主文 1 被告は,被告補助参加人らに対し,連帯して327万8093円及び内318万1021円に対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 甲事件原告らのその余の請求を棄却する。 3 乙事件に係る訴えを却下する。 4 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を除く。)の負担については以下のとおり定める。 (1) 甲事件原告らの負担甲事件原告らに生じた費用の5分の4,被告に生じた費用の5分の2(2) 乙事件原告らの負担乙事件原告らに生じた費用の全部,被告に生じた費用の2分の1(3) 被告の負担甲事件原告らに生じた費用の5分の1,被告に生じた費用の10分の1 5 補助参加によって生じた費用の負担については以下のとおり定める。 (1) 甲事件原告らの負担甲事件原告らに生じた費用の5分の4,被告補助参加人らに生じた費用の5分の2(2) 乙事件原告らの負担乙事件原告らに生じた費用の全部,被告補助参加人らに生じた費用の2分の1(3) 被告補助参加人らの負担甲事件原告らに生じた費用の5分の1,被告補助参加人らに生じた費用の10分の1 事実及び理由 第1 請求(甲・乙事件共通)被告は,被告補助参加人らに対し,1528万0918円及びうち1175万0821円に対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子大阪市は,P 社会福祉協議会(被告補助参加人。以下「本件地域社協」という。)に対し,社会福祉法人U 社会福祉協議会(以下「本件市社協」という。)及び社会福祉法人V 社会福祉協議会(以下「本件区社協」という。)を通じて,本件地域社協 助参加人。以下「本件地域社協」という。)に対し,社会福祉法人U 社会福祉協議会(以下「本件市社協」という。)及び社会福祉法人V 社会福祉協議会(以下「本件区社協」という。)を通じて,本件地域社協が実施する高齢者食事サービス事業(以下「本件事業」という。)に係る補助金(以下「本件補助金」という。)を交付している。 本件は,大阪市の住民である原告ら(甲事件原告ら及び乙事件原告らをいう。 以下特記しない限り同じ。)が,本件地域社協が本件補助金の一部を目的外に支出し,又は違法に保有していると主張して,被告に対し,ⅰ 本件地域社協に対しては,不当利得返還請求又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条の準用に基づく損害賠償請求として,ⅱ 本件地域社協の代表者会長であるQ(被告補助参加人。以下「Q」という。)に対しては,不法行為に基づく損害賠償請求として,それぞれ1528万0918円及びうち1175万0821円に対する平成21年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払請求をすることを求める住民訴訟である。 原告らは,本件地域社協に交付された本件補助金の一部につきそれぞれ各年度の末日に返還義務が確定し,その翌日から法定利息又は遅延損害金(以下,併せて「法定利息等」ということがある。)が発生することを前提として,不当利得金又は損害賠償金並びにこれらに対する返還義務の発生日の翌日(ただし,平成9年度までに交付された本件補助金については平成10年4月1日)から支払済みまでの法定利息等の支払を求めるよう請求している。 2 前提事実(争いがないか,各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告らは,大阪市の住民である。 イ本件市社協は,大阪市内において設立された市町村社会福祉協議会(社 ,各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告らは,大阪市の住民である。 イ本件市社協は,大阪市内において設立された市町村社会福祉協議会(社会福祉法109条1項)である。 ウ本件区社協は,大阪市a 区内において設立された地区社会福祉協議会(社会福祉法109条2項。以下,大阪市内に設立された地区社会福祉協議会一般を単に「区社協」という。)の1つである。 エ本件地域社協は,大阪市a 区内にある地域社会福祉協議会(大阪市内においておおむね小学校区ごとに設立された地域福祉活動推進事業等を行う権利能力なき社団。以下単に「地域社協」という。)の1つであり,本件市社協及び本件区社協に参加している。 Qは,平成10年度から現在まで本件地域社協の代表者である会長の地位にある。 (以上アからエまでにつき,争いがない)(2) 本件事業の概要ア本件事業は,本件市社協が承認した区社協又は地域社協がボランティア等の協力を得て,配食又は会食により,大阪市内に居住するおおむね65歳以上の者であって,ⅰ 一人暮らしであるもの,ⅱ 高齢者のみの世帯に属するもの,ⅲ 寝たきり状態にあるもの,ⅳ ⅰからⅲまでに準ずるものであって,食事サービスを受けることを必要とするものに,食事を提供する事業である(本件補助金の交付に係る申請,決定等について必要な事項を定めた大阪市高齢者食事サービス事業補助金交付要綱(平成元年4月1日大阪市民生局要綱第3号,以下「本件要綱」という。)4条,5条。 乙1の1)。 本件事業における配食又は会食の提供方法については,ボランティアが調理したものを提供する方法を採る地域社協と,業者から購入したものを提供する方法を採る地域社協とが存在する(乙7,8)。 イ本件地域社協では, ける配食又は会食の提供方法については,ボランティアが調理したものを提供する方法を採る地域社協と,業者から購入したものを提供する方法を採る地域社協とが存在する(乙7,8)。 イ本件地域社協では,昭和59年から本件事業を実施しており,上記アの 提供方法のうち,ボランティアが調理したものを提供する方法を採っている。Qは,本件地域社協において本件事業を主管する食事サービス委員会(以下「本件委員会」という。)の委員長を務めている。(争いがない)(3) 本件補助金に関する大阪市の規定ア平成10年度から平成12年度まで平成10年4月1日当時施行されていた本件要綱(平成13年大阪市民生局要綱第2号による改正前のもの。)の内容は,以下のとおりである(乙23)。 (ア) 補助金交付の対象となる経費は,本件事業を行うために要する経費であって,下記の経費とし,同額を交付する(5条,4条及び別表)。 記a 調理に要する経費1食につき150円以内b 活動経費(a) 年間活動経費実施回数業者による調理ボランティアによる調理週3回実施の場合年間24万円年間28万円週2回実施の場合年間18万円年間22万円週1回実施の場合年間12万円年間16万円月3回実施の場合年間10万円年間12万円月2回実施の場合年間 8万円年間10万円月1回実施の場合年間 4万円年間 5万円(b) 年間活動経費の配食加算500食配食するごとに5000円を年間活動経費に加算する。 ただし,1か所あたり10万円を限度とする。 (c) 事業開始経費 新規に事業を開始する場合の備品購入,研修等に要する費用15万円以内(d) 協議会が事業を行うための経費本件市社協が区社協及び地域社協の指導 を限度とする。 (c) 事業開始経費 新規に事業を開始する場合の備品購入,研修等に要する費用15万円以内(d) 協議会が事業を行うための経費本件市社協が区社協及び地域社協の指導育成等を行うための経費であって,被告が承認した額。 (イ) 本件市社協の会長は,大阪市が指定する日までに所定の様式の交付申請書を被告に提出しなければならない(6条)。 (ウ) 補助金の交付条件は,次のとおりとする(7条1項)。 a 本件事業に要する経費の大幅な変更を行う場合には,被告の承認を受けなければならない。 b 本件事業を中止し,又は廃止する場合には,被告の承認を受けなければならない。 c 本件事業により取得した財産は,善良な管理者の注意を持って管理するとともにその効果的な運用を図らなければならない。 (エ) 被告は,補助金の使用目的が補助金交付の趣旨に沿わないと認めたときは,この補助金の全部又は一部を取り消し,補助金の返還を求めることがある(7条2項)。 (オ) 本件事業の実績報告は,事業実績報告書により,補助金交付決定に係る会計年度終了後45日以内に報告しなければならない(9条)。 イ平成13年度から平成17年度まで大阪市は,平成13年大阪市民生局要綱第2号による改正(同年4月1日施行)により,本件要綱別表の「調理に要する経費」(前記ア(ア)a)の補助額を「1食につき250円以内」と改めた(乙1の3)。 ウ平成18年度(ア) 本件規則の制定大阪市は,補助金等施行規則(平成18年2月24日規則第7号,以 下「本件規則」という。)を定め,同年4月1日に施行した。その内容は,以下のとおりである(乙2)。 a この規則は,別に定めがあるもののほか,補助金等の交付の申請,決定等に関する事項その他補助金等に係る予 規則」という。)を定め,同年4月1日に施行した。その内容は,以下のとおりである(乙2)。 a この規則は,別に定めがあるもののほか,補助金等の交付の申請,決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより,補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする(1条)。 b 補助金の交付の申請をしようとする者は,被告の定める期日までに,所定の事項を記載した申請書に事業計画書及び収支予算書又はこれに相当する書類その他被告が必要と認める書類を添付して,これを被告に提出しなければならない(4条)。これに対し,被告は,当該申請に係る書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により,補助金等を交付すべきものと認めたときは,速やかに交付の決定をするものとする(5条1項)。 c 被告は,補助金等の交付の決定をするときは,次に掲げる条件を付するものとする(6条)。 (a) 補助事業等の内容,経費の配分又は執行計画の変更(被告が認める軽微な変更を除く。)をする場合には,被告の承認を受けるべきこと(b) 補助事業等を中止し,又は廃止する場合には,被告の承認を受けるべきこと(c) 補助事業等が予定の期間内に完了しない場合又は補助事業等の遂行が困難となった場合には,速やかに被告に報告してその指示を受けるべきこと(d) 被告が,補助金等に係る予算の執行の適正を期するため,補助事業者に対して報告を求め,又はその職員に当該補助事業者の事務 所,事務所等に立ち入り,帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させる必要があると認めたときは,これに協力すべきことd 補助事業を行う者は,補助事業が完了したとき( の事務 所,事務所等に立ち入り,帳簿書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させる必要があると認めたときは,これに協力すべきことd 補助事業を行う者は,補助事業が完了したとき(補助事業が継続して行われている場合には各年度ごとに被告が定める期日とする)は,収支決算書等を添付した報告書により補助事業の成果を被告に報告しなければならない(14条)。 e 被告は,上記報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により,当該報告に係る補助事業の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに付した条件に適合するものであるかどうかを調査し,適合すると認めたときは,交付すべき補助金の額を確定し,当該補助事業者に通知する(15条)。 f 被告は,上記dに係る成果の報告を受けた場合において,当該報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の内容及びこれに付した条件に適合しないと認めるときは,当該補助事業につき,これに適合させるための措置をとるよう当該補助事業者に指示することができる(16条)。 g 被告は,補助事業者が,補助金を他の用途に使用し,その他補助事業に関して補助金の交付の決定の内容又はこれに付した条件その他法令等又はこれに基づく被告の処分に違反したときは,補助金の交付の決定の全部又は一部を取り消すものとする(17条1項)。この場合において,被告は,補助事業の当該取消しに係る部分に関し,既に補助金が交付されているときは,期限を定めてその返還を命ずる(同条2項)。 (イ) 本件要綱の改正大阪市は,本件規則の制定を受けて,本件要綱の内容を,以下のとお り改め,平成18年4月1日に施行した(乙1の2)。 a 補助金交付の対象となる経費は,本件事業を行うために要する経費であって,下記の経費とする(6条,別表)。 要綱の内容を,以下のとお り改め,平成18年4月1日に施行した(乙1の2)。 a 補助金交付の対象となる経費は,本件事業を行うために要する経費であって,下記の経費とする(6条,別表)。 記(a) 事業を行うための経費ⅰ 年間活動費1食につき250円ⅱ 年間運営費実施回数業者による調理ボランティアによる調理週3回実施の場合年間24万円年間28万円週2回実施の場合年間18万円年間22万円週1回実施の場合年間12万円年間16万円月3回実施の場合年間10万円年間12万円月2回実施の場合年間 8万円年間10万円月1回実施の場合年間 4万円年間 5万円ⅲ 配食加算費500食配食するごとに5000円を年間活動経費に加算する。 ただし,1か所あたり10万円を限度とする。 ⅳ 新規事業費新規開始時,食事サービス事業に必要な備品,消耗品費の購入及び研修等に要する費用(工事費用は認めない。)ただし,1か所あたり15万円を限度とし,初年度のみとする。 ⅴ 給食設備費食事サービス事業に必要な備品,消耗品費の買換え及び追加購入に要する費用(工事費用は認めない。)ただし,1か所あたり5万円を限度とし,3年間に1回とする。 ⅵ 検便費調理するボランティアの検便にかかる費用1回につき800円(b) 本件市社協が事業を行うための経費本件市社協が区社協及び地域社協の指導育成等を行うための費用であって,予算の範囲内において交付。 ⅰ 人件費(1名)ⅱ 賠償責任保険料ⅲ ボランティア保険料ⅳ 食事サービス連絡会費用ⅴ 広報啓発経費ⅵ 衛生経費ⅶ 衛生・栄養・調理研修経費ⅷ 事務費b 本件市社協の会長が補助金の交付を申請するとき 責任保険料ⅲ ボランティア保険料ⅳ 食事サービス連絡会費用ⅴ 広報啓発経費ⅵ 衛生経費ⅶ 衛生・栄養・調理研修経費ⅷ 事務費b 本件市社協の会長が補助金の交付を申請するときは,「大阪市高齢者食事サービス事業補助金交付申請書」に所定の事項を記載し,毎年4月末日までに提出しなければならない(8条)。 c 本件市社協の会長は,本件事業が完了したときは,「大阪市高齢者食事サービス事業実績報告書」に所定の事項を記載し,被告に報告しなければならない(14条)。被告は,上記実績報告を受け,本件事業の成果が補助金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めるときは,「大阪市高齢者食事サービス事業補助金額確定通知書」により本件市社協の会長に通知する(15条)。 d 被告は,本件規則17条1項の規定により補助金の交付の決定の全部又は一部を取り消すときは,「大阪市高齢者食事サービス事業補助金交付決定取消通知書」により本件市社協に通知する(16条)。 エ平成19年度以降平成18年度の本件要綱(上記ウ(イ))に,以下の条項が加えられ,別表の「配食加算費」(前記ウ(イ)a(a)ⅲ)が削除された(乙1の1)。 (ア) 被告は,前記ウ(イ)cの手続により確定した補助金額が交付した金額を下回る場合は,交付額と確定額の差額の戻入れを求めるものとする。 戻入れを求められた本件市社協の会長は,30日以内に被告の指定する方法により差額を納付しなければならない。(15条2項)(イ) 前記ウ(イ)cの実績報告書から算出した補助金の金額が,交付した金額を上回った場合も,交付額以上の金額による確定は行わない(15条3項)。 (4) 本件市社協に対する本件補助金の交付ア大阪市は,平成10年度以前から平成19年度まで,各年度ごと ,交付した金額を上回った場合も,交付額以上の金額による確定は行わない(15条3項)。 (4) 本件市社協に対する本件補助金の交付ア大阪市は,平成10年度以前から平成19年度まで,各年度ごとに,本件事業に関し,本件市社協による交付申請,事業報告等上記(3)の定める手続を経て,本件補助金を本件市社協に交付した(争いなし)。 イ平成10年度から平成19年度までの各年度において,本件市社協が被告に対して提出した交付申請書添付の事業実施計画書(前記(3)ア(イ),ウ(イ)b)には,当該年度に本件市社協が補助を行う予定である区社協及び地域社協の一覧が記載されていた。 本件市社協が交付申請をした補助金額は,あらかじめ区社協及び地域社協が本件市社協に補助を求めた金額を基に定められていた。 (以上につき,争いがない)ウ上記イの各年度において,各年度の終了後に本件市社協が事業報告の際に大阪市に提出していた報告書(前記(3)ア(オ),ウ(イ)c)には,区社協を通じ地域社協において支出された本件補助金の額の内訳が,それぞれ記載されていた。 このうち,平成14年度から平成19年度までの本件地域社協における 本件補助金の支出額は下記のとおり記載されていた(乙9から14まで)。 記平成14年度 105万8550円平成15年度 118万4950円平成16年度 117万8680円平成17年度 115万6700円平成18年度 115万5900円平成19年度 115万8600円(合計689万3380円)エ大阪市は,本件市社協による平成20年度の本件補助金の交付申請に対し,本件地域社協においては多額の剰余金が生じており事業運営に際して補助金の交付を要しないとの理由により,申請額から107万 )エ大阪市は,本件市社協による平成20年度の本件補助金の交付申請に対し,本件地域社協においては多額の剰余金が生じており事業運営に際して補助金の交付を要しないとの理由により,申請額から107万5500円を減額した金額を交付した(乙24)。 (5) 本件市社協から本件区社協への本件補助金の交付本件市社協は,前記(4)イの各年度において,本件区社協その他の区社協に対し,本件補助金を交付した(争いがない)。 (6) 本件区社協から本件地域社協への本件補助金の交付ア本件区社協は,前記(4)イの各年度において,本件地域社協その他のa区内の地域社協に対し,本件補助金を交付した(争いなし)。 イ本件地域社協は,上記アの各年度の翌年4月頃,各年度に本件委員会が実施した本件事業の実施状況(利用者数・食事提供数(以下「配食数」という。)等)を記載した報告書を添えて,「高齢者食事サービス事業補助金精算書及び追加・戻入補助金申請書」を本件区社協に提出していた。同書面には,各年度に本件地域社協が本件区社協から交付を受けた本件補助金について,その交付額と,精算額が記載されていた。 ウ平成14年度から平成19年度までの間に,本件区社協から本件委員会 名義の銀行口座(以下「本件銀行口座」という。)に対して振込送金された額は,合計708万5750円である(丙1,3)。 (7) 本件委員会の会計状況ア本件委員会は,本件地域社協の実施する本件事業の利用者から,平成18年4月以前は250円,同年5月以降は300円の利用料を徴収していた(争いがない。以下,本件委員会の上記収入を,「利用料収入」という。)。 イ本件地域社協は,本件事業に係る会計を,その余の事業に係る会計と区別して処理しており,本件委員会は,本件補助金,利用料収入及びそれ以 以下,本件委員会の上記収入を,「利用料収入」という。)。 イ本件地域社協は,本件事業に係る会計を,その余の事業に係る会計と区別して処理しており,本件委員会は,本件補助金,利用料収入及びそれ以外の収入(以下「その他の収入」という。)を,単一の銀行口座(本件銀行口座)及び金銭出納帳(以下「本件金銭出納帳」という。丙2)で管理していた(丙17)。 ウ本件委員会が平成10年度から平成20年度までにした支出について,本件金銭出納帳の摘要欄に材料費と記載されているものの合計額は,年度ごとに下記のとおりであり,その余の支出は,別表1(別表1-1から別表1-11までをいう。以下同じ。)の各「日付」,「摘要」,「金額」欄に記載のとおりである(丙2,3)。 記平成10年度 120万5184円平成11年度 135万7664円平成12年度 130万2514円平成13年度 113万6039円平成14年度 105万8188円平成15年度 116万5675円平成16年度 116万3772円平成17年度 118万8900円 平成18年度 138万0416円平成19年度 151万8770円平成20年度 119万7475円(8) 甲事件に係る監査請求及び提訴ア甲事件原告らは,平成20年3月12日,大阪市監査委員に対し,本件地域社協が本件補助金を不正に受給しているとして,被告に対して返還請求等必要な措置を講ずるよう勧告することを求める住民監査請求(以下「甲事件監査請求」という。)をした(甲1)。 これに対し,大阪市監査委員は,甲事件監査請求には地方自治法242条2項による期間制限の適用はないものの,平成13年度以前の本件補助金に係る返還請求権の行使を怠る事実については,当該返還請求権 。 これに対し,大阪市監査委員は,甲事件監査請求には地方自治法242条2項による期間制限の適用はないものの,平成13年度以前の本件補助金に係る返還請求権の行使を怠る事実については,当該返還請求権が時効により消滅しているとして,平成14年度以降の補助金に係る返還請求権に係る監査請求についてのみ受理するとした上,当該返還請求権の存在は認められるものの,被告がその行使を違法に怠っているとはいえないとして,平成20年5月7日付けで監査請求を棄却した(甲7)。 イ甲事件原告らは,平成20年6月6日,甲事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 (9) 本件補助金に係る交付決定の一部取消しとその返還ア大阪市は,平成20年6月2日,本件市社協に対し,本件地域社協における本件補助金の使用目的が交付要件に沿わないとの理由により,本件規則17条1項に基づき,平成14年度から平成19年度に交付した本件補助金の交付決定の一部取消決定を行い,下記の内訳で,合計248万6262円の返還を求めた(乙25,26)。 記平成14年度 20万2154円平成15年度 39万5851円 平成16年度 92万4199円平成17年度 0円平成18年度 2676円平成19年度 96万1382円イ本件市社協は,平成20年6月3日,大阪市に248万6262円を返還した(乙27)。 ウ上記アの返還額の算定根拠は,以下のとおりである(弁論の全趣旨)。 (ア) 平成14年度から平成19年度までにおいて,本件委員会がした支出のうち,別表1-5から1-10までの各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「争いなし」欄に金額が記載されているものは,本件事業以外の目的でされていることが確認され,その年度別の合計額は,下 出のうち,別表1-5から1-10までの各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「争いなし」欄に金額が記載されているものは,本件事業以外の目的でされていることが確認され,その年度別の合計額は,下記のとおりとなる。 記平成14年度 29万9187円平成15年度 79万6065円平成16年度 132万4230円平成17年度 1万円平成18年度 5000円平成19年度 191万0450円(イ) 平成14年度から平成19年度までにおいて,本件委員会のその他の収入の年度別の合計額は,下記のとおりとなる。 記平成14年度 9万7033円平成15年度 40万0214円平成16年度 40万0031円平成17年度 5万0031円 平成18年度 2324円平成19年度 94万9068円(ウ) 上記(ア)から上記(イ)を差し引いた金額が,各年度における返還額(前記ア)となる。なお,平成17年度については,本件事業の目的外に支出された額が,その他の収入の額を下回ったため,目的外支出はないとみなし,補助金の返還は求めない。 (10) 乙事件に係る監査請求及び提訴ア乙事件原告らは,平成21年3月30日,大阪市監査委員に対し,本件地域社協が甲事件監査請求後も本件補助金を不正に使用しているとして,被告に対して返還請求等必要な措置を講ずるよう勧告することを求める住民監査請求(以下「乙事件監査請求」という。)をした。 これに対し,大阪市監査委員は,乙事件監査請求は,甲事件監査請求の対象と同一の債権についての管理を怠る事実を対象としてされたものであり,甲事件原告にもなっている者がした監査請求については,要件を満たさず住民監査請求の対象にはならな 件監査請求は,甲事件監査請求の対象と同一の債権についての管理を怠る事実を対象としてされたものであり,甲事件原告にもなっている者がした監査請求については,要件を満たさず住民監査請求の対象にはならないものであるとして,また,その余の者がした監査請求については,改めて監査を行う必要はなく甲事件監査請求の結果を引用すれば足りるとして,平成21年4月21日付けでその旨乙事件原告らに通知した。 (以上につき,甲8)イ乙事件原告らは,平成21年5月21日,乙事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 3 本件の争点本件の争点は,以下のとおりである。なお,原告らは,被告補助参加人らの丙21,22に係る証拠申出につき,時機に後れた攻撃防御方法として民事訴訟法157条1項に基づく却下を申し立てている。 (1) 本案前の争点 ア甲事件の訴えの適法性イ乙事件の訴えの適法性(2) 本案の争点ア本件委員会の収入の額イ本件地域社協は本件補助金の余剰を年度末に返還する義務を負うかウ本件委員会の支出に,本件補助金から支出できないものが含まれているかエ本件地域社協に対する不当利得返還請求権の成否オ Q及び本件地域社協に対する損害賠償請求権の成否カ消滅時効の成否キ返還額又は損害額の算定において本件市社協による返還額を控除することの可否 4 争点に係る当事者の主張(1) 本案前の争点についてア本案前の争点ア(甲事件の訴えの適法性)について(被告の主張(被告補助参加人らの主張を含む。以下同じ。))(ア) 大阪市が本件補助金を交付している相手方は本件市社協であり,本件地域社協と直接やりとりを行うことはない。 また,本件市社協が大阪市に対し本件補助金の交付申請を行う際には,各区社協及び各地域社協 ) 大阪市が本件補助金を交付している相手方は本件市社協であり,本件地域社協と直接やりとりを行うことはない。 また,本件市社協が大阪市に対し本件補助金の交付申請を行う際には,各区社協及び各地域社協の事業計画を取りまとめた申請書及び計画書が提出されるだけであり,実質的なチェックは本件市社協において行い,本件補助金の適正な運用を担保することにしている。 (イ) 以上からすると,大阪市は,本件地域社協に対し,直接補助金の返還請求等をすべき立場にはなく,また,行おうとしても行えないから,甲事件の訴えは不適法なものであり,却下されるべきである。 (原告らの主張) 被告の主張は争う。大阪市が被告補助参加人らに対して原告らの主張する請求権を有するか否かは本案の問題であり,被告の主張は失当である。 イ本案前の争点イ(乙事件の訴えの適法性)について(被告の主張)同一の住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されない。 乙事件監査請求は甲事件監査請求の反復であって,同一の怠る事実を対象とするものであるから不適法であり,したがって,乙事件の訴えも不適法なものとして却下されるべきである。 (原告らの主張)被告の主張は争う。甲事件監査請求がされた平成20年3月12日以降にされた目的外支出について,原告らは,これらの適否も甲事件の審理対象に含まれると解するものの,甲事件監査請求の対象とされておらず,監査請求前置を満たしていないと判断されるおそれは否定できない。このため,上記目的外支出に係る不当利得返還請求権及び損害賠償請求権の行使を求める乙事件監査請求を行い,乙事件を提起したものである。 以上のような関係に照らすと,上記目的外支出が甲事件において審理の のため,上記目的外支出に係る不当利得返還請求権及び損害賠償請求権の行使を求める乙事件監査請求を行い,乙事件を提起したものである。 以上のような関係に照らすと,上記目的外支出が甲事件において審理の対象にならない場合に備えて,乙事件を提起することは適法というべきである。 (2) 本案の争点についてア本案の争点ア(本件委員会の収入の額)について(原告らの主張)本件銀行口座の通帳及び本件金銭出納帳によれば,平成10年度から平成20年度までの各年度における,本件地域社協に対して交付された本件補助金,利用料収入及びその他の収入の額は,別表2-1の「補助金額」, 「利用料収入」及び「その他の収入」の各欄記載のとおりである。 以上は,本件地域社協が本件区社協から受け入れた金員は全て本件補助金の一部であるとして整理したものであり,平成20年7月11日に本件区社協から振込送金を受けた2万5250円は,平成20年度の補助金というべきである。 (被告の主張)平成14年度から平成19年度までの各年度において,本件地域社協に対して交付された本件補助金,利用料収入及びその他の収入の額は,別表2-2の「補助金額」,「利用料収入」及び「その他の収入」の各欄記載のとおりである。平成20年度は,本件補助金を交付していない。 なお,平成10年度から平成13年度までの各年度については,資料の保存年限が経過しており,認否できない。 (被告補助参加人らの主張)本件補助金の精算は,年度を越えて行われることがある。平成20年7月11日に本件区社協から本件地域社協に振込送金された2万5250円は,平成19年度の本件補助金の一部である。 イ本案の争点イ(本件地域社協は本件補助金の余剰を年度末に返還する義務を負うか)について(原告らの主張)( 域社協に振込送金された2万5250円は,平成19年度の本件補助金の一部である。 イ本案の争点イ(本件地域社協は本件補助金の余剰を年度末に返還する義務を負うか)について(原告らの主張)(ア) 本件補助金は,実際に補助対象となる本件事業の経費に充てた部分のみ保有することができるのであり,年度末に補助金の余剰が生じた場合,本件地域社協は,本件市社協を通じて速やかにそれを大阪市に返還しなければならない。 (イ) 被告は,本件地域社協は,実際に支出した金額にかかわらず,配食数に応じ本件要綱の定める金額を保有することが認められ,余剰が生じても返還義務を負わないと主張するが,以下のとおり失当である。 a 使途の定められた補助金に余剰が生じた場合,返還義務が生じることは理の当然であり,余った補助金を貯蓄することは認められない。 b 補助金の交付は,公益上必要がある場合にのみ認められるところ(地方自治法232条の2),余った部分を交付先において貯蓄させる補助金は,公益上必要なものとはいえない。 c 平成19年度の本件要綱15条2項は,余った補助金の返還義務を明文で定めている。 (被告の主張)大阪市は,本件市社協に対する補助について,各区社協及び各地域社協における配食数を基礎に補助額を決めており,精算手続においては,当初の事業計画における配食数と現実の配食数の差の調整のみを行う。 本件補助金は奨励的な補助の性質を有しており,本件事業実施に当たり必要な経費は,本件補助金を充当してもらい,その不足分については,利用者に負担を求めるものとしていて,そもそも余剰金が発生する余地はない。したがって,このような補助額の算定方法も適法であり,原告らの主張するような精算方法は要求されない。 ウ本案の争点ウ(本件委員会の支出に,本件補助 としていて,そもそも余剰金が発生する余地はない。したがって,このような補助額の算定方法も適法であり,原告らの主張するような精算方法は要求されない。 ウ本案の争点ウ(本件委員会の支出に,本件補助金から支出できないものが含まれているか)について(原告らの主張)平成10年度から平成20年度までに本件地域社協がした支出のうち,以下のものに,本件補助金を支出することは認められない。なお,本来,平成19年度までに交付された本件補助金を,平成20年度に支出することは認められないが,原告らとしては,本件補助金の趣旨に適合した支出相当額については,平成20年度にされたものであっても返還等を求めない。 (ア) 摘要欄に「材料費」と記載されている支出について 本件現金出納帳の摘要欄に「材料費」として記載されている支出及び利用料収入の額は別表3のとおりであるから,本件地域社協は,利用料収入の不足額である合計134万2397円を,本件補助金から支出したことになる。 しかし,以下の理由により,材料費は利用料収入から支出すべきであり,これを本件補助金から支出することは許されない。 a 本件事業は,本件市社協が承認した区社協又は地域社協が実施する事業であるところ,本件市社協の作成した大阪市高齢者食事サービス事業実施要綱9条(昭和52年4月1日制定。ただし,平成20年4月1日の改正前のもの。以下「本件市社協要綱」という。丙14)は,食事サービスの利用者は食事に要する材料費相当額を負担する旨定めており,現に利用者は利用料を支払っている。 b 本件事業の目的は,対象者たる高齢者の健康増進と地域社会との交流を深めることであり,材料費の助成はこれに含まれない。 c 平成18年度以前の本件要綱は,補助の対象となる経費として「調理に要する経費」と規 業の目的は,対象者たる高齢者の健康増進と地域社会との交流を深めることであり,材料費の助成はこれに含まれない。 c 平成18年度以前の本件要綱は,補助の対象となる経費として「調理に要する経費」と規定していたところ,当該文言は,材料費を含まない趣旨のものと理解するのが自然である。 d 本件地域社協は,平成17年度以降,材料費として計上すべき支出の一部を,別の費目で計上することにより,材料費と利用料収入が均衡するよう調整していた。このことからすると,本件地域社協自身,材料費が補助の対象に含まれないと考えていたことは明らかである。 e 社会福祉法26条1項は,社会福祉法人は,その経営する社会福祉事業(同法2条)に支障がない限り,公益を目的とする事業等を行うことができる旨定めている。社会福祉事業に該当しない本件事業において,通常の高齢者,ボランティア等,本件要綱が定める対象者以外の者も食事の提供を受けているところ,仮に材料費が補助の対象に含 まれるとすると,大阪市の実施する施設介護サービス,居宅介護サービス,栄養改善事業その他の社会福祉事業において材料費が自己負担とされていることと均衡を欠き,他の社会福祉事業に支障が出るような補助となって同法26条1項に違反するし,「公益上必要がある場合」に当たらず地方自治法232条の2にも違反する。 (イ) 材料費以外の支出について本件現金出納帳の摘要欄に「材料費」として記載されていない支出のうち,別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」欄に金額が記載されている支出は,以下の理由により,補助の対象に含まれない。 その年度ごとの合計額は,別表4の「違法支出額」,「補助対象外支出」欄記載のとおりである(ただし,「材料費超過分」欄記載の金額を除く。)。 a 「実質的な材料費」別表1の の対象に含まれない。 その年度ごとの合計額は,別表4の「違法支出額」,「補助対象外支出」欄記載のとおりである(ただし,「材料費超過分」欄記載の金額を除く。)。 a 「実質的な材料費」別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「実質的な材料費」欄に金額が記入されている支出は,その摘要欄の記載からみて材料費に分類されるべき支出であるから,補助の対象に含まれない(前記(ア)参照)。 b 「争いなし」別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「争いなし」欄に金額が記入されている支出は,原告らと被告との間で,補助の対象とならないことについて争いがない(前記前提事実(9)ウ(ア)参照)。 c 「被告基準でも違法」被告は,平成13年度以前の支出については,補助の対象に含まれるか否かについて認否をしていないが,上記bの基準からすると,別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「被告基準でも 違法」欄に金額が記入されている支出も,補助の対象とならないというべきである。 d 「領収書なし」別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「領収書なし」欄に金額が記入されている支出については,領収書がない,又は他者若しくは他事業あての領収書しかない。本件地域社協は,別の補助金の受給に関し,大阪市監査委員から,偽造の領収書を提出していた,同一店からの領収書が多い,大量のお茶を果物店から購入しているなどの問題を指摘され,謝罪したことがある。このことからすると,本件において,領収書がない,又は領収書が不完全な支出は,補助金行政の透明性確保の観点から,補助の対象とならないとみなすべきである。 e 「給食設備費」平成17年度以前の本件要綱は,備品購入等の経費については,新規事業開始時の「事業開始経費」の ,補助金行政の透明性確保の観点から,補助の対象とならないとみなすべきである。 e 「給食設備費」平成17年度以前の本件要綱は,備品購入等の経費については,新規事業開始時の「事業開始経費」のみを補助金交付の対象としていた。 したがって,本件地域社協が平成10年度から平成17年度までの間にした備品購入等の支出は補助の対象にならない。 他方,平成18年度以降の本件要綱は,「給食設備費」を設け,一定の範囲で備品購入等の経費に補助金を支出することを認めているが,本件地域社協は,「給食設備費」の支給を申請していないのであるから,本件地域社協においては,平成18年度以降についても,備品購入等の支出に補助金を充てることは認められない。 別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「給食設備費」欄に金額が記入されている支出は,備品購入等の支出であり,上記の理由から補助の対象とならない。 f 「その他」 別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「その他」欄に金額が記入されている支出は,「備考」欄記載の理由により,補助の対象とならない。 (被告の主張)(ア) 材料費について以下の理由により,本件補助金から材料費を支出することも許される。 a 本件要綱が,「調理に要する経費」の交付額を1食250円と定めていたのは,材料費も補助の対象に含める趣旨である。仮に,原告らの主張するとおり,材料費が補助の対象に含まれないとすると,「調理に要する経費」(平成18年度以降は「年間活動費」)として補助が認められるのは,水道光熱費,調理場の使用料に限定されるから,その金額を直接支給する旨を定めるはずである。 また,補助の対象が原告ら主張のように限定されているとすると,本件事業に係る経費のうちごくわずかな部分しかカバーできないこ 場の使用料に限定されるから,その金額を直接支給する旨を定めるはずである。 また,補助の対象が原告ら主張のように限定されているとすると,本件事業に係る経費のうちごくわずかな部分しかカバーできないことになり,結果として補助金の意味をなさないことになる。 b 本件事業は,ボランティア等の協力を得て,配食又は会食により,対象者に食事を提供する事業であるところ,提供する食事の調理を外部業者に委託する場合とのバランスに鑑みると,食材の援助も,当然に本件補助の対象に含まれる。 c 本件市社協要綱9条は,本件市社協が利用者負担を求めることができる旨とその目安を示したものにすぎず,本件補助金を食事の材料費に充てることを排除する趣旨のものと解すべき根拠はない。 (イ) 材料費以外の支出について本件地域社協の平成14年度から平成19年度までの支出のうち,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「争いなし」欄に金額が記入されている支出は,前記前提事実(9)ウ(ア)のとおり,補助対 象に含まれないが,その余の支出は補助の対象に含まれる。 (被告補助参加人らの主張)(ア) 材料費について原告らの中には,実際に本件委員会の実施する本件事業に参加していた者もいるが,そうした者も参加していた当時,本件補助金を材料費に使用することについて,何らの疑問も示していなかった。 (イ) 材料費以外の支出について原告らが,材料費に当たるとの理由以外で補助対象に含まれないと主張する支出は,いずれも,別表5「意見」欄記載の理由のとおり,いずれも補助の対象となる支出であるか,運営費,会費,寄付金等で賄えているものである。 エ本案の争点エ(本件地域社協に対する不当利得返還請求権の成否)について(原告らの主張)(ア) 本件地域社協は,前記イ となる支出であるか,運営費,会費,寄付金等で賄えているものである。 エ本案の争点エ(本件地域社協に対する不当利得返還請求権の成否)について(原告らの主張)(ア) 本件地域社協は,前記イ(原告らの主張)のとおり,各年度末ごとに,本件補助金を目的に沿った適法な支出額の実費で精算し,余った分を返還しなければならないにもかかわらず,これより過大な精算額を申告し,余った補助金を目的外に支出し,又は違法に保有した。そして,Qは上記返還義務があることについて悪意であるから,本件地域社協も悪意の受益者に当たる。 したがって,本件地域社協は,大阪市に対し,民法704条前段に基づき,別表4「不当利得・損害額」欄記載の額(合計1175万0821円)及びこれに対する各年度の補助金を精算すべき時期である各年度の末日の翌日から支払済みまで年5分の割合による法定利息(平成21年3月31日までに発生した確定利息は,別表6のとおり,353万0097円である。)を支払う義務を負う。 (イ) 返還額の算定過程は以下のとおりであり,本件地域社協は,利用料収入を材料費に,その他の収入を補助の対象とならない支出に,それぞれ優先的に充てたとみなしている。 a 補助金を目的外に支出した額前記ウ(原告らの主張)(イ)に挙げた補助の対象とならない支出の合計額(別表4「補助対象外支出小計」欄)から,その他の収入の額(同表「その他の収入」欄)を差し引いた金額(同表「違法支出合計」欄)の補助金が,補助の対象とならない支出に充てられたことになる。 b 補助金を違法に貯蓄した額本件地域社協は,平成9年度から平成21年度までの各年度末時点において,別表4「各年度末の現預金残高」欄記載の金額の現預金を有していたところ,利用料収入は材料費に充てられており,その に貯蓄した額本件地域社協は,平成9年度から平成21年度までの各年度末時点において,別表4「各年度末の現預金残高」欄記載の金額の現預金を有していたところ,利用料収入は材料費に充てられており,その他の収入は本件補助金の対象とならない支出に充てられているものとみなして計算すると,貯蓄の原資は本件補助金となる。 したがって,平成10年度から20年度まで,各年度末日(ただし,平成20年度は,同年12月15日)の現預金残高から前年度末日の現預金残高を控除した残余の金額(同表「違法貯蓄各年度の貯蓄金額」欄)が,各年度に本件補助金から違法に貯蓄されたというべきである。 なお,昭和59年度以降の本件金銭出納帳によれば,平成9年度末時点の現預金残高である177万7744円も,全額が本件補助金を原資とするものと推認されるから,上記金額も本件補助金を違法に貯蓄した金額に含まれる。 (ウ) 被告は,大阪市と本件地域社協は直接本件補助金をやりとりしないことを指摘するが,転得者との関係においても不当利得返還請求権は成 立するから,被告の主張は失当である。 また,大阪市が本件地域社協の年間事業計画の詳細に係る実質的なチェックを行っていなかったことは,大阪市による債権管理がずさんであったことの裏付けであり,請求権が成り立たない理由にはならない。 (被告の主張)大阪市が本件地域社協に対する不当利得返還請求権を有しないことは,前記(1)ア(被告の主張)で主張したとおりである。 また,前記イ及びウの原告らの主張は失当であり,それを前提とした不当利得返還請求権に係る主張も失当である。 オ本案の争点オ(Q及び本件地域社協に対する損害賠償請求権の成否)について(原告らの主張)平成10年度から平成20年度までにおいて,Qが本件市社協及び本件区 求権に係る主張も失当である。 オ本案の争点オ(Q及び本件地域社協に対する損害賠償請求権の成否)について(原告らの主張)平成10年度から平成20年度までにおいて,Qが本件市社協及び本件区社協を通じて大阪市に対してした補助金の精算額等の報告は,上記エの本件補助金の違法使用及び違法貯蓄を故意に隠ぺいして行われた虚偽のものであり,上記行為は民法上の不法行為を構成し,Qは大阪市に対して損害賠償義務を負う。 また,Qの行為は,本件地域社協の代表者会長として行ってきたものであり,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条の準用により,本件地域社協も大阪市に対して損害賠償責任を負う。 損害額及び遅延損害金の発生時期は,上記エ(原告らの主張)と同様である。 (被告の主張)大阪市がQ及び本件地域社協に対する損害賠償請求権を有しないことは,前記(1)ア(被告の主張)で主張したとおりである。 また,前記イ及びウの原告らの主張は失当であり,それを前提とした損 害賠償請求権に係る主張も失当である。 カ本案の争点カ(消滅時効の成否)について(被告の主張)(ア) 原告らの主張する請求権は,実質的には,補助金交付の一部取消しに基づく返還請求権に該当するから,地方自治法236条により,その消滅時効期間は5年である。大阪市公文書管理条例6条2項及び別表により,補助金に関する文書の保管期間が5年とされているのは,その証左である。 (イ) したがって,平成10年度から平成13年度までに交付された本件補助金に係る請求権は,各年度に大阪市が本件市社協から実績報告を受けた時点から5年が経過した平成19年5月14日までに時効消滅している。 (原告らの主張)被告の主張は争う。 原告らが主張する請求権は,民法上の不当利得返還請求権及び不 市社協から実績報告を受けた時点から5年が経過した平成19年5月14日までに時効消滅している。 (原告らの主張)被告の主張は争う。 原告らが主張する請求権は,民法上の不当利得返還請求権及び不法行為に基づく損害賠償請求権であり,他の法律に定めがある場合に当たるから,地方自治法236条は適用されない。 キ本案の争点キ(返還額又は損害額の算定において本件市社協による返還額を控除することの可否)について(被告の主張)大阪市は,本件市社協に対し,本件市社協を通じて本件地域社協に交付された補助金の一部について,その使用目的が交付要件に沿わないとの理由により,交付決定を一部取り消した上で,248万6262円の返還を求め,本件市社協はこれに応じて同額の金員を返還した。 したがって,仮に大阪市が本件地域社協に対して何らかの請求権を取得しているとしても,上記金額は控除されるべきである。 (被告補助参加人らの主張)本件市社協が,大阪市に対して返還した248万6262円は,Qが個人で返還したものであって,本件銀行口座から出金したものではない。 (原告らの主張)本件銀行口座には248万6262円を返還した形跡はない。 補助金行政の適正を担保するためには,目的外支出を行った者自身に相当額の返還をさせなければならない。したがって,上記金員を本件地域社協が返還したと認められない限り,損害額等から控除することは認められない。 (3) 時機に後れた攻撃防御方法(原告らの主張)被告補助参加人らの丙21,22に係る証拠申出は,争点整理も終了し,証人尋問を経た後にされており,その内容も反対尋問が必要なものであるから,時機に後れた攻撃防御方法として,民事訴訟法157条1項に基づき却下されるべきである。 第3 争点に対する判断本 了し,証人尋問を経た後にされており,その内容も反対尋問が必要なものであるから,時機に後れた攻撃防御方法として,民事訴訟法157条1項に基づき却下されるべきである。 第3 争点に対する判断本件事案に鑑み,まず,本案の争点について検討を加える。 1 本案の争点ア(本件委員会の収入の額)について本案の争点アのうち,平成10年度から平成20年度までの本件委員会のその他の収入の額について検討する。 (1) 平成10年度から平成13年度まで及び平成20年度平成10年度から平成13年度まで及び平成20年度のその他の収入の額について,証拠(丙1から3まで)及び弁論の全趣旨によれば,原告らの主張する金額どおりと認定することができ,これに反する証拠はない。 (2) 平成14年度から平成19年度まで平成14年度から平成19年度までの本件地域社協のその他の収入の金額 について検討するに,まず,平成14年度,平成16年度及び平成18年度については当事者間に争いがない。 次に,平成15年度,平成17年度及び平成19年度については,原告らの主張する金額が,被告の主張する金額を5万円ずつ下回っているところ,証拠(丙1から3まで)によれば,その原因は,ⅰ 平成15年7月28日付け,ⅱ 平成17年6月20日付け,及びⅲ 平成19年7月9日付けでされた本件区社協から本件地域社協宛ての各送金(金額5万円)による収入を,原告らは補助金として計上しその他の収入に計上していないのに対し,被告はこれをその他の収入に計上していることによるものと理解できる。 被告補助参加人らが上記各入金がいかなる趣旨のものかを明らかにすることについて特段の支障があるとは考えにくいにもかかわらず,その趣旨を明らかにしていないことに照らすと,上記振込みは,原告らの主張するとおり 助参加人らが上記各入金がいかなる趣旨のものかを明らかにすることについて特段の支障があるとは考えにくいにもかかわらず,その趣旨を明らかにしていないことに照らすと,上記振込みは,原告らの主張するとおり本件補助金の一部として入金されたものと認めるのが相当である。したがって,平成14年度から平成19年度までの本件地域社協のその他の収入の額については,いずれも原告らの主張する金額どおりと認定するのが相当である。 (3) 小括以上のとおり,平成10年度から平成20年度までの本件委員会のその他の収入の金額については,原告らの主張する金額を採用すべきであり,具体的には別表2-1「その他の収入」欄記載のとおりとなる。 2 本案の争点イ(本件地域社協は本件補助金の余剰を年度末に返還する義務を負うか)について(1) 前記前提事実(第2の2),証拠(各項括弧内に記載)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア平成14年度から平成19年度までの本件補助金について,本件地域社協が本件区社協に対して提出した「高齢者食事サービス事業補助金精算書 及び追加・戻入補助金申請書」について,現在本件地域社協が手元で保管している控えには,本件地域社協に対する本件補助金の精算額の算定根拠として,以下の数字が記載されている(前記前提事実(6)イ)。 (ア) 平成14年度 100万8550円(丙7。ただし,aからfまでの金額を合計すると105万8550円となり,平成14年度のみ合計額が一致しない。)a 活動費 250円×3155食=78万8750円b 運営費 16万円c 配食加算金 5000円d 給食設備費 5万円e 検便費 4万4800円f 事務費 1万円(イ) 平成15年度 118万4500円(丙8)a 活動費 b 運営費 16万円c 配食加算金 5000円d 給食設備費 5万円e 検便費 4万4800円f 事務費 1万円(イ) 平成15年度 118万4500円(丙8)a 活動費 250円×3436食=85万9000円b 運営費 16万円c 配食加算金 5000円d 給食設備費 8万2500円e 検便費 4万8000円f 試食研修会費 3万円(ウ) 平成16年度 117万8680円(丙9)a 活動費 250円×3733食=93万3250円b 運営費 16万円c 配食加算金 1万円d 検便費 4万8800円e 試食研修会費 2万6630円(エ) 平成17年度 115万6700円(丙10) a 活動費 250円×3518食=87万9500円b 運営費 16万円c 配食加算金 1万円d 給食設備費 5万円e 検便費 4万7200円f 事務費 1万円(オ) 平成18年度 115万5900円(丙11)a 活動費 250円×3742食=93万5500円b 運営費 16万円c 配食加算金 1万円d 検便費 5万0400円(カ) 平成19年度 116万2850円(丙12)a 活動費 250円×3813食=95万3250円b 運営費 16万円c 検便費 4万9600円イ平成14年度から平成19年度までの各年度の終了後に本件市社協が大阪市に対して提出した決算報告書の記載内容は,以下のとおりである(乙9から14まで)。 (ア) 各地域社協に対する補助の対象とした支出費目は,以下のとおりとされていた。 a 平成14年度,平成17年度,平成18年度活動費,運営費,配食加算金,設備費,検便費,新規事業費,試食・研修費,事務費b 平成15年度,平成 した支出費目は,以下のとおりとされていた。 a 平成14年度,平成17年度,平成18年度活動費,運営費,配食加算金,設備費,検便費,新規事業費,試食・研修費,事務費b 平成15年度,平成16年度活動費,運営費,配食加算金,設備費,検便費,新規事業費,試食・研修費 c 平成19年度精算活動費,精算運営費,設備費,検便費(イ) 各地域社協に対する本件補助金の精算額は,上記(ア)の項目ごとに,以下のとおりとされていた。 a 活動費は,いずれも,250円に当該地域社協における配食数を乗じた金額とされている。 b 運営費は,大部分が,当該地域社協における配食数を当てはめた場合に本件要綱によって算出される金額(28万円,24万円,22万円,18万円,16万円,12万円,10万円,8万円,5万円,4万円)とされている(前記前提事実(3)ア(ア)b,エ(ア)a(b))。 c 配食加算金は,いずれも,当該地域社協における配食数を当てはめた場合に本件要綱によって算出される金額(5000円の倍数)とされている。 d 給食設備費又は設備費は,大半が0円又は5万円とされている。 e 新規事業費は,大半が0円又は15万円とされている。 f 事務費は,平成14年度は,1つの地域社協を除く全ての地域社協について1万円とされており,平成17年度は,ⅰ 区社協が,区域内の地域社協の数に1万円を乗じた金額に2万円を加えた金額を受け取り,地域社協は事務費を受け取らない区と,ⅱ 区社協は2万円を受け取り,区域内の地域社協は1万円を受け取る区が存在し,a 区はⅱの方法を採っていた。 (ウ) 本件地域社協に係る補助金の精算額は,本件地域社協が手元で保管している前記アの控えと同じ金額が記載されていたが,平成15年度(前記ア(イ))については し,a 区はⅱの方法を採っていた。 (ウ) 本件地域社協に係る補助金の精算額は,本件地域社協が手元で保管している前記アの控えと同じ金額が記載されていたが,平成15年度(前記ア(イ))については,給食設備費が8万2950円,合計額が118万4950円と記載されている点が,平成19年度(前記ア(カ))については,配食数が3796食,活動費が94万9000円,合計額 が115万8600円とされている点が,それぞれ前記アの控えの記載と異なっていた。 (2) 前記前提事実(6)及び上記(1)によれば,本件市社協は,平成14年度から平成19年度までの各年度の終了後に,区社協を通じて各地域社協から補助金の精算額の申告を受け,当該金額と年度中に交付していた補助金との差額の精算を行っていたところ,各地域社協は,申告する補助金の精算額を算定するに当たっては,実際に支出した経費等の具体額を積算することなく,各地域社協の実施した本件事業の配食数の数字等に応じた計算を行っており,本件市社協も,各地域社協から申告された精算額をそのまま各地域社協に対する補助金の交付額として大阪市に報告し,大阪市では,その報告内容に従って,本件市社協との間で本件補助金の額を確定させていたものと認められ,こうした処理の方法は具体的な証拠が提出されていない平成13年度以前についても同様であったものと推認できる。 そして,本件要綱における補助金交付の対象となる経費の金額の定め方(前記前提事実(3)ア,ウ)も考え併せれば,本件補助金の交付に関し,各地域社協が本件事業として実施した配食数の実績に基づいて,そこから積算される年間活動費の支給額を事後的に精算することは予定されていたものの,それ以上に各地域社協が本件事業に関して支出した経費の具体額を積算し,その過不足を精算するこ 食数の実績に基づいて,そこから積算される年間活動費の支給額を事後的に精算することは予定されていたものの,それ以上に各地域社協が本件事業に関して支出した経費の具体額を積算し,その過不足を精算することは予定されていなかったものとみるべきであり,各地域社協が交付を受けていた本件補助金の額が,当該年度において当該地域社協が本件事業に関して実際に支出した補助の対象に含まれる経費の額を上回っていた場合でも,当該地域社協は,その差額を大阪市に返還する義務を負わないと解するのが相当である。 (3) これに対し,原告らは,ⅰ 使途の定められた補助金に余剰が出た場合に返還義務が生じることは理の当然である,ⅱ 補助金の交付は,公益上必要がある場合にのみ認められるところ,余った部分を交付先において貯蓄さ せる補助金は,公益上必要なものとはいえない,ⅲ 平成19年度の本件要綱15条2項は,余った補助金の返還義務を明文で定めているなどと主張して,年度末に補助金の余剰が生じた場合,本件地域社協は,本件市社協及び本件地区社協を通じてそれを大阪市に返還する義務を負うと主張する。 しかし,ⅰ,ⅱについて,補助金の交付については公益上の必要性の判断に加え,精算の要否を含め具体的にどのような方法で交付するかについても被告の合理的な裁量に委ねられているものと解されるところ,本件事業の内容(前記前提事実(2))からみて,本件補助金交付の対象となる経費の金額を本件要綱のように定めた上,実際に支出した経費の具体額との過不足を年度ごとに行わないことにしたとしても,これを一概に合理性を欠いた,公益上の必要が認められない措置とまではいえない。また,ⅲについて,平成19年度の本件要綱15条2項が,確定した補助金額が交付した金額を下回る場合は,本件市社協が大阪市にその差額を納付 性を欠いた,公益上の必要が認められない措置とまではいえない。また,ⅲについて,平成19年度の本件要綱15条2項が,確定した補助金額が交付した金額を下回る場合は,本件市社協が大阪市にその差額を納付する義務を負うものとしている(前記前提事実(3)エ(ア))のは,交付した補助金額が配食数等の実績に基づいて確定した補助金交付の対象となる経費の額を上回っていた場合に,本件市社協が大阪市に対してその差額の返還義務を負う旨を定めているにすぎず,実際に支出した金額との精算を要求しているものではないと解することができるから,原告らの上記主張はいずれも採用できない。 (4) 以上によれば,本件地域社協は,各年度に交付を受けた本件補助金の額が当該年度の補助の対象となる支出の額を上回っていた場合でも,その差額を大阪市に対して返還する義務を負うものではないというべきである。 もっとも,本件補助金が本件事業を行うために要する経費として交付されるものであり(前記前提事実(3)ア(ア),ウ(イ)a),補助金の使用目的が補助金交付の趣旨に沿わないと認められるときには,交付決定を取り消した上,補助金を返還すべきことが予定されていること(同(3)ア(エ),ウ(ア)g)に鑑みると,年度ごとに生じた余剰の精算・返還を要しないという扱いも,そ れが後年度に本件事業を行うために要する経費に充てられることを前提として初めて是認されるところであって,余剰として保持したものも含め本件補助金を上記経費以外の用途に使用した者は,法律上の原因なく大阪市の損失の下にこれを利得したものとして不当利得返還義務を負うというべきであるし,故意・過失等の要件を満たす限りにおいて不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになる。 こうした観点から,後記本案の争点ウについて検討を進めることにする。 不当利得返還義務を負うというべきであるし,故意・過失等の要件を満たす限りにおいて不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになる。 こうした観点から,後記本案の争点ウについて検討を進めることにする。 3 本案の争点ウ(本件委員会の支出に,本件補助金から支出できないものが含まれているか)について(1) 材料費についてア原告らは,本件事業において提供する食事の材料費は利用料収入から支出すべきであり,これに本件補助金を支出することは認められないと主張する。 イしかし,本件要綱上,材料費が補助の対象に含まれないことを明示的に定めた規定は存在しない。また,前記前提事実及び本件要綱の定め(前記前提事実(3))によれば,本件事業においては,配食又は会食の提供方法として,ボランティアが調理したものを提供する方法と,業者から購入したものを提供する方法とが予定されており,業者から購入した食事を提供する食事サービスにおいては,材料費とその余の調理に要する費用を明確に区別することは困難である。以上からすると,本件事業において提供する食事の材料費は,本件補助金における補助の対象から排除されるものではないと解するのが相当である。 ウこの点について,原告らは,前記第2の4(2)ウ(原告らの主張)(ア)のとおり指摘し,食事の材料費は補助の対象に含まれないと主張する。 しかし,ⅰ 本件市社協要綱の文言をいう点については,本件訴訟では,大阪市の被告補助参加人らに対する請求権の存否が問題とされているので あるから,補助の対象となる経費の範囲は,大阪市の定める要綱及び大阪市の取扱いを基に判断すべきであり,本件市社協要綱において,食事サービス対象者は食事に要する材料費相当額を負担とする旨が定められていたことから,大阪市との関係でも材料費を本件補助金 める要綱及び大阪市の取扱いを基に判断すべきであり,本件市社協要綱において,食事サービス対象者は食事に要する材料費相当額を負担とする旨が定められていたことから,大阪市との関係でも材料費を本件補助金から支出することが認められないとまではいえない。ⅱ 本件事業の目的をいう点については,材料費を補助の対象に含めることで,高齢者の健康増進と地域社会との交流を深めることにつながらないとはいえないから,材料費が補助の対象に含まれないとする根拠にはならない。ⅲ 本件要綱の文言をいう点については,「調理に要する経費」に材料費が含まれないという解釈が明確に導かれるとはいえない。ⅳ 本件地域社協が材料費として計上すべきものを除外して調整していたという点については,本件地域社協自身が材料費が補助の対象にならないと考えた上で上記のような調整をしていたと認めるに足りる証拠はなく,また,そのように考えて調整をしていたとしても,そのこと自体は材料費を本件補助金から支出することの適否の判断に直結するものではない。ⅴ 大阪市の実施する社会福祉事業において利用者が材料費を負担するものとされていることとの不均衡をいう点については,確かにそうした見方はあり得ないわけではないものの,そのことが,本件補助金において材料費が補助の対象に含まれないとする直接的な根拠になるとはいえない。 エ以上によれば,本件地域社協の支出のうち,摘要欄に材料費と記載されているものは補助の対象に含まれないとする原告らの主張は理由がない。 (2) 材料費以外の支出について原告らは,材料費以外の本件委員会の支出にも,補助の対象に含まれないものがあると主張するので,以下検討する。 ア 「実質的な材料費」について原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「実質 的な材料 会の支出にも,補助の対象に含まれないものがあると主張するので,以下検討する。 ア 「実質的な材料費」について原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「実質 的な材料費」欄に金額が記入されている支出は,実質的には材料費に分類されるべき支出であるから,補助の対象に含まれないと主張する。しかし,材料費が補助の対象に含まれるものと解すべきことは,上記のとおりであるから,原告らの主張に理由はない。 イ 「争いなし」について別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「争いなし」欄に金額が記入されている支出については,被告も本件事業以外の目的で支出されたものであると認めているし,被告補助参加人らも補助の対象に含まれない支出であることを積極的に争うものではない。したがって,当該支出は補助の対象に含まれないと認めるのが相当であって,その合計金額は,別表4の「違法支出額」,「補助対象外支出」,「争いなし」欄記載のとおりである。 ウ 「被告基準でも違法」について別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「被告基準でも違法」欄に金額が記入されている支出については,被告は特段の主張をしておらず,被告補助参加人らも運営費・会費・寄付金等で賄えていると主張するにとどまり(前記第2の4(2)ウ(被告補助参加人らの主張)(イ),別表5参照),補助の対象に含まれない支出であることを積極的に争うものではない。したがって,当該支出は補助の対象に含まれないと認めるのが相当であって,その合計金額は,別表4の「違法支出額」,「補助対象外支出」,「被告基準でも違法」欄記載のとおりである。 エ 「領収書なし」について(ア) 原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「領収書なし」欄に金額が記入されている支出 象外支出」,「被告基準でも違法」欄記載のとおりである。 エ 「領収書なし」について(ア) 原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「領収書なし」欄に金額が記入されている支出は,領収書がないもの又は領収書が不完全なものであり,補助金の使用が認められないと主張する。 そこで検討するのに,弁論の全趣旨によれば,本件地域社協は,別の補助金の受給に関し,住民監査請求による監査結果で,偽造の領収書を提出していた,同一店からの領収書が多い,大量のお茶を果物店から購入しているなどの問題を指摘され,Qが大阪市長に対して謝罪文を提出していることが認められる。しかし,本件金銭出納帳の記載自体に特に不自然なところもないことに照らすと,領収書が保存されていない,又は領収書が不完全であるという点のみから,当然に補助金の使用が認められない支出であるとはいえない。 (イ) 次に,個々の支出についてみると,証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば,ⅰ 平成10年4月10日付け「ボランティア部会研修会(観光バス代)」,「8万4000円」は,心身障害児の児童福祉施設訪問のための支出であり,ⅱ平成13年11月2日付け「ボランティア研修(観光バス代)」,「10万円」は,児童福祉施設訪問のための支出であると認められるところ,これらが本件事業のために直接使用されたものとはいえないにせよ,本件事業に携わるボランティアの研修目的で児童福祉施設を訪問したとしても本件事業と関連性がないことが明らかであるとまではいえないから,本件事業を行うために要する経費に当たると解するのが相当である。その余の支出についても,本件事業との関連性がないことが明らかであるとまではいえないから,補助の対象に含まれないとはいえない。 オ 「給食設備費」について(ア) たると解するのが相当である。その余の支出についても,本件事業との関連性がないことが明らかであるとまではいえないから,補助の対象に含まれないとはいえない。 オ 「給食設備費」について(ア) 原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「給食設備費」欄に金額が記入されている支出は,備品等の購入費用であって,補助の対象に含まれないと主張し,その根拠として,平成18年4月1日改正までは本件要綱に「給食設備費」という項目が設けられていなかったこと,本件要綱に項目が設けられた平成18年度以降も, 原告らは,「給食設備費」の申請をしていないことを,それぞれ指摘する。 そこで検討するのに,まず,本件事業に使用する備品,消耗品費の買換え及び追加購入に要する費用は,本件事業に必要な費用と考えられるから,これを直ちに補助の対象に含まれないとするのは相当でない。また,実際にも,前記2(1)によれば,本件市社協は,平成17年度以前も,各地域社協に対し,「給食設備費」を補助の対象に含める取扱いをしており,大阪市でも当該取扱いを是認していたと認められる。したがって,原告らの主張には理由がない。また,確かに「給食設備費」に関する支出が明示的に認められ,これを申請,報告する取扱いが定められた後は,そうした手続を経ないまま,調理に要する経費又は年間運営費等として交付を受けた補助金を当該支出に充てることは本来予定されておらず,適切なものとはいい難いが,上で述べたとおり,元々調理に要する経費又は年間運営費から「給食設備費」を支出することが認められていた経緯からすれば,平成18年度以降の本件要綱の下でも,調理に要する経費又は年間運営費から,「給食設備費」を支出することが一律に許されないことになったと解するのは相当でない。したがって,本件地 ていた経緯からすれば,平成18年度以降の本件要綱の下でも,調理に要する経費又は年間運営費から,「給食設備費」を支出することが一律に許されないことになったと解するのは相当でない。したがって,本件地域社協が「給食設備費」を申請していない年度においても,備品等の購入費用に本件補助金を支出することが認められないとはいえない。 (イ) さらに,個々の支出についてみると,証拠(甲13)及び弁論の全趣旨によれば,平成20年3月28日付け及び同年4月14日付けの「厨房改修工事半額支払」は,厨房の改修工事のための支出と認められるところ,平成18年4月1日改正後の本件要綱が,給食設備費等の対象から工事費用を明示的に除外していること(前記前提事実(3)ウ(イ)a(a)ⅳ,ⅴ),合計額が165万円と相当多額であることからすると,当該支出は,補助の対象に含まれないというべきである。 他方,その余の支出については,本件事業との関連性がないことが明らかであるとまではいえないから,補助の対象に含まれないとはいえない。 カ 「その他」について(ア) 原告らは,別表1の「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「その他」欄に金額が記入されている支出は,補助の対象に含まれないと主張するところ,別表1の「備考」欄によれば,上記各支出は,ⅰ会議茶菓子代(資料番号1,35,43,48,71),ⅱ 手土産代(同2),ⅲ 写真代(同7,9,10,12),ⅳ カラーコピー(同56),ⅴ 会館使用料(同61)に分類できる。 そこで検討するのに,ⅰ 会議茶菓子代について,本件委員会の会議等は,本件事業を実施する上で必要なものであると考えられるから,当該会議における茶菓子代についても,本件事業を行うために要する経費に含まれないとまではいえない。 ⅱ 手土産代について 委員会の会議等は,本件事業を実施する上で必要なものであると考えられるから,当該会議における茶菓子代についても,本件事業を行うために要する経費に含まれないとまではいえない。 ⅱ 手土産代について,本件地域社協は本件区社協を通じて本件補助金の交付を受けるなど,本件事業を行う上で協力関係にあるといえるから,本件区社協に対する手みやげについても,本件で問題となっている金額の限度であれば,本件事業を行うために要する経費に含まれないとまではいえない。 ⅲ 写真代について,被告補助参加人らは,本件事業の実施について,事業記録のために写真の撮影が必要と主張しており,本件事業との関連性がないことが明らかであるとまではいえない。 ⅳ カラーコピー代について,原告らは,Qが代表者を務める会社作成の領収書が信用できないと主張するが,上記事実から直ちに支払の事実が疑われるということはできず,本件事業との関連性がないことが明らかであるとまではいえない。 ⅴ 西部会館の使用料について,本件事業に関連して西部会館を利用することも考えられるところであり,本件事業を行うために要する経費に含まれないとはいえない。 (イ) 以上によれば,別表1の各「補助金使用の是非」,「非とする理由」,「その他」欄に金額が記入されている支出は,いずれも本件補助金の支出が認められるというべきである。 4 本案の争点エ(本件地域社協に対する不当利得返還請求権の成否)及びオ(本件地域社協に対する損害賠償請求権の成否)について(1) 前記2(4)で判断したとおり,本件補助金を補助の対象に含まれる経費以外の用途に使用した者は,その用途に使用した範囲で大阪市に対して不当利得返還義務を負うべきところ,上記3で補助の対象に含まれないと判断した支出((2)イ,ウ,オ(イ))について 対象に含まれる経費以外の用途に使用した者は,その用途に使用した範囲で大阪市に対して不当利得返還義務を負うべきところ,上記3で補助の対象に含まれないと判断した支出((2)イ,ウ,オ(イ))については,その支出額につき不当利得返還義務を負い,その支出内容に鑑みれば,これを支出した本件地域社協は悪意の受益者と認めるのが相当である。 (2) 返還額について,弁論の全趣旨(本案の争点アに係る当事者の主張)によれば,平成10年度から平成19年度までのいずれの年度においても,本件委員会の支出額が,利用料収入及びその他の収入の額を上回っていると認められる。したがって,それ以前の年度においても,本件委員会の支出の額が,利用料収入及びその他の収入の額を上回っていると推認できるから,平成10年4月1日時点で本件委員会が保有していた金員は,いずれも平成9年度までに交付を受けた本件補助金の残金であると認めるのが相当である。 そうすると,上記金員を平成10年度以降の補助の対象に含まれない支出に充てることも認められないと解される。 そして,平成10年度から平成20年度までの本件委員会による支出のうち,本件補助金の対象とならない支出の額は,年度ごとに以下のとおりとなり,いずれも対応する年度におけるその他の収入の額を上回っている。 補助対象外支出その他の収入差額平成12年度118万9600円36万9567円82万0033円平成14年度29万9187円9万7033円20万2154円平成15年度79万6065円35万0214円44万5851円平成16年度132万4230円40万0031円92万4199円平成17年度1万円31円9969円平成18年度5000円2324円2676円 4円44万5851円平成16年度132万4230円40万0031円92万4199円平成17年度1万円31円9969円平成18年度5000円2324円2676円平成19年度273万5450円89万9068円183万6382円平成20年度82万5000円2742円82万2258円(3) 以上のとおり,本件地域社協は,平成12年度から平成20年度まで(ただし,平成13年度を除く。)の各年度において,本件補助金のうち上記(2)「差額」欄記載の金額を補助の対象に含まれない支出に充てているから,大阪市は同額の損失を被っており,本件地域社協は同額の支出を本件補助金以外の原資からすることを免れ,法律上の原因なく利得を得ていたと認められる。 さらに,上記(2)の補助の対象に含まれない支出の内容に鑑みれば,Qは,本件地域社協の会長・本件委員会の委員長として,本件委員会の会計及び本件補助金の使途について責任を持つべき地位にあり,それまでの収支の状況からみて,上記各支出がその他の収入のみで賄えないことを認識しながら,本件補助金の一部をこれに充てることを認めていたものであって,故意又は過失に基づいて本件補助金を目的外に支出しており,その違法な行為によって大阪市に損害を与えたものというべきである。したがって,Qは,大阪市に対し,上記損害について不法行為に基づく賠償義務を免れない。また,Qの上記行為は,本件地域社協の代表者会長として行ってきたものとみること ができるから,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条の準用により,本件地域社協も大阪市に対して損害賠償義務を負う。 (4) ところで,本件地域社協は各年度の翌年4月頃,各年度に本件委員会が実施した本件事業の実施状況を記載した報告書を する法律78条の準用により,本件地域社協も大阪市に対して損害賠償義務を負う。 (4) ところで,本件地域社協は各年度の翌年4月頃,各年度に本件委員会が実施した本件事業の実施状況を記載した報告書を作成し,本件区社協との間で補助金の確定手続をしていたこと(前記前提事実(3),(6),2(1))からすると,本件地域社協が本件補助金を補助の対象に含まれない支出に充てたことが確定し,不当利得返還請求権及び損害賠償請求権が発生するのは,当該各年度の末日が経過した時点というべきである。したがって,本件地域社協が本件補助金の交付を受けていた平成12年度から平成19年度まで(ただし,平成13年度を除く。)の各年度については,当該各年度の末日の翌日である4月1日から法定利息等が発生するというべきである。 そして,平成20年度については,本件地域社協に対して本件補助金は交付されておらず(前記前提事実(4)エ参照),補助金額の確定手続が行われることはないものの,前年度までと同様,平成20年4月1日から平成21年3月31日までを一つの年度として事業実施状況を集計し,収支の決算を行っていたと考えられるから,平成20年度の末日の翌日である平成21年4月1日から法定利息等が発生すると解するのが相当である。 5 本案の争点カ(消滅時効の成否)について(1) 地方自治法236条1項が金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利及び普通地方公共団体に対する権利で金銭の給付を目的とするものにつき5年の消滅時効期間を定めたのは,普通地方公共団体の権利義務を早期に確定させる必要があるなど,主として行政上の便宜を考慮したことに基づくものであるから,同項の5年の消滅時効期間の定めは,行政上の便宜を考慮する必要がある金銭債権であって他に時効期間につき特別の規定のないものにつ があるなど,主として行政上の便宜を考慮したことに基づくものであるから,同項の5年の消滅時効期間の定めは,行政上の便宜を考慮する必要がある金銭債権であって他に時効期間につき特別の規定のないものについて適用されるものと解すべきである(会計法30条についての最高裁昭和50年2月25日第三小法廷判決・民集29巻2号143頁参照)。 (2) 本件において問題となるのは,普通地方公共団体が,補助金の交付決定を行うに際して定めた条件に反して本件地域社協が本件補助金を支出したことによって取得する不当利得返還請求権又は損害賠償請求権であるところ,本件補助金の交付は贈与契約の性質を有すると解されること,上記条件は補助金に係る予算執行の適正化を図る目的で定められたものであって,5年の消滅時効を認め権利義務を早期に確定させてしまうと,かえって上記行政目的に反する結果を招くことからすれば,上記各請求権は,行政上の便宜を考慮する必要がある金銭債権やそれに準ずるものには当たらないとみるのが相当である。 したがって,不当利得返還請求権並びに不法行為又は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間については,地方自治法236条1項ではなく,民法167条1項及び724条が適用されると解するのが相当である。 (3) 甲事件監査請求がされた平成20年3月12日以前に,大阪市が損害及び加害者を知ったことを認めるに足りる証拠はないから,大阪市が被告補助参加人らに対する訴訟告知を申し立てた平成20年7月31日時点では,不当利得返還請求権に係る消滅時効が成立していないことに加え,損害賠償請求権に係る消滅時効も成立していない。したがって,大阪市の被告補助参加人らに対する各請求権が時効消滅したとする被告の主張は採用できない。 権に係る消滅時効が成立していないことに加え,損害賠償請求権に係る消滅時効も成立していない。したがって,大阪市の被告補助参加人らに対する各請求権が時効消滅したとする被告の主張は採用できない。 6 本案の争点キ(返還額又は損害額の算定において本件市社協による返還額を控除することの可否)について前記前提事実(9)によれば,大阪市は,本件市社協に対し,平成14年度から平成19年度までに交付した本件補助金について,本件地域社協に対して交付されたものの一部に相当する部分の交付を取り消す趣旨で,合計248万6262円の一部取消決定を行い,本件市社協は,大阪市に対し,上記金員を支払ったと認められる。これにより,本件地域社協が本件補助金を補助の対象に 含まれない支出に充てたことによって大阪市の被った損失,損害の一部が填補されたというべきであるから,大阪市の本件地域社協に対する各請求権は,一部消滅するというべきであり,これに反する原告らの主張は採用できない。 7 本案前の争点ア(甲事件の訴えの適法性)について(1) 被告は,大阪市は,本件地域社協に対し,直接補助金の返還請求等をすべき立場にはなく,これを行うことができないなどとして,甲事件の訴えは不適法なものであり,却下されるべきであると主張する。 しかし,甲事件原告らの請求が主張自体失当であり,理由がないことは本案における実体判断の問題であって,訴訟要件の問題には当たらないから,被告の上記主張は採用できない。 (2) なお,乙事件原告らが乙事件の訴えを提起した理由(前記第2の4(1)イ(原告らの主張)参照)に鑑み,甲事件の訴えの審理範囲に,甲事件監査請求後に行われた本件補助金の支出の適否が含まれるか否かを検討する。 前記前提事実(8)のとおり,甲事件原告らは,平成20年3月12日にさ の主張)参照)に鑑み,甲事件の訴えの審理範囲に,甲事件監査請求後に行われた本件補助金の支出の適否が含まれるか否かを検討する。 前記前提事実(8)のとおり,甲事件原告らは,平成20年3月12日にされた甲事件監査請求において,本件地域社協が本件補助金を不正に受給しているとして,被告に対し,過去に遡って返還請求等必要な措置を講ずるよう勧告することを求めており,同年5月7日に監査請求を棄却する決定がされたところ,証拠(乙14)によれば,大阪市は,本件市社協に対し,平成19年4月20日付けで平成19年度の本件補助金の交付決定をしていたと認められるから,平成19年度に交付された本件補助金についても甲事件監査請求の対象に含まれていることになる。そして,前記2(2),(4),4(4)で判断したとおり,本件地域社協が交付を受けた本件補助金に余剰が生じたとしても,年度末に返還する義務を負わず,本件補助金を補助の対象に含まれない支出に充て,その年度が経過した時点で各請求権が成立したものとみるべきものではあるが,甲事件監査請求が平成19年度までに交付された本件補助金の使途を問題として必要な措置を講ずるよう勧告することを求めている ことからすれば,目的外の支出が甲事件監査請求よりも後に行われ,各請求権が発生したとしても,当該事実は甲事件監査請求及び甲事件の審理対象に含まれると解するのが相当である。 8 本案前の争点イ(乙事件の訴えの適法性)について甲事件の訴えと,乙事件の訴えは,請求の趣旨,大阪市が被告補助参加人らに対して行使すべき請求権の内容及びその発生原因事実として原告らがそれぞれ主張する事実関係がいずれも重複しているところ,甲事件の訴えが適法に当裁判所に係属していることは上記1のとおりである。 したがって,乙事件の訴えは,地方自治法242 生原因事実として原告らがそれぞれ主張する事実関係がいずれも重複しているところ,甲事件の訴えが適法に当裁判所に係属していることは上記1のとおりである。 したがって,乙事件の訴えは,地方自治法242条の2第4項に反して不適法であり,却下を免れない。 9 時機に後れた攻撃防御方法の主張について原告らは,被告補助参加人らの丙21,22に係る証拠申出は,時機に後れた攻撃防御方法として,民事訴訟法157条1項に基づき却下されるべきであると主張する。しかし,これを採用することによって,本件訴訟の完結が遅延したとの事情は認められないから,原告らの主張は採用できない。 10 結論以上の次第であり,大阪市は,本件地域社協及びQに対し,別表7「損失額・損害額」,「発生額」欄記載の金額の不当利得返還請求権及び損害賠償請求権を取得したと認められる。これに,本件市社協が平成20年6月3日付けで大阪市に支払った248万6262円を,同日までに生じた遅延損害金に充当し,その残額を元本に充当すると,同表のとおり,甲事件の請求は,残元本合計額の318万1021円及び平成21年3月31日までに発生した法定利息等9万7072円並びに残元本に対する同年4月1日から支払済みまで年5分の割合の金員の支払を請求することを求める限度で理由があるから,その限度で認容することとし,その余は理由がないから,これらをいずれも棄却する。 また,乙事件の請求に係る訴えは不適法であるから却下することとして,主文 のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官 田 徹 裁判官小林康彦 裁判官五十部 隆 田徹 裁判官小林康彦 裁判官五十部隆
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