【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 被告が、昭和五四年九月一〇日付でした原告の訴外株式会社元三に対する六二七五 万七二一
○ 主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨被告が、昭和五四年九月一〇日付でした原告の訴外株式会社元三に対する六二七五万七二一〇円の未収金債権の差押処分はこれを取消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨。 第二当事者の主張一請求原因 1 原告に対する課税及び差押の経過(一) 昭和四八年五月二日訴外A(被相続人。以下亡Aという。)が死亡したことによつて、原告他三名が亡Aの遺産を相続し、原告他二名は、法定の申告期限である同年一一月二日に、また相続人のうちBは、同年一〇月二九日に遺産分割協議未了のまま所轄芦屋税務署長に相続税申告書を提出した(以下本件申告ともいう)。 (二) その後、亡Aに永大産業株式会社から弔慰金(退職金)が支給されたので、原告らは昭和四九年四月二六日相続税の修正申告書を提出した。 (三) そして、原告らは、大阪国税局直税部資料調査課から相続税の申告につき調査をうけ、調査結果による修正申告の慫慂に応じて、昭和五〇年七月七日、遺産分割協議に基づく相続税の最終修正申告書を提出した(以下前記(二)の修正申告と併せて「本件修正申告」ともいう)。 (四) なお、前項の修正申告額について、訴外Cが死後認知され、相続人が一名増加したから、原告らは、昭和五二年一〇月二九日更正の請求書を提出し、昭和五二年一一月一〇日に相続税額の一部について減額更正された。 (五) 右最終の修正申告による原告の取得財産の総額は、二七億八二二一万六二七五円、債務及び葬儀費用の額七億二九九七万〇三七二円、差引純資産額は二〇億五二二四万五〇〇〇円、相続税額は一三億九四八三万四一〇〇円となつた。 (六) 原告の右相続による取得資産の主要なものは、左記各株式(以下本件各 儀費用の額七億二九九七万〇三七二円、差引純資産額は二〇億五二二四万五〇〇〇円、相続税額は一三億九四八三万四一〇〇円となつた。 (六) 原告の右相続による取得資産の主要なものは、左記各株式(以下本件各株式ともいう。)であり、その評価合計額は、右差引純資産額を超え、取得財産に対する比率でも九一パーセント強を占めていた。 (七) 原告は、相続税の当初申告時である昭和四八年一一月二日に一八七三万六九〇〇円を納付し、残税額のうち八億五〇〇〇万円について、所轄芦屋税務署長に相続税延納許可申請書を提出し、同申請は同年一二月一八日に許可された。右延納は一〇年の年賦であり、永大産業が納税保証を行つている。 (八) ところが、その後いわゆるオイルシヨツクに端を発したわが国経済の長期にわたる未曽有の大不況の結果、永大産業株式会社は、昭和五三年二月二〇日に会社更正の申立をして事実上倒産し、原告が取得していた同社並びにこれと同時に同様倒産もしくは閉鎖のやむなきに至つた右各関連会社の株式は、すべてほとんど無価値となつてしまつた。 (九) このため、原告は、延納許可後、一〇年年賦の内、第一回分から第三回分までは延納期限内に納付したが、第四回分については納付することができず、滞納となつた。そこで、所轄芦屋税務署長は昭和五三年二月一四日に延納不履行を理由として許可を取り消した。右許可取消しにより、第五回分から最終分までが滞納となつた。 (一〇) のみならず、被告は、原告が取得した相続財産の範囲を超えて(もとより、原告は換価可能な相続財産はすべて相続税及び換価に伴う譲渡所得税その他の納税に充てている)、原告が相続よりも前から有していた別表2の1に記載の債権(以下本件債権ともいう。)を含む固有財産(同財産を相続開始後に譲渡したことによる未収の売買代金債権を含む)に対しても、次 納税に充てている)、原告が相続よりも前から有していた別表2の1に記載の債権(以下本件債権ともいう。)を含む固有財産(同財産を相続開始後に譲渡したことによる未収の売買代金債権を含む)に対しても、次々に差押を行ない(その差押状況は別表1、2のとおりである。但し、処分予定価額の点は除く)(以下、本件各差押ともいう)、そのために、原告は、あらゆる事業活動を封じられているばかりでなく、日常生活にすら事欠くありさまである。 2 ところで、被告のなした前記差押は、以下に述べる通り、違法であるから取消さるべきである。すなわち、(一) そもそも、前記1の(六)に記載の本件各株式が、その後無価値化した原因は、わが国経済の基本的、構造的弱点として、客観的には相続開始前から厳然として存在していたものにほかならず、とりわけ住宅関連産業は、過当競争のうえに、需要が延び悩みの傾向を見せ始めていた。そして、実際にも、その後間もなく、これらの弱点や傾向が顕在化した本件においては、相続税評価の算出に際しても、当然このような事情が、評価を決める重要な一要素として、考慮さるべきであつた。また、右各株式が、いずれも転々流通の可能性のないいわゆる支配株で、しかもその多くは、非上場の株式であつたことも、看過さるべきではない。ところで、国税庁は、相続にかかる株式の評価方法について、基本通達を出し、これに基づき、一律の基準によつて株価を評価することとしているが、右基本通達の内容そのものが適正妥当なものではないのみならず、前述の如き事情のある本件においては、原告の相続した本件各株式について、右基本通達に基づいてこれを評価することは違法不当である。しかるに、所轄芦屋税務署の担当係官は、本件各株式の評価について、部内に示達されているいわゆる相続財産評価に関する基本通達に示されている画一 右基本通達に基づいてこれを評価することは違法不当である。しかるに、所轄芦屋税務署の担当係官は、本件各株式の評価について、部内に示達されているいわゆる相続財産評価に関する基本通達に示されている画一的な基準を唯一無二の絶対的なものとして原告に押しつけ、専門的知識がなく、担当係官らを信頼している原告は否応なくこれに従わざるを得なかつた。 しかし、このような状況のもとでなされた原告らの前記各申告は、いずれも税務係官の誤つた指導による重大かつ明白な錯誤に基づくものであり、他に適切な救済方法がなければ、納税義務者の利益を著しく害することが明らかであるので、当然無効と解さるべきである(最高裁昭和三九年一〇月二二日判決民集一八巻八号一七六二頁)。したがつて、右当然無効の申告に基づいて確定したとされる前記1の(五)に記載の原告の相続債務は、もともと不存在である。 よつて、本件各差押は、租税債務がないのに差押えた違法がある。 (二) 次に、災害被害者に対する租税の減免・徴収猶予等に関する法律(以下災害減免法という)第四条は、「相続税・・・・の納税義務者で災害により相続・・・・に因り取得した財産について相続税法・・・・の規定による申告書の提出期限後に甚大な被害を受けた者に対しては、命令の定めるところにより、被害があつた日以後において納付すべき相続税・・・・のうち、被害を受けた部分に対する税額を免除する」旨を規定しており(なお同法施行令第一一条参照)、オイルシヨツクに端を発した我が国経済の長期にわたる大不況の結果、永大産業が倒産し、同社並びに右各関連会社の株式がほとんど無価値となつてしまうというが如き事態は、一般人の予期することができない社会経済事情の急変による大巾かつ異常な株価の減価であつて、社会通念上災害による被害と何ら変るところがないから、右規定は、当然 無価値となつてしまうというが如き事態は、一般人の予期することができない社会経済事情の急変による大巾かつ異常な株価の減価であつて、社会通念上災害による被害と何ら変るところがないから、右規定は、当然本件の如き場合にも準用もしくは類推適用されるべきである。 仮に、右規定の準用ないし類推適用が困難であり、また相続税の課税範囲や税率を如何に定めるかは、基本的には立法政策に委ねられているとしても、相続税が相続財産額を上廻る課税を規定することによつて、相続制度そのものを事実上否定するが如きことは、とうていありうるべきことではないから、事後的にもしろ、課税の対象とされていた経済的な利益が、納税者本人の責には帰し得ない事情で失なわれ、課税をそのまま維持することが、正義公平の観念に反すると認められる場合には、課税権者は、右法条の精神ないしは条理に従つて、何らかの是正措置を講ずべきであり、その措置をとらないで徴税を強行することは許されず、あえて徴収した租税は、公法上の不当利得として返還すべきであると解される(最高裁昭和四九年三月八日判決民集二八巻二号一八六頁参照)。 そして、右災害減免法の準用もしくは類推適用ないしは、これらの法条の精神や条理に従つて、是正措置を講ずれば原告には最早納付すべき相続税はない(たとえば、災害減免法四条、同法施行令一一条によれば、原告の納付すべき相続税額は、四億一八二一万六七〇〇円〔1、394、834、100×615、330、000÷2、052、254、000=418、216、700〕に減免される筈である。原告は、利子税も含めてすでに一二億三〇〇〇万円余の相続税を納付しているので、もはやこれ以上納付すべき相続税はない。)から、前記差押えは違法である。 (三) 仮に、然らずとするも、その後何回かにわたる原告の相続税の納付により、その 三〇〇〇万円余の相続税を納付しているので、もはやこれ以上納付すべき相続税はない。)から、前記差押えは違法である。 (三) 仮に、然らずとするも、その後何回かにわたる原告の相続税の納付により、その相続税本税は、昭和五七年八月三一日現在、二〇〇〇円を残すのみとなつているにも拘らず、被告は今日に至るまで、国税通則法六三条所定の減免措置すら講ずることなく、依然として年率一四・六パーセントの高率の延滞税徴収を強行する姿勢を崩さず、原告の固有財産も含めた別表12に記載の財産に対する本件各差押を維持している。このような差押は、明らかに超過差押であつて違法というべきである。なお、被告が本件差押後の納付、充当額を全く考慮に入れていない点も、超過差押の観点からは問題とすべきである。 (四) 国税通則法六三条四項所定の延滞税の減免措置は、徴税当局がすみやかに公売等を進めなかつたことを考慮した措置であるから、延滞税額を確定させるに当つては、差押等によつて充足せられていた部分に関する限り、無条件かつ例外なしに認められるべき取り扱いであるにも拘らず、このような措置がとられていないのは違法である。そして、右措置がとられれば、延滞税は大巾に減少し、本件差押は超過差押となつて、違法というべきである。 (五) 相続税の連帯納付責任を定めた相続税法三四条一項は、「当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として」と規定しており、その立法趣旨は、各相続人には固有財産まで吐き出して他の相続人の相続税を納付する責任はないという趣旨であるから(相続により取得した財産の価額から、相続税法一三条所定の債務のほか、当該相続人の相続税額や相続に関する登録免許税まで控除できるのもこの理による)、同条項にいう「利益」とは、当然民法七〇三条所定の不当利得の場合のそれと同様に現存 ら、相続税法一三条所定の債務のほか、当該相続人の相続税額や相続に関する登録免許税まで控除できるのもこの理による)、同条項にいう「利益」とは、当然民法七〇三条所定の不当利得の場合のそれと同様に現存する現実の利益を意味する。したがつて、その責任は、本件債権のような相続財産ではない原告の固有財産には及ばないにもかかわらず、これを差押えたことは違法である。 (六) 相続税の租税債権に基づいて納税義務者の財産を差押える場合には、まず相続財産から差押えるべきであり、不足する場合にのみ固有財産に及ぶべきものである(国税徴収法五一条一項)。しかるに、本件差押に係る原告の株式会社元三に対する未収金債権六二七五万七二一〇円は相続財産ではなく、原告の固有財産である。したがつて、本件差押は、右条項に反し、違法である。 3 以上いずれにしても、前記各差押は違法であるから原告は、取敢えず、別表2の1に記載の差押につき、異議申立をし、これが棄却されたので、さらに国税不服審判所に審査請求をしたところ、昭和五六年一二月八日付で棄却の裁決があり、同裁決は、同月二〇日頃、原告に送達された。 4 よつて、原告は、本訴において、別表2に記載のうち、番号1の昭和五四年九月一〇日付でなされた原告の訴外株式会社元三に対する六二七五万七一一〇円の未収金債権の差押処分の取消を求める。 二請求原因に対する被告の認否 1 請求原因1一の(一)ないし(六)の事実(但し、原告の取得資産中、同(六)の株式の取得率は九一パーセント強ではなく、五八パーセントである)及び同(七)の事実は認める。 2 同1の(八)のうち、永大産業が昭和五三年二月二〇日会社更生の申立てをしたことは認めるが、その余の事実は不知。 3 同一の(九)は認め、同(一〇)のうち被告が別表12の通りの差押をしたことは認め、その余は不知 )のうち、永大産業が昭和五三年二月二〇日会社更生の申立てをしたことは認めるが、その余の事実は不知。 3 同一の(九)は認め、同(一〇)のうち被告が別表12の通りの差押をしたことは認め、その余は不知。 4 同2の冒頭及び(一)は争う。 5 同2の(二)のうち、災害減免法第四条に原告主張どおりの規定があることを認め、その余は争う。 6 同2の(三)のうち原告の納付すべき相続税本税が昭和五七年八月三一日現在二〇〇〇円となつたことは認めるが、その余は争う。 7 同2の(四)ないし(六)は争う。 8 同3のうち、差押が違法であるとの点は争うが、その余は認める。 三被告の主張 1 仮に、原告主張の相続税の課税の過程に、原告主張の瑕疵があつたとしても、それと滞納処分とは、それぞれ独立の法律効果を目的とする別個の処分であるから、差押処分に違法がない限り、課税処分の瑕疵を理由に、差押処分の取消を求めることは許されない。 2 原告のした本件相続税の申告は、無効ではない。 (一) 原告の本件相続税の申告書ないし修正申告書は、いずれも原告の自主的な判断に基づいて作成され、かつ、任意に提出されたものであつて、被告の担当係官が原告らに対し、本件株式評価につき、誤つた指導をし、これに従うことを強要したことはない。 (二) 次に、納税義務者が、申告ないしは修正申告について、錯誤による無効を主張できるのは、申告書の記載内容について、その錯誤が客観的に明白かつ重大であつて、更正の請求という所得税法の定めた過誤是正以外の方法による是正を許さないとすれば、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合に限られる(最高裁昭和三九年一〇月二二日判決・民集一八巻八号一七六二ページ)ところ、右の「申告書の記載内容について、その錯誤が客観的に明白」であるとは、申告ないしは修 められる特段の事情がある場合に限られる(最高裁昭和三九年一〇月二二日判決・民集一八巻八号一七六二ページ)ところ、右の「申告書の記載内容について、その錯誤が客観的に明白」であるとは、申告ないしは修正申告の時点において、減額更正すべき事情が客観的に明白であることをいうものと解される。 ところで、相続税法二二条は、相続財産の価格は、特別に定める場合を除いて、当該財産の取得時における時価による旨定めているのみで、同法は、株式の時価に関する評価方法をなんら定めていないのである。そこで、国税庁において基本通達を定め、その評価基準に従つて各税務署が統一的に株式の評価をし、課税事務を行つている。そして、上場株式の評価については、基本通達一六九に定められているところ、右通達が、上場株式の評価について、証券取引所の公表する課税時期(相続開始日)の最終価格、または、課税時期(相続開始日)の属する月以前三か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)のうち、最も低い価額によつて評価することとしているのは、一時的に騰貴した株価をもつて評価額とするのを避けようとする趣旨である。また、最終価格の月平均額を三か月に限つた趣旨は、仮に相続開始後の平均価格によることとした場合には、株価が恣意的に操作される恐れがあり、弊害が生ずるからである。そして、右基本通達による評価方法に基づいて株式の評価を行うことが、相続税の課税の公平を期する所以であるとの考えに基づき、これが一般に是認されていたところ、本件において、原告が相続によつて取得した永大産業株式会社の株価は、昭和四八年五月二日(相続開始の日)の最終価格が七〇八円、同年三月ないし五月の最終価格の月平均額は、それぞれ七二四・八円、六九四・七円、六九八・五円であるから、原告の右株式の申告価格六四 の株価は、昭和四八年五月二日(相続開始の日)の最終価格が七〇八円、同年三月ないし五月の最終価格の月平均額は、それぞれ七二四・八円、六九四・七円、六九八・五円であるから、原告の右株式の申告価格六四五円は妥当な評価といえる。このように、本件申告ないしは本件修正申告の基礎となつた株式の評価方法は、前記基本通達一六九号にそつたもので、右評価方法が明らかに誤りであるとはいえないのであるから、本件申告ないしは、本件修正申告の時点において、減額更正すべき事情が客観的に明白であつたということもいえない。 したがつて、本件申告ないしは本件修正申告が無効であると認めることはできないのである。 3 本件に災害減免法四条の適用はない。 いわゆるオイルシヨツク等の経済事情の変化が災害減免法一条の災害に当たらないことは、同条が列記している事由から明らかであるから、原告主張の株価の下落については、右同法の適用のないことはいうまでもない。また、同法四条は、災害被害者に対する税額を免除する方法について、「・・・・命令の定めるところにより、・・・・税額を免除する。」と規定して、命令の定めるところに委ねているところ、同法施行令(昭和二二年政令第二六八号)一一条二項は、「法第四条の規定の適用を受けようとする者は、その旨、被害の状況及び被害を受けた部分の価額を記載した申請書を、災害のやんだ日から二か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。」と規定しているのであるから、災害被害者が災害による税額の免除を受けるためには、右手続を履践することを要するのである。したがつて、この手続を履践することなく、訴訟において、直接税額が免除さるべき事由が存したので免除されているとして、租税債務不存在の主張をすることは許されないものといわなければならないのであり、この点に関する原告 の手続を履践することなく、訴訟において、直接税額が免除さるべき事由が存したので免除されているとして、租税債務不存在の主張をすることは許されないものといわなければならないのであり、この点に関する原告の主張は、その前提において失当である。 なお、原告は、最高裁昭和四九年三月八日判決(民集二八巻二号一八六ページ)を引用して、一旦課税の対象とされた経済的利益が後日失なわれた場合には、課税措置が変更されなくても、租税債務は存在しないものと解すべきである旨主張する。 しかしながら、同判決の事案は、課税の対象とされた金銭債権が後日貸倒れによつて回収不能となつたというものであつて、要するに、権利確定主義のもとにおいて、金銭債権の確定的発生の時期を基準として所得税を課するのは、現実収入がなくても、現実収入のあることを予定して、これを前提に未必的所得に対して課税するというものであるから、その後に債権が貸倒れによつて回収不能となつた場合には、先の課税は、その前提を失い、結果的に所得なきところに課税したものということになるので、何んらかの是正を要するということに基づくのである。これに対して、本件においては、原告は、本件相続時、本件申告ないしは本件修正申告に係る評価額相当の株式を取得したのであり、そして、この評価額相当の株式を取得したことに対して課税をしているのであるから、右最高裁判例とは、事案を異にし、何んらかの是正をしなければならない事情にはないのであり、原告の主張には理由がない。 4 超過差押について被告のした別表12の差押は、超過差押ではない。一般的に、「超過差押」であるか否かは、差押財産の見積価額(債権の実質的価額は、第三債務者の資力によつて定まるものであるから、名目的な価額、との趣旨ではない)と徴収すべき国税(延滞税等の附帯税も当然含まれる)の額と 押」であるか否かは、差押財産の見積価額(債権の実質的価額は、第三債務者の資力によつて定まるものであるから、名目的な価額、との趣旨ではない)と徴収すべき国税(延滞税等の附帯税も当然含まれる)の額とを比較して判定するものであり、仮に、超過額が生じた場合でも、その超過額が過大でない限り、直ちには、超過差押として違法とはならないのである。しかも、この超過の事実が、差押処分後に発生したのであれば、それは、処分後の事情として、差押処分を違法ならしめるものではない。 本件において、本件債権差押日前日の昭和五四年九月九日現在における本件相続に係る原告の納付すべき国税は、総計一一億七九〇七万〇五〇七円である。その内訳は、別表3の(A)の本税三億六一五一万五〇三二円及び(E)の延滞税一億二六四万一七九二円(これは、昭和五四年九月九日現在における本税収納未済額の右(A)に対する同日現在で仮計算したところの延滞税額である。 )、別表4の(B)の延滞税四九三万二二〇〇円、別表5の(C)の利子税三九二七万円、別表6の(D)の利子税八四一万五〇〇〇円、並びに、連帯納付責任額六億六二二九万六四八三円の合計額である。なお、別表3の分は、芦屋税務署長が、昭和五三年二月一四日、延納不履行を理由として延納許可を取消したことによる第五回分ないし第一〇回分の合計額(八五〇〇万円×六)であり、また、別表4の分は、右第四圓分に係る延納分である。 昭和五四年九月九日現在における本件相続に係る原告の納付すべき国税を徴収するために差押をした差押年月日、差押財産及び同財産の処分予定価額は、別表1のとおりであり、差押財産の処分予定価額の合計額は九億三二五〇万七二六四円である。 しかるに、昭和五四年九月九日、右差押財産を公売したとしても、なお徴収すべき国税に不足すること二億四六五六万三二四三円 おりであり、差押財産の処分予定価額の合計額は九億三二五〇万七二六四円である。 しかるに、昭和五四年九月九日、右差押財産を公売したとしても、なお徴収すべき国税に不足すること二億四六五六万三二四三円存在するので、昭和五四年九月一〇日、本件差押処分のほかに、別表2のとおりの差押を行つたものであるが、その処分予定価額の合計額は、一億二九二三万八三五一円であるから、本件差押は、超過差押ではないといわなければならない。 5 国税通則法六三条四項について同条項は、その文言から明らかなとおり、滞納税額の全額を徴収するために必要な財産の差押をした場合、その差押がされている期間のうち、一定の期間に対応する延滞税について、年率七・三パーセントを超える部分(原告の主張する国税通則法六三条四項所定の二分の一)を免除することができる旨規定しているのであるから、本件差押処分が、超過差押となるか否かの判断に当たり、差押財産の見積価額と比較すべき徴収すべき国税の額は、本件差押時までの延滞税の全額を含むものであり、また、免除することができる延滞税にしても、本件差押後に生じたところの延滞税にすぎないのである。しかも、この部分の延滞税を免除するか否かについても、税務署長等の裁量に委ねられているから、同条項に関する原告の主張は、本件差押処分の違法の主張としては失当である。 6 相続税法三四条一項について原告の主張によると、共同相続に係る相続税につき、差押を必要とする事情が生じた場合、当該差押が滞納相続税のうち連帯納付義務に係る国税か否かを明らかにすることを要することになるが、現行法上その旨を定めた規定はない。 なお、相続税法三四条一項の趣旨は、遺産の分割により、相続税の納税義務者と現実に財産を取得した者との間に、相続により受けた利益に不一致が生じることが多く、そうした場合、 上その旨を定めた規定はない。 なお、相続税法三四条一項の趣旨は、遺産の分割により、相続税の納税義務者と現実に財産を取得した者との間に、相続により受けた利益に不一致が生じることが多く、そうした場合、納税義務を本来のそれだけに険定してしまうことは、相続人間の租税負担の公平を阻害することになるばかりでなく、租税の徴収にも困難となることが予想されるので、現実の相続財産の取得者に相続税を負担させるのが妥当であるということで、納付責任を負わせることにしたものである。したがつて、「相続又は遺贈により受けた利益」とは、相続又は遺贈により取得した財産の価額から、債務控除の額並びに相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税及び登録免許税を控除した後の金額であつて、原告が主張するように、現に利益が存する限度というものではない。 7 国税徴収法五一条一項について同条項は、国税の納付義務者が死亡して、右納付義務が相続により承継された場合の差押に関する規定であつて、本件のように原告固有の租税債務についての差押に関する規定ではないから、原告の主張は失当である。 8 なお、後記原告の2ないし5の主張は争う。 四被告の主張に対する原告の認否及び反論 1 右三の被告の主張は争う。 2 滞納処分は、有効に確定した租税債権の実現を目的とした行政処分であるから、有効に確定した租税債務の存在がその前提となつており、租税の賦課決定が無効であるなど、租税債権が不存在もしくはこれと同視すべき場合になされた滞納処分は、違法、無効というべきである。 そして、申告の無効は、租税債権不存在の典型的な一場合であり、課税権者が、減免ないしは是正措置を講ずべきであるにも拘らず、これをしない場合にも、租税債権の不存在と同視すべきである。 3 被告主張の基本通達一六九による本件相続にかかる株式の評価は、違 合であり、課税権者が、減免ないしは是正措置を講ずべきであるにも拘らず、これをしない場合にも、租税債権の不存在と同視すべきである。 3 被告主張の基本通達一六九による本件相続にかかる株式の評価は、違法、不当である。すなわち、(一) 一般的、抽象的な法の定めは、解釈上の疑義を生じやすいという欠点を免れ得ないけれども、その反面では、もともと形式的、一律的な基準による画一的な処理になじみにくい性質の事柄について、具体的事実に即した弾力的な解釈、運用を可能にし、ケースバイケースで適正妥当な解釈を目ざしうる長所をも併有しているのであつて、通達がその解釈の指針を示すにあたつては、右趣旨、機能を損なうことがないよう充分配慮すべきであつて、この配慮を欠いた硬直的、画一的な通達は、法の趣旨に反するものとして、違法のそしりを免がれない。 (二) ところで、本件相続に係る株式の評価方法を定めた基本通達一六九は、相続開始前三か月の株価の変動のみを加味しておけば足りるとの方針で一貫し、例外を認めない。しかし、株価の異常な高騰等が相当長期間続く事例を含めて考えてみた場合、果して右基準のみで適正妥当な株式の評価が得られたといえるかどうかは甚だ疑問である。本件のような具体的事案に即した弾力的な解釈、運用を可能にし、ケースバイケースで、適正な妥当な解決を目ざしうるには、それを可能にするような但し書きを付しておく必要があるが、基本通達はこのような例外を一切認めない形式的、画一的基準を貫ぬいている。このような硬直した基準からは、決して適切妥当な課税を実現しうるものではない。 (三) 元来、株式は、しばしば投機の対象とされ、思惑で取引をされたり、先行期待人気が一時的に集中、過熱したりすることがある外、株価の形成に影響を及ぼすべき諸事情も、一般の投資家に広く、かつ正確に了知され 元来、株式は、しばしば投機の対象とされ、思惑で取引をされたり、先行期待人気が一時的に集中、過熱したりすることがある外、株価の形成に影響を及ぼすべき諸事情も、一般の投資家に広く、かつ正確に了知されるようになるまでには、相当の時間的経過を必要とするなどの理由で、証券取引所で形成される日々の株価は、当該株式を発行している会社の収益力、配当率や純資産額等を適正に反映した合理的かつ妥当な取引価格であるとは限らない。 今日の証券市場における株式の取引価格は、極めて不安定であるから、上場株式であるからといつて、一株当りの純資産額や配当額如何に拘らず、右取引価格のみを唯一の基準として、株式の相続税評価を定めることは、相続税法の合理的な解釈ではないのである。 したがつて、株式の相続税評価に当つては、少なくとも、相続開始前二年と相続開始後申告書提出期限までの二年半以上の相続の開始前後にまたがる相当長期の間の株価のなかから、最低価格をとるなどの措置を是非とも取る必要がある。 (四) なお、相続開始後申告書提出期限までの期間の株価をとる余地を認め得ることは、次の諸事情からも、肯定される。 すなわち、(1) 異常な株価の高騰等は、一、二年続くことが多く、また、そのことは、同時に今日の証券市場では、適正な株価の形成に必要な情報の公開が著しく遅れ勝ちであることをも示している。 (2) 相続開始までは、相続財産は、被相続人の所有に属し、相続人の財産ではないので、相続人がこれを損金することはできない。 (3) 相続開始後でも、遺産の分割が終るまでは、やはり換価の現実的可能性はなく(現に、被告は、遺産分割の協議の終つていない財産の物納は勿論、延納のための担保提供すら拒否した)、遺産の分割、とりわけ本件のように、異母兄弟を中心とする相続人間等の遺産分割協議には、相当長時間が く(現に、被告は、遺産分割の協議の終つていない財産の物納は勿論、延納のための担保提供すら拒否した)、遺産の分割、とりわけ本件のように、異母兄弟を中心とする相続人間等の遺産分割協議には、相当長時間が必要である。 (4) 租税特別措置法三九条は、右のような事情を考慮して、相続税納付等のためにする相続財産の処分に伴う譲渡所得課税の特別期間を、相続開始の日の翌日から二年半(但し、六ケ月間は申告書提出までの期間)と定めており、また、相続税法三八条は五年ないし一五年の相続税の年賦延納を認めている。 (5) さらに、相続された株式が企業経営を目的とした株式でない場合には、時宜に適した処分も可能であろうが、企業経営を目的としたいわゆる支配株の場合には、余程のことがない限り、これを換価することはあり得ないし、万一そのような大量の株式を一時に換金しようとすれば、それ自体が株価の圧迫要因となつて、大幅な株価の値下りを招くことになるのである。 (6) のみならず、支配株主の場合には、株式数が相当数にのぼるところから、一株当りの株価の相違は、たとえ円単位或いは一〇円程度のものであつても、株式評価の総額としては、多額の差異となる。 (五) 本件において、原告が相続の申告をしたときは、需要の低迷傾向等が顕在化して、本件各株式の価格は、現実に大幅に下落していた。例えば、申告書の提出期限である昭和四八年一一月二日までの大阪証券取引所における永大産業株式会社の株式の安値は五〇〇円で、相続開始後の同年六月に実施された株式の無償交付(一割)を考慮した計算値は、五五五円であつたから、右通達による評価額六九五円からすでに一四〇円も値下がりをしており、さらに、最終の修正申告書を提出した昭和五〇年七月七日までの同取引所における同株式の安値は三一〇円、株式の無償交付を考慮した計算値は、三 による評価額六九五円からすでに一四〇円も値下がりをしており、さらに、最終の修正申告書を提出した昭和五〇年七月七日までの同取引所における同株式の安値は三一〇円、株式の無償交付を考慮した計算値は、三四四円で、三五一円の値下りとなつていた。原告は、当然これらの事情をも勘案して、適正かつ妥当な株価を評定するよう求めたにも拘らず、担当係官であつた大阪国税局資産税資料調査課のD主査らは、前記基本通達に定める株式評価の方法は、絶対的なもので、これ以外の評価方法は一切許されないとの誤つた指導をし、原告らにこれに従うことを強要した。 (六) 以上要するに、本件各株式の株価の評価は、違法、不当である。 4 次に、本件各株式の価格の低落は、災害減免法一条にいわゆる災害に当るというべきである。 すなわち、一般人が予期することのできない社会経済的事情の急変による大幅かつ異常な財産の減価が、社会通念上災害による被害と何ら選ぶところなく、またある財産の取得に対して課税が行なわれた後に、納税者の責に帰することのできない何らかの事情で、同財産が著しく減価し、これを処分しても、その取得に対する租税すら完納できないような異常な事態が発生したときに、それでもなおかつ右課税をそのまま維持するのは、近代租税法の基本原理ないしは吾人の正義公平の観念に反し、到底是認しえないことは多言を要しない。殊に、本件の場合には、株式発行会社が既に事実上倒産しているばかりではなく、永大産業株式会社、永大木材工業株式会社及び永大ハウジング株式会社の原告所有株式は、更生計画(無償消却)により、その存在が法的にも否定されて終つているので、その意味においても、株価が将来回復する可能性は皆無であり、この点でも、本件は、他の株価の乱高下とは同一に論じられない異質の問題を含んでいるのである。したがつて、本件にお も否定されて終つているので、その意味においても、株価が将来回復する可能性は皆無であり、この点でも、本件は、他の株価の乱高下とは同一に論じられない異質の問題を含んでいるのである。したがつて、本件においては、災害減免法の適用があるというべきである。 5 なお、被告は、本件差押は超過差押に当らないと主張するが、別表1に記載の被告主張の処分予定価格は、いずれも余りにも低額に過ぎ、また、被告は、その後における原告の相続税の納付、充当額を全く考慮していないので、右の点でも不当である。けだし、納税の滞納による差押処分は、その処分時に適法でありさえすれば、その後どれ程税金の納付、充当があつても、これをそのまま維持してもよいというものではなく(国税徴収法七九条)、取消訴訟における違法判断の基準時からいつても、少なくとも、差押のような継続効力を有する処分や未執行の処分については、処分時ではなく、判決時における事実、法状態を基準とすべきであるからである。 五証拠関係(省略)○ 理由一請求原因1(一)ないし(七)(但し、原告の取得資産中、株式の取得比率を除く)及び同(九)の事実並びに被告が原告の財産に対し、本件で取消を求めている被差押債権を含む別表1、同2の如き差押をした事実(但し、処分予定価額の点は除く)は当事者間に争いがない。 二まず、原告は、その主張の相続税の申告が無効であることや、災害減免法の適用のあること、その他を理由に、租税債務は不存在であるとして、別表2の番号1の差押(以下本件差押ともいう)の取消を求めているところ、被告は、相続税の課税の過程に原告主張のような瑕疵があつたとしても、これと滞納処分とは別個の処分であるから、差押処分に違法がない限り、課税処分の瑕疵を理由に差押処分の取消を求めることは許されないと主張する。しかし、課税処分に重 原告主張のような瑕疵があつたとしても、これと滞納処分とは別個の処分であるから、差押処分に違法がない限り、課税処分の瑕疵を理由に差押処分の取消を求めることは許されないと主張する。しかし、課税処分に重大かつ明白な瑕疵があるとか、その他の理由により、租税債務が現に存在しないのに、滞納処分による差押をすることは違法というべきであつて、右差押を受けた者は、当然にその取消を求め得るものというべきであるから、右被告の主張は失当である。 三申告が無効(担当係官の基本通達による指導)であるとの主張について原告は、その請求原因1の(六)に記載の本件各株式の評価額を、大部分の相続財産の価格として申告した本件相続税の申告及び修正申告は無効であると主張するので、まずこの点について判断する。 所得税の確定申告ないし修正申告の記載内容に錯誤による過誤がある場合の右錯誤の主張は、その錯誤が客観的に明白かつ重大であつて、更正の請求という所得税法自身が定めた方法以外にその過誤更正を許さないならば、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ、許されないと解すべく(最高裁昭和三九年一〇月二二日判決民集一八巻八号一七六二頁)、このことは相続税の申告についても同様に解すべきところ、右の「申告についての錯誤が客観的に明白」であるとは、申告ないしは修正申告の内容が適正な相続財産額及びこれに対する税額と異つていることが、一見して客観的に明白であることをいうものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、一頁から五頁まで及び一五、一六頁については成立に争いがなく、その余の部分について弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第一二号証、成立に争いのない甲第一七、一八号証、甲第二三号証、乙第二号証の一ないし三、同第一二号証、証入Dの証言、並びに、 がなく、その余の部分について弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第一二号証、成立に争いのない甲第一七、一八号証、甲第二三号証、乙第二号証の一ないし三、同第一二号証、証入Dの証言、並びに、弁論の全趣旨によれば、原告主張の請求原因1の(六)記載の各株式の評価額は、国税庁の相続財産に関する基本通達に合致した評価であることが認められるところ、原告は、右国税庁の通達は、違法不当であるに拘らず、右申告に際し、所轄の芦屋税務署もしくは大阪国税局の担当係官が、原告の取得した本件相続に係る株式の評価方法について、部内に示達されているいわゆる相続財産評価に関する基本通達に示されている画一的な基準を唯一無二の絶対的なものとして、これを原告に押しつけ、専門的知識がなく、担当係官らを信頼している原告は、否応なくこれに従わざるを得なかつた旨主張しているが、本件における全証拠によるも、右事実を認めることができない。却つて、証人Dの証言によれば、所轄の芦屋税務署又は大阪国税局の担当係官が、右基本通達に基づき、本件相続に係る株式の評価につき指導助言をしたことはあるが、基本通達に示されている基準を唯一無二のものとして原告に押しつけたことはないことが認められる。 次に、相続税法二二条は、相続財産の評価は、同法第三章に特別の定のある場合を除いて、当該財産の取得時における時価による旨定め、株式の時価については特別の定めを設けていないところ、右相続税法二二条にいわゆる時価とは、一般的には、相続時におけるそれぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格をいうものと解すべきである。ところで、前掲甲第二三号証、第一二号証、並びに弁論の全趣旨によれば、国税庁は、その基本通達一六九において、上場株式の評価は、証券取引所の公 に通常成立すると認められる価格をいうものと解すべきである。ところで、前掲甲第二三号証、第一二号証、並びに弁論の全趣旨によれば、国税庁は、その基本通達一六九において、上場株式の評価は、証券取引所の公表する課税時期(相続開始日)の最終価格または課税時期(相続開始日)の属する月以前三か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という)のうち最も低い価格に評価することとしていることが認められるところ、これは、あくまで株価は、日日上下することがあるため、相続開始時に一時的に騰貴した株価をもつて相続財産の評価額にするは不合理であるところから、これを避ける趣旨で定められたものと解すべく、また最終価格の月平均額を相続開始の三か月前の株価のみを考慮し、相続開始後の株価を考慮しないこととしたのは、株価の恣意的操作を防ごうとする趣旨に他ならないと解すべきである。このように、右基本通達一六九条により、上場株式につき、相続税法二二条にいわゆる相続開始時の時価の算定基準を示すことは、右時価の評価を納税者に委ねた場合の不統一による不公平を回避し、相続税の課税の公平を期するために、必要かつ合理的なことであり、右基本通達一六九条に定める株式評価の方法は、株式の実質的な価値と一時的な需給関係による価格の変動を調整し、実勢価額を加味するものであつて、合理的なものであるというべきである。 もつとも、原告は、現在の証券市場における株式の取引価格は、極めて不安定であるから、上場株式であるからといつて、相続開始時の証券取引所の取引価格のみを唯一の基準として株式の評価額を定めることは合理的でなく、少なくとも相続開始前二年と相続開始後申告書提出期限まで二年半の相続開始前後にまたがる期間のなかの最低価格によるべきであるとし、殊に本件では、原告の相続した本件各株式 価額を定めることは合理的でなく、少なくとも相続開始前二年と相続開始後申告書提出期限まで二年半の相続開始前後にまたがる期間のなかの最低価格によるべきであるとし、殊に本件では、原告の相続した本件各株式は、いずれも輾々流通の可能性のないいわゆる支配株で、しかもその多くは、非上場株式であり、かつ、相続開始後の不況により、その株価は、現実に大幅に下落したから、前記通達の基準により、原告の相続した株式の株価を評価することは、違法不当であると主張している。しかしながら、相続は被相続人の死亡と同時に開始すると共に、相続税の納税義務が発生するし(国税通則法一五条二項四号)、また、相続財産を取得したものは、相続開始のあつたことを知つた日の翌日から六月以内に相続税の申告をすべく(相続税法二七条参照)、右申告と同時にその納付期限が到来するから(国税通則法三五条一項)、そもそも、相続人は、相続の開始を知つたときから遅滞なく相続税の申告をしてこれを納付すべきものである。したがつて、相続開始時から右相続税の申告までの間に相続財産の価格が下落した場合には、これによる損害は、相続人においてこれを負担すべきものであると解するのが相当であつて、右損害を回避するためには、相続人において遅滞なく相続税の申告をしてこれを納付すべきであり、またもし、相続の開始後相続税の申告までの間に、相続財産の価格が下落したために、現実に相続財産を相続することにより損害を被ることが予測される場合には、相続の放棄又は限定承認(民法九一五条以下)をもつて、これに対処すべきである。もし右のように解さずに、相続財産の評価を、相続開始後相続税の申告までの間に相続財産の価格が下落したときは、その下落した価格によるものと解することは、相続財産の価格を、当該財産の取得の時(相続開始の時)における時価とした相続 財産の評価を、相続開始後相続税の申告までの間に相続財産の価格が下落したときは、その下落した価格によるものと解することは、相続財産の価格を、当該財産の取得の時(相続開始の時)における時価とした相続税法二二条の明文の規定に反するばかりでなく、株式のような変動の激しい相続財産については、相続開始後、これを大量に売り出すなどして、一時的に相続財産の価格を下落させる操作を容認することになる上、さらに右価格の下落前に相続税の申告をしてこれを納付したものとの間に税額の不均衡が生じて不合理な結果を招くことになるのである。そして、右の理は、相続財産について未だ分割の行なわれていない場合についても同様であると解すべきである。けだし、未分割の相続財産に対する相続税の申告義務を、遺産分割後まで留保することを認めれば、その間相続税の納付を免がれることになつて不合理であるところから、未分割の相続財産については、各共同相続人が民法の規定による相続分に従つて当該財産を取得したものとして課税価格を計算するものとし、もしその後において、これと異なる相続財産の分割がなされた場合には、その分割された内容にしたがつて、課税価格を計算し直し、これに基づいて、更正の請求、修正申告、或いは更正決定ができるとされている(相続税法五五条)からである。 以上の次第で、株式の評価額を、相続開始前二年と相続開始後申告書提出までの二年半の相続開始の前後にまたがる期間のうちの最低の価格によるべきであるとの原告の主張は到底採用できず、また、その他種々の事情をあげて、前記基本通達による株式の評価が違法であるとの原告の主張は、いずれも独自の見解であつて採用できない。却つて、上場株式について、相続開始後の株価を考慮することとしていない前記基本通達一六九条には、前述の通り、何らの不合理もなく、このことは、 との原告の主張は、いずれも独自の見解であつて採用できない。却つて、上場株式について、相続開始後の株価を考慮することとしていない前記基本通達一六九条には、前述の通り、何らの不合理もなく、このことは、非上場株式の場合についても、同様に解すべきである。 そうすると、前記国税庁の基本通達の内容にそつた本件申告ないし本件修正申告は、客観的に適正な相続財産額及びこれに対する税額と異なつているものとはいい難く、却つて、適正なものというべきであるから、本件申告ないし本件修正申告が錯誤により当然無効であるとの原告の主張は失当である。 四災害減免法の適用ないし類推適用の可否について成立に争いのない甲第二五号証、同第二六号証、同第二八号証、同第二九号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める甲第四四号証、証人Eの証言、原告本人尋問の結果によれば、昭和四八年のいわゆるオイルシヨツクに端を発した我が国経済の長期にわたる不況により、永大産業株式会社は、昭和五三年二月二〇日倒産し、同社及び同社関連会社の株式は値下りし、殆ど無価値と化したことが認められ、右認定に反する証拠はない。 原告は、このような場合、災害減免法四条の規定の適用ないし類推適用がなさるべき旨主張するが、同法一条は、この法律にいわゆる災害とは、震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害であると規定しているところ、この規定の文言からすれば、同法にいわゆる災害は、自然界に生じた災害を指し、いわゆるオイルシヨツク等の社会経済事情の急変による相続財産の価格の下落は、これに当らないものと解すべきであるし、また、これを実質的にみても、一般に、株式会社が会社更生法の適用を受けたためにその株価が暴落しても、将来会社が再建されてその株価が高騰することもあり得るから、会社更生法の適用を受けたためにその株価が暴 た、これを実質的にみても、一般に、株式会社が会社更生法の適用を受けたためにその株価が暴落しても、将来会社が再建されてその株価が高騰することもあり得るから、会社更生法の適用を受けたためにその株価が暴落したからといつて、このことを理由に、直ちに災害減免法第四条を適用して、相続税を免除することは相当でないというべきである。殊に、本件においては、永大産業株式会社が会社更生法適用の申請をしたのは、昭和五三年二月二〇日であることは当事者間に争いがないところ、原告の本件相続が開始したのは前記のとおり昭和四八年五月二日であるから、それから永大産業株式会社が会社更生法適用の申請をするまでの間に五年近くあるのであつて、このように相続開始後五年近くも後に生じた会社更生法適用の申請による株価の暴落を理由に、相続税の減免をするというようなことは、もともと災害減免法の予定しているところではないというべきである。その上、本件において、原告が相続した相続財産の大部分を占める本件各株式の如きは、将来その株価の変動があることは、当然予測されることであつたから、原告において、その相続税を納付するに当り、他の相続人と協議して、速やかに相続財産である本件株式を物納するか、或いはこれを他に売却するなどして、その納付義務を遅滞なく履行すれば、将来の株価の暴落による損害を回避することも充分に可能であつたというべきである。したがつて、以上の諸点からすれば、本件のように、相続開始後の株価の暴落については、災害減免法の適用ないしその類推適用を認めることは相当でないし、また、災害減免法の精神や条理に従つて、相続税の減免をすべきものでもないと解すべきである。そして、このことは、原告が、その主張の如く、永代産業株式会社の代表者として、同会社の経営に当つており、その相続した株式がこれを他に処分 に従つて、相続税の減免をすべきものでもないと解すべきである。そして、このことは、原告が、その主張の如く、永代産業株式会社の代表者として、同会社の経営に当つており、その相続した株式がこれを他に処分し難い支配株であつたとしても、変らないものというべきである。けだし、原告が、その自由意思に基づき、右株式を保有しながら相続税の延納の途を選んだ以上、その後の経済事情の変動により、思わざる株価の暴落に遭遇したとしても、これによる損害は、自ら選択した結果によるものとして、これを原告において負担すべきものと解するのが公平の原則に合致するからである。もつとも、原告は、当時相続人間で亡Aの遺産分割の協議が成立していなかつたから、本件各株式を物納し、又は、処分して換価することはできなかつたし、現に被告の担当者は、右物納を認めなかつたと主張するが、右原告の主張事実に副う証人Eの証言、原告本人尋問の結果は信用できず、他に右原告の主張事実を認め得る的確な証拠はない。却つて、遺産分割が成立していないときでも、他の相続人と協議して、取敢えず各相続人の相続分に応じて納付すべき相続税の一部として、本件各株式を物納し、またはこれを他に売却処分し、換価して、相続税の支払にあてることは、法律的に可能であつたというべきであるから、右原告の主張は採用できない。 のみならず、災害減免法第四条の規定により相続税の免除を受けようとするものは、その旨、被害状況及び被害を受けた部分の価額を記載した申請書を、災害のやんだ日から二ケ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならないところ(災害減免法施行令第一一条二項参照)、前掲甲第二五号証、同第二八号証によるも、原告が本件につき、右所定の手続をとつたとは認めることができず、他に原告が右所定の手続をとつたことを認め得る証拠はないから、この 免法施行令第一一条二項参照)、前掲甲第二五号証、同第二八号証によるも、原告が本件につき、右所定の手続をとつたとは認めることができず、他に原告が右所定の手続をとつたことを認め得る証拠はないから、この点からも、本件については災害減免法第四条の適用ないし類推適用はないというべきである。 なお、原告の引用する最高裁昭和四九年三月八日判決民集二八巻二号一八六頁は、雑所得として課税の対象とされた金銭債権が後日回収不能となつた場合に関するものであつて、本件とは事案を異にするから、直ちに右判例の法理を本件に適用することはできない。 よつて、本件について、災害減免法第四条の適用ないし類推適用はないし、また、災害減免法の精神や条理に従つて、本件各株式の株価の是正措置を講ずべき余地もないというべきであるから、右災害減免法の類推適用その他により、原告には最早納付すべき相続税はないとし、これを前提に、本件各差押は違法であるとの原告の主張は、失当である。 五超過差押の主張について次に、原告は、本件差押は、超過差押であると主張するので、この点につき判断するに、超過差押であるか否かは、一般的には、差押財産の見積価額と徴収すべき国税(延滞税等の附帯税も含む)の額とを比較して判定すべきところ、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一六号証並びに弁論の全趣旨によれば、本件差押日の前日である昭和五四年九月九日現在における本件相続に係る原告の納付すべき国税は、総計一一億七九〇七万〇三〇七円であること、その内訳は別表3の(A)の本税三億六一五一万五〇三二円及び(E)の延滞税一億〇二六四万一七九二円(これは、昭和五四年九月九日現在における本税収納未済額の右(A)に対する同日現在で仮計算したところの延滞税額である)、別表4の(B)の延滞税四九三万二〇〇〇円、別表5の 税一億〇二六四万一七九二円(これは、昭和五四年九月九日現在における本税収納未済額の右(A)に対する同日現在で仮計算したところの延滞税額である)、別表4の(B)の延滞税四九三万二〇〇〇円、別表5の(C)の利子税三九二七万円、別表6の(D)の利子税八四一万五〇〇〇円並びに連帯納付責任額六億六二二九万六四八三円の合計額であることが認められる。 一方、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一七号証ないし同第二四号証並びに弁論の全趣旨によれば、昭和五四年九月九日現在における本件相続に係る原告の納付すべき国税を徴収するために差押えをした差押財産、差押年月日及び差押財産の処分予定価額は、別表1のとおりであつて、差押財産の処分予定価額の合計額は八億九五二九万七二六四円であることが認められる(差押財産、差押年月日については当事者間に争いがない)。したがつて、昭和五四年九月九日右差押財産を公売したとしても、なお徴収すべき国税は二億八三七七万三〇四三円不足することになるので、被告は昭和五四年九月一〇日本件差押処分を含む別表2のとおりの差押処分を行なつたが、その処分予定価額の合計額は一億二九二三万八三五一円であることが弁論の全趣旨より認められるから、結局本件差押(六二七五万七二一〇円)が超過差押でないことは計算上明らかである。 もつとも、原告は、別表1に記載の各差押財産の処分予定価額は低きに過ぎると主張するが、前掲乙第一七号証ないし第二四号証によれば、被告は、右差押財産処分予定価額の評価に当つては、いずれも鑑定士等の専門家の意見を聞き、固定資産税評価額、賃借権割合等をも考慮して右評価をしており、その評価額も、賃借権のある別表1の56に記載の物件以外は、すべて固定資産税評価額をはるかに超えていること、また、債権については、第三者の資力を考慮した現 、賃借権割合等をも考慮して右評価をしており、その評価額も、賃借権のある別表1の56に記載の物件以外は、すべて固定資産税評価額をはるかに超えていること、また、債権については、第三者の資力を考慮した現実の回収見込額であること、したがつて右物件の処分予定価額は、不当に低廉ではなく、むしろ適正妥当なものであること、以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はないから、右の点に関する原告の主張は失当である。 また、原告は、その後における原告の相続税の納付により、その本税は、昭和五七年八月三一日現在においては、わずかに二〇〇〇円になつたにも拘らず、差押を続けるのは違法であると主張しているところ、右昭和五七年八月三一日における原告の相続税本税が二〇〇〇円であることは当事者間に争いがない。しかし、成立に争いのない乙第一三号証によれば、昭和五八年二月二八日当時において、原告自身の相続税本税は二〇〇〇円であるが、その他に、他の相続人と連帯納付すべき税額が六億六二二九万八四八三円、利子税が三九〇四万〇一五三円、法律による延滞税が二億二八二七万一三一〇円、等のあることが認められるから、別表2の1の六二七五万七二一〇円の債権に対する差押が必ずしも、超過差押になつたものとは認め難い。のみならず、国税徴収法による差押が、その差押当時には超過差押ではなかつたが、その後の滞納税金の納付により、差押財産が滞納税額等を著しく超過するに至つたときには、徴収職員は、国税徴収法七九条二項により、その差押財産の全部又は一部を解除することができるから、差押を受けた者において、右差押の解除を求め得ることのあるのは格別、右納税等のその後の事情を理由に、当初の差押の違法を主張して、その取消を求めることはできないものというべきである。よつて、右の点に関する原告の主張も失当である。 六国税通 め得ることのあるのは格別、右納税等のその後の事情を理由に、当初の差押の違法を主張して、その取消を求めることはできないものというべきである。よつて、右の点に関する原告の主張も失当である。 六国税通則法六三条四項について原告は、国税通則法六三条四項所定の延滞税の減免措置は無条件かつ例外なしに認められるべき措置である旨主張するが、同条項は、滞納税額の全額を徴収するために必要な財産を差押えた場合、その差押のなされている期間のうち、一定の期間に対応する延滞税について、国税通則法六三条四項所定の二分の一(年七・三パーセントを超える部分)を免除できる旨規定しているのであつて、差押前の延滞税は免除の対象ではないし、また、右免除をするか否かは、税務署長等の自由裁量に委ねられているものと解するのが相当であるから、本件において、右延滞税の免除のないことを理由に、本件差押が超過差押であるとの原告の主張は失当である。のみならず、前記認定の本件差押当時における相続税本税、利子税、延滞税(計一億〇七五七万三七九二円)と差押財産の処分予定価額とを対比すれば、仮に右延滞税の一部が免除されたとしても、本件差押が超過差押にならないことは、計算上明らかというべきである。 よつて、右の点に関する原告の主張も失当であることを免れない。 七相続税法三四条一項について原告は、相続税法三四条一項所定の連帯納付義務は、民法七〇三条所定の不当利得の場合のそれと同様に、当該相続により受けた利益が現存する場合に、その限度においてのみ責に任ずるものに過ぎないとして、その責任は原告の固有財産には及ばない旨主張する。 しかし、相続税法三四条一項は、相続税には、元来相続により財産を取得した者が納税義務を負うのであるが、納税義務をこれらの者に限定して終うことは、租税債権の確保することが難かしい場合 ない旨主張する。 しかし、相続税法三四条一項は、相続税には、元来相続により財産を取得した者が納税義務を負うのであるが、納税義務をこれらの者に限定して終うことは、租税債権の確保することが難かしい場合も生ずるので、公平の見地からこれを避けるため、現実の相続財産の取得者らの取得した財産の限度で他の相続人の相続についても連帯してその納付責任を負わせることにしたものと解すべきである。したがつて、ここにいう「相続又は遺贈により受けた利益」とは、相続又は遺贈により取得した財産の価額から債務控除の額並びに相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税及び登録免許税を控除した後の金額であつて、原告主張の如く現に利益が存する限度というが如きものではない。そして、前記一の当事者間に争いのない事実(請求原因1(一)ないし(七)、同(九)の事実)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、少なくとも、本件相続により、本件で他の相続人と連帯して納付責任があるとされている六億五〇〇〇万円以上の財産(但し、原告本人の相続税、登録税を控除した後の残額)を取得したことが認められるから、右相続税法三四条一項の規定を理由に、本件差押が違法であるとの原告の主張は失当である。 八国税徴収法五一条一項について原告は、本件差押に係る原告の株式会社元三に対する債権六二七五万七二一〇円は、相続財産ではなく、原告の固有財産であるから、これを差押えることは国税徴収法五一条一項に違反して違法である旨主張する。 しかし、同条項は、その文言からも明らかなとおり、国税の納付義務を負う者が死亡したことにより右納付義務が相続により相続人に承継されることになつた場合、その相続人(国税通則法五条一項、民法八九六条)に対して差押を行う場合には、まず相続財産を差押えるべき旨定めた規定であつて、本件の場合の如く、原告固有の 続により相続人に承継されることになつた場合、その相続人(国税通則法五条一項、民法八九六条)に対して差押を行う場合には、まず相続財産を差押えるべき旨定めた規定であつて、本件の場合の如く、原告固有の租税債務につき差押を行なう場合に、まず相続財産から差押えるべき旨定めたものではないから、本件差押について、同条違反の生ずる余地はない。したがつて、この点に関する原告の主張も失当である。 九以上のとおり、原告の各主張はいずれも失当であつて、本件差押の取消を求める原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官後藤勇大沼容之岩倉広修)別表1~6(省略)
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