【DRY-RUN】主 文 本件各控訴を棄却する。 当審の訴訟費用は被告人両名の負担とする。 理 由 検事岡本吾市並びに弁護人藪下吟次郎の各控訴趣意は夫々別紙記載の通り
主文 本件各控訴を棄却する。 当審の訴訟費用は被告人両名の負担とする。 理由 検事岡本吾市並びに弁護人藪下吟次郎の各控訴趣意は夫々別紙記載の通りである。 弁護人の被告人等は殺意がなかつたとの主張について本件訴訟記録並びに原審の取調べた証拠を精査すれば原審がその挙示の証拠によつて被告人等の未必的殺意を認定したのは相当である(原判決中に「落す」云々の文辞があり借辞稍妥当を欠いていると思われるが未必的殺意を認めなかつたものとは解せられない)。弁護人が援用する事実を仔細に吟味しても右認定を非難することは出来ない。論旨は理由がない。 検事及び弁護人の量刑に関する主張について本件訴訟記録並びに原審の取調べた証拠当審に於ける被告人等の供述を綜合考察すると(一)被告人等は未だ若年にして思慮分別に乏しかつたこと(二)被告人Aは詐欺横領窃盗の嫌疑で検挙せらし起訴猶予になつたことが一回あるきりで所謂前科がないこと被告人Bは食糧管理法違反で罰金千五百円、四千円の二回処罰せられたことがあるも他に前科がないこと(三)本件犯行当時被告人等は窮迫のどん底にあつた為被告人Aの両親を頼つて行つたのに対しAの両親の態度が冷淡であつたこと(四)両親殺害の結果に対する認識も不確定であつて未必的殺意の程度であつたこと(五)当時の社会環境も悪かつたこと等が窺われるのである。従つて両親を殺害してその金品を強奪したということは如何にも重大な結果を招来しものであること検事の所論の通りであるが被告人両名を死刑に処するということは酷と思わしる。然し又弁護人所論のように有期懲役を以て処断するということは甚だ軽きに過ぎる案件である。原審が被告人等を無期懲役に処したのは蓋し当然と謂うべきであつて検事及び弁護人の援用する事実を仔細に検討 しる。然し又弁護人所論のように有期懲役を以て処断するということは甚だ軽きに過ぎる案件である。原審が被告人等を無期懲役に処したのは蓋し当然と謂うべきであつて検事及び弁護人の援用する事実を仔細に検討してもこの量刑に対する結論を動かすことは出来ない。論旨は何れも採用しない。 <要旨>尚職権を以て調査するに刑法第四十六条第二項の「他の刑」とは犯情の軽い無期の懲役又は禁錮、有期の懲</要旨>役又は禁錮及び拘留であつてこのことは同法第十条第三項の精神同法第四十六条第一項の規定との関連に於て斯く解すべきである。然るに原判決は被告人両名共、判示Cに対する強盗殺人罪について所定刑中無期懲役刑を選択し被告人両名を無期懲役に処するを以て同法第四十六条第二項により他の罪の刑は科せないと判示しDに対する強盗殺人罪について所定刑である死刑又は無期懲役の何れを選択すべきか決定せず又無期懲役を選択したこと明らかだとしてもCに対する罪の刑である無期懲役と犯情を比較して居らないのである。然しこの法律適用の遺脱若くは判示の省略は本件に於ては判決に影響を及ぼさない。 仍て本件各控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条第百八十一条により主文の通り判決する。 (裁判長判事坂本徹章判事浮田茂男判事呉屋愛永)
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