昭和25(れ)172 贈賄、収賄

裁判年月日・裁判所
昭和25年11月9日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由  被告人A弁護人柏岡清勝の上告趣意について。  しかし、所論の憲法二五条一項の法意は国家は国民一般に対し、概括的に健康で

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判決文本文4,945 文字)

主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A弁護人柏岡清勝の上告趣意について。 しかし、所論の憲法二五条一項の法意は国家は国民一般に対し、概括的に健康で文化的な最低限度の生活を営ましめる責務を負担しこれを国政上の任務とすべきであるとの趣旨であつて、此規定により直接に個々の国民は国家に対し、具体的現実的にかゝる権利を有するものでないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)九三〇号同二四年六月二九日大法廷判決、判例集三巻七号一一三五頁)従つて、仮りに所論のように主要食糧の欠配により生活して行くことが困難であるとしても、公務員たる鉄道職員がその職務に関して荷主から金品を収受したのを刑法収賄の罪に処断してはならないという理由は所論憲法の規定の解釈からは出てこないから、原審が被告人Aの判示所為を収賄罪に問擬したからといつて原判決は所論のように憲法の規定の精神を沒却するものとはいえない。論旨は理由がない。 被告人B弁護人海野普吉、同位田亮次、同齋藤熊雄上告趣意第一点及び弁護人齋藤熊雄の上告趣意第一点について。 しかし刑法一九八条は「第一九七条乃至第一九七条ノ三ニ規定スル賄賂ヲ供与シ………」と規定しているのであるから、原審は判示の被告人Bの賄賂の供与が右刑法の規定のいずれに規定する賄賂を供与したものにあたるかを明らかにする趣旨で所論刑法の規定を摘示したにすぎないものであつて、所論のように刑法一九七条の三の規定を適用して量刑処断したものでないことは刑の減軽の規定を適用しないで被告人を右一九七条の三の最短期である一年未満の懲役(六月の懲役)に処していることからも明らかなところである。されば原判決には所論のように法令を不当に且つ被告人に不利益に適用した擬律錯誤の違法は存しないから、論旨は理由が の最短期である一年未満の懲役(六月の懲役)に処していることからも明らかなところである。されば原判決には所論のように法令を不当に且つ被告人に不利益に適用した擬律錯誤の違法は存しないから、論旨は理由がない。 - 1 -被告人B弁護人海野普吉外二名上告趣意第二点について。 しかし、所論に摘録する原判示の部分は原判決挙示の証拠である相被告人A、原審相被告人Cの原審公廷における関係部分の供述(記録八五三丁、九〇三丁)、第一審相被告人D同Eの第一審第二回公廷における関係部分の供述(記録四二四丁、四三二丁)と対照すれば相被告人A原審相被告人C、第一審相被告人D、同Eが被告人Bから判示の各賄賂の供与をうけたのは同人等がそれぞれ判示の職に在職中でのことであつた趣旨を判示しているものと理解することができる。されば原判決には所論のような違法は認められない。 同第三点について。 相被告人Cが原審第二回公判廷において所論摘示のごとくBから金千五百円を寄越したと供述したに過ぎないことは所論のとおりである。 しかし、記録を閲するに、原審第一回公判廷において検事が第一審判決摘示の事実(同判決の第二の(1)の(リ)が原判決の第四の一のトにあたりいずれも金額は三千円となつている)を公訴事実として陳述し裁判長が被告人等に対して被告事件を告げたのに対して被告人Cは「現金の交付を受けたことは事実ですがその金の趣旨は違つている」と述べていることが明らかである。そして、原判決の証拠説明には同被告人の原審公廷における授受金品の趣旨の点を除いて同被告人の関係部分につき判示同旨の供述と示しているのであるから、原審は金額の点については同被告人の原審第一回公判廷における供述を証拠として採用したものであることを認めることができる。されば原審がその第一回公廷における同被告人の供述を証拠と しているのであるから、原審は金額の点については同被告人の原審第一回公判廷における供述を証拠として採用したものであることを認めることができる。されば原審がその第一回公廷における同被告人の供述を証拠として採用し、所論に摘録する供述を採用しなかつたからといつて原判決には所論のように虚無の証拠を断罪の資料に供したという違法は存しない。論旨は理由がない。 同第四点について。 所論の第一審第二回公判調書竝にこれに引用されている第一審相被告人D、同E- 2 -に対する検事の聴取書中の同人等の各供述記載によれば同人等はその身分に関し判示同趣旨の供述をしたことが明らかである。されば原判決が所論の判示事実を右被告人等の第一審第二回公判調書中における同人等関係部分につき判示に照応する各供述記載を証拠として認定したからといつて原判決には所論のような理由不備の違法は存しない。 同第五点について。 本件は新刑訴施行前に公訴の請求があつた事件ではあるが刑訴施行法一三条に基ずく刑訴規則施行規則三条三号が適用される筋合であつて、同条号によれば、裁判所は開廷後引続き一五日以上開廷しなかつた場合においても必ずしも公判手続を更新する必要なく、裁判所がその必要ありと認めた場合に限り手続の更新をなせば足るわけであるから、原審が開廷した第五回公廷と第六回公廷との間に一五日以上の経過があつたにも拘らず原審が公判手続更新の必要を認めないでこれが更新をしなかつたからといつて違法であるといえないことは当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二四年(れ)二〇〇〇号同二五年二月一五日、大法廷判決)。なお刑訴規則施行規則三条三号が違憲のものでないことは昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決の示すとおりである。されば論旨は理由がない。 被告人B弁護人鍛治利一の上告 廷判決)。なお刑訴規則施行規則三条三号が違憲のものでないことは昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決の示すとおりである。されば論旨は理由がない。 被告人B弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。 しかし、原判決は「被告人Bは原審相被告人Eから……ことに対し、その謝礼として………貸借名義で現金三千円を交付し」と判示しているのであつて、この判示事実中貸借名義でその実謝礼として交付した点の認定は原判決挙示の証拠中第一審第三回公判調書中における被告人Bの「被告人としてはお礼の意味でやつたので返して貰う心算はなく又Eも本当の意味で貸してくれというのではなく実は呉れというのだと思つたがEはその時借用証は今持つていないが良いかと云つた旨」の供述記載によつてこれを肯認することができるから、原判決には所論のように虚無の証- 3 -拠によつて断罪したという違法は存しない。所論は原判決挙示の証拠たる第一審第二回公判調書中の第一審相被告人Eの供述記載中原判決の引用しない部分を根拠として独自の見解に立つて事実審たる原裁判所の事実認定を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。 同第二点について。 しかし、所論に摘録する第一審第二回公判調書中の第一審相被告人Eの供述記載が証拠能力を具備するものであることは勿論その内容においても同人が判示金額の現金を判示の日時に判示の場所において被告人Bより交付を受けた事実を認定するに足る証拠価値あるものであることもまた、いうまでもないところである。されば、右供述記載中判示に照応する部分と被告人Bの原審公廷における供述及び第一審第三回公判調書中の供述記載とを証拠として所論の判示事実を認定した原判決をとらえて被告人Bの自白を唯一の証拠として同人を処断したものだとはいうことをえないから所論はその前提を欠きとるを 述及び第一審第三回公判調書中の供述記載とを証拠として所論の判示事実を認定した原判決をとらえて被告人Bの自白を唯一の証拠として同人を処断したものだとはいうことをえないから所論はその前提を欠きとるをえない。 同第三点について。 しかし、論旨の理由ないことは被告人B弁護人海野普吉外二名の上告趣意第三点について説明したとおりである。 同第四点について。 しかし、原判決挙示の各証拠(特に被告人Bの原審公廷における「同一一月上旬頃Aに現金六千円を貨物係事務室で渡したる旨」の供述)に照して判示金額の認定はこれを肯認することができるから、原判決には所論のような虚無の証拠によつて事実を確定した違法は存しない。所論は結局独自の見解に立つて原判決の事実認定を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。 同第五、六点について。 論旨はいずれも判示被告人Bの原審相被告人Cに金銭を交付した各所為は社交上- 4 -行われる官庁又は個人に対する寄附の性質を有するにすぎないものであつて賄賂ではないというのであるが原判決の所論各判示事実の認定はその挙示するそれぞれの証拠に照してこれを肯認することができる。そして仮りに所論のように収賄者Cがその収受した金銭を所論の各用途に費消したとしてもその事の為に各判示事実の認定を違法とするものではない。所論は独自の見解に立つて被告人に有利な証拠の部分のみを引用して事実審たる原裁判所の事実認定を非難するに帰するものであつて上告適法の理由とならない。 同第七点について。 論旨は原判決が判示第四の(1)の(二)の所為に刑法一九八条の他に同一九七条の三の二項を適用したのは擬律錯誤であるというのであるが原判決が所論の所為は刑法一九八条、一九七条の三の二項に該当しと説明して贈賄者処罰の規定の他に特に収賄者処罰の規定である同一九七条の三の二 七条の三の二項を適用したのは擬律錯誤であるというのであるが原判決が所論の所為は刑法一九八条、一九七条の三の二項に該当しと説明して贈賄者処罰の規定の他に特に収賄者処罰の規定である同一九七条の三の二項を示したのは被告人Bが原審相被告人Cに対し所論判示の金銭交付の行為が収賄者処罰の刑法のいずれの規定の賄賂の供与にあたるかを明らかにする趣旨にいでたものにすぎないのであつて贈賄者たる被告人Bの所為に所論刑法一九七条の三の二項所定の刑を適用する趣旨でないことは弁護人海野普吉外二名の上告趣意第一点について説明した通りであるから、仮りに所論のように被告人Bにおいて原審相被告人Cが釧路管理局の承認を得べきにかゝわらずこれを経ないで冷凍車を被告人Bのために配車した事実を知らなかつたとしても原判決の法律適用の説明を違法ということはできない。論旨は理由がない。 被告人B弁護人斎藤熊雄の上告趣意第二点について。 しかし、原判決は所論第四の(1)の各所為を連続犯として認定しているのであつて、この事実認定は原判決挙示の証拠によつてこれを肯認することができる。さればこれ等の所為を包括一罪ということはできないから、原判決が犯意継続にかゝ- 5 -るものとしてこれらの犯行を昭和二二年法律一二四号附則四項改正前の刑法五五条を適用して連続犯として処断したからといつて所論のように法令の適用を誤つたり理由不備の違法のものとはいえない。論旨に引用の判例は本件に適切なものではない。しかのみならず仮りに包括一罪として処断すべき案件であるにかゝわらず連続犯として処断したとしても判決の結果に影響を来すものではないことはいうまでもないところである。所論は結局判示にそわない事実を主張して原判決の法律適用を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判 に影響を来すものではないことはいうまでもないところである。所論は結局判示にそわない事実を主張して原判決の法律適用を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は弁護人海野普吉外二名の上告趣意第五点に対する沢田裁判官の反対意見(昭和二四年(れ)二〇〇〇号、同年(れ)二一二七号各大法廷判決における同裁判官の少数意見参照)を除くの外裁判官全員一致の意見による。 検察官長谷川瀏関与昭和二五年一一月九日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官澤田竹治郎裁判官齋藤悠輔裁判官真野毅は出張中であるから署名押印ができない。 裁判長裁判官澤田竹治郎- 6 -

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