令和5(ネ)10078 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年3月28日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 令和4(ワ)2049
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令和6年3月28日判決言渡 令和5年(ネ)第10078号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第2049号) 口頭弁論終結日令和6年1月30日判決 控訴人三和紙工株式会社 同訴訟代理人弁護士堀籠佳典 同岡田健太郎 同平井佑希 同訴訟代理人弁理士福田伸一 同水﨑慎 同補佐人弁理士伊藤表 被控訴人三菱商事パッケージング株式会社 同訴訟代理人弁護士宮嶋学 同高田泰彦 同柏延之 同二枝翔司 被控訴人補助参加人北越パッケージ株式会社 同訴訟代理人弁護士田中成志 同平井健一郎 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、補助参加に係る費用を含め、控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、原判決別紙物件目録記載の製品を譲渡し又は譲渡の申出をしてはならない。 3 被控訴人は、その占有に係る前項記載の製品を廃棄せよ。 4 被控訴人は、控訴人に対し、2000万円及びこれに対する令和4年2月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略語は原判決のそれに従う。) びこれに対する令和4年2月1 5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(略語は原判決のそれに従う。) 1 本件は、発明の名称を「包装容器」とする発明についての特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する控訴人 が、被控訴人の販売する原判決別紙物件目録記載の製品(以下「被控訴人製品」という。)は本件特許に係る発明の技術的範囲に属し、その販売又は販売の申出は本件特許権を侵害する行為であると主張して、本件特許権に基づき被控訴人製品の譲渡等の差止め(特許法100条1項)及び廃棄(同条2項)を求めると共に、本件特許権侵害の不法行為(民法709条、損害額につき特許法1 02条3項)に基づき、2000万円の損害賠償及びこれに対する令和4年2月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審が、被控訴人製品は本件発明の技術的範囲に属しないとして控訴人の請 求をいずれも棄却したところ、控訴人がその取り消しを求めて本件控訴を提起 した。 当審において、控訴人は、後記第2の3⑷のとおり均等侵害の主張に係る予備的請求原因事実を追加した。 2 前提事実、争点及び争点に係る当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における控訴人の主な補充主張を付加するほかは、原判決の「事 実及び理由」中、第2の1ないし3(原判決2頁17行目ないし28頁1行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決3頁5行目の「いう」の次に「(特許公報は別紙のとおり。)」を加える。 ⑵ 原判決 の1ないし3(原判決2頁17行目ないし28頁1行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決3頁5行目の「いう」の次に「(特許公報は別紙のとおり。)」を加える。 ⑵ 原判決5頁10行目の冒頭から同頁11行目の「争いがない。」までを次 のとおり改める。 「イ被控訴人製品の構成につき、別紙「被控訴人製品の構成」のうち、下線を付した部分(以下「下線部分」という。)を除き、当事者間に争いがない(後記のとおり、下線部分は、控訴人が付加すべきと主張する部分である。)。」 ⑶ 原判決7頁12行目から13行目の「別紙『被告製品の構成(原告の主張)』記載のとおりである。」を「別紙『被控訴人製品の構成』記載のうち、下線部分以外のとおりであるが、さらに、下線部分を付加すべきである。」と改める。 ⑷ 原判決10頁5行目から6行目の「別紙『被告製品の構成(被告の主張)』 記載のとおりである。」を「下線部分を除き、別紙『被控訴人製品の構成』記載のとおりである。控訴人の主張する下線部分は付加すべきではない。」と改める。 3 当審における控訴人の主な補充主張⑴ 原判決の「底部を形成する底面片」(構成要件B)の解釈の誤り ア原判決の理解 原判決は、被控訴人製品の「六角片」は「底部を形成する底面片」に相当する一方で、「舌状片」は「底部を形成する底面片」に相当しないと認定しているが、その理由は、判決文からは必ずしも明らかではない。この点、原判決は、底面片とは「『底部』を形成するものであり、包装容器を容器として形成した状態において、筒状の包装容器の下側を塞ぐ部材を意味するも の」としているが、被控訴人製品全体を「包装容器」ないし「容器」と捉え、正面側で舌状片が折り返される位置までを、 器を容器として形成した状態において、筒状の包装容器の下側を塞ぐ部材を意味するも の」としているが、被控訴人製品全体を「包装容器」ないし「容器」と捉え、正面側で舌状片が折り返される位置までを、その「筒状」の構造部分と捉える限り、舌状片の基部も「『容器』として機能する筒状の構造部分の底に当たる部分」である「底部」を形成し、「筒状の包装容器の下側を塞ぐ部材」として「底面片」に相当するはずである。しかし、原判決がそのように認定 していないことからすると、①第1の可能性として、原判決は、内容物を格納する部分(別紙被控訴人製品の構成記載の片Ⓐと片Ⓑの一部、背面片及び六角片で構成される部分)だけが「包装容器」ないし「容器」であり、その「筒状」の構造部分というのも内容物を格納する部分の周縁(被控訴人製品の片Ⓐと片Ⓑの一部及び背面片で構成される部分)だけを指すものと理解 した可能性がある。 原判決は、上記のとおり「底部」や「底面片」を解釈した上で、被控訴人製品における当てはめに際して、六角片が「筒状部分下端から内側に折り込まれ、この折り込まれた六角片は、筒状部分内部に収められる内容物の下部に位置し、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止している(構成e- 2、e’-2)。このため、被告製品の六角片は、本件発明1の『底部を形成する底面片』に相当するものといえる。」と判示している(原判決33頁25行目ないし34頁2行目)。そうすると、②第2の可能性として、原判決は、内容物の落下を防ぐ機能を奏しているところが「底部」ないし「底面片」であると理解した可能性もある。 さらに、③第3の可能性として、原判決は「底部」や「底面片」の解釈に 当たって、「筒状の包装容器の下側を塞ぐ」ということに言及しているところ、被控訴人 あると理解した可能性もある。 さらに、③第3の可能性として、原判決は「底部」や「底面片」の解釈に 当たって、「筒状の包装容器の下側を塞ぐ」ということに言及しているところ、被控訴人製品を容器として形成した状態において、舌状片と筒状の部分(片Ⓐ及び片Ⓑと背面片)とは、正面側において接しているものの、背面側ではわずかに隙間があり接していないことから、筒状の包装容器の下側を「完全には」塞いでいない(すなわち、液体が漏れる状態)と捉えて、した がって舌状片が底部や底面片に当たらないと理解した可能性もある。 以上のとおり、構成要件Bの充足性を否定した原判決の論理は明瞭ではなく、原判決の理由付けについては、①ないし③の理解の仕方が可能であるが、以下に詳述するとおり、原判決をどのように理解しても原判決の判示は誤りである。 イ本件特許請求の範囲及び明細書の記載本件発明1の構成要件Aは、「1枚の包装紙が開口部と底部とを有する筒状に折られ・・・た包装容器」と規定しており、これは本件発明1に係る包装容器の全体構造を特定したものである。すなわち、本件発明1の包装容器は、1枚の包装紙が筒状に折られた部分(以下「筒状の部分」という場合 がある。)を有している。そして、この筒状の部分の上側が「開口部」となり、下側が「底部」となるので、この「筒状」の部分は「包装容器」から見ればその周囲の部分となる。このように、本件発明1の包装容器は、その周囲が「筒状」に折られており、その上側が「開口部」、下側が「底部」である。つまり、①本件発明1の「筒状の部分」は、包装容器の周囲全体を指し、 その一部分のみ(例えば、内容物を格納する部分のみ)を指すとはされていない。 そして、構成要件Bは「前記底部を形成する底面片」として「底面片」が 「筒状の部分」は、包装容器の周囲全体を指し、 その一部分のみ(例えば、内容物を格納する部分のみ)を指すとはされていない。 そして、構成要件Bは「前記底部を形成する底面片」として「底面片」が上記の「底部」を「形成する」ものであることを規定しているが、そこには、②「底部」が内容物の落下を防ぐものであるとか、③「底部」(下側)が隙 間なく完全に塞がれているなどの限定はない。 したがって、原判決の理解についての上記三つの可能性、すなわち、①「筒状」の部分が包装容器の周囲のうち特定の一部のみを指すとか(前記第1の可能性)、②底部が内容物の落下を防いでいるとか(同第2の可能性)、③包装容器の筒状部分の底部(下側)が隙間なく完全に塞がれている(同第3の可能性)とかは、いずれも特許請求の範囲の記載に基づかないものであ って、誤りである。 加えて、原判決は、本件各発明の「底部」についても正しく理解していない。原判決が引用する乙1に示されているとおり、「底」とは「①凹んだものや容器の下の所。」という意味や、「②物体の下面。底面。また、集積したものの下層部。」等の意味を有している。確かに、乙1に示されている用 語例のうち①からは、「底」という語が、原判決が解釈するような意味にも用いられることは窺えるが、乙1にも②の用語例として明記されているとおり、「底」という語には、内容物を格納する部分の最下端という意味だけではなく、物体の下面、底面という意味も有している。 本件各発明は、本件明細書に「成形が簡便な自立型の・・・包装容器の提 供を目的とする」(段落【0006】)と記載されているとおり、(周囲が筒状に折られた)包装容器を(簡便な成形により)自立させるという発明であり、内容物の保持の仕方等に特徴のある発明ではないか 供を目的とする」(段落【0006】)と記載されているとおり、(周囲が筒状に折られた)包装容器を(簡便な成形により)自立させるという発明であり、内容物の保持の仕方等に特徴のある発明ではないから、「底部を形成する底面片」の解釈は、「包装容器を自立させる」という発明の目的との関係においてされるべきである。そうであれば、本件発明1の「底部」という のは、包装容器を自立させる際に包装容器の下面、底面となる箇所、乙1の用語例でいえば②の意味合いで理解されるべきものであり、少なくとも用語例②の意味合いを排斥する理由は全くない。 原判決が「内容物が落下するのを防止」するとの観点から、用語例①のみに限定解釈し、用語例②の意味合いを排斥しているのは、本件各発明の目的 に適合しないものであり、誤りである。特許請求の範囲の記載を見ても、本 件発明1は、「1枚の包装紙が開口部と底部とを有する筒状に折られ、この筒状の奥行きよりも幅の方向が広く形成された包装容器であって、前記包装容器を容器として形成した状態において、前記底部を形成する底面片と同一面に連なる自立片が載置面に沿って前記奥行の方向に突出し、前記自立片によって前記載置面に自立させられる、ことを特徴とする包装容器。」 と規定しており、本件発明1はこのような構成を備えることにより、「包装容器を自立させる自立片が底面片に連なっているため、一体的な成形が簡便である。」(段落【0013】)との効果を奏するものである。 本件発明1の包装容器は、周囲が筒状に折られているが、その筒状は奥行きよりも幅の方向が広く形成されていることから、自立させる際には、広 く形成された幅方向よりも、狭く形成された奥行方向の方が不安定である。 本件発明1は、その相対的に不安定な奥行方向に向けて自立片を りも幅の方向が広く形成されていることから、自立させる際には、広 く形成された幅方向よりも、狭く形成された奥行方向の方が不安定である。 本件発明1は、その相対的に不安定な奥行方向に向けて自立片を延出させることで、包装容器が安定的に自立するようにした発明である。 このように、特許請求の範囲の記載からしても、「底部」ないし「底面片」が、内容物を格納するという観点から規定されているのではなく、包装容器 を自立させるという観点から規定されているのは明らかである。 ウ本件発明2について本件発明2は、「前記包装紙が、正面片と、この正面片の側端に連ねられた背面片と、前記正面片の下端に連ねられた前記底面片と、この底面片の先端に連ねられた前記自立片と、から構成され」るとともに、「前記背面片が 前記正面片側に折られて筒状に形成され、前記底面片が折られることで前記筒状の下端が塞がれて前記底部が形成される」と規定している。ここでは、正面片と背面片により「筒状」に形成されると規定し、その「下端」が(正面片の下端に連ねられて折られた)底面片により塞がれて「底部」が形成されると規定されている。原判決が指摘する筒状の下端を「塞ぐ」という 表現は、ここで初めて登場するところ、本件発明2でも、筒状の下端が完全 に塞がれるとはされていない。 また、本件発明2が「前記正面片の下端に連ねられた前記底面片・・・が折られることで前記筒状の下端が塞がれて」と規定していることからすれば、「筒状」の部分というのは、正面片の下端までを含んでおり、ここが折られることで下端が塞がれるものと理解されるのであって、被控訴人製品 において正面片に相当する片Ⓐが折られる下端までの部分全体が「筒状」の構造部分に当たり、折られた舌状片(の基部)がその下側を塞いで ることで下端が塞がれるものと理解されるのであって、被控訴人製品 において正面片に相当する片Ⓐが折られる下端までの部分全体が「筒状」の構造部分に当たり、折られた舌状片(の基部)がその下側を塞いでいるのであるから、舌状片が「底部」ないし「底面片」に当たる。 エ本件発明3について本件発明3は、「前記底部が前記載置面に対して凹弧状に湾曲しており、 前記底面片および前記自立片の縁辺が前記載置面に接触している」と規定しており、本件発明3はこのような構成をさらに備えることにより、「自立片はクッション性を有すると共に凹弧状と逆の弧状に折れ曲がり難くなり、自立させられて背面片側に傾倒しようとする包装容器を支える。したがって、自立させた状態を安定させることができる。」(段落【0015】) との効果を奏するものである。このように、本件発明3でも、「底部」というのは内容物との関係においてではなく、載置される載置面との関係において捉えられていることが理解できる。 これを被控訴人製品についてみると、凹弧状に湾曲し、被控訴人製品を載置する際に載置面側に位置することになる舌状片が、「底部」ないし「底 面片」に当たる。 オ本件各発明における「底部」等の意義上記エのとおり、特許請求の範囲の記載及びその意義から、本件発明3の「底部」ないし「底面片」というのは、載置される載置面との関係において捉えられている、すなわち乙1の用語例でいう用語例②の意味合いにおい て規定されていることは明らかである。本件明細書を見ても、例えば、段落 【0009】では、「前記内側底面片が前記内側底面折り目で山折りされ、この内側底面片に前記底面片が前記底面折り目で山折りされて折り重ねられることで前記筒状の下端が塞がれて前記底部が形成される」と説 【0009】では、「前記内側底面片が前記内側底面折り目で山折りされ、この内側底面片に前記底面片が前記底面折り目で山折りされて折り重ねられることで前記筒状の下端が塞がれて前記底部が形成される」と説明されているところ、前述のとおり、内容物を格納する部分の最下端に相当するのは「内側底面片」であり、底面片は包装容器10を載置する際に載置面に沿 いないしはその縁片が接することになる包装容器10の下面に相当する構成部分である。 また、段落【0035】では、「包装容器10を例えばテーブルなどの載置面に底部9側から載置すると、」と説明されており、当該記載は、「底部」というのを内容物との関係においてではなく、載置されるテーブルなどと の関係において捉えているのであって、本件明細書において「底部」というのが乙1で言えば②の意味合いで用いられていることが理解できる。 さらに、段落【0003】では、先行技術文献(特開2000-335547)に関して、「この折畳式コップ型容器は手のひらに納まる程度の大きさであり、底部に取り付けられた安定補助板により支えられてテーブルな どの上に立たせられる。」と説明されているところ、同先行技術文献の説明における「底部に取り付けられた安定補助板」なる構成は、内容物を格納する部分の最下端という意味合いにおける「底部」ではなく、テーブル等に載置される際に載置面に接することとなる物体の下面という意味合いにおける「底部」に取り付けられ、安定的に載置するという機能を補助するための ものである。このように、段落【0003】の先行技術文献における説明において、「底部」は、内容物を格納する部分の最下端という意味ではなく、テーブル等に載置される際に載置面に接することとなる物体の下面という意味として用いられている。 】の先行技術文献における説明において、「底部」は、内容物を格納する部分の最下端という意味ではなく、テーブル等に載置される際に載置面に接することとなる物体の下面という意味として用いられている。 以上からすると、本件明細書における「底部」とは、原判決が述べるよう な内容物を格納する部分の最下端という意味に限定されているものではな く、包装容器を載置する際に載置面と接する物体の下面という意味においても用いられていることは明らかである。すなわち、本件各発明の「筒状」の部分は、包装容器の周囲のうち、載置面側の下端までの全体を指し、そのような「筒状」の下側部分も「底部」である。 このような「底」ないし「底部」の理解は、一般の用語例にも沿うもので ある。例えば、「コップの底」について、コースターが「コップの底にくっつきにくい」という表現がされることがあるが(甲19)、この場合の「底」というのは内容物(液体)が格納される部分の最下端という意味ではなく、コップを載置する際の下面を意味している。「靴底」についても、「靴底が擦り減っている」と表現されたり、レザーソール、クレープソール(甲20)、 厚底靴(甲21)などと言われるように、内容物(人間の足)を格納する部分の最下端という意味ではなく、靴の下面(地面に接する面)を意味している。 カ原判決の認定の誤り以上のとおり、本件特許請求の範囲の記載、明細書の記載、乙1の辞書の 記載及び一般的な用語例のいずれに照らしても、本件各発明の「底部」や「底面片」を原判決のように限定して解釈することは誤りである。 被控訴人製品の六角片も乙1の用語例①の意味合いにおいては「底部」であるといえるのかもしれないが、被控訴人製品を載置する際に下端となるのはむしろ舌状片であって、この して解釈することは誤りである。 被控訴人製品の六角片も乙1の用語例①の意味合いにおいては「底部」であるといえるのかもしれないが、被控訴人製品を載置する際に下端となるのはむしろ舌状片であって、この舌状片が「底部」ないし「底面片」では ないという原判決の認定は、明らかに不合理である。 ⑵ 構成要件充足性(原判決の「底部を形成する底面片」(構成要件B)への当てはめの誤り)アあるべき解釈及び認定に基づく当てはめ本件各発明についての特許請求の範囲や本件明細書の記載、「底」や「塞 ぐ」といった辞書的な意味合い、さらに「底」という語の一般的な用語例 にも照らせば、1枚の包装紙を折って形成される構造体全体が「包装容器」ないし「容器」であって、その「筒状」の構造部分というのは内容物を格納する部分に限定されるものではなく、包装容器全体の周囲が「筒状」の形状となっているということを意味していると解釈すべきである。 そして、その「筒状」の構造部分が有する「底部」というのは、内容物 に直接接触し、これを格納する部分の最下端(乙1の①の意味合いにおける「底」)だけではなく、包装容器の下面(乙1の②の意味合いにおける「底」)をも意味する。 以上の正しい解釈に基づいて被控訴人製品についてみると、被控訴人製品の六角片は、乙1の①の意味合いにおける「底部」に相当し、被控訴人 製品の舌状片の基部は乙1の②の意味合いにおける「底部」に相当するのであって、舌状片の基部が底部ではないとした原判決の認定は誤りであり、被控訴人製品は構成要件Bを充足する。 イ原判決の解釈(第2の可能性)を前提としても、構成要件Bを充足すること 仮に、本件各発明の「底部を形成する底面片」が、筒状の包装容器の下側を塞いでいる部分であって、筒 Bを充足する。 イ原判決の解釈(第2の可能性)を前提としても、構成要件Bを充足すること 仮に、本件各発明の「底部を形成する底面片」が、筒状の包装容器の下側を塞いでいる部分であって、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止するものを意味するとの原判決のクレーム解釈を前提にしても、被控訴人製品は、構成要件Bを充足する。 すなわち、「筒状の包装容器の下側を塞いでいる部分」である点につい ては、原審で主張したとおり、「塞ぐ」とは、「①ふたをする。とじる。 おおう。…②さえぎって通れなくする。」を意味するところ、「筒状の包装容器の下側を塞いでいる」(原判決の構成要件Bの解釈)とは、筒状の包装容器の下側を全く隙間なく密封するという意味ではなく、筒状の下端(筒状の容器の内容物の落下経路)に立ちはだかっていれば、「塞ぐ」に 当たる。そして、被控訴人製品において、舌状片がそれぞれ筒状部分の下 端から内側に折り込まれることで、筒状の下端(筒状の容器の内容物の落下経路)に立ちはだかる状態となるのであるから、「筒状の下端」を「塞」ぐものといえる。 また、「筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止する」との点についても、被控訴人製品において、舌状片が筒状の下端(筒状の容器の内 容物の落下経路)に立ちはだかる状態となる(=「筒状の下端」を「塞」ぐ状態)以上、内容物がこの舌状片を突き破るか移動させない限り、筒状部分の下端から落下することはない。いうまでもなく、内容物が舌状片を突き破ることは通常考えられないし、被控訴人製品の舌状片は、載置面に対して凹弧状に湾曲しているため、簡単に移動してしまうものではなく、 上からの力に対してある程度物を支えることができる構造となっている(もとより、被控訴人製品の舌状片は強度を付 片は、載置面に対して凹弧状に湾曲しているため、簡単に移動してしまうものではなく、 上からの力に対してある程度物を支えることができる構造となっている(もとより、被控訴人製品の舌状片は強度を付けるために、湾曲させているのである。)から、内容物が落下するのを防止しているといえる。加えて、被控訴人製品の舌状片は、内容物の重み等によって「六角片」が下方向にずれた場合に、舌状片の付け根が六角片の先端に接触しこれを支える ストッパーのような機能を果たす構造となっており、舌状片は、この点でも、内容物が落下するのを防止しているといえる。すなわち、被控訴人製品の六角片は、その端部が、片Ⓑ(その表側には片Ⓐが重なっている)と接触しているだけであり、摩擦力によって止まっているにすぎない。このような六角片に対して内容物の重みが加わること、被控訴人製品を横から 握る力が加わること、内容物の油分や水分が六角片に染みて六角片が柔らかくなることや被控訴人製品を持ち運ぶ際の振動などさまざまな要因によって容易に下方向にずれる可能性がある。その際、ずれた下方向に舌状片が存在し、舌状片が六角片を支えるストッパーとなることによって、内容物が落下しない構造になっている。仮に被控訴人製品から舌状片を切除 してしまうと、六角片の摩擦力だけで内容物を支えることになるが、その ような落下する可能性がある包装容器は、食品等の包装容器としてあり得ない。 この点、原判決は、「筒状部分の下端から内側に折り込まれた六角片と舌状片とは接触しておらず、両者の間には隙間がある(同e-4、e’-4)。このことと、被告製品の筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止する 機能を果たしているのは六角片であることを併せ考えると、舌状片は、筒状部分の下側を塞いでいると ある(同e-4、e’-4)。このことと、被告製品の筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止する 機能を果たしているのは六角片であることを併せ考えると、舌状片は、筒状部分の下側を塞いでいるとはいえず、『底部を形成する底面片』に相当するものとはいえない。」(原判決34頁9行目ないし13行行目)と述べ、①筒状部分の下端から内側に折り込まれた六角片と舌状片とは接触しておらず、両者の間には隙間があること、②被控訴人製品(被告製品)の 筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止する機能を果たしているのは六角片であることという二つの理由によって、舌状片が筒状部分の下側を塞いでいるとはいえないと結論付けている。 しかしながら、上記①の理由については、内容物に接する部分(六角片)と、載置面に接する部分(舌状片)の間に隙間があいていることによって、 何故、内容物に接する部分のみが筒状の下側を塞いでおり、載置面に接する部分が筒状の下側を塞いでいないといえるのかは不明である。上述した「底」の例を見ても、内容物が接する面と載置面に接する面とが離れていることは一般的であって、何ら理由になっていない。 また、上記②の理由については、上述したとおり、被控訴人製品の六角 片のみならず舌状片も筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止する機能を果たしており、原判決はこの点を看過している点で誤りである。 以上のとおり、被控訴人製品の舌状片は、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止していることは明らかである。したがって、仮に原判決の構成要件Bの解釈によったとしても、被控訴人製品は、構成要件Bを充 足しているのであって、これに反する原判決の認定は誤りである。 ウ 「形状保持機能」に関する原判決の判示について原審において控 によったとしても、被控訴人製品は、構成要件Bを充 足しているのであって、これに反する原判決の認定は誤りである。 ウ 「形状保持機能」に関する原判決の判示について原審において控訴人は、被控訴人製品の舌状片が、被控訴人製品の底部を形成する底面片にあたることを説明するために、被控訴人製品においては、舌状片によって底面の形状が保持されていることを説明した。 これに対して原判決は、「『底部』の形状保持機能については、本件特 許に係る特許請求の範囲にも本件明細書にもこれに関する記載は見当たらず、これを示唆する記載もない。そうである以上、『底部を形成する底面片』を定めるにあたり、底部の形状保持機能を考慮すべきとはいえない。」(原判決35頁1行目ないし4行目)などと述べる。 控訴人は、底面片に当たる舌状片(の基部)が底部(特に乙1の②の意 味合いにおける底部)の形状保持に寄与している(底部の一部を成している)のであるから、まさに舌状片(の基部)が被控訴人製品の「底部を形成」しているということを主張しているものである。原判決は、「形状保持機能」との言葉から、新たな概念のように誤解をしたのかもしれないが、控訴人が述べているのは、被控訴人製品の舌状片が被控訴人製品の底部を 形成しているということである。 この点、原判決は、「内容物の落下防止という観点から舌状片が『底部を形成する底面片』といえないことも、上記のとおりである。」(原判決35頁6行目ないし7行目)として、「内容物の落下防止という観点」を「底部を形成する底面片」の解釈に採り入れているところ、「内容物の落 下防止という観点」については、特許請求の範囲にも本件明細書にも記載されていない。このように、原判決は、特許請求の範囲にも本件明細書にも記載されてい 解釈に採り入れているところ、「内容物の落 下防止という観点」については、特許請求の範囲にも本件明細書にも記載されていない。このように、原判決は、特許請求の範囲にも本件明細書にも記載されていない「内容物の落下防止という観点」をクレーム解釈に採り入れる一方で、クレームの「底部を形成する」を合理的に説明する控訴人の主張を排斥したのであって、原判決の認定手法は一方的である。 ⑶ 本件発明3(請求項5)について 原判決は、本件発明1(請求項1)の文言非充足を理由として控訴人の請求を棄却しており、本件発明3(請求項5)に関する判断をしていないが、本件発明3は「前記底部が前記載置面に対して凹弧状に湾曲しており、前記底面片および前記自立片の縁辺が前記載置面に接触している」と、「底部」及び「底面片」に関する構成を規定していることから、説明を補足する。 当該構成については、本件明細書の段落【0015】に、「底部が載置面に対し凹弧状に湾曲しており、底面片および自立片の縁辺が載置面に接触している。この構成により、自立片はクッション性を有すると共に凹弧状と逆の弧状に折れ曲がり難くなり、自立させられて背面片側に傾倒しようとする包装容器を支える。したがって、自立させた状態を安定させることができる。」 と説明されているとおり、底部を「載置面に対して」湾曲させることで、その下面を形成する底面片とそこから同一面に連なって突出する自立片とが断面方向から見て円弧状となり、その縁部が載置面に接触する構成となる。そして、そのような構成によって、自立片は円弧状のバネのようにクッション性を備えるとともに、凹弧とは逆側方向に折れてしまうことが防止され、自 立させた状態を安定させることができるという効果を奏するものである。 このように本 自立片は円弧状のバネのようにクッション性を備えるとともに、凹弧とは逆側方向に折れてしまうことが防止され、自 立させた状態を安定させることができるという効果を奏するものである。 このように本件発明3は、本件発明1の「底部」の構成に関して、これを「載置面」との関係において改良し、包装容器を安定的に自立させようとするものである。ここでいう「包装容器」というのは、内容物を入れる部分だけを指しているのではなく、自立させる対象、すなわち容器全体を意味して おり、底部というのは、その下面を形成する底面片において載置面に接触する箇所を意味していることは明らかである。 そうすると、原判決が、被控訴人製品の舌状片(の基部)が本件発明1の「底部」や「底面片」に当たらないとしたのは誤りであり、被控訴人製品の舌状片(の基部)は、本件発明1の底面片に当たるから、被控訴人製品は本 件発明1の構成要件Bを充足する。 ⑷ 均等侵害ア仮に、本件発明1の「底部を形成する底面片」が、筒状の包装容器の下側を塞いでいる部分であって、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止するものを意味するとの原判決のクレーム解釈を採用し、仮に原判決の認定のように、被控訴人製品の六角片が「底部を形成する底面片」に当たり、 舌状片はこれに当たらないとした場合であっても、被控訴人製品は、本件発明1と均等なものとして、その技術的範囲に属する。 イ本件発明1と被控訴人製品との相違点原判決は、舌状片(の延設部)が「自立片」に当たると認定しているので、原判決の認定に従った場合、本件発明1と被控訴人製品とは、以下の点にお いて相違する。 「本件発明1では、包装容器を載置面に自立させる『自立片』(厳密にいえば、その基部である)が、内容物に直接接触し 認定に従った場合、本件発明1と被控訴人製品とは、以下の点にお いて相違する。 「本件発明1では、包装容器を載置面に自立させる『自立片』(厳密にいえば、その基部である)が、内容物に直接接触しこれを支えるものであるのに対し、被控訴人製品では、内容物に直接接触しこれを支えるものが『自立片』(すなわち『舌状片』。厳密にいえば、その基部である)ではなく『六 角片』であり、『六角片』が自立片と僅かに隔離している点」ウ均等の第1要件(非本質的部分)本件明細書で挙げられている先行技術は、折畳式コップ型容器に関するものであるところ、当該先行技術は、底部に安定補助板を取り付けて自立させるものであった。 しかし、これでは安定補助板を容器本体とは別に製造し、後から容器本体に取り付ける必要があるため、成形が簡便ではないという課題があった。 本件発明1は、このような従来技術の課題を解決するものであり、成形が簡便な自立型の包装容器の提供を目的とするものである(段落【0002】ないし【0006】)。要するに、被控訴人製品は、六角片で「上げ底」 がされているという点において、本件発明1と相違している。しかし、この ような「上げ底」(上げられた底)は、包装容器の自立性やその安定性に関しないものである。 すなわち、本件発明1の本質的部分は、1枚の包装紙から包装容器が形成されており、この1枚の包装紙からなる包装容器のうちの、下部に設けられる部材(すなわち載置面側の部材である自立片)が奥行の方向(すなわち、 広く形成された幅方向に比べて、相対的に不安定な方向)に突出していることによって、従来技術の安定補助板のような別部材を取り付けることなく、安定して自立するという点にあるのであって、自立片が内容物に接しこれを支えるという 比べて、相対的に不安定な方向)に突出していることによって、従来技術の安定補助板のような別部材を取り付けることなく、安定して自立するという点にあるのであって、自立片が内容物に接しこれを支えるという点にあるのではない。 このことは、本件発明1をさらに改良した本件発明3によれば一層明ら かである。本件発明3は、本件発明1の本質的部分である、自立片を奥行方向に延ばして安定して自立させるという点について、底部を載置面に対して湾曲させることで、自立片にクッション性を与えるとともに、凹弧と逆の弧状に折れ曲がりにくくなり、自立させた状態をより一層安定させることができるものである。 このように、本件発明1の本質的部分というのは、自立片を奥行方向に延ばすことで、1枚の包装紙から構成される包装容器を安定して自立させる点にある(これをさらに改良したのが本件発明3である)。 このような本件発明1の本質的部分と、内容物に直接接する面と自立片とが同一面に連なっているか否かという上記相違点は、何ら関係しない。 被控訴人製品は、要するに、被控訴人製品を自立させる機能を担う舌状片より上部に、上げ底のように、内容物を入れる空洞の下面という意味における底部(六角片)を設けたというだけのことであり、自立片を奥行方向に延ばすことで、1枚の包装紙から構成される包装容器を安定して自立させるという本件発明1の本質的部分において、何ら相違はない。 したがって、被控訴人製品は、均等侵害の第1要件を充足する。 エ均等の第2要件(置換可能性)第1要件に関して述べたとおり、本件発明1は、自立片を奥行方向に延ばすことで、1枚の包装紙から構成される包装容器を安定して自立させることで、成形が簡便で自立する容器を提供するという作用効果を奏するもの 要件に関して述べたとおり、本件発明1は、自立片を奥行方向に延ばすことで、1枚の包装紙から構成される包装容器を安定して自立させることで、成形が簡便で自立する容器を提供するという作用効果を奏するものである。 このような作用効果は、包装容器が1枚の包装紙から形成されていて、かつ、包装容器の下面に位置する自立片が突出していれば奏することができるものであり、自立片と、内容物を収納する下面という意味合いにおける底部(六角片)とが同一面であるか否かとは関係がない。 被控訴人製品も、相違点の有無(上げ底がされているか否か)に関わら ず、上記作用効果を奏するのであって、被控訴人製品は、均等侵害の第2要件を充足する。 オ均等の第3要件(置換容易性)包装容器の技術分野において、収納する内容物の性質、量や大きさなどに応じて、上げ底をするということは極めて周知な技術常識である。 本件各発明に係る実施例に係る説明図においては、底面片が内側底面片50と外側底面片40の2枚で形成されているが、内側底面片50と外側底面片40との間の隙間を排除しなければならないものとはされていない。しかるところ、被控訴人製品は、要するにこの内側底面片を外側底面片から少し離す(折り曲げる位置を少し上にする)ことで上げ底を形成してい るというだけのことであり、このような変更を行うことは、被控訴人製品を製造する時点における当業者において極めて容易に成し得たことである。 さらにいえば、本件各発明に係る実施例に係る説明図においては、内側底面片50と外側底面片40の2枚がぴたりと接するように描かれているが、甲22に示すとおり、実際に本件各発明の実施例に係る包装容器を製作 してみると、内側底面片と外側底面片とは、必ずしもぴたりと接するとは限 ら 枚がぴたりと接するように描かれているが、甲22に示すとおり、実際に本件各発明の実施例に係る包装容器を製作 してみると、内側底面片と外側底面片とは、必ずしもぴたりと接するとは限 らない。 したがって、本件各発明と被控訴人製品との相違点というのは、実質的には相違点とすら言えないようなものであるが、これを相違点と捉えるとしても、内側底面片と外側底面片とをさらにもう少し離す(折り曲げる位置を少し上にする)ことで上げ底を形成しているというだけのことであり、こ のような変更を行うことは、被控訴人製品を製造する時点における当業者において極めて容易に成し得たことである。 したがって、被控訴人製品は、均等の第3要件を充足する。 カ均等の第4、5要件均等の第4、5要件については、被疑侵害者において、その非充足の立証 責任を負うものであるが、被控訴人製品は、本件特許の出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考できたものではなく(均等の第4要件の充足)、かつ、被控訴人製品が本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない(均等の第5要件の充足)。 キ小括以上のとおり、被控訴人製品は、均等の第1ないし第5要件を全て充足し、本件発明1ないし4と均等なものとして、その技術的範囲に属する。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由 は、以下のとおりである。 ⑴ 本件明細書の記載及び本件各発明の意義等ア本件明細書(甲2)の記載は別紙特許公報のとおりであり、そこには、次のような記載がある(その他の本件明細書の記載及び該当する図については別紙参照)。 (ア 発明の意義等ア本件明細書(甲2)の記載は別紙特許公報のとおりであり、そこには、次のような記載がある(その他の本件明細書の記載及び該当する図については別紙参照)。 (ア) 技術分野 「本発明は、食品が食される際に用いられる包装容器に関するものである。」(段落【0001】)(イ) 背景技術「従来、例えば油で揚げた細切りのジャガイモやスナック菓子などの一口サイズの食品が、ファーストフードやコンビニエンスストアなどで販 売され、または食される際に用いられる包装容器として、下記特許文献1に記載の折畳式コップ型容器が提案されている。」(段落【0002】)「この折畳式コップ型容器は手のひらに納まる程度の大きさであり、底部に取り付けられた安定補助板により支えられてテーブルなどの上に立たせられる。」(段落【0003】) (ウ) 発明が解決しようとする課題「しかし、折畳式コップ型容器は、安定補助板が例えば紙や合成樹脂などから形成され、後から容器本体に取り付けられる構成である。したがって、製造工程において安定補助板を取り付ける必要があるため、成形が簡便でない。」(段落【0005】) 「本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、成形が簡便な自立型の包装容器の提供を目的とする。」(段落【0006】)(エ) 課題を解決するための手段「本発明に係る包装容器は、1枚の包装紙が開口部と底部とを有する筒状に折られ、この筒状の奥行きよりも幅の方向が広く形成された包装容 器であって、前記包装容器を容器として形成した状態において、前記底部を形成する底面片と同一面に連なる自立片が載置面に沿って前記奥行の方向に突出し、前記自立片によって前記載置面に自立させられる、ことを特 あって、前記包装容器を容器として形成した状態において、前記底部を形成する底面片と同一面に連なる自立片が載置面に沿って前記奥行の方向に突出し、前記自立片によって前記載置面に自立させられる、ことを特徴としている。」(段落【0007】)「本発明に係る包装容器は、前記包装紙が、正面片と、この正面片の側 端に連ねられた背面片と、前記正面片の下端に連ねられた前記底面片と、 この底面片の先端に連ねられた前記自立片と、から構成され、前記背面片が前記正面片側に折られて筒状に形成され、前記底面片が折られることで前記筒状の下端が塞がれて前記底部が形成されると共に、前記自立片が前記奥行の方向に突出している、ことを特徴としている。」(段落【0008】) (オ) 発明の効果「本発明に係る包装容器は上記した構成である。この構成によれば、包装容器を自立させる自立片が底面片に連なっているため、一体的な成形が簡便である。」(段落【0013】)「また、底面片と自立片との境界にミシン目が形成され、このミシン目 に沿って底面片から自立片を切り離すことができる。したがって、包装容器を自立させる必要がない場合は自立片をミシン目に沿って切り離し、包装容器をねかせて使用することができる。」(段落【0014】)「また、底部が載置面に対して凹弧状に湾曲しており、底面片および自立片の縁辺が載置面に接触している。この構成により、自立片はクッシ ョン性を有すると共に凹弧状と逆の弧状に折れ曲がり難くなり、自立させられて背面片側に傾倒しようとする包装容器を支える。したがって、自立させた状態を安定させることができる。」(段落【0015】)「また、筒状の側部に、内側に凹弧状に湾曲した側面部が形成されている。したがって、包装容器が持ちやすくなる。」 を支える。したがって、自立させた状態を安定させることができる。」(段落【0015】)「また、筒状の側部に、内側に凹弧状に湾曲した側面部が形成されている。したがって、包装容器が持ちやすくなる。」(段落【0016】) (カ) 発明を実施するための形態「図1から図8において、包装容器10は1枚の包装紙1が筒状に折られて形成されている。包装容器10は、筒状の包囲部7、包囲部7の上端である開口部8、包囲部7の下端である底部9から構成されている。 包装容器10は正面から視して略扇状に形成され、開口部8側が幅広で あり、底部9側が幅狭である。また、平面から視して幅が奥行よりも広 い(図3参照)。包囲部7は正面片70、背面片20、および糊代片30から形成され、正面片70と背面片20とが糊代片30を介して貼付されている(図3参照)。底部9は底面片40と内側底面片50とが折り重ねられて形成され(図7参照)、正面から視して載置面(図示せず)に対して凹弧状に湾曲している。底面片40は、自立片60が同一面に連ね られて載置面に沿って奥行き方向に突出している(図7参照)。」(段落【0019】)「次に、包装容器10を展開図に基づいて説明する。図9は包装容器10を展開した包装紙1が示されている。」(段落【0020】)「図9において、包装紙1は背面折り目2、糊代折り目3、底面折り目 4、内側底面折り目5、およびミシン目6を有し、この各折り目2から5およびミシン目6によって六つの面に区切られている。包装紙1は各折り目2から5で折り返され、包装容器10となる(図1から図8参照)。 六つの面は、正面片70、正面片70の右側端に背面折り目2を介して連ねられた背面片20、正面片70の左側端に糊代折り目3を介して連 ねられた り返され、包装容器10となる(図1から図8参照)。 六つの面は、正面片70、正面片70の右側端に背面折り目2を介して連ねられた背面片20、正面片70の左側端に糊代折り目3を介して連 ねられた糊代片30、正面片70の下端に底面折り目4を介して連ねられた底面片40、底面片40の先端に連ねられた自立片60、および背面片20の下端に内側底面折り目5を介して連ねられた内側底面片50である。」(段落【0021】)「自立片60はミシン目6、自立縁辺61、互いに対称な斜辺である底 縁辺41、42で囲まれた面である。自立片60は底面片40と同一面に連ねられている。ミシン目6は自立片60と底面片40との境界に形成されている。底縁辺41、42は底面折り目4から自立縁辺61に向けて互いの間隔が徐々に狭まっている。なお、図9においてミシン目6は破線で表されている。」(段落【0026】) 「図9において、包装紙1を糊代折り目3および背面折り目2で山折り する。正面片70の裏側で糊代折り目3に背面片20の糊代貼付辺22を合わせて折り重ねて貼付し、糊代片30を介して正面片70と背面片20とを連ねる。糊代片30を介して筒状に連なった正面片70と背面片20との間に適当な空隙を空けて筒状の包囲部7を形成する。連なった正面上縁辺71と背面上縁辺21とが開口部8である。なお、図9に おいて糊代はハッチング(ドット)で表されている。」(段落【0029】)「包囲部7を筒状に維持したまま内側底面片50を内側底面折り目5で山折りした後、底面片40を底面折り目4で山折りして内側底面片50に折り重ねることで包囲部7の下端を塞ぎ底部9を形成する。自立片60は底面片40と同一平面上で、奥行き方向に突出している(図1から 図8参照)。」(段落 底面折り目4で山折りして内側底面片50に折り重ねることで包囲部7の下端を塞ぎ底部9を形成する。自立片60は底面片40と同一平面上で、奥行き方向に突出している(図1から 図8参照)。」(段落【0030】)イ前記アの記載事項によれば、本件明細書には、本件各発明につき次のような開示があることが認められる。 本件各発明は、食品が食される際に用いられる包装容器に関するものであるところ(段落【0001】)、これまでの折畳式コップ型容器では、安定補 助板が例えば紙や合成樹脂などから形成され、後から容器本体に取り付けられる構成である。したがって、製造工程において安定補助板を取り付ける必要があるため、成形が簡便でないとの課題があったところ(段落【0005】)、本件各発明は、成形が簡便な自立型の包装容器を提供しようとするものである(段落【0006】)。 ウ本件各発明は上記イのような意義を有するところ、本件発明1の包装容器は、1枚の包装紙が筒状に折られたものであり、開口部と底部とを有し(構成要件A)、容器として形成した状態において、「前記底部」を形成する「底面片」と同一面に連なる「自立片」が、奥行方向に突出して自立するもの(構成要件B)であるとされている。 そうすると、構成要件Bにいう「底面片」は、筒状に形成された包装容器 の底部を形成するものであり、包装容器を自立させる「自立片」と同一面に連なるものであることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。 しかし、本件発明1において、1枚の包装紙を筒状に折ることにより包装容器を形成し、その容器を自立させる「自立片」と「底面片」とは、1枚の包装紙のうちのどの部分を指すのか、その包装紙から包装容器を形成する に当たり、底面片は包装容器 紙を筒状に折ることにより包装容器を形成し、その容器を自立させる「自立片」と「底面片」とは、1枚の包装紙のうちのどの部分を指すのか、その包装紙から包装容器を形成する に当たり、底面片は包装容器の底部をどのように形成するのか、自立片と底面片が「同一面に連なる」とはどのようなことを意味するのかなどについて、特許請求の範囲の記載からは明らかではない。特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき定められるところ(特許法70条1項)、特許請求の範囲の技術的範囲を解釈するに当たり、特許請求の範囲の用語、文章 を理解し、正しく技術的意義を把握するためには、明細書の発明の詳細な説明の記載等を検討する必要がある。これは、当該特許発明が有効なものとして成立している以上、その特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明の記載との関係で特許法36条のいわゆるサポート要件あるいは実施可能要件を満たしているものとされているのであるから、明細書の記載及び図面を 考慮して、上記特許請求の範囲の用語の意義を解釈すべきとするものであり、特許法70条2項も、その旨を規定するものである。 そして、明細書の用語は、その有する普通の意味で使用し、かつ明細書及び特許請求の範囲全体を通じて統一して使用することが求められるものであるから(特許法施行規則24条、様式第29備考8)、以下、この観点か ら、本件明細書における用語の意味を検討する。 本件発明1の包装紙(構成要件A)における「片」(構成要件Bにおける「自立片」、「底面片」)につき、本件明細書の段落【0021】では、包装紙は「六つの面に区切られ」ているとされるところ、それらの面は、図9(展開図)において、正面片70、背面片20、糊代片30、底面片40、自立 片60及び内側底面片50とされた 21】では、包装紙は「六つの面に区切られ」ているとされるところ、それらの面は、図9(展開図)において、正面片70、背面片20、糊代片30、底面片40、自立 片60及び内側底面片50とされた、いずれも「片」とされるものであり、 これらのうち、図9において隣接する関係にある片については、いずれも、「折り目」「を介して連ねられた」(自立片60以外の上記各片)、あるいはミシン目6により「底面片40の先端に連ねられた」(自立片60)と表現されている。 そして、この展開された状態(図9)において、「自立片60は底面片4 0と同一面に連ねられている。ミシン目6は自立片60と底面片40との境界に形成されている。」(段落【0026】)とされている。 そうすると、本件発明1における「片」は、折られて包装容器を形成する前の平坦状(展開図)の1枚の包装紙において、折り目ないしミシン目により区切られた部分をいい、「片」同士が折り目ないしミシン目により隣接す る関係を、「連ねられた」とするものと認められるから、構成要件Bにおける「底面片」と「自立片」が「同一面に連なる」とは、「底面片」が、包装容器を自立させることとなる「自立片」と、展開した状態において同一面に隣接する位置にあることをいうものと解される。 ここで、「底面片」は、1枚の包装紙から筒状の包装容器を形成した状態 において、その底部を形成するものである(構成要件A、B)が、その包装紙から包装容器を形成するに当たり、包装容器の底部が「底面片」によりどのように形成されるのかについて、特許請求の範囲の記載からは明らかではないところ、本件明細書には、包装容器の形成につき、「筒状に連なった正面片70と背面片20との間に適当な空隙を空けて筒状の包囲部7を形 成する。連なっ て、特許請求の範囲の記載からは明らかではないところ、本件明細書には、包装容器の形成につき、「筒状に連なった正面片70と背面片20との間に適当な空隙を空けて筒状の包囲部7を形 成する。連なった正面上縁辺71と背面上縁辺21とが開口部8である。」(段落【0029】)、「底面片40を底面折り目4で山折りして内側底面片50に折り重ねることで包囲部7の下端を塞ぎ底部9を形成する。自立片60は底面片40と同一平面上で、奥行き方向に突出している」(段落【0030】)と記載され、これ以外に、本件明細書には、底面片が包装容器の 底部をどのように形成するのかについての記載はない(段落【0036】以 下では、段落【0018】から【0035】に示されたものと異なる構成の説明はされていない。)。そうすると、本件発明1の「底面片」は、中に空隙を設けて筒状に形成された包囲部の下端を塞ぐことで、包装容器の底部を形成するものをいい、前記のとおり、「自立片」と展開した状態において同一面に隣接する位置にあるものをいうと解される。 そして、本件発明2の「前記底面片」(構成要件D-3)、本件発明3の「前記底面片」(構成要件G)及び本件発明4が引用する請求項3・4の「前記底面片」(特許請求の範囲の記載、別紙参照)は、本件発明1の「底面片」と同一の意義を有するものと認められ、本件発明4は、請求項1ないし5を引用する請求項6を含め、これらを引用するものである(構成要件J)から、 本件各発明の「底面片」については、本件発明1の「底面片」と同義に解される。 ⑵ 被控訴人製品との対比これを被控訴人製品についてみると、被控訴人製品は、1枚の包装紙が筒状に折られ形成された包装容器であり(当事者間に争いのない被控訴人製品 の構成a)、筒状部分の ⑵ 被控訴人製品との対比これを被控訴人製品についてみると、被控訴人製品は、1枚の包装紙が筒状に折られ形成された包装容器であり(当事者間に争いのない被控訴人製品 の構成a)、筒状部分の下側端部に六角片を有するところ(被控訴人製品の構成b のうち当事者間に争いのない部分)、この六角片は、筒状部分内部に収められる内容物の下部に位置しており、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止している(当事者間に争いのない被控訴人製品の構成e-2)のであるから、筒状に形成された包囲部に当たる筒状部分の下端を塞ぎ、包装容器 としての被控訴人製品の底部を形成するのは、六角片である。 そして、被控訴人製品において、容器を自立させるのは舌状片であるところ(被控訴人製品の構成b のうち当事者間に争いのない部分)、前記六角片は、背面片の下端に連ねられており(被控訴人製品の構成d-3 のうち当事者間に争いのない部分)、舌状片と、展開した状態において同一面に隣接する位 置にない。 そうすると、被控訴人製品は、本件発明1の構成要件Bにおける「底部を形成する底面片」及びこれと同義である本件発明2ないし4の「底面片」に該当するものを備えないから、本件各発明のいずれの構成要件(構成要件B、D-3、G及びJ)も充足しないということができる。 ⑶ 控訴人の主張に対する判断 ア控訴人は、前記第2の3⑴及び⑵のとおり、原判決は誤りであり、被控訴人製品の舌状片の基部は本件各発明の底部に相当することなどから、被控訴人製品は構成要件Bを充足する旨を主張する。 しかし、被控訴人製品の舌状片は、筒状部分の下端(六角片の接続箇所の反対側)から内側に折り込まれているところ(被控訴人製品の構成e-3 のう ち当事者間に 充足する旨を主張する。 しかし、被控訴人製品の舌状片は、筒状部分の下端(六角片の接続箇所の反対側)から内側に折り込まれているところ(被控訴人製品の構成e-3 のう ち当事者間に争いのない部分)、その六角片と、舌状片とは接触しておらず、両者の間には隙間があり(被控訴人製品の構成e-4 のうち当事者間に争いのない部分)、舌状片が載置面に対して凹弧状に湾曲して舌状片の縁が載置面に接触し(当事者間に争いのない被控訴人製品の構成f)、この舌状片により、被控訴人製品は、載置面に背面方向に斜めに自立する(被控訴人製品の構成 b のうち当事者間に争いのない部分)ものである。 上記⑴ウのとおり、本件各発明における「底面片」は、中に空隙を設けて筒状に形成された包囲部の下端を塞ぐことで包装容器の底部を形成するものをいうところ、被控訴人製品の舌状片は、六角片と接触しておらず、両者の間には隙間があるものであるから、舌状片は、筒状に形成された包囲部の下 端を塞ぎ、包装容器の底面を構成するものとはいえない。 したがって、控訴人の上記主張は、採用することができない。 イ控訴人は、前記第2の3⑶のとおり、本件各発明の「包装容器」は自立させる対象である容器全体を意味し、底部はその下面を形成する「底面片」において載置面に接触する箇所を意味しているから、被控訴人製品の舌状片の 基部は本件各発明の底部や「底面片」に当たると主張する。 しかし、本件各発明の「底面片」及びこれにより形成される底部の意義については前記⑴ウで検討したとおりであるほか、本件明細書には、「包装容器10は、筒状の包囲部7、包囲部7の上端である開口部8、包囲部7の下端である底部9から構成されている。」(段落【001 の意義については前記⑴ウで検討したとおりであるほか、本件明細書には、「包装容器10は、筒状の包囲部7、包囲部7の上端である開口部8、包囲部7の下端である底部9から構成されている。」(段落【0019】)と記載されていることからすると、本件明細書によれば、開口部に対応する包装紙の特定の片等 がないのと同様に、底部とは、包装容器を構成する包囲部の下端を指すものであり、包装容器を形成する1枚の包装紙における、特定の片や辺を指すものではないことが理解できる。控訴人の指摘する「包装容器10を例えばテーブルなどの載置面に底部9側から載置すると、包装容器10はやや背面片20側に傾斜した状態で底縁辺41、42が載置面に接触して自立する。」(段 落【0035】)との記載における「底部9側から」とは、包装容器を載置する際の包装容器の向きを表しているものにすぎず、載置面と接触する面や片を示す意味で用いられているわけではない。 そうすると、底部は、包装容器の下面を形成する「底面片」において載置面に接触する箇所を意味するとの控訴人の主張は、本件明細書の記載に基づ くものとはいえず、前提を欠くものである。 したがって、控訴人の上記主張は、採用することができない。 ⑷ 当審における控訴人による均等侵害の主張に対する判断ア控訴人は、仮に被控訴人製品が、本件各発明に文言上はその技術的範囲に属しないものとしても、これと均等なものとして、特許権侵害に当たる旨を 主張する。 特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果 を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当該発明の属す る技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる などの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である。 そして、上記①の要件(第1要件)における特許発明における本質的部分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない 特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである(最高裁平成6年(オ)第1083号同1 0年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁、最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。 これを本件において検討するに、前記⑴イのとおり、本件発明1は、「底部に取り付けられた安定補助板 高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁参照)。 これを本件において検討するに、前記⑴イのとおり、本件発明1は、「底部に取り付けられた安定補助板により支えられてテーブルなどの上に立たせら れる」「折畳式コップ型容器」(段落【0003】)であって「安定補助板が例えば紙や合成樹脂などから形成され、後から容器本体に取り付けられる構成」(段落【0005】)を採用した従来技術を前提とし、「成形が簡便な自立型の包装容器の提供を目的とする」(段落【0006】)ことを発明が解決しようとする課題とし、当該課題を解決する手段として「前記包装容器を容器と して形成した状態において、前記底部を形成する底面片と同一面に連なる自 立片が載置面に沿って前記奥行の方向に突出し、前記自立片によって前記載置面に自立させられる」(本件発明1の構成要件B)という構成を採用することにより、「包装容器を自立させる自立片が底面片に連なっているため、一体的な成形が簡便である」(段落【0013】)という効果を奏するものである。 そうすると、本件発明1において従来技術に見られない特有の技術的思想 を構成する特徴的部分は、従来技術における安定補助板が、底部に一体的に成形された構成である、「前記包装容器を容器として形成した状態において、前記底部を形成する底面片と同一面に連なる自立片が載置面に沿って前記奥行の方向に突出し、前記自立片によって前記載置面に自立させられる」ことにあると考えられる。 そして、本件発明1と被控訴人製品とは、包装容器を容器として形成した状態において、本件発明1の「底面片」が筒状の底部を形成するのに対し、被控訴人製品は、包装容器を自立させる舌状片が、包装容器の底部を形成する六角片と同 被控訴人製品とは、包装容器を容器として形成した状態において、本件発明1の「底面片」が筒状の底部を形成するのに対し、被控訴人製品は、包装容器を自立させる舌状片が、包装容器の底部を形成する六角片と同一面に連なっておらず別に構成されている点において相違するものと認められるところ、この相違に係る本件発明1の構成、すなわち「底 部を形成する底面片」が「自立片」と同一面に連ねられていることは、これまでの検討によれば、本件発明1の本質的部分に当たるものということができる。 そうすると、上記相違点に係る本件発明1の構成については、本件発明1の本質的部分ではないということはできない。そして、前記⑴ウのとおり、 上記の点については、本件各発明について共通するものということができる。 したがって、被控訴人製品は均等侵害の第1要件を充足しないから、その要件について検討するまでもなく、均等侵害は成立しない。 イ控訴人は、前記第2の3⑷ウのとおり、本件各発明の本質的部分は、「自立片」によって載置面に自立させられる構成を採用した点にあり、当該「自立 片」が内容物に直接接触してこれを支える片という意味における「底面片」 と、同一面に連なることにあるのではないと主張する。 しかし、本件各発明の本質的部分については上記アのとおりと認められるから、本件各発明と被控訴人製品とは、その本質的部分において異なるものというべきである。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 2 控訴人はその他縷々主張するが、いずれも前記認定及び判断を左右しない。 3 結論よって、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 び判断を左右しない。 3 結論よって、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官 水野正則 別紙被控訴人製品の構成a 1 枚の包装紙が上側開口端部と下側閉口端部とを有する筒状に折られ、この筒状の奥行きよりも幅の方向が広く形成された包装容器である。 b 筒状部分の下側端部に六角片及び舌状片(基部と延設部)を有している。容器 として形成した状態において、六角片と舌状片は、それぞれ内側に折り込まれて、略弧状に湾曲した状態となり、筒状部分の下端の強度を補強している。また、容器として形成した状態において、舌状片は弧状に湾曲した状態で片Ⓐに連なっており、載置面に沿ってその延設部が背面側に突出し、載置面に置くと、舌状片(延設部)によって、被控訴人製品は、載置面に背面方向に斜めに自立す る。 c 包装容器である。 d 包装紙は、少なくとも、d-1 片Ⓐと、d-2 片Ⓐの側端に連ねられた背面片と、 d-3 背面片の下端に連ねられた六角片と、d-4 片Ⓐの下端に連ねられた舌状片と、から構成されている。 e-1 背面片が片Ⓐ側に折られて筒状に形成されている。 e-2 六角片は、筒状部分の下端から内側に折り込まれている。この 片と、d-4 片Ⓐの下端に連ねられた舌状片と、から構成されている。 e-1 背面片が片Ⓐ側に折られて筒状に形成されている。 e-2 六角片は、筒状部分の下端から内側に折り込まれている。この折り込まれた 六角片は、筒状部分内部に収められる内容物の下部に位置しており、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止している。 e-3 舌状片は、筒状部分の下端(六角片の接続箇所の反対側)から内側に折り込まれている。この折り込まれた舌状片(基部)は、筒状部分内部に収められる内容物の下部に位置しており、筒状部分の下端から内容物が落下するのを防止し ている。 e-4 筒状部分の下端から内側に折り込まれた六角片と舌状片とは接触しておらず、両者の間には隙間がある(いわゆる二重底の形状となっている。)が、内容物の重み等によって「六角片」が下方向にずれた場合には、舌状片の付け根が六角片の先端に接触しこれを支えることで、内容物が落下するのを防止している。 e-5 舌状片が折られることで舌状片(延設部)が奥行の方向に突出している。 f 舌状片が載置面に対して凹弧状に湾曲しており、舌状片の縁が載置面に接触している。 g 筒状となった容器の背面片に、上側開口端部を覆うフードが備えられている。 <被控訴人製品を展開した状態の内面>フード背面片片Ⓑ六角片片Ⓐ基部延設舌状片

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