平成21(ワ)40693 損害賠償等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年7月20日 東京地方裁判所
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判決文本文13,379 文字)

平成23年7月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官山下京子平成21年(ワ)第40693号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成23年5月18日判決埼玉県川口市<以下略>原告株式会社健盛社 同訴訟代理人弁護士小沼清敬同鎭西俊一大阪市中央区<以下略>被告株式会社コジット 同訴訟代理人弁護士島村和行 主文 1 被告は,原告に対し,金439万7610円及びこれに対する平成21年8月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,別紙被告商品目録1ないし3記載の各商品を販売してはならない。 2 被告は,原告に対し,金7365万7720円及びこれに対する平成21年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 主文第1項同旨第2 事案の概要本件は,①「常温快冷枕ゆーみん」「常温快冷マットゆーみん」「常温 快冷枕ハートゆーみん COOLPILLOW」という商品名の各商品について,その商品等表示(商品 事案の概要本件は,①「常温快冷枕ゆーみん」「常温快冷マットゆーみん」「常温 快冷枕ハートゆーみん COOLPILLOW」という商品名の各商品について,その商品等表示(商品名及び形態)が原告の商品等表示として周知であるところ,被告はその商品等表示と類似の商品等表示を使用した「常温快冷枕クールミン」「常温快冷マットクールミン」「常温快冷枕ハートクールミン COOLPILLOW」という商品名の各商品を販売しており,その行為は不正競争防止法2条1項1号及び3号に該当する旨主張して,原告が,被告に対し,<ア>同法3条1項に基づく差止請求として上記各商品の販売禁止(請求第1項),<イ>同法4条に基づく損害賠償請求として7365万7720円(附帯請求として訴状送達の日の翌日である平成21年11月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払(請求第2項)を求めるとともに,②原告が被告に対して販売した「常温快冷マットゆーみん」の代金が未払である旨主張して,売買契約に基づく代金支払請求として未払代金合計439万7610円(附帯請求として代金支払期限の翌日である平成21年8月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金)の支払(請求第3項)を求めた事案である。 1 前提事実(争いがないか,後掲の証拠等により認められる。)(1) 当事者ア原告は,健康管理機器,介護用品,介護用機器等の製造,販売及びリース等を目的とする会社である。 (弁論の全趣旨)イ被告は,日用雑貨品等の輸入等を目的とする会社である。 (争いがない。)(2) 吸熱枕の開発・製造等ア原告代表者は,発明の名称を「恒温冷媒及びその応用品」とする特許(特許第2869633 日用雑貨品等の輸入等を目的とする会社である。 (争いがない。)(2) 吸熱枕の開発・製造等ア原告代表者は,発明の名称を「恒温冷媒及びその応用品」とする特許(特許第2869633号,以下「本件特許」という。)の特許権者である。 (争いがない。) イ原告は,本件特許に係る恒温冷媒剤を用いた吸熱枕を開発・製造し,平成16年から,そのホームページにおいて,「癒眠ゆーみん」という商品名の吸熱枕(以下「本件旧商品」という。)の通信販売を開始した。また,原告は,同年11月26日,原告代表者の妻(A)名義をもって,「癒眠ゆーみん」を商標登録した。 (通信販売の開始時期につき甲37,その余は争いがない。)ウ本件旧商品は,別紙原告商品目録1記載の商品(以下「ゆーみん枕」という。)の元のバージョンの商品であり,商品本体についてはほぼ同一の商品である。 (争いがない。)(3) 別紙原告商品目録1~3記載の各商品の販売ア被告は,原告が製造するゆーみん枕の本体を仕入れ,平成18年3月,ゆーみん枕の販売を開始し(ただし,パッケージ〔化粧箱〕のデザインが別紙原告商品目録1記載のパッケージ写真とは異なる。),平成20年3月から,別紙原告商品名表示目録記載①の表示を使用して,ゆーみん枕を販売した。 (甲8,乙7,9,10,37,38)イ被告は,原告が製造する別紙原告商品目録2記載の商品(以下「ゆーみんマット」という。)の本体を仕入れ,平成20年3月から,別紙原告商品名表示目録記載②の表示を使用して,ゆーみんマットの販売を開始した。 (甲9,乙37,38)ウ被告は,原告が製造する別紙原告商品目録3記載の商品(以下,「ハートゆーみん枕」といい,同目録1~3記載の各商品を併せて「 して,ゆーみんマットの販売を開始した。 (甲9,乙37,38)ウ被告は,原告が製造する別紙原告商品目録3記載の商品(以下,「ハートゆーみん枕」といい,同目録1~3記載の各商品を併せて「本件各商品」という。)の本体を仕入れ,平成20年3月から,別紙原告商品名表示目録記載③の表示(以下,同目録記載①~③の各表示を併せて「本件各商品名表示」という。)を使用して,ハートゆーみん枕の販売を開始した。 (甲10,乙37,38)(4) 別紙被告商品目録1~3記載の各商品の販売被告は,平成21年3月から,別紙被告商品名表示目録記載①~③の各表示(以下,併せて「被告各商品名表示」という。)を使用して,別紙被告商品目録1~3記載の各商品(以下,順に「クールミン枕」「クールミンマット」「ハートクールミン枕」といい,併せて「被告各商品」という。)の販売を開始した。 (争いがない。)(5) 未払代金ア原告と被告とは,本件各商品の代金の支払を当月20日締め,翌月20日支払としていた。 イ被告は,原告に対し,ゆーみんマットについて,平成21年6月3日5100個及び同年7月1日1200個(合計6300個)を各発注し,原告は,被告に対し,①同年6月17日1200個,②同月18日800個,③同月23日700個,④同月25日1060個,⑤同月30日1340個,⑥同年7月8日100個,⑦同月14日240個,⑧同月15日300個,⑨同月16日200個,⑩同月17日360個を納品した。 ウ被告は,原告に対し,上記①,②の代金を支払ったものの,上記イの③~⑩の納品分合計4300個の代金439万7610円(1個974円×4300個=418万8200円+消費税相当額20万9410円)を支払っていない。上記 上記①,②の代金を支払ったものの,上記イの③~⑩の納品分合計4300個の代金439万7610円(1個974円×4300個=418万8200円+消費税相当額20万9410円)を支払っていない。上記③~⑩の代金の支払期限は,平成21年8月20日である。 (上記各段落につき争いがない。) 2 争点(1) 不正競争防止法2条1項1号該当性ア本件各商品の商品等表示が原告の商品等表示であるか。 イ本件各商品の商品等表示の周知性ウ本件各商品の商品等表示と被告各商品の商品等表示との類似性(2) 不正競争防止法2条1項3号該当性ア本件各商品が原告の商品であるか。 イ被告各商品が本件各商品の形態を模倣したものであるか。 (3) 原告の営業上の利益の侵害ないし侵害のおそれの有無(4) 原告の損害額 3 争点に関する当事者の主張(1) 不正競争防止法2条1項1号該当性(争点(1))についてア本件各商品の商品等表示が原告の商品等表示であるか(争点(1)ア)について(原告の主張)本件各商品は,商品本体の外観上の封袋の樹脂フィルムの材質,色彩,形状,サイズ並びに原告の商標を用いた商品名,パッケージ化粧箱の商品名や説明の表示において,原告の商品であることを示す標識が示されており,その商品等表示(商品名及び形態)は原告の商品等表示である。 (被告の主張)原告の主張のうち,本件各商品が「ゆーみん」を使用したことは認め,その余は否認する。 本件各商品は被告の商品であり,その商品等表示(商品名及び形態)は,被告の商品であることを示す被告の商品等表示である。原告は,OEM生産により本件各商品を生産したのであり,本件各商 る。 本件各商品は被告の商品であり,その商品等表示(商品名及び形態)は,被告の商品であることを示す被告の商品等表示である。原告は,OEM生産により本件各商品を生産したのであり,本件各商品の本体及びパッケージにおいて存在するのは被告の表示のみであり,原告の表示は存在しないし,本件各商品は,被告の販売ルートにより被告の商品として販売されている。 イ本件各商品の商品等表示の周知性(争点(1)イ)について (原告の主張)本件旧商品は,平成18年1月に「平成17年度埼玉県ベンチャー企業優良製品コンテスト」で入選し,全国紙において優秀性が紹介されるなど,同年当時において,本件特許素材を用いた吸熱枕として,当該商品名,形態等の商品等表示は,業界や需要者に広く認識されていた。その後,平成20年からは,被告を介して,主にインターネットによる通販や量販店等において販売されるようになった本件各商品は,需要者の間に広く浸透し,本件特許素材を用いたブランドとして定着するに至っている。 (被告の主張)原告の主張のうち,コンテストでの入選や全国紙における紹介は知らない,その余は否認する。 ウ被告各商品の商品等表示と本件各商品の商品等表示との類似性(争点(1)ウ)について(原告の主張)(ア) 本件各商品名表示と被告各商品名表示との類似性a 外観ゆーみん枕の表記である「常温快冷枕ゆーみん」及びゆーみんマットの表記である「常温快冷マットゆーみん」の書体は,丸ゴシック書体,ブルー色が使用されており,ハートゆーみん枕の表記である「常温快冷枕ハートゆーみん COOLPILLOW」の書体は,中抜きの丸ゴシック書体,ライトブルーが使用されているとこ は,丸ゴシック書体,ブルー色が使用されており,ハートゆーみん枕の表記である「常温快冷枕ハートゆーみん COOLPILLOW」の書体は,中抜きの丸ゴシック書体,ライトブルーが使用されているところ,被告各商品名表示もこれらと同一の書体,同一の色彩,同一のサイズの書体を使用しており,その文字数も1字多いだけで,外観上類似している。また,本件各商品と被告各商品のパッケージ化粧箱の外観や他の語句の文字表記や写真等もほぼ同一であるから,これと相まって被告各商品名表示は,本件各商品名表示と外観上極めて類似している。 b 称呼本件各商品名表示の要部は「ゆーみん」であり,これは,登録商標でもあり,自他識別機能を有する部分である。一方,被告各商品名表示の要部は「クールミン」である。要部以外の表記部分については,本件各商品名表示と被告各商品名表示とは全て同一である。 両者の要部である「ゆーみん」と「クールミン」とを比較しても,字数に1字の差異があるものの,ともに「みん」と「ミン」という同じ発音部分を含んでおり,両者は,称呼において類似している。 c 観念本件各商品名表示の要部である「ゆーみん」は,「癒眠」という原告の造語に由来するものであるところ,「みん」の部分により,睡眠を連想させる称呼である。一方,被告各商品名表示の要部である「クールミン」は,「クール」という英語に「ミン」という部分を結合させたものであろうが,「ミン」部分は,同じく,睡眠を連想させるものである。つまり,両者の商品名の表記は,ともに快適な睡眠を連想させるものであり,観念において類似している。 (イ) 本件各商品の形態と被告各商品の形態との類似性a 封袋材質が同一であること の商品名の表記は,ともに快適な睡眠を連想させるものであり,観念において類似している。 (イ) 本件各商品の形態と被告各商品の形態との類似性a 封袋材質が同一であること本件各商品に使用されている封袋材樹脂フィルムは,エチレンビニールアセテート樹脂であるところ,被告各商品も同じ材質を使用している。 b 色彩が同一あるいはほぼ同一であることゆーみん枕及びゆーみんマットの色彩は,ともにブルーであるところ,クールミン枕及びクールミンマットも,同一のブルーを使用している。ハートゆーみん枕の色彩は,ピンクであるところ,ハートクールミン枕の色彩もこれと類似のピンクを使用している。 c 形状が類似していることゆーみん枕は,縁に波形が施されているが,この縁の波形を除き,クールミン枕の形状は,これと類似している。ゆーみんマットは,横3,縦3の9区画に区分されて冷媒剤が封袋されているところ,クールミンマットもこれと同一の区分による形状である。ハートゆーみん枕のハート型形状とハートクールミン枕の形状は同一である。 d サイズが同一であることゆーみん枕のサイズは,縦約17㎝,横約27㎝,厚さ約2㎝であるところ,クールミン枕のサイズは,これと同一のサイズを採用している。ゆーみんマットのサイズは,縦約27㎝,横約74㎝,厚さ約1㎝であるところ,クールミンマットのサイズもこれと同一のサイズを採用している。ハートゆーみん枕のサイズは,縦約19.5㎝,横約26㎝,厚さ約1㎝であるところ,ハートクールミン枕のサイズもこれと同一のサイズを採用している。 (ウ) 誤認混同被告は,本件各商品の商品等表示に類似した商品等表示を ,横約26㎝,厚さ約1㎝であるところ,ハートクールミン枕のサイズもこれと同一のサイズを採用している。 (ウ) 誤認混同被告は,本件各商品の商品等表示に類似した商品等表示を用いた被告各商品を販売し,本件各商品と誤認混同を生じさせているから,不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当する。 (被告の主張)原告の主張(ア)のうち,aは認め,その余は否認する。本件各商品名表示と被告各商品名表示の称呼は明らかに異なり,また観念も「ゆーみん」から連想されるのは,著名な歌手であるユーミンであって,「ゆーみん」と「クールミン」との観念が類似しているとはいえない。同(イ)は認める。 同(ウ)は否認する。 (2) 不正競争防止法2条1項3号該当性(争点(2))についてア本件各商品が原告の商品であるか(争点(2)ア)について (原告の主張)本件各商品は,原告の商品である。本件各商品は,その本体部分はすべて原告が開発・製造した商品であり,これらを包装している各パッケージについては,そのデザインは被告が制作したものとはいえ,原告が深く関与し,キャッチコピーの語句及び説明文等の制作に関し,不可欠な協力を行って制作されたものであって,全体として原告が開発し製造したものである。 (被告の主張)原告の主張は否認する。 不正競争防止法2条1項3号の権利主体は,自ら開発し,商品化して市場に置いた者であり,原告は製品を開発・製造した者とはいえ,商品化して市場に置いた者とはいえない。本件各商品はOEM生産であり,被告が商品化して市場に置いた者である。 イ被告各商品が本件各商品の形態を模倣したものであるか(争点(2)イ)について(原告の主張) た者とはいえない。本件各商品はOEM生産であり,被告が商品化して市場に置いた者である。 イ被告各商品が本件各商品の形態を模倣したものであるか(争点(2)イ)について(原告の主張)被告各商品は,本件各商品の形態を模倣したものであるから(その類似性については上記(1)ウ(原告の主張)(イ)),被告が被告各商品を販売する行為は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する。 (被告の主張)原告の主張は否認する。 (3) 原告の営業上の利益の侵害ないし侵害のおそれの有無(争点(3))について(原告の主張)被告各商品の販売によって,原告の営業上の利益は,現に侵害されており,将来も害されるおそれがある。 よって,原告は,被告に対し,不正競争防止法3条1項に基づき,被告各商品の販売の差止めを求める(差止めに対応する不正競争行為は,クールミン枕につき同法2条1項1号,クールミンマット及びハートクールミン枕につき同項1号又は3号である。)。 (被告の主張)原告の主張は否認する。 (4) 原告の損害額(争点(4))について(原告の主張)ア被告各商品の販売数(平成21年1月1日~同年7月31日)は,同じ時期に原告が被告に納品した本件各商品の数量を下らないところ,原告が被告に納品した本件各商品の総数とその販売価格(消費税含まない。)は,以下のとおりである。 ゆーみん枕 5万5000個 4323万円ゆーみんマット 1万8780個 2100万3720円ハートゆーみん枕 1万6000個 942万4000円イ被告各商品を販売して得られた利益は,少なく見積もっても本件各商 ゆーみんマット 1万8780個 2100万3720円ハートゆーみん枕 1万6000個 942万4000円イ被告各商品を販売して得られた利益は,少なく見積もっても本件各商品を仕入れて販売して得られる利益を下らない。被告が本件各商品を仕入れて販売して得ている利益は,原告からの仕入価格と同額と推測されるから,被告各商品を販売して得られた利益は,以下の金額を下らない。 クールミン枕 4323万円クールミンマット 2100万3720円ハートクールミン枕 942万4000円合計 7365万7720円ウよって,原告は,被告に対し,不正競争防止法4条(同法5条2項による損害額の推定)に基づき,7365万7720円の損害賠償の支払を求める。 (被告の主張)原告の主張アは認める。同イのうち,被告各商品を販売して得られた利益について,仕入数量すべてを販売できた場合には,本件各商品を仕入れて販売して得られる利益を下らないことは認め,その余は否認する。同ウは否認する。 第3 当裁判所の判断 1 不正競争防止法2条1項1号該当性-本件各商品の商品等表示が原告の商品等表示であるか(争点(1)ア)について(1) 後掲の証拠等によれば,以下の各事実がそれぞれ認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 ア原告代表者は,発明の名称を「恒温冷媒及びその応用品」とする特許(特許第2869633号)の特許権者である。その明細書の特許請求の範囲の請求項1は,「硫酸ナトリウムとアルミノ珪酸質からなるモンモリロナイト粘土を主成分とする活性ベントナイトを主成分として水を加えて調合し,更に炭素繊維を含む充填材を混入した恒温 細書の特許請求の範囲の請求項1は,「硫酸ナトリウムとアルミノ珪酸質からなるモンモリロナイト粘土を主成分とする活性ベントナイトを主成分として水を加えて調合し,更に炭素繊維を含む充填材を混入した恒温冷媒を封袋に密封したことを特徴とする恒温冷媒。」とされ,発明の詳細な説明における発明の効果は,「本発明の恒温冷媒は,硫酸ナトリウムとベントナイトを主成分としているため,非常にチキソ性の高い懸濁液が得られ,結晶の粒子が繊細なため,封袋の損傷の危険性が少なく,温度に対する反応が早く熱還流が効率よく行われるので冷却効果が高く,快適な感触の柔軟性も付与される。 そして,本発明の恒温冷媒を応用した数々の製品は,人体の発熱や疲れを軽減し,暑さからくる不快感を払拭し快適な日常生活の友として優れた利用価値を有するものである。」とされている。 (前提事実(2)ア,甲1)イ原告は,本件特許に係る恒温冷媒剤を用いた吸熱枕を開発・製造し,平成16年から,そのホームページにおいて,「癒眠ゆーみん」という商 品名の本件旧商品の通信販売を開始した。 (前提事実(2)イ)ウ被告は,平成17年2月,みずほ銀行天満橋支店から,原告が商品の取引先を探しているとして,原告の紹介を受けた。原告代表者は,同年8月,被告を訪問し,本件旧商品の商品説明を行うとともに,被告に対して性能試験等の資料を提供した。被告は,同年9月,原告との取引を開始することとし,原告に対し,被告が作成途中のパッケージ(化粧箱)の案について意見を求め,原告において,過去のデータからクレームになりやすい表現等のチェックを行った。 (甲20,21,37,乙2,3,37,証人B,弁論の全趣旨)エ被告は,ゆーみん枕の販売を開始するに当たり,被告従業員がデザイン会社である株式会社オー やすい表現等のチェックを行った。 (甲20,21,37,乙2,3,37,証人B,弁論の全趣旨)エ被告は,ゆーみん枕の販売を開始するに当たり,被告従業員がデザイン会社である株式会社オー・エー・ディーの協力を得てパッケージをデザインし,被告の費用負担において廣川株式会社に印刷を依頼し,パッケージを作成した。また,被告は,ゆーみん枕の商品名について,原告の要望により,原告の商標である「癒眠ゆーみん」のうち,「ゆーみん」を使用することにしたものの,「癒眠」は使用しないで,「常温快冷枕ゆーみん」とした。被告は,原告が製造するゆーみん枕の本体を仕入れ,テスト販売として販売ルートを一部カタログ通販と量販店に限定し,平成18年3月から同年8月までの間,被告の作成したパッケージを使用して「常温快冷枕ゆーみん」として販売した。上記パッケージには,被告の表記はあるものの,原告の表記はなかった。 (乙7,11の1,11の2,乙12の1,12の2,乙13,14の1,乙26~30,37,38,証人三浦)オ被告は,原告が製造するゆーみん枕の本体を仕入れ,上記エと同様にテスト販売として,平成19年4月から同年8月までの間,被告の作成したパッケージを使用して「常温快冷枕ゆーみん」として販売した。被告は, 上記エと同様に,被告の費用負担においてパッケージを作成したほか,同年4月及び同年6月,パッケージを改定し,それに伴う費用負担をした。 改定されたパッケージには,被告の表記はあるものの,原告の表記はなかった。 (乙9,10,13,14の2~14の4,乙15の1~15の3,乙16,17,37,38,証人三浦)カ被告は,平成19年7月,原告に対し,本件特許に係る恒温冷媒剤を用いた製品として,吸熱マットの製造を依頼し 4の2~14の4,乙15の1~15の3,乙16,17,37,38,証人三浦)カ被告は,平成19年7月,原告に対し,本件特許に係る恒温冷媒剤を用いた製品として,吸熱マットの製造を依頼し,原告は従来から有していた金型に多少の修正を加えた金型を製作の上,平成20年1月から,ゆーみんマット本体の製造を開始した。また,被告は,同月,原告に対し,ハート型の吸熱枕の開発・製造を依頼し,使用する原材料の樹脂フィルムについては,厚み・強度等の基本性能のほか,色についても被告が要望し,原告は被告の要望を取り入れ,被告の要望に適うハート型の金型を製作の上,同年3月から,ハートゆーみん枕本体の製造を開始した。 (甲29~31,37,証人三浦)キ被告は,上記エ及びオのテスト販売の結果を踏まえ,本件各商品を「常温快冷シリーズ」として商品化することとし,上記エと同様に,被告従業員がデザイン会社である株式会社オー・エー・ディーの協力を得てパッケージをデザインし,被告の費用負担において前記廣川株式会社に依頼し,パッケージを作成した。被告は,市場の動向を見ながら,発注量を決定して原告に製造を依頼し,原告が製造する本件各商品本体を仕入れ,平成20年3月から同年8月までの間と平成21年3月から同年7月までの間,本件各商品名表示を使用して,被告の販売ルートを通じて,本件各商品を販売した。その間,被告は,平成20年3月1日までに配布するためのチラシ等の制作を依頼した。本件各商品のパッケージには,被告の表記はあるものの,原告の表記はなかった。 (甲8~10,乙12の2,乙13,18の1~18の3,乙19の1~19の3,乙20の1~20の4,乙21の1,21の2,乙22,23の1~23の3,乙24の1~24の5,37,38,証人三浦) 8~10,乙12の2,乙13,18の1~18の3,乙19の1~19の3,乙20の1~20の4,乙21の1,21の2,乙22,23の1~23の3,乙24の1~24の5,37,38,証人三浦)ク原告は,株式会社シースターコーポレーション(以下「シースター」という。)と業務提携をし,平成20年3月1日付けで,被告に対し,今後,シースターが原告の営業部門を担い,原告は開発,製造に専念する旨を通知したが,同年末には,両社の業務提携関係は頓挫し,原告がシースターを相手方として金銭の支払を求める調停申立てをするに至った。この間の同年10月16日,原告は,被告に対し,メールで,シースターとの業務提携解消へ向けて手続中であること,原告では設備増設は無理であることを伝えた。 (甲32,乙32~34)ケ被告は,その後,被告各商品本体をシースターから仕入れて販売するようになったが,現在は販売活動を見合わせている。 (証人三浦)(2) 以上に基づいて,本件各商品の商品等表示が原告の商品等表示であるかについて検討する。 ア不正競争防止法2条1項1号の規定は,他人の周知な表示と同一又は類似する表示を使用して需要者を混同させることにより,当該表示に化体した他人の信用にただ乗りして顧客を獲得する行為を不正競争として禁止し,もって公正な競業秩序の維持・形成を図ろうとするものであるから,同号に規定する「他人」とは,自らの判断と責任において主体的に,当該表示の付された商品を市場に置き,あるいは営業行為を行うなどの活動を通じて,需要者の間において,当該表示に化体された信用の主体として認識される者をいうと解するのが相当である。 これを本件各商品名表示についてみるに,被告は,原告が製造する本件各商品の本体を 者の間において,当該表示に化体された信用の主体として認識される者をいうと解するのが相当である。 これを本件各商品名表示についてみるに,被告は,原告が製造する本件各商品の本体を仕入れ,本件各商品のパッケージをデザインして作成し,本件各商品名表示を使用して,被告の販売ルートを通じて,本件各商品を販売し,本件各商品のパッケージには,被告の表記はあるものの,原告の表記はなかったことに照らすと,自らの判断と責任において主体的に,本件各商品表示を付した本件各商品を市場に置き,需要者の間において,本件各商品表示に化体された信用の主体と認識されるのは,被告であると認めるのが相当である。これは本件各商品の販売に至る経過に照らしても肯定できるというべきであるし,他方で,原告がゆーみん枕の販売前においてパッケージの案について過去のデータからクレームになりやすい表現等のチェックを行ったことは,原告が被告のパッケージ作成に協力したことを示すにすぎないのであるから,上記認定に影響を及ぼすものではない。 以上によれば,本件各商品名表示をもって原告の商品表示であるとする原告の主張を採用することはできない。 イ商品の形態は,商品の機能を発揮したり商品の美観を高めたりするために適宜選択されるものであり,本来的には商品の出所を表示する機能を有するものではないが,ある商品の形態が他の商品と比べて顕著な特徴を有し,かつ,それが長期間にわたり特定の者の商品に排他的に使用され,又は短期間であっても強力な宣伝広告等により大量に販売されることにより,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,商品の形態が不正競争防止法2条1項1号の商品等表示として保護されることがあるものと解するのが ,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,商品の形態が不正競争防止法2条1項1号の商品等表示として保護されることがあるものと解するのが相当である。しかしながら,本件各商品の形態が他の商品と比べて顕著な特徴を有することを認めることができる証拠はないから,同号の商品等表示として保護されるものとはいえない。 また,たとえ本件各商品の形態が同号の商品等表示として保護されると しても,上記アにおいて示した認定事実に照らすと,本件各商品の形態に化体された信用の主体として認識されるのは,本件各商品名表示の場合と同様に,被告であって原告ではないと認められる。 なお,原告は,説明の表示が商品等表示であるかのような主張をするが,説明の表示が出所識別機能を有する場合を容易に想定できないし,本件において,具体的な該当箇所を主張するものでもないから,採用できない。 ウ以上のとおり,本件各商品の商品等表示が原告の商品等表示であるとは認められないし,その他これを的確に認めることができる証拠もない。 (3) したがって,その余について判断するまでもなく,被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項1号に該当しない。 2 不正競争防止法2条1項3号該当性-本件各商品が原告の商品であるか(争点(2)ア)について不正競争防止法2条1項3号の規定は,他人が資金と労力を投下して開発・商品化した商品の形態につき,これを模倣して自らの商品として市場に置くことにより,先行者の成果にただ乗りして顧客を獲得する行為を不正競争として禁止し,先行者の利益を保護するものであるから,同号に規定する「他人」とは,形態模倣の対象とされた商品について,自ら開発・商品化して市場に置いた者 果にただ乗りして顧客を獲得する行為を不正競争として禁止し,先行者の利益を保護するものであるから,同号に規定する「他人」とは,形態模倣の対象とされた商品について,自ら開発・商品化して市場に置いた者をいうと解するのが相当である。 これを本件についてみるに,本件各商品のうち,ゆーみん枕については,原告はこれとほぼ同一の商品(本件旧商品)を既に開発しており,これを自ら「癒眠ゆーみん」との商品名で通信販売していたことが認められる。そして,本件旧商品の開発をもとに,被告は,原告が製造するゆーみん枕本体を仕入れ,ゆーみん枕のパッケージをデザインして作成し,被告の販売ルートを通じて,ゆーみん枕を販売したのであるから,ゆーみん枕については,原告と被告とが共同開発して被告が市場に置いたものと認められる。しかし,このような場合,第三者の模倣に対しては両者が不正競争防止法2条1項3号の保護を受ける 余地があるとしても,原告被告両者間の関係においては,ゆーみん枕は相互に「他人の商品」に該当せず,原告は,被告に対し,同号に基づく請求はできないものというべきである。本件各商品のうち,ゆーみんマット,ハートゆーみん枕については,原告は,被告からの開発依頼に応じて,従来の金型を修正し又は新たに金型を作成して,これを製造したものである。したがって,これらについては,開発も含めてこれを商品化して市場に置いたのは被告であり,原告とは認められないから,原告の商品とは認められない。 以上のとおり,本件商品のうち,ゆーみんマット及びハートゆーみん枕は原告の商品であるとは認められないし,ゆーみん枕については,それが被告にとって「他人の商品」であるとは認められない。 したがって,その余について判断するまでもなく,被告各商品の販売は,不正競争防止法2条 あるとは認められないし,ゆーみん枕については,それが被告にとって「他人の商品」であるとは認められない。 したがって,その余について判断するまでもなく,被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項3号に該当しない。 3 結論前記1及び2のとおり,被告各商品の販売は,不正競争防止法2条1項1号及び3号に該当しないから,同法3条1項に基づく差止請求及び同法4条に基づく損害賠償請求はいずれも理由がない。 他方で,売買契約に基づく代金支払請求(未払代金合計439万7610円及びこれに対する代金支払期限の翌日である平成21年8月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払)は,その請求原因事実が認められるから(前提事実(1)及び(5)),理由がある。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官小川雅敏 裁判官森川さつき

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