平成16(あ)1709 殺人,詐欺未遂,詐欺,住居侵入,強盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成20年1月31日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所
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判決文本文1,622 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人臼井一廣,同坂本正幸の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法19条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)及びその趣旨に照らして明らかであるから,理由がなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は量刑不当,単なる法令違反の主張であり,被告人本人の上告趣意は,量刑不当の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。付言すると,本件は,被告人が,(1)当時愛人関係にあった共犯者と共謀の上,共犯者の夫(当時38歳)を保険金目的で殺害し(殺人),生命保険会社2社から,同人に係る生命保険金合計9870万円余りを詐取し(詐欺),(2)その約6年後,内縁関係となっていた上記共犯者と共謀の上,被告人において,一人暮らしの知人女性(当時75歳)方へ強盗に押し入り,現金約13万7000円及びネックレス等(時価合計約120万円相当)を強取し(住居侵入,強盗),(3)さらに,その約1か月後,上記共犯者と共謀の上,共犯者の実子(当時16歳)を保険金目的で殺害し(殺人),生命保険会社から,同人に係る生命保険金3500万円を詐取しようとしたものの未遂に終わった(詐欺未遂)という事案である。いずれも金銭取得の目的による悪質な犯行であるが,殊に(1)(3)の犯行- 2 -は,保険金目的で人の苦しみも生 険金3500万円を詐取しようとしたものの未遂に終わった(詐欺未遂)という事案である。いずれも金銭取得の目的による悪質な犯行であるが,殊に(1)(3)の犯行- 2 -は,保険金目的で人の苦しみも生命の重みも顧慮しないまま犯したもので,罪質は非常に悪い。各殺人の態様は,いずれも,水難事故を装って被害者を殺害することを企て,睡眠導入剤等の薬物をひそかに被害者に服用させて,睡眠状態に陥らせ,身体の自由を奪った上,海中に突き落とすなどし,それぞれ被害者が覚せいするや,被告人において海中に入り,力ずくで海中に沈めて殺害したという計画的なもので,冷酷,非情かつ残忍である。その結果,2名の尊い生命を奪い,生命保険会社から多額の金員をだまし取っており,これらの各犯行による結果は甚大である。 被告人は,共犯者から(1)の犯行の提案を受け,これに応じて自ら殺害行為を実行し,多額の金員を取得したが,その享楽的な生活から短期間でこれを使い果たし,今度は,被告人から共犯者に(2)や(3)の犯行を提案し,(3)の犯行については実子の殺害に抵抗を示す共犯者を執ように説得するなどして,これらを実行するなど,各犯行において,積極的な役割を果たすとともに,被害者らの生命を奪う決定的な行為をしている。 以上のような事情に照らすと,被告人の罪責は極めて重大であり,被告人が逮捕後は犯行を自白し事案解明に寄与したこと,共犯者との刑の均衡などを考慮しても,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官井阪博公判出席(裁判長裁判官涌井紀夫裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴) し書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官井阪博公判出席(裁判長裁判官涌井紀夫裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴)

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