平成13(行ウ)27 行政処分の取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成14年5月31日 千葉地方裁判所 情報公開
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判決文本文4,121 文字)

主文 1 被告が,平成13年4月3日付で原告に対してした異議申立棄却決定(原処分・原告が平成9年5月14日にした公文書公開請求に対する「公文書不存在等通知書」〔平成9年5月27日付〕による処分)を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 1 原告の申立て(請求の趣旨)主文同旨の判決を求めた。 2 事案の概要本件は,原告の公文書公開請求に対する「公文書不存在等通知」について,被告がした異議申立棄却決定の取消訴訟である。なお,立証は,記録中の証拠関係目録記載のとおりである。 (1) 争いのない事実等原告は,千葉県内に住所を有する者である。また,被告は,旧千葉県公文書公開条例(平成12年千葉県条例第65号による廃止前のもの〔昭和63年千葉県条例第3号〕。以下「本件条例」という。)の「実施機関」として,その職員が職務上作成・収受した文書等について,同条例に基づく公開請求についてその可否を決定するべき立場にある。なお,本件条例の関係規定は,別紙のとおりである。 原告は,平成9年5月14日,千葉県監査委員に対し,本件条例に基づき,「平成4年度分の監査委員事務局の食糧費の支出に係る一切の資料」の公開請求(以下「本件公開請求」という。)をした。これに対し,被告は,同月27日付「公文書不存在等通知書」を原告に交付したが,この書面には,原告の公開請求については「不適合なため応じられません」としたうえ,その理由として,公開請求文書は「紛失のため不存在である。」と記載がされている(上記通知書による処分を,以下「本件原処分」という。)。 原告は,同年6月6日,本件原処分について異議申立てをしたところ,被告は,平成13年4月3日付で,異議申立棄却決定(以下「本件決定」という。)をし,その頃,原告にその旨の通知をしたと という。)。 原告は,同年6月6日,本件原処分について異議申立てをしたところ,被告は,平成13年4月3日付で,異議申立棄却決定(以下「本件決定」という。)をし,その頃,原告にその旨の通知をしたところ,原告は,同年6月27日,本件訴訟を提起した。 なお,本件決定にあたっては,本件条例13条1項の諮問手続がなされてはいない。 (当事者間に争いがない事実及び証拠〔甲第1号証ないし第4号証,乙第1,2号証〕によって認める。)(2) 争点ア原告の主張被告は,本件決定をするに際し,① 本件条例13条1項の諮問手続を経ていない違法があり,② 何らの理由も付していない点で,県民の県政に対する理解と信頼を深め,県政の公正な運営の確保と県民参加による行政の一層の推進を図るべきことを定めた本件条例1条にも違反する。 イ被告の主張本件決定にあたり,本件条例13条1項所定の諮問手続が必要であるのは,公開請求に対する「決定」について不服申立てがある場合である。ここにいう「決定」とは,「請求書を受理」(本件条例8条1項)したことを前提とする公開・非公開・部分公開の決定であって,本件原処分のような「不存在等通知」を含まないと解すべきである。 このことは,本件条例19条に基づく「監査委員が管理する公文書の公開に関する規程」(昭和63年監査委員告示第1号)3条1項が,本件条例8条1項の書面について公開・非公開・部分公開の決定と定めてその書式を明記する一方,同規程2条の2において,文書不存在の場合は請求の補正を求めるか請求を拒否できるとし,その書式を3条1項のものとは別のものとしていることからも明らかである。 本件では,被告が「不存在等通知」を発することによって,請求書の受理そのものを拒否している以上,これに対する不服申立てついては諮問手続を要しない。 のとは別のものとしていることからも明らかである。 本件では,被告が「不存在等通知」を発することによって,請求書の受理そのものを拒否している以上,これに対する不服申立てついては諮問手続を要しない。 また,本件条例13条1項の諮問手続の実際は,公文書の存在を前提として,非公開事由該当性の有無が論じられるものであるから,本件のような対象文書が不存在の場合にまで諮問手続を経る実質的な必要性に乏しい。 3 当裁判所の判断本件決定にあたり,被告が本件条例13条1項の諮問手続を経ていないことは,前示のとおりであるところ,当裁判所は,以下に説示するとおり,本件決定は本件条例13条1項に違反するものであると判断する。 (1) 被告は,公文書公開請求書が提出された場合,実施機関により「受理」されるときと「不受理」とされるときがあるところ,そのうち,実施機関によって「受理」がなされたときに限って本件条例8条1項所定の「決定」がなされるものであるから,「不存在等通知」によって本件公開請求を「不受理」とした本件原処分は上記決定にはあたらず,したがって,その異議申立手続について本件条例13条1項の適用がないと解すべきであり,被告が同条項所定の諮問手続を経ないで本件決定をしたことについて違法はないと主張する。 (2) しかしながら,本件原処分は,本件条例8条1項所定の「決定」にあたると解すべきであり,したがって,被告が同条例13条1項に定める諮問手続を経ないで本件決定をしたことは違法である。 アすなわち,法令の解釈は,その文言の通常の用語例に従って解釈されるのが一般であるところ,「申請書の受理」は,「申請書の提出を受けたこと」と考えることができ,被告所論(実施機関によって適式・適法な申請書の提出があったとの判断がされた場合に限って,「申請書の受理」にあたるとする るところ,「申請書の受理」は,「申請書の提出を受けたこと」と考えることができ,被告所論(実施機関によって適式・適法な申請書の提出があったとの判断がされた場合に限って,「申請書の受理」にあたるとするもの)のように解するのは用語例として無理がある(ちなみに,行政手続法7条によると,行政行為の申請が行政庁に到達した場合,その申請行為に不備があるときは,行政庁としては補正を求めるか,申請の拒否処分等をするべきであるとされており,被告所論のような,「不受理」というような特別の措置をとる余地はないとされている。)。 また,本件条例には,公文書公開申請書の提出についての定め(7条)があるが,それ以後の手順としては,公開請求の許否処分が定められているほかに,「不受理」ないし「返戻」という別個の措置をとることを許容・予定した特別の規定は存在しない(乙第2号証参照。しかも,本件条例8条1項の「受理」を被告所論のように解釈するとすれば,公文書公開請求を受けた行政機関としては,請求を「受理」すべきでないと判断しさえすれば,定められた期間内に申請に応答する義務がないという不都合な結果を招来することにもなる。)。 そうすると,本件原処分は,本件条例8条1項に基づいて,本件公開請求に対してなされた「決定」であるということができる。被告所論は,本件条例8条1項の請求書の「受理」の意義を「請求書面の実施機関への到達」ではなく,「請求書面の提出」と「申請の前提条件を具備したという実施機関の認定行為」の双方を含むという誤った前提に立ったものであって,到底採用することができない。 なお,被告は,「監査委員が管理する公文書の公開に関する規程」の定めに照らせば,公開対象文書の「不存在等通知」は本件条例8条1項にいう決定に含まれないと解釈すべきであると主張する。しかし,証拠(乙 なお,被告は,「監査委員が管理する公文書の公開に関する規程」の定めに照らせば,公開対象文書の「不存在等通知」は本件条例8条1項にいう決定に含まれないと解釈すべきであると主張する。しかし,証拠(乙第2,3号証)によれば,上記規程は,本件条例19条(この条例の施行に関し必要な事項は,実施機関が定めるとするもの)を承けて定められたものであることが明らかであるが,「不存在等通知」が本件条例8条1項にいう決定に含まれるかどうかが上記規程の文言によって左右されるとする解釈,あるいは上記規程によって公文書公開請求についての「不受理」処分なるものが創設されたとする解釈は,本件条例19条の委任の範囲を逸脱するものであって採用することができない。 イ以上説示したとおり,本件原処分が本件条例8条1項所定の「決定」であるから,前示のとおり,本件条例13条1項所定の諮問手続を経ないでなされた本件決定が違法であることが明らかである。 被告は,本件決定に際し,諮問手続を経る実質的な必要性に乏しいとも主張するが,採用することができない。 よって,原告の本訴請求は,理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条に従い,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穗裁判官向井邦生裁判官今泉秀和は,転補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官園部秀穗(別紙)本件条例の関係規定(抄)第8条実施機関は,前条(公開請求の手続)に規定する請求書を受理したときは,当該請求書を受理した日から15日以内に,請求に係る公文書を公開するかどうかの決定をしなければならない。 2 実施機関は,前項の決定をしたときは,前条に規定する請求書を提出したものに対し,速やかに,書面により当該決定の内容を 15日以内に,請求に係る公文書を公開するかどうかの決定をしなければならない。 2 実施機関は,前項の決定をしたときは,前条に規定する請求書を提出したものに対し,速やかに,書面により当該決定の内容を通知しなければならない。 第13条実施機関は,第8条第1項の規定による決定について,行政不服審査法に基づく不服申立てがあった場合は,当該不服申立てを却下する場合及び当該不服申立てに係る公文書を公開しない旨の決定を取り消す場合を除き,速やかに …千葉県公文書公開審査会に諮問しなければならない。

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