平成12(ワ)2902 貸金等請求

裁判年月日・裁判所
平成15年1月15日 神戸地方裁判所
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判決文本文15,568 文字)

判決平成15年1月15日神戸地方裁判所平成12年(ワ)第2902号貸金等請求事件 主文 1 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金1億9150万円及びこれに対する平成6年4月1日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 2 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金3860万円及びこれに対する平成7年5月1日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 3 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金1700万円及びこれに対する平成7年5月2日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 4 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金1億4337万9701円及び内金4517万8445円に対する平成12年6月29日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 5 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金1700万円及びこれに対する平成6年10月1日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 6 被告株式会社甲,被告乙及び被告丙は,連帯して,原告に対し,金1億5346万3748円及び内金3904万0810円に対する平成12年7月5日から完済まで年14パーセントの割合による金員を支払え。 7 被告丁は,次の(1)(2)の登記の抹消登記手続をせよ。 (1) 別紙(1)物件目録一、二記載の土地について,神戸地方法務局宝塚出張所平成9年6月20日受付第16862号をもってなされた所有権移転登記(2) 別紙(1)物件目録三記載の建物について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもってなされた共有者全員持分全部移転登記8 20日受付第16862号をもってなされた所有権移転登記(2) 別紙(1)物件目録三記載の建物について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもってなされた共有者全員持分全部移転登記 8 訴訟費用は被告らの負担とする。 9 この判決の1項ないし6項は,仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求める裁判 1 原告(請求の趣旨)(1) 貸金請求主文1項ないし6項と同旨(2) 所有権移転登記等の抹消登記請求(主位的請求-通謀虚偽表示)主文7項と同旨(3) 詐害行為取消し,所有権移転登記等の抹消登記請求(予備的請求)ア AとBとの間で平成7年10月5日付けでなされた,別紙(1)物件目録一、二記載の土地(以下「本件土地」という。)及び別紙(1)物件目録三記載の建物(以下「本件建物」という。)(共有持分2分の1)についての抵当権設定契約は,これを取り消す。 イ被告丙とBとの間で平成7年10月5日付けでなされた,本件建物(共有持分2分の1)についての抵当権設定契約は,これを取り消す。 ウ AとBとの間で平成9年6月19日付けでなされた,本件土地及び本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約は,これを取り消す。 エ被告丙とBとの間で平成9年6月19日付けでなされた,本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約は,これを取り消す。 オ主文7項と同旨(4) 訴訟費用の負担,仮執行宣言ア訴訟費用は被告らの負担とする。 イ前記(1)は,仮に執行することができる。 2 被告ら(請求の趣旨に対する答弁)(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 用は被告らの負担とする。 イ前記(1)は,仮に執行することができる。 2 被告ら(請求の趣旨に対する答弁)(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者の主張 1 原告(請求原因)(1) 貸金請求ア貸金等の発生(ア) 手形貸付等aC銀行は,被告株式会社甲との間の平成元年3月30日付け銀行取引約定書に基づき,被告株式会社甲が別紙(2)手形目録記載一ないし七の手形を振り出す手形貸付の方法により,被告株式会社甲に対し,合計2億8150万円を貸し付けた(甲1~8)。上記銀行取引約定書では,遅延損害金は年14パーセントの約定であった。 b 被告乙(被告株式会社甲の代表取締役社長),被告丙(被告株式会社甲の取締役専務),A(被告株式会社甲取締役)は,平成元年3月30日付け銀行取引約定書に基づき,被告株式会社甲がC銀行との間の一切の取引に関して負担する債務について,連帯保証する旨を約した(甲1)。 (イ) 証書貸付等aC銀行は,被告株式会社甲との間で,別紙(3)金銭消費貸借契約目録(1)ないし(3)記載のとおりの金銭消費貸借契約を締結し,被告株式会社甲に対し,合計3億2150万円を貸し付けた(甲25~27)。 b 被告乙,被告丙及びAは,被告株式会社甲が平成元年3月30日付け銀行取引約定書に基づき,被告株式会社甲が別紙(3)金銭消費貸借契約目録(1)ないし(3)記載の金銭消費貸借契約によるC銀行に対して負担する債務について,連帯保証する旨を約した(甲25~27)。 イ債権者の変更等(ア) C銀行は,平成8年1月29日,D銀行に営業の全部を譲渡し 借契約によるC銀行に対して負担する債務について,連帯保証する旨を約した(甲25~27)。 イ債権者の変更等(ア) C銀行は,平成8年1月29日,D銀行に営業の全部を譲渡し,日本経済新聞及び神戸新聞に公告することにより(甲21),銀行法34条の対抗要件を具備した。 (イ) D銀行は,平成11年3月23日,E銀行に対し,前記ア(ア)の手形貸付による貸金債権,及び前記ア(イ)記載の証書貸付による貸金債権を譲渡するとともに,同月25日,被告株式会社甲に対し,上記各貸金債権の譲渡通知をした(甲22)。 (ウ) E銀行は,平成11年4月1日,株式会社Fとの間で,同会社を存続会社とする合併をした。そして,同会社は,同日付けで,原告に商号を変更した(甲23)。 ウ結論(ア) 原告が本訴で支払を求める貸金債権の残元本,遅延損害金を整理すると,別紙(4)貸金債権目録一ないし一〇記載のとおりである。 (イ) よって,原告は,被告らに対し,主文1項ないし6項記載のとおり,貸金元金及びその遅延損害金の支払を求める。 (2) 所有権移転登記等の抹消登記請求(主位的請求)ア本件土地建物の所有者等(ア) 本件土地はAの所有であり,本件建物は被告丙及びAが各持分2分の1を所有する共有物件であった(甲12~14)。 (イ) Aが平成12年12月27日死亡した。Aの相続人は,夫の被告乙,長男の被告丙,長女のGの3人である。しかし,Gは相続を放棄した。 (ウ) したがって,本件土地は,被告乙及び被告丙が各持分2分の1を所有する共有物件であり,本件建物は,被告丙が持分4分の3,被告乙が持分4分の1の割合で共有する物件である。 棄した。 (ウ) したがって,本件土地は,被告乙及び被告丙が各持分2分の1を所有する共有物件であり,本件建物は,被告丙が持分4分の3,被告乙が持分4分の1の割合で共有する物件である。 イ通謀虚偽表示による所有権移転登記等(ア) A及び被告丙は,平成9年6月,原告からの本件土地建物に対する強制執行を免れるために,被告丙の妻Hの実母である被告丁と通謀の上,同人に対する同月19日付けの代物弁済を仮装し,同人に対し,次の各所有権移転登記等をした。 aAは,本件土地について,神戸地方法務局宝塚出張所平成9年6月20日受付第16862号をもって,所有権移転登記をした。 bA及び被告丙は,本件建物(持分各2分の1)について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもって,共有者全員持分全部移転登記をした。 (イ) したがって,本件土地建物についてなされた上記各所有権移転登記等は,通謀虚偽表示によるものであり無効である。 ウ所有権移転登記等抹消登記請求権の代位行使(ア) Aは,被告丁に対し,本件土地について,所有権に基づく所有権移転登記抹消登記請求権を有しており,Aの死亡及びGの相続放棄に伴い,被告乙及び被告丙がこれを相続した。 また,A及び被告丙は,被告丁に対し,本件建物(持分各2分の1)について,共有持分権に基づく共有者持分全部移転登記抹消登記請求権を有しており,Aの死亡及びGの相続放棄に伴い,被告乙及び被告丙が,Aの有していた共有持分権に基づく共有者持分全部移転登記抹消登記請求権を相続した。 (イ) 被告乙及び被告丙は,現在も,原告に対し,別紙(4)貸金債権目録記載のとおり,元本だけでも3億円を超える負債を負っているが,本件 基づく共有者持分全部移転登記抹消登記請求権を相続した。 (イ) 被告乙及び被告丙は,現在も,原告に対し,別紙(4)貸金債権目録記載のとおり,元本だけでも3億円を超える負債を負っているが,本件土地建物以外には見るべき資産を有しない。 (ウ) よって,原告は,別紙(4)貸金債権目録記載の貸金債権を保全するため,被告丁に対し,被告丙及び被告乙が有する本件土地建物についての所有権移転登記等抹消登記請求権を代位行使できる。 エ結論よって,原告は,被告丁に対し,本件土地建物の代物弁済の通謀虚偽表示による無効を理由に,次の(ア)(イ)の登記の抹消登記手続を求める。 (ア) 本件土地について,神戸地方法務局宝塚出張所平成9年6月20日受付第16862号をもってなされた所有権移転登記(イ) 本件建物について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもってなされた共有者全員持分全部移転登記 2 被告ら(請求原因に対する認否)(1) 請求原因(1)(貸金請求)についてア請求原因(1)ア(貸金等の発生)について(ア) 請求原因(1)ア(ア)(手形貸付等)のうち,次の事実は認めるが,その余は否認する。 a 同a(手形貸付)b 同b(連帯保証)のうち,被告乙が連帯保証したこと(イ) 請求原因(1)ア(イ)(証書貸付等)のうち,同a(証書貸付)は認めるが,同b(連帯保証)は否認する。 イ請求原因(1)イ(債権者の変更等)は認める。 (2) 請求原因(2)(所有権移転登記等の抹消登記請求)についてア請求原因(2)ア(本件土地建物の所有者等)について請求原因(2)アのうち,同(ア) る。 (2) 請求原因(2)(所有権移転登記等の抹消登記請求)についてア請求原因(2)ア(本件土地建物の所有者等)について請求原因(2)アのうち,同(ア)(本件土地建物の前所有者),同(イ)(Aの死亡と相続人)は認めるが,同(ウ)(本件土地建物の現所有者)は否認する。 イ請求原因(2)イ(通謀虚偽表示による所有権移転登記等)について請求原因(2)イのうち,下記事実は認めるが,その余は否認する。 記A及び被告丙は,被告丙の妻Hの実母である被告丁に対し,平成9年6月19日付け代物弁済を原因として,次の各所有権移転登記等をした。 (ア) Aは,本件土地について,神戸地方法務局宝塚出張所平成9年6月20日受付第16862号をもって,所有権移転登記をした。 (イ) A及び被告丙は,本件建物(持分各2分の1)について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもって,共有者全員持分全部移転登記をした。 ウ請求原因(3)ウ(抹消登記請求権の代位登記)は否認する。 3 被告丁(抗弁)(1) 関係者間での貸借関係等ア Bの被告乙に対する貸金B(I興産会長)は,平成2年10月から同年12月までの間に,被告乙に対し,次のとおり4回にわたり合計2億円を貸し付けた。 (ア) 平成2年10月30日に6000万円(イ) 平成2年11月15日に4000万円(ウ) 平成2年11月28日に3000万円(エ) 平成2年12月10日に7000万円イ被告株式会社甲のI興産に対する貸金被告株式会社甲は,平成2年11月 (ウ) 平成2年11月28日に3000万円(エ) 平成2年12月10日に7000万円イ被告株式会社甲のI興産に対する貸金被告株式会社甲は,平成2年11月8日,Jクレジットから1億5000万円の融資を受け,I興産に対し,1億5000万円を貸し付けた。 ウ Bの抵当権設定仮登記Bは,平成7年10月,被告乙と協議した結果,A及び被告丙の承諾を得た上で,前記アの貸金2億円を担保するため,本件土地建物に2億円の抵当権を設定することとし,同月9日,本件土地建物上に2億円の抵当権設定仮登記を経由した。 エ被告丁のBに対する貸金被告丁は,平成4年6月から平成7年10月にかけて,Bに対し,次の(ア)(イ)(ウ)のとおり,3回にわたり合計3800万円を貸し付けた。平成9年6月当時,その元利金が5000万円を越えていたが,端数を切り捨てて5000万円とした。 (ア) 平成4年6月7日に700万円(乙28)(イ) 平成6年4月11日に600万円(乙29の1・2)(ウ) 平成7年10月26日に2500万円(乙30の1・2)(2) 本件土地建物の代物弁済ア平成9年6月,被告丁のBに対する貸金について,返済の問題が浮上し,Bが,被告丁に対し,Bの被告乙に対する2億円の抵当権付債権を譲渡することにした。 ただし,被告株式会社甲は,I興産に対し,1億5000万円の貸金債権を有しており,被告株式会社甲もI興産も被告乙,Bの個人会社であるから,相殺的処理をすると,Bの被告乙に対する貸金債権は5000万円となる。 他方,被告丁のBに対する貸金債権も5000万円である。 イそこで,被告丁,被告乙,Bは,A であるから,相殺的処理をすると,Bの被告乙に対する貸金債権は5000万円となる。 他方,被告丁のBに対する貸金債権も5000万円である。 イそこで,被告丁,被告乙,Bは,Aや被告丙の協力も得た上で,平成9年6月20日,同年7月30日,本件土地建物に次の各登記をして,貸金債権5000万円の代物弁済として,Bに本件土地建物を代物弁済し,さらに,Bから被告丁に本件土地建物を代物弁済することで,全体の一挙解決を図った。 (ア) Aは,被告丁に対し,本件土地について,代物弁済を原因とする所有権移転登記をした。 (イ) A及び被告丙は,被告丁に対し,本件建物(持分各2分の1)について,代物弁済を原因とする共有者全員持分全部移転登記をした。 (ウ) Bは,本件土地建物の抵当権設定仮登記の債権額を2億円から1億円に変更した上で,被告丁に対し,抵当権移転仮登記をした。被告丁,Bは,これらの抵当権仮登記を抹消した。 (3) 本件土地建物の賃貸借契約被告丙は,平成9年7月1日,被告丁との間で,本件土地建物を賃料月額15万円で賃借する契約を締結し,以後,被告丁に対し,毎月賃料15万円を支払い,同年6月20日以降も,Aとともに,引き続き本件土地建物に居住していた(乙39,40)。 (4) まとめ以上の次第で,被告丁に対する本件土地の所有権移転登記,本件建物の持分全部移転登記は,実体を備えた有効なものであり,強制執行を免れるための通謀虚偽表示による無効な登記ではない。 4 原告(抗弁に対する認否)(1) 抗弁(1)(関係者間での貸借関係等)についてア抗弁(1)ア(Bの被告乙に対する貸金)は否認する。 イ抗弁(1)イ(被告株式会社甲のI興産に対する貸金)は認め )(1) 抗弁(1)(関係者間での貸借関係等)についてア抗弁(1)ア(Bの被告乙に対する貸金)は否認する。 イ抗弁(1)イ(被告株式会社甲のI興産に対する貸金)は認める。 ウ抗弁(1)ウ(Bの抵当権設定仮登記)のうち,Bが,平成7年10月9日,本件土地建物上に2億円の抵当権設定仮登記を経由したことは認めるが,その余は否認する。 エ抗弁(1)エ(被告丁のBに対する貸金)は否認する。 (2) 抗弁(2)(本件土地建物の代物弁済)について抗弁(2)のうち,次の事実は認めるが,その余は否認する。 ア Aが,平成9年6月20日,被告丁に対し,本件土地について,代物弁済を原因とする所有権移転登記をした。 イ A及び被告丙が,前同日,被告丁に対し,本件建物について,代物弁済を原因とする共有者全員持分全部移転登記をした。 ウ Bが,前同日,本件土地建物の抵当権設定仮登記の債権額を2億円から1億円に変更した上で,被告丁に対し,抵当権移転仮登記をした。被告丁,Bは,平成9年7月30日,これらの抵当権仮登記を抹消した。 (3) 抗弁(3)(本件土地建物の賃貸借契約)について抗弁(3)のうち,A及び被告丙が,平成9年6月20日以降も,引き続き本件土地建物に居住していたことは認めるが,その余は否認する。 (4) 抗弁(4)(まとめ)は争う。 5 原告(予備的請求原因-詐害行為)仮に被告らの抗弁が認められ,本件土地建物所有権移転登記等の通謀虚偽表示による無効が認められない場合に備えて,原告は予備的に以下のとおり主張する。 (1) 平成7年10月5日付け抵当権設定契約の詐害行為性ア A及び被告丙は,平成7年10月 虚偽表示による無効が認められない場合に備えて,原告は予備的に以下のとおり主張する。 (1) 平成7年10月5日付け抵当権設定契約の詐害行為性ア A及び被告丙は,平成7年10月5日,Bとの間で,Bの被告乙に対する2億円の貸金を被担保債権として,本件土地建物上に,Bを権利者とする抵当権設定契約を締結した。 イ A及び被告丙は,平成7年10月5日当時,C銀行に期限の利益を失った6億円以上の連帯保証債務を負担し,唯一の無担保不動産が本件土地建物であった。A及び被告丙には他に資産はない。 Bは,前同日当時,上記事実を承知しており,A,被告丙及びBは,本件土地建物についての抵当権設定契約が,A及び被告丙の債権者を害することを知っていた。 ウしたがって,平成7年10月5日付け抵当権設定契約は,詐害行為に当たる。 (2) 平成9年6月19日付け代物弁済契約の詐害行為性-その①ア A及び被告丙は,平成9年6月19日,Bとの間で,本件土地建物の代物弁済契約を締結し,Bに対し本件土地建物の所有権を移転した。代物弁済の原因となったのは,Bの被告乙に対する2億円の貸金債権である。 イ A及び被告丙は,平成9年6月19日当時,D銀行に期限の利益を失った6億円以上の連帯保証債務を負担し,唯一の無担保不動産が本件土地建物であった。A及び被告丙には他に資産はない。 Bは,前同日当時,上記事実を承知しており,A,被告丙及びBは,本件土地建物の代物弁済契約が,A及び被告丙の債権者を害することを知っていた。 ウしたがって,平成9年6月19日付け代物弁済契約も,詐害行為に当たる。 (3) 平成9年6月19日付け代物弁済契約の詐害行為性-その②ア A及び被告丙は を知っていた。 ウしたがって,平成9年6月19日付け代物弁済契約も,詐害行為に当たる。 (3) 平成9年6月19日付け代物弁済契約の詐害行為性-その②ア A及び被告丙は,平成9年6月19日,本件土地建物を1億円と評価して,Bに対し,本件土地建物を代物弁済したが,被告丁は,同日,Bから,5000万円の貸金に対する代物弁済として,本件土地建物を取得している。 イこのように,被告丁は,本来1億円の価値ある本件土地建物を,5000万円の貸金の代物弁済として所有権移転を受けていること自体から,被告丁の悪意が推認される。 また,被告丁は,娘婿である被告丙から,被告乙・B間及びB・被告丁間の借金を清算するために代物弁済するという説明を受けていたので,A,被告丙及びBが借金を返済できない状態にあることの認識があった。 ウしたがって,被告丁も,本件土地建物の代物弁済が詐害行為に該当することについて悪意である。 (4) 結論よって,原告は,被告丁に対し,本件土地建物の抵当権設定契約,代物弁済契約の詐害行為を理由に,予備的に,次の各裁判を求める。 ア AとBとの間で平成7年10月5日付けでなされた,本件土地及び本件建物(共有持分2分の1)についての抵当権設定契約は,これを取り消す。 イ被告丙とBとの間で平成7年10月5日付けでなされた,本件建物(共有持分2分の1)についての抵当権設定契約は,これを取り消す。 ウ AとBとの間で平成9年6月19日付けでなされた,本件土地及び本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約は,これを取り消す。 エ被告丙とBとの間で平成9年6月19日付けでなされた,本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約 地及び本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約は,これを取り消す。 エ被告丙とBとの間で平成9年6月19日付けでなされた,本件建物(共有持分2分の1)についての代物弁済契約は,これを取り消す。 オ主文7項と同旨 6 被告丁(予備的請求原因に対する認否)(1) 予備的請求原因(1)(平成7年10月5日付け抵当権設定契約の詐害行為性),同(2)(平成9年6月19日付け代物弁済契約の詐害行為性-その①),同(平成9年6月19日付け代物弁済契約の詐害行為性-その②)は,いずれも否認ないし争う。 (2) A,被告丙,B及び被告丁には,抵当権設定契約,代物弁済契約当時,A,被告丙及びBの債権者を害する意思(詐害の意思)などなかった。 7 被告丁(抗弁-消滅時効)(1) 原告が問題としている抵当権設定契約は平成7年10月5日,代物弁済契約は平成9年6月19日であり,原告は,その直後に,原告が詐害行為と主張する客観的行為を知るところとなっている。 (2) 原告は,平成10年1月20日,不動産競売により,被告株式会社甲の滞納債権を一部回収している。金融機関は,このような特殊回収に先立ち,連帯保証人の自宅不動産などの調査をしている筈であるから,原告も,遅くとも平成10年1月20日には,詐害行為の取消原因を覚知している筈である。 (3) したがって,原告が主張する詐害行為取消権は,民法426条前段(覚知したときから2年の短期消滅時効)により,平成12年1月20日には時効により消滅した。 8 原告(抗弁に対する認否,反論)(1) 抗弁(1)は否認する。 (2) 原告は,平成12年5月31日,本件土地建物の登記簿謄本(甲12)を取得して初めて,本件土地建物について,債権額2億円 告(抗弁に対する認否,反論)(1) 抗弁(1)は否認する。 (2) 原告は,平成12年5月31日,本件土地建物の登記簿謄本(甲12)を取得して初めて,本件土地建物について,債権額2億円抵当権設定仮登記や代物弁済を原因とする所有権移転登記等がされていることを知った。よって,時効は未だ成立していない。 理由 第1 貸金請求について 1 争いのない事実次の事実は,当事者間に争いがない。 (1) 請求原因(1)ア(ア)a(手形貸付)(2) 請求原因(1)ア(ア)b(手形貸付の保証)のうち,被告乙の連帯保証(3) 請求原因(1)ア(イ)a(証書貸付)(4) 請求原因(1)イ(債権者の変更等) 2 そして,証拠(甲1,甲25~27)によると,請求原因(1)ア(ア)b(手形貸付の保証),同(1)ア(イ)b(証書貸付の保証)が認められる。 3 まとめ以上によると,原告の本件貸金請求は,いずれも理由があるので,これを認容すべきである。 第2 所有権移転登記等の抹消登記請求(主位的請求)について 1 争いのない事実次の事実は,当事者間に争いがない。 (1) 被告株式会社甲は,平成2年11月8日,Jクレジットから1億5000万円の融資を受け,I興産に対し,1億5000万円を貸し付けた。 (2) 本件土地建物の登記等ア本件土地はAの所有であり,本件建物は被告丙及びAが各持分2分の1を所有する共有物件であった。 イ Bは,平成7年10月9日,本件土地建物上に2億円の抵当権設定仮登記を経由した。そして,Bは,平成9年6月20日,本件土地建物の抵当権設定仮登記の債権額を2億円から1億円に変更した上,被告丁に対し, Bは,平成7年10月9日,本件土地建物上に2億円の抵当権設定仮登記を経由した。そして,Bは,平成9年6月20日,本件土地建物の抵当権設定仮登記の債権額を2億円から1億円に変更した上,被告丁に対し,抵当権移転仮登記をした。被告丁は,同年7月30日,これらの抵当権仮登記を抹消した。 ウ A及び被告丙は,被告丙の妻Hの実母である被告丁に対し,平成9年6月19日付け代物弁済を原因として,次の各所有権移転登記等を行った(別紙(5)身分関係図参照)。 (ア) Aは,本件土地について,神戸地方法務局宝塚出張所平成9年6月20日受付第16862号をもって,所有権移転登記をした。 (イ) A及び被告丙は,本件建物(持分各2分の1)について,同法務局同出張所同日受付第16863号をもって,共有者全員持分全部移転登記をした。 (3) A及び被告丙は,平成9年6月20日以降も,引き続き本件土地建物に居住していた。 (4) Aが平成12年12月27日死亡した。Aの相続人は,夫の被告乙,長男の被告丙,長女のGの3人である。しかし,Gが相続の放棄をした(別紙(5)身分関係図参照)。 2 事実の認定前記1の争いのない事実に,証拠(甲12~14,甲36,甲37,乙31~34〔枝番を含む〕,乙38,証人B〔一部〕,被告乙本人〔一部〕,被告丙本人〔一部〕,被告丁本人〔一部〕),及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 被告株式会社甲の宅地造成事業の失敗等被告株式会社甲は,平成2年より,a市b町c地区において,「サンcハイタウン」宅地造成・分譲事業に着手したが,事業がうまくいかず,その資金繰りに窮した。 そして,被告株式会社甲は,平成5年12月には,C銀行グループに対する20億円を越える貸金に 「サンcハイタウン」宅地造成・分譲事業に着手したが,事業がうまくいかず,その資金繰りに窮した。 そして,被告株式会社甲は,平成5年12月には,C銀行グループに対する20億円を越える貸金について延滞するようになり(甲37),負債の圧縮のため,上記買収地の転売に努めたが,平成7年にはほぼ転売不能になった(被告乙本人調書13頁)。 (2) 平成7年10月9日付けの抵当権設定仮登記アそこで,被告株式会社甲及びその経営者で連帯保証人である被告乙,A,被告丙は,何とか事業の存続を図り生き延びるため,C銀行グループに対し,負債の8割カットの申し入れをすることにした。 イしかし,被告乙,A,被告丙らが居住する自宅(本件土地建物)が無担保の状態であり(甲12~14),C銀行グループに負債カットの申し入れをするときは,A,被告丙に対する連帯保証債務で仮差押えされることが予想された。 そこで,被告乙や被告丙は,旧知の知人で懇意にしていたBに頼み込み,平成7年10月5日(木曜日),Bから被告乙への2億円の貸金を仮装し,これをAと被告丙が連帯保証したことにして,本件土地建物に2億円の抵当権を設定して,C銀行グループからの仮差押えに対する備えとした(乙38添付の借用証書,抵当権設定証書)。 ウ被告株式会社甲(被告乙及び被告丙)は,平成7年10月6日(金曜日),C銀行宝塚支店を訪れ,同支店のK支店長及びL次長に対し,負債の8割カットを申し入れた。しかし,同支店長らからは,負債カットの申出を拒否された(甲36)。 そのため,被告丙及びAは,C銀行グループからの本件土地建物に対する保全措置が予想されたため,早速,平成7年10月9日(月曜日),本件土地建物にBを権利者とする2億円の抵当権設定仮登 )。 そのため,被告丙及びAは,C銀行グループからの本件土地建物に対する保全措置が予想されたため,早速,平成7年10月9日(月曜日),本件土地建物にBを権利者とする2億円の抵当権設定仮登記をなし,これに備えた(甲12~14)。 (3) 平成9年6月20日付けの所有権移転登記等アこのようにして,C銀行グループからの本件土地建物への仮差押えは回避できたが,Bは他人であり,63歳の高齢でもあって,万一同人が死亡すれば,同人の遺族と揉める可能性もあった。 そこで,被告乙及び被告丙は,被告丙の妻の母である被告丁の名義を借り,被告丁がかねて被告丙に貸していた貸金をBに対する貸金に流用することにし,B,被告丁,Aに事情を説明して,内容虚偽の書面を作成して,虚構の登記を作出することの同意を取り付けた。 イすなわち,被告丁は,被告丙に対し,乙第34号証に記載のとおり,5000万円ほどの貸金を有していたが,この貸金をBに対する貸金とすることにした。 そして,Bが,2億円の貸金を有することにして,その代物弁済として,1億円で本件土地建物を取得し,残り1億円の貸金を被告丁に対する5000万円の貸金の代物弁済として譲渡し,被告丁は,Bから譲り受けた1億円の貸金の代物弁済として,本件土地建物を取得することにしたのである(乙38添付の代物弁済契約書,抵当権付き債権譲渡契約証書,甲12~14)。 ウそして,A,被告丙,B,被告丁は,通謀の上,平成9年6月20日付け,同年7月30日付けで,本件土地建物について,次のような虚偽の登記を作出した(甲12~14)。 (ア) Bは,平成9年6月19日一部弁済を原因として,債権額2億円の抵当権設定仮登記を,債権額1億円に減額する旨の 地建物について,次のような虚偽の登記を作出した(甲12~14)。 (ア) Bは,平成9年6月19日一部弁済を原因として,債権額2億円の抵当権設定仮登記を,債権額1億円に減額する旨の仮登記変更登記をした。そして,Bは,平成9年6月19日債権譲渡を原因として,被告丁に対し,抵当権移転仮登記をした。 (イ) そして,Aは,被告丁に対し,本件土地の所有権移転登記及び本件建物(持分2分の1)の共有者全員持分全部移転登記をした。被告丙は,被告丁に対し,本件建物(持分2分の1)の共有者全員持分全部移転登記をした。 (ウ) その上で,被告丁は抵当権移転仮登記を抹消し,Bは抵当権設定仮登記を抹消した。 エ上記仮装行為を作出して虚偽の登記をしたことにより必要となった登記費用や税金は,被告乙,被告丙,Aの方で全額負担し,当然のことながら,被告丁やBは1円も負担していない(被告丁本人調書39頁)。 (4) 本件土地建物の占有使用者A,被告丙,被告乙は,平成9年6月20日付けで,被告丁に対し,本件土地建物の所有権移転登記等をした後も,引き続き,従前どおり,本件土地建物に居住している。被告丁は,平成9年6月20日以降も,引き続き,三重県d市に住んでいる。 3 前記認定に反する被告丁主張の検討(1) Bの被告乙に対する貸金2億円についてア被告丁の主張被告丁は,「B(I興産会長)が,平成2年10月から同年12月までの間に,被告乙に対し,次のとおり4回にわたり合計2億円を貸し付けた。」と主張する。 (ア) 平成2年10月30日に6000万円(イ) 平成2年11月15日に4000万円(ウ) 平成2年11月28日に3000万円( 付けた。」と主張する。 (ア) 平成2年10月30日に6000万円(イ) 平成2年11月15日に4000万円(ウ) 平成2年11月28日に3000万円(エ) 平成2年12月10日に7000万円イ検討しかし,被告丁の上記主張は,採用できない。その理由は,次のとおりである。 (ア) 的確な証拠なし被告丁は,Bが被告乙に貸し付けたという3億円の出所について,ワリコー等の現金化であると主張するだけで,何らの的確な証拠も提出しない。 Bが2億円もの現金を工面したという客観的証拠,Bから被告乙に対する2億円もの資金移動を示す客観的な証拠が存在しないというのは,2億円という巨額な金額からすると,不自然なことである。 (イ) I興産の借入との矛盾-その①被告株式会社甲(被告乙が社長)は,平成2年11月8日,Jクレジットから1億5000万円の融資を受け,I興産(Bの個人会社)に対し,1億5000万円を貸し付けている(当事者間に争いがない)。 それゆえ,Bには,平成2年10月から12月にかけて,被告乙に対し,2億円も貸し付けるような資金力はなかったといえる。何故ならば,もし,Bには,当時そのような資金力があったのなら,被告株式会社甲から1億5000万円もの融資を受けることはない筈だからである。 この点からも,Bが被告乙に2億円を貸し付けた事実は認められない。 (ウ) I興産の借入との矛盾-その②I興産は,被告株式会社甲のJクレジットからの借入金1億5000万円の利息金を被告株式会社甲に支払い(甲33), ない。 (ウ) I興産の借入との矛盾-その②I興産は,被告株式会社甲のJクレジットからの借入金1億5000万円の利息金を被告株式会社甲に支払い(甲33),あるいは,被告株式会社甲に代わってJクレジットに利息金を代払いしている(甲34)。ところが,Bは,同じ頃被告乙に貸し付けた2億円については,無利息であったという。そのようなことは,考えられないことである。 この点からも,Bが被告乙に2億円を貸し付けた事実は認められない。 (エ) 無担保,借用証書なしBは,被告乙に2億円を貸し付けるに際し,担保もとらなかったし,借用証書も徴しなかったという。2億円もの大金を貸し付けるにあたり,担保もとらず借用証書も徴しなかったなどということは,考えられないことである。 この点からも,Bが被告乙に2億円を貸し付けた事実は認められない。 (2) 被告丁のBに対する貸金についてア被告丁の主張被告丁は,「被告丁が,平成4年6月から平成7年10月にかけて,Bに対し,次の(ア)(イ)(ウ)のとおり,3回にわたり合計3800万円を貸し付けた。」と主張する。 (ア) 平成4年6月7日に700万円(乙28)(イ) 平成6年4月11日に600万円(乙29の1・2)(ウ) 平成7年10月26日に2500万円(乙30の1・2)イ検討しかし,被告丁の上記主張も,採用できない。その理由は,次のとおりである。 (ア) 的確な証拠なし被告丁からBへの資金移動を示す客観的な証拠は皆無である。 (イ) 見ず知ら 張も,採用できない。その理由は,次のとおりである。 (ア) 的確な証拠なし被告丁からBへの資金移動を示す客観的な証拠は皆無である。 (イ) 見ず知らずの人物に貸すことの不自然さ被告丁は,Bとは,被告丁が平成4年6月にBに700万円を貸すまでは,見ず知らずの関係であったという(証人B,被告丁本人)。そうだとすると,被告丁が,いくら娘婿の被告丙から頼まれたとはいえ,それまで全く知らなかったBに対し,次々と3回にわたり,合計3800万円もの大金を貸し付けたなどということは,にわかには考えられないことである。 しかも,被告丁は,平成4年6月7日に貸し付けた700万円について,Bから1円の弁済も受けていないのに,平成6年4月11日に更に600万円を貸し付けたというのであり,以上の700万円,600万円について,Bから1円の弁済も受けていないのに,平成7年10月26日に重ねて2500万円を貸し付けたという。そのようなことは,到底考えられないことである。 その上,被告丁は,最後の2500万円は,銀行から借りてまでして工面した金であるという(被告丁本人調書11頁)。すなわち,被告丁は,見ず知らずの人物に,銀行から借りてまでして工面した金で2500万円を貸したのだという。そんな不自然,不合理なことはありえない。 以上の点からも,被告丁がBに3800万円を貸し付けた事実は認められない。 (ウ) 証人Bの証言と矛盾Bは,「被告丁からは2500万円を借りた記憶しかない(証人Bの証人調書14頁),600万円,700万円を借りたことについては,よく覚えていない(証人Bの証人調書15頁)」と証言する。 Bは,「被告丁からは2500万円を借りた記憶しかない(証人Bの証人調書14頁),600万円,700万円を借りたことについては,よく覚えていない(証人Bの証人調書15頁)」と証言する。 この点からも,被告丁がBに3800万円を貸し付けた事実は認められない。 (エ) 被告丁本人の供述と矛盾被告丁は,「600万円,700万円,2500万円は,被告丙に貸した金である。」「被告丙から,以上の貸金合計3800万円の内金500万円の返済を受けた。」「600万円,700万円,2500万円をBに貸したかどうか,はっきり分からない」とも供述している(被告丁本人調書25~27頁)。 この点からも,被告丁がBに3800万円を貸し付けた事実は認められない。 4 まとめ(1) 前記第1の認定事実に,以上の第2の1ないし3の認定判断によると,原告主張の請求原因(2)イ(通謀虚偽表示による所有権移転登記等),同ウ(所有権移転登記等抹消登記請求権の代位行使)の事実が認められ,被告丁主張の抗弁は認められない。 (2) よって,被告丁は,本件土地建物の代物弁済の通謀虚偽表示による無効を理由に,本件土地建物所有権移転登記等の抹消登記手続をする義務があり,原告の被告丁に対する所有権移転登記等の抹消登記請求(主位的請求)は理由があるので,これを認容すべきである。 第3 結論以上によると,原告の本件貸金請求,所有権移転登記等の抹消登記請求はいずれも理由があるので,これを認容し,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判官紙浦健二 主文 容し、主文のとおり判決する。 理由 神戸地方裁判所第2民事部裁判官紙浦健二

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