- 1 -平成26年11月5日判決言渡平成26年(行コ)第157号法人税更正処分取消請求控訴事件 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 麻布税務署長が控訴人に対して平成22年6月29日付けでした控訴人の平成20年4月1日から平成21年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち,所得の金額556億9158万5439円及び納付すべき法人税額165億6606万8200円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 控訴人は,情報処理サービス業及び情報提供サービス業等を目的とする株式会社である。平成20年ないし平成21年ころの控訴人の取締役会長はa株式会社(以下「a」という。)の代表取締役社長でもあるb(以下「b氏」という。)であり,控訴人の代表取締役はaの取締役でもあるc(以下「c氏」という。)であった。 c氏は,平成20年12月26日,aの完全子会社であったd株式会社(以下「d」という。)の取締役副社長に就任して,控訴人は,平成21年2月24日,aから,dの発行済株式全部を譲り受け(以下「本件買収」という。),同年3月30日,控訴人を合併法人,dを被合併法人とする合併(以下「本件合併」という。)を行った。 控訴人は,控訴人の平成20年4月1日から平成21年3月31日までの事業年度に係る法人税の確定申告に当たり,法人税法(平成22年法律第6号に- 2 -よる改正前のもの。以下「法」という。)57条2項の規定に基づき,dの未処理欠損金額542億6826万2894円を控訴人の欠損金額とみなして,同条 たり,法人税法(平成22年法律第6号に- 2 -よる改正前のもの。以下「法」という。)57条2項の規定に基づき,dの未処理欠損金額542億6826万2894円を控訴人の欠損金額とみなして,同条1項の規定に基づき損金の額に算入した。 これに対し,処分行政庁は,本件買収,本件合併及びこれらの実現に向けられた控訴人の一連の行為(控訴人がc氏をdの取締役副社長に就任させた行為を含む。)又は計算は,法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの。以下「施行令」という。)112条7項5号に規定する要件を形式的に満たし,租税回避をすることを目的とした異常ないし変則的なものであり,その行為又は計算を容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果になると認められるなどとして,法132条の2の規定に基づき,dの未処理欠損金額を控訴人の欠損金額とみなすことを認めない旨の更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした。 本件は,控訴人が,本件更正処分等は法132条の2の要件が満たされていなかったにもかかわらずにされた違法なものであるなどと主張して,被控訴人に対し,本件更正処分の一部及び本件賦課決定処分の取消しを求める事案である。 原審は控訴人の請求をいずれも棄却して,控訴人が控訴した。 2 関係法令の定め,前提事実,被控訴人が主張する本件更正処分等の根拠及び適法性,争点並びに争点についての当事者の主張は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」2ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決6頁12行目の「以下「b氏」という。」 を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」2ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決6頁12行目の「以下「b氏」という。」を「b氏」と,同頁13行目の「以下「c氏」という。」を「c氏」とそれぞれ改める。 (2) 同11頁5行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 - 3 -「 本件更正処分等の更正通知書(甲1)中「更正の理由」欄には,更に以下の記載がある。 「1 本件一連の行為(貴社(控訴人)が,貴社の代表取締役であるc氏をdの取締役副社長に就任させた行為を含みます。)は,本件未処理欠損金額を貴社の欠損金額とみなして損金の額に算入することを目的としているものと認められます。 すなわち,本件一連の行為は,緊急かつ多額の資金需要に迫られたaの求めに応じて実行したものと認められ,aが得る本件買収対価の額を増やすため,本件合併により本件未処理欠損金額を貴社の欠損金額とみなして損金の額に算入することにより得られる税負担の軽減効果相当額を本件買収の対価に上乗せすることをその目的としていたものであり,そのためには特定役員引継要件を満たすように本件一連の行為を行う必要があったと認められます。そして,c氏は,貴社がaから本件一連の行為について提案を受けた後であって,かつ,貴社とdとの間に法人税法第57条第3項に規定する特定資本関係が生じる平成21年2月23日より前である同20年12月26日に,dの取締役副社長に就任したこと,c氏はd取締役副社長であったものの,非常勤かつ代表権を有していなかったこと,さらに,本件合併前にdの取締役であった者のうちc氏以外に本件合併後に貴社の取締役となった者はおらず,その他,本件合併前のdの特定役員(法人税法施行令第112条第 かつ代表権を有していなかったこと,さらに,本件合併前にdの取締役であった者のうちc氏以外に本件合併後に貴社の取締役となった者はおらず,その他,本件合併前のdの特定役員(法人税法施行令第112条第7項第5号)であった者のうち本件合併後に貴社の特定役員となった者はいないこと等からすると,かかるc氏の副社長就任は,特定役員引継要件を満たすための形式的なものであったに過ぎないと認められます。 2 また,本件一連の行為は,次のとおりその決定に至る過程を考慮すると,上記1の目的を達成するための異常ないし変則的なものであると認められます。」」- 4 -(3) 同81頁14行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 そして,最高裁昭和51年(行ツ)第34号同53年4月21日第二小法廷判決(訟務月報24巻8号1694頁。以下「最高裁昭和53年判決」という。)は,法132条の「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の要件の解釈に関し,①法132条1項は,私法上の有効な行為又は計算を,租税法上否定し,通常想定される別の行為又は計算に引き直した上で,引き直し後の行為又は計算を前提とする法律関係に租税法の個別規定を適用することで,税負担の公平を確保する規定であり,②同条に基づく行為・計算の引き直しは,経済合理性の観点から不合理,不自然な場合に限って認められ,それ以外の場合に同条による引き直しを行うことができず,③納税者自らが容易に判断可能な上記②の純粋経済人の行為として不合理,不自然なものと認められるか否かという「客観的,合理的基準」に従って同項を解釈・適用する限りにおいて,同項の憲法適合性が確保されると判示している。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断 基準」に従って同項を解釈・適用する限りにおいて,同項の憲法適合性が確保されると判示している。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)ア原判決17頁1・2行目の「提案(本件提案)をした」を「提案(本件提案)をし,そのころ,aにおいて,dの株式譲渡・合併を平成21年3月末までに行う旨の方針を決定した」と改める。 イ同20頁3・4行目の「必要性が高くないと判断されていた」を「必要性はないと判断されており,c氏以外のdの特定役員が本件合併後の控訴人の特定役員に就任することは,事業上必要はないとして,予定されてお- 5 -らず,実際にも就任していない」と改める。 ウ同20頁8行目の「わけではなく,」の次に「非常勤であり,代表権や部下もなく,」を加える。 エ同20頁11行目の「d今後の」を「dの今後の」と,同頁12行目の「原告との協業可能性を原告と」を「控訴人や控訴人の子会社だったe株式会社(以下「e」という。)との協業可能性を控訴人らと」とそれぞれ改め,同頁13行目の「86」の次に「,110」を加える。 オ同20頁14行目の「議決権を」から同頁16行目の「この中期計画の」までを「dの2009年度予算及び中期計画(同日付のもの)の件,同月7日付け新設分割計画書の変更の件,同新設分割期日における商号変更の件,商号変更に伴う定款一部変更についての臨時株主総会書面開催の件といった各議案の審理に参加して,議決権を行使した(なお,上記各議案についてはいずれも満場一致で可決した。)。上記中期計画は,200 件,商号変更に伴う定款一部変更についての臨時株主総会書面開催の件といった各議案の審理に参加して,議決権を行使した(なお,上記各議案についてはいずれも満場一致で可決した。)。上記中期計画は,2009年度から3年間のものであり,その」と改める。 カ同20頁26行目の「以下「e」という。」を「e」と改める。 (2) 同28頁2行目の「目的としない」を「目的とすると認められない」と改める。 (3)ア同28頁25行目の「組織再編税制において」の次に「個別否認規定を設けることに加えて」を加える。 イ同29頁2行目の「異なる課税を行うこととすれば」を「合理的な理由がないにもかかわらず,異なる課税を行うとすれば」と改める。 ウ同29頁8行目の「場合において,」の次に「組織再編税制の趣旨・目的及び当該個別規定の趣旨・目的に照らし,」を加え,同頁10行目の「ことができる」を「ことができ,このような場合においても適正な課税を行うことができるように包括的な否認規定を設ける必要があり,そのために法132条の2が設けられたことは前記(2)ウ判示のとおりである」と改め- 6 -る。 エ同29頁14行目の「不合理・不自然」を「不自然・不合理」と改める。 オ同30頁17行目末尾の次に「そして,控訴人は,最高裁昭和53年判決は,法132条所定の「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」について,法132条1項は,私法上の有効な行為又は計算を,租税法上否定し,通常想定される別の行為又は計算に引き直した上で,引き直し後の行為又は計算を前提とする法律関係に租税法の個別規定を適用することで,税負担の公平を確保する規定であり,同条に基づく行為・計算の引き直しは,経済合理性の観点から不合理,不自然な場合に限って認められ,それ以外の を前提とする法律関係に租税法の個別規定を適用することで,税負担の公平を確保する規定であり,同条に基づく行為・計算の引き直しは,経済合理性の観点から不合理,不自然な場合に限って認められ,それ以外の場合に同条による引き直しを行うことができず,納税者自らが容易に判断可能な上記の純粋経済人の行為として不合理,不自然なものと認められるか否かという「客観的,合理的基準」に従って同項を解釈・適用する限りにおいて,同項の憲法適合性が確保されると判示していると主張した上で,上記判示のように解釈すべきことは,法132条の2の不当性要件の解釈においても異なるところのないことは明らかである旨を主張するようである。」を加える。 カ同30頁22行目の「効果にすぎない」の次に「(後記最高裁昭和43年5月2日第一小法廷判決参照)」を加え,同31頁1行目の「経済合理性の有無」を「上記組織再編成それ自体についての経済的合理性」と改め,同頁2行目の「ことはできず,」の次に「上記組織再編成が」を加える。 キ同31頁12行目の「したものであり,」の次に「組織再編成に係る各当事者は,同族会社のように所有と経営が分離せずに,少数の株主のお手盛りによる税負担の減少をさせる行為又は計算を行うことが可能であり実際にもその例が多いとは認められない一方,組織再編税制に係る個別規定は,特定の行為や事実の存否を要件として課税上の効果を定めているところ,同一の経済的効果をもたらす法形式が複数存在して,当該個別規定の- 7 -とおりに課税上の効果を生じさせれば,その順序や組み合わせによって,異なる課税効果を発生させ得ることになるが,そのように異なる課税上の効果を生じさせる課税を行うことが,組織再編税制の趣旨・目的及び当該個別規定の趣旨・目的に照らして明らかに不当であるという状況が生 異なる課税効果を発生させ得ることになるが,そのように異なる課税上の効果を生じさせる課税を行うことが,組織再編税制の趣旨・目的及び当該個別規定の趣旨・目的に照らして明らかに不当であるという状況が生じた場合に,これを否認することができるものとした」を加える。 ク同32頁3行目の「生じさせることが」の次に「,組織再編税制の趣旨・目的及び当該個別規定の趣旨・目的に照らして」を加える。 ケ同32頁26行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 そして,最高裁昭和53年判決は「法人税法132条の規定の趣旨,目的に照らせば,右規定は,原審が判示するような客観的,合理的基準に従つて同族会社の行為計算を否認すべき権限を税務署長に与えているものと解することができるのであるから,右規定が税務署長に包括的,一般的,白地的に課税処分権限を与えたものであることを前提とする所論意見の主張は前提を欠く」と判示しており,その判文に照らしても,法132条の2の規定の解釈についてまで判示したものとは認められない。そして,法132条の2は,上記(ⅱ)判示のとおり,税負担減少効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものに限り租税回避行為に当たるとして否認できる旨の規定であると解釈すべきであり,そのような解釈は,「客観的,合理的基準」に従って,否認すべき権限を税務署長に与えているものと解することができるのであるから,上記規定が税務署長に包括的,一般的,白地的に課税処分権限を与えたものであるとは認められず,最高裁昭和53年判決の上記判示を考慮しても,法132条の2の規定に係る上記解釈が憲法に反するものとは認められない。」(4) 同34頁23行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 のみならず 昭和53年判決の上記判示を考慮しても,法132条の2の規定に係る上記解釈が憲法に反するものとは認められない。」(4) 同34頁23行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「 のみならず,組織再編成においては,複数の法人が関与することがその性- 8 -質上当然に予定されているのであり,組織再編成に関する複数の当事者の中のいずれかの法人が不当な行為・計算を行うことによって,当該法人についてのみならず,組織再編成の当事者である他の法人についても,法人税の負担の減少が生じ得ることが当然に予定されているのであって,このような法人税負担の減少を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかな場合について同条の適用を予定していないものと解することはできないのである。」(5)ア同36頁4行目の「1067頁は,」の次に「「法人の各事業年度における純益金額,欠損金額のごときは,企業会計上表示される観念的な数額にすぎず,被合併会社におけるこれら数額は,もとより」平成17年法律第87号による改正前の「商法103条に基づき合併の効果として合併会社に当然に承継される権利義務に含まれるものではない。」とした上で,「欠損金額の繰越控除」を認める旧法人税法(昭和22年法律第28号)「9条5項の立法趣旨は,」「各事業年度毎の所得によつて課税する原則を貫くときは所得額に変動ある数年度を通じて所得計算をして課税するのに比して税負担が加重となる場合が生ずるので,その緩和を図るためにある。」,」を加え,同頁16行目の「解するのが相当である」」を「解するのが相当であ」る」と改める。 イ同37頁9・10行目の「移転資産に対する支配が継続することもなく,」を削除する。 (6)ア同38頁19行目の「小規模な会社」から が相当である」」を「解するのが相当であ」る」と改める。 イ同37頁9・10行目の「移転資産に対する支配が継続することもなく,」を削除する。 (6)ア同38頁19行目の「小規模な会社」から同頁20行目の「共同で」までを「多額の未処理欠損金額を有する小規模な会社を合併する場合,直ちに共同で」と,同頁22行目の「目的とする」を「目的とすることが少なくない」とそれぞれ改める。 イ同39頁6・7行目の「できることから,」の次に「被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを制限する法57条3項を適用せずに,その制限なく,- 9 -同条2項による」を加える。 ウ同39頁13行目の「充足されない場合であっても」を「充足されず,大規模な会社が多額の未処理欠損金額を有する小規模な会社を合併する場合であっても」と,同頁15行目の「合併の前後を」から同頁16行目の「可能であって」までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて」とそれぞれ改め,同頁18・19行目の「できることから,」の次に「被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを制限する法57条3項を適用せずに,その制限なく,同条2項による」を加える。 (7)ア同40頁13行目の「合併の前後を」から同頁14行目の「可能である」までを「規模要件及び事業継続要件を充足していないとしても,双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれているとみることができる」と改める。 イ同40頁18行目の「合併の前後を」から同頁19行目の「指標として」までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれているとみることができるか否かの指標として」と改める。 ウ同41頁18行目,同頁23行目 までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれているとみることができるか否かの指標として」と改める。 ウ同41頁18行目,同頁23行目の各「役員引継要件」をいずれも「特定役員引継要件」と改める。 エ同42頁10行目の「あるとしても」を「あることから直ちに」と改める。 オ同42頁18行目の「合併の前後を」から同頁19行目の「同号の趣旨・目的に」までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれているとみることができず,法57条3項,施行令112条7項5号の趣旨,目的に」と改める。 カ同42頁26行目の「合併の前後を」から同43頁1行目の「継続している」までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経- 10 -営面からみて,合併後も共同で事業が営まれている」と,同頁3行目の「合併の前後を」から同頁4行目の「継続している」までを「双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれている」とそれぞれ改める。 キ同44頁2行目の「しかしながら,」を「しかし,大規模な合併会社の特定役員が特定資本関係の生ずる約2か月前に多額の未処理欠損金額を有する小規模な被合併会社の特定役員に就任して,特定資本関係が生じてから1か月強で合併するといった」と改める。 ク同44頁11行目の「施行令112条7項5号が」を「法57条3項,施行令112条7項5号の趣旨,目的に明らかに反すると認められるときには,同号が」と改める。 (8)ア同45頁6行目の「ものであり,また,」の次に「dの未処理欠損金額のうち,平成14年3月期に発生した124億円について平成21年3月末日で繰越 と認められるときには,同号が」と改める。 (8)ア同45頁6行目の「ものであり,また,」の次に「dの未処理欠損金額のうち,平成14年3月期に発生した124億円について平成21年3月末日で繰越しができなくなる状況を踏まえても,」を加える。 イ同46頁10行目冒頭から同48頁18行目の「上記イ②の点に関し」までを以下のとおり改める。 「イ前記1及びア判示の事実によれば,控訴人とdとでは企業規模に大きな差があり,資本金で70倍以上,営業利益で50倍以上,売上高で20倍以上の格差があって,共同事業を営むための適格合併等において求められる規模要件(施行令112条7項2号)を充足していないことが認められる。したがって,本件合併は,大規模な会社が小規模な会社を合併するものであると認められるが,大規模な会社が多額の未処理欠損金額を有する小規模な会社を合併する場合,一般には共同で事業を営むことを目的とするものとは考えられず,むしろ,当該合併は,小規模な会社が有する未処理欠損金額を取り込むことによって税負担を軽減することを目的とするものと考えられることから,規模要件(施行令112- 11 -条7項2号)が規定されたことは前記(2)イ判示のとおりである。 そして,規模要件(施行令112条7項2号)等が充足されず,大規模な会社が多額の未処理欠損金額を有する小規模な会社を合併する場合であっても,一般に,合併法人のみならず,被合併法人の特定役員が合併後の合併法人の特定役員に就任するのであれば,双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれていると評価でき,被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを認めても課税上の弊害が少ないことから,被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを制限する法57条3項を適用せずに,そ て,合併後も共同で事業が営まれていると評価でき,被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを認めても課税上の弊害が少ないことから,被合併法人の未処理欠損金額の引継ぎを制限する法57条3項を適用せずに,その制限なく,同条2項によるその引継ぎを認めることとしたものであり,施行令112条7項5号の定める特定役員引継要件は,双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営面からみて,合併後も共同で事業が営まれていると評価できるための指標として定められたものと解すべきことは,前記(3)判示のとおりである。 本件合併時におけるc氏以外の被合併法人であるdの特定役員は,いずれも本件合併後,合併法人である控訴人の役員に就任する事業上の必要がないと判断されて,その就任が予定されていなかったことは前記1判示のとおりであって,c氏以外のdの特定役員はいずれも,経営者として本件買収前のdの事業を担っていたが,本件合併後,合併法人である控訴人の役員に就任する事業上の必要性がなかったものと認められ,その就任を予定されず,実際にも就任していないのである。そうすると,合併法人である控訴人の代表取締役であるc氏が被合併法人の副社長に就任することがなければ,控訴人は,法57条3項の適用を回避できず,同条2項に基づいて本件買収前のdの未処理欠損金額を引き継ぐ余地はなかったのであり,c氏の被合併法人であるdの副社長への就任は,本件買収による特定資本関係発生の約2か月前であり,本件提案がされて,- 12 -aにおいてdの株式譲渡・合併を行う方針を決定した約1か月後なのである。 そして,c氏は,本件買収前のdを代表して業務上の行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 また,c氏の本件副社長就任から本件買収までの間の具体的な職務内容は,dの今後の事業方針や控訴人な そして,c氏は,本件買収前のdを代表して業務上の行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。 また,c氏の本件副社長就任から本件買収までの間の具体的な職務内容は,dの今後の事業方針や控訴人ないし控訴人の子会社であったeとの協業可能性について,会議に参加して,f氏に検討を指示したほかは,dの取締役会に出席して,その平成21年度の予算及び中期計画の件,gの新設分割計画書の変更の件等の議案の審理に参加して,議決権を行使することなどであったことは前記1(3)イ判示のとおりであるが,これらは本件買収・本件合併後の事業計画に係る業務か,本件提案に沿った本件買収・本件合併の準備に係る業務に限られていたものと認められるのであって,それら以外のdの業務活動に関与したことを認めるに足りる証拠はないのである。 その上,c氏は,本件副社長就任後も控訴人の代表取締役の地位にあったこと,控訴人は本件買収・本件合併の相手方であり,dはaの完全子会社で,本件提案及びc氏の本件副社長就任がaの代表取締役であるb氏の意向に基づくものであることは前記1判示のとおりであって,前記1判示の事実及び証拠を総合すれば,dがその親会社であるaの代表取締役であるb氏の意向に基づく本件提案やaの決定した方針に対して反対を貫いたり,控訴人との間で,本件買収・本件合併における取引条件の交渉を回避することが困難な立場にあったことが認められ,c氏は,本件買収・本件合併の相手方の代表取締役として,本件副社長就任の有無を問わず,本件買収及び本件合併に係る取引条件の交渉を通じて,dの経営判断形成のうち本件買収・本件合併の準備に関する部分及び本件買収・本件合併後の事業に関する部分に対して十分な影響力を行使する- 13 -ことが可能であったことが認められるのである。そして,本件合併後にお のうち本件買収・本件合併の準備に関する部分及び本件買収・本件合併後の事業に関する部分に対して十分な影響力を行使する- 13 -ことが可能であったことが認められるのである。そして,本件合併後において,控訴人とdとは,その法人格が一つになることに照らすと,本件買収・本件合併後の事業計画又は本件提案に沿った本件買収・本件合併の準備に係るdの業務に限れば,dの利益と控訴人の利益は共通しており,実質的に異なるものと認めるに足りる証拠はないのである。上記判示の事実に加え,前記1判示の証拠をも総合すると,c氏のdの取締役副社長としての本件買収・本件合併後の事業計画に係る職務,本件提案に沿った本件買収・本件合併の準備に係る職務に関するdの経営判断の形成については,c氏が本件副社長に就任することなく,本件買収・本件合併の相手方の代表取締役としての上記判示の影響力を行使することによっては,実現に困難があったと認められないのである。 そして,c氏は,控訴人の取締役会長兼aの代表取締役であったb氏から,本件買収及び本件合併に係る本件提案と本件副社長就任の要請を受けてその後dの取締役副社長に就任しており,その就任から本件買収によって特定資本関係が発生するに至るまでの期間はわずか2か月であることは前記1判示のとおりであり,その法定の任期と比較しても極めて短いものと認められる上,c氏は,dの取締役副社長としては,非常勤であり,代表権,部下や専任の担当業務はなく,役員報酬も受けていないことは前記1判示のとおりであって,dはその親会社であるaの代表取締役であるb氏の意向に基づく本件提案やaの決定した方針に対して反対を貫くことが困難な立場にあったことは上記判示のとおりであり,aにおいてdの株式譲渡・合併を平成21年3月末までに行う旨の方針が平成20年11月21 向に基づく本件提案やaの決定した方針に対して反対を貫くことが困難な立場にあったことは上記判示のとおりであり,aにおいてdの株式譲渡・合併を平成21年3月末までに行う旨の方針が平成20年11月21日ころには定まり,同年12月26日の時点で,dが独立した会社として存続する本件買収・本件合併の完了までの期間が3か月余りと短いにもかかわらず,c氏がdから役員報酬を受けないまま,代表権はもちろん部下も専任の担当業務もないdの取締役- 14 -副社長に就任したことが認められるのである。 そして,本件副社長就任がなければ,控訴人は,法57条3項の適用を回避できず,同条2項に基づいて本件買収前のdの未処理欠損金額を引き継ぐ余地はなかったことは前判示のとおりであること,aにおいて,その財務部が平成20年12月11日の時点で,保守的な判断として,同年11月末時点では実質使用可能残高が-115億円であり,平成21年3月までに1000億円の資金調達が必要であって,控訴人に対して同月にdの株式を500億円で売却することが確度の高い資金調達手段であるとの指摘をしていたことは前記1(2)ウ判示のとおりであり,同月までにdの株式を上記500億円に近い金額で売却する必要があったこと,本件買収の対価は450億円であるところ,控訴人が,そのうちの200億円が未処理欠損金額の引継ぎによる税務上の効果の価値である旨の意見を有していたこと,本件合併に係るdの資産は,gが承継した①新設分割時である平成21年2月2日までの流動資産,②データセンターの営業・役務提供及びサービスの開発に係る事業に係る契約(顧客との間の契約を含む。),③事業に属する知的財産権等,④従業員との間の労働契約を除いたものであって,上記①ないし④以外の資産(データセンターを構成する不動産)及び契約上の に係る事業に係る契約(顧客との間の契約を含む。),③事業に属する知的財産権等,④従業員との間の労働契約を除いたものであって,上記①ないし④以外の資産(データセンターを構成する不動産)及び契約上の地位(データセンターの賃貸借,建設,運用,保守及び施設管理に関する事業に関する契約)並びに控訴人がdに支払ったgの株式譲渡代金115億円であることは前記1(3)ウ,エ,カ判示のとおりであって,本件合併に係るd固有の事業自体の価値が,gの株式譲渡代金を含めても上記対価の半分強に留まり,gの株式譲渡代金を控除すれば上記対価の3分の1未満であることは,前記1及びア判示のとおりであること,これらによれば,仮に,上記税務上の効果が発生しないとすると,控訴人が上記450億円で本件買収をすることは困難であり,aがdの株式を同価格で売却できなかった可- 15 -能性を否定できないこと,本件更正処分における更正前の控訴人が納付すべき法人税額は165億6606万8200円,更正後の控訴人が納付すべき法人税額は328億2501万3700円であることは原判決別表1記載のとおりであり,仮に本件副社長就任が否認されずに上記税務上の効果が生じれば,控訴人の上記納付すべき法人税額が約半額となることに加えて,上記判示の各点をも総合すると,aないしd及び控訴人において,本件副社長就任により施行令112条7項5号の要件を満たして,上記税務上の効果を発生させることの必要性は極めて高かったものと認められるのである。 のみならず,前記1判示の事実及び証拠によれば,本件合併を含む本件提案は,その最初から,dの未処理欠損金額を余すことなく処理することを一つの目的にしていたものであること,dの未処理欠損金額全部を平成14年3月期に発生したものも含めて処理するためには,平成21年3月 は,その最初から,dの未処理欠損金額を余すことなく処理することを一つの目的にしていたものであること,dの未処理欠損金額全部を平成14年3月期に発生したものも含めて処理するためには,平成21年3月末までに,上記処理をする必要があったところ,同月30日までに,本件買収・本件合併が予定どおり行われ,d又は控訴人の計算上,上記処理が完了したことが認められるのである。 以上判示の各点に加えて,c氏の本件副社長就任が,aにおいてdの譲渡・合併の方針が定まった後,特定資本関係が生ずる2か月前に行われたものであることは前記1判示のとおりであること,aの担当者が控訴人の担当者に対して平成20年12月10日に送信した電子メール(乙9の1)には,「税務ストラクチャー上の理由でcCEOあるいはhCFOにd取締役に入っていただく必要があるとのことで,その件について等,何点かご相談させていただきたく考えています。」という記載があり,控訴人の担当者がaの担当者に対して同月17日に送信した電子メール(乙9の3)には,「d取締役就任の件ですが,弊社CEOcが就任する方向で進めさせていただきたく存じます。」という記載の- 16 -あることが認められることは前記1判示のとおりであって,「税務ストラクチャー上の理由」からc氏又はhCFOのいずれかがdの取締役に就任する「必要がある」ことについて本件買収の当事者である控訴人とaの担当者間で協議したことが認められる上,aの税務室長であるi税理士が署名押印した平成22年1月26日付け東京国税局財務事務官に対する聴取書(乙1)には,「jのc社長が旧dの副社長になったのは,私のアドバイスがあったのは確かです。」という記載があることをも総合すると,c氏がdの取締役副社長に就任することは,d及び控訴人のいずれにとっても,控訴人の 「jのc社長が旧dの副社長になったのは,私のアドバイスがあったのは確かです。」という記載があることをも総合すると,c氏がdの取締役副社長に就任することは,d及び控訴人のいずれにとっても,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させること以外に,事業上の必要があるとは認められず,経済的行動としていかにも不自然・不合理なものと認めざるを得ないのであって,本件副社長就任の目的は,専ら施行令112条7項5号の要件を満たして,法57条3項の適用を回避し,同条2項により未処理欠損金額を引き継ぐことで,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることにあったものと認められるのであり,仮に上記目的以外の事業上の目的が全くないとはいえないものと認定する余地があるとしても,その主たる目的が,施行令112条7項5号の要件を満たして,法57条3項の適用を回避し,同条2項により未処理欠損金額を引き継ぐことで,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることにあったことが明らかであり,合併法人の代表取締役であるc氏が本件副社長就任をしたことをもって,被合併法人であるdと合併法人である控訴人の双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営の面からみて,合併後も共同で事業が営まれていると評価することができないことが明らかであると認められるのである。 以上のとおり,本件合併時におけるc氏以外の被合併法人であるdの- 17 -役員はいずれも,経営者として本件買収前のdの事業を担っていたが,本件合併後,合併法人である控訴人の役員に就任する事業上の必要性がないものと認められ,その就任が予定されず,実際にも就任していないのである。そして,c氏が,本件買収前のdを代表して業務上の行為を行ったことを認めるに足 である控訴人の役員に就任する事業上の必要性がないものと認められ,その就任が予定されず,実際にも就任していないのである。そして,c氏が,本件買収前のdを代表して業務上の行為を行ったことを認めるに足りる証拠はなく,本件提案前から本件合併前後を通じて合併法人である控訴人の代表取締役であり,本件副社長就任後のdにおけるc氏の職務内容は,本件提案に沿った本件買収及び本件合併の実現や本件合併後の事業に関するものに限られ,これらの職務内容に関するdの経営判断の形成については,c氏が本件副社長に就任することなく,本件買収・本件合併の相手方の代表取締役としての上記判示の影響力を行使することによっては,実現に困難があったと認められないばかりでなく,本件副社長就任から本件買収までの期間は2か月と短く,非常勤で,代表権も,部下や専任の担当業務もなく,本件買収前のdの経営に実質的に参画していたものとは認められないのであり,c氏の本件副社長就任は,d及び控訴人のいずれにとっても,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させること以外に,その事業上の必要は認められず,経済的行動としていかにも不自然・不合理なものと認めざるを得ないのであって,本件副社長就任の目的が専ら控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることにあると認められ,仮に上記目的以外の事業上の目的が全くないとはいえないものと認定する余地があるとしても,その主たる目的が,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることにあったことが明らかであると認められることはいずれも前判示のとおりである。これらの点を総合すれば,c氏が本件買収時にdの役員であり,本件合併時にその取締役副社長であることによっても,本件合併において,双方の経営者が共同して合併後の ることはいずれも前判示のとおりである。これらの点を総合すれば,c氏が本件買収時にdの役員であり,本件合併時にその取締役副社長であることによっても,本件合併において,双方の経営者が共同して合併後の事業に参画しており,経営の面か- 18 -らみて,合併後も共同で事業が営まれているとは認められず,dの上記未処理欠損金を控訴人の欠損金とみなしてその損金に算入することは,法57条3項及び施行令112条7項5号が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであると認められる。 したがって,本件副社長就任及びそれを前提とする計算は,法57条2項,3項及び施行令112条7項5号の適用との関係で,法132条の2所定の「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当すると認められる。 なお,仮に,施行令112条7項5号の特定役員引継要件を充足する特定役員への就任については,原則として法132条の2所定の「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当せず,上記就任が経済的行動として不自然・不合理であって,仮装的又は名目的な場合に限り,例外的に同条所定の「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当する旨の見解を採用する余地があるとしても,上記に判示するところによれば,c氏の本件副社長就任は,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させること以外に,事業上の必要が認められず,経済的行動として不自然・不合理なものであって,本件副社長就任の目的は,専ら施行令112条7項5号の要件を満たして,法57条3項の適用を回避し,同条2項により未処理欠損金額を引き継ぐことで,控訴人の法人税 動として不自然・不合理なものであって,本件副社長就任の目的は,専ら施行令112条7項5号の要件を満たして,法57条3項の適用を回避し,同条2項により未処理欠損金額を引き継ぐことで,控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることにあるものと認められ,仮に上記目的以外の事業上の目的が全くないとはいえないものと認定する余地があるとしても,その主たる目的が,施行令112条7項5号の要件を満たして,法57条3項の適用を回避し,同条2項により未処理欠損金額を引き継ぐことで,控訴人の法人税の負担を減少させるという税- 19 -務上の効果を発生させることにあったことが明らかであって,名目的な就任と認められるのであるから,仮に,上記見解を採ったとしても,本件副社長就任及びそれを前提とする計算が法132条の2所定の「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当すると認められるとの前判示の判断を左右するには足りないのである。 ウ(ア) これに対し,控訴人は,本件副社長就任の目的は,データセンター事業等に関する知見を有するc氏をdの経営陣に加えることで,事業上のメリットを得ることにあり」ウ同48頁19行目の「ものである」から同頁21行目の「確かに,」までを以下のとおり改める。 「 ものであると主張して,本件副社長就任の主たる目的が控訴人の法人税の負担を減少させるという税務上の効果を発生させることとは認められない旨を主張するようであり,c氏の証言(原審)及び陳述書(甲107)中にはそれに沿う部分がある。 (イ) しかし,前記1(3)イ判示の」エ同48頁23行目の「1つに含まれるから」から同49頁22行目末尾までを以下のとおり改める。 「ひとつに含まれるものであるが, それに沿う部分がある。 (イ) しかし,前記1(3)イ判示の」エ同48頁23行目の「1つに含まれるから」から同49頁22行目末尾までを以下のとおり改める。 「ひとつに含まれるものであるが,これは,本件合併後に予定される控訴人とdとの事業に係る業務に関与したにとどまるものである。その上,c氏が,dの取締役副社長として遂行した本件買収・本件合併後の事業計画に係る職務,本件提案に沿った本件買収・本件合併の準備に係る職務に係るdの経営意思の形成については,c氏が本件副社長に就任することなく,本件買収・本件合併の相手方の代表取締役としての前記イ判示の影響力を行使することによっては,実現に困難があったと認められないことなど前記イ判示の各点に照らすと,前記(ア)判示の控訴人の主張及び証拠によって- 20 -も,前記イ判示の認定判断を左右するに足りず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 控訴人の主張は採用できない。」(9)ア同50頁1行目の「原告では」から同頁19行目の「イもっとも」までを「控訴人ではないとしても」と改める。 イ同51頁5行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「イのみならず,dが控訴人との間で取引関係があるばかりでなく,aが控訴人に対してdの株式を売却することを企図し,同企図が既に控訴人に対し本件提案として示されていることからすれば,c氏がdの副社長に就任すれば,その業務内容によっては,dと自ら代表取締役を務める控訴人との間で利益相反関係に立つ可能性もあること,c氏の本件副社長への就任は控訴人の取締役会長であるb氏の求めによるものであることが認められ,aの担当者が控訴人の担当者に対して平成20年12月10日に送信した電子メール(乙9の1)には,「税務ストラクチャー上の理由でcCEOあるいはhCFO あるb氏の求めによるものであることが認められ,aの担当者が控訴人の担当者に対して平成20年12月10日に送信した電子メール(乙9の1)には,「税務ストラクチャー上の理由でcCEOあるいはhCFOにd取締役に入っていただく必要があるとのことで,その件について等,何点かご相談させていただきたく考えています。」という記載があり,控訴人の担当者がaの担当者に対して同月17日に送信した電子メール(乙9の3)には,「d取締役就任の件ですが,弊社CEOcが就任する方向で進めさせていただきたく存じます。」という記載のあることが認められることは前記1判示のとおりであって,「税務ストラクチャー上の理由で」dの取締役に就任する「必要がある」控訴人の取締役の人選について,控訴人の担当者がaの担当者との間で連絡協議していることが認められ,本件買収及び本件合併が予定どおりに平成21年3月30日までに完了したことは前記1判示のとおりであり,弁論の全趣旨によれば,c氏がdの取締役副社長に就任したことが控訴人において問題とされた形跡がないことも認められるのである。 - 21 -以上判示の各点に加え,前記1判示の事実及び証拠をも総合すれば,c氏の本件副社長就任は,控訴人においてこれを了承しており,控訴人の意思に基づくものと認められるばかりでなく,控訴人がこれを了承しなければ,dがc氏に対して本件副社長就任を求めることはなく,c氏も本件副社長就任を承諾することはなかったものと認められるのであって,これらの認定を左右するに足りる証拠はなく,法132条の2の適用において,本件副社長就任は,控訴人の行為とも認められるものというべきであり,本件副社長就任が同条に規定する「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当する 副社長就任は,控訴人の行為とも認められるものというべきであり,本件副社長就任が同条に規定する「これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当する場合は,同条の規定により,本件副社長就任を否認して,控訴人の法人税につき更正をすることができるものと認められる。」(10)ア同51頁12行目の「法130条2項は」を「(1) 法130条2項は」と改める。 イ同52頁7行目の「上記記載によれば」から同頁8行目の「いないものの」までを「本件更正処分等の更正通知書(甲1)記載の「更正の理由」にいう「本件一連の行為」は本件買収及び本件合併並びにこれらの実現に向けられた控訴人の一連の行為であり,本件副社長就任に係る控訴人の行為が含まれている旨の記載,本件副社長就任が形式的には特定役員引継要件を満たしている旨の記載,本件一連の行為がdの未処理欠損金額を控訴人の欠損金額とみなして損金の額に算入することを目的とするものであり,本件副社長就任が特定役員引継要件を満たすための形式的なものであったに過ぎず,本件一連の行為が異常ないし変則的なものである旨の記載並びに「その行為又は計算を容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」との記載などの上記各記載によれば,処分行政庁が,本件更正処分等の理由として」と,同頁12行目の「法132条の2」を「組織再編成に係る行為又は計算の否認に関する規定であ- 22 -る法132条の2」とそれぞれ改める。 ウ同52頁19行目末尾の次に改行の上,以下のとおり加える。 「(2)アこれに対し,控訴人は,本件更正処分には,適用条文の記載がなく,その法律構成が不明であり,「一連の行為」というその外延が極めて曖昧な概念を用いているのであって,本件 下のとおり加える。 「(2)アこれに対し,控訴人は,本件更正処分には,適用条文の記載がなく,その法律構成が不明であり,「一連の行為」というその外延が極めて曖昧な概念を用いているのであって,本件更正処分等の更正通知書に記載された更正の理由は,更正の根拠を前記(1)判示の理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものではない旨を主張するようである。 イしかし,前記(1)判示の本件更正処分等の更正通知書の各記載に照らせば,処分行政庁が,本件更正処分等の理由として,本件副社長就任を含む本件買収,本件合併及びこれらの実現に向けられた控訴人の一連の行為又は計算を容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして,法132条の2の規定に基づき,dの未処理欠損金額を控訴人の欠損金額とみなすことを認めず,控訴人が損金の額に算入した542億6826万2894円を損金の額に算入しない旨記載したものであると解することができることは前記(1)判示のとおりであり,上記各記載は,本件更正処分等における否認の根拠となる条文が法132条の2であることやその否認の対象が本件副社長就任を含む本件買収,本件合併及びこれらの実現に向けられた控訴人の一連の行為又は計算であることを十分認識できるものであって,前記(1)判示の理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものであると認められ,前記ア判示の控訴人の主張を考慮しても,法130条2項の要求する更正理由の付記として欠けるところはない旨の前記(1)判示の認定判断を左右するに足りず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 控訴人の主張は採用できない。 - 23 -(3)アなお,控訴人は,口頭弁論の再開を申し立てた上で,処分行政庁が本件更正処分の適用条文を摘示しな りず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 控訴人の主張は採用できない。 - 23 -(3)アなお,控訴人は,口頭弁論の再開を申し立てた上で,処分行政庁が本件更正処分の適用条文を摘示しなかった理由,動機は,本件更正処分をした後に事後的に自ら最も有利な法律構成を選択検討して処分行政庁の争訟対応を柔軟かつ容易にするという点にあり,それは前記(1)判示の理由付記制度の趣旨を正面から全否定するものであるから,本件更正処分の理由付記に不備があることは明らかであると主張するようである。 イしかし,本件更正処分等の更正通知書(甲1)の記載等によっても,処分行政庁が同更正通知書の記載内容を前提事実(3)イ判示のとおりとした理由,動機が控訴人主張のとおりであると認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はなく,前記ア判示の控訴人の主張によっても,前記(1)判示の認定判断を左右するに足りず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 控訴人の主張は採用できず,また,控訴人のその余の主張を考慮しても,口頭弁論を再開する必要性は認められない。」(11) 同53頁1行目の「理由がないから」から同頁3行目末尾までを「理由がない。」と改める。 2 以上によれば,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官大竹たかし 裁判官山本剛史 - 24 - 裁判官田中寛明 裁判官田中寛明
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