平成29年9月14日判決言渡平成27年(ワ)第15108号地位確認等請求事件主文 1 原告と被告との間において,原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成27年5月から本判決確定の日まで,毎月24日限り30万4600円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,11万6691円及びこれに対する平成27年6月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,平成27年12月から本判決確定の日まで,毎年12月10日限り34万0040円及び毎年6月10日限り34万0040円並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 7 この判決は,第2項から第4項までに限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項及び第2項と同旨 2 被告は,原告に対し,平成27年6月から本判決確定の日まで毎年6月10日限り47万8503円及び毎年12月10日限り34万0040円並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成27年4月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告と期限の定めのない労働契約を締結していた原告が,業績不良を理由として解雇されたことについて,解雇事由が存在せず,労働組合員である原告を解雇して労働組合の弱体化を狙ったものであって,解雇 件は,被告と期限の定めのない労働契約を締結していた原告が,業績不良を理由として解雇されたことについて,解雇事由が存在せず,労働組合員である原告を解雇して労働組合の弱体化を狙ったものであって,解雇権の濫用として無効であり,不法行為に当たるとして,労働契約に基づく地位の確認,並びに,解雇後に支払われるべき賃金及び賞与並びに不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用並びにこれらに対する遅延損害金の支払を請求する事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)(1) 当事者等ア被告は,情報システムに関わる製品,サービスの提供等を業とする株式会社である。被告の設立は昭和12年6月17日,資本金の額は1353億円である。 イ原告は,昭和45年3月4日生まれで,Z1株式会社(以下「Z1」という。)の正社員であったところ,平成13年10月に被告がZ1から事業譲渡を受けたことに伴い,Z1から被告に転籍し,被告に期限の定めなく正社員として採用された者である。 原告は,平成15年7月に,被告の労働者によって組織されたZ2労働組合(Z2)Z3支部(以下「本件組合」という。なお,以下では本件組合に加入している労働組合員を「本件組合員」ということがある。)に加入し,平成17年7月からは,分会役員であった一時期を除き,本件組合の中央執行委員を務めている。 (2) 原告の被告における経歴(甲64から68まで,弁論の全趣旨) ア原告は,平成13年10月に被告に入社した時点でバンド6に位置付けられた(バンドとは,1から10まで設定された被告における従業員の職位の等級であり数字が大きいほど職位が高い〔乙2〕。)。 イ原告は,被告に入社後,エンジニアとして,被告のソフトウェア製品(具 られた(バンドとは,1から10まで設定された被告における従業員の職位の等級であり数字が大きいほど職位が高い〔乙2〕。)。 イ原告は,被告に入社後,エンジニアとして,被告のソフトウェア製品(具体的には「Z4」等)の障害について,顧客に対し,技術的なサポートを提供することを業務とするCS.レスポンスセンター(その後に名称の変更があったが,以下では変更前後を通じて「本部門」という。)に配属された。 (ア) 本部門の中心的な業務は,被告のソフトウェア製品の障害に関する顧客からの問合せに対し解決方法等の回答を行う業務(従前は「インシデント処理」と呼ばれていたが,平成23年6月には「PMRハンドリング」に改称された。以下,呼称変更の前後を通じて「PMRハンドリング」という。)であり,具体的な流れは,おおむね以下のとおりである。 a 電話やウェブサイト上の問合せフォームを通じて,顧客から,ソフトウェア障害に関する問合せが寄せられる。このとき,その案件についてのPMR(ProblemManagementRecordの略。なお,平成23年6月まではPMRに相当するものはインシデントと呼ばれていた。)が作成され,レベル1用のキュー(各案件について作成されたPMRが置かれるシステム上の場所を意味する。)に置かれる。 b レベル1のPMRハンドリングを担当するメンバーが,レベル1用のキューに置かれたPMRを自ら引き取るか,又は,チームリーダーから割り振られることにより,個々の案件を担当する。 c 個々の案件を担当することになったレベル1のメンバーは,顧客からソフトウェア障害の内容を聞き取り,その原因調査等を行った上で,レベル1で対応すべき案件とレベル2で対応すべき案件に振り分け,後者については,PMRをレベル2用のキューに移す メンバーは,顧客からソフトウェア障害の内容を聞き取り,その原因調査等を行った上で,レベル1で対応すべき案件とレベル2で対応すべき案件に振り分け,後者については,PMRをレベル2用のキューに移す。 d レベル2のPMRハンドリングを担当するメンバーは,レベル2用のキューに置かれたPMRを自ら引き取るか,又は,チームリーダーから割り振られることにより,個々の案件を担当する。 e 個々の案件を担当することになったレベル2のメンバーは,顧客からソフトウェア障害の内容を聞き取り,その原因調査等を行った上で,顧客に対して解決方法を回答する。 (イ) 本部門のメンバーは,PMRハンドリングに付随して,そこで自ら担当した案件について,その障害の内容と解決方法を記述した記事(以下「Technote」という。)の執筆,公開作業も行っている。Technoteの執筆・公開作業の具体的な流れは,おおむね以下のとおりである。 a 本部門のメンバーは,まだTechnoteが公開されていないソフトウェア障害を処理した場合,随時,Technoteを執筆する。 b 執筆されたTechnoteは,まず,レビュワーと呼ばれるメンバーにより技術的な内容について正誤のチェックを受ける。 c レビュワーによって公開に値する情報であると判断された場合には,その後,エディターと呼ばれるメンバーにより「てにをは」や誤字脱字のチェックなどを経て,ウェブサイト上に公開される。 (ウ) 原告は,被告に入社以来,レベル1のPMRハンドリング 及びこれに付随するTechnoteの執筆,公開を担当していた。 ウ平成19年8月,被告は,原告のバンドを6から4に降格した。 エ平成20年5月頃から,原告は,レベル1のPMRハンドリングのほかにCAPS(CallAnd teの執筆,公開を担当していた。 ウ平成19年8月,被告は,原告のバンドを6から4に降格した。 エ平成20年5月頃から,原告は,レベル1のPMRハンドリングのほかにCAPS(CallAndPMRSystemの略)及びESR(ElectricServiceRequestの略)の監視業務並びにTechnoteのエディター業務を担当するようになった。 これらのうちCAPSの監視業務は,平成24年8月に終了したが,それ以外の業務については,原告が平成27年3月に解雇されるまで担当し続けた。 (ア) CAPSとは,本部門とは別の製品に関する技術的なサポートを提供する部門において,PMRハンドリングのために使用していたシステムツールである。そうした他部門への問合せが本部門の担当製品に関する問合せに発展することがあり,そのような場合には,別の部門で作成されたPMRを本部門に移行させる必要があるが,本部門ではPMRハンドリングのためにCAPSとは別のJOKERと呼ばれるシステムツールを使用しており,CAPSからJOKERにPMRのデータを自動的に移行させることはできなかったので,CAPSに入力された情報をメンバーが自らJOKERに入力し直す必要があった。 (イ) また,ESRとは,被告の全製品について,ウェブ上のフォームを通じて寄せられる顧客からの問合せを処理するためのシステムツールである。本部門が担当する製品については,これとは別にウェブ上に専用の問合せ窓口を設けていたが,被告の全製品に関する問合せフォームを経由して本部門が担当する製品についての問合せを受けることもあった。 ESRとJOKERは別のシステムツールであり,ESRからJOKERに自動的にデータを移行することはできなかったので,そのような場合には 当する製品についての問合せを受けることもあった。 ESRとJOKERは別のシステムツールであり,ESRからJOKERに自動的にデータを移行することはできなかったので,そのような場合にはESRに入力された情報をメンバーが自らJOKERに入力し直す必要があった。 (ウ) CAPS及びESRの監視業務とは,JOKERに加えてESR及びCAPSをインストールした専用のパソコンを使用し,当該パソコンで30分に1回程度CAPS及びESRを確認して,本部門が担当する製品に関する問合せについては,上記のデータを入力し直す作業を行うというものであった。 オ平成21年12月,被告は,原告の業務を,PMRハンドリングから,被告と顧客との間のサポート契約(顧客が被告から技術的なサポートを受けるために必要となる契約)の有無や内容を確認する業務(以下「契約センター業務」という。)及び本部門がサポートを担当している製品とは別の製品についてサポートを提供する業務(以下「デスクトップ製品サポート業務」という。)に変更した。 これらのうち契約センター業務は,平成24年1月に終了したが,デスクトップ製品サポート業務については,原告が平成27年3月に解雇されるまで担当し続けた。契約センター業務は,顧客又は被告の製品について技術的なサポートを提供している各部門からの問合せを受けて,被告のデータベース上で顧客に関するサポート契約の有無及び内容を確認し,その結果を回答し,問合せが顧客からであった場合で,サポート契約の存在が確認でき,かつ,顧客が技術的なサポートを提供している部門への転送を希望していれば,顧客が話した内容をそのまま入力してPMRを起票し,該当する部門に対応を依頼するというものである。 カ平成23年6月,中国の深圳に,Z1製品に を提供している部門への転送を希望していれば,顧客が話した内容をそのまま入力してPMRを起票し,該当する部門に対応を依頼するというものである。 カ平成23年6月,中国の深圳に,Z1製品に関する日本の顧客からの技術的な問合せに対する回答を作成するチーム(以下「DCCチーム」という。)が設置され,稼働を開始した。 原告は,同月以降,DCCチームの担当者が作成した問合せへの回答について,日本語として適切か否かをレビューする業務(以下「日本語レビュー業務」という。)を担当することもあった。 日本語レビュー業務は,平成25年10月末に終了した。 キ(ア) 平成23年7月までは,顧客から技術的な問合せを受けたエンジニアにおいてサポート契約の有無や内容の確認ができなかったExceptionと呼ばれる案件については,担当エンジニアから契約センターに問い合わせ,契約センターにおいて二次的な確認を行っていたが(こうした二次的な確認は契約センター業務の一部であった。),同月以降は,担当エンジニアが所属する各部門(本部門も含む。)において,そうした二次的な確認まで行うようになった(以下,各部門において行われるようになったサポート契約についての二次的な確認業務を「Exce-ptionハンドリング」という。)。 なお,Exceptionハンドリング及び契約センター業務(以下,これらを合わせて,又は,これらのうちいずれかを指して「契約確認業務」ということがある。)は,いずれもサポート契約の有無及びその内容の確認を行うという点でほぼ共通していた。 本部門におけるExceptionハンドリングは,原告が主として担当することになり,平成23年7月頃から,平成27年に解雇されるまで,原告がこれを担当し続けた。 (イ) また,同 本部門におけるExceptionハンドリングは,原告が主として担当することになり,平成23年7月頃から,平成27年に解雇されるまで,原告がこれを担当し続けた。 (イ) また,同月頃から,原告は,次の業務も担当するようになった。 aPMRが置かれているキューを適時確認して,時間が経っても誰にも引き取られずに残っているPMRがあった場合に,PMRハンドリングを行うメンバーにその旨連絡する業務(以下「キュー監視業務」という。)。 b 顧客から問合せを受けた後にメンバーと顧客との間でやり取りされたメールが保存されたボックスを,1時間に1回程度確認し,処理されていないメールがあった場合に,その旨をメンバーに連絡する業務(以下「メールボックス監視業務」という。)。 ク平成24年9月以降は,本部門の業務のうちPMRを起票して本部門のメンバーに対応を依頼するところまでの業務を,中国の深圳に置かれたチームで担当するようになった。これに伴い,深圳のチームにもExceptionハンドリングの担当者が置かれたので,これ以降,原告が日本において担当するExceptionハンドリングは,深圳で対応できなかった案件のみとなった。 (3) 被告における人事管理制度ア被告は,従業員の業績を示すPBC(PersonalBusinessCommitments)と称する評価制度(以下「PBC評価」という。)を設けている。PBC評価は,年初に設定された目標に対する当該従業員の1年間の達成度や,会社に対する貢献度の相対的評価を行うことを内容とする。 PBC評価の結果は,上から順に「1」(最大の貢献度を達成),「2+」(平均を上回る貢献度),「2」(着実な貢献),「3」(貢献度が低く,業績の向上が必要),「4」 価を行うことを内容とする。 PBC評価の結果は,上から順に「1」(最大の貢献度を達成),「2+」(平均を上回る貢献度),「2」(着実な貢献),「3」(貢献度が低く,業績の向上が必要),「4」(極めて不十分な 貢献)の5段階となっている。それぞれの配分については,「1」が10%から20%,「2+」及び「2」の合計が65%から85%,「3」及び「4」の合計が5%から15%とされている相対評価である。(乙4)イ被告が実施している業績改善プログラム(PerformanceIm-provementProgram。以下「PIP」という。)とは,従業員が所属長等(被告においては,直属の上司を所属長,更にその上の上司を上長と呼んでいる。)との間で改善点について,一定の期間内に達成すべき具体的な目標を立て,これを改善目標管理フォームに記入し,その後,その達成に向けて実際に業務を遂行し,また,定期的に所属長等との面談を実施して,進捗の確認及び改善に向けた指導を受けることにより,業績の改善を図ることを内容とする(乙65,67)。 (4) 被告は,平成27年3月17日,原告に対し,同年4月3日付けで解雇する旨の解雇予告の意思表示をした(以下,同日付けの原告の解雇を「本件解雇」という。)。 (5) 原告は,平成27年6月3日,本件訴訟を提起した。 2 争点(1) 本件解雇が解雇権濫用に当たるか(2) 本件解雇が不当労働行為に当たるか(3) 本件解雇の態様が不法行為に当たるか(4) 上記(1)から(3)までの請求が認められた場合に原告に支払われるべき賃金等の額,賠償されるべき損害の額 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件解雇が解雇権濫用に当たるか)について(被告の主張) ア本件解雇 合に原告に支払われるべき賃金等の額,賠償されるべき損害の額 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件解雇が解雇権濫用に当たるか)について(被告の主張) ア本件解雇は,原告が就業規則45条2号に定める「技能または能率が極めて低く,かつ上達または回復の見込みが乏しいかもしくは他人の就業に支障を及ぼす等,現職または他の職務に就業させるに著しく適しないと認められるとき」に該当することから行われたものであり,客観的合理的な理由に基づくもので,社会通念上相当であるから,解雇権の濫用には当たらない。 イ被告入社後から平成21年12月までの原告の業務状況(ア) 原告は,被告入社後,本部門に配属され,エンジニアとしてPMRハンドリングを担当していた。 しかし,原告には本部門が技術的なサポートの提供を担当していた製品に関する知識やサポートの提供に必要な基礎的なITスキルが乏しく,また,ケアレスミスや確認不足も多かった上,これらについて改善の傾向もなかった。そのため,PMRハンドリングにおいて,顧客が要求している事項を正しく理解できない,顧客に対して適切な回答ができない(誤った回答をする),顧客に対する回答を遅延するなどの問題があり,顧客に対して迷惑をかけ,顧客からのクレームも発生していた。また,原告は,製品知識,ITスキルの不足のため独力で案件を処理することができず,周囲の者に負担をかけている状況であった。 (イ) それだけでなく,原告は,平成18年8月頃,少なくとも1か月以上にわたって,意図的に,顧客からの電話による問合せに対応するためのシフトに入らなかったこともあった。 (ウ) 原告が被告に入社した当初は,被告の正社員の中でも製品知識,ITスキルに応じて原告と同様にレベル1を担当していた者もいたが, よる問合せに対応するためのシフトに入らなかったこともあった。 (ウ) 原告が被告に入社した当初は,被告の正社員の中でも製品知識,ITスキルに応じて原告と同様にレベル1を担当していた者もいたが,そうした正社員は,業務の過程でこれらを身に つけてレベル2を担当するようになっていき,平成17年には,協力会社の社員がレベル1を担当し,被告の正社員はレベル2を担当するという体制になったが,原告はその後も依然としてレベル1の担当のままであった。 原告は,レベル1が必ずしもレベル2に比べて簡単な案件を担当しているわけではないと主張するが,PMRハンドリングの運用ガイド(「Z5」と題する社内ウェブページ上の記載)やレベル1で対応できない案件をレベル2に移行するというPMRハンドリングの具体的な業務の流れに照らして,レベル2がレベル1より難しい案件を処理していることは明らかである。 (エ) 被告は,こうした状況を踏まえて,平成17年10月以降,平成19年4月まで,複数回にわたりPIPを実施することにより原告の業績改善を試みたが,原告の業績は改善しなかった。 このことは,実施されたPIPに関する改善目標管理フォームや原告の当時の所属長であったZ6による原告のPMRハンドリングのレビューにおいて,再三,改善点を指摘されていることから明らかである。なお,平成19年に行われたPIPとZ6の上記レビューは,この時点で原告がPMRハンドリングを独力でどの程度遂行できるかを把握する趣旨で行われたものであり,改善進捗管理期間中に指摘を受ければ問題点を改善することが可能であったとの原告の主張は失当である。 そのため,被告は,平成19年8月に原告のバンドを6から4に降格した。 (オ) バンド4への降格後も原告の問題は改善されないままで 善することが可能であったとの原告の主張は失当である。 そのため,被告は,平成19年8月に原告のバンドを6から4に降格した。 (オ) バンド4への降格後も原告の問題は改善されないままであったので,平成20年5月頃からは,被告は,原告の業務の うちPMRハンドリングの割合を減らして,その分,製品知識・ITスキルを要しない簡単な業務であるCAPS及びESRの監視業務並びにTechnote のエディター業務を担当させていたが,これらについても基本的なミスが多く見られた。 (カ) 被告入社後から平成21年までの原告のPBC評価は,いずれも3であり,繰り返しこのような評価を受けたのは,原告の業績が慢性的に低迷していたからにほかならない。 ウ平成21年12月以降平成23年までの原告の業務状況(ア) 被告は,平成21年12月には,原告にPMRハンドリングを担当させることを断念し,やむを得ず,原告の業務を製品知識・ITスキルを要しない契約センター業務及びデスクトップ製品サポート業務に変更した。 このうちデスクトップ製品サポート業務については,問合せ件数自体が減少していた上(原告以外の者が担当したものを含めた件数の推移は,平成21年197件,平成22年131件,平成23年67件,平成24年6件,平成25年3件,平成26年1件となっていた。),主として同業務を担当していたのは協力会社従業員のZ7や被告の他の正社員であった。原告は,サポートの受け方や既にサポートが終了している製品についてはその旨説明していたにすぎず,技術的なサポートの提供はほとんど担当していない。処理時間も通常1件当たり10分から15分程度であり,長時間を要するものでも30分程度であり,原告の業務の中心は契約センター業務であった。 (イ) 契約セ サポートの提供はほとんど担当していない。処理時間も通常1件当たり10分から15分程度であり,長時間を要するものでも30分程度であり,原告の業務の中心は契約センター業務であった。 (イ) 契約センター業務については,チームリーダーであったZ8が,原告に対し,マニュアルを用いながら一つ一つの作業を説明した上で,Z8自身が実際に作業する様子を見せ,さらに, 原告が作業を行う際にZ8が隣で誤り等があった場合に指摘するという方法で研修を行った。契約センター業務は,被告正社員であれば,このような研修を数日間受けた後には自力で作業ができるようになるレベルの簡単な業務である。しかしながら,原告は,こうした研修を1か月間受けた後も独力で業務を遂行することはできなかった。その上,原告が研修後に1人で契約センター業務を行うようになってからも,原告には業務に必要な基本的な事項に関する知識,理解が乏しいにもかかわらず,業務上必要な資料を読むなどこれらを向上させるための努力をしない,ケアレスミス,確認不足等により顧客に対して誤った回答をする,適時に必要な処理を行わない,個々の案件に関する対応履歴を適切に記録しない(そのため他の者が当該案件を担当する際,原告がどのような対応をしたのかが分からず,業務上の支障が生じる。),休暇をとる際に関係者への連絡その他の必要な対応をとらないなどの問題があり,原告が契約センター業務を満足に遂行しているとは到底いえない状況であった。これらの問題点についてはチームリーダーのZ8が日常的に繰返し注意,指導していたが,改善されなかった。さらに,デスクトップ製品サポート業務においても,初歩的な知識を欠いていた。 これらは,Z8が送ったメールにおいて,再三,問題点を指摘されていることからも明らかである。 原告は,平 なかった。さらに,デスクトップ製品サポート業務においても,初歩的な知識を欠いていた。 これらは,Z8が送ったメールにおいて,再三,問題点を指摘されていることからも明らかである。 原告は,平成22年及び平成23年のPBC評価がいずれも2であったことを業績改善の根拠として主張するが,これは本部門の中に原告より業績が不良な社員がいたためそうした評価となったにすぎず,原告の業績が改善したことを意味するもの ではない。 エ平成24年の原告の業務状況(ア) 平成24年1月末をもって契約センター業務がなくなったことにより,原告の担当する契約確認業務は,平成23年7月から担当していたException ハンドリングのみとなった。さらに,同年9月以降は,原告が担当するException ハンドリングは深圳で対応できなかった案件に限られるようになったが,深圳の担当者が慣れてくるにつれ,原告が担当する案件数は更に減少していくことが見込まれた。 また,原告が平成23年6月以降担当するようになっていた日本語レビュー業務についても,深圳の担当者が慣れてくるにつれ,案件数の減少が見込まれていた。 デスクトップ製品サポート業務は,問合せ件数が減少していた上,顧客から問合せがあった場合のみ対応すれば足り,対応時間も通常は1件当たり10分から15分程度であった。 キュー監視業務も,キューにPMRが入ってきた場合にはパソコンの画面上に表示されるし,また,被告は,10分以内の対応を指示しているわけでもないので,キューを常時監視する必要はない。PMRが引き取られず残っていた場合の担当者への連絡に要する時間も3分程度にすぎない。中国の受付担当者が起票したPMRについては原告が当該担当者に内容を確認することはあったが,そのような作業は1日に1 Rが引き取られず残っていた場合の担当者への連絡に要する時間も3分程度にすぎない。中国の受付担当者が起票したPMRについては原告が当該担当者に内容を確認することはあったが,そのような作業は1日に1回程度であり,時間も3分程度で終了していたはずである。 Technote のエディター業務も1件処理するのに多くの時間を要するものではなく,原告が1か月にチェックしていた件数も70件から80件程度にすぎなかった。 CAPS監視業務及びESR監視業務でJOKERへ入力する作業が必要になるのはまれであったし,メールボックスの監視業務も,約1時間に1回程度メールボックスを確認すれば足り,着手されていない案件があった場合の連絡に要する時間も5分程度にすぎなかった。 このように原告が平成24年当時に担当していた業務量は減少しており,原告に時間的余裕が生まれることが見込まれたことから,原告の所属長であったZ9は,同年のうちから,本部門の本来の業務であるPMRハンドリングを行えるようになるために製品知識やITスキルを向上させる必要があることを原告に伝えていた。しかし,原告は,そのための研修に積極的に参加することもなく,また,自主的に学習している様子もないなどPMRハンドリングを行うための準備を始めようとしなかったのであり,原告には自らの業績を向上させようとする意欲や本部門の本来の業務であるPMRハンドリングを行おうという姿勢が欠如していた。 (イ) また,原告は,平成24年当時,契約確認業務を担当するようになって既に2年以上を経過しており,その間,Z8から繰り返し指導,注意を受けてきたにもかかわらず,前記ウ(イ)で指摘した問題点は依然として改善されていなかった。このことは,Z8が平成24年に送ったメールから明らかである。 (ウ) 平 間,Z8から繰り返し指導,注意を受けてきたにもかかわらず,前記ウ(イ)で指摘した問題点は依然として改善されていなかった。このことは,Z8が平成24年に送ったメールから明らかである。 (ウ) 平成24年の原告のPBC評価は3であった。 原告は,同年のPBC評価において,改善点についての否定的評価が記載されておらず,仕事ぶりが肯定的に評価されていることを主張するが,それは,原告のモチベーションを維持し前向きに業務に取り組んでもらうために,そうした記載がされたにすぎない。 オ平成25年の原告の業務状況(ア) 平成25年に入ると原告が担当していたException ハンドリングの案件数は前年よりも更に減少し,その後も更に減少していくことが見込まれた。 同年10月末には,深圳のDCCチームが解体したことに伴って,日本語レビュー業務もなくなった。 原告が担当していた業務は,Technote の執筆を含めても,所定労働時間の範囲内で十分に処理ができるものであり,原告の業務量には余裕があったはずである。原告は,平成25年当時の毎月の時間外労働時間が30時間前後になっていたと主張するが,それは,原告が業務上の必要性の有無にかかわらず職場にいた時間を時間外労働として申請し(現に,原告は,自ら5時間の業務しか行っていないと報告している日にも,時間外労働の申請をしていたため,上司から注意を受けている。),被告としてもこれを特段否定しなかったからにすぎない。 以上のような状況において,Z9は,引き続き,原告に対し,PMRハンドリングを行えるようになるために製品知識・ITスキルを向上させる必要があることを伝え,指導してきた。 そして,同年9月からは,原告の製品知識,ITスキルを向上させるべく,原告に対し,他の従業員が処理したP 行えるようになるために製品知識・ITスキルを向上させる必要があることを伝え,指導してきた。 そして,同年9月からは,原告の製品知識,ITスキルを向上させるべく,原告に対し,他の従業員が処理したPMRに関しTechnote を執筆,公開する作業を行うよう指示し,同月10日から同年11月12日にかけては,原告と毎週ミーティングを行い,原告がTechnote を執筆することができるよう丹念に助言,指導を行った。しかしながら,同年にレビュワーによるチェックを受けた原告のTechnote は1件もなかった。 また,原告は,時間的余裕があるにもかかわらず,製品知識, ITスキルを向上させるための研修に積極的に参加することもなく,また,自主的に学習している様子もないなどPMRハンドリングを行うための準備に着手しないままであった。 (イ) 原告の契約確認業務に関する問題点は改善されないままであり,同年4月2日から同年5月30日までのPIPに関する業務改善進捗管理フォームにおいても,Exception ハンドリングについて対応記録(ログ)が分かりにくいことが指摘されている。 (ウ) 平成25年の原告のPBC評価は3であった。 原告は,Z9が面談において,原告について絶対評価であれば2であると説明したと主張するが,Z9は,原告のモチベーションが下がることを危惧して,できることなら2の評価を付けてあげたいという心情を述べたものにすぎず,Z9の発言は,原告の業績の客観的な水準を何ら裏付けるものではない。 カ平成26年の原告の業務状況(ア) 平成26年に入ると,平成25年に比べて,Exception ハンドリングの件数は更に減少し,また,原告が担当する他の業務の業務量も依然として少なかったので,原告に時間的余裕があるという (ア) 平成26年に入ると,平成25年に比べて,Exception ハンドリングの件数は更に減少し,また,原告が担当する他の業務の業務量も依然として少なかったので,原告に時間的余裕があるという状況に変わりはなかった。原告は,平成26年に入ってからも,毎月30時間前後の時間外労働を行っていたと主張するが,業務上の必要性がなかったことは平成25年と同様である。こうした状況から,原告が本部門の本来の業務であるPMRハンドリングを行う必要性はより一層増していた。 しかしながら,原告は,平成24年以来,Z9から指示を受けていたにもかかわらず,一向にPMRハンドリングを行うための準備をしていなかった。そこで,原告がPMRハンドリングを行う必要があることをより一層明確にするために,平成26年の原 告のPBC目標として,同年下半期からPMRハンドリングを開始し,同年12月には月10件のPMRハンドリングを行えるようになること及び同年5月以降にTechnote を1か月当たり16件執筆,公開することを定めた。また,平成26年5月20日以降に行ったPIPでも同様の目標を掲げ,そのときの面談でも,Z9からPMRハンドリングを行うべきことを明確に伝えていた。 それにもかかわらず,同年6月の時点で公開された原告のTechnote は1件もなかった。原告は,同年を通じて合計15件のTechnote を執筆したが,同年のPBC評価でも指摘されているとおりそれらの質も低いものであったため,レビューを経て公開されたのは僅か6件にすぎなかった。 PMRハンドリングについても,原告は,それまでと同様に,これを行えるようになるための準備を一向に行わず,PBC目標を達成しようとする姿勢は全く見られなかった。被告は,このような原告の態度から,もはや原告が ドリングについても,原告は,それまでと同様に,これを行えるようになるための準備を一向に行わず,PBC目標を達成しようとする姿勢は全く見られなかった。被告は,このような原告の態度から,もはや原告が自発的にPMRハンドリングに取り組むようになることを期待することはできないと判断し,同年9月,原告に対し,レベル1のPMRハンドリングを行うよう指示したところ,原告は,中央執行委員である原告の業務をPMRハンドリングに変更するに当たっては,本件組合を通じた団体交渉が必要である旨回答し,PMRハンドリングを行わなかった。しかしながら,PMRハンドリングは,本部門のメンバーが本来行うべき業務であり,原告も過去に行っていた業務であって,上記指示は,原告の業務を従前の業務に戻すという内容の業務変更にすぎないから,本件組合との労使協定に基づき事前協議が必要とされる事項ではない。さらに,この点を措くとしても,団体 交渉において,原告及び本件組合側からはPMRハンドリングを行うようになった場合の原告の組合活動への具体的な支障は明らかにされず,その代わりに,原告が担当することが想定されていたPMRハンドリングがレベル1であることについて難色が示されていたことを踏まえれば,原告は合理的な理由なくPMRハンドリングを担当することを拒んでいたと評価されてもやむを得ない。 (イ) 平成26年の原告のPBC評価は3であった。原告は,同年においても業務量が減少し,時間に余裕ができていたにもかかわらず,PMRハンドリングを行うための準備もせず,実際にこれを行うよう指示されても行わなかった結果,全くPBC目標を達成できなかったため,このような評価を受けたのである。 キ小括原告は,被告による原告の業績改善へ向けた長年にわたる継続的な働きかけ(PIPを う指示されても行わなかった結果,全くPBC目標を達成できなかったため,このような評価を受けたのである。 キ小括原告は,被告による原告の業績改善へ向けた長年にわたる継続的な働きかけ(PIPを含む)にもかかわらず,低い業績が継続しており,平成22年及び平成23年を除いていずれの年もPBC評価で3の評価を受けている。 また,契約確認業務の減少に伴い,平成24年から平成26年にかけて,原告は,毎年所属長のZ9から,本部門の本来の業務であるPMRハンドリングを行えるようになるために製品知識・ITスキルの向上が必要であることを伝えられ,そのための十分な時間と機会が与えられたにもかかわらず,一向にその準備をしようとしなかった。そして,平成26年にはPBC目標としてPMRハンドリングを実施することが明示的に掲げられ,同年9月には,実際にPMRハンドリングを指示されたのに,原告は,これを不合理に拒み続けた。このような原告の態度からすれば,原 告にはもはや業績を改善しようとする意欲がないとしか考えられなかった。 したがって,原告が就業規則45条2号の解雇事由に該当することは明らかである。 そして,平成22年頃から,Z9が,原告にも遂行可能な業務を行っている部門を探し,本件解雇前に行っていた団体交渉でも本件組合からの申入れを受けて,原告のオペレーションズ(原告が担当していた契約センター業務を所管する部門)への異動を検討したこともあったが,原告の過去の仕事ぶりからオペレーションズでは原告を受け入れることはできないと判断された。また,被告は,本件解雇に先立って,原告にRAプログラム(自主退職プログラム)を提示しているが,原告はこれを拒んでいる。そうであるとすれば,原告の解雇はやむを得ないものというべきである。 以上によれば,本件 ,本件解雇に先立って,原告にRAプログラム(自主退職プログラム)を提示しているが,原告はこれを拒んでいる。そうであるとすれば,原告の解雇はやむを得ないものというべきである。 以上によれば,本件解雇は,客観的に合理的な理由に基づくもので,社会通念上相当であるから,解雇権の濫用には当たらない。 (原告の主張)ア被告が解雇事由として主張する事情は,いずれも事実の基礎を欠くものであって,本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当とはいえないことは明らかである。 イ被告入社後から平成21年12月までの原告の業務状況(ア) 被告は,原告には製品知識,ITスキルの不足やケアレスミス等も多く,上記期間中に業績は改善しなかったと主張する。 しかし,被告が実施していたPIPは恣意的に運用されていたものの,原告は,そうしたPIPにおいても,改善目標の一部又は全部を達成したと評価されており,原告の業績は改善していた。 (イ) 原告が平成18年7月頃に顧客からの電話による問合せに対応するシフトの一部に入らなかったことはあるが,それは,当時受けていたPIPで設定された過大な目標を達成するために他の仕事に時間を割かなければならなかったことによるものである。これにより他のメンバーに負担をかけてしまったことについては,その当時に謝罪しており,同様のことがないよう改善している。 (ウ) 被告は,PMRハンドリングについて,レベル1の方がレベル2に比べ簡単な業務であることを前提に,原告の業績が低迷していたと主張するが,レベル1とレベル2では役割が異なり,単純に前者が簡単であると評価できるものではないから前提を誤っている。 (エ) 原告がPIPにおいて改善目標の一部又は全部を達成したと評価されていたことは上記(ア)のとおりである は役割が異なり,単純に前者が簡単であると評価できるものではないから前提を誤っている。 (エ) 原告がPIPにおいて改善目標の一部又は全部を達成したと評価されていたことは上記(ア)のとおりである。 また,被告が指摘するZ6らによるレビュー結果については,レビューの対象期間(平成19年3月5日から同年4月6日まで)経過後に一方的に通告されたものであるが,上記期間内に,改善点の指摘を受ければ改善が可能であり,レビュー結果は,原告の業績が改善しなかったことの根拠にはならない。むしろ,上記レビュー結果では,上記期間内の原告の処理件数は目標とされた53件を上回る56件であった。 このように原告の業績は改善していたにもかかわらず,平成19年8月にはバンドが6から4に降格したが,それまでに原告に実施されたPIPは,目標設定や評価の在り方,経緯等が極めて不当であって,最初から降格ありきの不当な目的に基づくものと推認され,これを根拠とする原告の降格は,合理的な理由を欠く ものである。 (オ) 原告が平成20年5月頃からCAPS及びESRの監視業務を担当するようになったのは,原告の製品知識,ITスキルが欠けていたからではなく,本部門の各メンバーがそれぞれ作業の合間に行うより,特定のメンバーが集中して取り組んだ方が効率的であったからである。そして,平成24年頃に原告の同僚であったZ10が送ったメールからは,CAPS監視業務についての原告の仕事ぶりが一定の評価を受けていたことが見て取れる。 被告は,これらの業務に関する原告のミスを指摘するが,いずれについてもすぐに謝罪,対応しており,重大なトラブルにつながったことはなかった。 また,Technote のエディター業務は,「てにをは」や誤字脱字のチェックだけでなく,文章が分かりにく ,いずれについてもすぐに謝罪,対応しており,重大なトラブルにつながったことはなかった。 また,Technote のエディター業務は,「てにをは」や誤字脱字のチェックだけでなく,文章が分かりにくくないかどうかも確認しなければならず,一定の技術的知識がなければできないものである。 (カ) PBC評価は,相対評価であることに加え,所属部署の業績に連動するものである。しかも,Z11なる主観的な指標を重視しており,恣意的運用が可能な制度となっており,実際にもそのような運用がされている。このようなPBC評価の性質に照らせば,原告のPBC評価が3であったとしても,被告が主張するような原告の業績不良を裏付けるものではない。 ウ平成21年12月以降平成23年までの原告の業務状況(ア) 被告では多種多様な製品やサービスが取り扱われており,契約センター業務を遂行するためには,多くの製品知識,ITスキル及び経験が必要である。 また,デスクトップ製品サポート業務についても,主として原 告が担当していた。同業務について問合せ件数が減少傾向にあったとしても,調査,回答に長時間を要する案件もあり,件数と業務量が単純に比例するわけではない。 (イ) 被告は,Z8のメールに基づいて上記期間中の原告の業績が改善していなかったと主張しているが,Z8は,原告以外の者にも必要以上に細かい指摘や注意をしたり,業務指導の範囲を超えて相手を非難したりしており,被告が根拠とするメールはそうしたZ8の独特な性格に起因して送信されたものであるから,原告の業績不良を裏付けるものではない。また,上記メールで言及されている問題は,いずれも重大なトラブルに発展したわけではなく,原告に至らない点があったものについては,その後に謝罪して,改善を図るべく努力していた。 被 るものではない。また,上記メールで言及されている問題は,いずれも重大なトラブルに発展したわけではなく,原告に至らない点があったものについては,その後に謝罪して,改善を図るべく努力していた。 被告が平成23年7月から原告に契約センター業務とほぼ同じ業務であるException ハンドリングを担当させたことは,原告の契約センター業務の遂行に問題がなく,被告もそのように認識していたことを裏付けている。 原告は,平成22年及び平成23年のPBC評価において2を獲得しており,被告の主張は,自らの行った評価とも矛盾している。 エ平成24年の原告の業務状況(ア) Exception ハンドリングについては,深圳の担当者が中国人であり,日本語を用いて日本の顧客に対応していたが,意思疎通がうまくいかない場合やスキルの問題で対応自体が困難な場合には顧客からクレームが来ることもあった。原告は,そうしたクレームにも対応しており,案件数の減少に比例して単純に業務量も減少したわけではなかった。 日本語レビュー業務についても,同様に案件数の減少と業務量は単純比例しなかった。 デスクトップ製品サポート業務については,前記ウ(ア)のとおり,対応に長時間を要する案件もあった。 キューの監視業務については,10分以内の短時間での対応を求められていたため,終日にわたる待機,監視が必要であった。 また,キューには,中国の受付担当者が作成したPMRも入ってくるが,内容が不明瞭なこともあり,その場合には,中国の受付担当者に確認するために相応の時間を要した。 Technote のエディター業務についても,「てにをは」や誤字脱字のチェックだけでなく,文章が分かりにくくないかどうかの最終確認までしなければならず,丁寧な作業を求められていた。 CAPS監視 Technote のエディター業務についても,「てにをは」や誤字脱字のチェックだけでなく,文章が分かりにくくないかどうかの最終確認までしなければならず,丁寧な作業を求められていた。 CAPS監視業務及びESR監視業務では1週間に数回程度はデータを入力する作業が必要になることもあった。 原告はこれらのほかにメールボックス監視業務も行っていた。 契約センター業務がなくなったとはいえ,原告は,このように多くの業務を担当しており,本部門で発生した一時的な業務を担当することもあったから,総体的な業務量が減少していたとはいえない。Z9からは,将来的に原告の業務量の減少が見込まれるので,いずれはPMRハンドリングを担当してもらうことになるかもしれないという趣旨の話を聞いたことはあったが,PMRハンドリングを行う必要があるとか,そのために製品知識やITスキルを向上させるよう具体的に指示されたことはない。 (イ) 契約確認業務について,Z8から注意をされても同様の問題を繰り返していたという事実はない。 (ウ) 平成24年のPBC評価は3であったが,被告が主張するよ うな改善点は指摘されておらず,「あなたのチームへの貢献,特にexception ハンドラーとしてのSWEsに対するサポートに感謝します。」と評価されている。また,Z9は,平成25年1月25日に行われた平成24年のPBC評価についての面談で,原告に対し,「2にできるかなという観点だと,ちょっと惜しいかな」とコメントしている。 オ平成25年の原告の業務状況(ア) Exception ハンドリングや日本語レビュー業務の案件数の減少と業務量が単純に比例するわけではないことは,前記エ(ア)のとおりである。 平成25年当時も,原告の業務量が減少して時間に余裕があるといった状況 n ハンドリングや日本語レビュー業務の案件数の減少と業務量が単純に比例するわけではないことは,前記エ(ア)のとおりである。 平成25年当時も,原告の業務量が減少して時間に余裕があるといった状況ではなく,原告は,毎月30時間前後の時間外労働を行っていた。 同年に入ってからも,原告は,Z9から,将来的に原告の業務量の減少が見込まれるので,いずれはPMRハンドリングを担当してもらうことになるかもしれないという趣旨の話を聞いたことはあったが,PMRハンドリングを行う必要があるとか,そのために製品知識やITスキルを向上させるよう具体的に指示されたことはなかった。 原告がZ9からTechnote の執筆について指導を受けたことや同年に公開された原告のTechnote が1件もなかったことは認めるが,原告は,同年内に,少なくとも19件のTechnote の執筆に着手していた。 (イ) 契約確認業務についても,原告は,業績の更なる向上に努め,仕事の完成度を高めてきたのであり,平成25年のPBC評価でも原告の仕事ぶりは評価されている。 (ウ) 平成25年のPBC評価は3であったが,原告についてPBC評価を行ったZ9は,面談において,絶対評価であれば2である旨説明していた。 カ平成26年の原告の業務状況(ア) 平成26年に入ってから,Exception ハンドリングの件数は減少していたが,原告の業務量が単純に減少したわけではなかった。原告が担当していた他の業務についても少なかったとはいえず,原告は,平成26年も平成25年と同様に,毎月30時間前後の時間外労働を行っていた。 原告がPMRハンドリングを行うための準備を行っていなかったということはなく,被告に指示されたTechnote の執筆を誠実に遂行していた。同年に公開さ 月30時間前後の時間外労働を行っていた。 原告がPMRハンドリングを行うための準備を行っていなかったということはなく,被告に指示されたTechnote の執筆を誠実に遂行していた。同年に公開された原告のTechnote が6件であったことは認めるが,原告は,平成25年9月頃からTechnote の執筆を開始し,同年中に少なくとも19件の執筆に着手し,平成26年9月19日までの間に43件を手掛けた。 このうち執筆を終えたものが15件あり,6件が公開に至った。 公開に至らなかった場合であっても,原告は,一連の作業を通じて製品知識やITスキルを習得していた。他のメンバーが担当したPMRについてTechnote を執筆することは,自分で担当したPMRについて執筆する場合に比べて時間がかかるのは当然である。さらに,原告は,それ以外にも複数の業務を抱えていたのであるから,月16件という目標設定自体が過大であった。 同年9月に被告から指示されたPMRハンドリングについては,これを原告が担当することになれば,本件組合の中央執行委員としての活動に影響が生じることが予想された。そこで, 原告は,中央執行委員の異動等に関する労使協定に基づき,本件組合を通じて,この業務変更に関する事前協議を行うための団体交渉を被告に申し入れた。被告もこれに応じ,その後は平成27年3月16日まで継続的に団体交渉が行われており,同日には上記の業務変更を受け入れる旨回答していたのであるから原告が被告の上記指示を拒んだ事実はない。 (イ) 平成26年の原告のPBC評価は3であったが,Technoteの執筆については,もともとの目標設定が過大であったことは上記(ア)のとおりであるし,PMRハンドリングについても,団体交渉を継続しており,原告にPMRハンドリングに取 であったが,Technoteの執筆については,もともとの目標設定が過大であったことは上記(ア)のとおりであるし,PMRハンドリングについても,団体交渉を継続しており,原告にPMRハンドリングに取り組もうとする姿勢が欠けていたわけではない。したがって,上記PBC評価は,原告の業績を客観的に踏まえてされたものとは到底いえず,本件解雇に向けてされた評価というほかない。 キ小括被告は,原告の業績が低いままであったと主張するが,そもそも被告が行ってきたPIPやPBC評価は,既に述べとおり,不当であって,これに基づいて原告の業績が低迷していたと評価することはできない。その点を措いても,原告は,PIPにおいて業績の改善が評価されているし,平成22年及び平成23年のPBC評価はいずれも2であり,平成25年も絶対評価であれば2に相当していたのであるから,これら以前の低業績を解雇の理由とすることは合理性を欠いている。また,平成26年9月に被告が原告にPMRハンドリングへの業務変更を指示した当時,原告にこれを担当できるだけの能力があったことはZ9も認めている。 また,平成24年以降,毎年のように,原告がZ9からPMR ハンドリングを行う必要があることやそのために製品知識,ITスキルを向上させる必要があることを伝えられていたという事実はなく,被告から原告に対しPMRハンドリングを行うようにという明確な業務上の指示があったのは,平成26年9月が初めてであるから,原告が被告の指示にもかかわらずPMRハンドリングを行えるようになるための準備をしようとしなかったとの被告の主張はその前提を欠いている。解雇予告の前日である平成27年3月16日の団体交渉において,原告は,被告に条件付きでPMRハンドリングを担当する意向を伝えており,被告の指示 うとしなかったとの被告の主張はその前提を欠いている。解雇予告の前日である平成27年3月16日の団体交渉において,原告は,被告に条件付きでPMRハンドリングを担当する意向を伝えており,被告の指示したPMRハンドリング業務への変更についてほぼ合意に達していたのであるから,原告に業績を改善しようとする意欲がなかったとはいえない。 したがって,原告には被告が主張する就業規則45条2号に該当する解雇事由はなく,本件解雇は客観的に合理的な理由を欠いている。 そして,被告が,業務変更に関する団体交渉において原告がPMRハンドリングを行うことを受け入れた翌日に解雇予告を行い,東京都労働委員会の平成27年3月18日付けの勧告を受けて原告から本件解雇の効力発生日を延期するよう求められたにもかかわらず,これを無視して解雇を強行したことに照らせば,本件解雇が社会通念上相当とはいえないことは明らかである。 以上によれば,本件解雇は,解雇権の濫用に当たり,無効である。 (2) 争点(2)(本件解雇が不当労働行為に当たるか)について(原告の主張)ア次の各事情によれば,本件解雇は,労働組合法7条1号の不利 益取扱い及び同条3号の支配介入に当たるから無効である。 イ本件組合が昭和34年に結成されて以来現在に至るまで,被告と本件組合との間には,ストライキなどの裁判外の紛争にとどまらず,裁判所又は労働委員会での紛争案件が途切れることなく係属してきた。このような歴史の中で,被告は,平成19年10月にZ12の直轄管理になったことに伴い,本件組合を排除するための抜本的な対応を本格化させた。こうした長年の労使対立を背景に,被告は,平成24年7月20日以降,原告を含む本件組合員を次々と解雇した。 ウ 2年連続でPBC評価が3以下の従業 排除するための抜本的な対応を本格化させた。こうした長年の労使対立を背景に,被告は,平成24年7月20日以降,原告を含む本件組合員を次々と解雇した。 ウ 2年連続でPBC評価が3以下の従業員を母集団とし,その中の組合員集団と非組合員集団とで,RAプログラムにおいて自主退職しなかった者に占める解雇予告対象者の比率を比較した場合,組合員集団の方が平成24年から平成27年まで一貫してその比率が圧倒的に高く,解雇予告の対象者を選定するに当たって組合員であることが考慮されたことを裏付けている。 被告の人事担当執行役員であるZ13は,RAプログラムの対象者と解雇予告の対象者は,別の母集団から選定したと明言しており,RAプログラムによる自主退職者と解雇予告の対象者を合算した上で比較すべきとの被告の主張は失当である。 仮に,被告が主張するようにRAプログラムによる自主退職者の数を考慮に入れたとしても,全員が潜在的な解雇予告対象者であったわけではないから,その数を全て考慮することは妥当ではなく,RAプログラムによる自主退職者の一定数を考慮に入れたとしても,非組合員集団では解雇予告の対象となった者の割合はゼロから数パーセント程度にとどまると推認できるから,格差の存在は歴然としている。 エ被告は,RAプログラムにおいて退職勧奨を行う立場の管理職向けのマニュアルを内部資料として作成しているが,その中で本件組合員を「センシティブな社員」と記載している。 また,「Z14」と題する資料では,RAプログラム実施後に本件組合員が急増したことについて分析,報告がされている。 こうした内部資料の存在は,被告の反組合意思を強く推認させる。 オ本件組合員に対して行われた一連の解雇の対象となった者の上司らは,本件組合員 増したことについて分析,報告がされている。 こうした内部資料の存在は,被告の反組合意思を強く推認させる。 オ本件組合員に対して行われた一連の解雇の対象となった者の上司らは,本件組合員が本件組合に加入していることについて,否定的な発言をしたり,そのことを揶揄するような言動に及んだりしており,被告の社内で反組合意識や本件組合員に対する否定的意識が蔓延していることを裏付けている。 カ本件組合員を対象とする一連の解雇は,業務上の面談を装って労働者を呼び出した上で解雇予告を行い,その後直ちに荷物をまとめさせて職場から退去させ,それ以後の職場への立入りを禁じるという対応で行われた。このような手口は,本件組合に抵抗の余地を与えないためのものである。 キ従業員の業績不良を理由とする解雇であれば,被解雇者の選定は現場レベルで行われるのが自然であるが,本件組合員を対象とする一連の解雇は,現場レベルの意向を離れて人事部門主導で被解雇者が選定されており,業績不良以外の理由,すなわち本件組合の弱体化を目的としてされたことが強く疑われる。 ク本件組合員を対象とする一連の解雇により本件組合員の数は激減し,本件組合は弱体化させられた。 ケ以上に加え,原告については次のような事情があることから,本件解雇の不当労働行為性は一層明らかである。 (ア) 原告は,平成17年7月以降,分会役員であった一時期を除き,現在に至るまで,本件組合の中央執行委員を務めており,名実ともに本件組合の中心メンバーとして活動してきた。 (イ) 解雇予告は,直前まで原告の業務変更をめぐる労使交渉が行われていた中で突如行われたものである。 すなわち,平成26年9月,被告は,原告に対し,それまで行っていなかったPMRハンドリングへの業務変更を 雇予告は,直前まで原告の業務変更をめぐる労使交渉が行われていた中で突如行われたものである。 すなわち,平成26年9月,被告は,原告に対し,それまで行っていなかったPMRハンドリングへの業務変更を打診した。原告は,当時,本件組合の中央執行委員であったところ,本件組合と被告との間では,中央執行委員の配置転換等に関しては,これによる組合活動への影響をできる限り抑えるために事前協議を行う旨の労使協定が締結されていた。同協定に基づき,本件組合と被告は労使協議を開始した。本件組合は,平成27年3月16日の団体交渉で一定の条件を付した上で,被告から打診された業務変更に同意する旨提案し,次回交渉時までに被告が付された条件について検討することになり,これによって,原告の業務変更について大筋の合意が成立した。ところが,被告は,その翌日である同月17日に解雇予告を行った。 解雇予告は,原告の業務変更をめぐって約5か月にわたり団体交渉を重ね,妥結への道筋が立った途端に行われたものであって,このような経緯からしても原告に解雇しなければならないほどの業績不良など存在しなかったことは明らかであり,不当労働行為意思がうかがえる。 (ウ) さらに,本件組合員に対する一連の解雇が不当労働行為であるとして本件組合が救済を申し立てた東京都労働委員会平成25年(不)第●号事件において,同月18日付けで,東京都労働委員会から被告に対し,円満な労使関係の構築,維持に 向け,本件組合員の解雇に当たっては本件組合との協議を行うなど格段の配慮をするよう勧告がされた。これを受けて本件組合は,被告に対し,本件解雇を撤回することや本件解雇の具体的な理由を明らかにすることを要求したが,被告は,解雇の撤回を拒否し,解雇の理由についても具体性を欠く不誠実な回答しか行わな を受けて本件組合は,被告に対し,本件解雇を撤回することや本件解雇の具体的な理由を明らかにすることを要求したが,被告は,解雇の撤回を拒否し,解雇の理由についても具体性を欠く不誠実な回答しか行わなかった。本件組合は,同年4月1日付け要求書において,これらについて協議が尽くされるまで原告の解雇を延期するよう求めたが,被告は,これも拒否して同月3日付けの解雇を強行した。このように東京都労働委員会の勧告を無視して行われた本件解雇には,被告の強固な不当労働行為意思が現われている。 コ小括以上より,本件解雇は,原告が本件組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たり(労働組合法7条1号),また,本件組合の活動への支配介入(同条3号)に当たるから,本件解雇は,無効である。 (被告の主張)ア次のとおり,本件解雇は不当労働行為には該当しない。 イ本件組合と被告との間の過去の係争と本件解雇が不当労働行為に当たるか否かは全く関連性がない。 ウ原告が問題とする被告が平成24年7月以降に行った解雇は,対象者の業績不良を理由とするものであり,被告は,従業員が本件組合員であるか否かは考慮していない。 原告は,一定の母集団の中で解雇予告を受けた者の比率を,組合員集団と非組合員集団とで比較して,両者の間に格差が存在すると主張している。しかし,被告は,業績不良の従業員に対して 解雇予告を行う前に,原則として,RAプログラムによる自主的な退職を勧めており,解雇予告を受けて地位確認訴訟を提起した12名の組合員(原告を含む。)は,いずれも解雇予告に先立ってRAプログラムによる退職勧奨を受けている。また,非組合員で平成24年から平成26年までの間に業績不良による解雇予告の対象となった者は,全員その年のRAプログラム 。)は,いずれも解雇予告に先立ってRAプログラムによる退職勧奨を受けている。また,非組合員で平成24年から平成26年までの間に業績不良による解雇予告の対象となった者は,全員その年のRAプログラムの対象になっている。このようにRAプログラムによる自主退職者の中にはそれに応じなければ解雇予告の対象となり得た者(潜在的な解雇予告の対象者)が含まれているから,RAプログラムによる自主退職者を全て除いて,解雇予告を受けた者だけを比較の対象とすることは意味がない。むしろ,非組合員の方が組合員よりもRAプログラムに応じて自主退職する者が多く,また,非組合員の中には,RAプログラムの対象になったことを契機に本件組合に加入したものが少なからず存在することに鑑みれば,RAプログラムによる自主退職者を除いた後の解雇予告の対象者だけを比較の対象とすることは,本件組合員が差別されているかのような誤った結論を導くものであり,著しく妥当性を欠く。そして,RAプログラムによる自主退職者と解雇予告の対象者の数を合わせて比較した場合,組合員集団と非組合員集団との間に格差など存在しない。 確かに,RAプログラムによる自主退職者の全てが潜在的な解雇予告の対象者であったわけではないが,RAプログラムによる自主退職者の数を考慮にいれない原告の主張は明らかに誤りである。 エ被告がRAプログラムを行う管理職宛ての説明資料において,本件組合員を「センシティブな社員」と位置付けていたのは,本 件組合員に対しRAプログラムのコミュニケーションを行う場合,本件組合又は他の本件組合員が関与してくる可能性があるので,その際に慎重な対応が必要である旨の注意喚起を行ったにすぎない。 また,「Z14」についても,本件組合員数についての記載は1頁 本件組合又は他の本件組合員が関与してくる可能性があるので,その際に慎重な対応が必要である旨の注意喚起を行ったにすぎない。 また,「Z14」についても,本件組合員数についての記載は1頁にすぎず,内容も,単に本件組合員数の変動がまとめられているだけで,本件組合員数の増加に対する否定的な意識や何らかの対策の必要性を示す記載は存在しない。 これらの資料から被告の反組合意思を推認することはできない。 オ被告の社内で反組合意識や本件組合員に対する否定的意識が存在しているということはない。被告の社内でそのような意識が蔓延しているとして原告が引用する上司らの発言については,そもそも存在しないものも含まれている。また,存在するとしても趣旨を曲解しているか,その上司の個人的な考えを述べたものにすぎない。 カ被告が解雇予告を行った従業員に対して,就労義務を免除した上で,速やかに職場を離れるように指示しているのは事実である。 これは,被告が情報システムに関わる業務を行い,顧客の高度の機密情報を取り扱っていることから,機密情報の漏えいが生じる可能性を排除するための予防策として,厳格かつ保守的なセキュリティ管理措置をとらざるを得ない必要性に基づき,解雇予告を受けた者一般に対して行っている対応である。このような対応は,施設管理権を有する使用者として当然許容されるものであり,被告は,解雇予告を行った従業員が本件組合員であるか否かにかかわらず,このような対応をとっている。 キ原告は,直属の上司ではなく人事部が主導して被解雇者を選定していることを捉えて,本件組合の弱体化目的が強く疑われると主張するが,多数の者が参加して判断を行うという企業における意思決定のプロセスを全く無視している。企業が従業員の解雇を 導して被解雇者を選定していることを捉えて,本件組合の弱体化目的が強く疑われると主張するが,多数の者が参加して判断を行うという企業における意思決定のプロセスを全く無視している。企業が従業員の解雇を決める際人事部が関与しないことなどあり得ず,被告は,人事評価の結果や直属の上司を含む関係者からの直接・間接に得た業績情報を踏まえて会社として解雇の判断を行っており,従業員の業績不良を理由とする解雇として何ら不自然な点はない。 ク原告が問題としている本件組合員らの解雇が始まった後である平成25年度(ここでいう年度は組合年度であり,前年7月1日から当年6月30日までを指す。以下,元号表記の年度はいずれも組合年度である。)以降の本件組合の新規加入者数は,平成20年度以前と比較して一般的に減少しているわけではなく,本件組合が弱体化したとの主張は当たらない。 ケ原告の個別の事情について(ア) 被告は,本件解雇に当たって,原告が本件組合の中央執行委員であったことは一切考慮していない。 (イ) そもそも被告が平成26年9月に原告に指示したPMRハンドリングは,原告が所属する本部門において,原告が過去に行っていた業務であるから,上記指示の内容は,担当業務の変更であって配置転換ではない。したがって,労使協定上,被告が本件組合との団体交渉を義務付けられる事項ではない。実際,平成21年9月に原告の業務をPMRハンドリングから契約センター業務に変更したときや,平成24年にZ9が原告に対してPMRハンドリングを行う必要がある旨を伝えたとき,平成26年のPBC目標として同年下半期からPMRハンド リングを行うことが設定されたときなど,いずれにおいても担当業務の変更について,原告又は本件組合から,団体交渉が必要である たとき,平成26年のPBC目標として同年下半期からPMRハンド リングを行うことが設定されたときなど,いずれにおいても担当業務の変更について,原告又は本件組合から,団体交渉が必要であるなどの指摘を受けたことはなかった。被告は,本件組合から団体交渉の要請があったため,これに応じたにすぎない。 本件解雇は,労使協定に基づく団体交渉の最中に行われたものではない。原告がPMRハンドリングを行う条件として提示した内容は,被告が到底承服できるようなものではなく,本件解雇直前に,原告の業務変更について大筋で合意が成立していたなどということはない。 (ウ) 被告は,企業として,法令及び就業規則に基づき,適切に人事管理を行っていく必要があり,原告がそうであるように業績不良が継続している従業員に対しては,時として解雇も検討せざるを得ない場合もある。そのような場合に組合員についてのみ解雇等の人事上の措置を差し控えるという特別な対応をとることは適切ではない。人事上の措置をとるに当たって組合員と非組合員を分け隔てなく取り扱うことは,決して労使関係の安定を不当に損ねるものではなく,被告は東京都労働委員会からの勧告を何ら無視していない。 コ小括以上より,本件解雇は,労働組合法7条1号及び同条3号には該当しない。 (3) 争点(3)(本件解雇の態様が不法行為に当たるか)について(原告の主張)ア本件解雇に先立って,被告が原告に従前の職務より難易度の高いPMRハンドリングへの業務変更を指示していたことに照らせば,被告は,原告を解雇する客観的合理的理由がないことを十 分認識していたはずである。 イまた,本件解雇は,前日まで行われていた団体交渉で原告の雇用継続を前提とした協議が続けられていたにもかかわらず,原告を する客観的合理的理由がないことを十 分認識していたはずである。 イまた,本件解雇は,前日まで行われていた団体交渉で原告の雇用継続を前提とした協議が続けられていたにもかかわらず,原告をいきなり呼びつけ,突然解雇予告通知書を読み上げ,原告の弁明も聞かず,同僚への退職の挨拶も許さず,管理職と人事担当者の監視の下で私物をまとめさせて社外に放逐し,その後の社内への立入りも一切許さないといった極めて悪質かつ杜撰な態様で行われた。 加えて,本件解雇では突然の解雇予告によって精神的なショックを与えて判断能力を奪った上で,退職金が割増される自主退職オプションを示して,そちらを選択させようとしている点でも悪質である。 ウさらに,前記(2)(原告の主張)ケで主張したところによれば,本件解雇は,様々な組合活動に中央執行委員として従事してきた原告に対し,本件組合に対する嫌悪という不当な動機に基づいて行われたものである。 エしたがって,被告は,解雇の客観的に合理的な理由が欠けていることを認識しながら,本件組合に対する嫌悪という不当な動機に基づいて,極めて悪質かつ杜撰な手続で本件解雇を強行したものであるから,不法行為に当たる。 (被告の主張)ア本件解雇に客観的に合理的な理由が存在することは,前記(1)(被告の主張)のとおりである。 イ被告が原告に対し,解雇予告後,私物を整理し速やかに退社するよう指示したことは事実であるが,施設管理権を有する使用者として当然許容される措置である。特に被告は情報システムに関 わる業務を行っており,その業務においては高度の機密を扱っている。解雇予告により就労義務を免除しているので被告施設内にとどまる業務上の理由はないし,原告と被告が対立関係となり得ることは否定し難く,セキュリティ管理上保守 その業務においては高度の機密を扱っている。解雇予告により就労義務を免除しているので被告施設内にとどまる業務上の理由はないし,原告と被告が対立関係となり得ることは否定し難く,セキュリティ管理上保守的な対応を取らざるを得ない。これは原告に限らず他の被解雇者についても同様である。 被告は,解雇予告と同時に,一定の期間までに自ら退職する意思表示を示した場合は自己退職と認め解雇を撤回し,退職加算金を支払い再就職支援のサポートを行う旨を通知しているが,これは解雇予告のみをする場合に比べ原告に有利な措置であり,何ら悪質ではない。 ウ前記(2)(被告の主張)で主張したところによれば,本件解雇が本件組合に対する嫌悪という不当な動機に基づいて行われたものでないことは明らかである。 エしたがって,被告が不法行為責任を負うべき理由はない。 (4) 争点(4)(上記(1)から(3)までの請求が認められた場合に原告に支払われるべき賃金等の額,賠償されるべき損害の額)について(原告の主張)ア原告の本件解雇時の賃金は,当月分本給が30万4600円であった。なお,上記賃金額は,平成25年7月及び平成26年7月の二度にわたって減額された後の金額であるが,減額については別訴で無効を主張して争っており,原告は,減額を容認するものではない。 イ原告の平成26年6月の賞与の実支給額は47万8503円,同年12月の賞与の実支給額は34万0040円であった。本件解雇がされなければ,平成27年6月以降,毎年少なくとも6月 10日限り47万8503円,12月10日限り34万0040円が支払われたはずである。なお,上記賞与額についても,賃金と同様に,その減額無効を主張して争っており,原告は,減額を容認するものではない。 ウ前記(3)(原告の主張) 10日限り34万0040円が支払われたはずである。なお,上記賞与額についても,賃金と同様に,その減額無効を主張して争っており,原告は,減額を容認するものではない。 ウ前記(3)(原告の主張)の不法行為によって,被った原告の著しい精神的苦痛を金銭的に評価すると300万円は下らない。また,この請求に要する弁護士費用として30万円は被告の行為と相当因果関係にある損害というべきである。 (被告の主張)ア被告に原告主張の金額の支払義務があることは争う。 イ本件解雇時の原告の賃金額は認める。 ウ平成26年6月及び同年12月の賞与の実支給額は認める。ただし,賞与は支払日ごとに賞与基準額,バンド,在籍状況・出勤率,会社業績及び個人業績を勘案して被告が定めるものであって,各支払日における賞与支給額があらかじめ確定しているものではない。 また,平成26年6月に支払われた原告の賞与額は,47万8503円であったが,これは原告の当時の「賞与・定期俸酬基準額」及び「ReferenceSalary(RS)」に基づいて計算されたものであり,その後,これらの金額が変更された結果,平成26年12月に支払われた原告の賞与額は34万0040円となっており,仮に平成27年6月以降に賞与が支払われるとしても,これと同額となる。 さらに,平成27年6月の賞与について,被告は,支給日である同月10日に元本のうち17万6651円を,同年12月1日に元本のうち4万6698円及び同年6月11日から同年12 月1日までの年6分の割合による遅延損害金1336円を支払っており,これらは認容額から控除されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実(第2の1)に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1 支払っており,これらは認容額から控除されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実(第2の1)に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 平成13年10月の被告入社後から平成21年12月頃までの原告の業務状況ア原告は,平成13年10月に被告に入社した後,バンド6に位置付けられ,本部門のエンジニアとして,「Z4」というソフトウェア製品に関するPMRハンドリングとこれに付随するTechnote の執筆,公開作業を担当していた。 PMRハンドリングで処理される案件は,レベル1とレベル2に分けられる。平成20年3月19日に被告社内で公開された文書では,この区分について,「L1(判決注:PMRハンドリングでレベル1の案件を担当するメンバーを意味している。)は,お客様からよせられる大量のお問い合わせを,量的に解決・処理することを,その任務とし,広く浅くを旨とする。他方,L2(判決注:PMRハンドリングでレベル2の案件を担当するメンバーを意味している。)はより難しい問題を,時間をかけ技術的に深く調査,探求し,解決することをその業務とする。」と記載されている。 (乙30,32,弁論の全趣旨)原告の入社当初,上記ソフトウェア製品のPMRハンドリングについては,原告を含む被告の正社員と協力会社の社員が共同で担当しており,いずれもレベル1を担当していた。しかし,その後,上記ソフトウェア製品に関する問合せ件数が減少し,また,レベル1を担当していた正社員が製品知識,ITスキルを身に付 けていったため,平成20年5月頃からは,レベル1をおおむね協力会社の社員が担当し,被告の正社員はレベル2を担当するという体制になっていったが,原告は,その後もレベル1を担当してい に付 けていったため,平成20年5月頃からは,レベル1をおおむね協力会社の社員が担当し,被告の正社員はレベル2を担当するという体制になっていったが,原告は,その後もレベル1を担当していた。(乙67,証人Z9,原告本人)イ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成17年10月19日から同年12月16日までとして,PIPを実施した(なお,原告は,PIPにおいて作成される改善目標管理フォームへの署名を拒否したものの,PIPで実施することが想定されている業績改善に向けた取組み自体は行われたことから,PIPを実施したものと認定しており,以下でも同様である。)。このとき作成された改善目標管理フォームには,以下の記載がある。(乙18)(ア) 「改善を要する点」欄a 「Band6のソフトウェア製品Level1担当エンジニアとして,要求される件数(最低月45件)のインシデント(判決注:PMRハンドリングで処理する案件を意味している。)を処理できていない。」b 「(業務の優先順位付け)インシデントの放置・未処理や,回答の遅延が多い」c 「(技術的スキル)既存の問題報告履歴に基づいた調査に終始し,それを超えた調査を独力では行うことがまだ十分できていない。また,調査に必要なもの,必要でないものの切り分けが十分でなく,お客様に情報収集をお願いする場合でも,必要以上に時間を要している。」d 「(コミュニケーションスキル)お客様とのコミュニケーションを通して,お客様が要求されていることを正しく理解できていないケースが多々見られる」 (イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は一部達成されたが未達成の部分もある」(ウ) 「所属長のコメント」欄「残念ながら, る」 (イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は一部達成されたが未達成の部分もある」(ウ) 「所属長のコメント」欄「残念ながら,件数については目標にはまだ到達していません。ただし,これはアサイン可能なインシデントの数の減少による外因的な要素が大きく,降格等の処置を判断するには十分な条件がそろっていないと考えます。業務計画・報告書を用いて真摯に業務に取り組み改善しようとしていた点は評価したい。またこの手法についても継続したい。」ウ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成18年7月10日から同年9月30日までとして,PIPを実施した。このとき作成された改善目標管理フォームには,以下の記載があった。 (乙19)(ア) 「改善を要する点」欄a 「Band6のソフトウェア製品Level1担当エンジニアとして,要求されるインシデントの処理件数(最低月45件)に達しておらず,自身が設定した2006年度PBC目標である月40件の達成も困難な状況である。また,インシデント処理を行う上で,2005年4Qに実施した業務改善プログラムで指摘し,指導を行ってきた以下の点についての改善もまだ十分といえるレベルに到達しておらず,改善に向け,更なる努力が必要と考えらえる。」b 「インシデントの放置・未処理が理由で,回答の遅延が発生し,お客様からクレームをいただいたことがあった。」c 「お客様とのコミュニケーションを通して,お客様が要求されていることを正しく理解できておらず,お客様から指摘 をうけるケースがまだ見られた。」d 「技術スキルを向上させるため,自ら研修を受講する等,能動的な行動が見られなかった。」(イ) 「改善計画に対する結果評価」欄 客様から指摘 をうけるケースがまだ見られた。」d 「技術スキルを向上させるため,自ら研修を受講する等,能動的な行動が見られなかった。」(イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は一部達成されたが未達成の部分もある」(ウ) 「所属長のコメント」欄「件数的には目標に近い値(43.7件,20.3日換算,9月度)を達成することが出来たものの,調査における技術的な考え方や回答内容は,まだ一人前のBand6エンジニアとしては満足できるものではなく,さらなる努力が必要であると考える。努力する姿勢については評価できる点もあるが,まだまだ努力が足りないと考える」エ本部門では,メンバーがシフトを組んで顧客からの問合せの電話に対応していたが,原告は,同年7月頃,シフトに入っていたにもかかわらず,意図的に,自分の電話の呼び出し音が鳴らないように設定し,顧客からの問合せの電話の一部について対応しなくても良い状態にしていた(甲110,乙65,証人Z6,原告本人)。 オ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成18年11月1日から同年12月15日として,PIPを実施した。このとき作成された改善目標管理フォームには,以下の記載があった。(乙20)(ア) 「改善を要する点」欄a 「2005年4Q,2006年3Qと業務改善プログラムを行い,Band6のソフトウェア製品Level1担当エンジニアとして,要求されるインシデントの処理件数(最低 月45件)の達成を目標として改善を進めてきた。2006年3Qの業務改善プログラムにおいては,8月,9月において自身が設定した2006年度PBC目標である月40件には到達したものの,目標には今一歩届かなかった。 b 「2006 を進めてきた。2006年3Qの業務改善プログラムにおいては,8月,9月において自身が設定した2006年度PBC目標である月40件には到達したものの,目標には今一歩届かなかった。 b 「2006年3Qの業務改善プログラム中においても,インシデントの放置・未処理が理由で,回答の遅延が発生し,お客様からクレームをいただいたことがあった。」c 「チーム・リーダーが能動的に確認しない限り業務の状況の報告がなされておらず,他のチームメンバーから手を差し延べない限り,自発的に解決に向けたアクションをとろうとせず,問題を長期化させているケースが見られた。」d 「お客様とのコミュニケーションを通して,お客様が要求されていることを正しく理解できておらず,お客様から指摘をうけるケースがまだ見られた。」e 「技術スキルを向上させるため,自ら研修を受講する等,能動的な行動が見られなかった。」(イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は達成された」(ウ) 「所属長のコメント」欄「月45件以上のインシデント処理を行うことについては何とか目標をクリアできた。ただし,回答の内容については,まだ改善の必要があると認識して欲しい。」カ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成19年3月5日から同年4月6日までとして,PIPを実施した。このとき作成された改善目標管理フォームには,以下の記載があった。(乙21) (ア) 「改善を要する点」欄a 「本年は,他のメンバーと同様に,特別な支援体制なく,独力で業務を遂行できるようになることを期待してきたが,依然チームリーダーからの多くの支援を必要としていて,この面での改善が急務である。」b 「2007年に入ってからも,回答の遅延が発生したり,調査をしない 行できるようになることを期待してきたが,依然チームリーダーからの多くの支援を必要としていて,この面での改善が急務である。」b 「2007年に入ってからも,回答の遅延が発生したり,調査をしないまま単に回答を遅延させているケースがあった。」c 「製品のバージョンや構成など,調査を開始するために最低限確認しなくてはいけない情報の確認すら出来ていないケースが多々ある。」d 「お客様とのコミュニケーションを通して,お客様が要求されていることを正しく理解できておらず,お客様から指摘をうけるケースがまだ見られる。」e 「お客様に意味のない回答を行い,無駄に時間を費やしているケースが散見される。」f 「Band6のソフトウェア製品Level1担当のエンジニアとしては,これらをチームリーダー等の支援なしに独力で行い,目標となるインシデント件数を処理できるようになることが求められる。」(イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は未達成であり,再度改善プロセスが必要である」(ウ) 「所属長のコメント」欄「処理件数は56件と目標値を達成したが,仕事の質として求めた要求水準を満足したものは全体の34%(102件中35件)という低いレベルで終った。他の社員の仕事の質と比較 しても,独力で業務を遂行できているとは言い難く,多少の進歩が見られるものの,今回も目立った改善はなかったと考える。 上長等と今後のアクションを決定する。」キ原告の所属長であったZ6は,上記カのPIPが行われた期間にPMRハンドリングで原告が処理した案件について,個別にレビューを行った。このレビューの結果には,以下の記載がある。 (乙31,65)(ア) 「内容以前の問題として,3週間以上と,度を越え 間にPMRハンドリングで原告が処理した案件について,個別にレビューを行った。このレビューの結果には,以下の記載がある。 (乙31,65)(ア) 「内容以前の問題として,3週間以上と,度を越えたSLG(判決注:ServiceLevelGuideline の略であり,顧客への進捗報告等の連絡を行うタイミングの目安として被告が定めているものである。)の不遵守が全体の2割超と,目に余る状況で,これだけでも,いかに『回っていない』かがうかがえる。」(イ) 「電話での対応でも即答するケースがほとんどなく,ほとんどのケースで中途半端に聞き取りを行った上で,コールバックによる対応を行っており,テクニカル・スキル,ソフト・スキルの観点での進歩が未だ見られない。」(ウ) 「Band6のエンジニアとして他のエンジニアと同様に業務をアサインし,他の社員と同様な評価を得ることは,現在の能力を持ってしては難しいと考える。」ク被告は,平成19年8月これらのPIPの結果等を踏まえて,原告のバンドを6から4に降格させた。 ケ(ア) 原告は,バンド4への降格後も引き続きPMRハンドリングを担当していたが,製品知識やITスキルの不足によって,顧客や他のメンバーに迷惑をかけることがあった。そこで,被告は,平成20年5月頃から,原告に担当させるPMRハンドリングの件数を減らし,CAPS監視業務,ESR監視業務及 びTechnote のエディター業務を担当させるようになった。(乙67,証人Z9)(イ) これらのうちCAPS監視業務及びESR監視業務は,JOKERへの入力が必要な案件が置かれている,システム上の特定の場所を30分に1回程度確認して,そうした案件があれば,問合せ内容をコピーし,JOKERの中にある「RequesttoL 務は,JOKERへの入力が必要な案件が置かれている,システム上の特定の場所を30分に1回程度確認して,そうした案件があれば,問合せ内容をコピーし,JOKERの中にある「RequesttoLTSDB」というデータベース上で作成した本部門向けの依頼文書に貼り付けて入力作業を行うというもので,製品知識やITスキルが特段必要ない業務であった(乙67,68,証人Z9)。 JOKERへの入力作業の処理に要する時間は,1件につきおおむね10分程度であり,当該作業が必要になる頻度は,おおむね1週間に数件程度であった(甲110,乙68)。 (ウ) Technote のエディター業務は,PMRハンドリングに比べて製品知識やITスキルの重要性は低かったが,チェックの対象であるTechnote にはPMRハンドリングで扱った障害の内容やその解決方法といった技術的事項が記載されており,製品知識等が有用な業務であった(甲110,112,証人Z9,原告本人,弁論の全趣旨)。 コ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成21年5月21日から同年6月30日までとして,PIPを実施した。このとき作成された改善目標管理フォームには,以下の記載があった。 (乙22)(ア) 「改善を要する点」欄a 「ソフトウェア製品Level1担当エンジニアとして,要求される量と質のサービスをお客様に提供出来ていない。」b 「お客様へのメール送信時刻を意図的に終業後に遅らせ, お客様からの返答による割り込みを避けている。」(判決注:原告の回答に対する顧客からの追加質問への回答を翌営業日に先延ばしするために,業務時間後に顧客への回答のメールを送信していたことを指している〔証人Z9〕。)c 「既存の問題報告履歴に基づいた調査に終始し,それを超えた調査を独 質問への回答を翌営業日に先延ばしするために,業務時間後に顧客への回答のメールを送信していたことを指している〔証人Z9〕。)c 「既存の問題報告履歴に基づいた調査に終始し,それを超えた調査を独力では行うことがまだ十分できていない。」d 「調査に必要なもの,必要でないものの切り分けが十分でなく,お客様に情報収集をお願いする場合の説明が十分ではない。」e 「お客様とのコミュニケーションを通して,お客様が要求されていることを正しく理解できていないケースが多々見られる」f 「同じ回答内容の繰り返しが多く,お客様が諦めてしまうケースがある。」(イ) 「改善計画に対する結果評価」欄「改善目標は一部達成されたが未達成の部分もある」(ウ) 「所属長のコメント」欄「お客様へのメール送信時刻,メールの作成から送信までの時間のギャップについては,大きく改善したと判断しました。 しかし,問題を定義し,それにもとづいた調査方針をうちたて,お客様に説明したり,調査・検証を行うSWE(判決注:ソフトウェアエンジニアの略)としての技術スキルは思うように改善していません。今後は,スキルアップと平行して,周りの支援を得るアクションを強化する事とします。」サ平成13年から平成21年までの間の原告のPBC評価は,いずれも3であった(乙5から11まで)。なお,上記期間内に原告 の所属長を務めた者は,Z6及びZ9を含め合計4人であった(原告本人)。 (2) 平成21年12月以降平成23年までの原告の業務状況ア被告は,PMRハンドリングにおいて原告の業績が改善していないと判断し,平成21年12月に,原告の業務をPMRハンドリングから契約センター業務及びデスクトップ製品サポート業務に変更した(乙67,証人Z9)。 イデ リングにおいて原告の業績が改善していないと判断し,平成21年12月に,原告の業務をPMRハンドリングから契約センター業務及びデスクトップ製品サポート業務に変更した(乙67,証人Z9)。 イデスクトップ製品サポート業務は,当時,既に販売を終了していたZ1の製品を対象としており,サポート期間も終了していたことから問合せ件数自体が年々減少しており,平成21年は197件,平成22年は131件,平成23年は67件,平成24年は6件,平成25年は3件,平成26年は1件であった(これらの件数には原告以外の者が担当した件数も含まれている。)。また,問合せがあっても,サポート期間が終了している旨伝えるだけで対応が終了する場合も多かった。(乙67)ウ契約センター業務は,技術的,専門的な製品知識やITスキルまでは必要とされておらず,製品の名前やどのような製品かを理解していれば足りる業務であった。被告は,新たに契約センター業務を担当することになった者には,マニュアルを用いた作業内容の説明,実際の作業の見学や顧客への対応のシミュレーション,指導担当者のサポートを受けながらの顧客対応といった研修を行っており,こうした研修を1か月程度受けた者の多くは,独力で契約センター業務を遂行できるようになっていた。 (乙66,証人Z8)原告が平成23年7月頃から担当するようになったExceptionハンドリングも,もともとは契約センター業務に含まれていた業 務であり,技術的,専門的な製品知識やITスキルまでは必要とされないという点は契約センター業務とおおむね同じであった(甲64,乙67,弁論の全趣旨)。 エ担当業務における原告の対応等(乙66,68,証人Z8)(ア) 原告は,平成22年5月14日,問合せをしてきた顧客が締結しているサポート契 ね同じであった(甲64,乙67,弁論の全趣旨)。 エ担当業務における原告の対応等(乙66,68,証人Z8)(ア) 原告は,平成22年5月14日,問合せをしてきた顧客が締結しているサポート契約の種類を取り違えたまま回答しようとしたことがあった(乙71)。 (イ) 顧客からの問合せに対しては,まずZ15(Z15の略で,被告に登録されている顧客のサポートに関する責任者を意味する。)の名前を確認し,確認できなければ技術的サポートを提供できないことになっていたが,原告は,同月18日,この確認を怠ったまま,技術的サポートを提供する部門に対応を依頼した(乙35)。もっとも,このときは原告をフォローしていた協力会社の従業員であるZ7の助言により,大きな問題になることなく顧客対応を終えた(甲110)。 (ウ) 原告は,同日の顧客からの問合せに対し,内容を十分に聴き取らないまま,別の問合せ窓口を案内したことがあった(乙35)。 (エ) 同月の時点でも,原告には,デスクトップ製品サポート業務において,製品に関する初歩的な知識を欠いているという問題点がみられた(乙50)。 (オ) 原告は,同年7月1日,午後0時から午後1時までにかかってきた電話に対応するために組まれていたシフトを担当する予定だったにもかかわらず,上記時間帯に昼休みに入ろうとした(乙36)。 (カ) CAPSの情報をJOKERに入力し,本部門に対応を依 頼する作業が完了した案件については,CAPS上で,「Pending」という表示を「Close」に改めなければならないにもかかわらず(そうしなければCAPS上では,当該案件がどの部門にも引き取られていないように見えてしまう。),平成23年3月頃,原告は,それを行わなかったことがあった(乙68,70)。 (キ) 原 かかわらず(そうしなければCAPS上では,当該案件がどの部門にも引き取られていないように見えてしまう。),平成23年3月頃,原告は,それを行わなかったことがあった(乙68,70)。 (キ) 原告は,同年5月頃,サポート契約の更新状況を確認しないまま,顧客対応を行ったことがあった(乙43)。 (ク) 原告は,同年7月29日,顧客のサポート契約の有無を確認する際,以前にも同じ間違いをしたにもかかわらず,対象となる製品の名前を取り違えたまま回答したことがあった(乙37)。 (ケ) 原告は,同月頃,問合せをしてきた顧客に対し,サポート契約の有効期間内であったにもかかわらず同期間が終了している旨回答したことがあった(乙40)。 (コ) 原告は,同年8月頃,チームリーダーであるZ8らに送信すべきメールを送信せず,2度にわたって指摘を受けるまで送信しなかったことがあった(乙44)。 (サ) Z8が,同月頃に原告の所属長であったZ9に送信したメールには,原告について,「Lゼロ(判決注:原告の担当業務を意味している。)への教育資料(トレテキ)にもロクに目を通さず仕事に臨んでいます。(今日,この資料を読んでいないが故と思われる事柄に気づきましたので資料を読んだのか否かと確認したところ,見たがよく読んでいなかったとの返答でした。→それは読んでいないのと同じです。)」等と指摘されている(乙38)。 また,同月頃に送信されたZ8からZ9への別のメールには, 原告について,製品名の取り違えやサポート契約の有効期間の確認ミスを繰り返している旨が指摘されている(乙40)。 (シ) JOKERのデータベース上で依頼文書を作成する際には,問合せ対象製品を選択する欄があり,依頼文書に係る案件は,そこで選択された製品を担当するチームに自動的に割り当 されている(乙40)。 (シ) JOKERのデータベース上で依頼文書を作成する際には,問合せ対象製品を選択する欄があり,依頼文書に係る案件は,そこで選択された製品を担当するチームに自動的に割り当てられるようになっていたが,同年9月頃,原告がその欄を空欄にしたまま依頼文書を作成したため,どのチームにも案件が割り当てられず,当該案件への着手が遅れたことがあった(乙68,69)。もっとも,このとき原告は,指摘を受けてすぐに依頼文書を作成し直している(甲110,乙69)。 (ス) 契約確認業務では問合せをしてきた顧客とのやり取りの内容や担当者が行った調査結果については,事後的に参照するために,対応記録(ログ)に入力する必要があったにもかかわらず,原告は,同年9月頃,これを怠っていたことがあった(乙45,46)。 (セ) 原告は,同月頃,原告の代わりに誰がException ハンドリングを担当するのかを,Z8に伝えないまま仕事を休んだことがあった(乙41)。 (ソ) デスクトップ製品に関しては,基本的には技術的サポートの提供を行う期間が終了していたものの,例外的に有償のサポート契約を締結している顧客に対しては,引き続き技術的サポートを提供していたため,顧客からデスクトップ製品に関する問合せを受けた際には,当該顧客が有償のサポート契約を締結しているか否かを確認する必要があったが,同月頃,原告は,その確認を怠ったまま顧客に対する回答を行ったことがあった(甲110,乙46)。 (タ) Z8が,同年10月頃に原告に送信したメールには,「何度指摘しても指導してもスキトラ(判決注:契約センター業務を担当する者に実施される研修を意味している。)をおこなっても一向にマスターしていただけないので指摘しているのですが,それは理解している 何度指摘しても指導してもスキトラ(判決注:契約センター業務を担当する者に実施される研修を意味している。)をおこなっても一向にマスターしていただけないので指摘しているのですが,それは理解しているのでしょうか。」等と記載されている(乙39)。 また,同月頃にZ8がZ9に送信した別のメールには,「契約センタログには,事実を要約して,いつ,誰が読んでもぱっと見てわかるように記録をつけるようにとZ16さんには契約センタ業務開始時から都度都度都度都度指摘していますが,未だに何ら改善がされていません。」,「何度注意しても指摘しても,たかだか,自分の対応の記録すらまともに記録できないというのでは,正直,適正(原文ママ)がないとしか思えませんし,そのフォローをすることはこちらも心理的にも身体的(シフト拘束)が非常に負担で心身の調子を崩します。」等と記載されている(乙48)。 (チ) 同年10月頃,原告の契約確認ミスが原因で,顧客から返金を求められるというクレームが発生した。もっとも,被告の営業担当者の協力もあり,実際に返金するには至らなかった。 (乙42)(ツ) 同月の時点でも,原告には,確認すべきサポート契約の見分け方についての理解が不十分であるという問題点がみられた(乙60)。 オ平成22年の原告のPBC評価は次のとおりであった(乙12)。 (ア) 評価 PBC2 (イ) 総評「デスクトップ製品のエンジニア,そして契約センターのスタッフという担当業務にチャレンジした年でした。痒いところに手が届く対応はまだできていないものの,契約に関する重要な情報を扱う立場を認識し,周りの支援を得ながら問題を発生させることなく対応出来ている事を評価します。ただ,お客様から頂いたお問い合わせに対する説明が十分 はまだできていないものの,契約に関する重要な情報を扱う立場を認識し,周りの支援を得ながら問題を発生させることなく対応出来ている事を評価します。ただ,お客様から頂いたお問い合わせに対する説明が十分でない場合が見られます。契約に関することであれば,仕組みや流れ,登場人物を体系立てて理解し,お客様が理解出来るようように説明をする必要があります。単なる事実を伝えるだけではなく,お客様に理解頂けるような説明の仕方や付加的な情報の提供をすることで,自分の価値を発揮し,強みを見つけ,生かしてください。」カ平成23年の原告のPBC評価(乙13)(ア) 評価 PBC2(イ) 総評「あなたのチームへの貢献,特にException ハンドラーとしてのSWEs(判決注:SoftWareEngineers の略)に対するサポートに感謝します。また,私は,お客様の契約に関する質問や問題についてのあなたのサポートに感謝します。私は,来年は,あなたの技能の向上と,様々な方法でお客様と我々SWEsのサポートをすることによるLTS(判決注:本部門の当時の名称の略)への貢献を期待します。」(3) 平成24年の原告の業務状況ア平成24年1月に契約センター業務が終了した後,原告は,Exception ハンドリング,デスクトップ製品サポート業務,Technote のエディター業務,CAPS監視業務,ESR監視業務, 日本語レビュー業務,キュー監視業務及びメールボックス監視業務を担当し,そのほかに本部門で一時的に発生した業務も担当することがあった。 イ原告が担当していた各業務の状況等(ア) 同年9月以降,原告が担当するException ハンドリングは,深圳の担当者が対応できなかった案件の た業務も担当することがあった。 イ原告が担当していた各業務の状況等(ア) 同年9月以降,原告が担当するException ハンドリングは,深圳の担当者が対応できなかった案件のみとなり,深圳の担当者がException ハンドリングに習熟していくにつれ,原告の担当する案件数は減少していった(乙66,67,証人Z9)。 (イ) デスクトップ製品サポート業務において,同年に受けた問合せは,原告以外の者が担当した件数も併せて全部で6件であった(乙67)。 (ウ) Technote のエディター業務において,原告が1か月にチェックする件数は,70件から80件程度であった(弁論の全趣旨)。 (エ) CAPS監視業務及びESR監視業務については,従前の状況(前記(1)ケ(イ)のとおり)に特に変化はなかったが,CAPS監視業務については,本部門を含む全部門でシステムツールの統一化が進んだことに伴い,同年8月をもって終了した(弁論の全趣旨)。 (オ) 日本語レビュー業務は,DCCチームの担当者が習熟してくるにつれ,原告の担当する件数は減少していった(弁論の全趣旨)。 (カ) キュー監視業務では,キューにPMRが入ってきた場合にはPMRハンドリングの担当者のパソコンの画面上に自動的に通知されるようになっていたが,キューが誰にも引き取られないまま10分(この時間は同年9月頃から25分に変更され た。)を経過すると,担当者に処理を促すために画面上で赤く表示される設定になっていた。原告が担当していたのは,こうしたPMRハンドリングの担当者の監視から漏れ,警告が表示された場合に初めて担当者に知らせるといった業務であり,担当者への通知に要する時間は3分程度であった。(甲110,11 担当していたのは,こうしたPMRハンドリングの担当者の監視から漏れ,警告が表示された場合に初めて担当者に知らせるといった業務であり,担当者への通知に要する時間は3分程度であった。(甲110,114,乙67,弁論の全趣旨)(キ) メールボックス監視業務は,1時間に1回程度メールボックスを確認すれば足り,処理されていないメールがあった場合のメンバーへの連絡に要する時間も5分程度であった(争いなし)。 ウ原告は,平成24年頃,Z9から,将来的に業務量の減少が見込まれるので,いずれはPMRハンドリングを担当してもらうことになるかもしれないという趣旨の話をされたことがあった(原告本人)。 エ担当業務における原告の対応等(乙66,証人Z8,証人Z9)(ア) 原告は,以前,休暇を取得した際に他の従業員が原告に代わって共有マシンを操作できるように行っておくべき対応を怠り,Z8から注意を受けたことがあったにもかかわらず,同年1月頃,必要な対応をしないまま休暇を取得したことがあった(乙23)。 (イ) 契約確認業務では,問合せをしてきた顧客とのやり取りの内容や担当者が行った調査結果については,事後的に参照するために,対応記録(ログ)に入力する必要があったにもかかわらず,原告は,同年2月頃,これを入力しないことがあった(乙24)。 この点について,原告は,これまでも注意されていたにもか かわらず,今回も対応記録(ログ)を入力していなかったことについて,Z8に謝罪する旨のメールを送信した(乙51)。 (ウ) Z9が平成24年2月頃に関係者に送ったメールには,CAPS監視業務について,「Z16さんをメインに3名… のチームで対応することに致しました。」,「実際のオペレーションを (ウ) Z9が平成24年2月頃に関係者に送ったメールには,CAPS監視業務について,「Z16さんをメインに3名… のチームで対応することに致しました。」,「実際のオペレーションを一番こなしているのは,Z16さんなので,実際の説明に際してはZ16さんに協力してもらった方が効率的ですね。」といった記載がある(甲110,111)。 オ平成24年の原告のPBC評価(乙14)(ア) 評価 PBC3(イ) 総評「あなたのチームへの貢献,特にException ハンドラーとしてのSWEsに対するサポートに感謝します。しかし,あなたが我々のお客様又はSWEにあなたの価値を提供することができた案件の件数は減少しています。私は,来年は,あなたの技能の向上と,様々な方法でお客様と我々SWEsのサポートをすることによるLTSへの貢献を期待します。」(ウ) Z9は,平成25年1月25日,平成24年のPBC評価に関する原告との面談において,2と評価するには少し惜しいという趣旨の発言をした(甲64,証人Z9)。 (4) 平成25年の原告の業務状況ア平成25年に入ってからも原告は,CAPS監視業務を除いた前記(3)アの業務を引き続き担当していた。 イ原告が担当していた各業務の状況(ア) 同年に入るとException ハンドリングの案件数は更に減少していった(乙67,証人Z9)。 原告は,平成25年になってからも,Exception ハンドリングにおいて,適切に対応記録(ログ)を残していないことがあり,繰り返し指摘を受けていた(乙86,87)。 (イ) デスクトップ製品サポート業務も更に減少し,同年に受けた問合せは,原告以外の者が担当した件数 に対応記録(ログ)を残していないことがあり,繰り返し指摘を受けていた(乙86,87)。 (イ) デスクトップ製品サポート業務も更に減少し,同年に受けた問合せは,原告以外の者が担当した件数も併せて全部で3件であった(乙67)。 (ウ) 日本語レビュー業務についても,案件数は減少していき,同年10月末には深圳のDCCチームが解体されたことから業務自体がなくなった(乙67)。 (エ) 上記(ア)から(ウ)までの業務以外の業務の状況については,特に変化はなかった(弁論の全趣旨)。 ウこのような状況を受けて,同年9月頃,Z9は,原告に対し,本部門の他のメンバーが処理したPMRに関しTechnote の執筆,公開を行うよう指示した。原告は,当時,PMRハンドリングを担当していなかったため,被告のシステム上に保管されているPMRハンドリング担当者の多数の記録の中から,どのPMRに関してTechnote を執筆するかを取捨選択した上,選択したPMRに関して英語で書かれた社内用の障害報告文書を参照しながら問題の要点と解決方法を整理する必要があった。(甲64)このとき,Z9は,原告に対し,PMRハンドリングに復帰するために製品知識やITスキルを向上させる必要があり,上記指示には,技術的な内容であるTechnote の執筆を通じてこれらを向上させる目的があることを伝えた。そして,原告は,同月10日から同年11月12日にかけて,Z9と毎週ミーティングを行い,Technote の執筆に向けた助言,指導を受け,これに取り組んだ。 原告は,同年中に19件のTechnote の執筆に着手したが,同年内 に公開に至ったものはなかった。(乙67,証人Z9,原告本人,弁論の全趣旨)エ被告は,原告について,改善進捗管 告は,同年中に19件のTechnote の執筆に着手したが,同年内 に公開に至ったものはなかった。(乙67,証人Z9,原告本人,弁論の全趣旨)エ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成25年4月2日から同年5月30日までとして,PIPを試みた。このPIPは原告が拒否したため実施には至らなかったが,このとき作成された業績改善進捗管理フォームには,具体的な改善を要する点として,Exception ハンドリングについて,対応記録(ログ)が分かりにくいことが指摘されている。(乙25)。 オ平成25年当時,原告は,毎月30時間前後の時間外労働時間を申請していたが,被告は,これについて特に異議を述べたことはなかった(弁論の全趣旨)。 カ平成25年の原告のPBC評価(乙15)(ア) 評価 PBC3(イ) 総評「Z16さんは,Exception ハンドリング,キューの監視,お客様から入ってきたメールや電話のSWEsへの通知などを通じて,SWEsに対するサポートを提供することにより我々の部門に貢献しました。2014年は,サポートエンジニアとして要求される技能を向上させ,SWEとして働いてPMRs(判決注:ProblemManagementRecords の略)をハンドルすることを望みます。」(ウ) Z9は,平成26年1月27日,平成25年のPBC評価に関する原告との面談において,「まあ,資産の,ま,その話だとか,えー,モニター,キューモニターとか,エクセプション・ハンドラーとか,いろいろやってくれて,えー,おー,一応は,えーっと,組織への貢献というのは,えーっとー,してくれて いるというふうには判断しています。」,「僕としては,えーっとー,本当は,絶対評価だったらというのが てくれて,えー,おー,一応は,えーっと,組織への貢献というのは,えーっとー,してくれて いるというふうには判断しています。」,「僕としては,えーっとー,本当は,絶対評価だったらというのがあったんですけど,相対評価にちょっと,仕組みに頼らざる,もう,そ,その仕組みの下に従っていかざるを得ないということで,えーっとー,今期は3をつけました。」,「改善はしてきて,僕の頭の中では,どちらかというと,ほぼ2ぐらいをあげられるというふうに思ってたんですけど,やっぱり,あのー,さっき言った相対評価というのと,やっぱり,求められていることを,を,えーっとー,アウトプットとして出していかなきゃいけないというところを考えて,えー,この結果になりました。」,「僕が言ったのは,絶対評価ということであれば,えーっとー,2つけられそうなぐらいかなって,僕は,僕自身は若干思ったんだけども,やっぱりバンド4ということを差し置いて,相対評価として考えたときのZ16さんのポジション,が,やっぱり一番その評価を厳しいものにしてると思っています。」などと述べて,同年のPBC評価が3であった理由について説明した(甲131,乙15,証人Z9)。 (5) 平成26年の原告の業務状況ア平成26年に入ってからも原告は,CAPS監視業務及び日本語レビュー業務を除いた前記(3)アの業務を引き続き担当しており,本部門において発生した一時的な業務として,同年8月の本部門の移転に向けて不要なパソコンやサーバーの廃棄準備作業を行っていた。また,前年にZ9から指示されたTechnote の執筆にも取り組んでいた。 イ原告が担当していた各業務の状況等(ア) 平成25年に比べると,Exception ハンドリングの案件数 は更に減少していた(乙67)。 chnote の執筆にも取り組んでいた。 イ原告が担当していた各業務の状況等(ア) 平成25年に比べると,Exception ハンドリングの案件数 は更に減少していた(乙67)。 (イ) デスクトップ製品サポート業務も更に減少し,平成26年に受けた問合せは,全体で1件であった(乙67)。 (ウ) パソコンやサーバーの廃棄準備作業は,これらの記憶内容を消去した上で,型番や製造番号を記録して,廃棄業者に引き渡すというものであった。故障しているパソコンについては,分解して記憶装置を取り外し,正常に作動するパソコンに組み込んだ上で記憶内容を消去しなければならなかった。原告が作業を行ったパソコン等は全部で188台であった。(甲110,乙68)(エ) 上記(ア)から(ウ)までの各業務以外の業務の状況については,従前から特に変化はなかった(弁論の全趣旨)。 ウこのような状況を受けて,原告のPBC目標として,同年5月から12月までの間にTechnote を1か月当たり16件執筆し,公開すること及び同年下半期からPMRハンドリングを開始し,12月には月間10件処理できるようになることが設定された(乙16,67,証人Z9)。 エ被告は,原告について,改善進捗管理期間を平成26年5月2日から同年7月31日までとして,PIPの実施を試みた。このPIPは原告が拒否したため実施には至らなかったが,原告とZ9は毎週ミーティングを行った。このとき作成された業績改善進捗管理フォームには,以下の記載があった(乙26)。 (ア) 「具体的な改善を要する点」欄a 「Technote の執筆」b 「StartPMRHandling」(イ) 「要求水準/達成すべき目標」欄 a 「お客様にとって有用なTechnote を1 要する点」欄a 「Technote の執筆」b 「StartPMRHandling」(イ) 「要求水準/達成すべき目標」欄 a 「お客様にとって有用なTechnote を16件/月 Publishする。」bPMRハンドリングについて「お問い合わせ対応を6月より開始し,12月には10件/月Close する。」(ウ) 「所属長コメント」欄「当初,7月末時点での判断と予定していましたが,Technoteの公開についてはそこまで時間をかける必要は無いとの判断により,6月末日での判断とします。残念ながら公開されたTechnote はゼロ件であり,目標を達成することはできませんでした。本人からは引き続き作業を行い軌道に乗せたいとの意思を伝えられました。一旦この時点では「未達成」と判断し,PMRHandling と併せて改善プログラムの実施を検討することにします。なお,時間をかけられなかった背景として,α 事業所への移動にともなう廃棄マシンの処理をアサインしていたことがありますが,ゼロ件となったことについては十分に改善に向けた努力をしていない結果と判断しています。」オ上記エ(ウ)の「所属長コメント」にあるとおり,同年6月末の時点で,原告が執筆したTechnote で公開されたものは1件もなかった。 カ Z9は,同年9月頃,原告に対し,実際にPMRハンドリングのレベル1を担当するよう指示した。この当時,レベル1の担当者は1か月当たり30件程度のPMRを処理していたが,Z9は,1か月当たり10件程度であれば,原告も処理できるだろうと考えていた。これに対して,原告は,PMRハンドリングを行うようになると,本件組合の中央執行委員としての活動に影響が出るとして,この点について協議するため 0件程度であれば,原告も処理できるだろうと考えていた。これに対して,原告は,PMRハンドリングを行うようになると,本件組合の中央執行委員としての活動に影響が出るとして,この点について協議するための団体交渉を本件組合と被 告との間で行うよう求めた。そこで,後記⑹のとおり,同年10月20日から平成27年3月16日まで,合計9回にわたり団体交渉が行われたが,その間,原告がPMRハンドリングを担当することはなかった。(甲64,乙67,証人Z9,原告本人)キ原告は,平成25年9月から平成26年9月19日までの間に,43件のTechnote の執筆に着手し,そのうち15件については執筆を終えたが,レビューを経て公開されたのはそのうち6件であった。(甲64,弁論の全趣旨)ク同年当時も,原告は,毎月30時間前後の時間外労働時間を申請していたが,被告は,これについて特に異議を述べたことはなかった(弁論の全趣旨)。 ケ平成26年の原告のPBC評価(乙16)(ア) 評価 PBC3(イ) 総評「執筆し公開されたTechnote は年間6文書と,目標である「年間128文書(5月開始として,16文書×8ヶ月)」には大きく及びませんでした。工数を確認出来る3文書… について1件あたり約4.5時間を要しており,標準(1時間程度)を大きく超える状況で,生産性についても標準の1/4以下と,バンド4ということを考慮しても非常に低いものです。10時間以上をかけて調査するも未だ公開に至らない文書も確認出来ています。また,3時間近くの工数をかけた文書…の内容が,既存の障害情報を案内するのみの文書であり,業務の効率の観点でも低いものとなっています。加えて,通常はほとんど発生しない「十分な調査および検証がなされておらず,差し戻しや公 をかけた文書…の内容が,既存の障害情報を案内するのみの文書であり,業務の効率の観点でも低いものとなっています。加えて,通常はほとんど発生しない「十分な調査および検証がなされておらず,差し戻しや公開却下となった文書…」が,書き起こしたTechnote の29%にも 相当し,品質(内容)の観点でも低いと判断します。これらの業務を最低限のレベルで実施出来る様,PBCと同様の目標を設定し,業務改善も実施してサポートしましたが,目標を達成するには至りませんでした。部門のミッションに対する貢献は極めて限定的で期待に達しませんでした。また,同様の業務を遂行している他の社員と貢献度を見た場合でも,技術サポート業務の質・量共に期待を大きく下回る結果と判断します。」⑹ 原告の業務変更をめぐる団体交渉等の経緯ア本件組合と被告との間では,中央執行委員の転籍・出向及びその他の異動については事前協議を行う旨の労使協定が締結されている(甲28,29)。 イ原告の業務をPMRハンドリングに変更することについて本件組合と被告が行った団体交渉の経緯は,概要,以下のとおりであった。一連の団体交渉には,本件組合側から原告を含む7名から11名が,被告から人事労務担当であるZ10を含む3名又は4名が参加していた。 (ア) 平成26年10月20日の団体交渉本件組合側が,PMRハンドリングを行うようになった場合の原告の中央執行委員としての活動への影響について懸念を述べ,PMRハンドリングを行うようになった場合にどの程度業務量が増えるかについて確認を求めたので,次回までに,被告がこの点を確認してくることになった(甲34)。 (イ) 同年11月5日の団体交渉被告から,本部門において原告と所属長であるZ9の話合いを通じて,PMRハン たので,次回までに,被告がこの点を確認してくることになった(甲34)。 (イ) 同年11月5日の団体交渉被告から,本部門において原告と所属長であるZ9の話合いを通じて,PMRハンドリングを行うことによる原告の中央執行委員としての活動に影響が出ないよう配慮していくとの説 明がされたが,本件組合は,それでは組合活動への影響を避けられないことを指摘した。そこで,次回以降は,協議の前提として,原告がPMRハンドリングを行うようになった場合に想定される組合活動への具体的な影響について話し合うことになった。(甲35)(ウ) 同年12月4日の団体交渉被告から,原告がPMRハンドリングを行うようになった場合に想定される1か月当たりの平均的な業務量について,1回30分程度くらいの連続作業を10回程度,4週間弱かけて行うとの説明があった。しかし,被告の説明は,PMR1件の処理に係る業務量についてのものなのか,その月の業務量の総計についてのものなのかが曖昧であったため,本件組合はこの点を確認しようとしたが,被告は,それについては原告の方で確認して,指摘するよう促した。そこで次は,この点を踏まえて原告において具体的な組合活動への影響を確認してくることになった。(甲36)(エ) 同月24日の団体交渉このときの団体交渉に先立って,本件組合は,被告に対し,原告が過去に業績不良を理由に担当を外されたPMRハンドリングを再度,原告に担当させようとしている理由を明らかにするよう求めていた。これを受けて,被告は,PMRハンドリングが本部門における中心的な業務であることや,現在はPMRハンドリングの負担は軽減され,各担当者の業務量もモニタリングできるようになっており原告にとって過度な負担 を受けて,被告は,PMRハンドリングが本部門における中心的な業務であることや,現在はPMRハンドリングの負担は軽減され,各担当者の業務量もモニタリングできるようになっており原告にとって過度な負担とはならないことを説明した。しかし,本件組合は,被告が退職勧奨の手段として原告にPMRハンドリングのレベル1を担当 させようとしているのではないかとの懸念を表明したので,被告において,本部門で原告にPMRハンドリングのレベル1を担当させる理由を改めて確認してくることになった。(甲37)(オ) 平成27年1月23日の団体交渉被告は,前回の団体交渉で本件組合が表明した懸念について,原告にPMRハンドリングのレベル1を担当させる理由について,原告の現状のスキル等を踏まえてまずレベル1を担当してもらうことが望ましいと考えているからであり,退職勧奨などではない旨の説明があった。これに対して,本件組合は,再度,前回と同様の懸念を表明した。その後,本件組合から,所属長であるZ9及び上長であるZ17が団体交渉外で,この件に関して,原告に接触していることの不当性が主張され,この点について議論がされたが,最終的には,本件組合が原告の業務変更に関する意向確認と論点整理をしてくることになった。 (甲38)(カ) 同年2月3日の団体交渉原告の意向等を踏まえて,本件組合は,原告を本部門とは別の部門に異動させることを提案した。これに対し,被告は,特定の異動先に限定せず被告から別の異動先を提案した場合には,検討の余地があるのか尋ねたところ,本件組合は,被告からの提案については検討する旨回答した。そこで,被告において原告の異動について検討してくることになった。(甲39)(キ) 同月19日の団体交渉 があるのか尋ねたところ,本件組合は,被告からの提案については検討する旨回答した。そこで,被告において原告の異動について検討してくることになった。(甲39)(キ) 同月19日の団体交渉被告は,原告の異動について検討を続けていることを本件組合に伝えた(甲40)。 (ク) 同月27日の団体交渉 被告は,本件組合からの提案を受け入れることはできず,PMRハンドリングへの業務変更を求める方針に変わりはないことを本件組合に伝えた。これを受けて,本件組合が改めて,対応を検討してくることになった。(甲41)(ケ) 同年3月16日の団体交渉本件組合は,以下のaからgまでについて,労使で合意できた場合には,原告は,PMRハンドリングへの業務変更に応じる考えを被告に伝えた(甲12)。 a 「不在時のフォローを含めた中執活動を保障すること。中執活動時間を踏まえた質および量とする。不在時のフォローは,グループやリーダーに依頼し,負荷が高くなる以外の方法を求める。フォローの仕組みを協議した上で決める。」b 「仕事を開始する前,業務アサイン前に,教育訓練の期間を与える。О JTやPIPではなく,教育計画を提示する。 教育訓練内容を協議した上で事前に説明する。教育訓練後,業務アサインが可能かどうかを慎重に判断し,協議する。」c 「バンドに見合った仕事を定義する。」d 「2014年11月4日および2015年1月19日書簡にて指摘した不当労働行為を認め,今後二度と行わないことを確約する。」e 「退職勧奨や解雇を行わない。」f 「問題点,懸念点が発生したら,団交にて解決を図る。」g 「以上を文書で確認する。」これを受けて,原告から提示された上記aからgまでの を確約する。」e 「退職勧奨や解雇を行わない。」f 「問題点,懸念点が発生したら,団交にて解決を図る。」g 「以上を文書で確認する。」これを受けて,原告から提示された上記aからgまでの事項について被告が確認,検討してくることになった。(甲42)ウ本件解雇 被告は,上記イ(ケ)の団体交渉の翌日である平成27年3月17日,本件解雇に係る解雇予告を行った。 2 争点(1)(本件解雇が解雇権濫用に当たるか)について(1) 被告は,①被告による原告の業績改善へ向けた長年にわたる継続的な働きかけ(PIPも含む。)にもかかわらず,原告の業績が低迷し続けていたこと,②原告が平成24年から平成26年にかけて,所属長のZ9から,PMRハンドリングを行えるようになるために製品知識,ITスキルの向上が必要であることを伝えられ,そのための十分な時間と機会が与えられたにもかかわらず,一向にその準備をせず,平成26年にはPMRハンドリングを実施することをPBC目標に掲げられ,同年9月には,実際にこれを指示されたにもかかわらず,拒否し続けていたことが就業規則45条2号の解雇事由に該当すると主張する。そこで,以下,認定事実を踏まえて検討する。 (2) 被告が主張する解雇事由①についてア前記認定事実によれば,原告は,平成13年に被告に入社して以来,PMRハンドリングを担当していたものの,平成19年までに行われた4回のPIPにおいて,再三にわたって,月々のPMRの処理件数が被告において要求されている水準に達していないことや顧客への回答,連絡の遅延,技術的なスキルの不足,顧客の問合せ内容に対する理解不足などを指摘されており,3回目,4回目のPIPにおいては,処理件数こそ設定された目標に到達したものの,その他の問題 や顧客への回答,連絡の遅延,技術的なスキルの不足,顧客の問合せ内容に対する理解不足などを指摘されており,3回目,4回目のPIPにおいては,処理件数こそ設定された目標に到達したものの,その他の問題点については依然として十分な改善が見られず,その結果,バンド6からバンド4に降格されたこと,その間,原告が担当すべき業務を意図的に怠っていたことがあることが認められる(前記1(1)イからクまで)。さらに,降格 後には,被告が原告に担当させるPMRハンドリングの件数を減らすなどしたが,平成21年に行われたPIPでも顧客への回答,連絡の遅延(意図的な遅延も含まれている。),技術的なスキルの不足,顧客の問合せ内容に対する理解不足などを再度指摘されていることが認められ(前記1(1)ケ及びコ),原告の問題点の改善は十分ではなかったといえる。こうした原告の状況は,平成20年5月頃から,PMRハンドリングのレベル1を協力会社の社員が担当し,より難易度が高いレベル2を被告の正社員が担当するという体制が構築された後も,原告がレベル1を担当し続けていたこと(前記1(1)ア)からも裏付けられている。 このような状況の下で,被告は,平成21年12月に原告をPMRハンドリングの担当から外し,専門的な製品知識や技術的なITスキルの必要性がより低い業務を担当させるようになったが,原告には,そうした業務においても,平成22年から平成23年にかけて,確認不足等により顧客に対して誤った回答をする,個々の案件に関する対応記録(ログ)を適切に入力しないなどの問題が散見されており(前記1(2)エ),特に対応記録(ログ)の入力については,平成24年及び平成25年になってもいまだに十分な改善がなく,被告においてPIPの実施が試みられていたことが認められる(前記1(3)エ おり(前記1(2)エ),特に対応記録(ログ)の入力については,平成24年及び平成25年になってもいまだに十分な改善がなく,被告においてPIPの実施が試みられていたことが認められる(前記1(3)エ(イ),(4)イ(ア))。さらに,平成26年にはPBC目標として定められていたTechnote の公開件数も達成することができなかった(前記1(5))。 こうした経緯に照らすと,原告は,被告から指摘されていた問題点についての改善も十分とはいえない状態が続いており,被告に入社してからの業績も決して芳しいものではなかったことは否定できない。 イしかしながら,その一方で,平成18年までに行われた3回のPIPでは,原告は,改善目標の一部又は全部が達成されたと評価されており,改善に取り組む姿勢や努力については評価できる旨の所属長のコメントも付されており(前記1(1)イ(イ)及び(ウ),ウ(イ)及び(ウ),オ(イ)),原告が被告から指摘された問題点の改善に取り組み,その姿勢が一定程度評価されていたといえる。その後,平成19年のPIPでは改善目標未達成との評価を受け,バンド4に降格されたものの,平成21年のPIPでは再び改善目標の一部は達成されたと評価されており(前記1(1)コ(イ)),ここでも原告が問題点の改善に取り組んでいたといえる。 平成21年12月にPMRハンドリングから外れた後の平成22年及び平成23年にはPBC評価で2を獲得し,同年の総評では原告の貢献に対して肯定的に評価されている(前記1(2)オ及びカ)。さらに,平成24年及び平成25年はPBC評価こそ3であったものの,それぞれの年の総評においては,原告の貢献に対する肯定的なコメントも記載されていることからすれば,平成22年以降の原告のPBC評価については,一応改善傾 平成25年はPBC評価こそ3であったものの,それぞれの年の総評においては,原告の貢献に対する肯定的なコメントも記載されていることからすれば,平成22年以降の原告のPBC評価については,一応改善傾向にあったと評価できる。なお,所属長のZ9は,平成24年のPBC評価に関する面談においては,2と評価するには少し惜しいといった趣旨の発言をし,また平成25年のPBC評価に関する面談では,絶対評価であれば2をつけられるとも解釈できる発言をしているが(前記(3)オ(ウ),(4)カ(ウ)),これらの発言は原告のモチベーションを下げないようにとの配慮からなされたものと解するのが自然であり,これによって原告がPBC評価で2に相当し,又は,これに準じる業績を上げていたとまでは認められない。加えて,平成22年から平成25年まで担当した業務において問題 点が散見されていたことは上記のとおりであるが,いずれも被告の業務に重大な支障,損失を与えるものであったとまでは認められない。 そうすると,原告については,被告から指摘されていた問題点についての改善が十分とはいえない状態が続いていたとはいえ,それに取り組む姿勢は示しており,一定の改善が見られたといえるし,被告に入社して以来平成21年まで一貫して3であったPBC評価についても平成22年から平成25年にかけては一応改善傾向にあったといえる。 ウ(ア) 原告は,平成18年までのPIPにおいて改善目標の一部又は全部を達成していたにもかかわらず,これに矛盾して行われたバンド4への降格は不当であると主張する。 しかし,平成18年までのPIPでは上記のとおり評価されていたものの,改善は十分ではなく,更なる改善を求められていたことは前記のとおりであり,平成19年に行われたPIPでは改善目 。 しかし,平成18年までのPIPでは上記のとおり評価されていたものの,改善は十分ではなく,更なる改善を求められていたことは前記のとおりであり,平成19年に行われたPIPでは改善目標は未達成と評価されていたのであるから,その結果された降格が不当であったとまでは認められない。なお,原告は,平成19年のPIPについては,改善進捗管理期間中に指摘を受ければ問題点の改善が可能であったと主張するが,それまでに3回にわたってPIPを受けて改善点を指摘されていたことからすれば,原告も自身の問題点を認識できていたはずであるし,Z6がこの時点で原告が独力で適切にPMRハンドリングを遂行できるかを確認しようとし,上記期間中にあえて指摘等を行わなかったこともあながち不当とはいえない。 (イ) 原告は,平成19年までに行われた4回のPIPは,原告を降格させるという不当な目的でされたものであると主張す る。 しかし,そもそもPIPが業績の改善が必要な社員に対して実施されるものである以上,その結果いかんによっては降格する可能性も考慮に入れて実施されること自体が不当とはいえない。原告について実施されたPIPについても,原告の業績に何ら問題がないのに実施されたなどの事情はない。また,原告に改善が認められた場合にはそのことが評価に反映されていることも考慮すれば,原告について行われたPIPが当初から原告を降格させる目的でされたとは認められない。 (ウ) 原告は,PMRハンドリングについてレベル1が必ずしもレベル2より簡単な案件を担当しているわけではないと主張する。 しかし,前記1(1)アのとおり,被告社内で公開された文書では,これらの区分について,レベル1については,顧客の問合せを広く浅く処理 簡単な案件を担当しているわけではないと主張する。 しかし,前記1(1)アのとおり,被告社内で公開された文書では,これらの区分について,レベル1については,顧客の問合せを広く浅く処理することをその任務とし,レベル2については,より難しい問題について時間をかけ技術的に深く調査,探求し,解決することをその業務とする旨の記載があることや,本部門におけるPMRハンドリングの具体的な流れ(前記前提事実(2)イ(ア))に照らせば,被告が原告の問題点として指摘している技術的なITスキルの面でレベル2の方がより高度なものが要求されていたというべきである。 (エ) 原告は,Z8が原告以外の者にも必要以上に細かい指摘や注意をしたり,業務指導の範囲を超えて相手を非難したりするなどしており,ミスとはいえないものまで指摘しているから,Z8が原告に関して送ったメールは,平成21年12月以降に担当するようになった契約センター業務等における原告の問 題を裏付けるものではないと主張する。 しかし,少なくとも前記1(2)エ,(3)エ及び(4)イ(ア)において認定した限度においては,Z8が送ったメールで指摘されていた事項は,いずれも原告のミスと評価できるものであったから,Z8のメールはその限りにおいて原告の業務の問題を裏付けるものといえる。 (オ) 被告は,原告が平成22年及び平成23年を除いてPBC評価で3という評価が続いており,原告の業績が改善せず,低迷したままであったと主張する。 しかし,PBC評価は相対評価であり,3という評価が続いたことから直ちに解雇の理由になるほど業績が低迷していたと認められるわけではないし,前記のとおり,原告のPBC評価については平成22年から平成25年にかけては改善 相対評価であり,3という評価が続いたことから直ちに解雇の理由になるほど業績が低迷していたと認められるわけではないし,前記のとおり,原告のPBC評価については平成22年から平成25年にかけては改善傾向にあったといえるから,過去のPBC評価を過度に重視すべきではない。平成26年のPBC評価については,原告のTechnote の執筆件数が目標に到達していないことが指摘されているものの,原告が担当していた他の業務の量や自ら担当していないPMRについてTechnote を執筆する場合の負担との関係で目標が適切に設定されていたかについて定かではないから,そこでの評価の妥当性については疑問を挟む余地がある。 (カ) 被告は,原告が平成22年及び平成23年にPBC評価で2を獲得したことについては,単に本部門の中に原告より業績の悪い社員がいたことによるのであり,原告の問題点の改善を示すものではないと主張する。 しかし,平成23年のPBC評価における総評では原告の貢献に対して肯定的に評価されており,その後の平成24年及び 25年のPBC評価でも原告の貢献が肯定的に評価されていることからすれば,平成22年以降の原告の業績が一定の改善傾向にあったと認められることは前記のとおりである。被告の上記主張は,相対評価に伴う当然の帰結を述べるにとどまり,原告の業績が全く改善していなかったことを裏付けるものとはいえない。 (3) 被告が主張する解雇事由②についてア前記認定事実によれば, 原告は,平成25年9月頃に,初めてZ9から,将来,PMRハンドリングを行えるようになるために製品知識,ITスキルの向上が必要であることを具体的に伝えられ,そのために他のメンバーが処理したPMRに関してTechnoteを執筆するよう指示を受け 来,PMRハンドリングを行えるようになるために製品知識,ITスキルの向上が必要であることを具体的に伝えられ,そのために他のメンバーが処理したPMRに関してTechnoteを執筆するよう指示を受け,これに取り組んだことが認められる(前記1(4)ウ)。もっとも,当時の原告は,Exception ハンドリング,デスクトップ製品サポート業務,Technote のエディター業務,ESR監視業務,日本語レビュー業務,キュー監視業務及びメールボックス監視業務の7つの業務に加えて,本部門で発生した一時的な業務も担当しており,毎月30時間前後の時間外労働時間を申請していたことなどからすれば(前記1(4)ア,ウ及びオ),原告がZ9から指示されたTechnote の執筆を含め製品知識やITスキルの向上に取り組むための十分な時間が確保できる状況にあったとまでは認めるに足りない。 平成26年に入ると,原告のPBC目標として,同年5月から12月までの間にTechnote を1か月当たり16件執筆すること及び同年下半期からPMRハンドリングを開始し,同年12月には1か月に10件のPMRを処理できるようになることが明確に掲げられたが(前記1(5)ウ),Exception ハンドリングやデスク トップ製品サポート業務が更に減少していたとはいえ,その他の業務については特に平成25年からの変化は認められず,かえって本部門の一時的な業務として,パソコン等の廃棄も行っており,毎月30時間前後の時間外労働時間を申請していたことなどからすれば(前記1(5)ア,イ及びク),平成26年も平成25年と同様に,原告がZ9から指示されたTechnote の執筆を含め製品知識やITスキルの向上に取り組むための十分な時間が確保できる状況にあったとまでは認めるに足りない。 ク),平成26年も平成25年と同様に,原告がZ9から指示されたTechnote の執筆を含め製品知識やITスキルの向上に取り組むための十分な時間が確保できる状況にあったとまでは認めるに足りない。 そうした状況の中で,原告は,平成25年9月から平成26年9月19日までの間に,43件のTechnote の執筆に着手し,最終的に6件の公開に至っており(前記1(5)キ),Z9から指示されたTechnote の執筆に取り組んでいたとはいえる。確かに,平成26年のPBC目標で掲げられた件数には遠く及んでおらず,同年に被告が原告に実施しようとしたPIPや同年のPBC評価でもこのことが指摘されているが,原告が担当していた他の業務の量や自ら担当していないPMRについてTechnote を執筆する場合の負担との関係で目標が適切に設定されていたかについては定かではなく,PIPやPBC評価における上記のような指摘をもって,原告がPMRハンドリングを行えるようになるための準備を全く怠っていたとまではいえないというべきである。 そして,原告は,同年9月にZ9からPMRハンドリングのレベル1を担当するよう指示された際,これに従った場合に原告の組合活動にどの程度影響が生じるかを懸念して,本件組合による団体交渉を求めているが(前記1(5)カ),原告が当時,本件組合の中央執行委員を務めていたことも考慮すれば,そのこと自体は非難できない。被告もこうした原告の求めに応じて,同年10月 20日から平成27年3月16日までの間に合計9回の団体交渉を重ねていた(前記1⑹)。そして,9回目の団体交渉に至って,原告は,条件付きでPMRハンドリングへの業務変更に応じる旨回答した(前記1⑹イ(ケ))。原告が提示した条件は,被告にとって容易に承諾できるもので た(前記1⑹)。そして,9回目の団体交渉に至って,原告は,条件付きでPMRハンドリングへの業務変更に応じる旨回答した(前記1⑹イ(ケ))。原告が提示した条件は,被告にとって容易に承諾できるものではなかったといえるが,原告らがこの条件に固執するような態度をとっていたこともうかがえないことからすると,被告においてその後の交渉の余地がないと断ずるのも相当とはいえない。 そうすると,原告が当時担当していたExeption ハンドリングなどの業務自体の量が減少しており,将来更なる減少が見込まれていたことから,原告も本部門の主要な業務であるPMRハンドリングを担当する必要性が増していたことは認められるとしても,原告が本件解雇までZ9から指示されたPMRハンドリングを行っていなかったことにも理由がないとはいえず,直ちに不当とまではいえないというべきである。 イ(ア) 被告は,原告が平成24年以降,本部門の本来の業務であるPMRハンドリングを担当する必要性は増しており,Z9がそのために製品知識やITスキルを向上させる必要性があることを伝えていたにもかかわらず,原告がその準備を怠っていたと主張する。 確かに,PMRハンドリングは本部門の主要な業務であるが,平成25年9月にTechnote の執筆を指示されるまで原告が担当していたのは,PMRハンドリングとは関係のない業務であり,同月頃まで製品知識やITスキルの向上の必要性を具体的に伝えられていたとは認められないから,その間,原告がPMRハンドリングを担当するための具体的な準備を行っていなか ったとしても,それを非難することはできないというべきである。なお,被告は,平成24年頃から,Z9が原告に対して,製品知識,ITスキルの向上が必要であることを伝えていたと主張し,証人Z ったとしても,それを非難することはできないというべきである。なお,被告は,平成24年頃から,Z9が原告に対して,製品知識,ITスキルの向上が必要であることを伝えていたと主張し,証人Z9の証言にはこれに沿う部分があるが,具体的にこうした必要性を伝えた後の平成25年のPBC評価では原告にPMRハンドリングを求める旨の明確な記載がある一方で(前記1(4)カ(イ)),平成24年のPBC評価ではPMRハンドリングやそのための準備について何ら記載がないことからすれば(前記1(3)オ(イ)),上記供述は採用できず,他に被告の主張を認めるに足りる証拠はない。 (イ) 被告は,原告が平成24年以降に担当していた個々の業務について,その内容や件数,所要時間等を指摘して,当時の原告には,PMRハンドリングを行えるようになるための準備を行う十分な時間的余裕があったはずであると主張する。 原告がZ9からPMRハンドリングを行えるようになるために製品知識やITスキルの向上が必要であることを具体的に伝えられたのは平成25年9月であるが,原告は同年に毎月30時間前後の時間外労働を申請しており,被告もこれに異議を述べておらず,平成26年も同様であったことからすれば,この頃の原告に十分な時間的余裕があったとまでは認めるに足りない。なお,被告は,原告が申請していた時間外労働について,業務上の必要性はなかったと主張するが,当時,被告が何ら異議を述べておらず原告に注意をするなどしていなかったことからすれば(原告による時間外労働の申請に対し上司が注意したことがあると被告が指摘しているのは平成27年のことである。),採用できない。 (ウ) 被告は,原告の業務変更については労使協定に基づき事前協議が必要とされる事項ではなく,この点を措くとしても, ると被告が指摘しているのは平成27年のことである。),採用できない。 (ウ) 被告は,原告の業務変更については労使協定に基づき事前協議が必要とされる事項ではなく,この点を措くとしても,団体交渉において,原告及び本件組合側からはPMRハンドリングを行うようになった場合の原告の組合活動への具体的な支障は明らかにされず,その代わりに,原告が担当することが想定されるPMRハンドリングがレベル1であることについて難色が示されていたことを踏まえれば,原告は合理的な理由なくPMRハンドリングを担当することを拒んでいたと評価されてもやむを得ないと主張する。 しかし,仮に原告のPMRハンドリングへの業務変更が労使協定によって事前協議を義務付けられた事項ではなかったとしても,原告が当時中央執行委員という立場にあったことからすれば,PMRハンドリングを担当するようになった場合に組合活動にどの程度の影響が生じるかを懸念し,団体交渉を求めたことは非難されることではない。 また,原告の組合活動への具体的な支障が明らかにされなかったとの点については,その前提となるPMRハンドリングの業務量についての被告の説明には曖昧な部分があり(前記1⑹イ(ウ)),十分な情報を提供していたとは評価し難いことからすれば,原告らに一方的に非があるとはいえない。 さらに,原告が担当することが想定されるPMRハンドリングがレベル1であることに難色を示していた点については,被告が退職勧奨の手段として原告にこれを担当させようとしているのではないかとの懸念を抱いたことによるものであるが,当時,レベル1は被告の正社員ではなく,協力会社の社員が担当していたこと(甲37)に照らせば,原告らがそのような懸念を 抱いたとしても無理からぬところがあったといえる。 したが であるが,当時,レベル1は被告の正社員ではなく,協力会社の社員が担当していたこと(甲37)に照らせば,原告らがそのような懸念を 抱いたとしても無理からぬところがあったといえる。 したがって,被告が主張する点を考慮しても,原告がPMRハンドリングを担当することを不当に拒絶し続けていたとはいえない。 (4) 小括以上によれば,原告については,本件解雇までに長年にわたって問題点についての指導を受けるなどしてきたにもかかわらず,なお改善が十分とはいえない面があり,その業績も芳しくなかったということができる。また,平成25年に指示されたTechnote の執筆,公開についても十分な件数に達していたとまでは評価されておらず,被告が原告の将来の業務量減少を見据えて,平成26年9月に指示したPMRハンドリングについても,その後約6か月を経過し,9回の団体交渉を重ねた時点に至って初めてこれに応じる旨回答されたものの,被告が容易には承諾できない条件が付されていたことからすれば,この時点で,被告が原告について,「技能または能率が極めて低く,かつ上達または回復の見込みが乏しいかもしくは他人の就業に支障を及ぼす等,現職または他の職務に就業させるに著しく適しないと認められるとき」に該当すると判断したことも,およそ根拠を欠いたものであるということはできない。 しかし,原告は,指摘を受けていた問題点については改善に努めようとしており,一応の改善は見られていたし,平成22年以降はPBC評価も改善傾向にあったといえる。また,平成25年9月にZ9からPMRハンドリングを担当できるようになるために製品知識やITスキルの向上が必要であると具体的に伝えられ,Technote の執筆を指示されてからは,その執筆に取り組んでいた。 平成26年9月に指示された ハンドリングを担当できるようになるために製品知識やITスキルの向上が必要であると具体的に伝えられ,Technote の執筆を指示されてからは,その執筆に取り組んでいた。 平成26年9月に指示されたPMRハンドリングについても,原告 がこれを行うようになった場合の組合活動への影響を懸念し,被告に団体交渉を求めたこと自体は非難できず,最終的にはこれに応じる旨の回答しており,その際に条件を付していたとはいえ,なお交渉の余地が残されていたとみるべきであるから,この時点で原告がPMRハンドリングを行っていなかったとしても,これを不当に拒絶していたとはいえないというべきである。 そして,そもそもPMRハンドリングについては,原告が当時担当していた業務の量が将来的に減少していくことが見込まれたという事情があったとはいえ,件数を調整すれば原告にも担当できると被告が判断して,実際に指示していた業務であることや原告の上記回答に対し,被告において何ら回答や交渉も行わないまま,その翌日に本件解雇に係る解雇予告が行われたという経緯も踏まえれば,本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当とはいえず,権利濫用として無効というべきである。 3 争点(2)(本件解雇が不当労働行為に当たるか)について(1) 前記前提事実(第2の1)に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ア原告による組合活動等(甲64,弁論の全趣旨)(ア) 原告は,平成15年7月に本件組合に加入した。 (イ) 本件組合は,平成16年から平成21年にかけて,被告に対し,原告の所属する部署の人員を増強するよう繰り返し要求した。 (ウ) 原告は,平成17年7月本件組合の中央執行委員に就任した。これ以降,原告は,分会役員であった から平成21年にかけて,被告に対し,原告の所属する部署の人員を増強するよう繰り返し要求した。 (ウ) 原告は,平成17年7月本件組合の中央執行委員に就任した。これ以降,原告は,分会役員であった一時期を除き,現在に至るまで,本件組合の中央執行委員を務めている。 (エ) 原告は,本件組合とともに,β労働基準監督署及び千葉労 働基準監督署に,被告による法令違反を申告し,平成20年11月14日にβ労働基準監督署から,平成22年3月5日に千葉労働基準監督署から,それぞれ被告に対する行政指導が行われた。 (オ) 平成20年10月から12月にかけて,被告がRAプログラムと呼ばれる退職者を募るためのプログラムを実施した際,原告は,東京分会の書記長として,多数の組合未加入者の相談に応じた。 イ本件解雇後の団体交渉等(ア) 本件組合は,平成27年3月17日に原告が解雇予告の通知を受けて,同月19日,被告に対し,本件解雇を撤回し団体交渉を行うことや原告及びこれと同時期に解雇予告を受けた3名の本件組合員の具体的な解雇理由,解雇決定に至るプロセス等の説明を求めた(甲16,17)。 また,本件組合は,同日の団体交渉において,被告に対し,本件解雇の撤回を強く要求した(甲106)。 (イ) 被告は,同月23日,本件解雇の撤回を拒否する旨回答した(甲18)。 また,被告は,原告の解雇事由等を記載した同日付けの書面を交付して,本件組合からの上記(ア)の要求に回答したが,同書面には,以下の記載があった(甲19)。 「同組合員(判決注:原告のこと)は,継続して業績が低い状態が続いており,その間,会社は,業績改善のため,所属長による定期的なコーチング・面談の実施,技術力向上のための研修 19)。 「同組合員(判決注:原告のこと)は,継続して業績が低い状態が続いており,その間,会社は,業績改善のため,所属長による定期的なコーチング・面談の実施,技術力向上のための研修機会の付与,担当業務の変更を指示するなど,様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善が なされず,会社は,もはやこの状態を放っておくことが出来ないと判断しました。これは正社員就業規則第45条2項の解雇事由に該当します。 また,以下に同組合員の低業績の具体的な例を記載します。 しかしながら,これらは,同組合員の低業績を裏付ける具体的な行動・態度を,あくまでも例示するものであり,網羅するものではありません。 1.ソフトウェア製品のサポート・テクニカル・スタッフとして必要なスキル(基本的なITスキルや問題の切り分け,お客様とのコミュニケーションスキル)が極めて低く,アサイン出来る仕事が極めて限定的であること。 2.アサインされた業務の成果物(公開されたTechnote)の量・質ともに目標に遠く及ばず,品質の向上には,関連する周囲の社員の多大な支援を必要とすること。また,工数(時間)は標準の4倍以上かかっており,生産性が非常に低いこと。 3.スキルが不足しており成果が低い状況にありながら,スキルを向上しようとする意思や行動が見られず,成果物を完成させようとする責任感にも乏しいこと。」(ウ) 本件組合は,平成27年3月27日付けの書面で,被告に対し,改めて原告の解雇の具体的な理由を明らかにするよう要求したのに対し,被告は,同年4月1日の団体交渉において,上記(イ)と同旨の回答を行った(甲20,21,107)。 これに対し,本件組合は,同日の団体交渉において,被告に対し を明らかにするよう要求したのに対し,被告は,同年4月1日の団体交渉において,上記(イ)と同旨の回答を行った(甲20,21,107)。 これに対し,本件組合は,同日の団体交渉において,被告に対し,本件解雇について協議が尽くされるまで同月3日とされていた解雇の効力発生日を延期するよう求めたが,被告はこれに応じなかった(甲22,107,弁論の全趣旨)。 ウ本件に関連する救済命令申立事件(ア) 東京都労働委員会(以下「都労委」という。)は,本件組合らが本件組合員を対象とする一連の解雇などが不当労働行為に当たるとして救済命令を申し立てていた事件において,次のとおり,要望書及び勧告書を労使双方に交付した。 a 平成26年4月11日付けで,労使双方は紛争の拡大を招くような行為を控えるなど,格段の配慮を払うよう求める要望書(以下「本件要望書①」という。)を交付した(甲13)。 b 続いて,同年6月27日付けで,本件要望書①を発したにもかかわらず再度本件組合らから審査の実効確保の措置勧告申立てがされるに至ったことは極めて遺憾であり,労使双方は本件要望書①を遵守するとともに,被告においても紛争の拡大を招くおそれのある行為を控えるなど,格段の配慮を払うことを強く要望する旨の要望書(以下「本件要望書②」という。)を交付した(甲14)。 c さらに,平成27年3月18日付けで,本件要望書①及び本件要望書②を交付したにもかかわらず,その後も本件組合員に対する退職勧奨や解雇予告等が繰り返し行われるなど,労使関係は不安定化の一途をたどっていると解さざるを得ず,極めて遺憾であり,被告において本件組合らの立場を尊重し,円満な集団的労使関係の構築,維持に向け,本件組合員らの解雇等に当たっては,本件組合らとの協議,説明を十分に行うなど いると解さざるを得ず,極めて遺憾であり,被告において本件組合らの立場を尊重し,円満な集団的労使関係の構築,維持に向け,本件組合員らの解雇等に当たっては,本件組合らとの協議,説明を十分に行うなど,格段の配慮を払うよう勧告する旨の勧告書(以下「本件勧告書」という。)を交付した(甲15)。 (イ) 本件組合は,平成24年9月21日に予定されていた団体交渉において,その直前に本件組合員6名(原告は含まれてい ない。)に対して行われた解雇予告等を議題として協議することを被告が拒否したことが団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとして,同年11月5日,都労委に対し,救済を申し立てた。 都労委は,上記申立てについて,平成25年8月6日,被告の行為が不当労働行為に当たることを認め,被告に対し文書の掲示及び交付を命じた。 被告は,同年9月10日,上記決定を不服として再審査申立てを行ったが,中央労働委員会は,平成27年6月17日,被告の行為が不当労働行為に当たることを認め,再審査申立てを棄却した。(甲51)エ平成24年から平成26年までの間に業績不良を理由に被告から解雇予告を受けた本件組合員のうち少なくとも原告を含む12名については解雇予告に先立ってRAプログラムによる退職勧奨を受けており,解雇予告を受けた非組合員については全員がRAプログラムの対象となっている(甲54,64,乙33の1,弁論の全趣旨)。 オ本件組合に関する被告従業員の発言(ア) 本件組合員であったZ18の所属長であったZ19は,平成23年12月13日のPBC面談の際,Z18に対し,言いにくいが労働組合に入ると異動が困難になる旨を述べた(甲59)。 (イ) Z18の所属長であったZ20は,平成25年1月7日のPBC面談の際,Z18に対し,組合に入 C面談の際,Z18に対し,言いにくいが労働組合に入ると異動が困難になる旨を述べた(甲59)。 (イ) Z18の所属長であったZ20は,平成25年1月7日のPBC面談の際,Z18に対し,組合に入るとある意味腫れ物になってしまい,人ではなく立場で見られるようになる旨を述べた(弁論の全趣旨)。 (ウ) Z18の上長であったZ21は,平成25年3月22日の面談の際,組合は好きではない旨及びその理由はやり方が間違っていると思うからである旨述べた(弁論の全趣旨)。 カ被告の資料における組合の位置付けに関する記載(ア) 被告がRAプログラムの実施に向けて作成した平成20年10月20日付け資料では,「センシティブな社員」として「メンタルの社員」と「組合に属する社員」が挙げられている。 組合に属する社員への対応としては,退職強要ととられるような行為は避けること,組合を通すよう要求された場合は人事に報告するが,面談の中断は不要であること,他の組合員が介入しようとする場合は他者の介入は断固拒否し,人事に報告すること,退職しない意思が固いことが確認された場合は,それ以上のアプローチは不要であることが記載されている。(甲26)(イ) 被告が平成22年6月に作成した内部資料には,本件組合員についての記載があり,平成20年1月から平成21年10月までの毎月の組合員数が棒グラフで示され,平成20年第4四半期のRAプログラムにより25人の従業員が組合に加入した旨記載されている(甲25)。 (2) 原告は,本件解雇が本件組合員である原告に対する不利益取扱い労働組合法7条1号)及び本件組合の活動に対する支配介入(同条3号)に該当すると主張するので,以下検討する。 アまず,原告は,本件組合が昭和34年に結成されて以来の被告との間の労使対立 取扱い労働組合法7条1号)及び本件組合の活動に対する支配介入(同条3号)に該当すると主張するので,以下検討する。 アまず,原告は,本件組合が昭和34年に結成されて以来の被告との間の労使対立を背景として本件組合員を対象とする一連の解雇が行われたと主張する。 しかし,本件組合と被告との間の過去の係争と本件組合員を対象とする一連の解雇との間の関連性を認めるに足りる証拠はな い。 イ原告は,2年連続でPBC評価が3以下の母集団で比較した場合,平成24年7月20日以降に解雇予告を受けた者の比率は,組合員集団の方が非組合員集団に比べて毎年一貫して圧倒的に高いと主張する。 しかし,平成24年から平成26年までの間に業績不良を理由に被告から解雇予告を受けた本件組合員のうち少なくとも原告を含む12名については解雇予告に先立ってRAプログラムによる退職勧奨を受けており,非組合員については全員がRAプログラムの対象となっていることは,上記(1)エのとおりである。そうすると,RAプログラムによる自主退職者の中にはそれに応じなければ解雇予告の対象となり得た者(潜在的な解雇予告の対象者)が含まれているといえるから,原告の主張の前提となっている計算方法は,解雇予告の対象者になり得たにもかかわらずRAプログラムによる自主退職を選択した者の数を全く考慮に入れない点で妥当性を欠いているというべきである。 この点について,原告は,乙33の1に基づき,被告の人事担当執行役員であるZ13がRAプログラムの対象者と解雇予告の対象者は,別の母集団から選定したと供述しているとして,RAプログラムによる自主退職者の数を考慮に入れるべきではないと主張するが,乙33の1によれば,同人の供述を原告が主張するように解することはできない。 また, 団から選定したと供述しているとして,RAプログラムによる自主退職者の数を考慮に入れるべきではないと主張するが,乙33の1によれば,同人の供述を原告が主張するように解することはできない。 また,原告は,RAプログラムによる自主退職者の全員が潜在的な解雇予告対象者であったわけではないから,RAプログラムによる自主退職者の数を全て考慮することは妥当ではないと主張している。しかし,そうであるとしても,その数を一切考慮し ないとする原告の主張を採用できないことは明らかである。 さらに,原告は,RAプログラムによる自主退職者のうち潜在的な解雇予告対象者であった者の数を一定程度考慮したとしても,解雇予告対象者の比率については,組合員集団と非組合員集団との間で圧倒的な格差が存在することが推認できると主張するが,これを裏付ける証拠はない(被告がRAプログラムによる自主退職者のうち潜在的な解雇予告対象者であった者の数を明らかにしていないことをもってしても,そのような推認を行うことはできない。)。 ウ被告の内部資料において本件組合員がセンシティブな社員として記載されているが(前記(1)カ(ア)),その中には本件組合員を狙って退職させるように仕向けるなどの内容は見当たらず,むしろ,そのように誤解されないようにするため,RAプログラム実施に当たってどのように対応すべきかが記載されているにとどまるから,その記載自体は不当なものとはいえない。また,別の資料ではRAプログラム後に本件組合員が増加したと分析されているが(前記(1)カ(イ)),本件組合員の増加を否定的に評価したり,その対策を講じようとしたりする趣旨のものとは認められない。 したがって,これらをもって被告の本件組合に対する反組合的な意思を推認することはできない。 エ原告は, の増加を否定的に評価したり,その対策を講じようとしたりする趣旨のものとは認められない。 したがって,これらをもって被告の本件組合に対する反組合的な意思を推認することはできない。 エ原告は,本件組合員の上司らは,本件組合について否定的な発言をしたり,本件組合員であることを揶揄するような言動に及んだりしており,被告の社内では反組合的な意識が蔓延していると主張する。 確かに,原告が主張するような本件組合員の上司らの発言が一 部認められるものの(前記(1)オ),これをもって発言した上司らの個人的な見解であることを超えて,被告の社内で反組合的な意識が蔓延していたとまでは認められない。 オ原告は,原告を含む本件組合員に対する解雇については,本件組合に抵抗の余地を与えないために,業務上の面談を装って対象者を呼び出した上で解雇予告を行い,その後直ちに荷物をまとめさせて職場から退去させ,それ以後の職場への立入りを禁じるという対応で行われていると主張する。 しかし,こうした態様で解雇を行うことがあながち不当とはいえないことは後記4のとおりであって,被告に本件組合に抵抗の余地を与えないといった目的があったとは認められない。 カ原告は,本件解雇を含む本件組合員を対象とする一連の解雇については,現場レベルの意向を離れて人事部門主導で被解雇者が選定されており,本件組合の弱体化を目的としてされたことが強く疑われると主張する。 しかし,一定規模の会社組織においては,解雇の対象となることを検討する従業員が存在した場合に,人事部門が直属の上司らに業績評価等を報告させ,これを基に当該従業員を解雇するか否かを判断したとしても,通常の手順と異なるものとみることはできないから,こうした事情をもって本件組合員を対象とする一連の解雇が本件組合の弱体 業績評価等を報告させ,これを基に当該従業員を解雇するか否かを判断したとしても,通常の手順と異なるものとみることはできないから,こうした事情をもって本件組合員を対象とする一連の解雇が本件組合の弱体化を目的としてされたとは認められない。 キ原告は,原告を含む本件組合員に対する解雇によって本件組合員の数は激減し,本件組合は弱体化させられたと主張する。 しかし,原告が本件組合員を対象とする一連の解雇が始まったと主張する平成25年度以降の新規加入者数は,平成25年度は 15人,平成26年度は8人,平成27年度は6人であるが,過去にはこれらと同程度かこれらを下回る年度も散見されるから(平成14年度は12人,平成17年度は15人,平成18年度は6人,平成19年度は2人,平成20年度は1人)(甲44,弁論の全趣旨),本件組合員を対象とする一連の解雇によって本件組合が弱体化させられたとは認められない。 ク原告は,原告が平成17年7月以降,本件組合の中央執行委員として積極的に組合活動を行ってきたこと,本件解雇が直前まで原告の業務変更をめぐる団体交渉が行われていた中で突如行われたものであること,被告は本件解雇の直後に都労委から本件勧告書が交付され,本件組合からも本件解雇の撤回や解雇の効力発生日を延期するよう求められたにもかかわらず,解雇を強行したことからすれば,本件解雇は組合嫌悪の意思に基づく不利益取扱い及び支配介入であると主張する。 しかし,原告が本件組合の中央執行委員として様々な組合活動に従事していたにしても(前記(1)ア),被告が原告の過去の組合活動に反感を示していたといった事実も認められないから,原告の組合活動と本件解雇との間に関連性を認めることはできない。 また,本件解雇を行った時点で,被告が原告について就業 告が原告の過去の組合活動に反感を示していたといった事実も認められないから,原告の組合活動と本件解雇との間に関連性を認めることはできない。 また,本件解雇を行った時点で,被告が原告について就業規則45条2号に該当すると判断したこともおよそ根拠を欠いたものといえないことは,前記2(4)のとおりであるから,解雇予告が9回目の団体交渉において原告がPMRハンドリングを行う旨回答した翌日であったとしても,そのことから本件組合に対する嫌悪の意思まで推認することはできない。 さらに,本件解雇の直後に都労委が被告に交付した本件勧告書やそれに先立って交付されていた本件要望書①及び本件要望書 ②は,いずれも業績不良を理由とする従業員の解雇を行わないよう求めるものではないことからすれば,被告が業績不良を理由として行った本件解雇の撤回又は効力発生日の延期に応じなかったとしても,本件解雇が組合嫌悪の意思に基づいて行われたものと認めることはできない。 ケ以上のとおり,原告が主張する事情はいずれも本件解雇が組合嫌悪の意思に基づくものであったことを推認させるには十分とはいえず,これらを全体として評価しても同様である。 (3) よって,本件解雇が本件組合員である原告に対する不利益取扱い労働組合法7条1号)及び本件組合の活動に対する支配介入(同条 3号)に該当するとは認められない。 4 争点(3)(本件解雇の態様が不法行為に当たるか)について原告は,本件解雇が客観的に合理的な理由を欠いており被告もこれを認識していたにもかかわらず,本件組合に対する嫌悪という不当な動機に基づいて,極めて悪質かつ杜撰な手続で強行されたものであり,不法行為に当たると主張する。 しかし,本件解雇を行った時点で,被告が原告について就業規則45条2号に該当すると判 嫌悪という不当な動機に基づいて,極めて悪質かつ杜撰な手続で強行されたものであり,不法行為に当たると主張する。 しかし,本件解雇を行った時点で,被告が原告について就業規則45条2号に該当すると判断したこともおよそ根拠を欠いていたといえないことは,前記2(4)のとおりであるから,被告が客観的に合理的な理由を欠いていることを認識しながらあえて本件解雇に及んだとは認められない。 解雇予告と共に職場から退去させられ出社を禁止されたことについては,被告が情報システムに関わる業務を行う企業であり,原告らの職場でも自社及び顧客の機密情報が扱われていると推認できるところ,一般的には,解雇予告をして対立状態となった当事者が機密情報を漏えいするおそれがあり,しかも,漏えいが一旦生ずると被害の 回復が困難であることからすると,上記の措置に違法性があるとはいえない。また,期間内に自主退職をすれば退職の条件を上乗せするという提示は,それがない場合と比較して労働者にとって不利益な扱いともいえないことからすると,違法性があるとはいえない。 原告が本件組合の中央執行委員として様々な組合活動に従事してきたことや原告が主張する本件解雇前後の経緯に照らしても,本件解雇が組合嫌悪の意思に基づくものとは推認できないことは前記3(2)クのとおりである。 したがって,本件解雇が不法行為に当たるとは認められない。 5 争点(4)(上記(1)から(3)までの請求が認められた場合に原告に支払われるべき賃金等の額,賠償されるべき損害の額)について(1) 賃金について前記2のとおり,本件解雇は無効であるから,原告は,労働契約に基づき,本件解雇前と同額の賃金債権を有するところ,本件解雇当時の原告の給与が月額30万4600円であったことは当事者間に争いがなく(上記金額 のとおり,本件解雇は無効であるから,原告は,労働契約に基づき,本件解雇前と同額の賃金債権を有するところ,本件解雇当時の原告の給与が月額30万4600円であったことは当事者間に争いがなく(上記金額は平成25年7月及び平成26年7月の2度にわたって減額された後の金額である。ただし,原告は,減額自体の効力については無効を主張して争っている。),給与規程(乙3)によれば,給与の計算期間は当月1日から当月末日までとされ,支払日は当月24日とされていることが認められる。 したがって,原告は,被告に対し,未払賃金として,平成27年5月から本判決確定の日まで毎月24日限り30万4600円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 賞与についてア被告の給与規程(乙3)によると,賞与については毎年6月と 12月に支給するものとされ,社員の職務内容,バンド,業績評価,執務態度及び本給を総合勘案して,賞与基準額を定めるものとされ,さらに,賞与基準額,バンド,在籍状況・出勤率,前年1月1日から前年12月末日までの期間の会社業績及び個人業績を勘案して,毎期会社が賞与支給額を定めるものとされている。 こうした定めによれば,業績評価等の過程で被告の裁量により支給額を変動させる余地はあるものの,賞与の支給自体は原則的な契約内容を成しているものと解される。 また,被告における賞与の支給日は毎年6月10日及び12月10日であると認められる(乙89,弁論の全趣旨)。 イ原告の直近の賞与として平成26年6月10日に47万8503円,同年12月10日に34万0040円がそれぞれ支給されたことは当事者間に争いがないが,このように賞与額が減少したのは,原告の「賞与・定期俸基準額」及び「Re 平成26年6月10日に47万8503円,同年12月10日に34万0040円がそれぞれ支給されたことは当事者間に争いがないが,このように賞与額が減少したのは,原告の「賞与・定期俸基準額」及び「ReferenceSalary(RS)」が変更されたことに伴うものであることが認められ(弁論の全趣旨),これ以外に同年12月に原告に支給された賞与額を同月以降変動させるような事情は見当たらないから,原告は,平成27年6月以降も34万0040円の賞与を受け取ることができたものと認めるのが相当である。 ウ被告は,原告に対し,平成27年6月の賞与について,同月10日に元本のうち17万6651円を,同年12月1日に元本のうち4万6698円及びこれに対する同年6月11日から同年12月1日までの年6分の割合による遅延損害金として1336円をそれぞれ支払ったことが認められる(乙89,90,弁論の全趣旨)。 エしたがって,原告は,被告に対し,平成27年6月の賞与につ いては,34万0040円から既払いの元本の合計額22万3349円を除いた11万6691円及びこれに対する同月11日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができ,同年12月以降の賞与については,同月から判決確定の日まで毎年6月10日及び12月10日限り34万0040円並びにこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (3) 不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用の請求は認められない。 第4 結論以上によれば,原告の請求は,主文1項から4項までに掲記した限度で理由があるから認容し,その余の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部 裁判官 よれば,原告の請求は,主文1項から4項までに掲記した限度で理由があるから認容し,その余の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第36部 裁判官大野眞穗子 裁判官人見和幸 裁判長裁判官𠮷田徹は転官につき,署名押印することができない。 裁判官大野眞穗子
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