平成18(あ)34 殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
平成21年12月4日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
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判決文本文1,295 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人小川原優之の上告趣意は,事実誤認,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,保険外交員であった被告人が,白昼,被害者方において,被告人の顧客である被害者夫妻をマイナスドライバーや出刃包丁で刺殺したという殺人の事案である。被告人は,営業成績を伸ばすために締結した架空の保険契約の保険料支払等のため,保険料の横領行為等を繰り返していたところ,高額の報奨金欲しさから被害者らに虚偽の説明をして保険契約を締結させたものの,その後,虚偽説明が露見しかねない状況となり,本件犯行前日,被害者から同契約の解約について言及されるや,そうなれば自らのこれまでの不正行為も発覚し,自己の生活が破たんするなどと考え,本件犯行を決意したのであって,経済的利得の保持等のために口封じを図った身勝手な犯行動機は悪質である。被告人は,被害者夫妻を同時に殺害するのは困難と考えて夫が日課の昼寝をしている時間を見計らい,凶器のドライバーを携行して被害者方を訪問した上,妻の後頸部等を多数回にわたりドライバーで突き刺し,これでは殺し切れないと見るや,被害者方台所から出刃包丁を持ち出して更に同女の後頸部付近を多数回突き刺し,合計60か所以上の刺切創等を負わせて同女を殺害し,続いて,就寝中の夫の頸部等を上記包丁で多数回にわたって突き刺し,20か所の刺切創等を負わせて同人を殺害したのであって,本件は,- 2 -確定的殺意に基づく計画的な犯行であり,その態様は,執ようかつ残虐なものである。被害者らに落ち度はなく,2名の命を奪った結果は極めて重大であり,遺族の処罰感情も非常に厳しい。そして,本件 - 2 -確定的殺意に基づく計画的な犯行であり,その態様は,執ようかつ残虐なものである。被害者らに落ち度はなく,2名の命を奪った結果は極めて重大であり,遺族の処罰感情も非常に厳しい。そして,本件が地域社会に与えた衝撃等も軽視できない。被告人は,本件犯行の約1年後,自殺を偽装して行方をくらまし,その後約13年間にわたって逃亡を続け,また,第1審公判の途中から自らの犯行を否認し,警察官が自分の血液を犯行現場にばらまいたなど関係証拠上有り得ない不合理な弁解を展開しており,そのような態度に真しな反省の念は認められない。 以上のような事情に照らすと,被告人が逮捕後第1審公判の途中までは事実を認めて反省の情を示していた時期もあったこと,前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の罪責は誠に重大であり,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官高橋勝公判出席(裁判長裁判官古田佑紀裁判官今井功裁判官中川了滋裁判官竹内行夫)

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