【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 原告 1 被告は原告に対し、金一一六、四六〇、五一五円、ただしAに土地賃借権がな いものと確定し
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告は原告に対し、金一一六、四六〇、五一五円、ただしAに土地賃借権がないものと確定した場合は金一一六、四一四、九二二円、及びこれに対する昭和四九年七月二〇日から右支払いまで年五分の割合による金具を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決及び右第一項について仮執行宣言。 二被告主文同旨の判決。 第二当事者の主張一原告の請求原因l原告は別表第一記載の土地で同表備考に記載のとおりに分筆される前の土地(以下本件土地という)を従前から所有し、同表記載のとおりこれをB及びCに賃貸して来た。 なお、同表記載のAには賃貸していない。 2 本件土地を含む区域については、昭和四六年八月一一日、被告を施行者とする都市計画法に基づく高石都市計画道路事業の事業決定の認可の告示があつた。 3 大阪府収用委員会は、昭和四九年六月二五日、本件土地のうち別表第一の表に記載の土地(以下本件収用土地という。なお、本件土地のうち本件収用土地以外の部分を本件残地といい、個々の土地を呼ぶ場合は別表第二(3)欄の記号に従い、本件A土地、本件B収用土地、本件C残地等という)を右2の事業のために収用する裁決をし、原告に対する損失補償を九七、二二五、七三〇円、ただしAに土地賃借権がないものと確定した場合は、一〇三、〇二八、五一七円、権利取得の時期を同年七月二〇日、明渡し期限を同月二五日と定めた。 4 本件裁決は損失補償の額を次の通り算出している。 (一) 土地損失補償(1) 昭和四七年八月一二日における本件収用土地の更地としての価格別表第二(5)、(6)欄に記載のとおり。 (2) 昭和四七年八月一二日における本件収用土地の賃借権負担あるものの価格。 右(1)の価 1) 昭和四七年八月一二日における本件収用土地の更地としての価格別表第二(5)、(6)欄に記載のとおり。 (2) 昭和四七年八月一二日における本件収用土地の賃借権負担あるものの価格。 右(1)の価格の六〇パーセント。別表第二(7)欄に記載のとおり。 (3) 土地収用法七一条、同法施行令一条の一二の修正率一・三七一三(4) 各土地についての土地損失補償の額賃借権の有無に応じ右(1)又は(2)の額に右(3)の率を乗じた額。別表第二(8)欄に記載のとおり。 (5) 土地損失補償の総額九六、〇四〇、六一六円、ただし、Aに賃借権がないと確定した場合は一〇一、〇六七、一五七円。 (二) 残地補償(1) 残地補償の土地本件D残地についてのみ残地補償、その余の本件残地には価値減が生じない。 (2) 昭和四七年八月一二日における本件残地の減価額本件D残地の価格(一平方メートル当り二七、五〇〇円の六〇パーセント、ただし、Aに賃借権がないときはその一〇〇パーセント)の五パーセントに当る八四九、〇九八円、ただしAに土地賃借権がないと確定したときは一、四一五、一六四円。 (3) 本件D残地についての残地補償の額右(2)の額に前記(一)(3)の修正率を乗じた額一、一六四、三六八円、ただし、Aに土地賃借権がないと確定した場合一、九四〇、六一四円。 5 損失補償の額は、二一四、一九四、一一五円、ただし、Aに土地賃借権がないと確定した場合は二一九、九五一、三〇九円とされるべきであつて、本件裁決の認めた額は低すぎる。その理由は次の通りである。 (一) 土地損失補償(1) 昭和四七年八月一二日における本件収用土地の更地としての価格別表第二(9)欄に記載のとおり。 (2) 本件裁決時における本件収用土地の更地としての価格別表第二(10)欄に記載のとおり。 (3) 本件収用 四七年八月一二日における本件収用土地の更地としての価格別表第二(9)欄に記載のとおり。 (2) 本件裁決時における本件収用土地の更地としての価格別表第二(10)欄に記載のとおり。 (3) 本件収用土地の賃借権負担あるものとしての価格右(1)又は(2)の価格の八〇パーセント(4) 土地収用法七一条の不適用損失補償請求権は憲法二九条により直接に認められた権利であつて、個々の実体法により認められたものではない。 したがつて、補償額の算定方式が法定されていないときは当然に時価そのものが補償されるから、土地収用法七一条、同法施行令一条の一二の定める方式により算出される額が収用裁決時の時価より低い場合であつてもその差額を補償しなくても良いという趣旨ではない。よつて、本件裁決当時の本件収用土地の価格一平方メートル当り六六、〇〇〇円が補償されるべきである。 (5) 土地収用法七一条の適用方法(ア) 本件裁決がされる日の前日から起算して前二週間目の日において全国総合消費者物価指数及び投資財指数が公表されている最近三箇月は昭和四九年二ないし四月であつたのでこれを用いて土地収用法施行令一条の一二の定める方法により算出した修正率は一・三七一三となり、本件裁決は右修正率を適用して損失補償額を算定している。 (イ) しかし、土地収用法施行令一条の一二の定める修正率の算出方法は最近三月間、本件では昭和四九年三月から六月までの物価上昇を無視している点で、法の趣旨に反し違法である。そこで、同法七一条により損失補償額を算出すべきものとしても、右三月間も事業認定告示以降昭和四九年三月まで一九月間の平均物価変動率と同率の変動があるものとみなして次の算式で算出した指数一・四二九九を同法七一条の修正率として採用すべきである。 1+0.3713×22/19=1.4299(二) 三月まで一九月間の平均物価変動率と同率の変動があるものとみなして次の算式で算出した指数一・四二九九を同法七一条の修正率として採用すべきである。 1+0.3713×22/19=1.4299(二) 残地補償(1) 残地補償の土地本件B、C、D残地について残地補償をすべきである。 (2) 本件B、C、D残地についての残地補償の額本件収用裁決時の本件B、C、D残地の価格(一平方メートル当り六六、〇〇〇円、賃借権負担のあるときはその八〇パーセントの額)の一〇パーセントに当る額別表第三(8)欄に記載のとおり。 (3) 残地補償の総額一四 、一二八、三一五円、ただし、Aに土地賃借権がないと確定した場合は一五、四八六、八七三円。 6 よつて、原告は土地収用法一三三条に基づき、起業者である被告に対し、右5の損失補償金より本件裁決が認めた額を差引いた残額のうち一一六、四六〇、五一五円、ただし、Aに賃借権がないものと確定した場合は一一六、四一四、九二二円、及びこれに対する裁決の定めた権利移転の日の昭和四九年七月二〇日から右支払いまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 二被告の主張 1 請求原因1の事実のうち、原告がAに土地を賃貸していないとの点を争い、その余は認める。 2 請求原因2ないし4の事実は認める。 3 請求原因5のうち、(一)(5)(ア)の事実は認めるが、その余は争う。被告の損失補償に関する主張は本件裁決の判断(請求原因4)のとおりであるから、これを援用する。 第三証拠(省略)○ 理由一当事者間に争いのない事実請求原因1ないし3のとおり、原告が本件土地を所有し、本件A土地をBに、本件B土地をCに賃貸して来たところ、本件土地につき昭和四六年八月一一日都市計画法による事業決定認可の告示があり、大阪府収用委員会は昭和四九年六月二五 おり、原告が本件土地を所有し、本件A土地をBに、本件B土地をCに賃貸して来たところ、本件土地につき昭和四六年八月一一日都市計画法による事業決定認可の告示があり、大阪府収用委員会は昭和四九年六月二五日本件土地のうち本件収用土地を右事業のために収用する裁決をしたこと、右裁決の定めた損失補償金及びその算定方法が請求原因4のとおりであることは当事者間に争いがない。 二事業認定告示時における本件収用土地の相当な価格本件裁決は、昭和四六年八月一一日に事業決定認可告示のあつた都市計画事業の用に供するためにされたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲一号証によれば被告が本件裁決の申立てをしたのは昭和四八年七月一二日であることが認められるから、都市計画法七〇条、七一条一項により本件土地収用の関係では昭和四七年八月一二日が土地収用法上の事業認定告示の日とみなされる。そこで、右事業認定告示時における本件収用土地の相当な価格について判断する。 この点に関する証拠資料としては、不動産鑑定士D(証人Dの証言により成立の認められる甲三号証、及び同証言)、同E(成立に争いのない乙一号証)、同F(成立に争いのない乙二号証、及び証人Fの第一回証言)、同G(成立に争いのない乙三号証)、同H(鑑定の結果、及び鑑定証人Hの証言)の鑑定書、鑑定結果、証言があり、これらの内容は別表第四(8)ないし(12)に示すとおりである。これらの証拠資料のうちDによるものを除いては本件裁決の認めた額以下、又は僅かに上廻る額を相当としているのに対し、Dは本件裁決の認めた額を約三五パーセントも上廻る額を相当としているので、このD鑑定により本件裁決の認めた額以上の額を認定できるかどうかについて判断する。 (1) D鑑定は本件D土地が第二種住居専用地域に指定されていることを前提として評価して 廻る額を相当としているので、このD鑑定により本件裁決の認めた額以上の額を認定できるかどうかについて判断する。 (1) D鑑定は本件D土地が第二種住居専用地域に指定されていることを前提として評価している(甲三号証一一頁、証言七四頁)。しかし、成立に争いのない乙一ないし四号証によれば、都市計画法上の用途地域としては、本件D土地は住居地域と定められていることが認められ、これに反する右甲三号証及び証人Dの証言は採用することはできない。ところで、第二種住居専用地域と住居地域とでは建築してはならない建物の種類が異なり、第二種住居専用地域は住居地域に比してより良い住居環境を形成することを目的とする地域であると解される(建築基準法四八条二、三項、別表第二(3)(は))。そして、前記甲三号証、乙一ないし三号証及び鑑定の結果によれば、本件土地の最有効使用用途は住宅用地であることが認められるから、本件D土地が第二種住宅専用地域内にある場合は、住宅地域内にある場合に比してより高い地価が形成される可能性がある。その上、D鑑定が取引事例比較法により鑑定するに際し採用した取引事例の土地は第二種住居専用地域内に存するというのである(甲三号証の別表選択した宅地見込地取引事例の概要)。そうすると、D鑑定のこの用途地域に関する誤認は鑑定結果に影響を及ぼす可能性がありこれを容易に採用することはできない。 (2) D鑑定は本件D土地の価格を鑑定するに当つて、「(本件D土地は)道路用地の構成部分として利用されるものである点を考慮し、画地条件の比較に際しては、地形、面積等による品等格差は捨象し、高低差についてのみ費用性の観点から考慮した。」としている(甲三号証、一六頁なお、一二頁(3)後段参照)。しかしながら、土地収用における損失補償の額は、起業者が収用土地により受ける利益を基準 象し、高低差についてのみ費用性の観点から考慮した。」としている(甲三号証、一六頁なお、一二頁(3)後段参照)。しかしながら、土地収用における損失補償の額は、起業者が収用土地により受ける利益を基準とし、又はそれを考慮して算出すべきものではなく、被収用土地の一般的な価格を基準として算出すべきものであつて、D鑑定の右の前提は誤つている。そして、体件D土地は長方形、正方形ではなくL字形をした土地であることは前記甲三号証により明らかであるから、D鑑定の右の誤りは鑑定結果に影響を及ぼす可能性があり、これを容易に採用することはできない。 (3) D鑑定は四個の取引事例(甲三号証、取引事例番号五、七、二一、三二)を採用し、その取引価格を標準地価格に補正したうえ三個の取引事例(取引事例番号七、二一、三二)を中心にして本件D土地の価格を算出している。右事例のうち取引事例番号二一、三二の取引時点は本件事業認定告示時に近接しているが、その土地は市役所予定地、公園、小学校の存する地域内に位置しているのに比し、本件D土地の近隣には公園、学校、市役所などは存しなかつたことは、前記甲三号証及び乙二号証により明らかである。ところが、D鑑定は本件D土地と格差が認められないと想定する標準地(甲三号証一三、一六頁)の環境条件を一〇〇としたとき、取引事例番号二一、三二の土地を一一〇としているのであるが、右認定の事情を考慮したとき、何故この程度の差しかないのか容易に理解することができない。 (4) 乙一ないし三号証のうちでも乙二号証のF鑑定は昭和四六年一一月及び昭和四七年中の取引事例六個(そのうち高石市<地名略>所在の土地は被告が道路用地として買取つたものであることは、証人Iの証言により成立の認められる乙三一号証により認められるので、これを除くと五個)を採用してそれとの比較で本件 (そのうち高石市<地名略>所在の土地は被告が道路用地として買取つたものであることは、証人Iの証言により成立の認められる乙三一号証により認められるので、これを除くと五個)を採用してそれとの比較で本件土地の価格を算定しているが、右乙二号証、及び証人Fの第一回証言を検討しても、F鑑定の手法については特に問題とするところは見当らない。 (5) 証人Iの証言により成立の認められる乙六ないし四〇号証、鑑定の結果及び弁論の全趣旨によると、被告は本件土地と同じく道路用地とする目的で、本件D収用土地の東西約一〇〇メートルの間にある土地のうち、一八筆を昭和四七年中に一六人の所有者(共有者を含む)より一平方メートル当り二三、三〇〇円ないし二八、九〇〇円の価格で、三筆を昭和四八年中に二一人の所有者(共有者を含む)より一平方メートル当り二八、八〇〇円ないし三〇、八〇〇円の価格で任意に買受けたことが認められる。前記甲一号証によれば、原告は本件裁決手続当時より起業者の損失補償見積りが低すぎると主張していたことが認められるから、起業者が同意して成立した売買価格を収用土地の価格の判断に当り重視しすぎるのは望ましいことではない。しかしながら、右認定のように他方の契約当事者である所有者の多数が裁決を求めることなく売買の合意をしている事実自体を、収用土地の価格の判断に当り全く無視してしまうことも相当ではないと言うべきである。 以上の諸点を考慮すると、前記甲三号証及び証人Dの証言によつては、本件D収用土地その他の本件収用土地の本件事業認定告示時における相当な価格が被告の認める額以上であることを認めることができない。他にこれを認めるに足る証拠は存しない。 三事業認定告示時における賃借権負担のある本件収用土地の相当な価格証人Iの証言により成立の認められる乙四一ないし四五号証、証人 ることを認めることができない。他にこれを認めるに足る証拠は存しない。 三事業認定告示時における賃借権負担のある本件収用土地の相当な価格証人Iの証言により成立の認められる乙四一ないし四五号証、証人Fの第二回証言により成立の認められる乙四六号証、及び成立に争いのない乙四七号証によれば、事業認定告示時における賃借権負担付の本件A、B、D収用土地の相当な価格は右二に認定の完全な所有権価格の六〇パーセントに当る額と認めることができる。 証人Cの証言により成立の認められる甲八ないし一四号証、並びに証人C及びF(第二回)の証言によれば、高石市所在の田の賃貸借を合意解約するについて賃借人に支払われた離作料が土地価格の三五パーセント以下のものであつたことが認められるが、これをもつては未だ右認定を覆すに足りないし、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 四土地損失補償の額の算出方法(一) 原告は本件裁決時における収用土地の価格を損失補償の額とすべきであると主張する。しかし、昭和四二年法律第七四号による土地収用法七一条の改正の経緯を考慮すると、右改正後の土地収用法は裁決時の収用土地の価格が高騰していても右改正後の同法七一条の定める方法により算出した額を土地損失補償の額とし、それ以上の補償をしないとするのが立法者である国会の意思であると解される。そのうえ、右七一条は最近のように同条の修正率が地価の値上り率より高い場合でも適用されるのであるし、土地所有者は事業認定告示後は裁決前であつても補償金の支払いを受けることができ(同法四六条の二、四)、起業者が見積り補償金を支払わず又は支払つた補償金額が裁決に示された額よりも低い場合は最高は年一八・二五パーセントの割合の加算金、過怠金の支払いを受けることができる(同法九〇条の三、四)ことも考慮すると、右改正後の同法七一条 わず又は支払つた補償金額が裁決に示された額よりも低い場合は最高は年一八・二五パーセントの割合の加算金、過怠金の支払いを受けることができる(同法九〇条の三、四)ことも考慮すると、右改正後の同法七一条が不合理なものとも解することはできない。そうすると、本件裁決時における収用土地の価格を損失補償の額とすべきであるとする原告の主張は理由がない。 (二) 本件裁決の日の前日から起算して前二週間目の日において昭和四九年四月までの全国総合消費者物価指数及び投資財指数しか公表されていなかつたこと、同月までの右各指数を用いて土地収用法施行令一条の一二に定める方法により算定した修正率が一・三七一三であることは当事者間に争いがなく、右修正率を用いて同法七一条の定める方法により土地損失補償金を算出するとその額は別表第二(8)欄に記載のとおりとなる。 (三) 原告は土地収用法七一条の修正率の算定に当り現実の物価指数を利用できなかつた期間(本件では三箇月)の物価変動をそれ以前の平均変動率に準じて考慮すべきであると主張する。確かに、同法施行令一条の一二、附録の定める算定方式では裁決前の約三箇月の物価変動が考慮されないこととなる点に問題がない訳ではない。 しかし、右政令の定める方式は、物価の一時的な変動を平準化する目的と、公表された物価指数しか利用できない現実とを考慮すると、やむをえないと言うべきである。そして、原告の主張するような算定方式を採用することは、法令の解釈の限度を超えるものであつて採用することはできない。原告のこの点の主張は理由がない。 原告の土地損失補償残額の請求は理由がない。 五残地補償原告は本件B、C土地についても残地補償がされるべきであると主張する。本件土地、本件収用土地、本件残地の地目、面積、形状等が別表第一、別添図面(2)のとおりであること 求は理由がない。 五残地補償原告は本件B、C土地についても残地補償がされるべきであると主張する。本件土地、本件収用土地、本件残地の地目、面積、形状等が別表第一、別添図面(2)のとおりであることは当事者間に争いがなく、これによると本件B、C土地は少し曲つた細長い形の一団の土地であつたところ、その中央部を収用され、その北部に残つたのが面積一、一六五平方メートル余の正方形に近い五角形の本件B残地、その南部に残つたのが面積三八四平方メートル余の長方形の本件C残地である。乙一号証その他本件全証拠によるも本件B、C残地の道路との関係が悪化したものとも認められない。本件土地の最有効用途は前記認定のとおり住宅用地であるところ、右認定の事実を考慮すると、本件全証拠によるも本件B、C残地は本件収用前に比して土地の形状、面積、街路状況その他からみて価値の低下があつたものと認めることはできない。証人Cの証言中には、本件B、C土地は収用前から田として耕作したが、その中央部を収用されたので不便になり、また本件C残地は水が漏水するようになつたので畑にしたとの部分がある。しかし、本件収用により何故に漏水が生ずることになるのか理解することができないし、耕作面積が狭くなつて不便がありうるとしてもそれが金額に見積つてどの額になるかは本件全証拠によるも明らかにすることができない。以上のとおり、本件B、C残地について残地補償を必要とする価値の減少があつたと認めることはできない。 原告は本件D残地につき土地価格の一〇パーセントに当る額を残地補償として認めるべきであると主張する。別表第一及び別添図面(3)のとおり、本件D土地は面積一、三六二平方メートル余のL字型の一団の土地であつたところ、その端の二か所より面積二四八平方メートル余の梯形の土地と八四平方メートル余の三角形の土地 一及び別添図面(3)のとおり、本件D土地は面積一、三六二平方メートル余のL字型の一団の土地であつたところ、その端の二か所より面積二四八平方メートル余の梯形の土地と八四平方メートル余の三角形の土地を収用されたことは当事者間に争いなく、本件土地の最有効用途は住宅用地であることは前認定のとおりである。 右事実によると本件D残地は従前に比してその形状が悪化し住宅用地としての価値が低下したことが認められる。しかしながら、形状が悪化したこと等による昭和四七年八月一二日における価値の減少が本件裁決の認めた一、四一五、一六四円(減価率を五パーセントとして算定した額)を上廻るものとは、前記乙一、二号証その他本件全証拠によるも認めることはできない。 原告の残地補償残額の請求は理由がない。 六結論以上のとおり原告の損失補償金差額請求はすべて理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条を適用して主文の通り判決する。 (裁判官石川恭井関正裕西尾進)
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