平成16(レ)71 貸金請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成16年9月13日 福岡地方裁判所 福岡簡易裁判所 平成15(ハ)13515
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判決文本文10,008 文字)

平成16年9月13日判決言渡し同日原本交付裁判所書記官平成16年(レ)第71号貸金請求控訴事件(原審・福岡簡易裁判所平成15年(ハ)第13515号)(口頭弁論終結日平成16年6月21日)判決 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,金130万7643円及び内金42万7233円に対する平成15年5月1日から支払済みまで年36パーセントの割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 4 この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。 第2 事案の概要本件は,控訴人が被控訴人に対して,消費貸借契約に基づいて貸金残元金,既発生の利息及び遅延損害金の合計130万7643円及び貸金残元金42万7233円に対する最終弁済日の翌日である平成15年5月1日から支払済みまで利息制限法所定の制限利息の範囲内である年36パーセントの遅延損害金の支払を求めたのに対し,被控訴人が請求原因事実を認めた上で,控訴人と被控訴人との間で,期限の利益を再度付与し,将来利息を免除しまたは利息の定めのない債務とし,毎月1万5000円ずつ分割して支払う旨の和解契約が成立し,残金は存在しないとして争っている事案である。 原審は,控訴人の請求は,信義則に反し許されないとして,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が,原判決の取消しを求めて控訴した。 1 争いのない事実等(1)控訴人は,昭和58年3月10日,被控訴人に対し,次の約定で,金50万円を貸し付けた(以下「本件消費貸借契約」という。)。 ア利息年69.35%イ遅延損害金年69.35%ウ支払方法 和58年3月10日,被控訴人に対し,次の約定で,金50万円を貸し付けた(以下「本件消費貸借契約」という。)。 ア利息年69.35%イ遅延損害金年69.35%ウ支払方法昭和58年4月1日から昭和61年3月9日まで毎月1日限り,1万3888円を支払う。 エ特約約定支払日に元金または利息の支払いを怠った場合は,当然に期限の利益を失い,残元金全額及び利息を支払う。 (2)被控訴人は,控訴人に対し,別紙「利息制限法計算1」の各支払金額欄記載の金員を,対応する各支払日欄記載の日に支払った。 (3)被控訴人は,昭和58年4月1日に支払うべき分割金の支払を怠り,期限の利益を喪失した。 (4)控訴人は,平成3年3月ころ,被控訴人に対し,本件消費貸借契約に基づく当時の残元金47万4071円及び遅延損害金202万6075円の支払を請求した。 2 争点(1)和解契約の成否(被控訴人の主張)ア平成3年3月ころ,控訴人から,被控訴人に対し,債権取り立ての電話が入り,被控訴人は,控訴人の担当者の指示に従い,平成3年3月から毎月末日に,金1万5000円を,控訴人に支払うことになった。被控訴人は,平成15年4月30日まで,控訴人に対する支払を続けた。 したがって,平成3年3月ころに,控訴人と,被控訴人との間で,「被控訴人は,控訴人に対し,本件消費貸借契約に基づく残債務について,毎月末日に,金1万5000円ずつ分割して支払う。」旨の和解契約が成立した(以下「本件和解契約」という。)。 イ控訴人は,以下の理由により,被控訴人に対し,本件和解契約について,黙示的に期限の利益を再度付与したうえで,将来利息を免除したか,利息の定めのない債権となることを承諾した(後者の場合は,商事法定利率年6%が適用 下の理由により,被控訴人に対し,本件和解契約について,黙示的に期限の利益を再度付与したうえで,将来利息を免除したか,利息の定めのない債権となることを承諾した(後者の場合は,商事法定利率年6%が適用される。)(ア)本件消費貸借契約は,約定利率・遅延損害金ともに,年69.35%となっているが,本件和解契約成立時の残元金47万3167円を元に計算すると,月々の利息・遅延損害金の額は,約2万7345円にもなり,1万5000円の支払いでは,毎月の利息・遅延損害金にも満たない。これでは,被控訴人は,控訴人に対し,永久に返済を続けることになり,しかも,控訴人に対する債務は増大していくという極めて理不尽な結果となる。 (イ)控訴人は,被控訴人に対し,平成4年5月1日以降の遅延損害金の利率を年39.785%に一方的に改定している。この利率で計算しても,毎月の利息・遅延損害金は,1万5687円となり,上記同様,1万5000円の支払では,毎月の遅延損害金にも満たない。 (ウ)したがって,控訴人は,本件和解契約について,被控訴人に対し,期限の利益を再度付与したことを前提として,平成4年5月1日以降の遅延損害金の条項を改定したものと考えるのが相当である。 (エ)なお,利息制限法所定の制限利率である年36%で計算した場合には,初回の遅延損害金の額が約1万4195円となり,確かに1万5000円ずつの支払を続ければ,徐々に債務も減少していくが,かかる場合,被控訴人が,控訴人に対する債務を完済できるのは,平成276年5月31日であり,現実的ではない。 また,控訴人が,年36%という利率を持ち出したのは,本件の訴訟手続において,約定利息,遅延損害金を利息制限法所定の利率に引き直して計算して請求しているだけであり,また,本件和解契約成立 また,控訴人が,年36%という利率を持ち出したのは,本件の訴訟手続において,約定利息,遅延損害金を利息制限法所定の利率に引き直して計算して請求しているだけであり,また,本件和解契約成立後も,被控訴人の期限の利益を喪失させたまま年36%の割合により計算していたとすると,平成4年5月1日以降に,それまでの遅延損害金の利率である年69.35%を年39.785%に改定したことと矛盾しており,控訴人が,本件和解契約成立時に,年36%という利率を意識していたとは考えられない。 (ウ)そして,本件和解契約の際に,控訴人から,被控訴人に対し,支払再開後の利息の交渉や説明が一切なかったことから,控訴人は,被控訴人に対し,以後の利息を免除したか,利息の定めのないものしたと考えられる。もし,控訴人が,本件和解契約において,利息制限法所定の制限利率である年18%を適用させようとしていたとすると,控訴人と被控訴人との間でその旨の合意が必要であるが,本件和解契約当時,かかる合意はなされていない。 (エ)仮に,控訴人が,上記(ア)または(イ)のような被控訴人にとって極めて不利益な事実を承知の上で,被控訴人に対して,かかる事実を告知せず,被控訴人が,本件消費貸借契約の取引内容の開示を求めても応じず,年69.35%または,年39.785%の利率を適用したまま,約12年間にもわたって,合計約218万円もの金員を受領し続けていたとすれば,本件和解契約のうち,かかる利率の定め方は,著しく公序良俗に反した内容であり,無効といわざるを得ない。 したがって,本件和解契約により,本件消費貸借契約に基づく貸金は,利息の定めのないものとなる。 ウしたがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件和解契約において,期限の利益を再度付与したうえで,将来利 って,本件和解契約により,本件消費貸借契約に基づく貸金は,利息の定めのないものとなる。 ウしたがって,控訴人は,被控訴人に対し,本件和解契約において,期限の利益を再度付与したうえで,将来利息を免除したか,または,利息の定めがない債権とすることを承諾したのであって,かかる合意に基づき,被控訴人が弁済した金員を本件消費貸借契約の残元金,利息及び遅延損害金に充当すると本件消費貸借契約及び本件和解契約に基づく貸金返還請求権は消滅している。 (控訴人の主張)ア支払の経緯について(ア)控訴人は,貸金業を営む株式会社であり,業務として,被控訴人と,本件消費貸借契約を締結した。本件消費貸借契約では,毎月1日に元利金を返済するとの約定になっていたが,被控訴人は,1回目の支払日である昭和58年4月1日から支払を怠り,期限の利益を喪失した。被控訴人から,控訴人に対し,昭和58年4月4日,同年5月2日,同年6月6日と入金があったが,控訴人は,これを遅延損害金に充当した。その後,控訴人は,被控訴人と連絡が取れなくなり,被控訴人は所在不明となった。 (イ)平成3年3月ころ,被控訴人が,大阪府寝屋川市に住居を移していることが判明し,控訴人は,被控訴人に対し,当時の残元金47万4071円及び遅延損害金202万6075円の合計金250万0146円の支払を請求したところ,被控訴人は,月1万5000円ずつしか支払えないとのことであった。そこで,控訴人は,やむなく,被控訴人から月1万5000円を受領し続け,本件消費貸借契約に基づく貸金債権の遅延損害金に充当していった。 (ウ)被控訴人から,控訴人に対し,電話で本件消費貸借契約に基づく支払明細を出してほしい旨の要求がなされたことがあったので,控訴人は,平成12年9月,被控訴人に対し,当 害金に充当していった。 (ウ)被控訴人から,控訴人に対し,電話で本件消費貸借契約に基づく支払明細を出してほしい旨の要求がなされたことがあったので,控訴人は,平成12年9月,被控訴人に対し,当時の元金額,利息額の内訳を説明し,一時金を支払うよう求めたところ,被控訴人から,同年10月中旬まで金策する旨の話しがあった。そして,控訴人は,被控訴人に対し,本件消費貸借契約の借用書のコピーを送付した。その後,被控訴人から,控訴人に対し,電話で支払の内訳明細を出してほしい旨の連絡はあったが,被控訴人は,控訴人に対する支払を継続しており,被控訴人から特に異論が出たこともなかった。 イ被控訴人から控訴人に対する支払の経緯は上記のとおりであり,平成3年3月ころに,控訴人と被控訴人との間で和解契約が成立し,期限の利益を再度付与したという事実は存在しない。 控訴人は,貸金業者であり,業務として,被控訴人に金銭を貸し付けたのであるから,仮に,被控訴人の債務について期限の利益を再度付与する内容の和解契約が成立したのであれば,和解契約書を作成し,かかる事項を和解条項として明記している。しかし,控訴人と被控訴人との間にかかる和解契約書は存在しないのであり,控訴人が,被控訴人に対し,期限の利益を再度付与した事実はない。 ウまた,貸金業者である控訴人が,債務者に対して利息を免除したり,利息を定めずに和解契約を締結するなどということはありえない。 エしたがって,被控訴人は,昭和58年4月1日に支払うべき分割金の支払を怠り期限の利益を喪失し,控訴人は,その後の被控訴人からの入金を遅延損害金として充当していったものであり,利息制限法に引き直して計算すると,別紙「利息制限法計算1」のとおりとなる。 (2)弁論主義違反(控訴人の主張) 人は,その後の被控訴人からの入金を遅延損害金として充当していったものであり,利息制限法に引き直して計算すると,別紙「利息制限法計算1」のとおりとなる。 (2)弁論主義違反(控訴人の主張)ア原判決は,控訴人の請求は,信義則に反し認められないとして,控訴人の請求を棄却したが,原判決は,弁論主義,釈明義務に違反した違法がある。 イ原審の審理においては,本件和解契約の成立と,期限の利益の再度付与が争点となり,被控訴人から,信義則違反を理由とした請求棄却の主張がなされたことはない。 しかし,原判決は,信義則を根拠として,控訴人の請求を棄却しており,被控訴人に対して信義則違反の主張に関する釈明が行われたことはなく,控訴人に対し,防御の機会が与えられておらず,控訴人にとっては,不意打ち以外の何者でもない。 したがって,原判決には,釈明義務,弁論主義に違反した違法がある。 ウまた,本件において,信義則違反といえるような事実も存在しない(ア)原判決は,控訴人の請求が信義則により認められないとする事情として,①被控訴人が時効の主張をせずに,平成3年4月1日から毎月金1万5000円ずつを払い続け,控訴人は,多額の利息損害金を得ていること,②利息損害金が膨大になったのは,債権回収を長期間にわたって怠った控訴人の債権管理にも責任の一端があることをあげ,これらから,被控訴人にこれ以上の負担を求めることは酷であることを理由としている。 (イ)①について,時効を援用するかどうかは,専ら債務者にゆだねられており,時効完成後に債務者が時効の利益を放棄することは認められている。また,債務者が債務承認等により時効援用権を喪失することも認められている。 したがって,被控訴人が時効を主張せずに支払を再開して 効完成後に債務者が時効の利益を放棄することは認められている。また,債務者が債務承認等により時効援用権を喪失することも認められている。 したがって,被控訴人が時効を主張せずに支払を再開していることには何の違法もなく,また,控訴人が得た金額は,利息制限法に引き直して計算しても適法に取得できる金額であって,何の違法もない。 (ウ)②について,本件消費貸借契約は,契約締結当時小倉南区に居住していた被控訴人が,控訴人の小倉営業所に来店して締結されたものであるが,被控訴人は,昭和58年6月6日に入金した後,連絡が取れなくなり,昭和59年ころから所在不明となった。そして,平成3年3月ころ,被控訴人が大阪に住居を移していることが判明し,控訴人は,本件貸金の請求を行うに至ったものである。 確かに,その間,控訴人は,債権回収のための法的手続等の手段を講じていないが,これをもって,控訴人の側に,本件請求を棄却されなければならないほど,債権管理に落ち度があったとは到底いえない。 (エ)その他に控訴人の側に信義則違反と認められるような事実は存在しない。 エ以上のとおり,信義則違反を理由として控訴人の請求を棄却した原判決は著しく不当であって,取り消されるべきである。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(和解契約の成否)について(1)前記第2の1の争いのない事実並びに甲第1号証及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 控訴人は,昭和58年3月10日,被控訴人との間で,本件消費貸借契約を締結した。 被控訴人は,初回の支払日である昭和58年4月1日に支払うべき分割金の支払を怠ったが,同月4日,同年5月2日,同年6月6日,控訴人に対し,弁済をした。 その後,被控訴人は所在不明となり,控訴人は,被控訴人と 人は,初回の支払日である昭和58年4月1日に支払うべき分割金の支払を怠ったが,同月4日,同年5月2日,同年6月6日,控訴人に対し,弁済をした。 その後,被控訴人は所在不明となり,控訴人は,被控訴人と連絡を取ることができなくなった。 控訴人は,平成3年3月ころ,被控訴人の所在を突き止め,被控訴人に対し,本件消費貸借契約に基づく貸金の当時の残元金,利息及び遅延損害金の支払を求めた。 被控訴人は,平成3年4月1日から平成15年4月30日まで,控訴人に対し,別紙「利息制限法計算1」のとおり,弁済を続けた。 (2)和解契約の成否についてア被控訴人は,昭和58年6月6日から約8年間,控訴人に対する支払をしていなかったにもかかわらず,平成3年4月1日から,支払を再開していること,支払日は毎月末または毎月始めであること,支払額は,2回を除いて1万5000円ずつであること,被控訴人は,平成3年3月ころ,控訴人に対し,本件消費貸借契約に基づく貸金債務の残元金,利息及び遅延損害金の支払を求めた後,控訴人からの分割金の受領を続け,本件訴訟に至るまで,一括請求をしていないことからすれば,平成3年3月ころ,控訴人が被控訴人に対し,連絡を取った際に,控訴人と被控訴人との間で,本件消費貸借契約に基づく貸金債務の支払方法等について,平成3年4月から毎月始め又は末に,1万5000円ずつ支払うことなどを内容とする和解契約が成立したと認められる。 イ将来の利息・遅延損害金について(ア)本件消費貸借契約に基づく残元金,利息及び遅延損害金は,被控訴人が支払を再開した平成3年3月の時点では,控訴人の計算によると,残元金47万4071円,遅延損害金202万6075円であったところ,月々の利息・遅延損害金について,本件消費貸借契約の約定利率である が支払を再開した平成3年3月の時点では,控訴人の計算によると,残元金47万4071円,遅延損害金202万6075円であったところ,月々の利息・遅延損害金について,本件消費貸借契約の約定利率である年69.35%で計算すると,2万7022円(474,071×0.6935×30÷365)となり,毎月1万5000円の支払いでは,毎月の利息・遅延損害金にも満たない。そして,上記のとおり,被控訴人は,控訴人に対し,毎月1万5000円を支払う旨の和解契約が成立していること,弁済行為は債務の消滅を目的とするものであり,被控訴人の合理的意思からすれば,支払を続けても永久に完済にならないような内容の合意をする意思を有していたと認めることは極めて不合理であるから,被控訴人がそのような意思を有していたものとは認めることができず,本件和解契約においても,控訴人と被控訴人の意思の合致する範囲内で合意が成立したものとするほかないのであるから,本件和解契約において,利息・遅延損害金の利率を年69.35%とする合意があったとは認められない。 (イ)控訴人は,本件消費貸借契約の借用書(甲第1号証)において,平成4年5月1日より,上限金利を年39.785%と改定しているが,上記■同様に,年39.785%で月々の利息・遅延損害金を計算すると,1万5502円(474,071×0.39785×30÷365)となり,毎月1万5000円の支払いでは,月々の利息・遅延損害金にも満たないのであり,上記(ア)同様,本件和解契約において,利息・遅延損害金の利率を年39.785%とする合意があったとは認められない。 (ウ)控訴人は,本件消費貸借契約について,平成3年4月1日以降の支払についても,控訴人は,被控訴人に対して,期限の利益を再度付与していないことから,遅延損害金が発 あったとは認められない。 (ウ)控訴人は,本件消費貸借契約について,平成3年4月1日以降の支払についても,控訴人は,被控訴人に対して,期限の利益を再度付与していないことから,遅延損害金が発生し続けているとして年36%の利率(平成11年法律第155号による改正前の利息制限法4条1項)で計算しているところ,上記(ア)同様に,年36%で月々の利息・遅延損害金を計算すると,1万4027円(474,071×0.36×30÷365)となり,毎月の支払額よりは少ないが,残元本,既発生の利息・遅延損害金に充当できる額は,973円しかなく,平成3年3月当時の控訴人の計算による既発生の利息・遅延損害金202万6075円を完済するだけでも約173年かかり(2,026,075÷973÷12),上記(ア)(イ)同様に半永久的に支払を続けなければならないことになるのであって,本件和解契約において,利息・遅延損害金の利率を年36%とする合意があったとは認められない。 (エ)被控訴人は,将来の利息・遅延損害金について,控訴人が免除した,あるいは,利息の定めのない債権となることを承諾したと主張しているが,控訴人は貸金業者であり,金銭を貸し付けて,その利息を収受することにより利益を得ることを業としている会社であることからすれば,控訴人に利益が出ないこととなるような内容の合意をするとまでは通常考えられないので,被控訴人のこの点に関する主張は採用できない。 (オ)そして,利息制限法所定の制限利率である年18%の利率で月々の利息・遅延損害金を計算すると,7013円(474,071×0.18×30÷365)となり,毎月1万5000円を支払うことにより,7987円が充当されることになるから,上記利率は,被控訴人の合理的意思に反しないと考えられ,他に合理的な利率 474,071×0.18×30÷365)となり,毎月1万5000円を支払うことにより,7987円が充当されることになるから,上記利率は,被控訴人の合理的意思に反しないと考えられ,他に合理的な利率も考えられないことから,本件和解契約において,控訴人と被控訴人との間で,将来の利息・遅延損害金について,年18%の利率によるとする限度で黙示の合意が成立したものと認めるのが相当である。 ウ既発生の利息・遅延損害金について控訴人は,本件の訴訟において,既発生の遅延損害金について,年36%の割合で計算した額を請求しており,控訴人の計算によると,平成3年4月1日当時には,別紙「利息制限法計算1」のとおり,残元金は42万7233円,遅延損害金は118万7617円存在していたことになる。 これを基に月々の将来発生する利息・遅延損害金を年18%の利率で計算すると,6320円(427,233×0.18×30÷365)となり,残元本,既発生の利息・遅延損害金に充当される額は8680円となることからすると,既発生の遅延損害金118万7617円の支払を終えるのに約11年もかかり,その後ようやく残元本に充当されていくことになり,被控訴人が完済するまでにさらに数年かかること,適正な貸金業者であれば,11年支払を続けても元本に充当できないような額の遅延損害金を取り続けるようなことはしないであろうこと,将来の利息・遅延損害金について年18%の利率によるとする黙示の合意が認められること,また,弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,平成3年4月1日から平成15年4月30日まで12年間にわたり,控訴人に対し,約218万円を支払い,これにより,元本50万円が完済されたはずであると考えていたことが認められるから,本件和解契約の際にも,月1万5000円の支払を数年間 30日まで12年間にわたり,控訴人に対し,約218万円を支払い,これにより,元本50万円が完済されたはずであると考えていたことが認められるから,本件和解契約の際にも,月1万5000円の支払を数年間続けることで債務を完済することができるものとの意思を有していたものと推認できること,客観的には,本件和解契約締結時には,本件消費貸借契約に基づく貸金返還請求権は時効消滅しているから,被控訴人に支払を再開させるには,控訴人も譲歩せざるを得ない関係にあったことなどの事情があり,これらの事情からすれば,本件和解契約においては,既発生の遅延損害金についても,年18%の利率により計算した金額を支払う旨の黙示の合意があったものと認めるのが相当である。 (3)したがって,本件和解契約に基づいて本件消費貸借契約の利息及び遅延損害金をすべて年18%で計算して充当すると,別紙「利息制限法計算2」のとおりとなり,控訴人の被控訴人に対する本件消費貸借契約に基づく貸金返還請求権は消滅している。 2 争点(2)(弁論主義違反)について控訴人は,原判決が,当事者の主張していない信義則違反を理由に,控訴人の請求を棄却したのは,弁論主義,釈明義務に違反しており違法であると主張しているが,上記のとおり,控訴人の貸金返還請求権は消滅しており,控訴人の請求は理由がないので,仮に原判決に弁論主義,釈明義務に違反した違法があったとしても,民事訴訟法302条2項により,本件控訴は棄却されることになる以上,争点(2)については検討する必要性がない。 第4 以上のとおりであるから,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用について民事訴訟法67条1項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第6 の請求を棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用について民事訴訟法67条1項本文,61条を適用して,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第6民事部裁判長裁判官杉山正士裁判官川﨑聡子裁判官森中剛

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