令和6(わ)17 殺人、死体遺棄、窃盗、窃盗未遂、詐欺

裁判年月日・裁判所
令和6年12月13日 釧路地方裁判所
ファイル
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判決文本文3,288 文字)

主文 被告人を懲役19年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は、第1 令和5年11月10日午前11時24分頃から同日午後1時35分頃までの間に、北海道足寄郡a 町(住所省略)A(以下「被害者」という。)方において、被害者(当時66歳)に対し、殺意をもって、その頭部をハンマー(釧路地方検察庁令和6年領第96号符号1-1及び1-2)で複数回殴打し、その頸部を手 で複数回絞めるなどの暴行を加え、よって、その頃、同所において、被害者を死因不詳により死亡させて殺害した。 第2 同日午後2時頃から同日午後2時35分頃までの間に、同町(住所省略)B除雪ステーション東方約2.7キロメートル先の山林において、被害者の死体を投棄し、もって死体を遺棄した。 第3 同日午後2時頃から同日午後3時12分頃までの間に、上記山林から上記被害者方付近までの間を走行中の自動車内において、被害者所有又は管理のキャッシュカード1枚及びクレジットカード1枚等3点を窃取した。 第4 上記第3の犯行により窃取した上記キャッシュカードを使用して現金を窃取しようと考え、同月13日午前9時11分頃、北海道帯広市(住所省略)株式会 社C銀行D店において、同所に設置された現金自動預払機に上記キャッシュカード1枚を挿入して同機を作動させ、同店店長E管理の現金を引き出して窃取しようとしたが、上記キャッシュカードに係る銀行口座が取引停止中であったため、その目的を遂げなかった。 第5 上記第3の犯行で窃取した被害者名義のクレジットカードを使用して、商品 購入の名目で商品をだまし取ろうと考え、同日午前10時3分頃、同市(住所省 略)F店において、同店店 た。 第5 上記第3の犯行で窃取した被害者名義のクレジットカードを使用して、商品 購入の名目で商品をだまし取ろうと考え、同日午前10時3分頃、同市(住所省 略)F店において、同店店員に対し、真実は、上記クレジットカードの正当な使用権限も同クレジットカードシステム所定の方法により代金を支払う意思もないのに、これらがあるように装い、同クレジットカードを同店に設置されたカードリーダーに挿入して、咳止め薬2点等6点の購入を申し込み、上記店員に、被告人が同クレジットカードの正当な使用権限を有し、同クレジットカードシステム 所定の方法により代金の支払を受けられるものと誤信させ、よって、その頃、同所において、上記店員から上記咳止め薬2点等6点(販売価格合計5434円)の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 (証拠の標目) 省略(法令の適用) 省略 (量刑の理由)量刑判断の中心となる判示第1の犯行についてみると、被告人は、被害者に馬乗りになり、複数回にわたってその首を絞めるとともに、ハンマーで数十回にわたってその頭部を殴るなどの強度かつ執拗な暴行を加えており、犯行態様の悪質性は相当に高い。被告人の暴行は、被害者の言動に腹を立てて突発的に行われたものであ り、計画性はうかがわれないものの、その犯行態様に照らせば、殺意は強固であったと認められる。この点、被告人は公判廷において被害者を殺害するつもりはなかったと供述する部分があるが、犯行態様に照らせばこれを採用する余地はない。 被害者は、安心できるはずの自宅内において、知人であった被告人から執拗な暴行を受け、やめるよう懇願しても聞き入れられることなく命を奪われたものであっ て、その苦痛は想像を絶するものである。被害者の遺族らも、突然に凄惨な形で被 おいて、知人であった被告人から執拗な暴行を受け、やめるよう懇願しても聞き入れられることなく命を奪われたものであっ て、その苦痛は想像を絶するものである。被害者の遺族らも、突然に凄惨な形で被害者を奪われたものであって、その精神的苦痛は甚大であり、被告人に対して厳罰を望むのも当然である。 被告人の供述によれば、被害者がハンマーを持ち出して振り回し、これが被告人に当たったことをきっかけに被告人が被害者に対して暴力を加え始めたことは否定 できない。なお、検察官は、被告人の上記供述部分は信用できないと主張するが、 当時さほど交流のなかった被告人が被害者の就寝中に勝手に寝室に入り込んできたことなどを考慮すれば、護身用として枕元にハンマーを備えおいていた被害者が、その後のやり取りのなかでハンマーを手に取ったことも考えられないとはいえず、被告人のこの供述部分を排斥することはできないというべきである。もっとも、被告人の供述を前提としても、被告人が被害者の寝室に勝手に立ち入り、就寝中の被 害者に対して執拗に自動車や燃料代を貸すよう求めたことなどが原因で被害者がハンマーを持ち出すに至ったことに加え、これにより被告人が上記のような強度で執拗な暴行を加えて被害者を殺害することが正当化される余地はないことからすれば、被害者がハンマーを持ち出したことが被告人のその後の行為を誘因した側面があったとしても、これを被告人に有利に斟酌する余地は乏しいというべきである。 また、被告人の精神鑑定の結果によれば、被告人の自閉スペクトラム症の症状が暴行を開始継続することを幾分か促進した面があったが、被害者を殺害する判断には影響していなかったと認められる。そして、被告人は、被害者を殺害後には血痕を洗浄・隠匿したほか、被害者の遺体を遺棄するなど、自ら 開始継続することを幾分か促進した面があったが、被害者を殺害する判断には影響していなかったと認められる。そして、被告人は、被害者を殺害後には血痕を洗浄・隠匿したほか、被害者の遺体を遺棄するなど、自らの保身のために合理的な行動を手際よく取ることができていることも考慮すれば、被告人の善悪の判断能 力やそれに従って行動を制御する能力はほとんど減退しておらず、上記症状が被告人の行為に寄与した程度は極めて限定的であったと認められる。 以上によれば、被告人が被害者の殺害を決意した意思決定に対しては強い非難が向けられるべきである。 続いて、判示第2の犯行についてみると、被告人は、市街地から離れた人気のな い山林に被害者の遺体を遺棄したものである。そして、被害者の遺体が野生生物に損壊されたことがうかがわれ、現在でも左足の骨の一部と数枚の爪しか発見されておらず、生じた結果は重大である。被告人が被害者の遺体を発見が極めて困難な場所に遺棄したことに照らせば、自己の犯した犯罪の刑責から逃れる目的であったと考えるほかなく、死者の尊厳を全く顧みず、保身のみを考えた身勝手な犯行という べきである。 さらに、判示第3ないし第5の各犯行についてみると、被告人は、殺人等の行為の後にも、その重大性を省みるどころか、立て続けに罪を重ねており、強い非難に値する。 以上の検討のほか、被告人には過失犯による古い罰金前科が2犯あるに過ぎないことを踏まえると、本件は、同種事案(知人や友人等を被害者とする鈍器類を用い た単独犯による殺人1件で、処断罪名と異なる主要な罪名及び量刑上考慮すべき前科がないもの)の量刑傾向の中では重い部類に属するというべきである。 そして、被告人が、本件各犯行を認めて自白し、事案の解明に協力した一方で、必ずしも内省が深まって 主要な罪名及び量刑上考慮すべき前科がないもの)の量刑傾向の中では重い部類に属するというべきである。そして、被告人が、本件各犯行を認めて自白し、事案の解明に協力した一方で、必ずしも内省が深まっているとは認め難いことなども考慮し、被告人に対しては主文の刑を科すのが相当であると判断した。 主文 (求刑懲役22年、各被害者参加人の科刑意見法律上科し得る最も重い刑) 令和6年12月13日 釧路地方裁判所刑事部 裁判長裁判官井草健太 裁判官若山哲朗 裁判官髙見澤昌史

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