神戸地方裁判所平成14年7月25日判決平成13年(わ)第1095号,同第1220号覚せい剤取締法違反,窃盗,道路交通法違反被告事件 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中170日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 法定の除外事由がないのに,平成13年10月5日ころ,神戸市A区Ba丁目b番地のc所在の公団住宅d号棟e号の自宅において,フェニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶約0.04グラムを水に溶かして自己の身体に注射し,もって,覚せい剤を使用した第2 同月12日午後5時ころ,神戸市A区Cf丁目g番h号先路上において,V所有の原動機付自転車1台(時価約5万円相当)を窃取した第3 公安委員会の運転免許を受けないで,前同日午後5時1分ころ,神戸市A区Di丁目j番k号付近道路において,前記原動機付自転車を運転したものである。 (証拠の標目)-括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号省略(補足説明)弁護人は,第2の事実について,被告人は,何者かがキーを付けたまま路上に放置した原動機付自転車(以下,「本件バイク」という。)を発見し,これを交番に届けるつもりで押して移動したに過ぎないから窃盗罪は成立しない旨,第3の事実について,同事実中,被告人は,本件バイクに乗車して国道L号線南沿いの歩道上を西に向けて無免許運転して走行したことはない旨主張し,被告人もこれに沿う供述をするところ,前掲関係各証拠によれば,第2及び第3の各犯罪事実は疑いの余地なく認定できるのであるが,その理由につき,補足して説明を加える。 1 前掲関係各証 とはない旨主張し,被告人もこれに沿う供述をするところ,前掲関係各証拠によれば,第2及び第3の各犯罪事実は疑いの余地なく認定できるのであるが,その理由につき,補足して説明を加える。 1 前掲関係各証拠によれば,次の事実が認められる。 (1) Vは焼肉店「D」の経営者であるが,平成13年10月12日午後4時50分過ぎころ,店の西側の空地の前である神戸市A区Cf丁目g番h号先路上(以下,「第1現場」という。)に,その所有の本件バイクをスタンドを上げて,エンジンキーを抜いた後,シートの下の鍵穴にキーを差し込んだまま駐車した。 (2) 兵庫県交通機動隊勤務の警察官であるEは,白バイに乗車して交通指導取締に従事中,同日午後5時ころ,被告人がヘルメットを付けずに本件バイクに乗車し神戸市A区Di丁目j番k号付近の国道L号線上交差点(「本件交差点」という。)の中央付近から南に向け走行し,その後同国道南側沿いに設置されている歩道に乗り上げて右折西進するのを認め,サイレンを鳴らして追尾し被告人に声をかけ,同人に対し,ヘルメット着用義務違反,歩道上運転(通行区分違反)の容疑を告げ,運転免許証の提示を求めた。被告人は免許証不携帯を申し出て,E警察官が後ろを振り向いた隙に走って逃走を図ったが,白バイで追跡されて,付近のF交番に任意同行され,同日午後5時18分,同所で道路交通法違反(通行区分違反)の現行犯人として逮捕された。 (3) 第1現場と本件交差点とは,第1現場から約9.5メートル西進して左折し,約96メートル南進すると本件交差点に至る位置関係にある。 2 以上のとおり認められる。これらの事実によれば,被害者が第1現場において,キーを付けたまま本件バイクを駐車し,これが何者かによって盗まれ,その約10分後に,本件交差点で,被告人が本件バイクに乗車 2 以上のとおり認められる。これらの事実によれば,被害者が第1現場において,キーを付けたまま本件バイクを駐車し,これが何者かによって盗まれ,その約10分後に,本件交差点で,被告人が本件バイクに乗車して無免許運転に及んでいるところを現認されたものであり,しかも,その場所と盗難現場である第1現場とはわずか約100メートル離れているにすぎないところ,被告人は,このように,盗難のあった日時場所に極めて近接した時点においてその盗品である本件バイクに乗車していたのであるから,その入手経過等について被告人の弁解に信用性が著しく欠ける場合には,被告人をその窃盗犯人と推認することができるものと解される。 そこで,この点に関する被告人の弁解について検討すると,被告人は,本件バイクを第1現場よりさらに南の別の場所で発見したものであり,その駐車の態様から判断して,何者かが放置したバイクと考えて,交番に届けようと思って押して移動させたというが,被告人の供述によれば,その際,バイクにはエンジンキーがエンジンキーボックスに差し込まれたままであったし,その後エンジンもすぐかかったというのであるから,通常そのような状態のバイクを見てそれがいわゆる放置自転車と同様の意味で,放置原動機付バイクと考えたなどという弁解は,そもそも極めて不自然な供述といわざるを得ず,しかも,本件バイクの形状を見ると,古びているとか,埃まみれであるなど,放置されていると思わせるような形跡の全く認められない通常のバイクであること,被告人の弁解は,捜査段階においては具体性を欠いた供述であり,公判段階に至って,ようやく,本件バイクの発見地点は,前記のとおりの場所であることなどを供述するに至ったのであるが,捜査段階においては,東西道路を東に向けて歩いていて本件バイクを発見したと述べていたのに,公判 って,ようやく,本件バイクの発見地点は,前記のとおりの場所であることなどを供述するに至ったのであるが,捜査段階においては,東西道路を東に向けて歩いていて本件バイクを発見したと述べていたのに,公判廷においては,南北道路を南に向け歩いていて発見したと格別の理由なくその供述を変遷させるなど,公判供述自体の信用性は極めて脆弱であること,被告人は,その捜査段階における供述調書(検察官請求証拠番号38)について,被告人が眠っているうちに捜査官が作文したものであると強弁し,あるいは,前認定のとおり,F交番に任意同行された際,態度を豹変させて突如黙秘するとして身分事項すら明らかにしないなど,被告人の態度には誠実さが全く認められないこと等を総合すると,前記被告人の弁解は虚偽供述として明らかに排斥できるものというべきである。そうすると,前記1事実を総合すれば,第2及び第3の各犯罪事実を認めるに十分である。 なお,被告人は,当公判廷において,国道L号線沿いの歩道上を本件バイクに乗車して運転走行していないと供述するが,この点に関する前記証人Eの証言の信用性は十分であるから,被告人の前記供述は採用できない。 3 以上のとおり,被告人が第2及び第3の各犯行を行ったことにつき証明は十分であり,弁護人の主張は理由がない。 (累犯前科)被告人は平成11年11月19日神戸地方裁判所で覚せい剤取締法違反,道路交通法違反の各罪により懲役1年6月に処せられ,平成13年3月30日その刑の執行を受け終わったものであって,この事実は,検察事務官作成の前科調書(検察官請求証拠番号18)及び判決書謄本(同23)によって認める。 (法令の適用)罰条第1 覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条第2 刑法235条第3 平成13年法律 8)及び判決書謄本(同23)によって認める。 (法令の適用)罰条第1 覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条第2 刑法235条第3 平成13年法律第51号による改正前の道路交通法118条1項1号,64条刑種の選択懲役刑を選択(第3につき)再犯加重各刑法56条1項,57条併合罪加重刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第1の罪の刑に刑法14条の制限内で法定の加重)宣告刑懲役2年6月未決勾留刑法21条(170日算入)訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)(量刑の理由)本件は,被告人が,覚せい剤を自己使用し(第1),エンジンキーを付けたまま路上に駐車していた原動機付自転車を盗み(第2),これを無免許運転した(第3),覚せい剤取締法違反,窃盗,道路交通法違反の各事案であるが,被告人は,累犯前科欄記載の最終刑の執行終了後,わずか7か月で,格別の理由なく,またもや覚せい剤を自己使用したものであり,その覚せい剤に対する親和性や規範意識の乏しさは深刻な状態にあるといわざるを得ないこと,第2,第3の一連の原動機付自転車の窃盗及びその無免許運転の各罪については,犯行自体の悪質さに加えて,捜査段階の当初から一貫して不自然,不合理な弁解に終始して恥じるところがないなど,その犯行後の態度の悪質さも目立つこと等に徴すると,被告人の刑事責任は相当に重いというべきであるが,実父や実妹がなお被告人の更生を期待しその支援を誓約していること,被告人なりの反省の態度等被告人のために酌むべき事情も十分に考慮した上,主文のとおり量定した次第である。 よって,主文のとおり判決する平成14年7月25日神戸地方裁判所第11刑 告人なりの反省の態度等被告人のために酌むべき事情も十分に考慮した上,主文のとおり量定した次第である。 よって,主文のとおり判決する平成14年7月25日神戸地方裁判所第11刑事係甲 裁判官杉森研二
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