主文 原判決を取り消す。本件を熊本地方裁判所御船支部に差し戻す。事実 控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し原判決添付別紙目録記載の不動産につき昭和八年十月五日熊本地方法務局堅志田出張所受付第三七七九号をもつてなした同月三日付売買による所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上及び法律上の主張ならびに証拠の関係は、控訴代理人において「(一)控訴会社の株券は未発行のままであるけれども、その株主及びその持株数は、Aの相続人B、C、Dの三名で合計四、三〇〇株であり、Eの相続人Fの持株一〇〇株、Gの相続人Hは一〇〇株、I相続人Jは一〇〇株、K相続人Lは一〇〇株、M、N、Oの持株数はそれぞれ一〇〇株である。(二)控訴会社取締役職務代行者Pは前記(一)の各株主に対し昭和三二年二月二三日取締役及び監査役選任を目的とする株主総会を開催するため、同月五日その招集の通知を発した。右株主総会招集の通知はO、B、C及びDの四名に対しては直接通知状を交付し、その余の株主に対しては通知状を書留郵便に付して発した。」と述べ、立証として甲第一〇ないし第一四号証を提出し、当審証人P、Q、Bの各証言を援用し、被控訴代理人において控訴会社を代表して本訴訟を追行すべきものとしては商法第二五八条第二項の規定に従い取締役職務代行者を選任すべきで民訴第五六条にもとずき当裁判所がなした特別代理人の選任決定は不適法である。なお従前の取締役職務代行者Pが訴訟を追行することには異議がないと述べ、甲第一〇、第一四号証の成立を認め、同第一一ないし第一三号証の成立は不知と答えたほかは原判決摘示事実と同じ 決定は不適法である。なお従前の取締役職務代行者Pが訴訟を追行することには異議がないと述べ、甲第一〇、第一四号証の成立を認め、同第一一ないし第一三号証の成立は不知と答えたほかは原判決摘示事実と同じであるからこれを引用する。 る。なお従前の取締役職務代行者Pが訴訟を追行することには異議がないと述べ、甲第一〇、第一四号証の成立を認め、同第一一ないし第一三号証の成立は不知と答えたほかは原判決摘示事実と同じ 決定は不適法である。なお従前の取締役職務代行者Pが訴訟を追行することには異議がないと述べ、甲第一〇、第一四号証の成立を認め、同第一一ないし第一三号証の成立は不知と答えたほかは原判決摘示事実と同じであるからこれを引用する。(ただし原判決三枚目裏三、四行目に「その余の乙号各証の成立を認める」とあるは「乙第三号証の一、二第七号証の一、二、第八号証の一ないし三、第九号証の一、二の成立は不知、その余の乙号各証の成立は認める」の誤記と認めこれを訂正する。) 理由 本訴は昭和二七年四月一三日の株主総会において選任された控訴会社代表取締役Rが弁護士川野浩に委任して提起した訴訟であるところ、原裁判所昭和三一年(ワ)第七号取締役選任決議無効判決の確定(昭和三一年一二月一〇日確定)により右代表取締役Rはその資格のないことが確定し、確定当日右選任決議にもとずく取締役及び代表取締役就任登記は抹消されたところ、昭和三二年二月二三日招集された株主総会において更めて前記Rを代表取締役に選任する旨の決議をなしたので、同人は控訴会社の代表者として本訴における従前の訴訟行為を追認したものであることは、一件記録により明らかである。ところて被控訴人は前記昭和三二年二月二三日の株主総会の決議も無効であると主張しRの代表権限を争うので、まずこの点について検討を加える。成立に争いがない甲第一〇、第一四号証、当審証人Pの証言により真正に成立したと認めることができる甲第一一号証、当審証人Bの証言により真正に成立したと認めることができる甲第一二号証、原審及び当審証人Pの証言を総合すれば、前記昭和三二年二月二三日の株主総会は、商法第二五八条第二項非訟事件手続法第一二六条等の規定に従い昭和三〇年一一月二八日熊本地方裁判所御船支部の決定により取締役職務代行者に選 Pの証言を総合すれば、前記昭和三二年二月二三日の株主総会は、商法第二五八条第二項非訟事件手続法第一二六条等の規定に従い昭和三〇年一一月二八日熊本地方裁判所御船支部の決定により取締役職務代行者に選任されたPの招集により開催せられたものであるが当時控訴会社においては設立当時の取締役であつたA、I、Eの三名(右のうちAは代表取締役)はいずれも死亡し(取締役Iは昭和六年八月五日、同Eは昭和九年三月二八日、同代表取締役Aは昭和一九年九月一七日いずれも死亡)、取締役は皆無となつていたこと、もつとも右Pが取締役職務代行者に選任される以前である昭和二七年四月一三日R、B、Cの三名が取締役に右Rが代表取締役に選任せられたが、前掲昭和三一年一二月一〇日の選任決議無効判決の確定によりそれぞれその資格を有しないことに確定し、したがつて前記昭和三二年二月二三日開催の株主総会を招集した当時には前記代行者P以外には控訴会社の取締役は欠員のままであつたことには変りがなく、しかもPは代表取締役職務代行者としてではなく、単なる取締役職務代行者として選任せられた者であること、以上の事実を認めることができ右認定を左右する証拠はない。 たが、前掲昭和三一年一二月一〇日の選任決議無効判決の確定によりそれぞれその資格を有しないことに確定し、したがつて前記昭和三二年二月二三日開催の株主総会を招集した当時には前記代行者P以外には控訴会社の取締役は欠員のままであつたことには変りがなく、しかもPは代表取締役職務代行者としてではなく、単なる取締役職務代行者として選任せられた者であること、以上の事実を認めることができ右認定を左右する証拠はない。<要旨>ところで、株主総会の招集は取締役会の定めるところに従い代表取締役がこれを招集すべきものであつて、</要旨>取締役会の決議によらないで代表取締役以外の取締役が招集した総会は全く招集権なき者の招集した総会であり、法律上は株主総会としての成立をみとめえないこと明らかであつて、その決議は不存在というほかない。本件についていえば本件株主総会招集当時控訴会社の取締役は全員死亡していたため商法第二五八条第一項の適用される余地がなく法定の員数の最低限を欠くに至つた(本件においては控訴会社の定款に取締役の員数を定めた規定の存する事実を認める証拠は 控訴会社の取締役は全員死亡していたため商法第二五八条第一項の適用される余地がなく法定の員数の最低限を欠くに至つた(本件においては控訴会社の定款に取締役の員数を定めた規定の存する事実を認める証拠はない)のであるから、商法第二五五条の規定により法定の最低限の定足数三名の取締役職務代行者(中一名は代表取締役職務代行者)の選任を得た上で、同法第二三一条、第二六〇条の二の規定に従いその過半数をもつて株主総会招集の決議をなし、代表取締役職務代行者において、これが招集手続をなすべきであるのにかかわらず、以上のような決議手続を経ずに単なる取締役職務代行者に過ぎないPが単独で本件株主総会を招集したのであるから、右株主総会は取締役会の決議によらず、しかも代表取締役以外の取締役が招集した株主総会であつて、その総会は全く招集権なき者の招集した総会で法律上は株主総会としての成立を認め得ない意味においてその決議は不存在というほかなく、右決議にもとずき代表取締役として選任せられたRには控訴会社を代表する権限がないというべきである。しかしながら当裁判所は昭和三五年四月二七日控訴会社の利害関係人である株主Bの申請にもとずき前記Rを民事訴訟法第五八条第五六条の規定に従い控訴会社の特別代理人に選任する旨決定し、右Rにおいて従前の訴訟行為を追認したこと記録上明らかであるから、これにより本訴は訴の提起にさかのぼつて有効となつたわけである。 、右決議にもとずき代表取締役として選任せられたRには控訴会社を代表する権限がないというべきである。しかしながら当裁判所は昭和三五年四月二七日控訴会社の利害関係人である株主Bの申請にもとずき前記Rを民事訴訟法第五八条第五六条の規定に従い控訴会社の特別代理人に選任する旨決定し、右Rにおいて従前の訴訟行為を追認したこと記録上明らかであるから、これにより本訴は訴の提起にさかのぼつて有効となつたわけである。被控訴人は控訴会社を代表して本訴訟を追行すべきものとしては、商法第二五八条第二項の規定に従い取締役職務代行者を選任すべきで民訴第五六条の規定による特別代理人の選任決定は不適法である。なお従前の取締役職務代行者Pにおいて控訴会社の訴訟を追行することには異議がないと主張するけれども、従前の取締役職務代行者Pは、単なる取締役の職務代行者であつて る特別代理人の選任決定は不適法である。なお従前の取締役職務代行者Pにおいて控訴会社の訴訟を追行することには異議がないと主張するけれども、従前の取締役職務代行者Pは、単なる取締役の職務代行者であつて控訴会社を代表して訴訟を追行し得べき権限を有する代表取締役職務代行者ではないから、控訴会社の本訴訟を追行すべき者としては商法第二六一条第三項第二五八条第二項非訟事件手続法第一二六条第一三二条ノ四の規定に従い新たに代表取締役職務代行者を選任するほかはないわけである。しかし前記各法条に従い代行者の選任をまつていたのでは、記録により認めることができる本件訴訟の経過ならびにその内容に徴し控訴会社において遅滞のため損害を受けるおそれあることにつき疎明のある本件においては、民訴第五八条第五六条の規定を類推し、控訴会社の利害関係人の申請にもとずき特別代理人を選任することができると解すべく、しかも右選任決定の取消決定のない以上、Rは特別代理人として控訴会社を代表しうることは当然であるから、これに反する前記被控訴人の見解は採用できない。してみればRに控訴会社を代表する権限がない故に訴を不適法として却下した原判決は不当で本件控訴は理由があることに帰すから、民事訴訟法第三八八条に従い原判決を取消し、本件を第一審裁判所に差し戻すべきものとし、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官川井立夫裁判官秦亘裁判官高石博良)
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