1 令和6年7月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第29242号 不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日 令和6年4月24日判 決 原告チームラボ株式会社5 同訴訟代理人弁護士墳﨑隆之 大野 徹 被告株式会社チーム・ラボ 同訴訟代理人弁護士大饗研策 同訴訟復代理人弁護士津田泰宏10主文1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求151 被告は、「株式会社チーム・ラボ」の商号を使用してはならない。 2 被告は、大阪法務局堺支局令和1年5月20日受付でされた被告の設立登記中、商号「株式会社チーム・ラボ」の抹消登記手続をせよ。 3 被告は、別紙被告表示目録記載の各表示を使用してはならない。 4 被告は、表札、看板、印章、印刷物及び別紙URL目録記載のURLにおい20て開設するウェブサイトから別紙被告表示目録記載の各表示を抹消せよ。 5 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和3年12月27日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等1 事案の要旨25本件は、原告が、被告に対し、 2 (1) 原告の商号(以下「原告商号」という。)及び別紙原告表示目録記載の各表示(以下、番号に従って「原告表示1」及び「原告表示2」といい、これらと原告商号とを併せて「原告表示等」という。)は原告の著名な商品等表示であって、被告が表札、看板、別紙URL目録記載のURLにおいて開設するウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)等に、原告表示等と同一 を併せて「原告表示等」という。)は原告の著名な商品等表示であって、被告が表札、看板、別紙URL目録記載のURLにおいて開設するウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)等に、原告表示等と同一5又は類似の「株式会社チーム・ラボ」との被告の商号(以下「被告商号」という。)及び別紙被告表示目録記載の各表示(以下、番号に従って「被告表示1」及び「被告表示2」などといい、これらと被告商号とを併せて「被告表示等」という。)を使用する行為は、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項2号の不正競争に該当すると主張して、10① 不競法3条1項及び2項に基づき、被告表示等の使用の差止め、被告商号の抹消登記手続及び被告表示1ないし4の削除を、② 不競法4条に基づき、損害金110万円(信用毀損等による損害額100万円及び弁護士費用相当額10万円の合計)及びこれに対する令和3年12月27日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パー15セントの割合による遅延損害金の支払を、(2) 被告が、不正の目的をもって、原告であると誤認されるおそれのある被告商号を使用する行為により、原告の営業上の利益を侵害され、又はそのおそれがあると主張して、③ 会社法8条2項に基づき、被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続を、20それぞれ求める(被告商号の使用の差止め及び抹消登記手続の各請求は、不競法3条1項及び2項に基づく請求と会社法8条2項に基づく請求の選択的併合)事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)25(1) 当事者 3 ア 原告は、日本国内及び海外でデジタルアート作品の展示等を行っている株式 (以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)25(1) 当事者 3 ア 原告は、日本国内及び海外でデジタルアート作品の展示等を行っている株式会社である。 イ 被告は、令和元年5月20日に設立された、予防医学支援、労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業等を業とする株式会社である。 (2) 原告による原告表示等の使用5原告は、平成13年12月以降、日本各地において、デジタルアート作品の展示を行っており、その際、各展示の展示名や、展示施設内外に設けた案内、広告等において、各展示の主体を表示するものとして、原告表示等を使用している(甲6ないし603、1665ないし1691、弁論の全趣旨)。 (3) 被告による被告表示等の使用10ア 被告は、会社設立以来、「株式会社チーム・ラボ」との商号(被告商号)を使用している。 イ 被告は、会社設立の数か月後以降、被告表示1を主に事業に使用するロゴとして、令和元年11月末以降、被告表示2を主に被告ウェブサイトのタイトル(ウェブページのHTML中のタイトルタグに記載される文字列15で、通常、検索サイトの検索結果画面等に表示されるもの)として、同年6月頃以降、被告表示3を主に被告ウェブサイトのURLとして、令和2年4月以降、被告表示4を主に被告が利用するインスタグラムのアカウント(以下「被告アカウント」いう。)名として、それぞれ使用している(弁論の全趣旨)。 20ウ 被告は、被告表示等を、被告の事業の主体を表示するものとして、使用している(弁論の全趣旨)。 (4) 原告から被告に対する警告書の送付原告は、被告に対し、令和3年6月30日付けの警告書(以下「本件警告書」という。)により、被告が被告商号及び被告表示1を事業活動の主 る(弁論の全趣旨)。 (4) 原告から被告に対する警告書の送付原告は、被告に対し、令和3年6月30日付けの警告書(以下「本件警告書」という。)により、被告が被告商号及び被告表示1を事業活動の主体等を25示す名称等として使用することは、不競法2条1項2号所定の不正競争に該 4 当するとして、被告商号及び被告表示1を変更し、今後、一切使用しないことなどを求めた。 3 争点(1) 不競法2条1項2号所定の不正競争を理由とする請求の当否(争点1)ア 原告表示等が原告の著名な商品等表示であるか(争点1-1)5イ 原告表示等と被告表示等とが同一又は類似であるか(争点1-2)ウ 被告による被告表示等の使用が実質的違法性を欠くか(争点1-3)エ 原告表示等が著名になる前から被告表示等を不正の目的でなく使用しているか(争点1-4)オ 被告表示等の使用によって原告の営業上の利益(不競法3条及び4条)10が侵害され又はそのおそれがあるか(争点1-5)カ 故意又は過失の有無(争点1-6)キ 損害の有無及びその額(争点1-7)(2) 会社法8条を理由とする請求の当否(争点2)ア 被告商号が原告であると誤認されるおそれのある商号か(争点2-1)15イ 被告商号の使用が不正の目的によるものか(争点2-2)ウ 被告商号の使用によって原告の営業上の利益(会社法8条2項)が侵害され又はそのおそれがあるか(争点2-3)4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(原告表示等が原告の著名な商品等表示であるか)について20(原告の主張)ア 商品等表示の著名性の判断基準不競法2条1項2号所定の「著名」とは、その商品等表示が、限られた分野における取引者、需要者にとどまらず、広い範囲において特定人を出 て20(原告の主張)ア 商品等表示の著名性の判断基準不競法2条1項2号所定の「著名」とは、その商品等表示が、限られた分野における取引者、需要者にとどまらず、広い範囲において特定人を出所とする商品ないし特定人の営む役務を表示するものとして知られている25ことをいう。そして、著名性とは、時間が経過する中での地域における商 5 品等表示の取引者、需要者への浸透量であるから、浸透の地域的な広がりや、浸透のための期間の長さ及び浸透した人的な深度の範囲の総量にほかならない。 したがって、原告の商品等表示である原告表示等が著名であるか否かは、①国内全域又は被告の営業地域での原告の商品販売量及び営業活動の総量、5②原告表示等が使用された期間の長さ並びに③原告の宣伝広告量及び営業活動を通じて獲得した信用名声の量の総量により判断される。 イ 被告設立時である令和元年5月20日時点で原告表示等が著名な商品等表示であったこと(ア) 原告の商品販売量及び営業活動の総量(前記ア①)10a 原告は、平成13年から令和元年5月20日までの間、日本各地において、作品展示を行い又は展示会を開催しており、その来場・来館者数は、明らかになっているだけでも合計●(省略)●を下らない。 特に、原告が平成30年6月21日にお台場で開館した「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(以下15「チームラボボーダレス」という。)及び同年7月7日に豊洲で開館した「チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com」(以下「チームラボプラネッツ」という。)には、開館後1年間で両館合わせて350万人以上が来館した。特に、チームラボボーダレスにおける年間230万人という来館者数は、単独のアーティストのミュージアムとしては ームラボプラネッツ」という。)には、開館後1年間で両館合わせて350万人以上が来館した。特に、チームラボボーダレスにおける年間230万人という来館者数は、単独のアーティストのミュージアムとしてはゴッホ美20術館を超える世界最大規模の来館者数であった上、令和元年1年間の来館者数は、ギネス世界記録(単一アートグループとして世界で最も来館者数が多い美術館)に認定されている。 原告の作品には原告表示等が大きく付されているから、当該作品を鑑賞した者は、印象的な作品と紐づけて、原告表示等を認識し記憶に25留めることになる。チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツ 6 以外の展示等も、公園、空港、博物館、美術館、ショッピングモール、観光施設など、人流の多い場所で行われているから、その際に使用されている原告表示等は多くの人の目に触れている。 b また、原告は、原告が開設するウェブサイト(以下「原告ウェブサイト」という。)において原告表示等を使用しているところ、原告ウェ5ブサイトには、平成30年及び令和元年の2年間で、日本から●(省略)●を超えるアクセスが、その他世界各国からも●(省略)●のアクセスがされた。 c さらに、多数のフォロワー(SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)において特定のユーザーの投稿を継続的に閲覧するユーザ10ー)を有する著名人により、原告の作品及び原告表示等への言及がされている。 d 加えて、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツを始めとする原告の作品展示施設は、旅行会社が催行する東京観光ツアーの訪問場所として組み込まれており、そのツアーは当該旅行会社のウェブ15サイト等で広範囲に宣伝広告されている。 (イ) 原告表示等が使用された期間の長さ(前記ア②)原告は、平成1 観光ツアーの訪問場所として組み込まれており、そのツアーは当該旅行会社のウェブ15サイト等で広範囲に宣伝広告されている。 (イ) 原告表示等が使用された期間の長さ(前記ア②)原告は、平成13年から一貫して、原告表示等を使用して事業を営んでおり、その期間は令和元年5月20日までに限っても約20年に及ぶ。 また、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツが開館した時点20から起算しても、令和元年5月20日までに約1年が経過している。 (ウ) 原告の宣伝広告量及び営業活動を通じて獲得した信用名声の量(前記ア③)原告表示等は、原告の印象的な作品と共に日本放送協会(NHK)並びにフジテレビ、テレビ朝日及びTBS等の地上波民放キー局その他広25域放送又は県域放送のニュース番組等において多数回紹介されている上、 7 CMやアーティストのミュージックビデオ等においても多数使用されている。 また、原告表示等は、原告の印象的な作品を紹介する多数の新聞記事やウェブ記事等において、当該作品と共に記載されている。 さらに、原告は、平成31年4月、チームラボボーダレスについて、5世界の最も優れた文化的施設に与えられるティア・アワード「アウトスタンディング・アチーブメント賞」を受賞したほか、日本のみならず世界各国の賞を多数受賞している。 加えて、チームラボボーダレスには、令和元年5月26日にA米国大統領夫人(当時)及びB首相夫人(当時)が、同年8月19日にC官房10長官(当時)が、それぞれ訪問して会見をした。原告の作品を展示する施設に、このような要人が訪問していることからしても、同年5月20日時点で、原告表示等が十分すぎる程の信用と名声を獲得していることは明らかである。 (エ) まとめ15前記(ア)ないし(ウ)の 設に、このような要人が訪問していることからしても、同年5月20日時点で、原告表示等が十分すぎる程の信用と名声を獲得していることは明らかである。 (エ) まとめ 前記(ア)ないし(ウ)の事実に照らせば、被告が設立された令和元年5月20日時点で原告表示等が原告の著名な商品等表示であったことは明らかである。 ウ遅くとも令和4年10月18日時点又は口頭弁論終結時において原告表示等が著名な商品等表示であること (ア) 原告の商品販売量及び営業活動の総量原告は、令和元年5月20日以降も、日本各地において、作品の展示や展示会を多数開催している。これらの展示等は、従前と同様に、人流の多い場所で行われている。 また、原告ウェブサイトへは、令和2年1月1日から令和4年9月1 6日までの約2年9か月間で、日本から●(省略)●を超えるアクセス が、その他世界各国からも合計●(省略)●のアクセスがされた。 (イ) 原告表示等が使用された期間の長さ仮に、原告がチームラボボーダレスを開館した平成30年6月21日、又はチームラボプラネッツを開館した同年7月7日を起算点としたとしても、令和4年10月11日時点で既に4年以上が経過している。 (ウ) 原告の宣伝広告量及び営業活動を通じて獲得した信用名声の量原告表示等は、令和元年5月20日以降も、原告の印象的な作品と共に、地上波民放キー局のニュース番組等において多数回紹介されている。 また、原告の作品がテレビ放送で言及、特集される頻度も落ちることはない。特にチームラボボーダレスについては、全国放送のテレビ番組 において複数回特集が組まれた上、令和4年には、雑誌「ForbesJAPAN」において、約100頁にわたる別冊特集が組まれた。 さらに、チームラボ ーダレスについては、全国放送のテレビ番組10において複数回特集が組まれた上、令和4年には、雑誌「Forbes JAPAN」において、約100頁にわたる別冊特集が組まれた。 さらに、チームラボボーダレスは、令和元年8月、米国のニュース雑誌「TIME」が発表した「World's Greatest Places 2019」に選出された。 加えて、チームラボボーダレスが令和4年8月31日をもってお台場15での展示を終え、令和5年以降に麻布台ヒルズで開館することが全国ニュースとして報道されたところ、このこと自体が、日本の全国民が原告の作品展示について関心を有しており、原告表示等が著名であることを裏付けるものである上、当該報道を通じて、原告表示等の著名性が更に向上したといえる。 20エ 小括以上のとおり、令和元年5月20日以降、遅くとも令和4年10月18日以降又は口頭弁論終結時において、原告表示等が原告の著名な商品等表示であったことは明らかである。 (被告の主張)25ア 商品等表示の著名性の判断基準 9 (ア) 著名な商品等表示とは、需要者の間に特に広く認識されているだけでなく、当該表示に高い識別力が備わっており、信用名声(優れたブランドイメージ)を伴っている表示をいう。 (イ) これまでの裁判例では、売上高、市場占有率、広告宣伝や報道された回数、宣伝費、一般社団法人日本国際知的財産保護協会発行の「日本有5名商標集」に掲載されていること、防護標章登録されていること、商号の場合には当該会社が東京証券取引所プライム市場(旧第1部)に上場していることなどを考慮して、問題となった商品等表示が著名であると認定している。 これらの各事情のほかにも、当該会社の事業内容(商品、営業の内容)10や事業規模等に着目 市場(旧第1部)に上場していることなどを考慮して、問題となった商品等表示が著名であると認定している。 これらの各事情のほかにも、当該会社の事業内容(商品、営業の内容)10や事業規模等に着目することが必要である。特に本件のような芸術分野の事業については、芸術に興味がない者がその事業主体に興味を持つことはないし、ある場所で一瞬当該主体の作品を目にしたとしても、当該主体に係る表示等に注意を払うこともない。 したがって、原告が主張する三つの要素((原告の主張)ア①ないし③)15は、商品等表示の著名性を判断する上で考慮すべき要素となり得るものの、これらの三つの要素のみで著名性を判断することは不可能かつ不適切である。 (ウ) そもそも著名な商品等表示という以上、通常は、裁判所にとっても、当該商品等表示が「著名」であることについては、特段の立証を要さず20とも認定できるものと考えられる。これまでの裁判例において著名と認定された商品等表示は、普通の社会人なら知っているような有名ブランド、有名商標であって、著名であることは公知の事実であるともいえる。 イ 原告の主張する考慮要素について(ア) 原告の商品販売量及び営業活動の総量((原告の主張)ア①)について25原告が、公園、城、空港等において原告の作品を展示し、一定数の者 10 がそれを目にするとしても、その来場・来館者数には、当該場所そのものの持つ顧客吸引力が大きく作用している。チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツについても、それぞれエプソン及びDMMという有名な企業が有する顧客吸引力や、森ビル及び豊洲という場所そのものが有する顧客吸引力を考慮する必要がある。原告が主張する来館者数の5計測方法が明らかでないことを考慮すると、結局のところ、原告自身や原 企業が有する顧客吸引力や、森ビル及び豊洲という場所そのものが有する顧客吸引力を考慮する必要がある。原告が主張する来館者数の 計測方法が明らかでないことを考慮すると、結局のところ、原告自身や原告表示等の有する顧客吸引力の程度も不明といわざるを得ない。 また、原告ウェブサイトのアクセス数も、原告ウェブサイトにアクセスしただけで計上されるものであって、その閲覧者が原告表示等をアクセス数に相当する頻度で実際に目にしたかは不明である。また、アクセ ス数自体についても、他の著名な企業のウェブサイトのアクセス数との比較がされておらず、原告ウェブサイトのアクセス数が著名な企業のウェブサイトのアクセス数に匹敵するものであるか否かが判断できない。 さらに、一部の著名人がSNSにおいて「チームラボ」等の名称と共に原告の作品展示に関する投稿をしているとしても、多数存在する著名 人のごく一部の者による投稿にすぎない上、原告側と関係のある者による投稿も含まれている可能性がある。そもそも、著名人が投稿したからといって、その投稿において言及された対象が著名であるとはいえないこと、SNSでの投稿を作為的に増大させることが容易であることからすると、SNSにおいて著名人が原告の作品及び原告表示等について言 及しているかどうかを著名性判断の要素として考慮することは不適切である。 (イ) 原告の宣伝広告量及び営業活動を通じ獲得した信用名声の量((原告の主張)ア③)について原告は、原告表示等がテレビのニュース番組等において多数回紹介さ れていると主張するが、原告表示等が紹介された番組は、それほど著名 でなく、かつ、原告表示等の露出時間も短いものが多い上、視聴者が当該番組において原告の作品を一瞬目にしたとしても、原告表示等に着目 張するが、原告表示等が紹介された番組は、それほど著名 11 でなく、かつ、原告表示等の露出時間も短いものが多い上、視聴者が当該番組において原告の作品を一瞬目にしたとしても、原告表示等に着目する者はほとんどいないと考えられる。 また、原告は、チームラボボーダレスが「アウトスタンディング・アチーブメント賞」を受賞したと主張するが、この賞に関する分野に興味5のない者は、そもそも何の賞であるのか自体が分からないから、原告表示等に注意を払う程度の向上につながるとはいえない。 ウ まとめ以上のとおり、原告表示等は、普通の社会人であれば知っているであろうというほどには社会に浸透しておらず、普通の社会人が当然知っている10というほどの知名度はない。 したがって、原告表示等は、原告の著名な商品等表示に当たらない。 (2) 争点1-2(原告表示等と被告表示等とが同一又は類似であるか)について(原告の主張)15ア 被告商号について(ア) 原告商号との対比原告商号と被告商号とは、「株式会社」が「チーム」「ラボ」の後ろに付いているか、前に付いているかの点において違いがある。しかし、「株式会社」は会社の種類を示す一般名称で識別力を有しないから、原告商20号の要部は「チームラボ」、被告商号の要部は「チーム・ラボ」である。 そして、これらの要部を対比すると、原告商号と被告商号とは、「チーム」と「ラボ」の間の「・」の有無しか違いがない。 したがって、両者が酷似していることは明らかである。 (イ) 原告表示1との対比25前記(ア)のとおり、被告商号のうち、「株式会社」は会社の種類を示す 12 一般名詞で識別力を有しないから、被告商号の要部は「チーム・ラボ」である。そして、原告表示1と被告商号の要部を対比すると (ア)のとおり、被告商号のうち、「株式会社」は会社の種類を示す 12 一般名詞で識別力を有しないから、被告商号の要部は「チーム・ラボ」である。そして、原告表示1と被告商号の要部を対比すると、原告表示1と被告商号とは、「チーム」と「ラボ」の間の「・」の有無しか違いがない。 したがって、両者が酷似していることは明らかである。 5イ 被告表示1について(ア) 被告表示1のうち、被告商号部分は、前記アのとおり、原告商号及び原告表示1と類似している。 (イ) 被告表示1のうち、“Team-Labo Co., Ltd.”の部分についてみると、“Co., Ltd.”は有限責任という会社の責任形態を表す一般名称で識別力10を有しないから、その要部は“Team-Labo”である。原告表示2と当該部分の要部を対比すると、①“Team”と“Labo”の間のハイフンの有無、②当該部分の要部の末尾に“o”が加わっているか否か、③最初の“t”が小文字か大文字かとの点しか違いがない。このように、原告表示2と当該部分の要部とは、外観が酷似し、称呼が同一であるから、当該部分15の要部は、原告表示2と酷似している。 (ウ) 被告が主張するとおり、被告表示1は被告商号や図形等を結合した表示であるところ、そのような様々な要素が結合した表示に、需要者に広く認識された他人の表示が含まれている場合には、当該他人の表示に図形等が付加されていたとしても、当該結合した表示は、当該他人の表示20と類似するというべきである。前記(1)(原告の主張)のとおり、原告表示等は著名であるから、被告表示1が図形の付加されているものであるとしても、原告商号、原告表示1及び原告表示2と被告表示1との間の類似性は肯定される。 (エ) したがって、被告表示1は、全体として 示等は著名であるから、被告表示1が図形の付加されているものであるとしても、原告商号、原告表示1及び原告表示2と被告表示1との間の類似性は肯定される。 (エ) したがって、被告表示1は、全体として原告商号、原告表示1及び原25告表示2と類似する。 13 ウ 被告表示2について被告表示2は、原告表示1と同一である。 エ 被告表示3について被告表示3のうち、“teamlab”の部分は、原告が独自に創作した語である。これに対し、“trip”の部分は、旅行等の意味を有する一般的な英単語、5ハイフンは単語をつなげる場合などに用いられるものであるから、“-trip”の部分には識別力がない。そうすると、被告表示3の要部は“teamlab”である。そして、原告表示2と被告表示3の要部とを対比すると、両者の間には“l”が大文字か小文字かとの点しか違いがない。 したがって、被告表示3は、全体として原告表示2と類似する。 10オ 被告表示4被告表示4のうち、“trip”は旅行等の意味を有する一般的な英単語で識別力を有しないから、被告表示4の要部は“teamlab”である。原告表示2と被告表示4の要部を対比すると、“l”が大文字であるか小文字であるかとの点しか違いがない。 15したがって、被告表示4は、全体として原告表示2と類似する。 (被告の主張)ア 被告商号について被告商号中の「チーム」と「ラボ」の間の「・」は、被告商号を見た者において、一般名詞である「チーム」及び「ラボ」のそれぞれの意義、す20なわち、「チーム」は、競技・仕事などの分隊との意味を有する英単語“team”の片仮名表記、「ラボ」は、医療に関わる実験室、研究室、薬品などの製造所の意味を有する英単語“laboratory”の片仮名表記を略 チーム」は、競技・仕事などの分隊との意味を有する英単語“team”の片仮名表記、「ラボ」は、医療に関わる実験室、研究室、薬品などの製造所の意味を有する英単語“laboratory”の片仮名表記を略したものであることをそれぞれ意識させるものである。 したがって、原告商号及び原告表示1と被告商号とが類似しているとは いえない。 イ被告表示1について被告表示1の左上にある図形は、「チーム・ラボ」の字形から発案されたカラフルで独創的な意匠であり、これも出所識別標識としての機能を有するから、原告商号、原告表示1及び原告表示2と被告表示1とを対比する際には、当該図形部分も含めて対比すべきである。 仮に、被告表示1のうち、“Team-LaboCo., Ltd.”の部分を分離して原告表示2と対比できるとしても、原告表示2と当該部分の称呼は同一であるものの、両者の外観が酷似しているとまではいえないし、“Team”と“Labo”の間にハイフンがあることから、被告表示1を見た者において、“Team”及び“Labo”のそれぞれの意義を意識させるものとなっており、観念も異な る。 したがって、原告商号、原告表示1及び原告表示2と被告表示1とは、類似しているとはいえない。 ウ被告表示2について被告ウェブサイトのタイトルは、「医師・看護師紹介や予防医学のビジネ スは泉南市のチームラボへ」というものであるから、当該タイトルに使用されている被告表示2については、「医師・看護師紹介や予防医学のビジネス」という被告が提供する役務の内容や「泉南市」という地名の記載と一体となった表示であるとして、原告表示1との同一性又は類似性を判断すべきである。 したがって、原告表示1と被告表示2は、同一でなく、かつ、類似 する役務の内容や「泉南市」という地名の記載と一体となった表示であるとして、原告表示1との同一性又は類似性を判断すべきである。 20したがって、原告表示1と被告表示2は、同一でなく、かつ、類似しているともいえない。 エ 被告表示3について仮に、原告が主張するように、被告表示3の“trip”との部分に識別力がないのであれば、“team”、“lab”という英単語の組合せにすぎない25“teamlab”との部分にも識別力がないということになる。 15 むしろ、“trip”は、“team”及び“lab”とは全く異なる英単語であるから、被告表示3の“trip”との部分にも識別力があるといえる。 したがって、原告表示2と被告表示3は、類似していない。 オ 被告表示4について前記エのとおり、被告表示4の“trip”との部分にも識別力がある。 5したがって、原告表示2と被告表示4は、類似していない。 (3) 争点1-3(被告による被告表示等の使用が実質的違法性を欠くか)について(被告の主張)ア 被疑侵害者による表示の使用行為が形式的に不競法2条1項2号の要件10を満たす場合であっても、著名表示に表示の独自性、表示の唯一性、表示の印象の良さなどがなく、当該使用行為が当該著名表示の希釈化(ダイリューション)に相当しない場合、被疑侵害者の表示が使用される商品、役務の粗悪性がなく、当該著名表示の汚染(ポリューション)にならない場合、他人の名声の不当利用やただ乗り(フリーライド)でない場合、この15いずれの状況もない場合には、違法性が阻却される。 イ 原告商号の要部及び原告表示1は、いずれも「チーム」及び「ラボ」という日本語にもなっている普通名詞をつなげたもので、表示に独自性、唯一性はなく、表示の印象の良さから には、違法性が阻却される。 イ 原告商号の要部及び原告表示1は、いずれも「チーム」及び「ラボ」という日本語にもなっている普通名詞をつなげたもので、表示に独自性、唯一性はなく、表示の印象の良さからもたらされる特別な顧客吸引力はない。 原告表示2についても同様である。したがって、被告が被告表示等を使用20することによって、原告表示等が希釈化されることはない。 また、原告は芸術作品を創作するという芸術分野の事業、被告は予防医学等の科学に依拠した実学分野の事業という、それぞれ全く異なる業種の事業を営んでいる上、被告が被告表示等を使用する商品、役務は粗悪でないから、被告が被告表示等を使用することによって、予防医学等の科学に25依拠した実学分野における原告の名声を不正に利用しているということも、 16 原告表示等が汚染されるということもない。 さらに、上記のとおり、原告及び被告がそれぞれ営む事業が全く異なるから、被告が被告表示等を使用することによって、原告の営業と被告の営業とが混同されるおそれはない。 ウ したがって、被告による被告表示等の使用は、実質的違法性を欠く。 5(原告の主張)ア 不競法2条1項2号は、被告が主張するような表示の希釈化等を要件としていないから、同号所定の要件が満たされれば、不正競争に該当することは明らかである。 イ 仮に、原告表示等の希釈化等が問題になるとしても、被告が原告表示等10と同一又は類似の被告表示等を使用すれば、原告と原告表示等との間の結び付きが薄められるおそれがあるから、少なくとも原告の信用等が化体した原告の著名な商品等表示である原告表示等の希釈化が生じるおそれがあることは明らかである。 また、被告が、被告ウェブサイトのタイトルやドメイン名において、被15告商号等を正確に 信用等が化体した原告の著名な商品等表示である原告表示等の希釈化が生じるおそれがあることは明らかである。 また、被告が、被告ウェブサイトのタイトルやドメイン名において、被15告商号等を正確に記載せず、被告表示2ないし4のように「チームラボ」、“teamlab”という原告表示1そのものや原告表示2に酷似するものを使用していることなどからすると、被告に不当利用の意図があったことも明らかである。 ウ したがって、被告による被告表示等の使用が、実質的違法性を欠くもの20とはいえない。 (4) 争点1-4(原告表示等が著名になる前から被告表示等を不正の目的でなく使用しているか)について(被告の主張)ア 原告表示等が著名になる前から被告表示等を使用していること25原告表示等は、口頭弁論終結時においても著名ではないから、被告が被 17 告表示等の使用を開始したのは、明らかに原告表示等が著名になる前である。 イ 不正の目的がないこと被告代表者の子であるD(以下「D」という。)は、平成30年6月頃から同年10月頃にかけて、被告商号を決定した。 5Dは、被告の事業を通じて、マッチングビジネス(医療従事者に特化した有料職業紹介業)を主導していこうと考え、競技・仕事などの分隊との意味を有する英単語“team”の片仮名表記である「チーム」と、医療に関わる実験室、研究室、薬品などの製造所の意味を有する英単語“laboratory”の片仮名表記を略した「ラボ」を結合させて、被告の商号10とした。 Dは、被告商号を決定するに当たり、上記のような思いを込めていたこともあり、他に似た名前の会社があるか否かなどの調査をしなかった。また、Dは、被告商号を決定した時点や被告が設立された時点はもちろんのこと、原告が送付した本件 当たり、上記のような思いを込めていたこともあり、他に似た名前の会社があるか否かなどの調査をしなかった。また、Dは、被告商号を決定した時点や被告が設立された時点はもちろんのこと、原告が送付した本件警告書を受領するまで、原告の存在自体も原告15表示等も全く知らなかった。 このように、被告は、被告表示等の使用を始めた時点において原告表示等を認識していなかった以上、原告表示等を不正に利用しようとし、原告の事業と誤認させる目的、原告と不正に競争する目的、原告を害する目的、原告表示等にただ乗りして同業他社より優位な立場に立つなどの不正な活20動を行う積極的な意思は一切なく、現在においても同様である。 仮に、被告が何らかの不正な利益を得ようとするのであれば、被告が営む事業である予防医学等に関係する著名企業の名声等を利用するのが合理的であって、被告の事業領域では著名でない原告表示等を利用する実益はない。 25ウ 原告の主張について 18 (ア) 原告は、被告アカウントから原告の利用しているインスタグラムのアカウント(以下「原告アカウント」という。)がフォロー(原告アカウントの最新の投稿を継続的に閲覧できるよう設定すること)されていることを指摘して、被告が被告表示等を不正の目的で使用していると主張する。 5確かに、被告アカウントの運営を任せていたアルバイト従業員が、事情を知らないまま原告アカウントをフォローした可能性がある。しかし、原告アカウントを一時的にフォローしたとの事実があっても、それは直ちに不正の目的があることを基礎づける事情とはいえない。そもそも、被告アカウントから原告アカウントをフォローすれば、被告が被告表示10等を使用していることが原告に発覚することになるから、実際に被告が原告の顧客吸引力を利用す づける事情とはいえない。そもそも、被告アカウントから原告アカウントをフォローすれば、被告が被告表示10等を使用していることが原告に発覚することになるから、実際に被告が原告の顧客吸引力を利用するとの目的を有しているのであれば、このようなリスクのある行為をするわけがない。 (イ) また、原告は、被告が、被告ウェブサイトのタイトルや表札等において、被告の名称を示す表示として、「チーム」と「ラボ」の間の「・」が15ない「チームラボ」を使用していることは、被告に不正の目的があることを推認させる事実であると主張する。 被告ウェブサイトのタイトルや被告事務所の表札等において、「チームラボ」との記載がされていることはそのとおりであるが、これは、被告が会社設立後に外注業者にロゴの製作を依頼した際、当該業者が「・」20を入れ忘れて作成したデータを被告に納品し、被告が当該データをよく確認しないまま、ウェブサイトや表札等の作成業者にそのまま送付したことから、「チームラボ」と記載されたウェブサイトや表札等が出来上がってしまったとの経緯によるものである。 被告は、表札が納品された令和3年1月頃、上記ロゴのデータに「・」25がないことに気付いたものの、被告事務所を訪問する客はほとんどおら 19 ず、郵便等が配達されるときの目印程度にしかならないため、表札作成業者に作り直してもらうのは申し訳なく思い、そのままにしていた。 エ まとめしたがって、不競法19条1項柱書及び同項5号(令和6年3月31日以前の行為については令和5年法律第51号による改正前の同項4号)に5より、被告の行為について同法3条及び4条は適用されない。 (原告の主張)被告が、被告アカウントから原告アカウントをフォローしていたことからも明らかなように、被告 よる改正前の同項4号)に5より、被告の行為について同法3条及び4条は適用されない。 (原告の主張)被告が、被告アカウントから原告アカウントをフォローしていたことからも明らかなように、被告は、原告の名称を十分に認識した上で被告表示等を使用している。また、被告は、被告表示等において「チーム」と「ラボ」の10間に「・」があることが重要であると主張していながら、会社の顔である事務所の表札には「チームラボ」と記載している。 このように、被告が原告の名称を十分認識した上で被告表示等を使用していることは明らかである。それにもかかわらず、被告は、本件訴訟においてこの事実を不都合なものとして隠ぺいしようとしていることからすると、被15告には、原告の信用を利用して不当な利益を得る目的があるといえる。 したがって、被告は、被告表示等を不正の目的で使用している。 (5) 争点1-5(被告表示等の使用によって原告の営業上の利益(不競法3条及び4条)が侵害され又はそのおそれがあるか)について(原告の主張)20被告が被告表示等を使用することによって、原告が長い年月をかけて構築した原告表示等のブランドの信用力が希釈化及び毀損されるから、原告の営業上の利益が侵害され又はそのおそれがある。 (被告の主張)原告商号の要部及び原告表示1は、いずれも「チーム」及び「ラボ」とい25う日本語にもなっている普通名詞をつなげたもので、表示に独自性、唯一性 20 はなく、表示の印象の良さからもたらされる特別な顧客吸引力までは有していない。原告表示2についても同様である。したがって、被告が被告表示等を使用することによって、原告表示等が希釈化されるということはない。 また、被告は原告と全く異なる業種の事業を営んでおり、被告表示等を使用する商品 についても同様である。したがって、被告が被告表示等を使用することによって、原告表示等が希釈化されるということはない。 また、被告は原告と全く異なる業種の事業を営んでおり、被告表示等を使用する商品、役務が粗悪であるということもないから、被告が被告表示等を5使用することによって、原告の名声を不正に利用しているということも、原告表示等が汚染されるということもない。 よって、被告が被告表示等を使用することによって、原告の営業上の利益は侵害されておらず、そのおそれもない。 (6) 争点1-6(故意又は過失の有無)について10(原告の主張)被告は、本来の被告商号の要部である「チーム・ラボ」ではなく、敢えて著名な原告表示2である「チームラボ」を使用していることから、被告が、故意に不正競争を行っていることは明らかである。仮に、被告に故意がないとしても、原告表示等が著名であることからすると、被告には少なくとも過15失がある。 (被告の主張)ア 被告は、原告表示等を知らずに被告表示等を使用しており、不正競争の故意がない。 イ また、原告表示等は、日常よく耳にする普通名詞である「チーム」及び20「ラボ」を組み合わせたにすぎない、いわゆるウィークマークであるから、被告が、このような表示の存在を認識しなかったことについて、過失があるとはいえない。 (7) 争点1-7(損害の有無及びその額)について(原告の主張)25ア 原告表示等は、20年以上にわたる長期の誠実な活動実績により、人々 21 を魅了する審美的で印象に残る原告の作品と結び付いて著名となり、法的保護に値する高い信用とブランド価値が化体するに至った。 しかし、被告が、原告に無断で原告表示等と同一又は酷似する被告表示等を使用して営業活動を行った 原告の作品と結び付いて著名となり、法的保護に値する高い信用とブランド価値が化体するに至った。 しかし、被告が、原告に無断で原告表示等と同一又は酷似する被告表示等を使用して営業活動を行ったことにより、原告表示等のブランド力が希釈化された。また、被告は、被告商号の要部である「チーム・ラボ」との5表示と、原告表示2と同一の表示(チームラボ)とを、敢えて表札、被告ウェブサイトのタイトル等において混在させて使用し、需要者の混乱を招くなどしたため、原告表示等に化体する信用とブランド価値が毀損された。 イ 原告表示等が有する信用とブランド価値が毀損されたことによって原告が被った損害は100万円を下らない。 10また、原告は、被告の不正競争行為により、弁護士に委任して本件訴訟を提起することを余儀なくされた。被告の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害は10万円を下らない。 ウ したがって、被告の不正競争行為により原告に生じた損害は110万円を下らない。 15(被告の主張)前記(5)(被告の主張)のとおり、原告の営業上の利益は侵害されておらず、損害は生じていない。 (8) 争点2-1(被告商号が原告であると誤認されるおそれのある商号か)について20(原告の主張)前記(1)(原告の主張)及び(2)(原告の主張)ア(ア)のとおり、原告商号は、遅くとも令和元年5月20日時点で著名であったこと、原告商号と被告商号とが酷似していることからすると、被告商号は、原告であると誤認されるおそれのある商号に当たる。 25(被告の主張) 22 前記(1)(被告の主張)及び(2)(被告の主張)アのとおり、原告商号は著名であるとはいえないし、原告商号と被告商号とが類似しているとはいえない。 したがって (被告の主張) 前記(1)(被告の主張)及び(2)(被告の主張)アのとおり、原告商号は著名であるとはいえないし、原告商号と被告商号とが類似しているとはいえない。 したがって、被告商号は、原告であると誤認されるおそれのある商号に当たるとはいえない。 (9) 争点2-2(被告商号の使用が不正の目的によるものか)について(原告の主張)ア会社法8条1項所定の「不正の目的」は、他の会社の営業と誤認させる目的に限られるものではなく、他の会社と不正に競争する目的や他の会社を害する目的等を広く含むものと解すべきである イ原告は、被告をはるかに上回る活動歴、信用及び知名度を有し、多大な顧客吸引力を有している。そして、被告は、被告アカウントから原告アカウントをフォローしていることからも明らかなように、原告商号を知った上で被告商号の使用を開始した。また、被告は、被告ウェブサイトのタイトル、ドメイン名及び被告アカウントにおいて、被告商号を正確に記載せ ず、「チームラボ」、“teamlab”という原告表示1そのものや原告表示2に酷似するものを使用している。さらに、被告は、原告から本件警告書の送付又は本件訴訟の提起を受けて、被告アカウントから原告アカウントのフォローを解除している。このように、被告が、原告と関連性のあるような外観を意図的に作出した後、その隠滅を図ろうとしていることは明らかで ある。 これらの事情からすれば、被告は、著名な原告商号と同一又は類似の商号を用いて、原告の営業と誤認させる目的のほか、同業他社より優位に立ち他の会社と不正に競争する目的により、被告商号を使用しているというべきである。 (被告の主張) 前記(4)(被告の主張)イのとおり、被告には、被告商 同業他社より優位に立ち他の会社と不正に競争する目的により、被告商号を使用しているというべきである。 25(被告の主張) 23 前記(4)(被告の主張)イのとおり、被告には、被告商号を使用するに当たり、自己の営業を原告の営業と誤認させる目的、原告と不正に競争する目的、原告を害する目的はなく、その他被告商号を使用することによって不正な活動を行う積極的な意思はない。 したがって、被告による被告商号の使用は、不正の目的によるものではな5い。 (10) 争点2-3(被告商号の使用によって原告の営業上の利益(会社法8条2項)が侵害され又はそのおそれがあるか)について(原告の主張)前記(5)(原告の主張)のとおり、被告が原告と誤認されるおそれのある商10号である被告商号を使用することによって、原告が長い年月をかけて構築した原告商号のブランドの信用力が希釈化及び毀損されるから、原告の営業上の利益が侵害され又はそのおそれがある。 (被告の主張)前記(5)(被告の主張)のとおり、被告が被告商号を使用することによって、15原告の営業上の利益は侵害されておらず、そのおそれもない。 第3 当裁判所の判断1 争点1-1(原告表示等が原告の著名な商品等表示であるか)について(1) 認定事実等後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 20ア 作品展示の状況(前提事実(2)、甲6ないし600、1665ないし1691、弁論の全趣旨)原告は、平成13年12月以降、日本各地において、「実験と革新」をテーマに制作したデジタルアート作品の展示を行っており、その際、各展示の展示名や、展示施設内外に設けた案内、広告等において、原告表示を25使用している。原告が日本国内で実施した展示の1年間当たり テーマに制作したデジタルアート作品の展示を行っており、その際、各展示の展示名や、展示施設内外に設けた案内、広告等において、原告表示を25使用している。原告が日本国内で実施した展示の1年間当たりの回数は、 24 平成23年に10回を超え、平成26年から平成29年にかけては約40ないし60回に及んでいた。原告が日本国内で実施した展示のうち、証拠(後記別紙原告展示一覧表参照)及び弁論の全趣旨により来場者数が●(省略)●と認められるものは、別紙原告展示一覧表のとおりである(なお、別紙原告展示一覧表記載の展示には、同一会場において原告の作品以5外の作品が展示されている場合も含まれているから、当該会場に来場した者の全てが原告の作品を鑑賞したか否かは明らかでないというべきである。)。 このほか、原告は、アジア(インド、インドネシア、サウジアラビア、シンガポール、タイ、中国等)、ヨーロッパ(イギリス、イタリア、スイス、10フランス等)、北米(アメリカ合衆国、カナダ等)、南米(チリ、ブラジル等)、オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド等)などの諸外国においても、デジタルアート作品の展示を行っている。 イ マスメディア等における原告の紹介等の状況(甲1008ないし1047の2、1050ないし1514、弁論の全趣旨)15少なくとも平成25年以降、日本国内において、原告の作品を紹介したり、原告の代表者であるとの肩書を冠して原告代表者が出演したりする番組が、多数回放送されている。このうち、全国規模(日本放送協会、民放キー局制作の全国ネット番組など(番組を視聴するための対価の支払を要しないものに限る。))で放送された番組は、別紙番組一覧表記載のとおり20である。もっとも、各番組の視聴率を認めるに足りる証拠はない。 また 国ネット番組など(番組を視聴するための対価の支払を要しないものに限る。))で放送された番組は、別紙番組一覧表記載のとおり である。もっとも、各番組の視聴率を認めるに足りる証拠はない。 また、原告の作品や当該作品が展示されている施設が、新聞、雑誌、ウェブサイト等の記事において、多数回紹介されている。 ウ原告の受賞歴等(甲1515ないし1569、1695)原告及び原告代表者は、平成19年以降、原告、原告代表者等が制作し た作品につき、日本のみならず世界各国の多数の賞を受賞している。 特に、チームラボボーダレスは、平成31年、第25回ティア・アワードにおいて「優秀功績賞」を受賞(日本国内施設では東京ディズニーシー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに続いての受賞)すると共に、令和3年、最も来館者の多い美術館(単一アート・グループ)のギネス世界記録に認定された。 また、チームラボプラネッツは、令和5年、旅行業に携わる者のほか一般消費者も加えた投票に基づき、「ワールド・トラベル・アワード」の「アジアを代表する観光名所 2023」に選出された。 エ原告ウェブサイトへのアクセス数(甲1570、弁論の全趣旨)原告は、原告ウェブサイトにおいて、原告表示等を使用しているところ、 平成30年ないし令和4年における日本国内からのアクセス数(新規ユーザー数)は、以下のとおりであった。 平成30年 ●(省略)●令和元年 ●(省略)●令和2年 ●(省略)● 令和3年 ●(省略)●令和4年 ●(省略)●(ただし、同年9月16日まで)(2) 検討前記(1)の認定事実等を踏まえて、原告表示等が著名な原告の商品等表示に当たるか否かについて検討する。 ア不競法2条1項 年 ●(省略)●(ただし、同年9月16日まで)(2) 検討前記(1)の認定事実等を踏まえて、原告表示等が著名な原告の商品等表示に当たるか否かについて検討する。 20ア 不競法2条1項2号による著名な商品等表示の保護は、従来、同項1号では困難とされていた、他人の商品等表示の不当利用や希釈化の防止を可能とする一方、同号による周知な商品等表示の保護と比較すると、広義の混同すら生じない無関係な分野にまで及ぶものである。この点にかんがみると、ある表示が著名な商品等表示に当たるというためには、当該表示に25係る商品又は営業の需要者又は取引者において、日本国内の広い地理的範 26 囲にわたり、当該表示がその出所を示すものとして広く認識されていることが必要であると解される。そして、商品等表示がこのような意味での著名性を獲得するためには、取引や広告宣伝等を通じて当該表示に接することにより、当該表示が出所を示すものであるとの認識が幅広い需要者又は取引者に定着していく必要があると解される。 5このように、商品等表示の著名性とは、日本国内の広い地理的範囲にわたる需要者又は取引者における当該表示が出所を示すものであるとの認識の蓄積、浸透及び定着の度合が大きいことを意味するものといえるから、ある商品等表示が著名であるか否かは、日本国内における当該商品等表示に係る商品の販売量又は営業の総量、当該商品等表示が使用された期間の10長さ、需要者又は取引者が当該商品等表示に接した際にそれが出所を示すものであるとの認識の定着に寄与する程度などを総合考慮して判断するのが相当である。 イ まず、作品展示の状況についてみると、平成29年以前においては、原告の作品が展示された展示会等のうち来場者数が●(省略)●ものは、東15京都、埼玉県、 合考慮して判断するのが相当である。 イ まず、作品展示の状況についてみると、平成29年以前においては、原告の作品が展示された展示会等のうち来場者数が●(省略)●ものは、東15京都、埼玉県、神奈川県、千葉県といった東京都及びその近郊で開催されたものが大半で、開催回数も年に2、3回程度に限られていたこと、東京都及びその近郊以外で開催され、来場者数が●(省略)●展示会等も、三重県、広島県、大阪府、福岡県、大分県、徳島県、岐阜県、佐賀県及び長崎県において開催されたものにとどまるから、この時点では、来場者数は20限定的で、来場者の住所地も地理的に大きく偏っていたと考えられる(なお、前記(1)アのとおり、当該来場者数に相当する全ての者が原告の作品を鑑賞したか否かは明らかでない。)。また、会場が美術館であったり、展示名に「芸術」、「アート」、“DESIGNERS”、“DESIGN”との文言が含まれたりする展示が多く、美術、芸術の分野に関心がない者は、原告の作品の展示に25も原告表示等にも注意を払わなかった可能性がある。 27 その後、平成30年ないし令和元年にかけて、政令指定都市以外の県庁所在地等の地方都市で開催した展示会等においても来場者数が●(省略)●ようになり、その回数も年に10回程度と大幅に増加している。特に、チームラボボーダレスの開館後1年間の来場者数が約230万人、チームラボプラネッツの開館後1年間の来場者数が約120万人であったことか5らすると(もっとも、チームラボボーダレスの来場者の約50パーセント、チームラボプラネッツの来場者の約30パーセントは、訪日外国人であった。甲1600)、この頃から、必ずしも美術や芸術といった特定の分野に関心を有しない者も、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツに来 ボプラネッツの来場者の約30パーセントは、訪日外国人であった。甲1600)、この頃から、必ずしも美術や芸術といった特定の分野に関心を有しない者も、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツに来場するなどして、原告の作品に関心を有するようになったことがうかが10われる。そして、原告の作品に関心を有するようになった一般消費者が、その作品を展示する施設や当該展示に係る広告宣伝に付されている原告表示等を目にすることで、原告表示等は、それまで以上の速度で知名度を獲得していったと考えられる。 もっとも、上記のとおり、来場者数が●(省略)●展示に係る会場の所15在地に照らせば、作品展示や当該展示に係る広告宣伝などを通じた原告表示等の知名度の獲得は、東京やその近郊、政令指定都市といった大都市や、県庁所在地などの中規模都市に居住する者が中心と考えられること、本件全証拠及び弁論の全趣旨により認定できる原告の作品展示への来場者数が訪日外国人を含めてのべ●(省略)●に満たないことにかんがみれば、需20要者である一般消費者において、原告表示等が商品等表示として日本国内の広い地理的範囲にわたって広く認識されるといえるには、マスメディア等を通じた知名度の獲得によって補われる必要があると考えられる。 ウ そこで、マスメディア等における原告の紹介等の状況についてみると、平成29年以前において、原告又は原告代表者を紹介する番組(全国規模25(日本放送協会、民放キー局制作の全国ネット番組など)で、かつ、番組 28 を視聴するための対価の支払を要しないものに限定して検討する。)は、年間10本程度以下にとどまり、その多くは、ニュース番組や情報番組であり、原告の作品やオフィスを紹介するものであった。 その後、平成30年にチームラボボーダレス及びチ ものに限定して検討する。)は、年間10本程度以下にとどまり、その多くは、ニュース番組や情報番組であり、原告の作品やオフィスを紹介するものであった。 その後、平成30年にチームラボボーダレス及びチームラボプラネッツが開館したことに合わせて、以後、多くのニュース番組、情報番組等にお5いて原告の作品及びその展示施設が紹介されたこと(平成30年に放送された番組数は、平成29年に放送された番組数の約3倍である。)、令和3年には、比較的知名度の高い長時間特別番組「24時間テレビ」や音楽番組「ミュージックステーション」といった、ニュース番組、情報番組とは視聴者層が異なると考えられる番組においても、チームラボボーダレス及10びチームラボプラネッツが紹介されたことから、それまで以上に幅広い層に原告表示等が知られるようになった可能性が高い。 このように、原告、原告代表者及び原告の作品は、ニュース番組、情報番組、音楽番組等において紹介されているところ、このうち、ニュース番組は、幅広い層の視聴者が視聴するものの、多数の時事報道等の中の一つ15として放送されることになるため、原告等が紹介される時間は相対的に短いと考えられる。これに対し、昼の時間帯などに放送される情報番組は、特定のテーマに絞った番組構成となっており、原告等が紹介される時間がニュース番組に比して相対的に長い上、体験レポートなどを交えて視聴者により強く印象付ける形で放送されていると考えられる一方、その視聴者20層は、当該時間帯にテレビを視聴可能な者に限られるため、限定的であると考えられる。また、平成27年の「SWITCH インタビュー達人達(たち)」及び「世界一受けたい授業」、平成28年の「プロフェッショナル仕事の流儀」及び「another sky-アナザースカイ-」といった地 る。また、平成27年の「SWITCH インタビュー達人達(たち)」及び「世界一受けたい授業」、平成28年の「プロフェッショナル仕事の流儀」及び「another sky-アナザースカイ-」といった地上波放送の番組において、20ないし60分程度の長さにわたって原告又は原告代表者に焦点25を当てた放送がされたものの、全ての視聴者が一度の放送だけで原告表示 29 等についての認識を定着させられるとまでは認め難いし、より放送時間が長かった他の番組についても、衛星放送で放送されたものが複数あり、必ずしも全ての番組が幅広い層に視聴されたとは認め難い。 そして、原告の作品展示施設に来場する需要者は、原告及び原告の作品を知った上で来場するのが通常であるのに対し、テレビ番組の視聴者の中5には、原告又は原告の作品を知らない者や、当該番組で原告等が紹介されていることを意識しないまま当該番組を視聴する者も多数いると考えられるから、当該番組中で原告表示等を目にしたとしても、それが原告の営業に係る出所を示すものであるとの認識の定着に寄与する程度は、原告の作品展示施設に来場する需要者が原告表示等を目にする場合と比較すると、10相対的に小さいと考えられる。 エ 前記イ及びウのとおり、平成30年以降、特定の層に限られない一般消費者が原告の作品を展示する施設や当該展示に係る広告宣伝に付されている原告表示等を目にすることで、原告の作品を展示する展示会等に対する関心を持つ者が増加し、原告表示等は、それまで以上の速度で知名度を獲15得していったと考えられるものの、原告表示等が日本国内の広い地理的範囲にわたって、商品等表示として広く認識されるためには、マスメディア等を通じた知名度の獲得によって補われる必要があったといえる。そして、原告を紹介する番組が のの、原告表示等が日本国内の広い地理的範囲にわたって、商品等表示として広く認識されるためには、マスメディア等を通じた知名度の獲得によって補われる必要があったといえる。そして、原告を紹介する番組が多数テレビで放送されているものの、当該番組それぞれが有する原告表示等の認識の定着に寄与する程度は、原告の作品展示20施設に来場する需要者が原告表示等を目にする場合と比較すると、相対的に小さいと考えられることなどから、原告表示等が需要者において商品等表示として日本国内の広い地理的範囲にわたって広く認識されるに至るには、相当の時間を要したものといえる。 そして、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツが開館した平25成30年6月ないし7月以降も、県庁所在地など都市を中心に原告表示等 30 を用いた展示名による作品展示が行われていること(前記(1)ア。別紙原告展示一覧表参照)、多くのテレビ番組で、原告の作品が原告表示等と共に多数紹介されており、特に令和3年に入って、ニュース番組、情報番組とは視聴者層が異なると考えられる番組においても、チームラボボーダレス及びチームラボプラネッツが数多く紹介されていたこと(前記(1)イ。別紙番5組一覧表参照)、その他原告の受賞歴等や原告ウェブサイトへのアクセス数(前記(1)ウ及びエ)を考慮すると、原告表示等は、現時点において著名な原告の商品等表示に当たると認められるものの、著名になった時期は、早くともチームラボボーダレス及びチームラボプラネッツが開館して約3年が経過した令和3年7月頃であったと認めるのが相当である。 10(3) 原告の主張について原告は、多数のフォロワーを有する著名人により、SNSにおいて、原告の作品及び商品等表示への言及がされていること等を、著名性獲得の根拠として のが相当である。 (3) 原告の主張について原告は、多数のフォロワーを有する著名人により、SNSにおいて、原告の作品及び商品等表示への言及がされていること等を、著名性獲得の根拠として考慮すべきであると主張する。 確かに、近年のSNSが有する情報発信力の強さは否定できないものの、 フォロワーの多いアカウントにおいて、原告の作品又は原告表示等に言及する投稿がされたとしても、実際に原告の作品展示施設に来場した者等に比し、全てのフォロワーが原告及び原告の作品についての認識及び関心を有しているのかは必ずしも明らかではなく、当該投稿を流し読みするなどして原告表示等についての認識の定着に寄与しない場合も少なくないと考えられること から、フォロワー数が多いからといって、当然に原告表示等について需要者に広く認識されているとは認め難い。 このほか、全てのフォロワーが日本国内に在住する者であるとは限らないことも考慮すると、原告が主張する事情を、原告表示等の著名性の有無及びその獲得時期の判断に当たって考慮することが相当とはいえない。 2 争点1-4(原告表示等が著名になる前から被告表示等を不正の目的でなく使用しているか)について(1) 前記1のとおり、原告表示等が著名な原告の商品等表示となった時期は、早くとも令和3年7月頃であったと認められる。 これに対し、前提事実(3)のとおり、被告が被告表示等の使用を始めたのは、 令和2年4月以前であるから、被告は、原告表示等が著名になる前から被告表示等を使用していると認められる。 (2) 不競法19条1項5号(令和6年3月31日以前の行為については令和5年法律第51号による改正前の同項4号)所定の「不正の目的」とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目 認められる。 (2) 不競法19条1項5号(令和6年3月31日以前の行為については令和5年法律第51号による改正前の同項4号)所定の「不正の目的」とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう(同10項2号)。そこで、前記(1)の被告による被告表示等の使用について、このような目的でなくされたと認められるか否かが問題となる。 ア まず、被告は、被告表示等のうち使用開始が最も遅い被告表示4の使用を始めた令和2年4月時点においても、いまだ原告表示等を認識していなかったと主張するので、そのような事実が認められるか否かを検討する。 15(ア) この点について、D及び被告の従業員であるE(以下「E」という。)は、上記被告の主張に沿う証言をする(証人D、証人E)。 そこで、上記各証言の信用性について検討すると、前提事実(3)及び前記1のとおり、被告が被告表示4の使用を始めた令和2年4月時点で、原告表示等が著名であったとは認められない上、前記1(1)ア(別紙原告20展示一覧表参照)のとおり、原告の作品の展示は、会場が美術館であったり、展示名に「芸術」、「アート」、“DESIGNERS”、“DESIGN”、「遊園地」との文言が含まれていたりする展示が多く、美術、芸術の分野や遊園地に関心を有しない者は、原告の作品の展示にも原告表示等にも注意を払わなかった可能性があるところ、本件証拠上、D及びEが、これらの分25野に特に関心を有していたことはうかがわれない。確かに、被告所在地 32 と同一都道府県内においても、平成27年7月から同年8月にかけて、「京セラドーム大阪スカイホール」において“Learn & Play! teamLabFuture Park”と題する展示、平成28年3月から同年6月にかけて 、平成27年7月から同年8月にかけて、「京セラドーム大阪スカイホール」において“Learn & Play! teamLabFuture Park”と題する展示、平成28年3月から同年6月にかけて、「ひらかたパークイベントホール」において「チームラボアイランド踊る!美術館と、学ぶ!未来の遊園地」と題する展示、平成30年7月5から同年9月にかけて、「あべのハルカス美術館」において「チームラボ学ぶ!未来の遊園地」と題する展示がそれぞれされていることが認められる(前記1(1)ア(別紙原告展示一覧表参照))。しかし、最も来館者数の多い「あべのハルカス美術館」における展示についてみても、当該美術館は、被告所在地の至近にあるとはいえないし、来館者が●(省略)10●にとどまること、開催場所が美術館であること、展示名に「未来の遊園地」とあることから、美術や遊園地に関心がない者は、当該展示に関心を抱かず、注意を払わないと考えられるところ、D及びEも同様であった可能性がある。 さらに、「チーム」は、競技・仕事などの分隊との意味を有する英単語15“team”の片仮名表記、「ラボ」は、医療に関わる実験室、研究室、薬品などの製造所の意味を有する英単語“laboratory”の片仮名表記を略したもの又は英単語“labo”の片仮名表記であって、“team”、“laboratory”及び“labo”は、いずれもよく知られた英単語であること、予防医学支援、労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業等を目的とする会社であ20る被告(前提事実(1)イ)の商号として、これらの英単語を利用することは自然であるといえるから、Dが原告表示等を認識することなく被告表示等に思い至ったとしても、特段不合理ではないというべきである。 以上の検討によれば、D及びEの上 して、これらの英単語を利用することは自然であるといえるから、Dが原告表示等を認識することなく被告表示等に思い至ったとしても、特段不合理ではないというべきである。 以上の検討によれば、D及びEの上記各証言は信用することができ、他方、本件全証拠によっても、それらの信用性を否定するに足りる事情25は認められない。 33 (イ) なお、証拠(甲1576)によれば、被告は、被告アカウントから原告アカウントをフォローしたことが認められるから、その際、原告表示等を認識したと認められるものの、その時期を認めるに足りる証拠はない。 しかも、被告アカウントから原告アカウントをフォローするためには、5その前に被告アカウントを作成する必要があるから、被告が当該フォローの際に原告表示等を認識したとしても、それは被告が被告表示4の使用を始めた後ということになる。 (ウ) このほか、被告アカウントから原告アカウントのフォローがされた時点より前に、被告が原告表示等を認識していたことをうかがわせる証拠10がないことを考慮すると、被告は、被告表示等の使用を始めた時点において、原告表示等を認識していなかったと認めるのが相当である。 イ そして、前提事実(1)のとおり、被告が行っている事業は、予防医学支援、労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業等であって、原告が行っている国内外でのデジタルアート作品の展示等とは全く異なっているところ、被15告が、現にアート作品の展示等の原告と競業関係にある事業を行っているとか、今後そのような事業を行う予定があると認めるに足りる証拠はない。 また、被告が、被告表示等を変更するなどして、原告表示等の外観に更に類似させた表示を使用しているとか、今後そのような表示を使用する予定であると認めるに足りる証拠もない。 めるに足りる証拠はない。 また、被告が、被告表示等を変更するなどして、原告表示等の外観に更に類似させた表示を使用しているとか、今後そのような表示を使用する予定であると認めるに足りる証拠もない。 ウ前記ア及びイの検討結果を総合考慮すると、被告が被告表示等を使用するに当たり、被告の営業の需要者に原告の営業と誤認させたり、原告表示等にただ乗りして同業他社より優位な立場に立つなどして不正の利益を得る目的、原告の顧客を誘引したり、原告の信用を毀損するなどして原告に損害を加えたりする目的、その他の不正の目的はなかったものであり、そ の状態が現在も継続していると認めるのが相当である。 (3) 原告の主張について原告は、被告が被告アカウントから原告アカウントをフォローしていたことや、被告ウェブサイトのタイトルや事務所の表札において会社の名称として「・」のない「チームラボ」との表示を使用していることを指摘して、被告には、原告の信用を利用して不当な利益を得る目的があるといえると主張 する。 確かに、前記(2)ア(イ)のとおり、被告は、当該フォローをした以降、原告表示等を認識していると認められるものの、被告が原告表示等を認識しているからといって、当然に不当な目的があるということはできない。むしろ、被告が原告アカウントをフォローすると、被告の存在ひいては被告が被告表 示等を使用していることが原告に明らかとなり、原告から法的措置をとられる可能性が高くなることからすると、当該フォローは、不当な目的を有する者による行為として合理性があるものとはいい難い。 また、被告が、被告ウェブサイトのタイトルや事務所の表札において「・」のない「チームラボ」との表示を使用していることについて、被告は、外注 業者にロゴ 為として合理性があるものとはいい難い。 また、被告が、被告ウェブサイトのタイトルや事務所の表札において「・」のない「チームラボ」との表示を使用していることについて、被告は、外注15業者にロゴの製作を依頼した際、当該業者が「・」を入れ忘れて作成したデータを被告に納品し、被告が当該データをよく確認しないまま、ウェブサイト作成業者や表札作成業者にそのまま送付したことが原因であると主張し、D及びEもこれに沿う証言をしているところ(証人D、証人E)、本件全証拠によっても、これらの証言の信用性に疑問を差し挟むような事情は認められ20ない。むしろ、被告が、事務所の表札よりもはるかに多くの者の目に触れる可能性のあるウェブサイトの冒頭に表示されるロゴにおいて、「チーム・ラボ」との記載を含む被告表示1を使用していることからすると(甲1574の1)、被告ウェブサイトのタイトルや事務所の表札において「・」のない「チームラボ」との表示を使用しているからといって、直ちに被告が原告の信用を利25用して不当な利益を得ようとしていたと認めることはできないというべきで 35 ある。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 (4) まとめ以上によれば、被告は、原告表示等が著名になる前から被告表示等を不正の目的でなく使用していると認められるから、被告による被告表示等の使用5行為については、不競法19条1項柱書及び同項5号(令和6年3月31日以前の行為については令和5年法律第51号による改正前の同項4号)により、不競法3条及び4条は適用されない。 3 争点2-2(被告商号の使用が不正の目的によるものか)について前記2において説示したとおり、被告による被告商号の使用が不正の目的に10よるものとは認められない。 4 小括 されない。 3 争点2-2(被告商号の使用が不正の目的によるものか)について前記2において説示したとおり、被告による被告商号の使用が不正の目的に10よるものとは認められない。 4 小括よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないというべきである。 第4 結論15以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 20裁判長裁判官 國 分 隆 文 25裁判官 36 間 明 宏 充 裁判官5 木 村 洋 一 37 (別紙)被告表示目録 1 2 チームラボ 3 (URL一部省略)teamlab-trip(URL一部省略) 4 teamlabtrip以上 38 (別紙)URL目録 (URL一部省略)teamlab-trip(URL一部省略)以上 39 (別紙)原告表示目録 1 チームラボ 2 teamLab以上 40 (別紙原告展示一覧表 省略)(別紙番組一覧表 省略) 2 teamLab以上 (別紙原告展示一覧表省略)(別紙番組一覧表省略)
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