこと(甲12,乙6,(b)原告)と同様に日本での○の履歴のある姉P3は,その後に在留期間の更新許可を受けたこと前提事実( )( )及び()が認められるものの(イ)(,), ①定住者告示及びその改正は,法律(入管法)の委任に基づいて法務大- 30 -(),臣が定住者の地位の一般的な基準法的規範を定立・改正するもので実質的な立法作用の性質を有するものということができ,同告示の定める素行善良要件の具体的内容を明らかにした法務省の行政規則の定めもその解釈規範であるといえる上,かかる法的規範の改正の結果として,本件告示条項の素行善良要件を満たさない原告による本件更新申請に対,して東京入国管理局長により不許可処分がされる見込みで 則の定めもその解釈規範であるといえる上,かかる法的規範の改正の結果として,本件告示条項の素行善良要件を満たさない原告による本件更新申請に対,して東京入国管理局長により不許可処分がされる見込みであったことは客観的事情として原告に伝えられ,原告もこれを認識していたこと,②定住者の在留資格で本邦に入国し在留する外国人が本邦での犯罪歴の関,,係で素行善良要件を満たさない場合に在留期間更新の許否に関しては当該犯罪の内容及び当該外国人の身上・在留歴を含む諸般の事情を総合,,考慮して法務大臣等の裁量により判断がされるところ原告については単身で在留歴が約6年であることなどから不許可処分がされる見込みであり,他方,姉P3については,子があるなどの事情を考慮して単身の原告と異なる判断がされる可能性があることが,客観的事情として原告,(,)に伝えられ原告もこれらの事情を認識していたこと乙6原告本人等からすれば,本件更新申請の許否の見込みを踏まえて本件変更申出によりその申請内容を変更した過程において,原告の判断の基礎となった事情の認識は,その重要な要素において客観的事情と符合していたものと認められるので,上記(ア)の各事情を勘案しても,原告の本件変更申出が錯誤により無効となるものと解することはできない。 以上によれば,本件不許可処分は存在せず,本件更新申請は存続していないから,①主位的請求に係る無効確認の訴えは,処分の存在を欠き,また,②予備的請求に係る不作為の違法確認の訴え及び義務付けの訴え(申請型)は,法令に基づく申請及びこれに対する不作為の存在を欠き,いずれも訴訟要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件訴えは,その余の点(本案の争点(争点( )ないし( ) ) 6 )- 31 -,,,について判断 する不作為の存在を欠き,いずれも訴訟要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって,本件訴えは,その余の点(本案の争点(争点( )ないし( ) ) 6 )- 31 -,,,について判断するまでもなくいずれも訴訟要件を欠き不適法であるから却下を免れない。 なお,原告については,(ア)本件変更申出により本件更新申請が在留資格変更申請に変更されて存在しなくなったため,本件更新申請の不許可処分に後続する当初の在留期限の経過による退去強制対象者の認定に対する異議の申出(同法49条1項)の手続において,在留特別許可(同法50条1項4号)の許否の判断を受ける機会は得られなくなったものであるが,(イ)今後,①仮に,在留資格変更後の在留期限の経過による退去強制対象者の認定がされれば,これに対する異議の申出(同法49条1項)の手続において,在留特(),別許可同法50条1項4号の許否の判断を受ける機会が確保されておりまた,②仮に,原告が任意に出国した上,本邦への上陸のための審査を求め(同法6条,上陸のための条件に適合していない旨の認定がされれば,これ)に対する異議の申出(同法11条1項)の手続において,上陸特別許可(同法12条1項3号の許否の判断を受ける機会も確保されているところ(ウ)),上記(イ)①及び②の許否(定住者告示の類型的な要件に該当しない者につき個別的に特別の許可を付与することの適否)の判断においては,(a)原告の,,実母及び兄弟・姉らは全員が来日し本邦に定住者として在住し続けており他方,本国にいる原告の養父母(叔父の義弟夫婦)は里親にすぎず,帰国後の援助を多くは期待し難いこと(甲12,原告本人,弁論の全趣旨,(b)本)件刑事事件は,姉P3に依頼され追従して廃棄物(洗濯機2台及び冷蔵庫1台)の不法投棄 叔父の義弟夫婦)は里親にすぎず,帰国後の援助を多くは期待し難いこと(甲12,原告本人,弁論の全趣旨,(b)本)件刑事事件は,姉P3に依頼され追従して廃棄物(洗濯機2台及び冷蔵庫1台)の不法投棄をしたもので,原告はその確定後に前回の在留期間更新許可を受け,姉P3は前回・今回ともに定住者として在留期間更新許可を受けていること(前記前提事実( )ないし( ),甲12,原告本人,(c)原告には, )今回の在留期限の経過による入管法違反を除き,本件刑事事件以外には犯罪・非行の履歴はないこと(弁論の全趣旨)等の諸事情が考慮されるものであることは,上記(ア)の許否の判断の場合と別段変わるところはない。 - 32 -第4 結論 ,,,以上によれば本件訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条民事訴訟法61条を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃裁判官本間健裕裁判官倉澤守春は,差し支えのため,署名押印することができない。 裁判長裁判官岩井伸晃

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