判決 平成15年1月22日 神戸地方裁判所 平成13年(レ)第122号損害賠償請求控訴事件 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 被控訴人は控訴人に対し、31万5341円及びこれに対する平成12年11月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、第1,2審を通じ、これを10分し、その3を控訴人の負担とし、その余は被控訴人の負担とする。 3 この判決は、金員の支払を命ずる部分に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨 (1) 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人は控訴人に対し、42万7020円及びこれに対する平成12年11月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は、第1,2審とも被控訴人の負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 控訴の趣旨に対する答弁 (1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 当事者の主張 当事者双方の主張は、次のとおり改めるほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決の補正 (1) 原判決2枚目20行目の「民法所定の」の次に「年5分の割合による」を加える。 (2) 同24行目の「9万1390円」を「15万2877円」に改める。 (3) 同3枚目4行目、同5枚目26行目、同6枚目4行目、同5行目、同7行目、同10行目、同12行目及び同7枚目6行目の「原告車」をいずれも「控訴人車両」に改める。 (4) 同4枚目7行目及び同7枚目6行目の「ロ」をいずれも「イ」に改める。 4行目,同5行目,同7行目,同10行目,同12行目及び同7枚目6行目の「原告車」をいずれも「控訴人車両」に改める。 (4) 同4枚目7行目及び同7枚目6行目の「ロ」をいずれも「イ」に改める。 (5) 同5枚目11行目の「料」を「費」に改め,同行目の「22,405円」を「22,405キロメートル」に改め,同行目の「0.22」の次に「円」を加える。 (6) 同21行目の「22,405円」を「22,405キロメートル」に改め,同行目の「0.1,066668円」を「0.1066668」円に改める。 (7) 同6枚目1行目の「タイヤ損耗費」を「タイヤ消耗費」に改める。 (8) 同12行目の「休車損害損害」を「休車損害」に改める。 (9) 同14行目を削る。 2 控訴人の当審における主張(1) 休車損害一般に交通事故の被害者に休車中の営業車両を代替車両として利用すべき義務はないし,控訴人においては,本件事故当時,休車車両等を代替車両として使用できた事実はなく,仮に,一時的に代替可能な車両が存在したとしても,控訴人は,控訴人車両の休車期間中,代替車両を運行させた事実もないから,休車損害は発生している。控訴人の免許台数は35台であり,かつ,フル稼働を前提として経営を維持しているのであり,ある車両が稼働できない場合に,他の車両を稼働させることによってカバーできる関係にはない。 タクシー会社における休車損害については,当該破損された営業車の運賃収入こそが休車損害を算定するうえでの前提となるべきであって,上記運賃収入から当該破損された営業車を休車にすることによって支出を免れた経費を控除し,これをもとに休車損害を算出すべきである。休車損害(直接損害)と企業損害(間接損害)を 前提となるべきであって,上記運賃収入から当該破損された営業車を休車にすることによって支出を免れた経費を控除し,これをもとに休車損害を算出すべきである。休車損害(直接損害)と企業損害(間接損害)を混同してはならない。 控訴人は,原審で主張したとおり,控訴人車両の運賃収入から諸経費を控除したが,仮に,さらに控除すべき経費があり得るとしても,それは,①乗務員人件費,②その他運送費(現業部門に係る経費で他の科目に属さないもの)だけである。①は1万9614円,②は1432円であり,これらを控除した後の休車損害日額は,1万2927円である。したがって,これをもとに休車損害を算定すべきである(予備的主張)。 (2) レッカー代相当因果関係の判断の基準時は事故時であり,本件事故時を基準とすれば,たとえ外形上は損傷が軽微であったとしても,内部に重大な損傷が及んでいる可能性もあった。すなわち,本件事故時において,道路交通法上,整備不良車として運転を禁じられる車両に該当する疑いがあったのである。 被控訴人は,控訴人がレッカーを使用するに際し,これに対してなんらの異議も述べておらず,修理代の協定に当たっても,レッカー代を負担しない旨の意思表示をしていない。 (3) 弁護士費用休車損害及びレッカー代を除いて修理代だけを先に支払うとの合意はなく,かえって被控訴人は,物的損害全部に対する賠償合意がなければ,一部の損害をも賠償しないとの姿勢に終始していた。したがって,本件訴訟の弁護士費用は,被控訴人が負担しなければならない。 (4) よって,控訴人は,被控訴人に対し,不法行為に基づき,損害金合計額の内金42万7020円及びこれに対する不法行為の日である平成12年11月7日から支払 訴人が負担しなければならない。 (4) よって,控訴人は,被控訴人に対し,不法行為に基づき,損害金合計額の内金42万7020円及びこれに対する不法行為の日である平成12年11月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 第3 証拠証拠関係は,本件訴訟記録中の原審における書証目録並びに当審における書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから,これらを引用する。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,控訴人の本訴請求は本判決主文第1項(1)の限度で理由があるから,これを認容し,その余は理由がないから,これを棄却すべきものと判断するが,その理由は,次のとおり改めるほか,原判決の理由説示と同一であるから,これを引用する。 1 原判決8枚目1行目の「証拠」を「争いのない事実及び証拠(甲2,3,5の1,甲11,乙1の1,2,乙3)」に改め,同4行目の「停車した」の次に「先行車に続いて停車した」を加える。 2 同9枚目6行目の「認められない」の次に「(これが道路交通法に違反するから許されないともいえない。)」を加え,同7行目,同9行目,同10行目及び同15行目の「レッカー」をいずれも「レッカー車」に改め,同11行目の「委ねたからといって,」を「委ねた結果,日産キャブが本来必要のないレッカー車を利用したのであるから,その費用は控訴人が負担すべきものであって,」に改める。 3 同19行目から同11枚目18行目までを次のとおり改める。 「(1) 証拠(甲1,2,5の1,甲19,20,乙1の1,2,乙3,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人車両は,本件事故によって損傷を被り,修理を要したため,平成12年11月7日の半日と同月8日から同月11日までの4日間休車とされ,控訴人は,控訴人車両を休車としたこ )及び弁論の全趣旨によれば,控訴人車両は,本件事故によって損傷を被り,修理を要したため,平成12年11月7日の半日と同月8日から同月11日までの4日間休車とされ,控訴人は,控訴人車両を休車としたことによって,得べかりし利益(控訴人車両の運賃収入から諸経費を控除したもの)を喪失したものと認められる。そこで,この休車損害の額について検討する。 (2)ア運賃収入証拠(甲4の2ないし4)によれば,控訴人車両の運賃収入は,平成12年8月度が98万7710円,同年9月度が102万8180円,同年10月度が126万5390円であったと認められるから,控訴人車両の1日当たりの運賃収入は3万5666円と認められる。 (987,710+1,028,180+1,265,390)÷92≒35,666イ諸経費(ア) 燃料費証拠(甲4の2ないし4,甲7)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人車両の使用燃料は,同年8月度が1473.81リットル,同年9月度が1588.29リットル,同年10月度が1826.40リットルであり,同年11月当時の燃料費は,1リットル当たり41円であったと認められるから,消費税をも考慮すると,控訴人車両の1日当たりの燃料費は2287円と認められる。 (1473.81+1588.29+1826.40)÷92×41×1.05≒2,287(イ) タイヤ消耗費証拠(甲4の2ないし4,甲8,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,その保有する車両のタイヤを走行距離8万キロメートルごとに4本とも交換しているところ,同年11月当時のタイヤの価格は1本440 拠(甲4の2ないし4,甲8,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,その保有する車両のタイヤを走行距離8万キロメートルごとに4本とも交換しているところ,同年11月当時のタイヤの価格は1本4400円であり,控訴人車両の全走行距離は,同年8月度が6548キロメートル,同年9月度が7094キロメートル,同年10月度が8763キロメートルであったと認められるから,消費税をも考慮すると,控訴人車両の1日当たりのタイヤ消耗費は56円と認められる。 (4,400×4÷80,000)×(6,548+7,094+8,763)÷92×1.05≒56(ウ) オイル代証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,その保有する車両のオイルを走行距離5000キロメートルごとに4リットル交換しているところ,同年11月当時のオイルの価格は,2000リットル当たり26万6667円であったと認められ,前記(イ)に認定した控訴人車両の全走行距離に照らし,また,消費税をも考慮すると,控訴人車両の1日当たりのオイル代は27円と認められる。 {(266,667÷2000)×4}÷5,000×(6,548+7,094+8,763)÷92×1.05≒27(エ) 修繕費証拠(甲10の1ないし12)によれば,平成11年10月21日から平成12年10月20日までの控訴人車両の修繕費(部品代及び技術料。なお,技術料も修繕に必要な経費である。)は,別紙修繕費計算書記載のとおり,合計11万0360円であったと認められるから,消費税をも考慮すると,控訴人車両の1日当たりの修繕費は316円と認められる。 110,3 は,別紙修繕費計算書記載のとおり,合計11万0360円であったと認められるから,消費税をも考慮すると,控訴人車両の1日当たりの修繕費は316円と認められる。 110,360÷366×1.05≒316(オ) 乗務員人件費証拠(甲11,22,24,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,平成11年8月1日から平成12年7月31日までの控訴人の運賃収入に占める乗務員の賃金の割合は53.8パーセントであり,控訴人と乗務員との間の雇用契約上,営業収入から消費税及び遠距離割引分を控除した運賃収入額が賃金計算の基礎とされ,月間運賃収入が一定の額(「足切額」と称されている。)以上に達した者に対して支払われる基本給(これは,足切額以上の乗務に対して1時間当たり786円を支給するというものであり,乗務時間ひいては運賃収入額に比例する性質のものである。),基礎歩合給,歩合給及び深夜手当の合計額が運賃収入の50パーセントに相当する額となるように定められ,月間運賃収入が足切額未満の者に対して支払われる歩合給及び深夜手当の合計額が運賃収入の40パーセントに相当する額となるように定められていると認められることを総合すると,控訴人車両の乗務員人件費は,控訴人車両の運賃収入の50パーセントと認め,これを経費として控訴人車両の運賃収入から控除するのが相当であり,前記アに認定した控訴人車両の運賃収入に照らすと,控訴人車両の1日当たりの乗務員人件費は1万7833円と認められる。 35,666×0.5=17,833(カ) その他運送費証拠(甲21)及び弁論の全趣旨によれば,平成12年度の中核都市(控訴人の本店所在地である尼崎市は, 666×0.5=17,833(カ) その他運送費証拠(甲21)及び弁論の全趣旨によれば,平成12年度の中核都市(控訴人の本店所在地である尼崎市は,人口30万人以上100万人未満の市である中核都市に当たる。)におけるハイヤー・タクシー事業の実働日車当たりの平均営業収益は2万9417円,平均営業費は2万9785円,その他運送費(現業部門に係る経費で他の科目に属さないもの)は総費用の3.60パーセントであったと認められるから,前記アに認定した控訴人車両の運賃収入に照らすと,控訴人車両の1日当たりのその他運送費は1300円と認められる。 35,666×{(29,785×0.036)÷29,417}≒1300ウまとめ以上によれば,控訴人車両の1日当たりの休車損害の額は,前記アの運賃収入3万5666円から前記イの諸経費合計2万1819円を控除した残額である1万3847円であると認められるから,控訴人車両の4.5日間の休車損害の額は6万2311円と認められる。 {35,666-(2,287+56+27+316+17,833+1300)}×4.5=62,311(3) これに対し,被控訴人は,控訴人車両が修理のため休車したとしても,他の車両の運行によってその稼働を補うことが可能である旨主張し,休車損害の発生を争っている。 しかしながら,証拠(甲11,19,20,証人A)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,本件事故当時,35台の車両を保有していたところ,1か月ごとに乗務員約78名の乗務予定を稼働可能な全車両にあらかじめ割り当てており,車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のため稼働さ ば,控訴人は,本件事故当時,35台の車両を保有していたところ,1か月ごとに乗務員約78名の乗務予定を稼働可能な全車両にあらかじめ割り当てており,車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のため稼働させることができない車両を除くすべての車両を常時稼働させていることが認められ,この事実によれば,控訴人が休車とされた控訴人車両の稼働を他の車両の運行によって補うことができたとはいえない。 したがって,被控訴人の上記主張は理由がない。」 4 同11枚目20行目から同23行目までを「本件事案の性質,前記損害額,本件訴訟の経過や難易等を考慮すると,本件における弁護士費用は3万円と認めるのが相当である。」に改める。 第5 結論よって,控訴人の本訴請求は,損害金合計31万5341円及びこれに対する不法行為の日である平成12年11月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから,これを認容し,その余は理由がないから,これを棄却すべきであり,これと一部結論を異にする原判決は不当であるから,原判決を本判決主文第1項のとおり変更することとし,訴訟費用の負担について民訴法67条2項前段,61条,64条本文を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第六民事部裁判長裁判官松村雅司裁判官水野有子裁判官増田純平 子裁判官増田純平
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