主文 被告人を無期懲役に処する。 理由 (被告人の身上経歴)被告人は,広島市において,食肉卸業をしていた両親の三男として出生し,中学校卒業後,食肉市場の従業員,食肉販売店経営,土木建築関係の作業員派遣業などをして稼働した経歴があり,また昭和47年に婚姻して一男一女をもうけたが,昭和62年に離婚し,その後平成元年に再婚したものの,平成11年には離婚し,次いで本件暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件で起訴された後の平成12年12月にx1(昭和30年12月28日生)と婚姻したが,平成13年1月に離婚し,更に同年8月に同女と再度婚姻してa姓となった。また,被告人は,平成5年ないし平成11年にbら3名の男性と養子縁組をしていたが,平成12年9月までにはいずれも離縁ないし離籍している。 なお,被告人には,懲役刑の服役前科が3犯あるが,平成元年8月には,沖縄県那覇市の肉牛販売業者から,正常な取引と詐って肉牛364頭(代金合計約3億0465万円)を騙取するという取り込み詐欺事件によって実刑判決を受けており,また平成7年には窃盗罪等により懲役3年6月の判決を受けて服役し,平成10年11月に仮出獄した。 被告人は,元妻がx1の経営していた飲食店の従業員であったこともあって,同女と知り合っていたが,上記仮出獄後の平成11年1月ころ,x1と再会して惹かれるようになり,x1の相談に乗って同女が生活保護を受給できるよう福祉事務所と話をしたり,x1の三女の面倒を見るなどして親しくなり,同年9月には前妻と離婚し,同年11月ころからは,x1方である肩書き住居地(以下「x1方」あるいは,「t町のアパート」ということがある。)において,x1及びその三女と同居するようになった。 (判示第1の殺人,詐欺未遂 婚し,同年11月ころからは,x1方である肩書き住居地(以下「x1方」あるいは,「t町のアパート」ということがある。)において,x1及びその三女と同居するようになった。 (判示第1の殺人,詐欺未遂の犯行に至る経緯) 1 被告人は,前刑の仮出獄後,土木建築関係の作業員派遣業を営んでいたが,平成11年半ばころには,もう一度肉牛の取り込み詐欺を行って大金を得たいと考えるようになり,養子であるbに生命保険を掛けていたところから,同年11月ころには,同人を殺害してその保険金を取得して当初の取引資金に充てようとしたが,同人を殺害することができなかった。また,被告人は,肉牛取引を始めるための資金を2000万円程度調達すべく知人に相談したところ,暴力団関係者を紹介され,同じく同年11月ころ,暴力団関係者から1000万円を借り入れて,肉牛の取引を始めたものの,市場関係者に不審を抱かれ,肉牛を買い付けることができなくなってしまい,平成12年3月ころには,上記暴力団関係者から,とりあえず元金の1000万円を返済するよう厳しく迫られるようになっていた。 なお,上記暴力団関係者から1000万円を借り入れる際,同人と被告人との間で,これが返済できない場合には,上記bを殺害して保険金を取得して返済に充てるという話や,会社を設立して役員に保険を掛けて殺害し,保険金を取得するという方法があるといった話が出ていた。 被告人は,上記のように肉牛の取り込み詐欺に失敗し,暴力団関係者からの1000万円の借金について厳しい督促を受けながらその返済のめどが立たなかったため,その返済資金を得るとともに,更に大金を得ようと思い,上記暴力団関係者の保険金殺人の話に示唆を受け,会社を設立して,その役員にした者に多額の生命保険を掛けて殺害し,その保険金を騙取することを考えるに至り,平成 金を得るとともに,更に大金を得ようと思い,上記暴力団関係者の保険金殺人の話に示唆を受け,会社を設立して,その役員にした者に多額の生命保険を掛けて殺害し,その保険金を騙取することを考えるに至り,平成12年3月ころ,この計画をx1に打ち明け,保険金が手に入れば,静岡県内や長崎県内に住む同女の親族へも金銭的援助ができるし,二人で裕福な生活ができるなどと話して協力を求め,x1も,被告人の窮状を理解するとともに,親族を援助し裕福な生活をするためにはやむを得ないと考えて,被告人の申し出を了承し,いわゆる保険金殺人についての両名の共謀が成立した。 2 そこで,被告人は,かねて食肉卸市場等で顔見知りであったcをその対象とすることを考え,同人に対し,一緒に産業廃棄物処理業を行う会社を設立し,役員となって仕事をしてもらいたい旨勧誘,説得し,同年4月上旬ころには,cの承諾を得たので,x1と相談の上,合名会社を設立することとし,同月10日,本店所在地を被告人とx1が同居していた肩書き住居地とし,商号を「d合名会社」,目的を衣料その他呉服用品の売買など,社員を被告人及びcとする旨の設立登記を行い,もって,d合名会社を設立した。 そして,被告人らは,cを保険に加入させるとともに,同人に怪しまれないよう,被告人自身を被保険者とする生命保険に加入することとしたが,被告人には左手小指の欠損や入れ墨があり保険の加入が難しいと考え,同年4月下旬ころ,x1がかつて飲食店を経営していたころに客として知り合っていた保険代理店株式会社eを経営するfに保険契約加入手続を依頼した。fは,被告人に小指の欠損や入れ墨があることから,医師の診断を要する保険加入手続は難しいと考え,本人の申告のみによる「告知書扱い」と呼ばれる手続によることとし,かつ告知書扱いの手続では保険金の上限が低く設 告人に小指の欠損や入れ墨があることから,医師の診断を要する保険加入手続は難しいと考え,本人の申告のみによる「告知書扱い」と呼ばれる手続によることとし,かつ告知書扱いの手続では保険金の上限が低く設定されていることから,被告人については,多数の保険会社に分散して保険契約を結ぶ必要があると考え,その一部を保険代理店有限会社gを経営するhに担当させることとして,同年5月上旬ころ,その旨同人に依頼して了承を得た。そして,被告人らは,fを通じて,被告人自身の死亡保険金合計1億1000万円の生命保険契約とともに,cの同意を得て,保険契約者をd合名会社,被保険者をcとする死亡保険金合計3億円の保険契約を申し込んだ。なお,被告人は,x1と相談の上,当面支払う保険料やcの殺害の準備のための資金として,同年5月2日ころ,金融会社から500万円を借り入れた。 また被告人は,かねて知り合いの鳥取県在住の政治団体役員iに殺人の依頼をしており,同日ころ,その手付金として130万円を同人に手渡した。 しかしながら,その後,被告人が事業が軌道に乗らないにもかかわらず高額の保険契約を申し込んだことに対して,cが不審を抱き,同年5月23日ころ,保険会社で審査中であった保険の加入を取り止めたことから,結局,同人の生命保険契約は不成立となり,被告人はcをd合名会社から退社させて,保険金殺人の計画も一時とん挫を余儀なくされた。 3 このころ,被告人の自動車が壊されることなどが度々あったため,被告人は,前記暴力団関係者が借金を返さないために行っているものと思い,早急に次の対象を探す必要があると考え,知人のjに対し,医療産業廃棄物処理業に関する営業ができる者の紹介を依頼し,同年6月初旬ころ,上記jらから,y1を紹介された。被告人は,その場で,y1に対し,医療産業廃棄物処理の事 必要があると考え,知人のjに対し,医療産業廃棄物処理業に関する営業ができる者の紹介を依頼し,同年6月初旬ころ,上記jらから,y1を紹介された。被告人は,その場で,y1に対し,医療産業廃棄物処理の事業を行う旨説明して,d合名会社の社員となるように勧誘し,数日後,y1もこれを了解したことから,その旨をx1に告げて,同月20日,広島法務局においてy1を社員とする登記変更申請を行った。 次いで,同月下旬ころ,被告人は,y1に対し,医療産業廃棄物を扱う業務の危険性などを理由に,同人を被保険者とする保険に加入する必要があると言葉巧みに話して,同人の了解を得たので,x1を通じてfにy1の保険契約加入の手続を依頼した。この際,被告人とx1は,前回の計画ではcが高額の保険金に不審を抱いたため失敗したと考え,保険金額を前回よりも低めにして,被告人と同額程度にしようと相談した。そして,被告人は,y1の体に入れ墨があるのを知り,fに相談の上,y1についても被告人同様,告知書扱いにより,前記hの協力も得て,多数の保険会社と保険契約を結ぶこととして,同月29日,広島市○○区内の飲食店wで,y1及びfと保険契約締結の手続を行い,後記のとおりm生命保険株式会社等8社との間で,保険金受取人d合名会社,被保険者y1,保険金額合計1億4500万円の契約を成立させた。 次いで被告人は,同年7月1日ころには鳥取県内で,同月9日ころには広島市内で,iにy1を引き合わせるなどして,iに殺害を促していたが,iが近々殺害を実行するというので,同月20日ころから24日ころまで,アリバイを作るため,x1とともに静岡県熱海市に住むx1の実母のもとを訪れた。しかしながら,被告人が,熱海からiに電話をかけて首尾を聞いたところ,iは,実行犯が検問に引っかかってけん銃所持で逮捕されたために 作るため,x1とともに静岡県熱海市に住むx1の実母のもとを訪れた。しかしながら,被告人が,熱海からiに電話をかけて首尾を聞いたところ,iは,実行犯が検問に引っかかってけん銃所持で逮捕されたために実行できなかったなどと弁解したため,被告人は次第にiにy1殺害を実行する意思がないのではないかと思うようになった。そのため,このころから,被告人は,かつて平成10年ころに広島刑務所で服役した際,共に服役していて知り合った東京都在住のqことx2に何度か電話をし,危険な仕事をする者がいないかなどと,殺人を実行する者がいないかどうかについて探りを入れていた。 4 このようにして,y1殺害は実行されない一方,y1に給料を支払う必要があったことから,被告人及びx1は,平成12年8月5日,y1方に赴き,被告人が同人に給料を手渡したが,この際,被告人は,y1が妻と喧嘩をして,妻子は実家に帰ってy1方にはいないことを知り,iに電話をかけ,y1を殺害する絶好の機会だと言って,直ちにy1殺害を実行するように促したが,iが,再びけん銃の入手に失敗したなどと,y1の殺害を引き延ばすようなことを言ったため,iには殺害の意思がないと考えて同人に対して殺害の依頼を断り,ほかの者に殺害を依頼することとして,その旨x1にも告げた。 そこで被告人は,x2と何度か電話でやりとりをして,保険を掛けている男がいるので,これを殺害してほしい,その保険金のうち2000万円を報酬として,保険金が支払われた段階に一括で支払うなどと話して,x2に対しy1の殺害を依頼し,x2も経済的に困窮していたことから被告人の申し出を了承して,同月7日ないし8日ころ,電話で被告人に対し,二,三日のうちに広島に向かうと返答したところ,被告人はこれをx1に伝え,x1もこれを了承し,ここに,x2と被告人及びx から被告人の申し出を了承して,同月7日ないし8日ころ,電話で被告人に対し,二,三日のうちに広島に向かうと返答したところ,被告人はこれをx1に伝え,x1もこれを了承し,ここに,x2と被告人及びx1との三者の間で,y1殺害についての共謀が順次成立した。そして,x2は,上記合意に従い,同月10日,短刀などを準備して,自己使用車両である普通乗用自動車を運転して,単身で東京の自宅を出発して広島に向かった。 5 同月11日朝,被告人は,x2から,広島に向かって出発した旨の連絡を受け,午後5時30分ころには,広島に着いた旨の電話を受けたことから,被告人とx1は自動車で○○インターへと向かい,午後6時ころ,x2と同所で落ち合った。被告人は,とりあえず食事をするため,x2とともに広島市○○区○○の焼肉店へ向かうこととしたが,その途中,自動車内で,x1に対して,x2が同日中に実行するかもしれないことを伝えた上,アリバイ作りのため,x1の前夫の墓参りという名目で愛媛県に行くことを提案し,x1にフェリーの代金や始発の時刻,しまなみ海道の通行料金などを調べさせた。そして,上記焼肉店で3人で食事をした後,x2を一時広島市○○区内のk公園に待たせておいて,被告人は,午後8時ころ,x1をt町のx1方に送り届けるとともに,同女に対して今からx2をy1方に案内してくるから,連絡があり次第いつでも動けるように準備しておくよう言いおいた。その後,被告人はx2と合流してy1方に向かい,y1方を下見し,さらには被告人がy1方を訪ねたところ,人がおり,その後x2がy1方に赴いたところ留守であったため,x2はy1方近辺の自動車内で同人の帰りを待つこととした。 なお,この間,被告人は,x2から,実際に保険が掛けてあることを確認するために保険証券を見せてほしいと求められ,これを承諾し あったため,x2はy1方近辺の自動車内で同人の帰りを待つこととした。 なお,この間,被告人は,x2から,実際に保険が掛けてあることを確認するために保険証券を見せてほしいと求められ,これを承諾したものの,その際,すべての保険証券を見せるとx2から報酬の引上げを求められるおそれがあると考え,x1に電話して保険証券のうちの6000万円分だけを用意しておくよう伝え,x2とともに一度x1方に戻り,階下に駐車した被告人使用車両の中で,x2にこれを見せたところ,x2は6000万円の保険が掛かっているのであれば,自分の取り分はその半額である3000万円にしてほしいと報酬額を上げることを求めたが,被告人は,とっさに,犯行にはもう一人保険屋が関わっており,その者にも報酬を渡さなければならないため,6000万円を3等分した2000万円しか渡せないと架空の弁解をしてx2を納得させた。 そして,被告人は,x2から,どういう具合にやるか分からないから,できれば身をかわしておいてくれなどと言われたため,同月12日午前零時ころx1方に戻り,x1に対し,朝にかけてy1が戻ってきたらx2が実行するから,午前3時ころ四国へ出発することや,x2が刃物や黒のスウェットの上下を着替えとして持ってきていることを伝えた。そして,同日の午前3時に,被告人とx1は,しまなみ海道を通って愛媛県に向かい,x1の前夫の墓参りや前夫の母親を老人ホームに訪ねるなどした。しかしながら,結局x2は8月11日の夜間から,同月12日の朝にかけて,y1殺害を実行することはできなかった。 被告人は,12日の昼前,x2からy1の殺害を実行できなかった旨の連絡を受けたことから,x2との今後の打合せのため広島に戻った。その際,被告人はy1の存在を確認するなどのため,午後8時ころy1方へと赴き,同人が知人 の昼前,x2からy1の殺害を実行できなかった旨の連絡を受けたことから,x2との今後の打合せのため広島に戻った。その際,被告人はy1の存在を確認するなどのため,午後8時ころy1方へと赴き,同人が知人一人とともに在宅していることを確認して,x2に連絡を取り,y1が家にいることを伝えた。 そして,被告人は,x1とともに,午後9時ころ,同市○○区○○○○所在のラーメン店pに赴き,同日午後9時30分ころまで,同所で食事した後,x2に電話して同人の居場所を確認するなどした上,x1を同女方に送って行き,x2と会って今後の話をする等のために自動車で出かけた。 その後,被告人とx2は,電話によって連絡を取り,被告人はx2から同夜,y1殺害を決行するからアリバイを作るよう連絡を受けた。 このため,被告人は,午後11時ころ,急きょx1方へ向かうとともに,その途中で同女に電話をかけ,電話に出たx1に対し,x2がいよいよy1殺害を実行するので,アリバイ作りのため外出の支度をするように伝えた。 被告人は,午後11時15分ころ,x1方に到着し,直ちにx1と広島市○○区所在のスナックrに向かうと同時に,x1方を出たことをx2に電話で伝え,同日11時30分ころには,上記スナックrに到着し,x2からの連絡を待った。 (罪となるべき事実)被告人は,第1 1 x1及びqことx2と共謀の上,被告人が代表社員として経営するd合名会社の社員であるy1(当時35歳)を殺害して,同人に掛けていた受取人を上記d合名会社とする死亡保険金(保険金額合計1億4500万円)を得ようと企て,上記x2において,平成12年8月12日午後11時30分ころ,広島市○○区○○○△丁目△番△△号上記y1方において,就寝中の同人の頭部,顔面等を鉄パイプ様の棒で多数回殴打した上,その胸部等を所携 ,上記x2において,平成12年8月12日午後11時30分ころ,広島市○○区○○○△丁目△番△△号上記y1方において,就寝中の同人の頭部,顔面等を鉄パイプ様の棒で多数回殴打した上,その胸部等を所携の短刀(刃渡り約18.3センチメートル,平成13年押第40号の1)で十数回突き刺すなどし,よって,そのころ,同所において,同人を両肺,心臓,大動脈損傷により,失血死させて殺害し, 2 前記x1と共謀の上,前記y1を被保険者,前記d合名会社を保険金受取人とする別表記載のm生命保険株式会社等8社と締結していた生命保険契約の死亡保険金を騙し取ろうと企て,上記x1において,真実は前記のとおり,被告人らが上記y1を殺害していたのに,これを秘し,あたかも同人は,関係のない第三者に殺害されたもののように装い,別表記載のとおり,同年10月10日から同月30日までの間,前後9回にわたり,同市○○区○○△番△△号m生命保険株式会社広島○○支社等8か所において,交付又は郵送により,上記保険契約に基づく保険金の支払いを請求する旨の「支払請求書」等の書類を上記保険会社各社に提出して総額1億4500万円の死亡保険金を請求したが,被告人が上記y1殺害容疑で逮捕されたために,その目的を遂げず,第2 sことx3及びx4と共謀の上,同市○○区○○○△丁目△番△△号に所在し,y2(当時76歳)が現に住居に使用する木造瓦葺平屋建家屋に放火して,同女や同じ敷地内の別棟に住むy3を同家屋及びその敷地から立ち退かせようと企て,同年2月16日午前1時40分ころ,同家屋応接間北東側敷居付近にガソリンを撒布した上,所携の紙片様の物にライターで点火して,上記ガソリン撒布場所に放り投げて放火し,よって,現に上記y2が住居に使用する同家屋及び棟続きの土蔵造瓦葺2階建倉庫を全焼させて焼損(焼損面積合 を撒布した上,所携の紙片様の物にライターで点火して,上記ガソリン撒布場所に放り投げて放火し,よって,現に上記y2が住居に使用する同家屋及び棟続きの土蔵造瓦葺2階建倉庫を全焼させて焼損(焼損面積合計約236平方メートル)し,第3 内妻であった前記x1の三女であるnがB型肝炎に罹患したのがy4(当時35歳)及びy5(当時18歳)の責任であると邪推し, 1 同年6月3日午後7時20分ころ,同市○○区○○○○△△番△号wにおいて,上記y4に対し,所携のペンナイフ(刃体の長さ約6.5センチメートル)を同人の左大腿部に突きつけた上,「わしの娘が肝炎になって病院に入っとるんじゃがのう。どうするんなら。わりゃどう責任とるんか。わしは性根決めて来とるんじゃあ。刑務所行こうがどうなろうが怖くないんじゃあ。わりゃ,こっぱに言わすで。 どう責任とるんなら。」などと怒号し,同人の生命,身体等にいかなる危害を加えかねない気勢を示し,もって,凶器を示して同人を脅迫し, 2 同日午後7時45分ころ,同所において,前記y5に対し,「わしは女だろうが男だろうが関係ないんじゃ。わしは,あんたの顔を熱湯に漬けても,何とも思わんで。あんたの家庭をバラバラにすることもできるんじゃ。わしには関係ないんじゃ。」などと怒号し,同人の生命,身体,名誉等にいかなる危害を加えかねない気勢を示し,もって同人を脅迫したものである。 (証拠の標目)(省略)(事実認定の補足説明)以下,更新前の供述で公判調書中の供述が証拠になるものであっても,単に公判供述と記載する。 第1 判示第1の1の殺人の犯行に至る経緯について 1 被告人は,当公判廷において,判示第1の1の殺人の犯行に至る経緯に関し,犯行直前の電話で,x2が再び報酬を3000万円に上げるよう求めてきたため,x2に対し,もめるのであ 行に至る経緯について 1 被告人は,当公判廷において,判示第1の1の殺人の犯行に至る経緯に関し,犯行直前の電話で,x2が再び報酬を3000万円に上げるよう求めてきたため,x2に対し,もめるのであれば殺人の依頼の話を止めると言ったところ電話が切れてしまい,その後x2と会うことも,連絡を取ることもできないまま,x2が殺害行為に及んだ旨を述べており,共謀の点を否認するものではないが,犯行に対する関与の程度や,犯行直前の共謀状況といった点で,判示認定の犯行に至る経緯と異なる事実を供述しているので,この点について補足して説明する。 2 前記経緯についての主要な証拠は,被告人の供述のほかにはx1の供述があるのみであるところ,x1は,捜査官に対する各供述調書において,大要以下のとおり述べている。 すなわち,平成12年8月12日の午後9時30分ころ,前記ラーメン店pで食事をした後,被告人は,t町のアパートまで送ってくれて,連絡を入れるから,それまで家で待っているように等と言って,部屋には寄らず,また自動車で出かけて行った。その後,自分が一人で自宅で待っていると,午後11時前ころに被告人から電話があり,「今日実行する言いよるけぇ。x2が,ホテルにでも入ってアリバイを作っといた方がいい言いよる。出れるように用意しとけ。」と言ってきた。自分は,「映画じゃだめなん。時間聞いてみるわ。」と言っていったん被告人からの電話を切り,映画館に電話してオールナイトの映画の時間を調べた後,再び被告人に電話したが,被告人から,「映画じゃ,1回入っても,途中出たりしたら分からん。」などと言われた。通話記録にある22時48分の自分の携帯電話から被告人の携帯電話への通話,22時55分の被告人の携帯電話から自宅電話への通話,22時58分の自分の携帯電話から被告人の携帯電話へ ん。」などと言われた。通話記録にある22時48分の自分の携帯電話から被告人の携帯電話への通話,22時55分の被告人の携帯電話から自宅電話への通話,22時58分の自分の携帯電話から被告人の携帯電話への通話は,いずれもこのやりとりの電話であると思う。 さらに,午後11時過ぎころ被告人から電話があり,「今から実行する言いよるから。もうすぐ着くけぇ。下に着いたらまた電話するから,すぐ降りてくれ。 時間がないけぇ,rに行こう。」と言ってきたが,これが,23時9分の被告人の携帯電話から自宅電話への通話であると思う。 その数分後に,再度被告人からt町のアパートの下に着いたとの電話があったので,自分は下に降りて被告人の自動車に乗った。この電話が,23時16分の被告人の携帯電話から自宅電話への通話だと思う。その際被告人は,自分に対し,「さっき,pから帰った後は,わしは一緒にどこにも行かずにt町にいたことにしとかにゃいかんで。」と言ってきたので,アリバイ作りの口裏合わせだと思い,「分かった。」と返事をした。自分が被告人の自動車に乗り込むと,被告人はすぐ携帯電話でx2に電話をかけて「今家を出た。」などと言っていた。これが,23時17分に被告人の携帯電話からx2の携帯電話にかけられた通話であると思う。この通話時間は53秒もあり,被告人がx2に話していた細かい内容は思い出せないが,被告人はx2とy1を殺す最後の打合せをしたはずである。 3 x1の前記供述は,客観的な通話記録と一致している上,内容としても,今後の犯行について話し合うために広島に帰ってきた被告人が,実行の機会を窺っていたx2から殺害の実行に及ぶことや,アリバイを作ることについて連絡を受けたというもので,事実の流れとして自然である。その上,x1は,犯行後約1年半が経過した第19回公判(平成 ,実行の機会を窺っていたx2から殺害の実行に及ぶことや,アリバイを作ることについて連絡を受けたというもので,事実の流れとして自然である。その上,x1は,犯行後約1年半が経過した第19回公判(平成14年3月25日)において,記憶にない部分は記憶にないと供述しながらも,午後11時過ぎに被告人から電話があった際,被告人が,x2からアリバイを作るように言われたと言っていた点については,これを認めており,その供述が一貫していることからすると,信用性は高いものといえる。 さらに,被告人自身,第3回公判において,「x2がこの12日の夜,いよいよやるんだということを意思表示したんではないんですか,そういう電話のやりとりがあったんじゃないんですか。」との質問に対し,「ありました。」と,「12日の夜やるというx2とのやりとりは,1回きりですか。」との問いに,「いいえ,何回となしに電話を。」と,「少なくとも2回はあったんじゃないんですか。」との問いに「しています。」と,「x2のほうから,この12日の夜決行するんで,あなたたちの間でのアリバイを作るようにという指示があったんではないんですか。」との問いに「はい。」と,「その結果あなたはスタンドに行ったわけですね。」との問いに「そうです。」と,それぞれ答えており,x2との間で報酬をめぐるいさかいがあったことは供述していないところ,上記供述内容は,被告人は,x2と直接は会えなかったものの,同人から連絡を受けたというもので,前記のx1の供述内容と一致しており,これを強く裏付けている。 4 これに対し,被告人は,第14回公判以降,大要以下のとおり弁解する。 当日午後9時30分ころ食事した後,t町のアパートでx1を降ろし,u家の墓に誰が盆灯籠を立ててくれたかを確かめに寺へ行ってから,もう一度x2に電話したと 回公判以降,大要以下のとおり弁解する。 当日午後9時30分ころ食事した後,t町のアパートでx1を降ろし,u家の墓に誰が盆灯籠を立ててくれたかを確かめに寺へ行ってから,もう一度x2に電話したと思う。その電話で,x2が報酬のことをぶつぶつと言い出し,被告人が保険屋を犯行に関わらせたのだから,被告人と保険屋から500万ずつを割り引いて,x2のほうに上乗せしてほしいと言い出した。それに対して自分はできないと断り,金でもめるようだったら,もう止めようとx2に言った。すると,x2は,止めるにしても,もういろいろ経費がかかっていると言い出したので,それはそれで話をするから,今からそこへ行くからそこにおれと言って,自分は,x2がいるという同市○○区○○のzというパチンコ店に向かった。 そして,パチンコ店のzに着いて,駐車場を5分ほど探したが,x2はその場におらず,また電話も通じなかったため,自分がx2にもう止めるように,投げやりに言ったことから,もしかしたらx2がy1の殺害に向かっているかも知れない,自分のアリバイがなかったらいけないと思い,x1に電話して,もしかしたら実行するかもしれないので,すぐ帰るから,出る支度をしろと言った。x1は映画でも行こうかと言ってきたが,人と会って話をしたほうがいい,カラオケでも歌いに行こうと言って,スタンドrに行った。午後11時17分に,自分がx2に電話をかけて53秒通話している記録があるとのことだが,電話をかけてつながりはしたものの,自分が何を話しても相手が無言で返事をしてこないという状態であり,x2がすねていると考えた。 5 以上のような被告人の弁解は,当日午後11時前に被告人がx1に電話した際に,x2が今日実行するからアリバイを作るよう言ったかどうかという点及びその後スナックに向けて出発した際,家を と考えた。 5 以上のような被告人の弁解は,当日午後11時前に被告人がx1に電話した際に,x2が今日実行するからアリバイを作るよう言ったかどうかという点及びその後スナックに向けて出発した際,家を出たことをx2に電話で伝えたかどうかという点で,x1の前記供述と矛盾している。 のみならず,被告人は,x2とのやりとりや,共謀内容のほぼ全容を共犯者であるx1に話していると認められるところ,被告人の前記弁解供述によれば,被告人は,x2との犯行直前のいさかいという犯行遂行にとって重大な事実をx1に話していないということになり,それはいかにも不自然であるし,被告人の述べるように,x1の前で,被告人がx2に対して,全く相手が応答しないにもかかわらず,53秒間にわたって電話するという異常な行動を取ったのであれば,x1の記憶に残っていないことはまず考えられないというべきである。 また,関係各証拠によれば,x2によるy1殺害の後,被告人は,x2から連絡を受け,自動車の故障で立ち往生したx2のもとに駆け付けた際,同人に対し,前述のいさかいについて問い質すなり確認するなどしておらず,さらに,その後,8月15日には,被告人は,x2の労をねぎらうため,鳥取から現金5万円をすいかと一緒に東京のx2方に送り,8月30日にはx2と大阪で会って,報酬の一部として50万円を手渡していることなどの事実が認められるところ,これら被告人の行動からは,前述のx2とのいさかいがあったことを窺わせるものが全く認められないのであって,そのようないさかいがあったということは,事実の流れとしても不自然である。 その上,仮に被告人の言うようないさかいがあったとすれば,x2は,被告人から話を取り止めると言われ,報酬がもらえるかどうか不確かなままで犯行に及んだことになるのであって しても不自然である。 その上,仮に被告人の言うようないさかいがあったとすれば,x2は,被告人から話を取り止めると言われ,報酬がもらえるかどうか不確かなままで犯行に及んだことになるのであって,被告人との合意が崩れかけているのに,その点を確かめることなくy1を殺害するという行動に出ることは不自然に過ぎるというべきである。 さらに,被告人の前記供述は,前記第3回公判における被告人の供述とも矛盾しているが,第3回公判における被告人の供述は,捜査段階において犯行を否認していた被告人が,公判段階に至ってその態度を改め,自分の罪深さを反省して,弁護人の質問を通じて犯罪事実を認めるに至ったもので,その信用性は高いといえるし,その後に被告人の供述が変遷する合理的な理由は認められない。 以上の次第で,前記x1の供述内容は十分に信用でき,これによると,被告人は午後9時30分ころ,x1方を出た後,午後11時過ぎまでの間に,直接会ったことまでは確定できないものの,x2との間で連絡を取り,x2が実行に及ぶことを知ってx1方にアリバイ作りに帰ってきたことが認められ,他方,被告人が第14回公判以降供述するような,x2といさかいを起こして本件犯行を止めようと言ったという事実は,なかったものと認められる。 第2 判示第2の現住建造物等放火における現住性・現在性に関する被告人の認識について被告人は,判示第2の事実につき,冒頭手続において事実は間違いない旨述べ,弁護人も事実を争うものではないが,被告人質問の際には,本件放火は被害建物の敷地を取得予定の会社の会長であるoから,y2らを本件建物から立ち退かせるよう依頼されたことによるものであるところ,oからはy2が入院していると聞いていた上,同一敷地内の隣接する建物に居住するy2の二男のy3のところへ立ち 長であるoから,y2らを本件建物から立ち退かせるよう依頼されたことによるものであるところ,oからはy2が入院していると聞いていた上,同一敷地内の隣接する建物に居住するy2の二男のy3のところへ立ち退きを求めに行ったときにも,y2が入院していると言われたため,本件犯行の際にはy2が入院しており本件家屋は空き家であったと思っていた旨,現住性・現在性の認識を否定する供述をするのである。 しかしながら,関係各証拠によれば,①被告人は被害者であるy2及びy3とは旧知の間柄であり,昔からy2が本件建物に住んでいたことを知っていたことが認められ,②被告人とy3は,平成12年1月末ころ,本件建物の明渡しの話をしているが(この点について,両者の供述は一致する。),y3はその際,y2が入院しているという話はしていないと供述しているところ,y2が入院したのは平成11年1月までであって(261),y3が被告人に対し,y2が入院しているという,虚偽であることが容易に判明するような話をするのは不自然であって,この点についての被告人の供述は信用し難く,y3の供述により,y3は被告人に対し,y2が入院しているという話はしていないと認められ,③本件に先立つ平成12年2月初めに,sことx3が,被告人の指示を受けて本件家屋に火を付けに行ったものの,犬にほえられて失敗したことがあり,x3はその旨,被告人に対して報告したと供述しているところ,被告人はそのような報告は受けていないと述べるのであるが,x3が被告人の指示を受けて放火しようとした以上,失敗した理由を被告人に話すのが自然であって,被告人において失敗した理由を問わないということは考えにくい上に,被告人が上記のようにx3が失敗した理由を知っていたことは,x4,x1及びvの捜査官に対する各供述のなかで,一致して述べられ あって,被告人において失敗した理由を問わないということは考えにくい上に,被告人が上記のようにx3が失敗した理由を知っていたことは,x4,x1及びvの捜査官に対する各供述のなかで,一致して述べられているのであって,以上のような証拠関係からすれば,x3は被告人に対して上記のような報告をしたと認められる。 そして,oは被告人に対し,y2が入院しているといった事実は述べていない旨の供述をしているところ,上記認定のとおり,被告人は,以前からy2が本件建物に居住していたことを知っており,y3からもy2が不在である旨を積極的に聞いたわけでもなく,さらに,本件実行前に,本件建物に犬がいるという,人が居住していることと強く結びつく事情を聞いているのであって,そのような証拠関係,事実関係からすれば,被告人は,被害者y2が本件家屋に現住しており,犯行当時家にいるであろうことを,少なくとも未必的には認識していたと優に認めることができる。 第3 暴力行為等処罰に関する法律違反及び脅迫について被告人は,第1回公判期日における罪状認否においては,前記認定事実のうち,y4にナイフを突きつけた点や一部の脅迫文言について争う主張をしたものの,第18回公判期日においては事実を認める陳述をするに至ったが,同期日における被告人質問において,なお一部事実について記憶にない旨の供述をするので補足すると,本件被害者であるy4及びy5は,判示被害の状況を具体的に供述しており,その内容には迫真性があって十分な信用性が認められる一方で,被告人の供述内容は,ナイフを出したことは認めるものの,y4にナイフを示したことは否定し,単に自分のズボンの毛玉を取っていたに過ぎないというのであるが,その場の状況として不自然な行動であり,その内容自体不合理であって信用することができない。 ものの,y4にナイフを示したことは否定し,単に自分のズボンの毛玉を取っていたに過ぎないというのであるが,その場の状況として不自然な行動であり,その内容自体不合理であって信用することができない。 そして,信用性のあるy4及びy5の供述を初めとする関係各証拠によれば,判示第3の1及び2の事実は,合理的疑いなくこれを認めることができる。 (累犯前科)(省略)(法令の適用)(省略)(量刑の理由)本件は,保険金の取得を目的とした殺人及び保険会社8社に対する保険金詐欺未遂,居住者を立ち退かせる目的での現住建造物等放火,さらに暴力行為等処罰に関する法律違反,脅迫からなる事案である。 1 保険金目的の殺人,詐欺未遂について(1) 本件は,高額の保険金を得る目的のもとに,会社を設立し,被害者をその役員にして保険に加入させた上,実行犯にこれを殺害させたが,保険金の騙取は未遂にとどまったという保険金目的の殺人及び詐欺未遂の事案であるところ,そのような本件犯行の罪質が卑劣かつ悪質であることは言うを待たない。 (2) そもそも,被告人が本件を敢行するに至った動機は,一攫千金を夢見て肉牛の取り込み詐欺を画策し,暴力団関係者からその資金を借り入れたものの,取り込み詐欺に失敗して借金の返済を迫られ,その資金を得るとともに内妻であった共犯者x1と安逸に暮らすための資金を得ようとしたものであって,地道に働くことを考えず,安易に大金を得ようと考えて本件保険金殺人に及んだその動機は全く身勝手なものというほかなく,酌量の余地はない。 (3) そして,被告人は,本件に至るまでにbやcに対して同様の犯行に及ぼうとして,いずれも失敗したにもかかわらず,なお新たに保険金殺人の対象となる者として被害者y1を探し出して会社の役員とした上,当初殺害を頼んだ者が実行に移ら に至るまでにbやcに対して同様の犯行に及ぼうとして,いずれも失敗したにもかかわらず,なお新たに保険金殺人の対象となる者として被害者y1を探し出して会社の役員とした上,当初殺害を頼んだ者が実行に移らないとみるや,新たに本件実行犯であるx2に殺害を依頼して,遂に殺害の目的を遂げたものであって,その犯行遂行意思の強固さ,執拗さには驚くべきものがあり,また,高額な保険金を得るために,会社を設立して被害者をその役員とし,医療産業廃棄物の処理事業を行うため,ウイルス感染のおそれがあるから必要であると巧みに申し向けて保険に加入させるという方法や,自分が殺害行為に関与していることが発覚しないよう,被告人とのつながりがわかりにくい県外の実行者を探し,実行時には共犯者x1と必ずアリバイを作る努力をするなど,上記会社設立から保険の加入などを含め,犯行全体は十分な計画性をもって行われている。 (4) 次に,本件の殺害態様も,深夜零時に,既に就寝していた被害者宅に押し入り,鉄パイプ様の凶器で被害者を殴打した後,短刀で刺して殺害するというもので,被害者の遺体の胸部には14か所にも及ぶ刺創,顔面に頭骨骨折,脳損傷を伴う挫創などがあり,死因である失血死をもたらした胸部の刺創についても,約9センチメートルから約17センチメートルの深さにも及ぶものが11か所もあり,人体の枢要部に対する執拗な攻撃が行われており,実に残虐なものである。 (5) そして,被告人は,本件犯行の発案者であり,x1やx2といった共犯者を巻き込み,引き入れたほか,被害者であるy1についても,専ら被告人が探し出して,入社や保険への加入を説得しているのであり,被告人が本件犯行の主導者であり,主犯格として積極的に動いたことは明らかであるし,被告人は,逮捕後も不合理な弁解を弄し,本件犯行への関与が明らかに 出して,入社や保険への加入を説得しているのであり,被告人が本件犯行の主導者であり,主犯格として積極的に動いたことは明らかであるし,被告人は,逮捕後も不合理な弁解を弄し,本件犯行への関与が明らかになった後も,無実のfが死亡したことを奇貨として,あたかも同人が共犯者として主導的な役割を担っていたかのような弁解を行っていたもので,自己の刑責を免れようとする態度を強く認めることができる。 (6) 被害者y1は,当時35歳の働き盛りであり,妻との間に3人の子供をもうけて,妻子のために安定した仕事に従事しようとして希望に燃えて就職したにもかかわらず,自宅で就寝中,就職先の社長である被告人の指示を受けたx2に襲われて,年若い妻と子を残して無惨な最期を遂げたものであり,その無念の情は察するに余りあるものがある。 被害者の妻は,予想だにしなかった被告人らの犯行によって一家の大黒柱とも言うべき被害者を失い,被告人らに対し,死をもって償ってもまだ足りないとの気持ちを公判廷で述べており,また,事件の真相を知らない被害者の3人の幼い子供達は,いまだ被害者が本当に死んだことを完全には理解できてはおらず,今後事件の真相を知ったときのことを考えると,その精神的な影響には計り知れない深刻なものがある。また,被害者をこれまで育て,今後の活躍を期待していた両親の悲嘆,悲憤の情も甚だしく,これら被害者の遺族が,被告人からの謝罪文や,被害者の命日に送金された香典の受領を拒んでいることも,遺族が被告人に対して向ける憎しみや怒りの激しさを示している。 (7) さらには,本件は,会社の代表者であった被告人が,高額の保険を掛けた上,被害者を殺害した事件として一般に広く報道され,社会の注目を集めた事件であって,社会に対する影響も大きい。 2 現住建造物等放火について本件 会社の代表者であった被告人が,高額の保険を掛けた上,被害者を殺害した事件として一般に広く報道され,社会の注目を集めた事件であって,社会に対する影響も大きい。 2 現住建造物等放火について本件は,被害者が立ち退きに応ぜず,立退料の提示が行われていたことを知り,建物に火を付けて被害者らを立ち退かせれば,報酬を得ることができると考え,利欲目的で,人が現に住居に使用する木造家屋に放火してこれを全焼させたという悪質な犯行で,その動機に酌量の余地がないことは,1と同様である。 犯行態様も,深夜,高齢で病気の女性が住んでいるにもかかわらず,木造家屋の壁面に広範囲にわたって約12リットルのガソリンをまいて,火を付けるというもので,本件建物に居住していた被害者y2は,息子であるy3が助け出したため,幸いにも最悪の結果は回避されたものの,一歩間違えば手遅れになりかねない犯行であって,甚だ危険な犯行である。被害者は,自宅に火を付けられ,生命の危険にさらされなければならない理由は何ら存しないにもかかわらず,かかる凶行に遭ったもので,何らの慰謝の措置も行わない被告人に対して,厳罰に処してほしいとの被害感情を持っていることも当然である。 被告人は,被害者や本件家屋の敷地の買い受け予定者と知り合いであり,その立ち退き交渉に関与したことから本件犯行を発案し,報酬の約束をしてほかの共犯者であるx3やx4を引き入れたものであって,本件犯行の首謀者である。そして,本件犯行においても,被告人は,自らの手を汚さず,x3やx4に実行させる一方で,自分は家族と食事に出て,アリバイ工作を行うなどしており,自己の刑責を免れようとする卑劣な態度を認めることができる。 3 本件は,以上の各犯行のほか,暴力行為等処罰に関する法律違反,脅迫からなる事案であるが,ことに保険金殺人や現 イ工作を行うなどしており,自己の刑責を免れようとする卑劣な態度を認めることができる。 3 本件は,以上の各犯行のほか,暴力行為等処罰に関する法律違反,脅迫からなる事案であるが,ことに保険金殺人や現住建造物等放火の犯行から認められる被告人の態度は,人命を軽視し,金銭を手に入れるためには手段を選ばないというものであり,また一人では実行することが難しい重大犯罪を,他人を使うことによって実現しようとするもので,しかも,実行行為自体は巻き込んだ共犯者にさせて自らは手を汚すことがないという誠に悪らつなものであり,そのような本件各犯行の罪質,動機の悪質さ,態様の計画性,執拗さ,殺害方法の残虐性,結果の重大性,遺族らの被害感情,社会的影響等の情状に照らすと,被告人の罪責は甚だ重大で,検察官の求刑は理解できないものではなく,本件は,被告人に対して極刑を科することも十分に考慮されるべき事案であるといえる。 4 しかしながら,死刑は,犯人をして自らの生命をもってその罪を償わさせるという最も峻厳な刑罰であって,犯行の罪質,動機,態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性,結果の重大性ことに殺害された被害者の数,遺族の被害感情,社会的影響,犯人の年齢,前科,犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき,その罪責が誠に重大であって,罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に初めてその選択が許されるものであるところ,本件は,殺害された被害者の数が1名の事案であって,以上のような情状を考慮しても,過去の同様の保険金目的殺人事件の量刑と比較するときは,死刑を選択するほかないことが直ちに明らかな事案とまではいい難く,更に慎重な検討を要するものというべきである。 そのような観点から検討すると,本件現住建造物等放火の事案は,殺意まで認めら きは,死刑を選択するほかないことが直ちに明らかな事案とまではいい難く,更に慎重な検討を要するものというべきである。 そのような観点から検討すると,本件現住建造物等放火の事案は,殺意まで認められる事案ではなく,幸いにして居住者は救出されていること,保険金目的の殺人,詐欺未遂及び現住建造物等放火の事案とも利欲的動機に基づく犯行ではあるが,結果的に被告人は上記各犯行による利得を一切得られなかったこと,被告人が上記各犯行の首謀者であることは前記のとおりであるが,共犯者らも被告人の誘いに安易に応じたという面があり,ことに保険金殺人の実行犯については,被告人が支配的影響力をもっていたとはいえず,報酬の増額を要求するなど,主体的に犯行に関わっていたといえること,被告人には少年時代からの前科があるが,人命に関わるような重大犯罪に手を染めたのは,本件が初めてであること,被告人は,捜査段階においては本件保険金殺人について事実を争う態度を示していたが,公判段階に至って基本的事実関係を認め,罪責を争わない態度に転じて反省の態度を示し,被害者の遺族には受領を拒否されたものの,謝罪文や,被害者の命日に香典を送ろうとするなど,慰謝についての一応の努力を行っていることなど,酌むことのできる事情がないわけではない。 そして,本件は前記のように死刑の選択について慎重な検討を要する事案であるところ,上記のような情状をも考慮するときは,被告人を再度社会に復帰させることが相当とはいい難いにしても,本件の量刑として死刑を選択することにはなお躊躇を感じざるを得ず,被告人に対しては,終生受刑することにより被害者の冥福を祈らせて贖罪に当たらせることが相当であるとの結論に達した次第である。 よって,主文のとおり判決する。(求刑死刑)平成15年1月29日広島地方 ,終生受刑することにより被害者の冥福を祈らせて贖罪に当たらせることが相当であるとの結論に達した次第である。 よって,主文のとおり判決する。(求刑死刑)平成15年1月29日広島地方裁判所刑事第二部裁判長裁判官小西秀宣裁判官浅見健次郎裁判官中野智昭別紙(省略)
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