主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中、被告敗訴部分を取り消す。 2 上記取消しに係る原告らの請求をいずれも棄却する。 第2 本件控訴(以下、略称は原判決と同じ。)原告らの請求、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決「事実及び理由」第1ないし第3のとおり、原告らが旧優生保護法4条に基づく優生手術を受けた事実は、同第4の1⑴のとおりである。 本件控訴に係る事案の概要を整理すると次のとおりである。 1 旧優生保護法に基づく強制優生手術原告らは、甲4が昭和42年、甲5が昭和27年、いずれも10歳代後半の時に、旧優生保護法4条に基づく優生手術(強制優生手術)を受けた。 旧優生保護法(昭和23年7月13日公布、同年9月11日施行)の制定当時の規定は、別紙2官報のとおりである。旧優生保護法は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止することを目的と定め(1条)、4条に基づく強制優生手術について、次のとおり定めていた。 医師は、別表に掲げる特定の疾患に罹っている者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、本人の同意を得なくとも、都道府県優生保護審査会(昭和24年法律第154号による改正前は、都道府県優生保護委員会)に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができ(4条)、申請を受けた都道府県優生保護審査会は、4条に規定する要件を具えているかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その手術を行うべき医師を指定する(5条)。 都道府県優生保護審査会の決定の効力が確定したと 会は、4条に規定する要件を具えているかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その手術を行うべき医師を指定する(5条)。 都道府県優生保護審査会の決定の効力が確定したときは、この医師が、優生手術を行い(10条)、この優生手術に関する費用は、国庫の負担とする(11条)。 旧優生保護法4条に基づく強制優生手術は、特定の疾患に罹っている者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であるという要件の下に、同法5条に基づく都道府県優生保護審査会の審査決定という公権力の行使(行政処分)によって、本人の同意を得ないで、優生手術(生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術、2条)を受けることを強制する制度である。 旧優生保護法4条に基づく強制優生手術の実施件数を見ると、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書」(令和5年6月19日衆議院・参議院作成、乙A44)によれば、別紙3の表2「優生手術の実施件数の総数の根拠規定別内訳」及び表3「男女別・根拠規定別優生手術の実施件数の推移」のとおり、昭和24年から平成元年までの間に合計1万4566件の優生手術が実施されている。旧優生保護法4条以下の強制優生手術に関する規定は、平成8年改正により削除された。 平成30年1月30日、旧優生保護法4条による強制優生手術を受けた者が、国に対して国家賠償を求める訴えを提起し(仙台第一次訴訟)、平成31年4月24日、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成31年法律第14号、一時金支給法)が制定された。 旧優生保護法の概要、仙台第一次訴訟の提起から一時金支給法制定に至る経緯、一時金支給法の概要等は、厚生労働省 する一時金の支給等に関する法律(平成31年法律第14号、一時金支給法)が制定された。 旧優生保護法の概要、仙台第一次訴訟の提起から一時金支給法制定に至る経緯、一時金支給法の概要等は、厚生労働省が作成した資料(別紙4旧優生保護法一時金支給法に係る経緯等、乙A45)のとおりである。 2 原告らの訴え原告らは、平成30年12月17日、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、各原告につき3300万円の損害賠償を求める本件訴えを提起し、その理由として、旧優生保護法の優生手術に関する条項は、制定当初から憲法に違反することが客観的に明白であり、国会議員が、旧優生保護法を制定し、原告らが優生手術を 受ける前にこれを改廃しなかったことは、国家賠償法上違法であると主張した。 旧優生保護法の優生手術に関する条項が憲法に違反するという原告らの主張は、優生条項が、①憲法13条によって保障される個人の尊厳、身体の不可侵及び生殖に関する自己決定権を侵害し、同条に違反する、②特定の疾患を有する者に対して差別的取扱いをするもので、この取扱いに何らの正当性もないから、憲法14条1項に違反する、③個人の尊厳を損なって子を産み育てる権利を侵害するものであり、子を産み育てるか否かは家族の構成に関する事項であるから、家族に関する事項に関しては、法律は、個人の尊厳に立脚して制定されなければならないと定めた憲法24条2項に違反するというものである。 3 被告国の主張被告国は、原告らの損害賠償請求権は、国家賠償法4条により適用される平成29年法律第44号による改正前の民法724条後段の規定により消滅したと主張し、原告らの請求を争った。改正前の民法724条は、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間 改正前の民法724条後段の規定により消滅したと主張し、原告らの請求を争った。改正前の民法724条は、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定め、平成29年法律第44号附則35条1項は、改正前の民法724条後段に規定する期間が、改正法の施行の際(令和2年4月1日)既に経過していた場合におけるその期間の制限については、なお従前の例によると定めている。 被告国は、原告らが本件訴えを提起する前に、原告らが優生手術を受けた時から改正前の民法724条後段に規定する20年の期間が経過しているから、原告らの損害賠償請求権が消滅していると主張するのである。 4 被告国の控訴原審は、被告国に対し、原告らそれぞれにつき、1650万円(慰謝料1500万円と弁護士費用150万円)の損害賠償とこれに対する平成31年1月8日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を命じ、その限度で原告らの請求を一部認容し、その余の請求を棄却した。 被告国は、原判決が原告らの請求を認容した部分を不服として控訴した。 5 原審の判断の要旨⑴ 強制優生手術に関する旧優生保護法の規定の違憲性原告らが受けた強制優生手術の根拠である旧優生保護法4条から11条までの各規定が、憲法13条、14条1項及び24条2項に違反し、優生手術の対象者のそれらの規定に基づく権利を侵害することは明白である。 憲法13条は、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が保護されるべきことを規定し、子をもうけるか否かについて意思決定をする自由及びその意に反して身体への侵襲を受けない自由は、いず 白である。 憲法13条は、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が保護されるべきことを規定し、子をもうけるか否かについて意思決定をする自由及びその意に反して身体への侵襲を受けない自由は、いずれも幸福追求に対する権利の一内容を構成する権利として同条により保障されている。強制優生手術の根拠である旧優生保護法の規定は、これらの自由を侵害するものといえ、その立法目的は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するというものであり、これは特定の障害ないし疾患を有する者をそのことのみを理由に一律に「不良」な子孫の出生をもたらす存在であるとした上、「優生上の見地」からその「子孫の出生を防止する」というものであって、個人の尊重という日本国憲法の基本理念に照らし不合理であることは明らかであり、その手段も、強制的に、高度の身体的侵襲を伴い、不可逆的に生殖を不能にさせるものであるから、手段の合理性を欠くことも明らかであって、旧優生保護法の前記規定は、優生手術の対象者の上記自由を侵害し、憲法13条に違反する。 憲法14条1項は、国民に対して法の下の平等を保障したものであり、精神病等の特定の疾患を有する者に対し、本人の同意を要件とせず、医師の申請及び都道府県優生保護審査会の審査のみで優生手術を行う旨定めた旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、精神病等の特定の疾患を有する者について法的な差別的取扱いをするものであり、そのような取扱いの差異を正当化する合理的な根拠はおよそ見出しがたいから、憲法14条1項に違反する。 憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、 個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、 ついて、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、 個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、その裁量の限界を画したものである。子をもうけるか否かは、家族の構成に関する事項であるといえ、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、精神病等の特定の疾患を有する者に対し、子をもうけるか否かについての意思決定をする自由を侵害していたものであって、個人の尊厳に立脚したものということはできないから、この規定は、国会の合理的な立法裁量の限界を逸脱したものであり、憲法24条2項に違反する。 ⑵ 原告らに対する強制優生手術の国家賠償法上の違法性強制優生手術について定めた旧優生保護法の規定が違憲であり、優生手術の対象者の憲法上保障されている権利を侵害することが明白であることを踏まえると、旧優生保護法に係る行政事務を分担管理していた厚生大臣としては、原告らに対する優生手術が実施されないように、旧優生保護法の改正案の提出や都道府県優生保護審査会の監督等の事務に関する都道府県知事に対する指揮監督の各権限を行使すべき注意義務があった。それにもかかわらず、厚生大臣が、原告らに対する優生手術の実施までにそのような権限を行使した事実はないから、厚生大臣は同注意義務に違反し、その権限不行使は、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 ⑶ 民法724条後段の期間経過による損害賠償請求権の消滅の有無民法724条後段の規定は、不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定のため、被害者側の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を画一的に定めたものであって、20年の期間は損害賠償請求権の除斥期間であると解される。除斥期間の起算点は 被害者側の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を画一的に定めたものであって、20年の期間は損害賠償請求権の除斥期間であると解される。除斥期間の起算点は、直接的な加害行為である原告らに対する優生手術が実施され、生殖を不能にされるという具体的な損害が発生した時であるから、本件訴訟は、除斥期間の経過後に提起されたものである。 民法724条後段の規定の趣旨に照らせば、民法724条後段の例外を広く認めるのは相当でないが、時効停止の規定の法意に照らし、除斥期間の効果の発生を認めることが著しく正義・公平の理念に反する場合には、除斥期間の効果の発生を制 限することが許容されるものと解される。時効停止の規定(民法158条ないし160条)が設けられた趣旨は、時効完成直前に権利行使を不能又は著しく困難とする事由がある場合に、その事由の消滅後一定期間が経過するまで、時効の完成を猶予するという点にあるから、被害者の不法行為に基づく損害賠償請求権の権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があり、その事由が、加害者の当該不法行為ないしこれに密接に関連する行為に起因するなど、被害者が一切の権利行使をすることが許されず、加害者が20年の経過によって損害賠償義務を免れるということが、著しく正義・公平の理念に反する場合には、被害者を保護する必要があり、除斥期間の効果の発生を制限することが条理にかなうものといえる。 上記のような場合に、被害者が、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消した時から6か月以内に権利行使をしたなど特段の事情があるときは、時効停止の規定の法意に照らし、除斥期間の効果が発生しないものと解される。 原告らは、手術の前後を通じ、優生手術の内容、実施の主体及び根拠等についての情 権利行使をしたなど特段の事情があるときは、時効停止の規定の法意に照らし、除斥期間の効果が発生しないものと解される。 原告らは、手術の前後を通じ、優生手術の内容、実施の主体及び根拠等についての情報を一切知らされなかったなどの事実経過に加え、旧優生保護法が同法4条に基づく優生手術について対象者の同意を要しないことを規定するにとどまらず、厚生省が、昭和24年及び昭和28年に、都道府県に、本人の意思に反した優生手術を是認し、身体の拘束、麻酔薬の使用又は欺罔等の手段を用いることを許容する旨通知したことなどに照らせば、原告らに対する優生手術は、対象者が、手術の内容、実施の主体及び根拠等を認識することが困難な仕組みの下で実施されたものであり、このような仕組みは、被告国が優生手術の実施を推進する中で構築された。 また、旧優生保護法は、特定の障害や疾患を有する者が「不良」な子孫の出生をもたらす存在であるとし、「不良な子孫の出生を防止する」ため、その者の同意なくして高度の身体的な侵襲を伴う不妊手術を行い、子をもうけるか否かの意思決定の自由を奪うことを許容し、優生手術の対象者が幸福追求に対する権利主体であることを否定するもので、このような立法を是とするような障害者一般に対する差別・偏見は、同法の制定前から既に社会に存在していたものと解されるが、国会が同法 を制定したことは、社会に存在した障害者一般に対する差別・偏見に質的に異なる正当性を付与するものである。更に、同法制定後も、長期間、優生思想の普及及び優生手術の拡大を目的とした各種の政策を継続したことによって、優生手術の対象者を含む障害者一般に対する差別・偏見を正当化・固定化し、これを強化する結果をもたらした。このような差別・偏見は、原告らにも内面化され、優生手術の違法性を認識し、権利行使をす よって、優生手術の対象者を含む障害者一般に対する差別・偏見を正当化・固定化し、これを強化する結果をもたらした。このような差別・偏見は、原告らにも内面化され、優生手術の違法性を認識し、権利行使をすることに思い至ることを著しく困難にした。 原告らにおいて、権利行使の前提となる情報や権利行使をするための相談機会へのアクセスが著しく困難な状況により、権利行使を不能又は著しく困難とする事由があり、更に、平成8年改正時点で、1万5000件以上の優生手術の被害者のうち約98%について権利行使をしないまま20年の除斥期間が経過し、平成8年改正後も、旧優生保護法の制定から70年近くが経過した平成30年1月に仙台第一次訴訟が提起されるまで優生手術についての国家賠償請求訴訟が提起されなかったなどの事実に照らせば、原告らにおいて、権利行使の前提となる情報や訴訟提起のための相談機会へのアクセスが現実的に著しく困難であったのは、原告らを含む優生手術の対象者が当時置かれていた客観的な状況によるものであったといえる。 原告らが、権利行使の前提となる情報や権利行使のための相談機会へのアクセスが著しく困難な状況に置かれていたのは、被告国において、対象者が手術の内容、実施の主体及び根拠等を認識することが困難な仕組みを構築し、このような仕組みの下で原告らに対する優生手術を実施したことのほか、旧優生保護法に基づく優生思想の普及等を目的とした各種の政策を継続したことによるものといえるから、原告らによる権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由は、被告国の違法行為及びこれに密接に関連する行為に起因するものであった。 そして、本来、憲法に基づき、すべての国民を個人として尊重し、その権利を擁護すべき国務大臣において、旧優生保護法が違憲であることが明白であるにもかかわらず に関連する行為に起因するものであった。 そして、本来、憲法に基づき、すべての国民を個人として尊重し、その権利を擁護すべき国務大臣において、旧優生保護法が違憲であることが明白であるにもかかわらず、高度の身体的な侵襲を伴う原告らへの優生手術を実施させるに至り、それによって原告らの憲法上保障されている権利を侵害したことを踏まえると、被告国 が20年の経過によって損害賠償義務を免れるということは、著しく正義・公平の理念に反する。 原告らの置かれた状況に照らせば、平成30年1月末頃ないし同年6月頃に権利行使の前提となる情報を知った原告らについては、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由は、原告らが関係者の支援を得て、法律相談を実現した時(甲4につき平成30年8月21日、甲5につき同年7月5日)まで解消しなかったものというべきである。原告らが本件訴訟を提起したのは平成30年12月17日であるから、原告らは、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消した時から6か月内に権利行使をしたということができ、前記特段の事情があるから、民法724条後段の規定にかかわらず、原告らの損害賠償請求権が消滅したということはできない。 第3 当裁判所の判断 1 要旨⑴ 旧優生保護法の強制優生手術に関する規定が明白に憲法に違反すること原告らが優生手術(強制優生手術)を受けた根拠である旧優生保護法4条以下の規定は、精神病や精神薄弱などの特定の疾患に罹っている者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であるという理由により、優生手術を受けることを強制する仕組みを定めたものである。 精神病や精神薄弱などの特定の疾患に罹っているからといって、そのことのみで「その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うこと う理由により、優生手術を受けることを強制する仕組みを定めたものである。 精神病や精神薄弱などの特定の疾患に罹っているからといって、そのことのみで「その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要である」という理由を付けて、優生手術(生殖を不能にする手術)を受けることを強制するのは、そのような制度の目的が、個人の尊重という日本国憲法の基本理念に反し、不合理であることは明らかであって、その手段も、都道府県優生保護審査会の審査による適否の決定という行政の決定に基づく公権力の行使により、本人の同意を得ないまま、高度の身体的侵襲を伴い、不可逆的に生殖を不能にする優生手術を強制するのであるから、手段の合理性もないことが明らかである。 このような旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、日本国憲法13条が、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めているにもかかわらず、子を産み育てる自由及びその意に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害するものであって、特定の疾患に罹っている者に対し、憲法13条が示した個人の尊重の理念に反し、憲法13条により保障される自由及び幸福追求に対する国民の権利を侵害したものであり、昭和23年7月13日の旧優生保護法立法当時から、明白に憲法13条に違反していた。 また、日本国憲法14条1項は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定めているにもかかわらず、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、特定の疾患に罹っている者に対し、そのことのみを理由として法的な差別的取扱い 的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と定めているにもかかわらず、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、特定の疾患に罹っている者に対し、そのことのみを理由として法的な差別的取扱いをしたものであって、その区別が事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくとは到底認められないから、憲法14条1項が示した法の下の平等の原則に反する差別をしたものであり、旧優生保護法の立法当時から、明白に憲法14条1項に違反していた。 更に、日本国憲法24条2項は、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と定めているにもかかわらず、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、特定の疾患を有する者に対し、合理的な根拠もないのに優生手術を強制して生殖を不能にし、子を産み育てる機会を強制的かつ不可逆的に失わせるものであり、国会の合理的な立法裁量の範囲を逸脱し、家族に関する事項に関して、個人の尊厳に立脚しない法律を制定したものであって、旧優生保護法の立法当時から、憲法24条2項にも明白に違反していた。 ⑵ 旧優生保護法の立法が国家賠償法上違法であること旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、法制度として、特定の疾患に罹っ ている者に対し、個人の尊厳という日本国憲法の基本理念に基づき、疾患があったとしても個人として尊重されるべきであるのに、疾患のみを理由として、合理的な根拠もないのに優生手術を強制して生殖を不能にする仕組みを作ったものであり、このような法律の規定は、優生手術を強制される者について、子を産み育てる自由や幸福追求に対する国民の権利を侵害し、疾患を理由として合理的な根拠もなく法の下の平等に反する差別 組みを作ったものであり、このような法律の規定は、優生手術を強制される者について、子を産み育てる自由や幸福追求に対する国民の権利を侵害し、疾患を理由として合理的な根拠もなく法の下の平等に反する差別をしたものであり、立法当時から憲法13条、14条1項、24条2項に明白に違反していた。 国会議員は、このように明らかに日本国憲法に違反し、憲法によって保障された国民の基本的人権を明白に侵害する強制優生手術の仕組みを持った法律を立法し、その法律の適用により原告らに強制的に優生手術を受けさせたのであるから、この国会議員の立法行為は、立法当時の時代状況を踏まえても、国家賠償法1条1項の適用にあたり、少なくとも過失によって違法に原告らに損害を加えたと評価されるものである。 ⑶ 民法724条後段の20年の期間経過により権利が消滅しないこと当裁判所は、最高裁判所の判例とは異なり、法の基本原則である正義・公平の観点から考えて、また、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限について、「不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定めた民法724条後段の規定が、前段に「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と規定したのを承けて「同様とする」と規定したことからも、民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償の請求権は、不法行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅することを定めた規定であると解する。 被告国は、国会議員による旧優生保護法の立法により、精神病や精神薄弱など特定の疾患を有する障害者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であるという理由を付けて、同意もなく高度の身体的な侵襲を伴う不妊手術を の立法により、精神病や精神薄弱など特定の疾患を有する障害者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であるという理由を付けて、同意もなく高度の身体的な侵襲を伴う不妊手術を強制し、法の下の平等の原則に反する不当な差別を行い、個人の尊厳と いう憲法の基本原理に反して子を産み育てる自由を奪った上、法制定後も長期間、同法に基づく行政の施策として優生思想の普及や優生手術の拡大を目的とした政策を継続して、優生手術の対象となる障害者に対する差別や偏見を正当化・固定化し、優生手術の被害者が基本的人権の侵害を認識して損害賠償請求などの権利行使をすることを著しく困難にしてきた。 その上、旧優生保護法に基づく強制優生手術の実施は、被告国が、憲法に違反して無効であるはずの旧優生保護法を制定して国民に公布し、適法な公権力の行使であるような形式で強制されたのであって、このような被告国の行為が、国家賠償法上の違法な行為であることを知ることは極めて困難であり、平成8年改正で強制優生手術に関する規定が削除されるまでに旧優生保護法の制定から70年近く経ち、優生手術を受けた者のうち約98%は手術の時から20年経過していたため、民法724条後段に20年の経過による損害賠償請求権の消滅を定めた規定があることからも、権利行使をすることは実際上不可能であったと認められる。 被告国による憲法違反の法律の制定や憲法違反の無効な法律に基づく政策の推進といった違法行為によって強制優生手術を受ける損害を加えられた原告らにとって、これによる損害賠償の請求権を行使することは、客観的に見ても不能又は著しく困難であったと認められる。そのような原告らが、平成30年1月末頃ないし同年6月頃に権利行使の前提となる情報を知り、その上で法律相談をして、権利行使が可能 使することは、客観的に見ても不能又は著しく困難であったと認められる。そのような原告らが、平成30年1月末頃ないし同年6月頃に権利行使の前提となる情報を知り、その上で法律相談をして、権利行使が可能となったといえる時から6か月以内に本件訴訟を提起し、被告国の国家賠償責任を追及したのである。このような原告らに対し、優生手術の時から20年の期間が経過しているからといって、憲法に違反する法律を制定し、法の運用という適法であるかのような外形の下に、障害者に対する強制優生手術を実施・推進して、法の下の平等に反する差別を行い、子を産み育てる自由を奪い、同意のない不妊手術をして身体への重大な侵襲を強制するという重大な人権侵害の政策を推進してきた被告国が、民法724条後段の20年の期間経過による損害賠償請求権の消滅の主張をすることは、民法2条に定める個人の尊厳という解釈基準に照らし、また、法の 基本原則である正義・公平の観点からみても、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と定めた民法1条2項の基本原則に反するものであり、「権利の濫用は、これを許さない。」と定めた民法1条3項の適用上、権利の濫用にあたるといえる。 被告国が、民法724条後段の規定により原告らの損害賠償請求権が消滅したと主張することは、民法1条3項により、権利の濫用として許されないから、原告らの損害賠償請求権は、優生手術の時から20年権利を行使しなかったからといって、時効によって消滅することはない。 仮に、民法724条後段の規定について、最高裁判所の判例に従って、除斥期間を定めたものと解したとしても、上記の事情からすれば、被告国が20年の経過によって損害賠償義務を免れるということは著しく正義・公平の理念に反する上に、原告らは、権利行使を客観 判例に従って、除斥期間を定めたものと解したとしても、上記の事情からすれば、被告国が20年の経過によって損害賠償義務を免れるということは著しく正義・公平の理念に反する上に、原告らは、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消した時から、6か月以内に権利行使をしていることから、除斥期間の適用を制限するのが相当であり、民法724条後段の規定にかかわらず、原告らの損害賠償請求権が消滅したということはできない。 ⑷ 原告らの損害について原告らは、長年にわたり憲法に違反する違法な優生手術による損害賠償請求権を行使することができない状況に置かれ、そのため現時点で優生手術が行われた当時の損害額を算定することは、相当難しい状況にある。そして、強制優生手術を受けたことによる原告らの精神的苦痛は、不可逆的に生殖を不能とされたことにより、生涯にわたり、子を産み育てる喜びを奪われ、不良な子孫の出生をもたらす存在という不当な差別の下に生きて来なければならなかった精神的苦痛である。旧優生保護法に基づく強制優生手術の実施は、憲法により保障された法の下の平等に反する差別であり、被告国による重大な人権侵害であったにもかかわらず、平成8年改正により旧優生保護法に基づく強制優生手術の制度が廃止された時もその後も、被告国による人権侵害に対する謝罪や被害補償などの権利救済はされなかった。 原告らは、旧優生保護法に基づく強制優生手術がされたことによる精神的苦痛を長年にわたり受け、その精神的苦痛は、人権侵害に対する被告国による謝罪や補償などの権利救済がされなかったことによっても大きくなり、そのことが、本件訴え提起の理由となったとも考えられる。 以上の事実を総合すれば、強制優生手術を受けた原告らの精神的苦痛に対する慰謝料は、優生手術を受けた時から なかったことによっても大きくなり、そのことが、本件訴え提起の理由となったとも考えられる。 以上の事実を総合すれば、強制優生手術を受けた原告らの精神的苦痛に対する慰謝料は、優生手術を受けた時から本件訴え提起に至るまでの精神的苦痛を全体として評価した上で、本件訴えの提起時を基準として評価算定することが、本件の事実関係に基づく原告らの損害の適切な算定に資すると考えられる。 以上の観点から、憲法に違反する旧優生保護法に基づく強制優生手術を受け、その後本件訴え提起に至るまでの原告らの精神的苦痛を評価すれば、原審同様、原告らの精神的苦痛に対する慰謝料は、訴え提起時点において1500万円と評価するのが相当であり、弁護士費用150万円を加えた1650万円を原告らの損害額と認めるのが相当である。 このように算定した原告らの損害額は、優生手術を受けた時から訴え提起までの時の経過も考慮し、その間の精神的苦痛も評価したものであるから、遅延損害金は訴状送達日の翌日から付するのが相当である。 2 旧優生保護法の強制優生手術に関する規定が明白に憲法に違反すること当裁判所は、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定は、法制度として、特定の疾患に罹っている者に対し、個人の尊厳という日本国憲法の基本理念に基づき、疾患があったとしても個人として尊重されるべきであるのに、疾患のみを理由として、合理的な根拠もないのに優生手術を強制して生殖を不能にする仕組みを作ったものであり、このような法律の規定は、優生手術を強制される者について、自由や幸福追求に対する国民の権利を侵害し、疾患を理由として合理的な根拠もなく法の下の平等に反する差別をしたものであり、立法当時から憲法13条、14条1項、24条2項に明白に違反していたものと判断する。その理由は、原判決「事実及び理由」 、疾患を理由として合理的な根拠もなく法の下の平等に反する差別をしたものであり、立法当時から憲法13条、14条1項、24条2項に明白に違反していたものと判断する。その理由は、原判決「事実及び理由」第4の1⑶の説示及び前記1⑴の要約のとおりである。 3 旧優生保護法の立法が国家賠償法上違法であること国会議員は、このように明らかに日本国憲法に違反し、憲法によって保障された国民の基本的人権を明白に侵害する強制優生手術の仕組みを持った法律を立法し、その法律の適用により原告らに強制的に優生手術を受けさせたのであるから、この国会議員の立法行為は、立法当時の時代状況を踏まえても、国家賠償法1条1項の適用にあたり、少なくとも過失によって違法に原告らに損害を加えたものと評価されるものである。 4 民法724条後段の20年の期間経過により権利が消滅しないこと最高裁判所の判例は、民法724条後段の規定は除斥期間を定めたものであり、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用であるという主張はそれ自体失当であると判示している。しかし、当裁判所は、最高裁判所の判例とは異なり、法の基本原則である正義・公平の観点から考えて、また、不法行為による損害賠償請求権の期間の制限について、「不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定めた民法724条後段の規定は、前段に「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と規定したのを承けて「同様とする」と規定したことからも、不法行為による損害賠償の請求権が、不法行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅することを定めた規定であって、消滅時効とは異なる除斥期間を定めたものではないと解する。その理由 とからも、不法行為による損害賠償の請求権が、不法行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅することを定めた規定であって、消滅時効とは異なる除斥期間を定めたものではないと解する。その理由は、次のとおりである。 不法行為制度の究極の目的は損害の公平な分担を図ることにあり、公平が同制度の根本理念である。これを民法724条後段の規定についていうと、不法行為に基づく損害賠償請求権の権利者がこの規定に定める期間内に権利を行使しなかったが、その権利の不行使について義務者の側に責められるべき事由があり、当該不法行為の内容や結果、双方の社会的・経済的地位や能力、その他当該事案における諸般の事実関係を併せ考慮すると、この期間経過を理由に損害賠償請求権を消滅させることが前記公平の理念に反すると認めるべき特段の事情があると判断される場合には、 なお同請求権の行使を許すべきである。なぜなら、このような特段の事情がある場合にまで、それを顧慮することなく、単に期間経過の一事をもって損害の分担の実現を遮断することは、その限りにおいて、前記不法行為制度の究極の目的を放棄することになるからである。そして、この理は、国家賠償法に基づく損害賠償請求についても、そのまま適用されるべきものである(同法4条)。 また、民法724条の文意からすれば、後段の規定は時効と解するのが自然な解釈であり、民法724条後段の規定を時効と解することにより、個々の事案において、時効の援用が権利濫用や信義則違反に該当すると認められる場合には、その援用の効力を否定するという既に確立した手法を用いることができるのであって、損害賠償請求権という個別性の強い事案において、当該事案に応じた社会的に妥当な解決を導くことができる。 したがって、民法724条後段の規定は、不法行為による た手法を用いることができるのであって、損害賠償請求権という個別性の強い事案において、当該事案に応じた社会的に妥当な解決を導くことができる。 したがって、民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権が、不法行為の時から20年権利を行使しないときは、時効によって消滅することを定めた規定と解するのが相当である。 仮に、民法724条後段の規定が除斥期間を定めたものと解したとしても、前記のように、不法行為に基づく損害賠償請求権の権利者がこの規定に定める期間内に権利を行使しなかったが、その権利の不行使について義務者の側に責められるべき事由があり、当該不法行為の内容や結果、双方の社会的・経済的地位や能力、その他当該事案における諸般の事実関係を併せ考慮すると、この期間経過を理由に損害賠償請求権を消滅させることが不法行為制度の根本理念である公平の理念に反すると認めるべき特段の事情があると判断される場合には、期間経過の一事をもって直ちに権利者の権利行使を遮断すべきではなく、当該事案における諸事情を考究して具体的正義と公平にかなう解決に努めるべきものであって、そのような特段の事情がある場合には、除斥期間の適用をすべきではないのである。 以上は、最高裁判所の平成10年判決における河合伸一裁判官の意見及び反対意見並びに平成21年判決における田原睦夫裁判官の意見にも示された見解である。 当裁判所は、前記のとおり、民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権が、不法行為の時から20年権利を行使しないときは、時効によって消滅することを定めた規定と解した上で、原判決「事実及び理由」第4の2⑶イ~オの認定事実と説示及び前記1⑶の要旨のとおり、被告国が、民法724条後段の規定により原告らの損害賠償請求権が消滅したと主張することは とを定めた規定と解した上で、原判決「事実及び理由」第4の2⑶イ~オの認定事実と説示及び前記1⑶の要旨のとおり、被告国が、民法724条後段の規定により原告らの損害賠償請求権が消滅したと主張することは、民法1条3項により、権利の濫用として許されないから、原告らの損害賠償請求権は、優生手術の時から20年権利を行使しなかったからといって、時効によって消滅することはないものと判断する。 なお、国会は、平成8年改正により、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定を削除し、その改正法案の提案理由及び内容について、法案提出者である衆議院厚生委員長は、「本案は、現行の優生保護法の目的その他の規定のうち不良な子孫の出生を防止するという優生思想に基づく部分が障害者に対する差別となっていること等にかんがみ、所要の規定を整備しようとするもの」であると説明していることは認められる(乙A28~31)。 しかし、平成8年改正の趣旨は、被告国ないし国会において、旧優生保護法の強制優生手術に関する規定が憲法に違反する無効な規定であって、この規定に基づき既に実施された強制優生手術が、憲法に違反する人権侵害であったことまで認めたものではない。そうすると、平成8年改正により強制優生手術に関する規定が削除され、その前提として、被告国ないし国会によって、旧優生保護法による障害者に対する差別への反省が示されたとしても、旧優生保護法によって優生手術を強制された者にとって、その被害の救済を求めて損害賠償を請求する権利行使について、客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消したと認めることは到底できない。 被告国は、平成31年4月24日、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(一時金支給法)を制定し、旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者を対象 到底できない。 被告国は、平成31年4月24日、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(一時金支給法)を制定し、旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者を対象に、一律に320万円の一時金を支給する制度を実施しており、このことは、旧優生保護法に基づく優生手術を受けた被害者の救済 に、ある程度の役割は果たすものと考えられる。 しかし、原告らは、一時金支給法の制定前に本件訴えを提起しているから、少なくとも一時金支給法の制定前に訴えを提起した原告らに対する関係では、被告国が一時金支給法を制定したことは、民法724条後段の規定による損害賠償請求権の消滅の主張が権利の濫用にあたるという判断を左右しないというべきである。 また、仮に民法724条後段の規定が除斥期間を定めたものと解したとしても、上記事実関係によれば、原判決「事実及び理由」第4の2⑶、⑷の説示のとおり、被告国が20年の経過によって損害賠償義務を免れるということは、著しく正義・公平の理念に反する上に、原告らは、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消した時から、6か月以内に権利行使をしていることから、除斥期間の適用を制限するのが相当である。 したがって、民法724条後段の規定が除斥期間を定めたものと解したとしても、原告らの損害賠償請求権が消滅したということはできない。 5 原告らの損害について前記1⑷のとおり、原告らが長年にわたって違法な優生手術による損害賠償請求権を行使できない状況に置かれ、現時点で優生手術が行われた当時の損害額を算定することが難しい上に、強制優生手術を受けたことによる原告らの精神的苦痛は、生涯にわたり、子を産み育てる喜びを奪われ、不良な子孫の出生をもたらす存在という不当な差別の下に生きて来なけ の損害額を算定することが難しい上に、強制優生手術を受けたことによる原告らの精神的苦痛は、生涯にわたり、子を産み育てる喜びを奪われ、不良な子孫の出生をもたらす存在という不当な差別の下に生きて来なければならなかった精神的苦痛である。 憲法に違反する被告国の人権侵害に対して謝罪や被害補償などの権利救済がされないことから本件訴えの提起に至った経緯も考慮すると、強制優生手術を受けた原告らの精神的苦痛に対する慰謝料は、訴え提起時までの精神的苦痛を時の経過も合わせて考慮した上で評価することが、適切な損害額の算定に資すると考えられる。 この観点から、旧優生保護法に基づく強制優生手術を受けた後、訴えの提起に至るまでの原告らの精神的苦痛を評価して、原告ら各自につき1500万円の慰謝料を認めるのが相当である。 したがって、原判決「事実及び理由」第4の3のとおり、原告らの精神的苦痛に対する慰謝料1500万円を認め、弁護士費用150万円を加えた1650万円を各原告の損害額とし、遅延損害金は訴状送達日の翌日から付することとする。 なお、原判決41頁16行目の「厚生大臣の違法行為(違法事由①)」を「前記1⑵のとおり、国会議員が、明らかに日本国憲法に違反し、憲法によって保障された国民の基本的人権を明白に侵害する強制優生手術の仕組みをもった法律を立法し、その法律の適用により原告らに強制的に優生手術を受けさせた違法行為」と改める。 6 結論被告国は、国家賠償法1条1項に基づき、原告らに対し、各1650万円の損害賠償とこれに対する訴状送達日の翌日である平成31年1月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 原判決が、原告らの請求を一部認容し、被告国に対して上記金額の支払を命じた部分は相当であり、被告 る平成31年1月8日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。原判決が、原告らの請求を一部認容し、被告国に対して上記金額の支払を命じた部分は相当であり、被告国の控訴は理由がない。 仙台高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官小林久起 裁判官鈴木桂子 裁判官山崎克人 別紙1「原告目録」は掲載省略
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