平成17年5月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(行ウ)第63号政務調査費返還請求事件口頭弁論終結の日平成17年3月9日判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用及び参加に要した費用は,いずれも原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 原告の請求 1 被告は,自由民主党愛知県議員団に対し,3050万円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は,民主党愛知県議員団に対し,1200万円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 3 被告は,公明党愛知県議員団に対し,326万3869円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,愛知県の住民である原告らが,「愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する条例」(平成13年3月27日条例第41号。以下「本件条例」という。)に基づき,愛知県が愛知県議会における会派である被告補助参加人ら(以下「本件各会派」といい,被告と併せて「被告ら」という。)に交付した平成15年4月分の政務調査費が,本件条例が定める使途に使用されていないなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づいて,愛知県の執行機関である被告に対し,本件各会派に上記政務調査費相当額の不当利得返還又は損害賠償の請求をするよう求めた住民訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実,証拠により明らかな事実等)(1) 当事者ア原告らは,いずれも愛知県の住民である。 イ被告は,愛知県知事であ 賠償の請求をするよう求めた住民訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実,証拠により明らかな事実等)(1) 当事者ア原告らは,いずれも愛知県の住民である。 イ被告は,愛知県知事であり,地方自治法242条の2第1項4号所定の執行機関に当たる。 ウ本件各会派は,いずれも,共通の政治目的を達成するために愛知県議会議員が結合し,個人の活動から独立した活動を営む権利能力なき社団であって,代表者の定めを有している。 (2) 政務調査費の交付の経緯(甲3,乙2ないし4)ア被告は,愛知県議会議長Aから,平成15年4月1日付けで,愛知県議会を構成する各会派の名称,代表者及び政務調査費経理責任者の氏名並びに所属議員の数及び氏名の通知を受けて(本件条例5条1項),同日付けで,上記各会派に対する政務調査費の交付決定を行った(本件条例6条1項)。 イ被告は,上記交付決定に係る各会派の代表者から,同日付けで,平成15年4月分の政務調査費の請求を受け,次のとおり,各会派に対し,政務調査費を交付した(本件条例7条1項,2項)。 (ア) 自由民主党愛知県議員団(以下「自民党県議団」という。)61名分 3050万円(イ) 民主党愛知県議員団(以下「民主党県議団」という。)24名分 1200万円(ウ) 公明党愛知県議員団(以下「公明党県議団」という。)7名分 350万円(エ) 愛知県議員団県政同志会6名分 300万円(オ) 日本共産党愛知県議会議員団(以下「共産党県議団」という。)3名分 150万円(カ) 自由党愛知県議会議員団1名分 50万円(キ) 愛知県議会新世紀の会1名分 50万円(3) 収支報告書の提出及び残余金の返還等(甲1の1ないし7,乙5ないし11)ア愛知県議会議員の任期が平成15年 1名分 50万円(キ) 愛知県議会新世紀の会1名分 50万円(3) 収支報告書の提出及び残余金の返還等(甲1の1ないし7,乙5ないし11)ア愛知県議会議員の任期が平成15年4月29日に満了することに伴い,同月における上記各会派の代表者は,愛知県議会議長あてに,同年5月30日付けで,同年4月分の収支報告書を提出した(本件条例9条2項)。 上記各収支報告書によれば,公明党県議団を除く上記各会派は,交付を受けた政務調査費をすべて本件条例8条1項各号に掲げる費用に充てたことが記載されていたが,公明党県議団については,交付金額350万円のうち349万2594円が上記費用に充てられ,7406円の残余金があったことが記載されていた。そのため,愛知県は,平成15年6月3日,公明党県議団から上記残余金の返還を受けた(以下,本件各会派に交付された政務調査費のうち,公明党県議団が返還した残余金を除いて「本件政務調査費」という。本件条例11条)。 イ自由党愛知県議会議員団(Bの1人会派)については,同人が同年4月29日の任期満了をもって引退していたところ,本件訴えにおいて争うことが煩わしいこと等を理由として,平成16年3月4日付けで,愛知県議会議長に対し,支出がなく残余金が50万円である旨の収支報告書を再提出し(本件条例9条2項),平成15年4月分の政務調査費及び利息相当額を全額返還する旨を申し出たため,平成16年3月10日に政務調査費に相当する50万円が,同月19日に利息相当額1万9452円が,それぞれ愛知県に返還された。 (4) 選挙後の県議団再編平成15年4月29日の愛知県議会議員の任期満了に伴い,愛知県議員団県政同志会(従前6名)のうち,2名が引退し,その後,再選された4名の議員は,自民党県議団に加わり,愛知県議会新世紀の会 県議団再編平成15年4月29日の愛知県議会議員の任期満了に伴い,愛知県議員団県政同志会(従前6名)のうち,2名が引退し,その後,再選された4名の議員は,自民党県議団に加わり,愛知県議会新世紀の会の議員も再選後に自民党県議団に加わった。 (5) 監査請求(甲6,7)原告らは,平成15年9月5日,愛知県監査委員に対し,上記各会派が同年4月分の政務調査費を本件条例の定める使途基準に反して使用している疑いが高いことを理由に,上記各会派から違法・不当な政務調査費相当額の返還を求めるなど必要な措置を被告がとるよう監査請求を行ったところ,同監査委員は,同年10月24日付けで,各会派の支出を他の事項から区別して特定認識できるよう個別・具体的に適示することを要するのにこれがなされていないとして,監査請求を却下し,そのころ原告らに通知した(なお,本件における監査請求の対象である財務会計行為は,愛知県の会派に対する残余金の不当利得返還請求権ないしは損害賠償請求権の行使であるから,特定の会派に対する特定の月の政務調査費相当額の返還を求めないことが違法又は不当であると主張するのみで特定としては充分であり,上記監査請求は適法である。)。 (6) 本訴提起原告らは,平成15年11月18日,本訴を提起した(当初は,愛知県議会の共産党県議団を除く各会派(なお,訴状においては「平成15年4月1日時点における」会派と表示していたが,第3回弁論において陳述された申立書においては,そのような表示を外している。)に返還等を請求することを求めたが,最終的に,愛知県議員団県政同志会,自由党愛知県議会議員団及び愛知県議会新世紀の会に請求するよう求める部分は取り下げ,本件各会派に請求することを求める請求に減縮した。)。 (7) 関係法令の抜粋ア地方自治法100条13項 自由党愛知県議会議員団及び愛知県議会新世紀の会に請求するよう求める部分は取り下げ,本件各会派に請求することを求める請求に減縮した。)。 (7) 関係法令の抜粋ア地方自治法100条13項普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。 14項前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。 (以下略)イ本件条例(甲4)(趣旨)1条この条例は,地方自治法(略)第100条第13項及び第14項の規定に基づき,愛知県議会(以下「議会」という。)における会派に対する政務調査費の交付に関し必要な事項を定めるものとする。 (政務調査費の交付)2条政務調査費は,議会における会派(その所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)に対し,交付する。 (政務調査費の額等)3条政務調査費の額は,1月につき50万円に各会派の所属議員の数を乗じて得た額とする。 2 前項の所属議員の数は,毎月の初日における各会派の所属議員の数による。 3 月の中途において,議会の議員の任期満了,辞職,失職,除名若しくは死亡,議会の議員の所属会派からの脱会若しくは除名又は議会の解散があった場合には,当月分の政務調査費の交付については,これらの事由が生じなかったものとみなす。一の会派が他の会派と合併し,又は会派が解散した場合も,同様とする。 (以下略)(会派の届出 分の政務調査費の交付については,これらの事由が生じなかったものとみなす。一の会派が他の会派と合併し,又は会派が解散した場合も,同様とする。 (以下略)(会派の届出)4条会派は,政務調査費の交付を受けようとするときは,当該会派の代表者及び政務調査費経理責任者を定め,その代表者は,会派の名称,代表者及び政務調査費経理責任者の氏名並びに所属議員の数及び氏名を議会の議長に届け出なければならない。 (以下略)(会派の通知)5条議会の議長は,毎年,4月1日において前条第1項の規定により届け出られている会派について,同月5日までに,会派の名称,代表者及び政務調査費経理責任者の氏名並びに所属議員の数及び氏名を知事に通知しなければならない。 (以下略)(政務調査費の交付の決定等)6条知事は,前条第1項の規定による通知又は第4条第1項の規定による届出があった旨の前条第2項の規定による通知を受けたときは,速やかに当該通知に係る会派の当該年度分における政務調査費の交付の決定をしなければならない。 (中略) 3 知事は,前2項の規定により政務調査費の交付の決定又はその変更をしたときは,速やかにその旨を当該会派の代表者(解散した会派にあっては,代表者であった者)に通知しなければならない。 (政務調査費の請求及び交付)7条前条第3項の規定による交付の決定の通知を受けた会派の代表者は,毎月5日までに(略),当月分の政務調査費を知事に請求しなければならない。 2 知事は,前項の規定による請求があったときは,速やかに政務調査費を当該会派に交付しなければならない。 (政務調査費の使途)8条会 調査費を知事に請求しなければならない。 2 知事は,前項の規定による請求があったときは,速やかに政務調査費を当該会派に交付しなければならない。 (政務調査費の使途)8条会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。 一調査研究費二研修費三会議費四資料作成費五資料購入費六広報費七事務費八人件費 2 前項各号に掲げる費用の使途基準は,議会の議長が定める。 (収支報告書の提出)9条会派の代表者は,当該会派の前年度における次に掲げる事項を記載した政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,毎年4月30日までに,議会の議長に提出しなければならない。 一政務調査費に係る収入の総額二政務調査費に係る支出の総額並びに前条第1項各号に掲げる費用ごとの支出の額及び主たる支出の内訳三政務調査費に係る収入の総額から政務調査費に係る支出の総額を控除した額 2 会派が解散したとき,又は議会の議員の任期満了若しくは議会の解散に伴い会派が消滅したときは,その代表者であった者は,当該年度の4月から当該会派が解散し,又は消滅した日の属する月までの間における収支報告書を,その翌月の末日までに,議会の議長に提出しなければならない。 (議長の調査)10条議会の議長は,前条各項の規定により収支報告書が提出されたときは,必要に応じ,政務調査費の適正な運用を図るための調査を行うことができる。 (政務調査費の返還)11条知事は,会派が交付を受けた政務調査費に係る 規定により収支報告書が提出されたときは,必要に応じ,政務調査費の適正な運用を図るための調査を行うことができる。 (政務調査費の返還)11条知事は,会派が交付を受けた政務調査費に係る収入の総額から当該会派が行った政務調査費に係る支出(第8条第1項各号に掲げる費用に充てたものに限る。)の総額を控除して残余があるときは,当該会派に対し,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。 (収支報告書の保存及び閲覧)12条第9条各項の規定により提出された収支報告書は,これを受理した議会の議長において,これを提出すべき期限の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。 2 何人も,議会の議長に対し,前項の規定により保存されている収支報告書の閲覧を請求することができる。 ウ愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する規程(平成13年3月27日告示第1号。以下「本件規程」という。甲5)(趣旨)1条この規程は,愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する条例(略)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。 (政務調査費の使途基準)4条条例第8条第2項の愛知県議会(略)の議長が定める使途基準は,別表のとおりとする。 (書類等の整理等)8条会派の政務調査費経理責任者は,政務調査費の支出について,会計帳簿を調整し,その内訳を明確にするとともに,証票類等の整理及び保管をし,これらの書類を条例第9条各項の収支報告書を提出すべき期限の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。 (収支報告書の閲覧)9条条例第12条第2項の規定による収支報告書の閲覧は,当該収支報告書を提出すべき期限の翌日から起算して60日を経過する日の翌 まで保存しなければならない。 (収支報告書の閲覧)9条条例第12条第2項の規定による収支報告書の閲覧は,当該収支報告書を提出すべき期限の翌日から起算して60日を経過する日の翌日から,することができる。 (以下略)別表(第4条関係。以下「本件使途基準」という。)政務調査費の使途基準(別表のとおり)エ愛知県財務規則(昭和39年3月25日規則第10号)(出納長及び出納員の審査)24条出納長及び出納員は,支出の命令を受けたときは,これを審査し,当該命令が次の各号のいずれかに該当するときは,その理由を付けてこれを支出等命令者に返送しなければならない。 一年度,会計又は予算科目に誤りがあるとき。 二金額の算定に誤りがあるとき。 三支出の金額が予算配当額(略)をこえているとき。 四債権者に誤りがあるとき。 五支払の方法及び支払時期が適法でないとき。 六契約の締結方法が適法でないとき。 七証拠書類が完備していないとき。 八その他支出の内容又は手続きが法令又は契約に違反しているとき。 2 本件の争点(1) 不当利得返還請求権の存否ア政務調査費の使途は,会派が主体となって行う政務調査活動に限られるか。 イ平成15年4月は,一般選挙(統一地方選挙)が実施されたにもかかわらず,政務調査費のほぼ全額が支出されたことをもって,本件使途基準に反する費用に充てられた蓋然性が高いといえるか。 ウ本件政務調査費の具体的使途は,本件使途基準に反するものか。 (2) 不法行為に基づく損害賠償請求権の存否ア本件政務調査費を平成15年3月に発生した費用に充てることは,地方自 が高いといえるか。 ウ本件政務調査費の具体的使途は,本件使途基準に反するものか。 (2) 不法行為に基づく損害賠償請求権の存否ア本件政務調査費を平成15年3月に発生した費用に充てることは,地方自治法208条1項,2項に反する違法なものか。 イ本件各会派の代表者が,領収書等の証票類の提出を求めることなく,所属の各議員に政務調査費を支給したことは,愛知県財務規則24条に反する違法なものか。 (3) 改選前の会派と改選後の会派との社団としての同一性の有無 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(政務調査費の使途は,会派が主体となって行う政務調査活動に限られるか。)について(原告ら)本件条例に基づいて交付される政務調査費の受給主体は,名実ともに会派であって議員ではない。したがって,政務調査費を充てることが認められる政務調査活動は,会派が主体となって行うものに限られる。このことは,札幌高等裁判所平成16年10月20日判決(以下「札幌高裁判決」という。)においても,判示されている上,次の点からも明らかである。 ア本件条例2条は,「政務調査費は,議会における会派(その所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)に対し,交付する。」と規定し,政務調査費の交付対象を議員ではなく1人会派を含む会派に限定している。 イ本件条例8条1項は,使途基準について,「会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。」と規定した上,調査研究費,研修費,会議費,資料作成費,資料購入費,広報費,事務費,人件費の8つの費目を掲げ,さらに,これを受けた本件使途基準は,いずれも「会派が行う」(会議費は「会派における」)諸々の経費と定めていて,支出が認められる活動の主体を「会派」に限定している。 ウそもそも,本件条例は,地方自治法100条13項, 本件使途基準は,いずれも「会派が行う」(会議費は「会派における」)諸々の経費と定めていて,支出が認められる活動の主体を「会派」に限定している。 ウそもそも,本件条例は,地方自治法100条13項,14項に基づき,愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関し必要な事項を定めるために制定されたものであるところ,同各項が成文化されたのは,地方議員の調査活動基盤の充実を図り,併せて,その使途の透明性を確保するためである。このような制度化の趣旨に照らすと,従来のような柔軟な運用は認められないから,会派が,会派所属の議員に対し,議員の調査研究活動に必要な費用に充てるために政務調査費を支給することは,従来と同様に可能とはいえない。 エ政務調査費が,基本的に住民の税金であり,公金であることにかんがみ,その使途の透明性,公正性を会派に要求していることからすれば,交付対象が会派に限定された政務調査費を,会派を通じて議員の調査研究費に充てることは,本件条例においては認められない。 (被告ら)原告らの主張は争う。 本件各会派が所属議員に政務の調査研究を委託し,政務調査費をそのための費用に充てることは,次のとおり,本件条例及び本件使途基準に反しない。 ア本件各会派は,人格なき社団であり,自然人を通じてのみ政務調査活動を行い得るのであるから,条例に明文の規定がなくても,会派が所属議員に政務の調査研究活動を委託したことによって生ずる費用については,会派の調査研究費として政務調査費から支出することが許容されると解すべきである。 このことは,本件使途基準に,会派の調査委託費が例示されていることからも明らかである。 イ我が国の法制が,私的自治,契約自由を基本原則としている以上,そのような事務の委託契約が認められないような解釈はすべきではないし,本件におい 調査委託費が例示されていることからも明らかである。 イ我が国の法制が,私的自治,契約自由を基本原則としている以上,そのような事務の委託契約が認められないような解釈はすべきではないし,本件においては,形式上の差異こそあるが,本件各会派とも,調査研究活動を所属議員に委託していたものである。 ウなお,原告の援用する札幌高裁判決は,その当否はさておき,政務調査費の交付の根拠となった条例が本件条例と異なる上,少なくとも,政務調査費が議員会会費への一時貸付金として流用されたという異常な事実経過を前提として,被告側が立証活動を放棄したことをもって,違法性を認定したものであるところ,本件における被告らは,本件政務調査費がすべて会派の政務調査活動によって生じた費用に充てられたことを立証しているのであるから,事案を異にしている。 (2) 争点(1)イ(平成15年4月は,一般選挙(統一地方選挙)が実施されたにもかかわらず,政務調査費のほぼ全額が支出されたことをもって,本件使途基準に反する費用に充てられた蓋然性が高いといえるか)について(原告ら)ア改選期における政務調査活動(ア) 政務調査費は,調査研究のために交付されるものであり,選挙活動や政党の一員としての政党活動,政治活動のために,これを使うことは禁止されている。 しかるところ,平成15年4月は統一地方選挙が実施された月であったところ,愛知県議会議員については,同月4日に選挙が告示され,同月13日が投票日とされていたから,現職で立候補した議員は,少なくとも月の半分は選挙活動や政党の一員としての政党活動に従事したはずであり,選挙後も直ちに議員としての調査研究活動をなし得る状況になかった。また,引退予定の議員であっても,後継候補者の当選を目指して全力で選挙応援をしていたことが明らかであるから, 動に従事したはずであり,選挙後も直ちに議員としての調査研究活動をなし得る状況になかった。また,引退予定の議員であっても,後継候補者の当選を目指して全力で選挙応援をしていたことが明らかであるから,同月中に,例えば,調査研究費を充てることが許される調査研究活動などをする余裕があったはずがない。 したがって,同月分の政務調査費の支出はゼロに限りなく近いか,あったとしても,選挙のなかった年を下回る額(時間的な比率で見れば,選挙のなかった年全体の24分の1)となるはずである。 (イ) この点について,被告らは,選挙期間中であっても,会派としての政務調査活動を継続している旨主張するが,被告らは,単に「政務調査のための宿泊費,交通費等に使った。研修会が開かれ,参加費,会場費等に使った。」などと主張するだけで,具体的にどのような調査活動を行ったか,いつ,どのような研修会や会議が開かれたのかなどについて一切明らかにしていないが,このことは,調査研究活動を行っていなかったからであるとしか考えられない。 イ平成15年4月における本件各会派の支出額本件各会派の平成15年4月分の政務調査費は,ほぼ全額が支出されており,その割合は平成14年度の調査研究費のほぼ12分の1であるところ,次のとおり,①平成15年4月分の支出が他の年度の月平均額を超える費目,②飲食代のように選挙運動のためであると強く疑われる費目,③調査研究費の費目,④そのほか支出金額が突出している費目については,選挙活動その他政務調査費として支出が許されない事項に対して支出された蓋然性が極めて高いというほかない。 (ア) 自民党県議団a 調査研究費(2623万円)他の年度の月平均額とほぼ同額であり,選挙のあった月としては異常に多額である。 b 会議費(295万4500円)費用弁償は,会議費に含 かない。 (ア) 自民党県議団a 調査研究費(2623万円)他の年度の月平均額とほぼ同額であり,選挙のあった月としては異常に多額である。 b 会議費(295万4500円)費用弁償は,会議費に含まれないし,選挙対策のための支出であることが明白である。 c 資料購入費(73万3346円),事務費(54万154円)及び人件費(4万2000円)いずれも他の年度の月平均額を超え,選挙のあった月としては異常に多額である。 (イ) 民主党県議団a 調査研究費(237万8621円)選挙のあった月としては,異常に多額である。 b 研修費(47万5130円)と会議費(93万7024円)食事代が入っているが,政務調査費で飲食代に充てることは認められないし,選挙活動のためと思われる。 c 資料作成費(90万4708円),広報費(221万3451円),事務費(179万6104円)及び人件費(279万0403円)これらは,いずれも他の年度の月平均額を超えており,異常に多額である。 d 資料購入費(50万4559円)他の会派と比較して金額が突出しており,異常に多額である。 (ウ) 公明党県議団a 調査研究費(215万2016円)選挙のあった月としては異常に多額である。 b 事務費(106万1853円)他の年度の月平均額を超えている。 c 人件費(5万円)月間5万円で雇用できる職員など考えられない。 (被告ら)原告らの主張は争う。 ア改選期における政務調査活動平成15年4月1日の時点で愛知県議会議員の地位を有していた議員は103名であるが,そのうち15名は既に引退を表明していたので,同月4日に告示された選挙について,選挙活動は必要なかった。無論のこと,引退を表明した議員といえども,同月29日に議員の任期が満了するまでは議員としての地位を有しており,会 引退を表明していたので,同月4日に告示された選挙について,選挙活動は必要なかった。無論のこと,引退を表明した議員といえども,同月29日に議員の任期が満了するまでは議員としての地位を有しており,会派の政務調査活動を含む議員活動を継続した。また,前記103名のうちで,継続当選した議員は79名であるが,そのうち23名は無投票当選であった。こうした議員については,実質的な選挙活動を行うことなく,会派の政務調査活動を選挙のない月と同様に行っていた。 さらに,平成15年4月分の政務調査費には,同月中に発生し同月中に支払われたもののほか,同年3月までの政務調査活動に使われたものの,4月に入って請求ないし支払があったものも含まれており,4月に選挙が行われたとしても,政務調査費がほぼ全額を要する程度の金額になることに合理性があることは明らかである。 イ各会派の比較また,本件各会派以外の愛知県議会の各会派においても,平成15年4月分の政務調査費の支出額の平成15年度中の支出額に占める割合は,本訴の対象となっていない共産党県議団が8.5パーセント,愛知県議員団県政同志会が8.8パーセント,自由党愛知県議会議員団が7.1パーセント,愛知県議会新世紀の会が8.3パーセントとなっており,これらの会派も選挙がない月と同様の割合で支出している。 (3) 争点(1)ウ(本件政務調査費の具体的使途は,本件使途基準に反するものか。)について(原告ら)本件政務調査費は,議員個人に支給された調査研究費及び会派の共通経費として支出されたもののいずれについても,本件使途基準に反する。 ア議員個人に支給された調査研究費本件調査研究費のうち本件各会派を通じて各議員に支給された次の金額については,特段の事情のない限り,本件使途基準に適合しない。 (ア) 自民党県議団 2623万 。 ア議員個人に支給された調査研究費本件調査研究費のうち本件各会派を通じて各議員に支給された次の金額については,特段の事情のない限り,本件使途基準に適合しない。 (ア) 自民党県議団 2623万円a 自民党県議団所属の各議員に支給された平成15年4月分の調査研究費2623万円は,平成14年度分のそれのほぼ12分の1であって,端数のない丸い金額になっているが,このような偶然が生ずるはずがないから,架空の費用計上に相違ない。 b 被告らは,会派から所属の各議員あての委任状(丙5)が存在することを理由に,各議員が行った調査研究活動が全て会派から委任を受けた政務調査活動となり,議員が会派に政務調査費を請求する根拠となる旨主張する。 しかしながら,①上記委任状は,平成14年4月における委任状の控えにすぎず,平成15年4月には委任状の交付がないから,委任はなされていないし,②仮に,上記委任状が,平成15年4月についても委任を継続する趣旨であったとしても,同委任状は,調査事項を包括的に定めているところ,このような包括的な委任が許されれば,議員個人が行ったあらゆる調査研究活動が本件条例に基づく政務調査活動に当たることになって,会派の調査研究活動に限定する本件条例の趣旨に反するから,いずれにしても,委任の効力は認められない。 c さらに,政務調査費のうち水道光熱費は,所属議員個人の事務所のために支出されているところ,そのような事務所は,通常,政務調査活動のためだけの事務所とはいえないから,本来ならば議員個人が負担すべきであって,政務調査費が充てられるべきではない。 (イ) 民主党県議団 1166万4000円民主党県議団に交付された政務調査費のうち,所属各議員に支給された合計1166万4000円は,本件使途基準に適合しない。 a 民主党県議団は,所属 はない。 (イ) 民主党県議団 1166万4000円民主党県議団に交付された政務調査費のうち,所属各議員に支給された合計1166万4000円は,本件使途基準に適合しない。 a 民主党県議団は,所属各議員が支出した事務所の光熱費,ガソリン代及び広報誌の印刷代について,具体的な政務調査活動に要するものかどうかを確認することなく,それらの金額の一定割合(この割合自体も議員の自己申告で決まる。)を政務調査活動のために使用したものとみなして,政務調査費を各議員に支給しているが,このような方法では,会派の政務調査活動とは関係のない費用に政務調査費が充てられることになりかねない。 例えば,C議員は,同人の後援会が発行している県政レポート(丙14)の発行費用のうち4分の3を政務調査活動に要した費用として会派に報告したとのことであるが,同レポートの内容は,県政のごく一部の報告と同人の議員活動の宣伝だけであるから,およそ会派の行う政務調査活動とは関連性がないし,また,同議員が借りている事務所の水道光熱費も,会派が行う政務調査活動とは無関係に必要となる経費である。このような点は,民主党県議団の他の各議員についても,共通であると推認できる。 b したがって,民主党県議団の各議員に支給された金員のうちかなりの部分が会派の行う政務調査活動とは関係のない費用に充てられたことが明白であり,しかも,会派の政務調査活動に充てられた旨の立証がなされていないのであるから,これらは,本件使途基準に適合しない。 (ウ) 公明党県議団 337万2035円公明党県議団に交付された政務調査費のうち,所属各議員に支給された合計337万2035円は,本件使途基準に適合しない。 a 公明党県議団に所属する議員は,政務調査費で,ノートパソコン及びデスクトップパソコンを購入しているが,その 査費のうち,所属各議員に支給された合計337万2035円は,本件使途基準に適合しない。 a 公明党県議団に所属する議員は,政務調査費で,ノートパソコン及びデスクトップパソコンを購入しているが,そのうちノートパソコンは議員が持ち歩き,デスクトップパソコンは議員事務所兼用の自宅にあるとされるが,議員の活動が会派の政務調査活動に尽きるものではなく,個人の調査活動や,政治活動,請願や陳情への対応など,多種多様な内容を含むことからすれば,少なくとも上記パソコン2台については,会派の政務調査活動のみに使用されているわけではない。 b さらに,政務調査費から所属議員の事務所の3月分の水道光熱費が支払われているが,議員の事務所は会派の政務調査活動のみを行う場所ではなく,議員の様々な活動を行う拠点として設置され,利用されるものであるから,会派の政務調査活動のためにのみ利用されたとはいえない。 c 政務調査費の一部は,陳情,要望に対応するための費用に充てられているが,陳情,要望を受けることは,政務調査活動というよりむしろ政治活動というべきであるから,テーマが会派の重点項目に該当していたとしても,会派の政務調査活動とはいえない。 イ本件各会派の共通経費本件各会派の共通経費分についても,次のとおり,会派の政務調査活動に支出した費用といえないものがある。 (ア) 自民党県議団 427万円a 自民党県議団の共通経費分の支出内訳は,会議費295万4500円,資料購入費73万3346円,事務費54万0154円,人件費4万2000円となっており,合計額が端数の出ない427万円となっている。同県議団では,共通経費として1人当たり月額7万円(合計427万円)を概算で徴収しているところ,同金額と実際に支出した共通経費が1円単位までぴったり一致するような偶然はあり得な 7万円となっている。同県議団では,共通経費として1人当たり月額7万円(合計427万円)を概算で徴収しているところ,同金額と実際に支出した共通経費が1円単位までぴったり一致するような偶然はあり得ないから,この中には一部作為的になされた虚偽の支出があるに違いない。 b 自民党県議団は,「会議費」中の「県政調査会議等出席者費用弁償」として,1回当たり1万5000円の費用弁償金(合計238万5000円)を支出しているが,そもそも,本件使途基準では,「会議費」を「会派における各種会議に要する会場・機材借上費,資料印刷費等の経費」と定め,政務調査活動のために要した会議の実費を想定していることが明らかであるから,議員に対する費用弁償などはこれに含まれないと解すべきである(この意味で自民党県議団が定めている「自由民主党愛知県議員団政務調査費支出基準要綱」(以下「自民党基準要綱」という。)のうち「会議費」に関する部分は本件使途基準に反し,違法である。)上,そのような会議は,そもそも会派の維持・運営に必要な会議であって政務調査のためのものとはいえないから,費用弁償金相当額は本件使途基準に適合しない。 c 自民党県議団の経理責任者が保存している共通経費分の帳票類は,会派が県政に関する政務調査活動を行ったことに係る文書であるから,会派の県民に対する説明責任を果たす見地からも開示が望まれ,裁判所に証拠として提出しない合理的理由は全くない。このように,政務調査費の支出の正当性を証明する機会が与えられながら,理不尽にも提出しない自民党県議団の態度からすれば,支出を裏付ける的確な立証がないというべきである。 (イ) 民主党県議団 33万6000円民主党県議団は,政務調査費のうち上記金額を平成15年4月分の新聞の購読料,コピー機などのリース料,電話料,インター ける的確な立証がないというべきである。 (イ) 民主党県議団 33万6000円民主党県議団は,政務調査費のうち上記金額を平成15年4月分の新聞の購読料,コピー機などのリース料,電話料,インターネット接続料などの共通経費に充てたと主張するが,会派の活動は,政務調査活動に限らず,政治活動や広報活動も含むことからすれば,会派の政務調査目的に限定して購読をしているものとはいえない新聞の購読料や使途を限定できないコピー機のリース料の支出は,少なくとも政務調査活動に支出したとはいえない。 (ウ) 公明党県議団 12万0559円公明党県議団は,政務調査費のうち上記金額を平成15年4月分の新聞や雑誌等の購入代金,ファクシミリのリース代,文房具などの事務用品代に支出したと主張するが,(イ)と同様,会派の活動は,政務調査活動に限らず,政治活動や広報活動も含むことからすれば,会派の政務調査目的に限定して購読をしているものとはいえない新聞の購読料や使途を限定できないファクシミリのリース料,事務用品代の支出は,少なくとも政務調査活動に支出したとはいえない。 (被告ら)原告らの主張は争う。 ア議員個人に支給された調査研究費本件各会派から,所属各議員に支給された調査研究費は,次のとおり,いずれも本件使途基準に反するものではない。 (ア) 自民党県議団a 自民党県議団は,県民の県行政に対する複雑かつ多様な要請に応える議会活動を展開するために,所属各議員に対して,会派が行う各種事項についての調査研究活動を毎年おおむね4月(選挙の行われる年は5月)に包括的に委託し,各議員は,それぞれの分野において会派のために調査研究活動を行っているところ,本件政務調査費に関しては,平成14年4月に各議員に対し,同月付けの委任状をもって,県政振興に関する事項等の県政各般に ,各議員は,それぞれの分野において会派のために調査研究活動を行っているところ,本件政務調査費に関しては,平成14年4月に各議員に対し,同月付けの委任状をもって,県政振興に関する事項等の県政各般に関する事項について調査研究活動を委託し,平成15年4月分についても調査研究活動を引き続き委託することを確認している。 b そして,自民党県議団においては,自民党基準要綱を定めて支出の基準を明確化し,さらに,「自由民主党愛知県議員団政務調査活動費取扱要領」(以下「自民党取扱要領」という。)を定め,支出項目及び主な支出の内容を明示することによって,自民党基準要綱が定める支出基準をより具体的に明らかにしている。 これらに従って,所属の各議員は,原則として各月の10日までに,「政務調査研究活動実績報告書」を団長あてに提出するが,これには,「活動の概要」欄に,各議員が前月に行った「産業廃棄物の状況調査」,「介護の状況調査」等の具体的な活動を記載し,「主な内容」欄にその活動に要した経費の内訳を記載することになっている。そして,経理責任者が同報告書を確認し,疑問があれば説明を求め,是正が必要であれば是正の上,その結果を団長に報告し,団長の承認が得られると,政務調査費の中から経費を支給する方法を取っている。 平成15年4月分の政務調査費については,1月分のみの収支報告書を提出することを要したため,4月28日までに実績報告書が提出されているところ,その内容には,特段問題となるような記載はなかった。 c なお,原告らは,①調査研究費2623万円は,端数がない数字になっており,こんな偶然が起きるはずがない,②光熱費が支払われている議員個人が借りている事務所の水道光熱費は,会派の政務調査活動のための費用とはいえないなどと主張するが,①については,各議員から提出され おり,こんな偶然が起きるはずがない,②光熱費が支払われている議員個人が借りている事務所の水道光熱費は,会派の政務調査活動のための費用とはいえないなどと主張するが,①については,各議員から提出された報告書の記載の金額は,50万円から共通経費分7万円を控除した43万円をいずれも超えていたため,議員1人当たり43万円(61名分は2623万円)が支給されたのであって,原告らの主張は単なる邪推であり,②についても,その事務所は,当該議員が自民党県議団からの委託を受けた事項に係る調査研究活動を行うためのものであり,当該議員が通常の政治活動や講演会活動を行ったりする事務所の費用は含まれていない。 (イ) 民主党県議団a 民主党県議団においては,各議員が個別にあるいはそれぞれが所属する民主党県議団の研究会等の一員として会派の政務調査活動を行っているところ,政務調査活動については,県議会の8つの常任委員会にほぼ対応する民主党県議団内の研究会(会派の依頼に基づいて結成される。)で基本的な方針を決定している。したがって,各議員の行う調査研究活動についても会派の基本的な方針や課題に沿って行われたものであって,会派の政務調査活動の一環であることは明らかである。 b 民主党県議団においては,「民主党愛知県議員団政務調査費支出基準要綱」(以下「民主党基準要綱」という。)及び「政務調査活動費取扱要領」(以下「民主党取扱要領」という。)を定め,これを団員に周知徹底して支出の適正化を確保している。 c 実際の支出に当たっては,通常の場合は一人当たり50万円のうちの10万円を会派の政務調査活動に必要な共通経費として控除し,残りの40万円を,会派の政務調査活動として行った実績に応じて各議員に対し後払で振り込むこととしている。そして,各議員は,毎月5日までに,原則とし を会派の政務調査活動に必要な共通経費として控除し,残りの40万円を,会派の政務調査活動として行った実績に応じて各議員に対し後払で振り込むこととしている。そして,各議員は,毎月5日までに,原則として前1か月間の会派の政務調査活動に要した経費を政務調査活動実績報告書に記載して,団長あてに提出する。その後,まず経理責任者が同報告書の記載をチェックし,本件使途基準に適した支出か否かを判断する。この報告書には,「活動の概要」の欄にどのような活動をしたのかが記載され,各費目の箇所に,調査研究等の内容が記載されており,こうした「活動の概要」欄,「費目」欄,「金額」欄及び「主な内容」欄の記載により,支出費目や金額の妥当性等が判断されるのであるが,このチェックの際は,同報告書の外形的な記載だけでなく,普段から経理責任者において掌握している各団員の政務調査活動に対する日常の取組状況,経理責任者自らの経験等に照らして支出項目や金額の妥当性を判断しており,十分な情報に基づいて適切なチェックがなされている。その上で,同報告書の記載に疑義があれば,本人に直接具体的内容を問いただしたり,領収書を確認するという作業もなされているから,必要かつ十分なチェックが行われていることは明らかである。そして,経理責任者のチェックを経た上で団長に報告がなされ,最終的に各議員への政務調査費の支出が承認され,共通経費を頭割りした金額を50万円から除いた金額を上限として各議員に政務調査費が支給されていたものである。 d 平成15年4月分の政務調査費については,任期が同月29日までであったため,各議員に対して,前月分までに行った政務調査活動に要した費用で請求が4月になったものと,同年4月1日から同月25日までの間(無投票で当選した議員や勇退を表明した議員は全期間。その他の議員は選挙 め,各議員に対して,前月分までに行った政務調査活動に要した費用で請求が4月になったものと,同年4月1日から同月25日までの間(無投票で当選した議員や勇退を表明した議員は全期間。その他の議員は選挙期間である4月4日から同月13日までを除外した期間)の政務調査活動に要した費用で,既に支払った費用と請求により確定した費用を加えた金額について,政務調査活動実績報告書が提出されている。その上で,同報告書の各項目の金額の合計と共通経費として支出された金額を各費目ごとに総計すると1200万円を超えたことから,収支報告書の各費目の合計金額が1200万円になるように案分比例した金額が収支報告書に記載されており,同報告書は政務調査活動に要した費用の全額が記載されているわけではない。 e なお,原告らは,各議員が賃借している事務所の水道光熱費やガソリン代について,本件使途基準に適合しない旨主張するが,これらの費用の全額を政務調査活動実績報告書に計上するのではなく,そのうち会派の政務調査活動に要した分を案分して計上しているのであり,案分に当たっては,上記のとおり,合理的なチェックがなされており,本件使途基準に適合していることはいうまでもない。また,広報費には,県政レポートや県政報告等を各議員が作成した費用が含まれるが,これについても全額を政務調査費の対象としているわけではなく,例えば,C議員の場合,4枚にわたる県政レポートのうち,県政に関わる3枚分に相当する部分を政務調査費の対象としているのであって,適切に運用されている。 (ウ) 公明党県議団a 公明党県議団においては,原則として,県政に関する調査研究活動を会派から各議員に委託して行うこととしており,そうした調査研究活動に要する経費について,政務調査費の支出の対象としていたが,調査研究活動の委託につ においては,原則として,県政に関する調査研究活動を会派から各議員に委託して行うこととしており,そうした調査研究活動に要する経費について,政務調査費の支出の対象としていたが,調査研究活動の委託については,会派の総会において活動項目が確認されていた。すなわち,平成14年度においては,平成13年12月に開かれた公明党県議団の総会において,公明党愛知県本部が定めた「平成14年度重点政策」を政務調査費の支出の対象となる調査研究活動とすることを確認し,各団員が受け持つ調査研究活動のテーマも相当程度特定されていたものであって,そうしたテーマを受けて各団員が各々行った調査研究活動が,会派としての政務調査活動に該当することは疑問の余地がない。また,陳情要望に対する対応についても,県政の問題に係るものであるか否か,「平成14年度重点政策」に合致しているかなどを経理責任者においてチェックした上,政務調査費の支出を行っていたのであって,陳情要望への対応すべてに政務調査費の支出を認めていたものではない。 b 調査研究費は,調査研究活動に伴う旅費交通費(タクシー代やガソリン代,高速道路料金)や宿泊費等が主力であり,調査研究活動の一部を第三者に委託した際の委託料も含まれている。いずれにせよ会派の政務調査活動に係る分が計上されているものであって,合理的な費用である。 c 平成15年4月分の公明党県議団の政務調査費の中に,水道光熱費として支出されたものがあるが,それは団員が確保している事務所の水道光熱費に充てられている。当該事務所は,会派の政務調査活動に係る活動のための事務所であり,そのことは経理責任者において確認している。したがって,その水道光熱費を政務調査費から支出することは何ら問題ない。公明党県議団においては,選挙期間中の選挙活動については別に選挙事務所 事務所であり,そのことは経理責任者において確認している。したがって,その水道光熱費を政務調査費から支出することは何ら問題ない。公明党県議団においては,選挙期間中の選挙活動については別に選挙事務所を確保しているため,通常の議員活動とは完全に区別されているし,選挙期間以外においても,選挙を目的とした活動は党が中心になって進めるために,議員個人の後援会活動というものはほとんどない。したがって,議員個人が普段確保している事務所の水道光熱費を政務調査費から支出することは本件使途基準に反しない。 d また,パソコンの購入については,会派の政務調査活動用に使用していた従来のパソコンの記憶容量が限界に達したことや,議員の個人的な議員活動用のパソコンと共用すれば,情報の流出等の危険があったことから,別個に必要となったものであり,当該議員に対しても政務調査活動以外には使わないことを十分に理解させているところであるから,本件使途基準に反しない。 イ本件各会派の共通経費本件各会派が,共通経費として支出した政務調査費は,次のとおり,いずれも本件使途基準に反しない。 (ア) 自民党県議団a 会議費 295万4500円自民党県議団は,会派の調査研究活動の一環として,総会,役員会,調査会議等の各種会議を開催するが,平成15年4月中は,合計6回,会議を開催し,延べ159名の議員がこれらの会議に出席した。自民党県議団では,自民党基準要綱によって,これらの会議に出席する議員に対して,「県政調査会議等出席者費用弁償」として,1回当たり1万5000円を支給しており(なお,この金額は,「県議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例」4条2項に規定する県内を旅行するときの旅費の基準額である1日につき1万5000円に準じたものである。),この費用弁償に要した金額は,合計 この金額は,「県議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例」4条2項に規定する県内を旅行するときの旅費の基準額である1日につき1万5000円に準じたものである。),この費用弁償に要した金額は,合計238万5000円となった。このほか,会議の際の茶菓等の飲食代等として,合計56万9500円を支出している。なお,これらの会議は,選挙とは一切関係のない会派の政務調査活動に関するものばかりであったことはいうまでもない。 b 資料購入費 73万3346円自民党県議団は,自由民主党が発行する「自由民主」と「月刊自由民主」を議員1人当たり1部を購入して各議員に渡し,会派の政務調査活動に用いてもらっているが,これらの機関誌は年間購読が基本であり,その代金は,申し込みと同時に1年分を一括して支払う契約となっている。 そのため,平成15年4月に,これらの機関誌の年間購読料として合計67万7880円を支払っている。このほか,自民党県議団は,会派の議員執務室で各種新聞等を購読しており,その4月分の代金として合計5万5466円を支払っている。 c 事務費自民党県議団は,会派としての連絡事務や各種会議の出席等に利用するタクシー代等のうちの3月分や,議員執務室で使うファックス,コピー機のリース代,筆記用具などの文房具類等の代金などの経費として,54万0154円を支払っている。 d 人件費自民党県議団は,会派が行う政務調査活動を補助する職員の4月分の人件費として,4万2000円を支出している。なお,この金額は,自民党県議団では会派の政務調査活動の補助として自由民主党愛知県支部連合会の職員1名に応援に来てもらい,自民党県議団における仕事量に相当する分として支払われたものである。 (イ) 民主党県議団平成15年4月分についていえば,通常の月と異なり,民主党県議団全 県支部連合会の職員1名に応援に来てもらい,自民党県議団における仕事量に相当する分として支払われたものである。 (イ) 民主党県議団平成15年4月分についていえば,通常の月と異なり,民主党県議団全体の政務調査活動(会議や研修会等)は行っていないため,共通経費は33万6000円であった。 もっとも,会派全体の政務調査活動がなかったとしても,会派の政務調査活動のための新聞・地方行政誌等の資料購入費,コピー機のリース料,電話料金,インターネット接続料などの固定費のたぐいは当然発生するのであるから,一定程度共通経費が発生することは全く不思議はない。 (ウ) 公明党県議団平成15年4月においても,会派の控室で購入している新聞・雑誌等の購入費や同室に設置されているファクシミリのリース料は,いずれも政務調査活動に不可欠な費用であり,何ら問題はない。 (4) 争点(2)ア(本件政務調査費を平成15年3月に発生した費用に充てることは,地方自治法208条1項,2項に反する違法なものか)について(原告ら)ア地方自治法208条の趣旨被告らは,平成15年3月に発生した費用を同年4月分の政務調査費から支出している。しかしながら,政務調査費は,地方自治法100条13項に基づいて条例で支給することが認められたものであるところ,同法208条1項は,普通地方公共団体の会計年度を毎年4月1日から翌年3月31日までと定め,同条2項は,各会計年度における歳出はその年度の歳入をもって充てると規定しているから,政務調査費の支出に関しても,会計年度を超えて支出することは同条に反する。 このことは,本件条例9条1項柱書きが,「会派の代表者は,当該会派の前年度における次に掲げる事項を記載した政務調査費に係る収入及び支出の報告書(略)を,毎年4月30日までに,議会の議長に提出しな 。 このことは,本件条例9条1項柱書きが,「会派の代表者は,当該会派の前年度における次に掲げる事項を記載した政務調査費に係る収入及び支出の報告書(略)を,毎年4月30日までに,議会の議長に提出しなければならない。」と定め,同項2号で,前年度の「政務調査費に係る支出の総額並びに前条第1項各号に掲げる費用ごとの支出の額及び主たる支出の内訳」を報告する旨定めていること,本件のように,年度途中に選挙が行われた場合は,同条2項が「会派が解散したとき,又は議会の議員の任期満了若しくは議会の解散に伴い会派が消滅したときは,その代表者であった者は,当該年度の4月から当該会派が解散し,又は消滅した日の属する月までの間における収支報告書を,その翌月の末日までに,議会の議長に提出しなければならない。」と定め,これらが当該支出を行った期間に交付された政務調査費から支出することを前提としていることなどからも裏付けられる。 イ被告らの主張に対する反論この点について,被告らは,地方自治法や本件規程に,当月内の政務調査活動のために支出された経費以外には支出できないことを定めた規定がないことを理由に,3月中に発生した経費への充当を正当化するが,本件条例は,支給年度又は支給期間に支出したものに対してのみ政務調査費を充てることを予定していると見られることに加え,地方自治法208条の例外的取扱いを主張するものであるから,年度又は支給期間をまたいだ支出を正当化する地方自治法上の明文の規定を必要とすべきである。 (被告ら)原告らの主張は争う。 ア地方自治法208条の適用範囲地方自治法208条は,普通地方公共団体に適用されるものであるが,同法に根拠のある支出を受ける団体すべてに当然に適用されるものではない。 原告らは,この点について,政務調査費が同法100条13項に基づいて 自治法208条は,普通地方公共団体に適用されるものであるが,同法に根拠のある支出を受ける団体すべてに当然に適用されるものではない。 原告らは,この点について,政務調査費が同法100条13項に基づいて交付が認められたものであるから,同法208条による規制を受ける旨主張するが,地方議会の会派は地方公共団体とは別個の存在であることは当然であって,そうした会派が同法208条の規制を受ける理由は全くない。本件各会派がどのような会計年度や歳入歳出区分を採用するかについては,同法208条違反の問題は生じないというべきである。 また,そもそも,同法208条は,会計年度をまたがった支出をすることを一律禁止するものではなく,一定の基準の下に,歳入歳出の年度区分を定めるものであり,例えば,賃借料,水道光熱費,電信電話料の類で,その支出の原因である事実の存した期間が2年度にわたるものについては,支払期限の属する年度の歳出とされ(地方自治法施行令(以下「施行令」という。)143条1項3号ただし書),工事請負費,物件購入費,運賃の類及び補助費の類で相手方の行為の完了があった後に支出するものについては,当該行為の履行があった日の属する年度の経費が債権者の請求がなかったことにより支払われなかったなどの場合,会計年度独立の原則の例外として,過年度支出も許容されている(施行令165条の8)。 イ本件条例9条の趣旨さらに,原告らは,本件条例9条を援用するが,同条は,あくまで収支報告書の記載事項とその提出を定めたものであり,地方自治法208条を前提とした規定ではなく,政務調査費の交付を受けた会派がどのような会計年度や歳入歳出区分を採用すべきかを定めた規定でもない。会派が,その発生原因が生じた時で支出を区分する発生主義を採用するか,あるいは実際に現金を支出した時で支出を区 交付を受けた会派がどのような会計年度や歳入歳出区分を採用すべきかを定めた規定でもない。会派が,その発生原因が生じた時で支出を区分する発生主義を採用するか,あるいは実際に現金を支出した時で支出を区分する現金主義を採用するかは,本件条例9条により定まるものではなく,あくまで会派の自律的な判断によるものである。 (5) 争点(2)イ(本件各会派の代表者が,領収書等の証票類の提出を求めることなく,所属の各議員に政務調査費を支給したことは,愛知県財務規則24条に反する違法なものか)について(原告ら)本件各会派のそれぞれの政務調査活動費取扱要領は,各所属議員が団長あてに毎月の実績報告書を提出するに際し,領収書等の証票類の提出を要求しない扱いであって,団長が疑義があると認めるときのみ提出を求めることができるとしており,それゆえ本件各会派の団長は,実績報告書の記載をうのみにして,その裏付けとなる証票類の調査も行わずに記載されたとおりの調査研究活動があったものとして各議員に所定の政務調査費を支給している。 ところで,愛知県財務規則24条は,出納長及び出納員に対して証拠書類の確認を義務付けているところ,本件政務調査費も後日精算が予定される公金であることから,本件各会派の経理責任者にもその趣旨を類推適用して,証票類の確認義務があると解すべきである。 したがって,上記のような団長の行為は,政務調査費の使途・内訳を適正に調査,確認すべき注意義務に違反したものとして,民法709条の不法行為を構成し,被告は,本件各会派に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しなければならない。 (被告ら)原告らの主張は争う。 ア損害不発生仮に,本件各会派の団長が,領収書等の証票類を確認することなく政務調査費の支出行為を行っていたとしても,それが本件条例所定の政務調査費と ばならない。 (被告ら)原告らの主張は争う。 ア損害不発生仮に,本件各会派の団長が,領収書等の証票類を確認することなく政務調査費の支出行為を行っていたとしても,それが本件条例所定の政務調査費として適正に支出されておれば,損害が発生せず,不法行為責任は成立しない。 イ確認義務の不存在原告らは,本件各会派の団長が,政務調査活動実績報告書を徴収する際,地方自治体の出納長・出納員が審査するのと同様に,領収書類を調査,確認しなければならない義務がある旨主張する。 しかしながら,根拠とする愛知県財務規則は,施行令173条の2の規定に基づき,普通地方公共団体の財務に関し必要な事項を定めるものであって,普通地方公共団体やその機関ではない会派に適用されるものでないことは明らかであり,また,各会派に交付された政務調査費は,残余があった場合には返還する義務があるものの,返還するまでは各会派が自ら定める規定に基づいて自らの資金として管理するものであって,同規則の適用を受ける愛知県の「公金」ではない。補助金についても,同規則は補助金の交付を受けた団体が当該補助金をどのように管理するかについてまで定めるものではない。 したがって,愛知県財務規則24条を本件各会派の団長に類推適用することはできない。 なお,本件規程8条は,会派の経理責任者に対し,証票類等の5年間の保管を義務付けているが,その保管方法について,各議員に整理保管を委任することを禁止しているわけではないところ,公明党県議団については,調査研究費の支給に当たっては,公明党愛知県議員団調査研究活動費取扱要領(以下「公明党取扱要領」という。)の定めにかかわらず,経理責任者が現実に各議員から証票類等の提出を受け,整理保管しているし,また,自民党県議団と民主党県議団については,いずれも会派に所属する各議員 (以下「公明党取扱要領」という。)の定めにかかわらず,経理責任者が現実に各議員から証票類等の提出を受け,整理保管しているし,また,自民党県議団と民主党県議団については,いずれも会派に所属する各議員の数が多く,証票類の量が多くなることから,政務調査を委託した各議員に,それぞれの政務調査に係る支出の証票類等について整理保管を委任し,必要なときにはすみやかに提出,確認できるようにしており,各議員も5年間の保管義務を負担しているから,本件規程に反するものではない。 (6) 争点(3)(改選前の会派と改選後の会派との社団としての同一性の有無)について(原告ら)本件各会派は,権利能力なき社団であるところ,改選前の旧会派も改選後の新会派も,会派の設立目的や構成員,活動内容の面などからみれば,同一の社団である。被告らは,本件条例9条2項の規定を根拠として,両者の同一性を否定するが,会派に法人格が付与されていれば,この規定を根拠として別の団体であると解釈することが正当であるとしても,本件各会派は,権利能力なき社団であるから,そのような解釈は正当でない。 (被告ら)議員は,任期満了によりその地位を喪失するものであるところ,会派は,議員の地位を離れては存在し得ず,したがって,任期満了により会派を構成する議員のすべてがその地位を喪失すれば,会派も消滅せざるを得ない。本件条例9条2項は,この理を当然の前提としており,平成15年4月29日をもって,従前存在した7会派はすべて消滅したといわざるを得ない。改選前の会派が,同じ政党を基礎とし,同じ名称を用い,構成員の大半が重複している例があるとしても,それらは新会派創設の手続を改選後に改めて採っているのであり,法的には別個の組織ないし団体と見ざるを得ない。したがって,改選前の会派の債務を新会派が引き継ぐことはない 重複している例があるとしても,それらは新会派創設の手続を改選後に改めて採っているのであり,法的には別個の組織ないし団体と見ざるを得ない。したがって,改選前の会派の債務を新会派が引き継ぐことはないというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 主張立証責任の所在及び立証の程度について(1) 原告らは,本訴において,本件各会派に交付された本件政務調査費が本件条例及び本件規程で定められた本件使途基準に反して費消されたことを理由とする不当利得の返還と,その支出が地方自治法208条や愛知県財務規則24条に反することを理由とする損害賠償を本件各会派に請求するよう被告に対して求めているところ,後者の請求の前提となる愛知県の本件各会派に対する損害賠償請求権については,原告らがその発生原因事実について主張立証すべきものであることは明らかである。 (2) 次に,不当利得の返還を請求するよう求める訴えについて検討するに,政務調査費は,地方自治法100条13項に基づいて,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会における会派又は議員に対し,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付することが認められた経費であるところ,同項に基づいて交付対象や交付方法等を定めた本件条例11条は,「知事は,会派が交付を受けた政務調査費に係る収入の総額から当該会派が行った政務調査費に係る支出(第8条第1項各号に掲げる費用に充てたものに限る。)の総額を控除して残余があるときは,当該会派に対し,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。」と規定しており,その文言からは,知事は返還を求めるか否かにつき裁量権を有するかのごとき印象を受けることは否定できない。 しかしながら,使途が限定された政務調査費として交付された金員が,定められた使途以外の おり,その文言からは,知事は返還を求めるか否かにつき裁量権を有するかのごとき印象を受けることは否定できない。 しかしながら,使途が限定された政務調査費として交付された金員が,定められた使途以外の費用に充てられた場合,交付を受けた会派が当該金員を返還しなければならないことは当然のことと考えられ,かつその請求権が不当利得返還請求権の性質を有することも明らかというべきである。したがって,本件条例11条は,この当然の事理を確認したものと解するのが相当である。 (3) そうすると,本件においては,まず,本件政務調査費が,本件使途基準で定められた使途以外の費用に充てられたかどうかが問題となるところ,不当利得返還請求訴訟においては,法律上の原因の不存在が不当利得返還請求権の発生要件とされているのであるから,一般的には,その返還を求める者において,受益者が「法律上の原因なく」当該利益を得たとの事実を主張立証すべきである(最高裁判所昭和39年4月7日第三小法廷判決・集民73号35頁,最高裁判所昭和59年12月21日第二小法廷判決・集民143号503頁参照)。もっとも,不当利得の返還を求める者が「法律上の原因なく」の事実の主張立証責任を負うといっても,およそ考えられる一切の法律上の原因の不存在を主張立証しなければならないものではなく,その類型や証拠との距離を考慮しつつ,当該事案において通常考えられる程度に財貨移転の正当化原因が存在しないことを主張立証した場合には,相手方においてこれを正当化する具体的事情につき反証する必要を生ずるというべきである。 これを本件についてみると,原告らが,愛知県への不当利得の返還を請求するよう求めている以上,本件政務調査費が本件使途基準の定める使途に充てられなかった事実は,原告らにおいて主張立証すべきものであるが,その使途に いてみると,原告らが,愛知県への不当利得の返還を請求するよう求めている以上,本件政務調査費が本件使途基準の定める使途に充てられなかった事実は,原告らにおいて主張立証すべきものであるが,その使途についての証票類等の証拠は,本件各会派が保存すべきものとされている(本件規程8条)ことに照らすと,原告らとしては,交付された本件政務調査費の具体的使途を特定して主張立証し,それが本件使途基準を逸脱することを明らかにするまでの必要はなく,例えば,本件各会派が本件政務調査費を支給するに際し,その使途について所属議員から領収書等を徴するなどの管理を一切行っていないなど,本件政務調査費が本件使途基準の定める使途に充てられなかったことを推認させる一般的,外形的な事実を主張立証した場合には,被告らにおいて,その推認を妨げるべく,本件使途基準に沿った具体的な使途を明らかにする必要があるというべきである。 以下,この見地から検討を加えることとする。 2 争点(1)ア(政務調査費の使途は,会派が主体となって行う政務調査活動に限られるか。)について原告らは,地方自治法100条13項,14項,本件条例2条,8条,本件使途基準等の趣旨を援用して,政務調査費の使途は,会派が主体となった調査研究活動に限定されるから,これを所属議員の行った調査活動の費用に充てることは本件使途基準に反する旨主張する。 (1) そこで,まず,地方自治法100条13項,14項の趣旨について検討する。 ア地方自治法100条13項及び14項の立法経緯証拠(甲8,9)及び弁論の全趣旨によれば,地方自治法100条13項及び14項(平成12年法律第89号による改正直後は同条12項及び13項)についての立法経緯は,以下のとおりであると認められる。 (ア) 地方自治法232条の2に基づく政務調査費の実情昭和 条13項及び14項(平成12年法律第89号による改正直後は同条12項及び13項)についての立法経緯は,以下のとおりであると認められる。 (ア) 地方自治法232条の2に基づく政務調査費の実情昭和22年制定当時の地方自治法203条1項,2項は,地方公共団体の議会の議員に対して,報酬を支給し,費用弁償を行う旨を定めていたところ,地方公共団体の中には,地方自治法上の明文のない通信費,交通費,調査研究費,退職金,弔慰金などを支給していたところがあり,一般職及び特別職を通じて,給与の実態は地方公共団体ごとにまちまちであった。このような混乱した状況を抜本的に一掃すべく,昭和31年法律第147号による改正により,地方自治法204条の2が追加され,地方公共団体は,法律又はこれに基づく条例に基づかずには,給与その他の給付を支給することができないこととされた(なお,このときに,議員に対して期末手当を支給できる旨の規定が追加された。)。 これにより,従来のように議員個人に対して,定額の調査研究旅費を支給することはできなくなった。また,県議会の各会派に対する調査研究費の交付の可否及びその方法について照会を受けた自治省行政課長は,「従来の調査研究旅費にかわるものとして,県議会各会派に対し調査研究費を支給することは,その内容が実質的に従来どおりであると認められる限り,できないものと解する。」(昭和31年9月6日自丁行発第59号)と回答した。 そのため,都道府県を初めとする地方公共団体は,地方自治法232条の2に基づき,会派に対して,会派の調査などの活動の費用の一部を補助する目的で政務調査費を支出するようになり(なお,平成12年6月1日時点では,すべての都道府県,74.8パーセントの市で政務調査費が支給されていた。),その法制化の要望が強かった。 もっとも,同 助する目的で政務調査費を支出するようになり(なお,平成12年6月1日時点では,すべての都道府県,74.8パーセントの市で政務調査費が支給されていた。),その法制化の要望が強かった。 もっとも,同時点で政務調査費を支給していた502の市のうち,46市においては,全議員で構成する「市政調査会」や「グループ等」をも交付対象としていたところ,研究者等から,会派に交付する場合には,当該団体の議会運営において会派としての取扱いがされていないにもかかわらず,政務調査費の交付においてのみ会派扱いをするようなことは認められず,したがって,従来のように,交付の対象が会派とされていながら,1人会派や会派要件を満たしていない「市政調査会」,「グループ等」にも支給するような運用は認められないという指摘がなされた。 (イ) 平成12年改正による政務調査費の制度化平成11年7月には,「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)が成立し,地方公共団体の自己決定権,自己責任が拡大したことに伴い,それとともに議会の機能,役割がさらに大きくなると認識されるようになった。 このような状況下で,全国都道府県議会議長会は,平成11年10月,「地方議会の権限の強化と制度の充実を図り,都道府県政調査交付金の法的な位置づけを明確にするとともに,条例で議員活動に要する経費を支給できるよう,地方自治法を改正すること」を決議し,同年11月には,国会や自治省など関係行政庁に対して,地方公共団体の議会を構成する議員の活動基盤強化が不可欠であるとし,「地方分権の進展に応じて,いっそう積極的,効果的な議員活動が行われるよう,現在認められている報酬,期末手当,費用弁償のほかに,地方公共団体が状況に応じ,自主的に条例で議員活動に必要な経費(例えば文書通信費 の進展に応じて,いっそう積極的,効果的な議員活動が行われるよう,現在認められている報酬,期末手当,費用弁償のほかに,地方公共団体が状況に応じ,自主的に条例で議員活動に必要な経費(例えば文書通信費,事務所費など)を支給できるようにすること」を要望した。また,全国市議会議長会も,同月ころ,国会や自治省などの関係行政機関に対して,議会機能の充実強化を図る必要があることから,「地方議会議員の政策立案・調査研究に資するため,政務調査交付金の支出について法的根拠を設けること」を要望した。 これを受けて,「地方自治法の一部を改正する法律案」は,平成12年5月18日,衆議院地方行政委員会で審議された上で,同日,衆議院本会議で全会一致で可決された。その後,同法案は,参議院に回付され,同月23日,参議院地方行政・警察委員会で可決された後,同月24日,参議院本会議で全会一致により可決,成立した(平成12年法律第89号)。 なお,衆議院本会議においては,提案趣旨につき,「地方議会の活性化を図るためには,その審議能力を強化していくことが必要不可欠であり,地方議員の調査活動基盤の充実を図る観点から,議会における会派等に対する調査研究費等の助成を制度化し,併せて,情報公開を促進する観点から,その使途の透明性を確保することが重要になっております。」と説明された。もっとも,上記各委員会及び各本会議においては質疑応答は全くなく,提案趣旨の説明においても,「会派又は議員」を対象とすることとした理由について何ら言及されていない。 イ政務調査費の性質(ア) 地方自治法100条13項の政務調査費の交付対象及び性質上記認定に係る立法の経緯によれば,①昭和31年改正以後は,法律又はこれに基づく条例に基づくとはいえない政務調査費を議員個人に交付することはできなくなったため会派に 項の政務調査費の交付対象及び性質上記認定に係る立法の経緯によれば,①昭和31年改正以後は,法律又はこれに基づく条例に基づくとはいえない政務調査費を議員個人に交付することはできなくなったため会派に対して補助金として交付していたこと,②全国都道府県議会議長会は,地方公共団体の議会の議員の活動基盤強化の必要性を強調していたこと,③全国市議会議長会は,地方議会議員の政策立案・調査研究に資するため,政務調査費の支出について法的根拠を設けることを要望していたこと,④「会派又は議員」と定められた趣旨は国会における審議過程からは明らかではないこと,以上のように要約することができる。 これらによれば,「会派又は議員」と定めた趣旨は,①のように会派に対してしか政務調査費を支出できない状況を改め,当該地方公共団体の実情に応じて,議員個人に対して直接政務調査費を交付することを可能とすることも含まれていると解する余地が十分にあり,必ずしも,原告の主張するように「会派又は議員」とした趣旨を1人会派に対する支給の問題点の解消のためと断定することはできない。このことは,100条13項後段が,政務調査費の交付の対象を条例で定めなければならない旨を規定していることからも明らかである(なお,全国市議会議長会の「政務調査費の交付に関する標準条例等検討委員会」が作成した報告書では,交付対象(会派,議員,会派及び議員)ごとに条例案のひな型が作成されている。甲8)。 そして,ア(ア)の研究者等の指摘は,条例で支給対象を「1人会派を除く会派」と定めながら,1人会派や会派の要件を満たしていない「みなし会派」に対して政務調査費を交付することは認められないことを指摘するにとどまり,交付を受けた会派が会派所属の個々の議員に対し,その行った調査研究活動の経費に充てるべく政務調査費を支給す ない「みなし会派」に対して政務調査費を交付することは認められないことを指摘するにとどまり,交付を受けた会派が会派所属の個々の議員に対し,その行った調査研究活動の経費に充てるべく政務調査費を支給すること自体を否定するものではない。そもそも,調査研究活動は,会派が主体となって行うことも可能ではあるが,個々の議員の政治的関心等を反映して,個人が主体となって行う必要性が高いことも否定できないこと,実際にも,地方議会の議員は住民から直接選出され,議会に議案を提出することができるのであるから,その政策立案能力を高めることが望ましいと考えられ,そのために,議会における図書室の設置とともに,政務調査費の制度化がなされたこと,1人会派については政務調査費を交付することが許容されるが,会派に属する個々の議員の行った調査研究活動には政務調査費を一切充てることができないと解するのは均衡を失すると考えられること,これらを総合すれば,地方自治法100条13項は,会派が主体となって行われる調査研究活動のみに政務調査費を充てることを予定した規定とは考えられず,議員個人に対して直接政務調査費を交付することも,また,会派を通じて所属の議員に対して政務調査費をその使途に従って支給することも禁止する趣旨のものではないと解するのが相当である。 (2) 次に,本件条例2条,8条,本件規程4条等が,会派が所属議員の行った調査研究活動の費用として政務調査費を支給することを禁止しているかについて検討する。 前記前提事実(7)のとおり,本件条例2条は,「政務調査費は,議会における会派(その所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)に対し,交付する。」と規定し,8条は,「会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。」と規定した上,調査研究費・研修費・会議費・資料作成費・資 所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)に対し,交付する。」と規定し,8条は,「会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。」と規定した上,調査研究費・研修費・会議費・資料作成費・資料購入費・広報費・事務費・人件費の8つの費目を掲げている。これを受けて,本件規程4条及び本件使途基準は,調査研究費については,「会派が行う県の事務及び地方行財政に関する調査研究及び調査委託に要する調査委託費,交通費,宿泊費等の経費」と,研修費については,「会派が行う研修会,後援会等の実施に必要な経費並びに他団体が開催する研修会,講演会等への所属議員及び会派の雇用する職員の参加に要する会場・機材借上費,講師謝金,会費,交通費,宿泊費等の経費」と,会議費については,「会派における各種会議に要する会場・機材借上費,資料印刷費等の経費」と,それぞれ内容を定めている。 これらによれば,調査研究費は,本件使途基準上,「会派が行う……調査研究……の経費」と「会派が行う……調査委託に要する調査委託費……等の経費」の2つから成ることが明らかであるところ,後者については,会派が所属議員以外の第三者に調査を委託する場合に限定することをうかがわせる文言が付されていないこと,上記のとおり,地方自治法100条13項,14項が議員個人に政務調査費を交付することも許容していることからすれば,本件条例や本件規程も,会派から委託を受けた所属議員が行った調査研究活動に政務調査費を充てることを否定する趣旨ではないと解される。 この点に関し,原告らは,政務調査費の使途の透明性を確保するとの制度趣旨に照らすと,会派がその所属議員の行った調査研究活動の費用に充てるために政務調査費を支給することはできない旨主張し,同旨の札幌高裁判決を援用するところ,なるほど,会派が自ら主体となって取り組む 趣旨に照らすと,会派がその所属議員の行った調査研究活動の費用に充てるために政務調査費を支給することはできない旨主張し,同旨の札幌高裁判決を援用するところ,なるほど,会派が自ら主体となって取り組む調査研究活動等のための経費として使われる場合と,会派が所属議員に委託した調査研究活動のための経費として使われる場合とでは,一般論として,後者の方が目的外の使途に費消される危険性が高いと考えられないではない。しかしながら,地方自治法100条14項は,政務調査費の交付を受けた会派(又は議員)に対し,収支報告書の提出を義務付けている上,本件条例及び本件規程も,会派の代表者が政務調査費に係る収支報告書を議長に提出すべきこと(本件条例9条),議長は,必要に応じて,政務調査費の適正な運用を図るための調査を行うことができること(同10条),何人も議長に対し,収支報告書の閲覧を請求することができること(同12条2項),会派の経理担当者は,政務調査費の支出について,会計帳簿を調整するとともに,証票類等の整理及び保管をし,これらを保存すべきこと(本件規程8条)などを定めており,これらの手続的規制によって,使途についての透明性を担保することとした(それ以上については,各会派の自主的なチェックに委ねる。)のが上記各法令の趣旨と考えられるから,前記判断を覆すものとはいえない。 (3) よって,所属議員が会派から委託された調査研究活動をすることによって生じた費用に政務調査費を充てることは,地方自治法100条13項,14項,本件条例2条,8条,本件使途基準に反するものではない。 3 争点(1)イ(平成15年4月は,一般選挙(統一地方選挙)が実施されたにもかかわらず,政務調査費のほぼ全額が支出されたことをもって,本件使途基準に反する費用に充てられた蓋然性が高いといえるか。) 3 争点(1)イ(平成15年4月は,一般選挙(統一地方選挙)が実施されたにもかかわらず,政務調査費のほぼ全額が支出されたことをもって,本件使途基準に反する費用に充てられた蓋然性が高いといえるか。)について(1) 前記前提事実(3)に証拠(甲1及び2の各1ないし3・5,乙1,丙1,10,15,証人C)を総合すると,次の事実が認められる。 ア本件各会派は,平成15年4月分の政務調査費のうち,公明党県議団が返還した7406円を除いて,全額をすべて経費として支出している。 そのうち自民党県議団については,調査研究費,会議費,事務費及び人件費が,おおむね,平成14年度における1月当たりの平均支出額に近似し,資料購入費は,同平均支出額を超えている。民主党県議団については,調査研究費が同平均支出額の7割を超え,資料作成費,広報費,事務費及び人件費は,いずれも同平均支出額を超えている。公明党県議団については,調査研究費が同平均支出額の8割を超え,事務費についても同平均支出額を超えている。 イ統一地方選挙に際して,県議会議員総数106名(なお,改選前は103名)のうち,引退を表明していた議員が15名,無投票当選者が23名いた。 そして,自民党県議団においては,無投票当選者や立候補しなかった議員を除き,選挙期間中は,特段の事情がない限り,議員本人が宿泊を伴う調査研究活動のために出張したり,研修や会議に出席することはなかったが,選挙期間中であっても,会派としての調査研究活動を継続していたり,県民からの県政に対する陳情や要望が寄せられる機会が多くあったため,速やかな調査研究活動が必要な場合には,これを補助させている者に対して実施するよう指示していた。 民主党県議団においては,無投票当選者や勇退した議員を除いて,選挙期間中は政務調査費を使う調査研究活動を行わ 調査研究活動が必要な場合には,これを補助させている者に対して実施するよう指示していた。 民主党県議団においては,無投票当選者や勇退した議員を除いて,選挙期間中は政務調査費を使う調査研究活動を行わず,県民等からの要望に基づいて調査研究活動を行ったとしても政務調査費の支出の対象とはしないことを合意していたため,平成15年4月分の政務調査費については,無投票当選や勇退した6人を除いては,選挙期間中を対象とした政務調査費は計上していない。 また,公明党県議団においては,選挙を行っている議員本人が選挙期間中に宿泊や出張を伴う調査研究活動をしたり,研修会や会議に出席することはなかったが,選挙中であっても,県民から県政に関する陳情や要望が寄せられる機会が多くあったことから,調査研究活動を補助させている者に対してこれを継続するよう指示することを合意していた。 ウ本件各会派は,いずれも,前月の政務調査活動によって生じた費用のうち,翌月に請求や支払があったものについては,翌月分の政務調査費を充てる取扱いがなされていたところ,平成15年4月分の政務調査費についても,同様の処理をしていた。 エ共産党県議団は,他の会派と異なり,県議会議長に提出する収支報告書に政務調査費の具体的使途に関する明細書を添付しているが,その報告書によっても,平成15年4月分の政務調査費の支出額の平成14年度中の支出額に対する比率は8.5パーセントであり,本件各会派の比率とほぼ同じである。 (2) 上記認定事実によれば,なるほど,愛知県議会議員の一般選挙が実施された平成15年4月中に行われた会議等の内容が政務調査活動といえるものであったか,事務所の使用目的が政務調査活動のためであったといえるかなどについて疑問の余地がないとはいえないが,他方,無投票当選の議員が全体の2割を超 行われた会議等の内容が政務調査活動といえるものであったか,事務所の使用目的が政務調査活動のためであったといえるかなどについて疑問の余地がないとはいえないが,他方,無投票当選の議員が全体の2割を超え,県会議員を引退する議員も含めれば4割近い議員が自らの選挙活動を行っておらず,これらの議員は政務調査活動に従事することが可能であったこと,平成15年3月に生じた政務調査活動の経費の一部に同年4月分の政務調査費が充てられていること,選挙期間中であっても,補助者を使うことによって一定の政務調査活動が継続されたこと,以上のように要約することができ,これに,資料購入費や事務所経費については,選挙期間中であっても同程度の金額が必要となると考えられることをも総合すると,平成15年4月に選挙が実施されたにもかかわらず,政務調査費のほぼ全額が支出され,費目によっては平成14年度の1月当たり平均支出額を超えるものがあるからといって,本件政務調査費が本件使途基準に反して支出されたことを推認し得る一般的,外形的事実の立証がなされたと評価することはできず,原告らの上記主張は採用できない。 4 争点(1)ウ(本件政務調査費の具体的使途は,本件使途基準に反するものか。)について(1) 議員個人に支給された調査研究費について原告らは,本件政務調査費のうち本件各会派を通じて各議員に支給された調査研究費は本件使途基準に適合しない旨主張するので,これについて検討する。 ア会派による調査研究活動の委託について被告らは,本件各会派の所属議員は,原則として会派から委託を受けあるいは会派の基本方針等に沿って,調査研究活動を行っている旨主張するのに対し,原告らは,自民党県議団について,会派からの委託はなく,あったとしても,包括的な委託として無効である旨主張する。 そこで,検討するに の基本方針等に沿って,調査研究活動を行っている旨主張するのに対し,原告らは,自民党県議団について,会派からの委託はなく,あったとしても,包括的な委託として無効である旨主張する。 そこで,検討するに,証拠(丙1,5,証人D)及び弁論の全趣旨によれば,自民党県議団は,会派が行う各種調査研究事項について,毎年おおむね4月(選挙の行われる年は5月)に包括的に委託していること,その平成14年4月付け委任状(丙5)には,「県政振興に関する事項」,「健康福祉に関する事項」,「企画環境に関する事項」,「農林水産振興に関する事項」,「商工労働に関する事項」,「地域開発に関する事項」及び「教育治安に関する事項」の7項目と「その他県政各般に関する事項」が列記されており,その8項目は,さらに,「1 税財政並びに行政合理化に関すること。」等の小項目が1個ないし3個ほど列記されていること,上記委任状には,委任の期間についての記載はないこと,平成15年4月分については,会派の総会において,平成14年4月に委託した事項をそのまま委託することを確認していること,以上の事実が認められる。 これらによれば,確かに,上記委任状に記載された調査委託事項は,県政として扱われるすべての事項に及んでいるが,もともと,県議会で取り扱われる事項は,広範かつ多岐にわたること,自民党県議団が61名という多数の議員を擁し,県議会内の各委員会にも相当数の委員を出していることなどからすれば,調査委託事項が県政のあらゆる事項にわたることは当然のことと考えられるから,このことをもって,委託が包括すぎて無効であるとか,会派による調査委託の趣旨に反すると解することはできない。また,確かに,平成15年4月分についての委任状は作成されていないが,上記のとおり,平成14年4月付けの委任状による委託を継続する あるとか,会派による調査委託の趣旨に反すると解することはできない。また,確かに,平成15年4月分についての委任状は作成されていないが,上記のとおり,平成14年4月付けの委任状による委託を継続することが確認されている以上,委託の事実がなかったと認めることもできない。 よって,原告らの上記主張は採用できない。 イ個々の議員に支給された政務調査費の使途についてさらに,原告らは,本件各会派所属の議員に支給された政務調査費のうち,事務所経費等に充てられたものは,本件使途基準に反する旨主張するので,この点について検討するに,前記前提事実(3)及び証拠(甲1の1ないし3,丙1ないし5,10ないし13,15ないし18,23,証人D,同C,同E)によれば,次のとおり認められる。 (ア) 自民党県議団a 自民党県議団は,平成15年4月分の政務調査費として3050万円の交付を受け,調査研究費に2623万円,会議費に295万4500円,資料購入費に73万3346円,事務費に54万0154円,人件費に42万円を,それぞれ支出した旨の収支報告書を提出している。 b 自民党県議団は,平成13年3月21日に開催した会派の総会において,それまでの「自由民主党愛知県議員団県政調査研究費支出基準要綱」に代わるものとしての自民党基準要綱(丙2)と自民党取扱要領(丙3)を策定したが,前者は,本件使途基準の掲げる8つの費目について,どのような経費が該当するかを記載したもの(例えば,①調査研究費には,調査委託に要する経費と議員連盟調査研究活動費が含まれ,②研修費,④資料作成費,⑤資料購入費,⑥広報費,⑦事務費及び⑧人件費は,いずれも議員団が行う研修会や調査研究等に係る経費であり,③会議費は,団長等が招集する会議等の開催に要する経費とこれらに出席した者に支給する費用弁償であ 料購入費,⑥広報費,⑦事務費及び⑧人件費は,いずれも議員団が行う研修会や調査研究等に係る経費であり,③会議費は,団長等が招集する会議等の開催に要する経費とこれらに出席した者に支給する費用弁償であるとされている。)であり,後者は,委託された調査研究活動の費用として各議員に支給される経費の内容を具体的に例示したもの(支出項目としては,①交通・宿泊費,②研究費,③購読料,④印刷費,⑤借上費,⑥人件費,⑦調査委託費,⑧通信費,⑨事務費,⑩その他必要経費から成る。)である。 c 自民党県議団所属の各議員は,通常,各月の10日までに,前月に行った活動の概要とそれに支出した政務調査活動費で前月に支払ったものを会派の代表者である団長あての「政務調査研究活動実績報告書」(以下「実績報告書」という。丙4)に記載して提出し,経理責任者は,同報告書を確認した上で,その結果を団長に報告し,団長の承認が得られれば,愛知県から自民党県議団に交付されている政務調査費の中から支給することになっているが,平成15年4月については,同月29日に任期が満了することから,同月28日までに実績報告書(丙4)を提出することとされていた。 そして,経理責任者であったD幹事長は,領収書まではチェックしなかったものの,同報告書の記載内容を確認したところ,特に疑問を抱くことがなかったため,その旨団長に報告したところ,団長は,各議員から提出された実績報告書記載の金額がいずれも43万円(50万円から共通経費である7万円を控除した額)を超えていたため,各議員に対して同金額を支給した。 なお,領収書等の証票類については,その数が多数であることから,その整理及び保管を各議員に委ねている(共通経費部分を除く。)。 d 政務調査活動費の支出項目として掲げられている事務費には,議員個人が借りている事 等の証票類については,その数が多数であることから,その整理及び保管を各議員に委ねている(共通経費部分を除く。)。 d 政務調査活動費の支出項目として掲げられている事務費には,議員個人が借りている事務所で必要な事務的経費(例えば水道光熱費)が含まれているが,その事務所において,当該議員は,政務調査活動を行っており,個人の選挙活動や後援会活動には用いていない。 (イ) 民主党県議団a 民主党県議団は,平成15年4月分の政務調査費として1200万円の交付を受け,調査研究費に237万8621円,研修費に47万5130円,会議費に93万7024円,資料作成費に90万4708円,資料購入費に50万4559円,広報費に221万3451円,事務費に179万6104円,人件費に279万0403円を,それぞれ支出した旨の収支報告書を提出している。 b 民主党県議団は,平成13年4月ころ,それまでの「愛知県議会愛知クラブ民主連合県政調査研究費支出基準要綱」に代わるものとしての民主党基準要綱(丙11)及び民主党取扱要領(丙12)を策定したが,前者は,おおむね自民党基準要綱と同じ内容であり,後者は,所属の各議員や研究会等が民主党県議団として行った調査研究活動の費用として支給される経費の内容を具体的に例示したものである。 c 民主党県議団においては,各議員は,県議会の8つの常任委員会に対応する民主党県議団内の研究会に所属して,調査研究活動を行っているが,各研究会の基本的な方針や課題については,会派の総会において確認されている。 d 民主党県議団においては,通常,1人当たり50万円の政務調査費のうち10万円を会派の政務調査活動に必要な共通経費として控除し,残りの40万円を調査研究活動として行った実績に応じて,各議員に対し後払で支給(振込み)している。 すなわ 当たり50万円の政務調査費のうち10万円を会派の政務調査活動に必要な共通経費として控除し,残りの40万円を調査研究活動として行った実績に応じて,各議員に対し後払で支給(振込み)している。 すなわち,各議員は,毎月5日までに,原則として前1か月間の政務調査活動に要した経費を政務調査活動実績報告書(丙13)に記載し,団長あてに提出することになっているが,この報告書には,「活動の概要」欄にどのような活動をしたのかが記載され,本件使途基準に対応する8つの費目について,その金額と主な内容が記載されることになっている。その際,事務費,光熱費,ガソリン代及び広報誌の印刷代等については,政務調査活動として行われたものとそれ以外のものが併存する場合は,案分して前者のための経費分のみを報告書に記載することになっている。 各議員から政務調査活動実績報告書が提出された後,まず経理責任者がその記載内容をチェックするが,その際,普段から経理責任者において掌握している各議員の所属する会派の研究会やプロジェクトチーム等における政務調査活動の日常の取組状況,経理責任者自らの経験等に照らして,支出項目や金額の妥当性を判断している。そして,経理責任者は,同報告書の記載内容に疑義があれば,議員本人に直接具体的内容を問いただしたり,領収書を確認したりするが,特に問題がなければ,共通経費と政務調査活動実績報告書の経費を8費目に割り振り,これらの総額が1200万円になるように案分したものを収支報告書として提出している。もっとも,統一地方選挙が実施された平成15年4月については,会派全体の活動が行われなかったため,共通経費は33万6000円にとどまっている。 なお,領収書等の証票類については,その数が多数であることから,その整理及び保管を各議員に委ねている(共通経費部分を除く 全体の活動が行われなかったため,共通経費は33万6000円にとどまっている。 なお,領収書等の証票類については,その数が多数であることから,その整理及び保管を各議員に委ねている(共通経費部分を除く。)。 (ウ) 公明党県議団a 公明党県議団は,平成15年4月分の政務調査費として350万円の交付を受け,調査研究費に215万2016円,研修費に3万5000円,会議費に5000円,資料購入費に10万7845円,広報費に8万0880円,事務費に106万1853円,人件費に5万円を,それぞれ支出した旨の収支報告書を提出し,7406円の残金を返還している。 b 公明党県議団は,原則として会派が所属の各議員に対して委託する形で調査研究活動を行っていた(ただし,委託書面を作成することはなかった。)ところ,平成13年12月に開催された会派の総会において,平成14年度に愛知県から交付される政務調査費は公明党愛知県本部が定めた「平成14年度重点政策」(丙19)に関する調査研究活動に充てることが合意された。その重点政策は,「IT革命の果実をすべての県民に」等の8項目にわたっている。 c 公明党県議団は,平成13年4月ころ,「公明党愛知県議員団政務調査費支出基準要綱」(以下「公明党基準要綱」という。丙16)及び「公明党愛知県議員団調査研究活動費取扱要領」(以下「公明党取扱要領」という。丙17)を策定したが,その内容は,おおむね自民党基準要綱,自民党取扱要領と同じである。 d 公明党県議団においては,1人当たり50万円の政務調査費のうち,会派の控室で購読している新聞代等の共通経費を支出し,その残余金から概算払の方式で,委託に係る調査研究活動を行った各議員に対してその費用を支給している。 具体的には,経理責任者は,おおむね月の半ばすぎに,各議員から調査研究活動 等の共通経費を支出し,その残余金から概算払の方式で,委託に係る調査研究活動を行った各議員に対してその費用を支給している。 具体的には,経理責任者は,おおむね月の半ばすぎに,各議員から調査研究活動に要した経費として報告のあった概算額を支給し,翌月初めころ,各議員から提出される「調査研究活動実績報告書」(丙18)と領収書等を確認し,さらに必要な場合は当該議員に対して直接説明を求めるなどしてチェックし,適正であることを確認した後に団長に報告するとともに,各議員に対して精算がなされている。 e なお,平成15年4月分の政務調査費のうち,事務費として計上されたものには,ノートパソコン及びデスクトップパソコンの購入費が含まれているところ,上記2台のパソコンは,いずれも情報管理等の観点から,政務調査活動に限定して利用するために購入されたものであり,平成15年4月の選挙後も公明党県議団の備品として引き継がれている。 また,議員個人が使用している事務所の水道光熱費が政務調査費から支給されているが,同事務所は,選挙事務所として使われたことはなく,通常の議員活動を行う場所として利用されている。 以上の認定事実を前提に,原告らが指摘している点を検討するに,まず,①自民党県議団の調査研究費が2623万円という端数のない金額であることについては,各議員から提出された実績報告書記載の金額がいずれも43万円を超えていたため,同金額を上限として支給されたとの認定事実によって十分に説明されるというべきである。 次に,②自民党県議団の所属議員及び公明党県議団の所属議員が借りている事務所の水道光熱費等の諸経費が政務調査費によってまかなわれている点については,確かに,議員が個人で借り受けている事務所において,政務調査活動以外の目的で使用されたことがまったくないかどうかについて 事務所の水道光熱費等の諸経費が政務調査費によってまかなわれている点については,確かに,議員が個人で借り受けている事務所において,政務調査活動以外の目的で使用されたことがまったくないかどうかについては,疑問をはさむ余地がないではないが,少なくとも選挙活動等に用いられていないことは認定事実のとおりであり,仮に政務調査活動以外の目的に使用されたことがあるとしても,その割合がどの程度であるかを判断することはできず,証拠との距離や透明性の要請を考慮しても,そのような可能性があるという事実をもって,かかる費用が本件使途基準に反するものであるとはいえない。 さらに,③民主党県議団の議員が個人で借りている事務所の経費,ガソリン代及び広報誌の印刷代については,政務調査活動としての部分とそれ以外の部分とが正確に案分されているかについて疑問がないではないが,上記認定のとおり,疑義があれば経理責任者において議員に直接質問をするなどして,一応の確認が行われている上,仮にその案分割合が不正確であるとしても,実際の割合がどの程度のものなのかを判断することはできず,前同様,そのような可能性があるという事実をもって,かかる費用が本件使途基準に反するものであるとはいえない。 最後に,④公明党県議団の議員によって購入された2台のパソコンについては,政務調査活動に限定して利用するために購入されたことは認定事実のとおりであり,仮に,それ以外の目的のためにも利用された可能性があるとしても,その割合がどの程度であるかを判断することはできないから,これについても,かかる費用が本件使途基準に反するものであるとはいえない。 よって,議員個人に対して支給された調査研究費が本件使途基準に適合しないとの原告らの主張は採用できない。 (2) 本件各会派の共通経費分について次に,原告らは,共通経 反するものであるとはいえない。 よって,議員個人に対して支給された調査研究費が本件使途基準に適合しないとの原告らの主張は採用できない。 (2) 本件各会派の共通経費分について次に,原告らは,共通経費として支出された金員につき,①合計額が端数のない金額であって,共通経費として概算で徴収した額と実際に支出した額が一致するのは不自然であること,②会議費は実費を想定しており,議員に対する費用弁償は含まれていないこと,③会議は,会派の維持・運営のためのものであるから政務調査のためとはいえないこと,④帳票類を提出しない以上,支出を裏付ける的確な立証がないというべきであること(以上,自民党県議団),⑤新聞等購読料やコピー機のリース料等については,政務調査の目的で支出されたとはいえないこと(民主党県議団及び公明党県議団共通)などを理由に,本件使途基準に反するものが含まれている旨主張するので,以下,検討する。 ア自民党県議団について(ア) 証拠(甲1の1・6,2の1,丙1,証人D)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実を認めることができる。 a 自民党県議団は,平成15年4月分の政務調査費から,共通経費として,会議費として295万4500円,資料購入費として73万3346円,事務費として54万0154円,人件費として4万2000円,合計427万円を支出している。 b 平成15年4月分の政務調査費は,平成14年度(同年4月1日から3月31日まで)全体の支出と比較すれば,共通経費のうち会議費,事務費及び人件費がいずれも平成14年度全体の12分の1程度となっているのに対し,資料購入費は,機関誌の年間購読料67万7880円を一括して支払ったため,12分の1の倍以上となった。 会議費は,自民党基準要綱に基づき,平成15年4月中に6回開催された会議(総会,役員会 に対し,資料購入費は,機関誌の年間購読料67万7880円を一括して支払ったため,12分の1の倍以上となった。 会議費は,自民党基準要綱に基づき,平成15年4月中に6回開催された会議(総会,役員会,各種調査会議)に出席した議員に支給された1人1回当たり1万5000円の費用弁償(延べ159名分)と茶菓等の代金56万9500円の合計額であった。また,事務費には,各種会議の出席等に利用するタクシー代や議員執務室で使うコピー機のリース代,文房具等の代金が含まれており,人件費は,会派の政務調査活動を補助するために,自由民主党愛知県支部連合会の職員1名に応援に来てもらっていることによる仕事量に相当する金額として支出されている。 c 自民党県議団の経理責任者は,共通経費の帳簿及び証票類を議事堂内の会員の控室に保管している。 (イ) 上記認定事実によれば,①については,なるほど,共通経費の総額が端数のない427万円となっていることは不自然であるとの印象を免れないが,その多くの支出は本件使途基準に適合していることがうかがわれる上,各議員に支給された調査研究費と同様,同金額を超える共通経費が支出されたが,政務調査費には上限があるため,収支報告書においては,調査研究費の残金と一致するように計上されたと考えられるので,このことをもって,本件使途基準に適合しない支出であるということはできない。 次に,②については,本件使途基準によれば,会議費とは,「会派における各種会議に要する会場・機材借上費,資料印刷費等の経費」とされており,例示されている「会場・機材借上費,資料印刷費」がいずれも実費を念頭においていることからすれば,自民党基準要綱に基づき,会議に出席する議員の費用弁償として,一律に1人1回当たり1万5000円を支給することが果たして本件使途基準に適合するか 費」がいずれも実費を念頭においていることからすれば,自民党基準要綱に基づき,会議に出席する議員の費用弁償として,一律に1人1回当たり1万5000円を支給することが果たして本件使途基準に適合するか疑問がないではないが,上記の経費はあくまでも例示にすぎず(現に,本件使途基準では「……等の経費」と定められている。),調査研究活動を行うための会議に議員が出席するために要する費用相当額も政務調査活動の経費と評価し得ないものではないこと,1万5000円という金額は,県議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例4条2項ただし書による費用弁償の金額に基づくものとみられることからすれば,このような費用弁償が本件使途基準に反するとまでは断定できない。 ③については,平成15年4月に開催された総会,役員会及び各種調査会議等の6回の会議の内容がどのようなものであったかは明確に認定できないが,少なくとも政務調査活動と無関係なものであったとは認められないから,かかる会議の開催に要した費用の支出が本件使途基準に反するとはいえない。 さらに,④については,確かに,政務調査費の使途の透明性を確保するとの要請や政務調査費が公費によって賄われていることを考慮すれば,一般論としては,その使途の適合性が問題となった場合に,帳簿又は証票類を提出してその具体的使途を明らかにすることは,十分検討に値するとも考えられる。しかしながら,これらの提出がないからといって,直ちに政務調査費が本件使途基準を逸脱して支出されたことを推認することができるとの経験則の存在までは認め難いから,原告らの上記主張も採用できない。 イ民主党県議団及び公明党県議団について最後に,⑤については,確かに,本件各会派所属の議員が購読している新聞等や会派の事務室において利用されているコピー機等が,政務調査活動以 張も採用できない。 イ民主党県議団及び公明党県議団について最後に,⑤については,確かに,本件各会派所属の議員が購読している新聞等や会派の事務室において利用されているコピー機等が,政務調査活動以外の目的のためにも利用されている可能性を否定できないものの,政務調査活動にとって必要,有益であることは十分に肯定できるから,上記可能性をもって,その支出が本件使途基準に反するとはいえない。 5 争点(2)ア(本件政務調査費を平成15年3月に発生した費用に充てることは,地方自治法208条1項,2項に反する違法なものか)について(1) 前記のとおり,本件各会派においては,平成15年3月に行った政務調査活動の費用の一部が,翌月になって請求を受けたなどの理由により,同年4月分の政務調査費から支出されたことが認められるところ,原告らは,政務調査費は地方自治法100条13項に基づいて条例で支給することが認められたものであるから,その支出についても,同法208条や本件条例9条1項柱書によって,会計年度を超えて支出することが禁じられている旨主張する。 しかしながら,地方自治法208条1項,2項(及び220条3項本文)の定める会計年度独立の原則は,一定の期間を画して地方公共団体の収入と支出の均衡を図り,金銭の受払の関係を明確にするために設けられた規定であること,208条が同法の第9章財務の章の第1節「会計年度及び会計の区分」の冒頭に置かれており,同じ章には,第2節予算,第3節収入,第4節支出,第5節決算,…第10節住民による監査請求及び訴訟等が規定されていることなどに照らすと,同条は,地方自治法が財政運営の健全化を強く確保すべく,種々の規制を加えている普通地方公共団体に関するものであり,会派のように,本質的に任意団体としての性質を有する団体に適用ないし類推適用さ すと,同条は,地方自治法が財政運営の健全化を強く確保すべく,種々の規制を加えている普通地方公共団体に関するものであり,会派のように,本質的に任意団体としての性質を有する団体に適用ないし類推適用されるべき規定でないことは明らかである(なお,施行令165条の8参照。)。 (2) また,本件条例9条1項柱書は,「会派の代表者は,当該会派の前年度における次に掲げる事項を記載した政務調査費に係る収入及び支出の報告書(略)を,毎年4月30日までに,議会の議長に提出しなければならない。」と,同条2項は,「会派が解散したとき,又は議会の議員の任期満了若しくは議会の解散に伴い会派が消滅したときは,その代表者であった者は,当該年度の4月から当該会派が解散し,又は消滅した日の属する月までの間における収支報告書を,その翌月の末日までに,議会の議長に提出しなければならない。」とそれぞれ定めているところ,前者は,前年度における政務調査費の収支報告書の提出時期を定めたものであり,後者は,会派が消滅した場合における収支報告書の提出者義務者を定めたものにすぎないから,これらの規定をもって,前月に費用が発生し,翌月請求されたり支払われたような場合に翌月分の政務調査費用を充てることまで禁止する趣旨と解することはできず,原告らの主張は採用できない。 6 争点(2)イ(本件各会派の代表者が,領収書等の証票類の提出を求めることなく,所属の各議員に政務調査費を支給したことは,愛知県財務規則24条に反する違法なものか)について原告らは,出納長及び出納員に対して証拠書類の確認を義務付けた愛知県財務規則24条が本件各会派の責任者にも類推適用されることを前提として,かかる確認義務を履行することなく,各議員に政務調査費を支給した団長の行為は,不法行為を構成する旨主張する。 確かに,前記の 県財務規則24条が本件各会派の責任者にも類推適用されることを前提として,かかる確認義務を履行することなく,各議員に政務調査費を支給した団長の行為は,不法行為を構成する旨主張する。 確かに,前記のとおり,自民党県議団及び民主党県議団の各経理責任者は,政務調査費についての証票類の整理及び保管を各議員に委ねており(共通経費部分を除く。),この点は,本件規程8条の趣旨に沿うものか疑問がないわけではないが,同条は,政務調査費が本件使途基準に適合した費用に充てられることを手続的に担保するための規定であるから,仮に,同条に違反したからといって,直ちに何らかの損害が愛知県に発生すると考えることはできない。 また,そもそも,愛知県財務規則は,施行令173条の2の規定に基づき,愛知県の財務に関し必要な事項を定めるものであるところ,前記のとおり,法令に基づいて設置される普通地方公共団体と本質的に任意団体である会派とは,全く性格が異なるものであって,前者に対する規則を後者に類推適用すべき基盤を欠くことが明らかであるから,原告らの上記主張は採用できない。 7 改選前と改選後における本件各会派の同一性についてなお,被告らは,改選前の本件各会派は,任期満了によっていったん消滅し,改選後,新たに結成されたと主張するところ,かかる見解を前提として,新旧2つの会派がそれぞれ補助参加の申出をしている(訴訟委任も,新旧各会派によって別々に行っている。)。 ところで,議会における会派(いわゆる1人会派を除く。)とは,一定の政治的信条を共有する複数の議員らが,その政策の実現を目的として集合したものであり,明文化されているか否かはともかくとして,定款,規約,綱領等により,団体として組織され,団体としての意思決定がなされ,構成員の変更にもかかわらず,同一性を保ったまま,社会的実在 集合したものであり,明文化されているか否かはともかくとして,定款,規約,綱領等により,団体として組織され,団体としての意思決定がなされ,構成員の変更にもかかわらず,同一性を保ったまま,社会的実在として存在していることは顕著な事実であるから,権利能力なき社団としての実体を有すると判断することができる(このこと自体,当事者間に争いはない。)。 しかして,会派としての性格上,その構成員の資格は,基本的に議員たる身分を有する者と定められていると考えられなくもないが,任期満了による議員たる資格は,任期最終日の午後12時をもって終了し,他方,選挙によって当選した候補者は,任期第1日目の午前0時から議員たる資格を取得するから,その間に時的間隙は存在しないというべきである(地方自治法93条2項,公職選挙法258条ただし書)。また,現実にも,改選の度に,旧会派が解散されて清算手続が行われるとともに,新会派の結成が行われるものではなく,財産等は当然のごとく引き継がれていることに照らせば,改選の前後において会派は社会的実在としての同一性を失うものではないと判断するのが相当である(本件条例9条2項は,政務調査費の収支報告書の提出手続を定めた規定にすぎず,この規定があるからといって,任期満了時に,権利能力なき社団たる会派の消滅という法的効果がもたらされるものとはいえない。)。 したがって,新旧両会派は別個の社団ではないと解すべきであるから,本件の2回目の補助参加の申出は1回目の旧代表者による補助参加の申出を追認する趣旨としてのみ扱うこととし,当事者としても,弁論終結時点における補助参加人のみを表示した次第である。 8 結論以上の次第で,原告らの本訴請求はいずれも理由がないから,棄却することし,訴訟費用及び参加に要した費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61 点における補助参加人のみを表示した次第である。 8 結論以上の次第で,原告らの本訴請求はいずれも理由がないから,棄却することし,訴訟費用及び参加に要した費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条,65条1項本文,66条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官尾河吉久(別表省略)
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