平成26(ワ)22423 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年6月30日 東京地方裁判所
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平成28年6月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第22423号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成28年4月13日判決 原告株式会社UCHIOWILL同訴訟代理人弁護士田村裕一郎同近藤枝里子同訴訟復代理人弁護士山本幸宏同上村遥奈 被告株式会社マイクロウエア(以下「被告マイクロウエア」という。)同訴訟代理人弁護士遠山康 被告東阪電子機器株式会社(以下「被告東阪電子機器」という。)同訴訟代理人弁護士中久保満昭同山崎純 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは,原告以外の第三者のために,又は第三者に対し,別紙物件目録記載1の物件を製造,設置若しくは販売し,又は第三者をして製造,設置若しく は販売させてはならない。 2 被告らは,別紙物件目録記載1の物件を廃棄せよ。 3 被告マイクロウエアは,原告以外の第三者のために,又は第三者に対し 売し,又は第三者をして製造,設置若しく は販売させてはならない。 2 被告らは,別紙物件目録記載1の物件を廃棄せよ。 3 被告マイクロウエアは,原告以外の第三者のために,又は第三者に対し,別紙物件目録記載2及び3の物件を製造若しくは販売し,又は第三者をして製造若しくは販売させてはならない。 4 被告マイクロウエアは,別紙物件目録記載2及び3の物件を廃棄せよ。 5 被告らは,原告に対し,各自1050万円及びこれに対する平成25年12月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨原告は,被告マイクロウエアに対し,平成22年4月12日付け開発請負基本契約(以下「本件基本契約」という。)に基づき,印章自動製作販売装置の開発・製造等を依頼し,同被告は,被告東阪電子機器に対し,同装置のハードウェア部分の開発・製造等を依頼した。これを受けて,被告らは,印章自動製作販売装置「SABBシリーズ」(以下「原告製品」という。)を開発し,原告に納入した。その後,被告らは,別紙物件目録記載1の印章自動製作販売装置(以下「被告製品」という。)を開発,製造し,販売している(なお,原告は,被告マイクロウエアが同目録記載2及び3の部分の開発,製造をしている旨主張するものと解される。)。 本件は,原告が,①被告らによる被告製品の開発,製造及び販売等は,債務不履行(本件基本契約に基づき原告が有する独占的製造販売権の侵害等)及び不法行為(自由競争原理を逸脱するような態様による原告の営業活動上の利益の侵害)に該当する旨,②被告らは,上記開発・製造の際に,原告保有の営業秘密を不当に使用・開示し,これは不正競争防止法2条1項7号ないし9号に該当する旨,③原告製品の形態等が周知ないし著名な商品等表示に当たるところ, ,②被告らは,上記開発・製造の際に,原告保有の営業秘密を不当に使用・開示し,これは不正競争防止法2条1項7号ないし9号に該当する旨,③原告製品の形態等が周知ないし著名な商品等表示に当たるところ,被告製品の形態等がこれと類似するため,被告らによる上記販売は,不正 競争防止法2条1項1号ないし2号に該当する旨を主張して,以下の請求をする事案である。 (1) 被告らに対し,債務不履行又は不正競争防止法2条1項1号ないし2号,3条に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄(ただし,廃棄は不正競争防止法のみに基づく請求である。)を求める。 (2) 被告マイクロウエアに対し,債務不履行又は不正競争防止法2条1項7号,3条に基づき,被告製品のうち別紙物件目録記載2及び3の部分の製造,販売等の差止め及び廃棄(ただし,廃棄は不正競争防止法のみに基づく請求である。)を求める。 (3) 被告らに対し,債務不履行ないし不法行為,又は不正競争防止法2条1項7号ないし9号,4条に基づき,損害賠償金1050万円及びこれに対する平成25年12月12日(支払請求日の翌日とされる日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,平成15年6月2日,商号を「昇研産業有限会社」として設立され,平成22年9月1日,現商号である「株式会社UCHIOWILL」に商号変更及び組織変更した会社であり,印章,印章材料の販売等を業とする株式会社である。 イ被告マイクロウエアは,コンピュータソフトウェアの開発,設計,製造,販売及び輸出入並びに印鑑彫刻機の販売,修理及び保守管理等を業とする株式会社である。 ウ被告東阪電子機器は,精密機械器具の イ被告マイクロウエアは,コンピュータソフトウェアの開発,設計,製造,販売及び輸出入並びに印鑑彫刻機の販売,修理及び保守管理等を業とする株式会社である。 ウ被告東阪電子機器は,精密機械器具の製造及び販売並びにコンピュータソフトウェアの開発,製作及び販売を業とする株式会社である。 (2) 本件基本契約の締結及びその内容(甲4)ア原告及び被告マイクロウエアは,平成22年4月12日,請負代金額を 1000万円(消費税別)として,印章自動製作販売装置の開発に関する開発請負基本契約(本件基本契約)を締結した。 イ本件基本契約には,以下の内容の各条項がある(なお,「甲」は原告を,「乙」は被告マイクロウエアを指す。)。 (ア) 1条(契約内容)「甲は乙に本製品の開発を委託し,乙はこれを受託した。」(1条1項)「乙は,本製品の「基本設計書」並びに「本製品の試作品」(以下,「試作品」という。)を製作し,これら(以下,「成果物」という。)を指定された納入場所へ納入期日までに納入しなければならない。」(1条3項。なお,以下,上記「試作品」を「本件試作品」といい,上記「基本設計書」及び「試作品」を併せて「成果物」という。)(イ) 6条(設計書)「本製品を製作する為の基本設計書は,乙より甲へ発行する。…」(6条1項)「本製品の改造または製造に絡む設計書の変更は,甲または乙の発意と工夫により考案し…」(6条2項)(ウ) 7条(開発依頼)「開発依頼の内容は,以下の各号の通りとする。 ① 開発製品名称印章自動製作販売装置② 試作品製造数量第一次試作2台(甲への納品数1台)第二次試作5台(甲への納品数4台)第三次試作2台(甲への納品数1台)③ 納入期日第一次試作 称印章自動製作販売装置② 試作品製造数量第一次試作2台(甲への納品数1台)第二次試作5台(甲への納品数4台)第三次試作2台(甲への納品数1台)③ 納入期日第一次試作平成22年10月31日第二次試作平成23年2月28日第三次試作平成23年5月31日」 (7条2項)(エ) 10条(再委託)「乙は,本製品の製造の一部もしくは全部を第三者に再委託する事が出来る。」(10条1項)「乙は,費用,効果,品質及び納期等を勘案し,妥当と判断した場合には,再委託を行う事が出来る。」(10条2項)「前項の場合,乙は本契約に基づく義務全般を再委託先にも課さなければならない。」(10条3項)「再委託に際し発生する瑕疵等は,全て乙の責任と費用において解決し,納入期日等を含め,一切の迷惑を甲にかけてはならない。」(10条4項)(オ) 18条(製造販売権の保有と移譲。なお,契約書には「第18条付則2条」とあるが,これは「第18条」の誤記と認める。)「本契約により開発が完了した後,これら成果物に準ずる本製品の製造販売権は甲が所有する。」(18条1項)「…本契約が終了した後,1年以内に甲が乙に本製品の製造を委託しなかった場合,同権利は乙に帰属するものとする。…」(18条3項)(カ) 19条(機密情報)「本契約における機密情報とは,以下の各号の通りとする。 ①本契約書②設計書③機密として開示された情報④前3号から派生した情報」(19条1項)(キ) 20条(機密保持)「本契約に基づく機密情報は,甲及び乙は第三者に開示,漏洩または提供等をしてはならない。」(20条1項) (ク) 21条(情報の 9条1項)(キ) 20条(機密保持)「本契約に基づく機密情報は,甲及び乙は第三者に開示,漏洩または提供等をしてはならない。」(20条1項) (ク) 21条(情報の利用制限)「本契約に基づく機密情報及びその他の情報(以下,「情報全般」という。)は,本契約遂行の為のみ利用できる。」(21条1項)(ケ) 22条(情報全般の返還)「情報全般は,本契約修了(ママ)後直ちに相手へ全て返還しなければならない。」(22条1項)(コ) 25条(信義則)「甲及び乙は,信義を守り,本契約を誠実に実行しなければならない。 なお,本契約に定めの無い事項,または,疑義が生じた場合には,信義誠実の精神で協議し,合意しなければならない。」(3) 原告製品の開発・製造への被告らの関与ア被告マイクロウエアは,被告東阪電子機器に対し,本件基本契約に基づく被告マイクロウエアの義務のうち,本件試作品及び原告製品のハードウェア開発・製造に係る部分を再委託した。 イ被告マイクロウエアは,本件試作品の開発等に関する平成23年6月11日付け注文書(乙B1)を被告東阪電子機器に交付したが,このほか,被告ら間において,契約書等の書類は作成されていない。 また,被告マイクロウエアは,被告東阪電子機器との間で,情報全般の管理等に関する合意をしていない。 ウ被告東阪電子機器は,原告との間で何ら契約を締結していない。 エ原告製品は,本件試作品を量産したものであり,その開発・製造等における被告マイクロウエア及び被告東阪電子機器の役割は,本件試作品における両者の役割と同様である。 オ被告マイクロウエアは,本件基本契約6条1項に基づき,原告に対して基本設計書を引き渡すべき義務を負うが,これを原告に引 及び被告東阪電子機器の役割は,本件試作品における両者の役割と同様である。 オ被告マイクロウエアは,本件基本契約6条1項に基づき,原告に対して基本設計書を引き渡すべき義務を負うが,これを原告に引き渡していない。 (4) 本件試作品及び原告製品の構成 本件試作品及び原告製品は,いずれも印章彫刻機と自動販売装置を組み合わせたものであり,その構成要素は,以下のとおりである。 ア印章彫刻機(ア) ハードウェア部分a タッチパネル式ディスプレイb 内蔵されるコンピュータ本体(以下「内蔵コンピュータ」という。)c 彫刻装置(イ) ソフトウェア部分a データベース(a) 辞書データベース⒝ 書体データベースb ソフトウェア(a) デザインソフトウェア⒝ 彫刻ソフトウェアイ自動販売装置(ア) ハードウェア部分a タッチパネル式ディスプレイ(印章彫刻機と共用)b 内蔵コンピュータ(印章彫刻機と共用)c 代金を受領し,お釣りを支払うという,金銭授受を行う機械装置(以下「金銭授受装置」という。)d 印材を貯めておきこれを払い出すという,印材の貯留・払出しを行う機械装置(以下「印材払出し装置」という。)(イ) ソフトウェア部分a 金銭授受装置を制御するソフトウェア(以下「金銭授受ソフトウェア」という。) b 印材払出し装置を制御するソフトウェア(以下「印材払出しソフトウェア」という。)(5) 被告らによる被告製品の販売等ア被告東阪電子機器は,平成24年1 。) b 印材払出し装置を制御するソフトウェア(以下「印材払出しソフトウェア」という。)(5) 被告らによる被告製品の販売等ア被告東阪電子機器は,平成24年10月ころ以降,被告マイクロウエアと共同で被告製品を開発・製造した上で,これを量販店などに設置・販売し始めた。 イ被告製品の基本的な構成要素は,本件試作品及び原告製品の場合(前記(4)参照)と同様であるが,原告製品と被告製品には,①原告製品では,購入した印材が販売装置から払い出され,利用者自らが払い出された印材を印章彫刻装置部分にセットするのに対し,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされる,②原告製品の横幅は約950mmであるのに対し,被告製品の横幅は約500mmである,③被告製品では,文字入力に関して,タッチパネルに直接指で文字を書くことにより漢字を選択する方法,及びタッチパネルに直接指で書いた文字をそのまま印影とする方法が可能である,④文字配列に関して,原告製品では3種類であるのに対し,被告製品では4種類である,⑤書体に関し,原告製品は3種類であるのに対し,被告製品では5種類である,⑥彫刻可能な印材の種類に関し,原告製品では丸型の印材のみに対応するが,被告製品では角形の印材にも対応する等の相違点が存在する。 3 争点(1) 被告らによる債務不履行の成否ア原告は,本件基本契約18条1項により,原告製品だけでなく被告製品についても「独占的製造販売権」を有するのか。その場合,被告らは,上記条項が規定する原告の「独占的製造販売権」を侵害したのか。 イ上記ア以外に関する被告らの債務不履行の成否(2) 被告らによる不法行為の成否 (3) 被告らによる不正競争防止法2 記条項が規定する原告の「独占的製造販売権」を侵害したのか。 イ上記ア以外に関する被告らの債務不履行の成否(2) 被告らによる不法行為の成否 (3) 被告らによる不正競争防止法2条1項7号ないし9号該当行為の成否(4) 被告らによる不正競争防止法2条1項1号ないし2号該当行為の成否(5) 原告の損害額 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(被告らによる債務不履行の成否)についてア原告の主張(ア) 被告マイクロウエアによる原告の独占的製造販売権の侵害a 原告・被告マイクロウエア間では,印鑑自動製作販売装置の開発後は,原告が印鑑自動製作販売装置の独占販売権を持つことを前提としており,両者は,印鑑自動製作販売装置の開発に関して相互にビジネスパートナーとなる関係であった。 被告マイクロウエアは,原告のビジネスモデルを理解した上で,印鑑自動製作販売装置の開発後も相互に協力することを前提として,原告が独占的に製造販売権を持つことを確認する意味で,その旨の規定(本件基本契約18条)を追加した上で,平成22年4月12日付けで本件基本契約を締結した。 それにもかかわらず,被告らは,その後,一体となって被告製品の製造等を行い,原告の独占的製造販売権を侵害した。 なお,原告製品と,その模倣品である被告製品の構成要素は同一であり,機能面や構造においてもほぼ同一である。被告製品には,原告製品にはない機能及び構造が追加されているものの,印材の自動セットの差異は,単なる付け足しにすぎず,外形寸法の小型化や,文字の書体,手書き入力,印材の種類,文字の配列の差異は,いずれも軽微な差異にすぎず,これらの差異をもって,本件基本契約18条の禁止の範囲外であることの理由に用いるのは信義則に反する。 化や,文字の書体,手書き入力,印材の種類,文字の配列の差異は,いずれも軽微な差異にすぎず,これらの差異をもって,本件基本契約18条の禁止の範囲外であることの理由に用いるのは信義則に反する。 b 本件基本契約18条が禁ずる行為は,原告製品と同一の製品のみな らず,同種の製品の開発・製造や,同種の製品の部分的開発及び製造を行った場合も含む(主位的主張)。また,仮にそうでなくても,少なくとも,被告マイクロウエアが,原告製品と同種の印鑑自動製作販売装置の部分的開発及び製造を行い,これを被告東阪電子機器に納入する場合は,上記の禁止の範囲に含まれる(予備的主張)。 このほか,同契約6条2項によると,「本製品」は改造されることが当然の前提であるから,「本製品」の範囲には,オリジナル製品から改良された製品(同種の印鑑自動製作販売装置)まで広く含まれると解される。 そして,被告マイクロウエアは,模倣品である被告製品のソフトウェア部分の開発及び製造を行い,それを被告東阪電子機器に対して納品したところ,被告製品の開発・製造における被告マイクロウエアの役割は極めて重要といえるから,被告マイクロウエアは,上記主位的・予備的主張のいずれにおいても,同契約18条に違反している。 c 被告マイクロウエアは,量産品(原告製品)に関する契約(以下「本件量産品契約」という。)の一部解除をもって原告には独占的製造販売権が帰属しない旨主張するが,同主張は理由がない。すなわち,原告・被告マイクロウエア間では,本件量産品契約に関して,原告製品13台を納品しない処理について一部合意解約が成立したが,一部解除などない。また,上記一部合意解約の原因は,被告マイクロウエアが不具合の多発する欠陥品を開発したため,これを顧客店舗に対 て,原告製品13台を納品しない処理について一部合意解約が成立したが,一部解除などない。また,上記一部合意解約の原因は,被告マイクロウエアが不具合の多発する欠陥品を開発したため,これを顧客店舗に対して思うように販売できず,販売代金により製造費等の投資を回収することができず,資金繰りが困難になったためであるから,原告の債務不履行も存在しない。そもそも本件基本契約と本件量産品契約とは異なる契約であり,後者が一部合意解約されたからといって,前者の効力に影響が及ぶものではない。 (イ) 被告マイクロウエアによるその他の債務不履行a 被告マイクロウエアは,被告東阪電子機器と共同して,原告から開示された本件試作品及び原告製品に関する情報(具体的には別紙情報目録記載のとおり。以下「本件情報」という。)を不当に利用して,秘密裡に,被告製品を開発等した。また,被告マイクロウエアは,本件基本契約終了後,本件情報を直ちに原告に全て返還しなければならないのに,これを怠った。これらは,本件基本契約所定の機密保持(20条1項),情報の利用制限(21条1項),情報全般の返還(22条1項)等の条項に反するほか,信義則にも反する。 b 被告マイクロウエアは,印鑑自動製作販売装置の製造の一部又は全部を第三者に再委託させる場合には,本件基本契約に基づく義務全般を再委託先に課す義務があった(10条3項)にもかかわらず,これを怠り,同契約に基づく義務全般を被告東阪電子機器に課さなかった。 c なお,本件基本契約は,被告マイクロウエアが,基本設計書及び本件試作品を納入し,原告が受入れ検査の後,被告マイクロウエアに開発の請負金の全額を支払い終えたときに終了する(同契約1条3項及び2条1項1号参照)。しかし,被告マイクロウエアは,いまだ 設計書及び本件試作品を納入し,原告が受入れ検査の後,被告マイクロウエアに開発の請負金の全額を支払い終えたときに終了する(同契約1条3項及び2条1項1号参照)。しかし,被告マイクロウエアは,いまだに「基本設計書」を原告に納入していないから,同契約は終了していない。仮に,同契約が終了していた場合でも,同契約終了前の義務違反の効果が,同契約終了とともに消滅するはずもなく,いずれにしろ,長期間継続する予定の原告製品の設置・販売ビジネスにおいて,同契約10条及び21条の効力は,その趣旨からして,同契約終了後も継続している。 (ウ) 被告東阪電子機器の債務不履行被告東阪電子機器は,被告マイクロウエアと事実上密接な取引関係にあるところ,同密接な関係を前提として,印鑑自動製作販売装置に関す る原告のビジネスモデルを理解・認識し,同装置の開発を,事実上被告マイクロウエアの履行補助者として行うこととなった。被告らの密接な関係,同装置に関する被告らの役割分担及び業務従事内容等から,被告東阪電子機器が,被告マイクロウエアと一体的な立場として,本件基本契約に基づく義務及び信義則上の義務を負うことは明らかである。 しかるに被告東阪電子機器は,一方的に原告を裏切り,被告マイクロウエアと共同して,本件情報を不当に利用して,秘密裡に被告製品を開発等したものであるから,原告に対して債務不履行責任を負う。 イ被告マイクロウエアの主張(ア) 原告の製造販売権を侵害していないことa 本件基本契約18条1項は,本件試作品に基づいて量産される原告製品の製造販売権について定めた規定であり,この規定によって禁止される被告マイクロウエアの行為は,原告製品と同一の装置を製造販売することに限られる。そうであるとすると,被告マイクロウエアは原告製品と 品の製造販売権について定めた規定であり,この規定によって禁止される被告マイクロウエアの行為は,原告製品と同一の装置を製造販売することに限られる。そうであるとすると,被告マイクロウエアは原告製品と同一の装置の製造販売は行っていないから,被告マイクロウエアが同契約18条1項(製造販売権の保有)に違反したとの原告の主張は理由がない。 また,上記条項は,原告製品の製造販売権が「独占的」なものであるとも定めていない。 b 同契約18条3項は,原告が被告マイクロウエアに原告製品の製造を委託した上で,継続的にこれを購入することを前提として,その製造販売権が原告に帰属することを定めたものと解すべきである。しかるに,原告・被告マイクロウエア間で成立した,原告製品(量産品)の製造・販売に関する契約(本件量産品契約)は,原告の債務不履行を理由に解除されたものであるから,原告には原告製品の製造販売権は帰属しない。 すなわち,原告・被告マイクロウエア間で,被告マイクロウエアが原告に対し,第1ロットとして50台,第2ロットとして50台の合計100台を,1台当たり99万円(税別)にて製造・販売する旨の本件量産品契約が成立したところ,被告マイクロウエアは,平成24年10月30日,原告に対し,第2ロット50台のうち13台については,原告の債務不履行を理由として,本件量産品契約を一部解除することを通知し,原告は何ら異議を述べていない。また,原告は,被告マイクロウエアが,上記一部解除に係る原告製品13台を原告以外の第三者に売却処分することについても何ら異議を述べていない。したがって,本件量産品契約は解除済みである。 (イ) その他の債務不履行もないこと原告が指摘する本件情報は,本件試作品や原告製品に特有 に売却処分することについても何ら異議を述べていない。したがって,本件量産品契約は解除済みである。 (イ) その他の債務不履行もないこと原告が指摘する本件情報は,本件試作品や原告製品に特有のものではないか,一般的な内容にとどまり,機密性の保持もさほど必要ではなく,いずれも機密情報には該当しない。 そして,被告マイクロウエアは,再委託に関する本件基本契約10条1項に基づき,自社において製作できないハードウェアである原告製品における「印鑑の彫刻機能を有する機器」を被告東阪電子機器に製作してもらったのであるから,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器に対して当該機器を「開示,漏洩または提供等した」と評価することはできず,同契約20条1項(機密保持)や同契約21条1項(情報の利用制限)に違反したと評価できない。 なお,同契約21条(情報の利用制限)及び10条(再委託)は,同契約の終了に伴って効力を失うところ,被告マイクロウエアは,原告に対して成果物を納入し,原告は,受入れ検査の後,平成23年10月1日に請負代金全額の支払を終えており,同契約は同日に終了したものである。したがって,同契約21条1項及び10条4項は,同契約の終了 に伴って効力を失い,被告マイクロウエアの債務も既に消滅している。 また,被告マイクロウエアは,本件試作品の開発及び原告製品の製造に際し,原告から何らの情報提供も受けていないから,被告マイクロウエアが原告に対して返還すべき情報はない。 ウ被告東阪電子機器の主張被告東阪電子機器は,原告との間で何ら契約を締結しておらず,原告製品の開発・製造に関し,被告マイクロウエアから委託を受けてハードウェアの製造を行ったにすぎず,同製造に関して原告から指示その他の情報提供を受けたこともない。 した 何ら契約を締結しておらず,原告製品の開発・製造に関し,被告マイクロウエアから委託を受けてハードウェアの製造を行ったにすぎず,同製造に関して原告から指示その他の情報提供を受けたこともない。 したがって,被告東阪電子機器が,原告に対して債務不履行責任を負うはずがない。 (2) 争点(2)(被告らによる不法行為の成否)についてア原告の主張(ア) 原告製品と被告製品との同一性,及び被告らが被告製品を短期間で開発・製造している事実からすれば,被告製品が原告製品を流用して作られたコピー製品であることが明らかである。 (イ) 原告は,多大な努力により,新たなマーケットたる自販機マーケットを考案し,創設した。そして,自販機マーケットには価値があり,被告らは,原告による上記マーケットの創設に密接な協力関係にあり,かつ,自らが同マーケットを考案することはできなかったにもかかわらず,被告製品の製造・販売等により同マーケットに参入し,原告の努力の結果を横取りしている。 また,被告らは,原告の負担において,極めて短期間で,模倣品である被告製品の開発,製造,設置・販売に成功しており,原告がこれまでに築いた信頼,マーケティング等にタダ乗りしている。 (ウ) 被告マイクロウエアは,原告に無断で,かつ再委託先として適切で ない被告東阪電子機器を選び,再委託に際して,一切の迷惑をかけないどころか,積極的に原告に迷惑をかけている。また,被告マイクロウエアは,「特許など必要ない」「この狭い業界で他社が参入してくることはない」と述べて原告を油断させた上で,自ら被告製品のソフトウェア部分を開発・製造した。このほか,被告マイクロウエアは,原告に対し,基本設計書を納入していない。 そして,被告東阪電子機器は,被告製 述べて原告を油断させた上で,自ら被告製品のソフトウェア部分を開発・製造した。このほか,被告マイクロウエアは,原告に対し,基本設計書を納入していない。 そして,被告東阪電子機器は,被告製品の開発に当たり,これが原告の営業活動上の利益を侵害するかどうかの調査をせず,原告に相談もしなかった上,被告製品の設置・販売において,同製品が「日本で初めてとなるはんこ専門の自動販売装置」である旨虚偽の事実を述べた。 (エ) 以上のとおり,被告らは,いずれも印鑑自動製作販売装置に係る原告のビジネスモデルを理解・認識し,また,原告とは互いにビジネスパートナーというべき関係にあり,被告東阪電子機器は原告製品の機械トラブル業務を担当する等していたにもかかわらず,原告製品を流用して被告製品を開発,製造及び設置・販売しており,あまりに不公平かつ不誠実な態様によって自販機マーケットへの参入を果たしている。以上からすれば,被告らの行為は,公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において,自由競争原理を逸脱し信義則に反した著しく不公正な手段を用いて原告の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものといえ,不法行為が成立する。 そして,被告らに故意があることは明らかである上,被告らの一連の行為は,被告らで共同して行われたものであり,共同不法行為に当たる。 イ被告マイクロウエアの主張(ア) 被告マイクロウエアが,原告との間の本件基本契約に基づいて開発した本件試作品及びその量産品である原告製品は,それ以前から被告マイクロウエアが印章販売店向けに製造・販売していた印章彫刻機(以下 「従前の印章彫刻機」という。)に自動販売装置を付加したものにすぎない。 被告らは,被告製品の作成に際して原告から何らの情報提供も受けてお 売店向けに製造・販売していた印章彫刻機(以下 「従前の印章彫刻機」という。)に自動販売装置を付加したものにすぎない。 被告らは,被告製品の作成に際して原告から何らの情報提供も受けておらず,その作成・改良に特殊な情報や技術を要したわけでもなく,また,被告製品の作成に用いたソフトウェア等は,本件試作品及び原告製品に特有なものではない。 そして,被告製品は,本件試作品及び原告製品が備えていない機能を備えている。 したがって,被告製品が原告製品の「模倣品」であるとは到底いえない。 (イ) 原告は,その努力によって印章の販売に精通するに至っていたかのような主張をするが,そのような事実はなく,被告マイクロウエアが原告の努力結果を横取りしたなどの事実もない。そもそも,「自販機マーケット」なる概念の内容が判然としない。 ウ被告東阪電子機器の主張(ア) 原告製品と被告製品との間には,前記2(5)イのとおりの相違点があるため,被告製品は原告製品の模倣品ではない。 (イ) 原告が主張する情報は,そのほとんどが原告製品の印章製作過程及び外観に関する情報であるところ,原告製品の印章製作過程に関する事項は何ら独特の特徴を有するものではない。また,原告製品の外観に関する事項は,いずれも印鑑自動製作販売装置としての機能を発揮するために必然的に採用せざるを得ない形態や,ありふれた形態又は表示等であって,法的な保護の対象となる利益たり得ない。 このほか,原告製品は,遅くとも平成24年1月にテレビニュースで取り上げられたことにより,その機能や外観に関する情報は公知となったところ,被告東阪電子機器が被告製品を製造したのは,同年10月頃 以降であるから,仮に被告製品について原告製品と一部共通する点がある たことにより,その機能や外観に関する情報は公知となったところ,被告東阪電子機器が被告製品を製造したのは,同年10月頃 以降であるから,仮に被告製品について原告製品と一部共通する点があるとしても,同被告の行為が何ら違法性を帯びるものではない。 (ウ) 原告が主張する「自販機マーケット」なる概念は抽象的かつ不明確であって,およそ権利ないし法律上保護される利益には当たらない。 このほか,原告と何ら契約関係にない被告東阪電子機器に,被告製品の開発・製造,設置・販売が原告の営業活動上の利益を害するかどうかの調査や,原告への事前相談等をすべき義務が生じるはずがない。 (3) 争点(3)(被告らによる不正競争防止法2条1項7号ないし9号該当行為の成否)についてア原告の主張(ア) 本件において営業秘密に該当する情報原告の営業秘密である,①原告製品(SABBシリーズ)に内蔵された印鑑彫刻機能を有する機器に関する情報,②原告製品に内蔵されたプログラム(プログラムが記憶された媒体を含む)に関する情報は,具体的には,別紙情報目録の㋐㋑㋒の1~23,及び㋔の1~10記載の部分を意味する(以下「本件秘密情報1」と総称する。)。 このほか,原告製品のソフトウェア部分(辞書データベース,書体データベース,デザインソフトウェア,彫刻ソフトウェア,金銭授受ソフトウェア,印材払出しソフトウェア,並びにこれらを全て合わせたもの),ハードウェア部分(彫刻装置,金銭授受装置,印材払出し装置,これらの各装置及びタッチパネル式ディスプレイ,内蔵コンピュータを全て合わせたもの),設計書等(基本設計書,本件詳細設計書,本件試作品),製造方法(組合せ方法)(以下「本件秘密情報2」と総称する。)についても,原告の営業秘密に該当する。 レイ,内蔵コンピュータを全て合わせたもの),設計書等(基本設計書,本件詳細設計書,本件試作品),製造方法(組合せ方法)(以下「本件秘密情報2」と総称する。)についても,原告の営業秘密に該当する。 (イ) 各情報の「営業秘密」該当性a 本件秘密情報1は,原告社内で少数の者が機密として管理しており, また,本件基本契約20条等において法的に機密として管理されている。さらに,同情報が,印鑑自動製作販売装置の構造上,不可欠な機能を果たしていることや,一般に入手できないことからしても,事業活動に有用な公然と知られていない情報であることは明らかである。 b 本件秘密情報2についても,原告製品が業界初の画期的な製品であることに鑑みれば,かかる機能を実現する本件秘密情報2のうち原告製品のソフトウェア部分が事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であることは明らかである。 また,原告製品のソフトウェア部分は,一般に入手することができない情報であり,被告らを除き何人もかかる営業秘密を知り得ないから,同部分の営業秘密は非公知である。 そして,原告及び被告マイクロウエアは,本件基本契約において情報管理に関する複数の条項を設け,情報を管理しているから,秘密管理性も問題なく認められる。 このほか,本件秘密情報2のうち,原告製品のハードウェア部分及び設計書等についても,同様に上記各要件を充足する。 仮に,原告製品のソフトウェア部分,ハードウェア部分及び設計書等が,有益性に欠け,営業秘密の要件を充たさないとしても,原告製品が業界初の印鑑自動製作販売装置として新規性を有する以上,これらを全て用いた原告製品の製造方法(組合せ方法)については有益性があり,非公知性,秘密管理性も認められ,その他の要件も上記同様認められる。 (ウ) 鑑自動製作販売装置として新規性を有する以上,これらを全て用いた原告製品の製造方法(組合せ方法)については有益性があり,非公知性,秘密管理性も認められ,その他の要件も上記同様認められる。 (ウ) 被告マイクロウエアが原告の営業秘密を不正に開示・使用したことa 原告は,原告製品のソフトウェア部分の内容を知ることについて固有かつ正当な利益を有しており,原告製品のソフトウェア部分の保有者は原告である。また,被告マイクロウエアは,原告製品のソフトウ ェア部分を開発する際,保有者である原告から原告製品のソフトウェア部分を示されたといえる。 b 被告マイクロウエアは,原告製品を開発しており,同製品のソフトウェア部分が原告製品の設置・販売ビジネスに用いられていることを認識していたにもかかわらず,これらの営業秘密を用いて,原告製品のコピー製品である模倣品のソフトウェア部分を開発・製造し,被告東阪電子機器による競業行為に関与した。したがって,被告マイクロウエアは,不正な利益を得る目的,及び原告に損害を与える目的を有していた。 c このように,被告マイクロウエアは,機密保持義務を負っているにもかかわらず,上記情報を使用し,また秘密裡に同情報を被告東阪電子機器に開示しており,不正の利益を得る目的,又は原告に損害を加える目的を有しているから,不正競争防止法2条1項7号に違反したものである。 そして,同被告の不正競争行為により原告の営業上の利益が侵害されており,同被告において,故意・過失があったことは明らかである。 (エ) 被告東阪電子機器が原告の営業秘密を不正に使用したことa 被告マイクロウエアは,原告と共同して原告製品を開発したから,原告製品のソフトウェア部分の保有者は原告及び被告マイクロウエアである。 そして,被告東阪電 が原告の営業秘密を不正に使用したことa 被告マイクロウエアは,原告と共同して原告製品を開発したから,原告製品のソフトウェア部分の保有者は原告及び被告マイクロウエアである。 そして,被告東阪電子機器は,原告製品のハードウェア部分を開発する際,保有者である被告マイクロウエアから原告製品のソフトウェア部分を示されているほか,被告製品の開発・製造時に,保有者である被告マイクロウエアから被告製品のソフトウェア部分(原告製品のソフトウェア部分を含む。)を示されている。 被告東阪電子機器は,原告製品の開発・製造に関与しており,原告 製品のソフトウェア部分が原告製品の設置・販売ビジネスに用いられていることを認識していた。それにもかかわらず,被告東阪電子機器は,これらの営業秘密を用いて,原告製品のコピー製品である模倣品を開発・製造し,競業行為を開始した。したがって,被告東阪電子機器は,不正な利益を得る目的,及び原告に損害を与える目的を有していた。 このほか,原告製品のハードウェア部分及び設計書等についても,上記とほぼ同様である。なお,被告東阪電子機器は,自らが原告製品のハードウェア部分を開発したものではあるが,これは原告及び被告マイクロウエアの管理の下で,原告製品のハードウェア部分を使用させてもらっていたにすぎず,営業秘密である同ハードウェア部分を示されたといえる。 b 以上からすれば,被告東阪電子機器は,不正競争防止法2条1項7号に違反しており,これによって原告製品の設置・販売台数が減少するなど原告の営業上の利益が侵害されており,被告東阪電子機器に故意・過失があったことは明らかである。 仮に,被告東阪電子機器が原告から営業秘密を示されていないとしても,同被告は,被告マイクロウエアによる本件秘密情報1の開示が原告 東阪電子機器に故意・過失があったことは明らかである。 仮に,被告東阪電子機器が原告から営業秘密を示されていないとしても,同被告は,被告マイクロウエアによる本件秘密情報1の開示が原告の営業秘密の不正開示行為であることを,営業秘密の取得時又は取得後に知って,又は重過失により知らずに,その取得した営業秘密を使用して被告製品を開発等したものであり,同法2条1項8号ないし9号に違反して,原告の営業上の利益を侵害したものである。 イ被告マイクロウエアの主張(ア) 被告マイクロウエアが本件試作品を開発するに際しても原告の具体的な指示・依頼はなく,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器と協議を重ねることによって本件試作品の仕様を確定し,これに従って,被告 東阪電子機器が設計・作成した本件試作品を完成させた上で,本件試作品に基づいて量産化したものである。 被告マイクロウエアは,印章彫刻機に関して辞書データベースを作成し,自動販売装置に関しては,金銭授受ソフトウェア及び印材払出しソフトウェアを作成したほかは,従前の印章彫刻機用に保有していたデータベース及びソフトウェアを利用したにとどまるところ,被告マイクロウエアがこうした作業を行う上で必要な技術・情報は全て同被告が保有していたものであり,原告から提供を受けた技術・情報は全くない。 (イ) 原告は,営業秘密の要件である秘密管理性,有用性,非公知性について本件秘密情報1を構成する個々の情報ごとに主張しておらず,主張実体失当である。 (ウ) 原告が事後的に営業秘密であると主張した本件秘密情報2の「原告製品のソフトウェア部分」については,そもそも特定されていない上,いずれにしろ被告マイクロウエアが自らの知識・経験に基づいて作成したものであり,原告が保有し 密であると主張した本件秘密情報2の「原告製品のソフトウェア部分」については,そもそも特定されていない上,いずれにしろ被告マイクロウエアが自らの知識・経験に基づいて作成したものであり,原告が保有していたわけでも,原告から被告マイクロウエアに示されたものでもない。 ウ被告東阪電子機器の主張原告は,本件秘密情報1を構成する個々の情報ごとに,具体的に営業秘密の要件である秘密管理性,有用性及び非公知性の各要件を主張しておらず,主張自体失当である。 また,少なくとも本件秘密情報1のうち,別紙情報目録の㋐㋑㋒の1ないし23記載の情報は,遅くとも平成24年1月時点で公知となっており,その後に製造された被告製品との関係で非公知性の要件を欠くことは明らかである。 なお,原告は,営業秘密の中身について,原告製品の「ソフトウェア部分」等(本件秘密情報2)を新たに主張するが,同主張の位置付けは不明 である上,いずれにしろ営業秘密該当性を欠き,また「保有する」や「示された」の要件を充たさない。 このほか,被告東阪電子機器は,被告マイクロウエアから委託を受けて,自らの技術・ノウハウに基づいて,原告製品の設計図面及び本件試作品を作成したものであり,これらは原告には交付されていないから,原告が秘密として管理していたものではない。 (4) 争点(4)(被告らによる不正競争防止法2条1項1号ないし2号該当行為の成否)についてア原告の主張原告製品の形態等の表示(甲5の1,以下「本件表示」という。)は,他の同種の商品と識別し得る独自の特徴(外観,タッチパネル式ディスプレイ,本体に設置されている物,名称)を有し,かつその表示が長期間継続的・独占的に使用され,又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされてお 同種の商品と識別し得る独自の特徴(外観,タッチパネル式ディスプレイ,本体に設置されている物,名称)を有し,かつその表示が長期間継続的・独占的に使用され,又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされており,出所識別機能を獲得するとともに,需要者の間に広く認識させるに至ったものであって,不正競争防止法2条1項1号ないし2号所定の商品等表示に該当する。また,本件表示は,全国的に知れ渡っているから著名であり,少なくとも平成24年5月ころには需要者の間で周知性を獲得したものである。そして,本件表示と被告製品の商品等表示は,類似している。 また,被告らは,本件表示と類似の被告製品を製作することで類似の商品等表示を使用し,「ホーマック」や「ドン・キホーテ」等に設置・販売することで,類似の商品等表示を使用した商品である被告製品を譲渡・引き渡している。そして,その結果,全国の印章取扱業者,設置・販売店のみならず,広く一般消費者が,被告製品を原告製品と誤認混同する可能性は極めて高い。 以上のとおり,被告らは,本件表示に関して不正競争防止法2条1項1号ないし2号の不正競争行為を行ったものである。 イ被告マイクロウエアの主張本件試作品及び原告製品並びに被告製品は,いずれも「タッチパネル式ディスプレイによって操作される,印章彫刻機と自動販売装置を組み合わせた装置」であるところ,原告指摘の事実はいずれも,上記構成要素(外観,タッチパネル式ディスプレイ,本体に設置されている物,名称)及び操作の容易性を確保する上で必然的に採用せざるを得ない形態等やありふれた形態等にとどまっており,「商品等表示」の要件である自他識別力又は出所表示機能を有するものではない。 ウ被告東阪電子機器の主張原告が挙げる,原告製品の商品等表示性を基礎 ありふれた形態等にとどまっており,「商品等表示」の要件である自他識別力又は出所表示機能を有するものではない。 ウ被告東阪電子機器の主張原告が挙げる,原告製品の商品等表示性を基礎付ける「独自の特徴」は,いずれも,印鑑自動製作販売装置としての機能を発揮するために必然的に採用せざるを得ない形態や,ありふれた形態又は表示等であって,商品等表示性の要件たる識別性を基礎付けるに足る独特の特徴とはいえない。 また,原告製品の形態は,そもそも商品等表示に該当するための識別性を有しておらず,その余について判断するまでもなく原告の主張は理由がない。 (5) 争点(5)(原告の損害額)についてア原告の主張被告らによる債務不履行ないし不法行為,又は不正競争防止法2条1項7号ないし9号該当行為によって,原告は開発費用を回収できなくなった。原告は,不具合の多発する本件試作品の開発に,少なくとも1050万円の請負代金相当額を支払ったところ,原告が同開発費用を回収することが困難となったため,原告には,同代金相当額の損害が生じた。 イ被告マイクロウエアの主張上記アのうち原告が被告マイクロウエアに対して請負代金1050万円を支払った事実は認め,その余はいずれも否認ないし争う。 ウ被告東阪電子機器の主張いずれも否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実(第2,2)に加えて,証拠(甲4ないし6,9,10,12,14ないし17,35ないし37,乙A2,5ないし22,乙B3(枝番を含む。)。ただし甲35ないし37のうち後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件基本契約の締結に至る経緯原告の元代表者で 乙B3(枝番を含む。)。ただし甲35ないし37のうち後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件基本契約の締結に至る経緯原告の元代表者であったA(以下「A」という。)は,平成15年に原告を設立し,印鑑の販売業を開始した。 Aは,平成21年ころ,印鑑の自動販売装置で印鑑を販売することを思いつき,同年11月10日,印鑑の自動販売装置につき,特許を出願した(甲10)。もっとも,Aは,その後,同特許出願に関し,審査請求を受けなかった。 原告と被告マイクロウエアは,平成21年ころ,既に印章彫刻機について取引関係にあり,Aは,同被告の代表者B(以下「B」という。)に対して,印鑑自動製作販売装置の構想を持ちかけた。すると,Bも,これに応じて,両者間で,印鑑自動製作販売装置の開発が始まった。 Aは,Bに対し,原告が運営する店舗に設置するために,印章を販売するための自動販売装置を作ることを打診した。 その後,BとAの話合いの結果,購入者がその場で複数種類の印材並びに使用する文字及び字体を選ぶことによって印章を製作した上でこれを購入することのできる自動販売装置の開発を行うことになり,Aは,できるだけ早く試作機を作りたいと述べた。 そこで,被告マイクロウエアは,本件試作品の開発に前向きに取り組むこ とにし,原告との交渉の結果,原告・被告マイクロウエア間で,本件基本契約が平成22年4月12日付けで締結されるに至った。 (2) 本件試作品の製作における被告マイクロウエアの役割AとBは,会議を重ね,その中でAも一定程度はアイデアを出していたが,被告マイクロウエアは印章彫刻機のトップメーカーであったので,原告が,技術内容等に関して具体的な指示や依頼を イクロウエアの役割AとBは,会議を重ね,その中でAも一定程度はアイデアを出していたが,被告マイクロウエアは印章彫刻機のトップメーカーであったので,原告が,技術内容等に関して具体的な指示や依頼をすることはなかった。 また,原告は,契約書の作成や収益の計算等に関しても知識・経験が乏しく,被告マイクロウエアに対して助言を求めていた。 本件試作品は,前記第2,2(4)の構成を有するところ,被告マイクロウエアは,本件試作品の製作に当たり,印章彫刻機に関して辞書データベースを作成し,自動販売装置に関しては金銭授受ソフトウェア及び印材払出しソフトウェアを作成したほかは,従前の印章彫刻機用に保有していたデータベース(書体データベース)及びソフトウェア(デザインソフトウェア,彫刻ソフトウェア)を利用したにとどまる。そして,被告マイクロウエアは,こうした作業を行う上で必要な技術・情報を保有しており,原告から技術・情報の提供を受けることはなかった。 (3) 本件試作品の製作における被告東阪電子機器の役割被告マイクロウエアは,データベースやソフトウェアの開発・作成を主として行う会社であるが,印章彫刻機には彫刻装置をはじめとするハードウェアが必要となるところ,同被告は,こうしたハードウェアについては,被告東阪電子機器などの外注先に製作を依頼していた。 被告マイクロウエアは,まず第三者(被告東阪電子機器以外の者)に対し,本件試作品のハードウェアの一部である印材払出し装置等の試作を委託し,同試作機が完成したが,その費用は原告希望の購入価格に見合うものではなかったため,上記第三者ではなく被告東阪電子機器に打診したところ,同被告が,平成23年4月初旬ころ,本件試作品のハードウェアの製作を引き受 けることになった。 その後, 見合うものではなかったため,上記第三者ではなく被告東阪電子機器に打診したところ,同被告が,平成23年4月初旬ころ,本件試作品のハードウェアの製作を引き受 けることになった。 その後,被告マイクロウエアは,被告東阪電子機器との間で協議を重ね,本件試作品や原告製品の具体的な仕様を確定した。 被告東阪電子機器は,原告製品の印章彫刻装置に関して,従前から同被告が製造していた印章彫刻装置を基に製作し,自動販売機能に関する装置のうち,金銭授受装置は,市販されている金銭授受装置を購入し,原告製品の外形寸法に合わせて,投入された貨幣の通路及び釣銭の取出し口を製作した程度の加工を加えた。 また,被告東阪電子機器は,印材払出し装置については,第三者が既に製造した試作機をベースにして,部品を量産用のものに取り換えるなどした上で製作し,タッチパネル式ディスプレイ及びコンピュータ本体については市販のものをそのまま利用し,外装については,原告製品の寸法に合わせて製作した。 その上で,被告東阪電子機器は,被告マイクロウエアが提供したインストーラーを用いて,同被告が作成したデータベース及びソフトウェアを内蔵コンピュータにインストールすることによって,本件試作品を完成させた。 (4) 原告製品の販売(本件量産品契約)被告マイクロウエアは,原告との間で,量産品(原告製品)の販売台数や販売価格等について交渉を行った結果,原告製品合計100台を50台ずつ2回に分けて,1台当たり99万円(税別)という販売価格で原告に販売することになった(本件量産品契約)。 なお,同契約については,原告の資金計画がなかなか定まらず,原告の資金状態等に応じて納品や代金支払をすることとしたため,納品期限や代金支払期限を明確化することができず,契約書を作成すること なお,同契約については,原告の資金計画がなかなか定まらず,原告の資金状態等に応じて納品や代金支払をすることとしたため,納品期限や代金支払期限を明確化することができず,契約書を作成することもできなかった。 その後,原告は,1回目の49台分(原告製品に問題が生じた場合に速やかに検証できるように,残り1台は被告マイクロウエアの手元に置かれ た。)については,代金全額を何とか支払ったが,2回目の50台分に関しては,代金支払が恒常的に遅滞したため,被告マイクロウエアは,平成24年10月ころ,代金の支払われていない13台分については原告に納入しないことを原告に伝え,原告も同処理を認め,何ら異議を述べなかった(本件量産品契約の一部解約)。 なお,被告東阪電子機器は,その後,原告製品の修理等にも携わっていた。 (5) 被告製品の製作被告東阪電子機器は,原告製品の機械装置を開発・製造したことがきっかけで,それまでの印章彫刻装置の開発製造で担った技術やノウハウを活かし,新たな機能を備えた印鑑自動製作販売装置を開発・製造することを検討し始めた。 被告東阪電子機器は,平成24年8月ころ,被告マイクロウエアに対し,被告製品用のソフトウェアの開発を依頼し,同被告は,これに取り組むことにした。 被告東阪電子機器は,被告製品の製造に当たり,印章彫刻装置については,従来から同被告が製造していた印章販売店向けの印章彫刻装置をベースにしたが,販売装置内部で印材が自動的に彫刻装置にセットされるという,新たな機能を開発した。また,同被告は,被告製品の金銭授受装置については,市販品を購入した上で,投入された貨幣の通路及び釣銭の取出し口について,被告製品の外形寸法に合わせて新規に製作し,印材払出し装置については,原告製品に比べ 被告は,被告製品の金銭授受装置については,市販品を購入した上で,投入された貨幣の通路及び釣銭の取出し口について,被告製品の外形寸法に合わせて新規に製作し,印材払出し装置については,原告製品に比べて多数の印材を貯留できるとともに,代金が支払われると貯留装置から印章彫刻装置に印材が自動的にセットされる仕組みとなる装置を新規に開発した。 また,同被告は,タッチパネル式ディスプレイ,内蔵コンピュータ及び外装のうちタッチパネル式ディスプレイ及び内蔵コンピュータについては市販品を購入し,外装については,被告製品の寸法に合わせて新たに製作し,ソ フトウェアについては被告マイクロウエアと打ち合わせ,同被告が上記の新規機能を実現するためのソフトウェアを製作した。 (6) 原告製品及び被告製品の構成等本件試作品,原告製品及び被告製品は,いずれもタッチパネル式ディスプレイによって操作される,印章彫刻機と自動販売装置を組み合わせた装置であり,その基本的構成要素は前記第2,2(4)のとおりである。 前記第2,2(5)イのとおり,被告製品の基本的な構成は本件試作品や原告製品と同じであるが,原告製品と被告製品には,①原告製品では,購入した印材が販売装置から払い出され,利用者自らが払い出された印材を印章彫刻装置部分にセットするのに対し,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされる,②原告製品の横幅は約950mmであるのに対し,被告製品の横幅は約500mmである,③被告製品では,文字入力に関して,タッチパネルに直接指で文字を書くことにより漢字を選択する方法,及びタッチパネルに直接指で書いた文字をそのまま印影とする方法が可能である,④文字配列に関して,原告製品では3種類であるのに対し,被告製品では4種類であ 指で文字を書くことにより漢字を選択する方法,及びタッチパネルに直接指で書いた文字をそのまま印影とする方法が可能である,④文字配列に関して,原告製品では3種類であるのに対し,被告製品では4種類である,⑤書体に関し,原告製品は3種類であるのに対し,被告製品では5種類である,⑥彫刻可能な印材の種類に関し,原告製品では丸型の印材のみに対応するが,被告製品では角形の印材にも対応する等の相違点が存在する。 なお,原告製品は,平成24年1月ころ以降,テレビニュースや雑誌で複数回紹介されており,その外観及び印章製作過程は公知になった。 2 争点(1)(被告らによる債務不履行の成否)について(1) 被告らによる原告の独占的製造販売権の侵害の有無ア原告は,本件基本契約18条1項により,原告・被告マイクロウエア間では,原告が原告製品のみならずその模倣品である被告製品についても独占的製造販売権を有しているところ,同被告は被告東阪電子機器が被告製 品を開発・製造するのに協力して原告の独占的製造販売権を侵害したものであり,また,被告東阪電子機器は,被告マイクロウエアと協力して本件試作品や原告製品の開発・製造に深く関与したから,被告東阪電子機器も被告マイクロウエア同様,原告に対して本件基本契約上の債務を負うべき旨主張する。 すなわち,原告は,本件基本契約18条1項により,原告が原告製品と同一の製品のみならず,同種の製品についても「独占的製造販売権」を有するから,被告マイクロウエアの行為はこれに違反し(主位的主張),仮にそうでないとしても,少なくとも被告マイクロウエアが原告製品と同種の製品の部分的開発等を行い,これを被告東阪電子機器に納入する行為は上記条項に違反する旨主張する(予備的主張)。 イしかし,以下の理 いとしても,少なくとも被告マイクロウエアが原告製品と同種の製品の部分的開発等を行い,これを被告東阪電子機器に納入する行為は上記条項に違反する旨主張する(予備的主張)。 イしかし,以下の理由により,本件基本契約18条1項において原告が製造販売権を有するとされる「本製品」とは原告製品(ないし少なくともこれと実質的に同一の物)を指すと解すべきことは明らかである。 すなわち,本件基本契約においては,前記第2,2(2)イのとおり,「甲は乙に本製品の開発を委託し,乙はこれを受託した。」(1条1項),「乙は,本製品の「基本設計書」並びに「本製品の試作品」(以下,「試作品」という。)を製作し,これら(以下,「成果物」という。)を指定された納入場所へ納入期日までに納入しなければならない。」(1条3項)とされており,これらを踏まえて,「本契約により開発が完了した後,これら成果物に準ずる本製品の製造販売権は甲が所有する。」(18条1項)と定められているのである。これらの条項によれば,「本製品」とは,本件基本契約の開発委託に基づいて開発された製品であり,同開発委託の「成果物」である「基本設計書」及び「試作品」に基づき量産された製品であることが明らかであるから,結局,本件基本契約における「本製品」とは,本件試作品に基づいて量産される原告製品を意味するものと解する のが合理的である。 そして,前記1(6)のとおり,被告製品は,原告製品と相違する特徴を有し,とりわけ,原告製品では,購入した印材が販売装置から払い出され,利用者自らが払い出された印材を印章彫刻装置部分にセットするのに対し,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされ,利用者が印材を自分で装置にセットする必要がない,という大きな相違点を有するもの を印章彫刻装置部分にセットするのに対し,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされ,利用者が印材を自分で装置にセットする必要がない,という大きな相違点を有するものであるから,被告製品は,原告製品と(実質的にも)同一であるとは到底いうことができず,したがって,本件基本契約18条1項により原告が有するとされる「製造販売権」の対象とはならない。 このような解釈は,実質的にみても妥当である。すなわち,前記第2,2(前提事実)及び前記1認定事実のとおり,原告は印章の販売等を業としている一方,被告マイクロウエアは,印章彫刻機のトップメーカーであり,また,被告東阪電子機器は,精密機械器具の製造等を業としておりハードウェアの製作能力を有しているところ,本件試作品及びその量産品である原告製品の製作に当たっては,被告らが原告製品開発以前から有していた技術が多く用いられたほか,原告製品の開発やその後の営業活動の中で取得した技術が一部用いられているものであり,原告は技術内容等について具体的な指示や依頼をすることはなかったものである。結局,原告は,原告製品の開発において,印鑑を自動販売装置で販売することを思いつき,それを被告マイクロウエアに持ちかけたという役割を果たしたにすぎない。 そして,原告は,印鑑の自動販売装置につき特許出願を行ったため,そのようなアイデア自体は,出願から1年6月が経過した平成23年5月ころまでには出願公開(特許法64条)により公知となったものと推認される(なお,原告は上記特許の取得には至っていない。)。これらの事情にもかかわらず,原告が主張するように,本件基本契約により今後被告マイクロウエアが原告製品に限らず印鑑自動製作販売装置全般について製作販売 を禁止されるというような解釈を採ること らの事情にもかかわらず,原告が主張するように,本件基本契約により今後被告マイクロウエアが原告製品に限らず印鑑自動製作販売装置全般について製作販売 を禁止されるというような解釈を採ることは,被告マイクロウエアの利益を不当に害するもので契約当事者間の衡平を著しく欠くものといわざるを得ない。 したがって,原告の独占的製造販売権侵害に係る主張は,いずれも採用できない。 ウこれに対し,原告は,被告製品は原告製品の模倣品であって「成果物に準ずる製品」に当たる旨や,軽微な機能や構造の差異をもって同契約18条1項の適用外とするのは信義則に反する旨等を主張する。しかし,上記のとおり,原告製品と被告製品は異なる構成を有し,特に,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされ,利用者が印材を自分で装置にセットする必要がない,という大きな相違点を有するものであるから,両者は実質的に同一とはいえず,両製品の差異は軽微とはいえない。 このほか,原告は,同契約6条2項によれば,原告製品は改造されることが当然の前提であるから,独占的製造販売権の範囲についても改良された製品まで広く含まれる旨主張するが,上記条項は,あくまで原告と被告マイクロウエアが原告製品を改造する場合についての定めであって,他者が開発・製造した製品に原告の製造販売権が及ぶ旨定めるものではない。 エなお,そもそも,被告東阪電子機器は,原告との間で何ら契約を締結しておらず,原告に対して債務不履行責任を負うべき立場にはないというべきである。 この点に関し,原告は,被告東阪電子機器は被告マイクロウエアと密接な取引関係にあり,原告製品の開発にも被告マイクロウエアの履行補助者として深く関与したものであるから,被告東阪電子機 る。 この点に関し,原告は,被告東阪電子機器は被告マイクロウエアと密接な取引関係にあり,原告製品の開発にも被告マイクロウエアの履行補助者として深く関与したものであるから,被告東阪電子機器もまた原告に対して債務不履行責任を負うべき旨主張する。確かに,被告東阪電子機器は,原告製品の開発・製造に当たり,被告マイクロウエアから原告製品のハー ドウェア部分の開発を委託され,同被告と協力して原告製品の開発に当たったものであるほか,証拠(甲11)によれば,被告マイクロウエアの代表者であるBは,平成11年から平成15年にかけて被告東阪電子機器の取締役であったことが認められる。しかし,これらの事実を前提としてもなお,契約当事者ではない被告東阪電子機器が,原告に対し,契約当事者に準じて債務不履行責任を負うべき特段の事情があるとはいえず,原告の主張は採用できない。 オ以上のとおり,「独占的製造販売権」の侵害に関する原告の主張はいずれも理由がない。 (2) 「独占的製造販売権」侵害以外の債務不履行の成否についてア前記(1)エ同様,被告東阪電子機器は,原告との間で何ら契約を締結しておらず,その他の事情を考慮してもなお,同被告が原告に対して債務不履行責任を負うべき立場にあるとはいえない。 イ原告は,被告マイクロウエアが,本件情報(具体的には別紙情報目録記載のとおり)を不当に利用して,被告東阪電子機器と共同して秘密裡に被告製品を開発等し,また,同情報を原告に返還もしておらず,これらは,本件基本契約所定の機密保持義務,情報利用制限義務,情報返還義務等の他,信義則にも違反する旨主張する。 しかし,本件情報(具体的には別紙情報目録記載のとおり)のうち,原告製品の印章製作過程,外観及び設置場所については,原告製品に接した者であれ ,情報返還義務等の他,信義則にも違反する旨主張する。 しかし,本件情報(具体的には別紙情報目録記載のとおり)のうち,原告製品の印章製作過程,外観及び設置場所については,原告製品に接した者であれば容易に認識できる事項であり,到底秘密とはいえず,「機密情報」(本件基本契約19条1項参照)に当たらない。 他方で,原告製品の不具合情報(累積されたもの),売上情報,各設置場所での売上情報,原告のビジネスモデルについては,部外者が直ちに認識できる情報ではない可能性があるが,①上記不具合情報については,被告東阪電子機器が原告製品の修理等に携わっていたこと(前記1 (4)参照)からすれば,本件基本契約の当事者ではない同被告がその過程において自ら不具合情報を取得したことが十分考えられること,②原告のビジネスモデルの内容(原告が原告製品の所有権を保有しつつ,第三者との間で設置契約を締結し,売上高の3割を設置先に支払うこと,及び,原告製品を第三者に売却して売却益を得ること)が際立った特徴を有するものではなく,誰でも容易に思いつく内容であること,③売上情報の内容も,原告製品に係る売上が月額5ないし20万円であることという極めて漠然としたものにとどまること等からすれば,原告製品の不具合情報,売上情報や原告のビジネスモデルが,秘密情報として保護に値するものであることを認めるに足りない。他方で,原告製品の各設置場所での売上情報については,その内容が漠然としたものではなく詳細なものであれば,保護に値する秘密情報になり得るとも解されるが,被告マイクロウエアが原告から原告製品の各設置場所での詳細な売上高を入手したことを認めるに足りる証拠はない。 なお,原告は,被告東阪電子機器が原告製品の売上高や原告のビジネスモデルを開示したと主張し,証拠(甲9,22 原告から原告製品の各設置場所での詳細な売上高を入手したことを認めるに足りる証拠はない。 なお,原告は,被告東阪電子機器が原告製品の売上高や原告のビジネスモデルを開示したと主張し,証拠(甲9,22)を提出するが,これらには,売上額が「月額5万円~20万円」との記載や「売上金の分配比率が設置店3割,同被告7割」との記載があるものの,これらの漠然とした内容の記載をもって,原告の上記主張を裏付けるものとはいえない。このほか,原告は,本件情報の不当な利用や,当該情報の不返還をるる主張するが,上記のとおり,被告マイクロウエアが,本件基本契約上保護に値するような情報について原告から開示を受けたとか,不当に利用したとか,原告に返還していないなどの事実を認めるに足りる証拠はなく,原告の主張はいずれも採用できない。 ウ原告は,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器に対して業務の一部を再委託した際に,本件基本契約に基づく義務全般を同被告に課していない と主張する(同契約10条3項違反)。 確かに,被告マイクロウエアは,再委託先である被告東阪電子機器に対し,同契約に基づく義務(秘密保持義務等)を課していない(当事者間に争いがない。)が,原告は,被告マイクロウエアが原告から開示された原告の秘密情報を用いるなどして被告製品を開発・製造したことで原告が損害を被ったと主張しているところ,前記のとおり,そもそも本件において,被告マイクロウエアが本件基本契約上保護に値する秘密情報を原告から開示を受けたとかこれを不当に利用した事実は認められないのであるから,結局,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器に対して秘密保持義務を課さなかったことは,原告が主張する損害を裏付けるものとはいえない。 エ以上のとおり,被告らによる債務不履行に係る原告の主張はいずれも ,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器に対して秘密保持義務を課さなかったことは,原告が主張する損害を裏付けるものとはいえない。 エ以上のとおり,被告らによる債務不履行に係る原告の主張はいずれも採用できない。 3 争点(2)(被告らによる不法行為の成否)について(1) 原告は,被告製品は原告製品の模倣品であるところ,原告製品の開発・製造に深く関わった被告らによる自販機マーケットへの参入は極めて不公平,不公正であり,また被告らの行為は極めて不誠実であるため,被告らの行為は自由競争原理を逸脱し信義則に反したものとして原告に対する共同不法行為に該当する旨主張する。 (2) そこで検討するに,原告製品と被告製品の基本的な構成要素自体は,特に異なるところはなく,本件試作品,原告製品及び被告製品は,いずれもタッチパネル式ディスプレイによって操作される,印章彫刻機と自動販売装置を組み合わせた装置である(前記1(6)参照)ところ,こうした装置の構成要素は極めて類似したものにならざるを得ず,選択の幅は非常に狭いものである。 その上,前記1(6)のとおり,被告製品には原告製品にはない特徴が多数あり,とりわけ,原告製品では,購入した印材が販売装置から払い出され, 利用者自らが払い出された印材を印章彫刻装置部分にセットするのに対し,被告製品では,購入した印材が販売装置内部で自動的に印章彫刻装置にセットされ,利用者が印材を自分で装置にセットする必要がない,という大きな相違点を有することからすれば,被告製品が原告製品の単なる模倣品であるとはいえない。 また,前記1(6)のとおり,原告製品は平成24年1月ころ以降にテレビニュース等で紹介されていたものであり,第三者が現物を見るなどして,その仕様を模倣することが可能であったといえる。そして,被 。 また,前記1(6)のとおり,原告製品は平成24年1月ころ以降にテレビニュース等で紹介されていたものであり,第三者が現物を見るなどして,その仕様を模倣することが可能であったといえる。そして,被告らが実際に被告製品の開発を開始したのは,同年8月ころ以降であり,これは既に原告製品がテレビニュース等で紹介されて公知の状態となった後にすぎない。 そして,前記2(1)イのとおり,原告が被告マイクロウエアに対して,当初,自動製造販売装置で印鑑を販売するというアイデアを提供したとしても,その余の具体的な技術的情報や営業上の情報に関しては,原告が被告らに提供したとは認められず,被告らが原告製品開発以前から有していたか,又は原告製品の開発やその後の営業活動の中で取得したものと認められ,被告らが原告の保有する情報を不当に利用したなどとは認められない。 被告らが原告製品の開発・製造に深く関わったとしても,それとは別途,自らのビジネスとして原告製品と印章自動製作販売装置という点で共通する被告製品を開発,製造等することが信義則違反であるとか,自由競争の範囲を超えた許されない行為であるなどとはいえない。 したがって,被告らの不法行為に関する原告の主張はいずれも採用できない。 これに対し,原告は,原告が創設した「自販機マーケット」には価値があり,被告らのように原告と密接な協力関係にあった者が同マーケットに参入するのは自由競争原理に反するとか,被告らが原告の築いた信頼やマーケティングにただ乗りしたとか,その他るる主張するが,いずれも上記説示を左 右するものとはいえず,採用できない。 (3) 以上のとおり,被告製品が原告製品の模倣品にすぎないとはいえず,また被告らが原告の秘密情報を不当に利用したとも認められず,原告がこのほか主張する事情についても のとはいえず,採用できない。 (3) 以上のとおり,被告製品が原告製品の模倣品にすぎないとはいえず,また被告らが原告の秘密情報を不当に利用したとも認められず,原告がこのほか主張する事情についても,いずれも不法行為の成立を基礎付けるものではない。したがって,被告らが被告製品を開発・製造したこと等が,自由競争の範囲を逸脱し,原告に対する不法行為に該当するとは認められない。 4 争点(3)(被告らによる不正競争防止法2条1項7号ないし9号該当行為の成否)について(1) 原告は,原告が保有する不正競争防止法2条6項所定の営業秘密について,原告から開示を受けた被告マイクロウエアが,これを被告東阪電子機器に対し図利加害目的をもって開示し,被告らが同目的をもって同営業秘密を使用したものであり,被告マイクロウエアの行為は同法2条1項7号に該当し,被告東阪電子機器の行為は同項7号ないし9号に該当する旨主張する。 なお,原告は,上記営業秘密の内容を,別紙情報目録の㋐㋑㋒の1~23(原告製品の印章製作過程に関する情報)及び㋔の1~10(原告製品の不具合情報)記載部分(本件秘密情報1)であると特定したにもかかわらず,後に,原告製品のソフトウェア部分,ハードウェア部分,設計書等,製造方法(組合せ方法)(本件秘密情報2)についても営業秘密であると主張したが,そもそも,本件秘密情報1と本件秘密情報2の関係自体も不明確である。 (2) しかし,本件秘密情報1のうち,原告製品の印章製作過程に関する情報(別紙情報目録の㋐㋑㋒の1~23記載部分)については,印鑑の自動製作販売装置において印鑑を製作する過程を示す,ごく一般的な内容にすぎず,原告製品の利用者であれば,同情報を容易に認識可能である(現に,原告が提出した証拠(甲5の1ないし19)は,一般人でも上 自動製作販売装置において印鑑を製作する過程を示す,ごく一般的な内容にすぎず,原告製品の利用者であれば,同情報を容易に認識可能である(現に,原告が提出した証拠(甲5の1ないし19)は,一般人でも上記情報を容易に入手可能であることを示している。)から,これらが営業秘密であるとは認められない。また,原告製品の不具合情報とされるもの(別紙情報 目録の㋔の1~10記載部分)についても,被告東阪電子機器が原告製品の修理にも携わっていたことからすれば,同被告がその過程において自ら不具合情報を取得したことが十分考えられ,原告だけがこれらの情報を保有していたとは認められない。したがって,本件秘密情報1は営業秘密に該当するとは認められない。 このほか,原告は,本件秘密情報2として,原告製品のソフトウェア部分及びハードウェア部分,設計書等(「基本設計書」「本件詳細設計書」「試作品」),及び製造方法が営業秘密であるとも主張するが,上記設計書等を除き,営業秘密であるとされる部分が何ら具体的に特定されていないため,その営業秘密該当性を判断することすらできず,上記主張も採用できない。 なお,原告は,原告自身が原告製品のソフトウェア部分の内容を知ることについて固有かつ正当な利益を有しており,その保有者は原告であるとも主張するが,現実に原告が知らない情報については,原告が保有しているとはいえない。また,原告は,被告東阪電子機器も,原告や被告マイクロウエアの管理下で原告製品のハードウェア部分を使用させてもらったにすぎないとも主張するが,同様に,原告が現実に知らない情報について原告が保有しているとはいえない。 (3) いずれにしても,原告が営業秘密であると主張する各情報が,不正競争防止法2条6項所定の「秘密として管理されている」「生産方法,販売方法その い情報について原告が保有しているとはいえない。 (3) いずれにしても,原告が営業秘密であると主張する各情報が,不正競争防止法2条6項所定の「秘密として管理されている」「生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって」「公然と知られていない」ものといった,営業秘密の3要件を充足しているかにつき,何ら具体的な立証はなく,これらの要件充足性を認めるに足りない。 (4) 以上からすれば,被告らが原告保有の営業秘密を不正に開示・使用したことを前提とする原告の請求は,いずれにしても理由がない。 5 争点(4)(被告らによる不正競争防止法2条1項1号ないし2号該当行為の成否)について (1) 原告は,原告製品の形態等が不正競争防止法2条1項1号ないし2号所定の「商品等表示」に該当し,同「商品等表示」は著名ないし周知であるところ,被告らは,被告製品の製造・販売等により,原告の「商品等表示」に類似する商品等表示を使用等し,これにより原告の商品と混同を生じさせたと主張する。 (2) そこで検討するに,「商品等表示」の例としては,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装」が挙げられている(同条1項1号参照)ものの,これらは例示列挙であって,本来は出所識別を目的としない商品の形態であっても,他の同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し,かつその表示が長期間継続的・独占的に使用され,又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされており,出所識別機能を獲得するに至った場合には,商品の形態も商品等表示になり得るものと解される。 しかし,原告製品は印鑑の自動製作販売装置であるところ,証拠(甲5の1,甲12,甲13の1及び2)によれば,原告製品の形態は,大小2つの略直方体を前後方向に組み合わせたような 得るものと解される。 しかし,原告製品は印鑑の自動製作販売装置であるところ,証拠(甲5の1,甲12,甲13の1及び2)によれば,原告製品の形態は,大小2つの略直方体を前後方向に組み合わせたようなもので,側面からみると略L字型をしており,タッチパネル式ディスプレイがL字型に突き出した部分の天井面に沿って設置されているものと認められるが,これは,利用者が画面上何らかの操作をすることが予定されるATM等(自動販売装置を含む自動取引装置)であれば通常備えるべき形態であるから,原告製品の形態は独自の特徴を有するものとは到底いい難く,原告製品の形態が出所識別機能を有する,すなわち,需要者が,多数存在するATM等のうち原告製品の形態をみるだけで,これが原告の製品であると認識するものとは認められない。 その他,本件全証拠(甲14ないし16を含む。)によっても,原告製品の形態等が周知又は著名な商品等表示に当たることを認めるに足りない。 (3) したがって,不正競争防止法2条1項1号ないし2号に係る原告の主張も理由がない。 6 小括以上からすれば,その余について検討するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないことになる。 7 原告の書類提出命令ないし文書提出命令の申立てについて(1) 原告は,①被告製品のソフトウェア部分のうち,辞書データベース,書体データベースが保存されている書類又は電磁的データ,デザインソフトウェア,彫刻ソフトウェア,金銭授受ソフトウェア,印材払出しソフトウェアの各ソースコードが保存された書類又は電磁的データ,②原告製品及び被告製品それぞれのハードウェア部分のうち,彫刻装置,金銭授受装置,印材払出し装置の各構造が記載された書類又は電磁的データ,③原告製品及び被告製品の各基本設計書及び詳細設計書(部品表, 原告製品及び被告製品それぞれのハードウェア部分のうち,彫刻装置,金銭授受装置,印材払出し装置の各構造が記載された書類又は電磁的データ,③原告製品及び被告製品の各基本設計書及び詳細設計書(部品表,機械図面及び電機図面),④被告製品を設置・販売した店舗,設置・販売時期の一覧が記載された書類,また,上記各店舗と被告東阪電子機器との間で作成された契約書及びそれに類する書類等,上記契約に基づき上記各店舗から被告東阪電子機器に対して支払われる金額等が記載された書類,平成25年度ないし平成27年度の被告東阪電子機器の総勘定元帳,被告マイクロウエアが被告東阪電子機器に対し被告製品のソフトウェア部分を販売した数及び金額が記載された書類,上記販売を証する契約書等の書類につき,それぞれ不正競争防止法7条に基づく書類提出命令ないし民事訴訟法220条に基づく文書提出命令の申立てをする。 (2) しかし,既に検討したとおり,本件において被告らが原告に対して損害賠償責任を負うものではないから,損害論に関する上記④の書類の提出は不要である。また,原告製品と被告製品の共通点及び相違点は当事者間において争いがない(前記第2,2(4)(5)参照)ため,上記①ないし②の各書類を提出させても,それによって両製品の共通点が明らかになり,「被告らが原告製品のソフトウェア部分やハードウェア部分を流用して被告製品の対応部 分を作成したこと」(原告が立証趣旨として掲げる事項)が立証されるという関係にはない。なお,上記③の書類のうち,原告製品の基本設計書については,原告・被告マイクロウエア間で締結された本件基本契約上,被告マイクロウエアが原告に対して引き渡すことが予定されている。しかし,いずれにしても,原告がその立証趣旨として掲げる「被告らが原告製品の基本設計書等を流用 クロウエア間で締結された本件基本契約上,被告マイクロウエアが原告に対して引き渡すことが予定されている。しかし,いずれにしても,原告がその立証趣旨として掲げる「被告らが原告製品の基本設計書等を流用し被告製品を作成した事実」との関係では,上記③の書類の提出はいずれも不要である。 (3) 以上のとおり,原告による書類提出命令ないし文書提出命令の申立ては,いずれも立証趣旨との関係で必要性がないから,当裁判所は,これらを全て却下したものである。 第4 結論以上のとおり,原告の請求は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官村井美喜子 (別紙)物件目録 1 印章自動製作販売装置(1) 製品名「楽楽はんこ」(型式「STX-200」)(2) 製品名「本格はんこ」(型式「STX-201」)本体寸法高さ約1500mm,奥行き約600mm,横約500mm(両者共通) 2 上記1の装置に内蔵された,印鑑の彫刻機能を有する機器 3 上記1の装置に内蔵された,印鑑の自動彫刻を可能とするプログラム(プログラムが記憶された媒体を含む。)以上

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