【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人児玉義史の上告理由について 不動産の強制競売事件における執行裁判所
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人児玉義史の上告理由について 不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分は、債権者の主張、登記簿の記 載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われるものであり、その結 果関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありうるが、これについて は執行手続の性質上、強制執行法に定める救済の手続により是正されることが予定 されているものである。したがつて、執行裁判所みずからその処分を是正すべき場 合等特別の事情がある場合は格別、そうでない場合には権利者が右の手続による救 済を求めることを怠つたため損害が発生しても、その賠償を国に対して請求するこ とはできないものと解するのが相当である。しかるところ、原審の適法に確定した 事実関係によれば、上告人が本件土地の所有権を取得したとしてこれにつき処分禁 止の仮処分決定を得、その登記を経由したのは、本件土地につきされた競売開始決 定に基づき競売手続が進行中であつたというのであつて、所論の如く上告人が所有 権を取得した以上これに遅れて配当要求をした債権者のためには競売すべきではな く本件土地三筆の全部を競売することが超過競売となり上告人の所有権を害するこ とがあると解せられるとしても、暫定的な処分にすぎない仮処分決定があるという だけでは、前記の特別の事情がある場合にあたるということはできず、上告人とし ては強制執行法上の異議の訴えを起し執行停止決定を得てその正本を執行裁判所に 提出するなど強制執行法上の手続による救済を求めるべきものであつたのである。 しかるに、更に原審の適法に確定したところによれば、上告人は強制執行法上の手 続による救済を求めなかつたというのであるから、本件土地の全部が競売された の手続による救済を求めるべきものであつたのである。 しかるに、更に原審の適法に確定したところによれば、上告人は強制執行法上の手 続による救済を求めなかつたというのであるから、本件土地の全部が競売されたこ - 1 - とにより、上告人がその一部の所有権を失い、また、その売得金が上告人の得た仮 処分決定の後に配当要求をした債権者にも配当されて上告人が配当を受けることが できなかつたのは、上告人が右の手続による救済を求めることを怠つた結果による ものというべきであつて、上告人はその被つた損害につき国家賠償法の規定による 賠償を請求することはできないものといわなければならない。これと同趣旨に帰着 する原判決は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、 採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 伊 藤 正 己 裁判官 環 昌 一 裁判官 横 井 大 三 裁判官 寺 田 治 郎 - 2 -
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