令和4年3月29日東京地方裁判所刑事第8部宣告令和3年特第2942号所得税法違反被告事件 主文 被告人を懲役1年及び罰金1300万円に処する。 その罰金を完納することができないときは、金5万円を1日に換算し た期間被告人を労役場に留置する。 この裁判が確定した日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、学校法人Aの理事長であったものであるが、自己が同法人の関係業者 等から受領したリベート収入等を除外して、実際の所得金額よりも殊更過少な所得金額で所得税及び復興特別所得税の確定申告をする方法により所得を秘匿して自己の所得税を免れようと企て、第1 平成30年分の実際所得金額が6886万6420円であったにもかかわらず(別紙1-1「所得金額総括表・修正損益計算書」参照〔添付省略〕)、平成 31年3月12日、東京都(住所省略)所轄B税務署において、同税務署長に対し、財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により、総所得金額が5886万6420円で、これに対する所得税額及び復興特別所得税額は、源泉徴収税額を控除すると50万7335円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税及び復興特別所得税の確定申告をし、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行 為により、平成30年分の正規の所得税額及び復興特別所得税額406万6400円と上記還付税額との合計額から100円未満の端数を切り捨てた457万3700円のうち、所得税額447万9628円を免れ(別紙1-2「ほ脱税額計算書」参照〔添付省略〕)、第2 令和2年分の実際総所得金額が1億6736万8140円であったにもか かわらず(別紙2-1「所得金額総括表・修正損益計算書」 円を免れ(別紙1-2「ほ脱税額計算書」参照〔添付省略〕)、第2 令和2年分の実際総所得金額が1億6736万8140円であったにもか かわらず(別紙2-1「所得金額総括表・修正損益計算書」参照〔添付省略〕)、 令和3年4月2日、上記B税務署において、同税務署長に対し、前同様の方法により、総所得金額が5916万8140円で、これに対する所得税額及び復興特別所得税額は、源泉徴収税額を控除すると9302円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税及び復興特別所得税の確定申告をし、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、令和2年分の正規の所得税額及び復興特別所得税額48 84万7600円と上記還付税額との合計額から100円未満の端数を切り捨てた4885万6900円のうち、所得税額4785万2008円を免れた(別紙2-2「ほ脱税額計算書」参照〔添付省略〕)。 (量刑の理由) 1 本件は、我が国最大規模の教育機関である学校法人の理事長であった被告人 が、自ら主導し同学校法人の全額出資により設立された会社を通じて同学校法人での各種業務を受注している関係業者等から、これらの取引で利益を得ていることへの謝礼等の趣旨で多額の現金を受け取っていたにもかかわらず、これを殊更に所得金額から除外して確定申告を行い、2年分の所得税を免れた、という期限内虚偽過少申告ほ脱の事案である。 ほ脱所得額は合計1億1820万円、ほ脱税額は合計5233万円余りに上り、少なくない。犯行態様を見ると、被告人は、受領した現金を自宅で保管するなどしたほか、妻にこれを所得金額から除外して確定申告を行うよう指示した上で税理士事務所への対応をさせている。単純ではあるが大胆な手口で、虚偽過少申告の意図は明白である。被告人は、平成27年にも税務調 したほか、妻にこれを所得金額から除外して確定申告を行うよう指示した上で税理士事務所への対応をさせている。単純ではあるが大胆な手口で、虚偽過少申告の意図は明白である。被告人は、平成27年にも税務調査で申告漏れを指摘されたことが あり、上記の謝礼等を所得として申告する必要性を十分認識していたのに、関係業者から謝礼等を受け取っていたことが表沙汰となるのを避けたいなどと考え、これを隠蔽するために本件に及んだものであって、納税額を抑えることを主たる目的とした訳ではないとしても、動機は身勝手で酌量すべき事情はない。上記のような立場にある被告人による本件犯行が、適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影 響も軽視できない。 2 他方、被告人が、事実を認めるとともに修正申告を行い、本税を納付していること、本件を契機に理事長を含む上記学校法人関連の役職を全て辞していること、被告人には前科がないことなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。 3 これらの事情を併せ考慮すると、主文のとおりの量刑が相当である。 (求刑懲役1年及び罰金1600万円) 令和4年3月29日東京地方裁判所刑事第8部 裁判長裁判官野原俊郎 裁判官鏡味薫 裁判官佐藤みなと
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