令和6(わ)1458 建造物侵入、器物損壊、強盗致傷、銃砲刀剣類所持等取締法違反、窃盗

裁判年月日・裁判所
令和7年6月26日 横浜地方裁判所
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判決文本文2,569 文字)

主文 被告人Aを懲役6年に、被告人Bを懲役8年に処する。 被告人らに対し、未決勾留日数中各190日を、それぞれその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1(令和6年9月24日及び同月27日付け起訴状記載の公訴事実)被告人両名は、金品を強奪しようと考え、C及び氏名不詳者らと共謀の上、令和6年9月3日午後6時36分頃、有限会社D取締役Eが看守する神奈川県鎌倉市ab丁目c番d号有限会社Dに、出入口自動ドアから侵入し、その頃、 同所において、同店店員F(当時41歳)に対し、その面前で、前記有限会社D所有の同店ショーケースを手に持っていたバールでたたき割る(損害見積額9万8890円)などして同人を脅迫し、もって他人の物を損壊するとともに、その反抗を抑圧して、前記E管理の腕時計2個(販売価格合計2万2000円)を強奪し、その際、前記Fが大声で叫んで助けを求めながら被告人Aを取り押 さえようとしたため、被告人Aが前記Fの頭部を左手等で押さえつけながら、その口を右手で塞ぐなどの暴行を加え、同人に治癒まで約2週間を要する見込みの口唇打撲傷、左上腕擦過傷等の傷害を負わせた。 第2(令和6年10月17日付け追起訴状記載の公訴事実)被告人Aは、業務その他正当な理由による場合でないのに、令和6年9月3 日午後6時36分頃、前記有限会社Dにおいて、刃体の長さ約18.5センチメートルの包丁1本を携帯した。 第3(令和6年12月16日付け追起訴状記載の公訴事実)被告人Bは、金品窃取の目的で、前記C、G及び氏名不詳者らと共謀の上、令和6年9月4日午後8時頃 .5センチメートルの包丁1本を携帯した。 第3(令和6年12月16日付け追起訴状記載の公訴事実)被告人Bは、金品窃取の目的で、前記C、G及び氏名不詳者らと共謀の上、令和6年9月4日午後8時頃から同月5日午前5時30分頃までの間に、一般 社団法人H代表理事Iが看守する神奈川県座間市ef丁目g番h号H倉庫内に、 北東側引き戸の施錠を工具を用いるなどして開錠して侵入し、その頃、同所において、同人管理の現金約30万円及びノートパソコン等6点(時価合計約26万0100円相当)を窃取した。 (量刑の理由) 1 量刑の中心となる強盗致傷等の事案は、匿名・流動型犯罪と呼ばれる組 織的な犯行であり、被告人両名が、SNS上で知り合った氏名不詳の指示役の指示に従って、報酬欲しさから実行役として犯行に及んだというものである。 被告人らは、バールや包丁等の犯行道具を用意し、運転手役を待機させた上で、質屋で一人で勤務していた被害者の面前において、バールでショーケースをたたき割り、腕時計2個を強奪した。犯行態様は、被害者に大きな恐怖を感じさ せて大量の金品を奪うことを想定した、計画的で危険なものである。被害者の傷害結果は軽視できず、被害者が感じた精神的苦痛も大きい。被告人両名ともそれぞれ事情があって本件犯行に関与したものであるが、自らの金銭的利益を優先して犯行を決意した意思決定は身勝手といわざるを得ない。 2 被告人Aは、指示役からあてがわれた役割とはいえ、犯行準備段階では 指示役の指示に従って複数店舗を訪れて凶器を買い集めるなど、積極的に犯行に関与した。被害者に取り押さえられそうになった際も強く抵抗し、ショーケースのガラスの破片のすぐ傍という危険な状況であるのに揉み合いを続けた。 被害者を意図的に傷つけようとしたものではないが 的に犯行に関与した。被害者に取り押さえられそうになった際も強く抵抗し、ショーケースのガラスの破片のすぐ傍という危険な状況であるのに揉み合いを続けた。 被害者を意図的に傷つけようとしたものではないが、悪質な暴行である。なお、弁護人は、ADHD等の特性が犯行を決意した過程に影響した可能性を指摘す るが、被告人Aは犯行当日も指示役の指示を受けながら着実に犯行準備を進めており、弁護人が主張するような事情は見出し難い。仮に被害店舗に侵入した場面で衝動性が表れたとしても、既に述べた犯情の悪さとの関係では、限定的に考慮できるにとどまる。 3 被告人Bは、被害店舗侵入後にちゅうちょすることなくバールでショー ケースをたたき割り、被害品の腕時計を持って逃走しており、強盗の完遂に不 可欠で重要な役割を果たした。犯行準備段階でも被告人Aと同行するなどしている点は軽視できない。 しかも、被告人Bは、知人から本件犯行に関与しないほうがいいと助言されるなどしたにもかかわらず、安易な考えから本件犯行に及んだばかりか、強盗致傷事件の翌日に、再び氏名不詳の指示役の指示に従って、窃盗等の犯行にも 及んだ。同犯行は、役割分担をした上での計画的な犯行であることは強盗致傷事件と同様であり、約56万円という被害も多額である。 4 以上によれば、被告人両名の刑事責任は、同種事案(共犯で行われた店舗狙いの強盗致傷罪を処断罪とし、これと同一又は同種の罪の件数が1件であり、量刑上考慮した前科がないもの)の中で、酌量減軽を相当とするような軽 い部類に属するものとはいえない。そして、被告人Bは、前記のとおり強盗致傷事件に加えて窃盗事件があること、一連の経緯には同人の規範意識の低さが如実に表れているといえること等からして、被告人Aよりも重い刑事責任を負うと はいえない。そして、被告人Bは、前記のとおり強盗致傷事件に加えて窃盗事件があること、一連の経緯には同人の規範意識の低さが如実に表れているといえること等からして、被告人Aよりも重い刑事責任を負うと考えられる。その上で、強盗致傷事件の被害者に被告人Aが30万円、被告人Bが12万円を弁償し、窃盗事件の被害者に被告人Bが19万円を弁償していること、被告人両名が公判で事実を認め、各被告人なりの反省と謝罪の言葉を述べていることなどの事情も考慮し、被告人Aに対しては懲役6年、被告人Bに対しては懲役8年の刑が相当と判断した。(求刑:被告人Aについて懲役9年、被告人Bについて懲役11年) 令和7年6月27日横浜地方裁判所第4刑事部 裁判長裁判官 寺澤真由美 裁判官 小泉健介 裁判官 山田洋子

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