昭和59(ネ)2250 保険金請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和60年10月16日 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。      被控訴人の請求を棄却する。      訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。          事    実  第一 当事

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判決文本文3,080 文字)

主文原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 事実第一当事者双方の申立一控訴の趣旨主文同旨二控訴の趣旨に対する答弁本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 第二当事者の主張原判決六枚目表九行目冒頭から一一行目末尾までの記載を次のとおり改めるほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。 「四八年約款中の『飲酒運転中の事故によるとき』とは『酒に酔つて正常な運転ができない状態での運転を原因として事故が発生したとき』の意味に解すべきである。また、本件事故は訴外Aの酒気帯び運転を原因として発生したものではない。」第三証拠関係(省略) 理由一請求原因(一)の事実すなわち昭和四八年九月二六日、訴外Aと控訴人との間で本件保険契約が締結され、継続して保険料が支払われていたことは当事者間に争いがない。 二請求原因(二)の(1)ないし(4)の事実は当事者間に争いがなく、右争いのない事実に、各成立に争いのない甲第一ないし第一〇号証、原審証人Bの証言を総合すると、昭和五七年九月二九日午後八時五分ころ、兵庫県宍粟郡a町b町c番地先の県道八鹿山崎線路上において、訴外Aの運転する被害車と訴外Bの運転する加害車とが衝突し、訴外Aは右事故により頭部打撲の傷害を受けて同日死亡したことが認められ、右認定に反する証拠はない。 三本件保険契約における普通保険約款(四八年約款)二三条には、控訴人が災害保険金の支払いを免れる場合の一つとして「被保険者の飲酒運転中の事故によるとき」の定めがあることは当事者間に争いがない。 おもうに、右「飲酒運転中の事故によ 款(四八年約款)二三条には、控訴人が災害保険金の支払いを免れる場合の一つとして「被保険者の飲酒運転中の事故によるとき」の定めがあることは当事者間に争いがない。 おもうに、右「飲酒運転中の事故によるとき」の意義については、本件保険契約にかかる生命保険の目的及び経済的機能との相関関係において、これを合理的に解釈する必要があることはいうまでもないが、(1)成立に争いのない乙第五号証によれば、人が身体に一定量以上のアルコールを保有している場合には、肉体的、精神的機能に影響があり、アルコールの量が増えるにしたがつて右機能が低下し、そのような状態で車両等を運転するときは一般に交通事故を起こす蓋然性が増大するものと認められ、このようなアルコールの影響力を考慮して、四八年約款改正時及び本件保険契約締結時に施行されていた道路交通法及び同施行令は、何人もおよそ社会通念上酒気を帯びた状態で車両等を運転してはならないとして酒気帯び運転一般それ自体を禁止するとともに(同法六五条一項)、これに違反して車両等を運転した者のうち、身体に血液一ミリリットルにつき〇・五ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを保有する状態にあつた者は、三月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処せられるものとして(同法一一九条一項七号の二、同令四四条の三)その防止の徹底をはかつていること、(2)保険は、その理念として、私有財産制度と自己責任主義の下に経済生活を営む個人が偶然の出来事の発生の可能性によりおびやかされている不安定な状態に対処するための制度であり、その方法として、同じような危険にさらされた多数の者につき大数の法則を応用した確率計算に基づき、全体としての給付・反対給付均等の原則が妥当するような合理的計算にしたがい共同的備蓄をはかることによつて右危険の分散 て、同じような危険にさらされた多数の者につき大数の法則を応用した確率計算に基づき、全体としての給付・反対給付均等の原則が妥当するような合理的計算にしたがい共同的備蓄をはかることによつて右危険の分散をめざす制度であるということができるところ、このような制度の目的、機能に照らすと、前記のように、事故発生の蓋然性が一般に高いため法令によつて車両等の運転が禁止されその違反行為が刑罰に該当する酒気帯び運転行為中の事故による災害につき、保険会社が災害保険金の支払いを免責されるものとしても、それが右保険の目的、機能に反する不合理な約定であり、被保険者にとつて不公平なものであるとはいい難いこと、(3)当審証人丹直秀の証言によると、四八年約款と同旨の免責条項は当時わが国の多数保険会社において採用されていたものであるが、これら保険会社は、右「飲酒運転中の事故によるとき」の意義について従来から前記道路交通法施行令四四条の三が定める程度以上のアルコールを身体に保有して車両等を運転する場合に生じた事故による災害がこれに当たるとの解釈適用に従つて保険実務を運用し、右取扱いが保険取引上の慣習となつていたものであり、右実務の運用に合わせて昭和五六年に右免責条項の文言が五六年約款のとおり改正されたものであると認められ、右認<要旨>定を左右するに足りる証拠はないこと、以上を勘案すると、右「飲酒運転中の事故によるとき」の意義につ</要旨>いて、これを被控訴人主張のように、酒に酔つて正常な運転ができない状態での運転を原因として事故が発生したときの意味に限定して解釈すべき合理的な理由はなく、むしろ、その文理に従つて、被保険者が飲酒すなわち酒気を帯びて車両等を運転している間に生じた事故により死亡等の災害を被つた場合のうち、前記道路交通法一一九条一項七号の二が刑罰をもつて運転を はなく、むしろ、その文理に従つて、被保険者が飲酒すなわち酒気を帯びて車両等を運転している間に生じた事故により死亡等の災害を被つた場合のうち、前記道路交通法一一九条一項七号の二が刑罰をもつて運転を禁止している血液一ミリリットルにつき〇・五ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で運転をしたときを意味すると解するのが前記保険の制度の目的、機能にも合致した合理的な解釈というべきである。 本件において、成立に争いのない乙第四号証、原審証人C、当審証人Dの各証言によれば、訴外Aは、事故当日、訴外C方において大工職人として同家の内部改造工事に従事したのち、午後五時三〇分ころから七時三〇分ころまで酒食のもてなしをうけ、四人で日本酒を銚子二本程度、ビールを二本程度飲んだのち同家を辞し、軽四輪トラツクを運転して帰宅する途中、訴外セラ・モータースに寄り、同所において右車両をさきに購入しておいた被害車に乗り換えてこれを運転し、事故現場道路上において本件事故を惹起したものであるが、右事故時における訴外Aのアルコール血中濃度は血液一ミリリツトルにつき約一・二ミリグラムであつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。 以上のとおりであつて、本件事故は四八年約款二三条に定める「被保険者の飲酒運転中の事故」に該当し、控訴人は同条により本件災害保険金の支払義務を免れるものといわなければならず、被控訴人の本訴請求はこの点において理由がなく棄却を免れない。 四よつて、右と結論を異にする原判決中控訴人敗訴部分を取り消して被控訴人の本訴請求を棄却し、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官乾達彦裁判官東條敬裁判官馬渕勉) して被控訴人の本訴請求を棄却し、民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官乾達彦裁判官東條敬裁判官馬渕勉)

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