平成8(ワ)225 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年5月20日 広島地方裁判所 呉支部
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判決文本文34,020 文字)

主文 1 被告は,原告に対し,1億951万9912円及びこれに対する平成8年11月14日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを16分し,その15を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,18億6453万5133円及びこれに対する平成8年11月14日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告と被告とが被告所有地(A干拓地。以下「本件干拓地」という。)への土砂の搬入に関する契約を締結したところ,被告の債務不履行によって土砂の搬入ができず,損害を被ったと主張する原告が,被告に対し,損害賠償請求(一部請求)をした事案である。 2 原告の主張(1) 原告は,組合員の取り扱う建設残土処理事業の共同受注などを目的とする協同組合であり,その組合員は,訴外株式会社廣村商店(以下「廣村商店」という。)外2社である。 (2) 本件契約の締結原告と被告は,平成4年12月25日,B町有地(A干拓地)土砂搬入契約(以下,「本件契約」という。)を締結したが,その概要は以下のとおりである。 ① 搬入土砂の限定ア自治体及びこれに準ずる機関の公共事業により生ずる土砂を搬入する。 イ搬入土砂の種類及び土質については,被告と自治体が「建設残土の受入に関する協定書」を締結した残土とする。 ウ搬入しようとする建設残土は,広島県公害防止条例施行規則に定める有害物質を含まないものとする。 エ搬入にあたっては計量証明書及びサンプルを添付する。 オ した残土とする。 ウ搬入しようとする建設残土は,広島県公害防止条例施行規則に定める有害物質を含まないものとする。 エ搬入にあたっては計量証明書及びサンプルを添付する。 オ原告は,B町公害対策審議会が答申した環境保全に関する協定書を遵守する。 カ搬入土砂のシルト分を15パーセント以下,含水量は積み出し時点において30パーセント以下のものとする。 ② 搬入期間平成4年度から平成10年度までとする。 ③ 陸揚施設ア陸揚施設の設置は被告が行い,その所有権・使用権は被告にあるものとする。 イ陸揚施設の整備費は6666万7000円であり,原告が負担する。 ④ 土地利用料原告は,土地利用料として,搬入土量1立方メートルにつき,100円を支払う。 ⑤ 保証金原告は,被告に対し,3333万3000円の保証金を支払う。 ⑥ 安全対策(9条)原告は,本件契約に基づく土砂搬入に伴う安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,被告の立会のもとに地元E区民に対して十分な説明を行い,被告に迷惑を及ぼさないものとする。 (3) 本件契約の履行① 保証金の支払原告は,被告に対し,平成4年12月15日ころ,陸揚施設整備費6666万7000円及び保証金3333万3000円の合計1億円を支払った。 ② 公共残土の準備等ア廣村商店は,平成元年ころより,被告から本件干拓地に搬入する公共残土を集めて欲しい旨の要請を受け,兵庫県土木事務所,兵庫県高砂市(以下「高砂市」という。),同県加古川市,同県姫路市の公共残土を高砂市C町の敷地内に保管した。また,廣村商店は,平成3年秋ころよりは川崎市の公共残土を,平成4年4月 兵庫県土木事務所,兵庫県高砂市(以下「高砂市」という。),同県加古川市,同県姫路市の公共残土を高砂市C町の敷地内に保管した。また,廣村商店は,平成3年秋ころよりは川崎市の公共残土を,平成4年4月ころよりは東京都の公共残土をそれぞれ本件干拓地に搬入する手配を完了した。 イ原告は,本件契約締結後,廣村商店の上記業務を引き継ぎ,各地方自治体と交渉を行ってきた。 ③ 搬入残土量の変更本件契約によれば,搬入土量は,原告,訴外大新土木株式会社(以下「大新土木」という。)及び訴外橋本汽船株式会社(以下「橋本汽船」という。)・訴外荒木海運有限会社(以下「荒木海運」という。)の共同体がそれぞれ350万立方メートルの3分の1ずつであったが,平成6年9月以降,大新土木が本件干拓地への残土搬入事業から撤退したため,同年末ころ,被告は,本件契約の一方当事者を原告と橋本汽船・荒木海運の共同体の2社とし,各社が350万立方メートルの2分の1ずつの土砂を搬入することで,原告と合意した。 ④ 地元説明会原告は,平成6年4月30日と同年5月1日の2日間にわたって,被告の開催した地元説明会において,工事施工方法についての説明を行い,また,平成7年2月16日,同月18日及び同月19日にも被告の開催する地元説明会において,搬入土砂の量,質及び海上運搬方法について説明を行った。 ⑤ 被告の二重契約原告は,再三,被告に対し,土砂の搬入が行えるよう要請してきたが,被告は原告に何ら誠意ある回答をなさないでいたところ,被告は,平成5年ころ,本件契約に反し,訴外中国電力株式会社(以下「中国電力」という。)との間で本件干拓地に中国電力の土砂を搬入する契約を締結した。すなわち,本件契約が本件干拓地全体を埋め立てる内容のものである以 ころ,本件契約に反し,訴外中国電力株式会社(以下「中国電力」という。)との間で本件干拓地に中国電力の土砂を搬入する契約を締結した。すなわち,本件契約が本件干拓地全体を埋め立てる内容のものである以上,本件干拓地の一部区域に第三者に対して土砂搬入を指定することは予定されておらず,それゆえ,被告と中国電力との間の土砂搬入契約は本件契約と相互に両立しない二重契約であるといわざるを得ない。 そして,原告が同意しないにもかかわらず,平成8年8月19日より,中国電力による土砂が搬入されたが,中国電力による土砂搬入は,本件干拓地内において,地盤改良をしなくともよい最も優良な区域になされた。 (4) 本件契約の被告の債務不履行に基づく解除① 被告の債務不履行ア被告は,本件契約に反し,原告の土砂搬入を許可しなかったため,公共残土の確保は不可能となった。すなわち,前記(3)②のとおり,廣村商店及び原告は,4年以上もの間,各地方自治体との間で交渉をしてきたのであるが,被告はこれを全て反故にしたため,信用を失っており,現在に至っては,公共残土の確保は不可能となったものであって,本件契約は被告の履行遅滞により履行不能となったものである。 イ被告は,平成5年,中国電力との間に本件契約に反する契約を締結し,平成8年8月19日には土砂搬入を許可し,中国電力の土砂は本件干拓地に搬入されたが,中国電力による土砂搬入により,残りの地域のみでは,本件契約の履行は不可能となった。すなわち,本件契約は,本件干拓地全体を埋め立てるものであり,原告は中国電力が埋め立てたような条件の有利な部分(埋立費用が余りかからない部分)があるからこそ本件契約を締結したのであるが,被告は,原告の履行の請求に耳も貸さず,中国電力に埋立をさせた結果,本件契約の一 中国電力が埋め立てたような条件の有利な部分(埋立費用が余りかからない部分)があるからこそ本件契約を締結したのであるが,被告は,原告の履行の請求に耳も貸さず,中国電力に埋立をさせた結果,本件契約の一部が履行不能となったにとどまらず,本件契約全部の履行不能をもたらしたものである。 ② よって,原告は,被告に対し,土砂の受入を催告するとともに,被告が土砂の受入をしない場合には本件契約を解除する旨,平成8年5月13日付け書面をもって意思表示をし,重ねて訴状をもって解除の意思表示をした。 (5) 原告の損害① 逸失利益 16億6250万円原告は,公共残土1立方メートルを処分するにつき,廣村商店より2400円を受け取る一方,運送費用等で合計1450円の費用を要するため,原告の公共残土1立方メートル当たりの純利益は950円となる。そして,原告の本件干拓地への搬入土量は175万立方メートルであるから,原告の逸失利益は16億6250万円となる。 ② 支払済み契約保証金等 1億951万9912円ア平成4年12月15日  1億円イ平成5年6月30日以降 663万6633円但し,訴外中野建設株式会社に対する支払分ウ平成7年11月28日  288万3279円但し,訴外基礎地盤コンサルタンツ株式会社に対する支払分③ 土砂移転費用 4545万1222円被告は,原告に対し,平成4年4月ころから公共残土の収集を依頼していたため,原告は廣村商店に対し,公共残土の収集を依頼し,廣村商店は兵庫県加古川土木事務所の発注により,公共残土を収集し,高砂市の所有するC町の仮置場を無償で借り受け,同仮置場に平成4年度は4万1400立方メートル,平成5年 対し,公共残土の収集を依頼し,廣村商店は兵庫県加古川土木事務所の発注により,公共残土を収集し,高砂市の所有するC町の仮置場を無償で借り受け,同仮置場に平成4年度は4万1400立方メートル,平成5年度は2万5890立方メートルの合計6万7290立方メートルの公共残土を保管していた。ところが,被告は原告が本件干拓地への土砂の搬入を認めなかったため,高砂市は,廣村商店に対し,同仮置場で保管していた土砂を移転し,同仮置場を明け渡すよう求めた。このため,廣村商店は上記土砂の移転費用及び整地費用などの費用として,4545万1222円を支出したが,この費用は原告が負担することになっているため,原告は同額の損失を被った。 ④ 搬入土砂整地費用 3億1270万8000円廣村商店は,原告から公共残土の収集を依頼されていたため,継続して廣村商店の残土保管場所に公共残土の搬入を行った。ところが,被告が原告との本件契約を履行しないため,本来であれば,残土保管場所に設置した産業廃棄物処理工場でふるい分けをして直ちに搬出されるはずの公共残土が全く搬出できず,堆積していった。このため,高砂市から整地等を行うよう法令に基づいた行政指導があり,廣村商店は,堆積する公共残土の整地等を余儀なくされ,その費用として3億1270万8000円を要したが,この費用も原告が負担することになっているため,原告は同額の損害を被った。 ⑤ 一部請求原告の損害は合計21億3017万9134円となるが,本訴においては,そのうち18億6453万5133円を請求する。 (6) 被告の主張に対する反論等① 被告の土砂受入義務について本件契約履行のためには,膨大な量(契約当初で約117万立方メートル,後には175万立方メートル)の公共残土の確 (6) 被告の主張に対する反論等① 被告の土砂受入義務について本件契約履行のためには,膨大な量(契約当初で約117万立方メートル,後には175万立方メートル)の公共残土の確保,その土質の適合性を確保するための中間処理事業の免許取得とリサイクル・プラントの設置,土質の適合性チェックのための視察の受入,被告からの要請による原告の設立,ポンツーン整備費及び保証金に合計1億円並びに追加工事費約952万円という多額の出費,ポンツーンの現実の設置,更には被告に対する土地利用料の支払約束といった準備が必要とされた。このように,本件契約履行のため,原告には,多くの費用,時間,手続を費やして準備することが求められ,被告もこれを承知していたし,また,被告は,原告が上記のような準備をいずれも誠実に行ってきたことを承知している。このような本件契約において,被告が本件干拓地への土砂の搬入を受け入れるのでなければ,原告に極めて過酷な負担を課すことになることは,被告ももとより承知していたものであるから,本件契約において,被告に土砂受入義務が課されていることは明らかである。 ② 土砂搬入開始時期について以下の点からして,搬入開始時期は原被告間で平成4年度と合意されていたものである。 ア本件契約にかかる契約書(甲第1号証。以下「本件契約書」という。)が作成されたのは,平成6年6月15日であるが,搬入開始時期については,平成4年11月には既に合意されていたのであって,本件契約書はポンツーンの所有権の帰属以外の合意事項を後日再確認したものに過ぎない。 イ被告は,公共機関による埋立事業の実情に鑑みれば,本件契約書に記載された搬入開始時期の記載は一応の目安に過ぎないと主張するが,前記①で既に述べたように,原告は,平成 したものに過ぎない。 イ被告は,公共機関による埋立事業の実情に鑑みれば,本件契約書に記載された搬入開始時期の記載は一応の目安に過ぎないと主張するが,前記①で既に述べたように,原告は,平成4年度の搬入開始のため,多大の労力・時間・資金を費やしてきており,平成5年6月にはポンツーンも完成し,いつでも土砂搬入が可能な準備が整えられていたものであって,平成4年度という搬入開始時期は一応の目安などであるはずがなく,搬入開始時期の条項は,一般の契約と同様,当事者を拘束する法的効力を有するものといわざるを得ない。 ウ被告は,原告が被告に支払った1億円について,土砂搬入条件に違反した場合の制裁金に充てるため契約保証金として預かったものであり,その支払に関して本件埋立事業の早期実現の可能性を示唆したような事情は一切ないと断言し,また支払当時は全額の返還が予定されていたなどと主張するが,この点については,被告の担当者であったD(以下「D」という。)は,当初からポンツーンの設置費用を含み,平成5年4月からの土砂搬入開始に間に合わせるために,早々に支払を求めたと証言している。 ③ 原告による被告の土砂受入義務の履行の猶予についてア被告は,訴外森ビル観光株式会社(以下「森ビル観光」という。)が撤退表明したことから,搬入開始時期も延期せざるを得なくなり,甲第3号証をもって延期要請を行ったところ,原告ら搬入業者はこれを異議なく承諾したと主張する。しかしながら,森ビル観光の正式撤退は平成5年9月17日であるところ,本件契約書が作成されたのは平成6年6月15日であり,また,甲第3号証は,原告に対して無期限の延期を要請したものではなく,搬入開始時期を平成5年12月とすることを新たに申し出たものであって,原告はこれを承諾しておらず,多少は 平成6年6月15日であり,また,甲第3号証は,原告に対して無期限の延期を要請したものではなく,搬入開始時期を平成5年12月とすることを新たに申し出たものであって,原告はこれを承諾しておらず,多少は開始が遅れても土砂搬入が実現するのであれば,被告に対して法的責任を問うまではないと考え,土砂の搬入を事実上差し控えることとしたに過ぎないものである。 イ被告は,平成6年3月26日に開催された土砂搬入会議において,搬入開始時期を地元住民の同意が得られるまで延期することを合意したと主張するが,そのような事実はない。 ウ以上のとおり,土砂搬入開始時期が延期されたことはなく,原告は,被告に対し,土砂受入義務の履行を猶予したことはない。 ④ 被告による土砂受入義務の履行遅滞についてア被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民の同意取付義務が原告に課されており,これが履行されない限り,本件干拓地への土砂搬入を受け入れることはできないから,被告は履行遅滞の責を負わないと主張する。 (ア)しかし,本件契約上,同意取付義務は,原告,被告のいずれにも課されていない。地元住民の同意が必要というのは,被告の行政責任上のものであって,それは契約外の事情に過ぎない。 (イ)仮に,本件契約上,地元住民の同意取付義務があるとするなら,それは事業主体である被告に課されていたものである。すなわち,本件干拓地の開発事業及び埋立事業の事業主体はいずれも被告であるから,地元住民の同意取付義務は,被告に課されるのが当然である。 (ウ)本件契約書9条は,原告が,土砂搬入業者として,搬入作業等の安全対策などを説明する旨規定しているものに過ぎず,原告に地元住民の同意取付義務を課したものではない。 イ被告は,事業に予想 (ウ)本件契約書9条は,原告が,土砂搬入業者として,搬入作業等の安全対策などを説明する旨規定しているものに過ぎず,原告に地元住民の同意取付義務を課したものではない。 イ被告は,事業に予想外の急変(森ビル観光の撤退)があったので,被告としてはできる限りの説明を尽くしたが,地元住民の同意を得られなかったのだから,被告に帰責性は認められないと主張する。 しかし,埋立事業に限ってみれば,予想外の急変はなかったものである上,地元住民の同意が得られなかった理由は,被告が,造成計画書の作成,地盤対策工事,沈下対策工事等に関し,地元住民等に対する説明を全く行わず,むしろ地元住民等の反感ないし不信感を買ってしまったからであり,被告に帰責性があることは明らかである。 ⑤ 公共残土確保が不可能であることについて被告は,4年以上もの間,各自治体との約束を反故にし,そのため現在に至っては,全国の自治体の中で公共残土の他府県への搬出を認めてくれる数少ない自治体である兵庫県各市,大阪府内の公共残土を管轄する関西環境開発株式会社,川崎市の信用を失い,原告の努力によっても,もはや官官の契約に基づく公共残土の確保は不可能となっている。 なお,本件契約当時,上記の各自治体では公共残土の引き取り手がなく,その処分に苦労していたため,処理費用の外,各自治体から廣村商店までの運搬に要する一切の費用を負担していたが,現在では,公共残土の引き取り手の需要が多く,そのため処理費用も減額され,処理のための運搬に関してもわずかに船賃程度しか各自治体が負担しない扱いとなり,その結果,公共残土の引き取りの単価が半分以下になっているため,採算の上からも公共残土の確保は不可能となっている。 ⑥ 中国電力の埋立に対する原告の同意の有無について 負担しない扱いとなり,その結果,公共残土の引き取りの単価が半分以下になっているため,採算の上からも公共残土の確保は不可能となっている。 ⑥ 中国電力の埋立に対する原告の同意の有無について被告は,中国電力の本件干拓地への土砂搬入について,原告もこれを同意していたと主張するが,原告は,そのような同意はしていないものである。 ⑦ 中国電力の埋立による本件契約の一部不能について被告は,本件契約が定める搬入土量「概ね350万立方メートル」は,原告ら搬入業者に依拠する総量としての概ねの数字であり,また,原告ら搬入業者に対し,本件契約に定める数量だけ確実に本件干拓地に搬入できることを保証したものでもないとして,本件契約は中国電力の埋立により一部不能となるものではないと主張する。 しかし,本件契約において,搬入土量は,本件干拓地全体の埋立に必要な土量を沈下分も見込んだ上で推算して表示したものであり,概ねの数字ではない。それゆえ,中国電力の本件干拓地への土砂搬入によって,本件契約は一部履行不能となっている。 ⑧ 埋立費用の増加により本件契約が全部不能となったことについて被告は,中国電力による埋立によっても,原告の埋立費用は増加せず,本件契約は全部履行不能とならないと主張する。 しかし,中国電力による埋立部分以外の本件干拓地については,地盤が不良で作業環境が危険であることから,特別の埋立費用が必要となるのであって,原告は,この費用負担を優良部分の埋立から生じる利益でカバーできるものであるからこそ,本件契約を締結したものである。 したがって,中国電力による埋立によって,本件契約は全部履行不能となったものである。 ⑨ 原告の搬入土量増加の合意の有無について被告は,大新 本件契約を締結したものである。 したがって,中国電力による埋立によって,本件契約は全部履行不能となったものである。 ⑨ 原告の搬入土量増加の合意の有無について被告は,大新土木は撤退意向を表明したのみで,契約関係から離脱していないから,原告の搬入土量にも変化がないと主張する。 しかし,大新土木は,平成6年9月ころから被告との打ち合わせの会議にも出席しなくなったばかりでなく,平成7年2月の地元住民に対する説明会にも参加していないのであり,大新土木が本件干拓地への残土搬入事業から撤退したことは明らかである。そして,原告と荒木海運とは,350万立方メートルの2分の1ずつの量を搬入することで合意したものであって,原告の搬入土量は175万立方メートルとなったものである。 ⑩ 原告の収集した公共残土が搬入可能なものであることについて被告は,廣村商店が同店の残土保管場所に収集した土砂が,被告と協定を締結した自治体から収集された公共残土であるか否か不明である,土質サンプル検査が行われていない,今治港へ搬入するための土砂が含まれていたり,他へ運び出された土砂が含まれているとして,本件干拓地に搬入可能なものであったか不明であると主張する。 ア原告の収集した土砂は,全て被告が土砂搬入協定書を締結した兵庫県で行われた公共工事から生じた公共残土であり,これまで,原被告間で原告の収集した土砂が公共残土でないと争われたことはなく,むしろ被告は公共残土であることを認めていたものであって,被告の主張は何ら根拠のないものである。 イ原告は,被告による土質の視察を何度も受け入れ,また,自主的にサンプル検査して,その結果に問題のないことを被告に報告したこともある。そして,本件訴訟に至るまで,被告から土質に問題 ある。 イ原告は,被告による土質の視察を何度も受け入れ,また,自主的にサンプル検査して,その結果に問題のないことを被告に報告したこともある。そして,本件訴訟に至るまで,被告から土質に問題がある旨指摘されたことは一度もない。そもそも,本件契約上,土質のサンプル検査は,積出港において,土砂搬入のため積み出す際と定められていたのであって,実際には,被告の債務不履行によって土砂の搬入がなされず,C港からの積出が現実化しなかったため,本件契約に基づく検査はこれまで行われたことがないというに過ぎない。すなわち,自らの債務不履行の結果,サンプル検査が行われなかったものであるのに,被告がこれを奇貨として上記のような主張をするのは信義則上許されないものである。 ウ原告は今治港への土砂搬入の話があっても,被告への土砂搬入を優先し,今治港への搬入のために土砂を収集したことはなく,また,原告が保管場所から収集した土砂を本件干拓地以外の他の場所へ運び出さざるを得なくなったのは,被告の債務不履行の結果,土砂の保管が現実的に不可能となったため,やむなく行ったものである。 ⑪ パワーショベル等の常用の点について被告は,保管場所の整地費用として,パワーショベルとブルドーザーを実績積算せず常用積算しているのは金額を増大させた過大請求であり,また,パワーショベルは整地に必要ないと主張する。 しかし,取扱数量を元にした実績積算と常用積算とでは,むしろ常用積算の方が安い。また,パワーショベルの使用は整地作業の効率をあげるために必要である。 ⑫ 公共残土処理費用と整地費用との関係について被告は,公共残土処理費用には整地費用も含まれるから,原告に整地費用に関する損害はないと主張する。 しかし,原告は本件干拓地に ⑫ 公共残土処理費用と整地費用との関係について被告は,公共残土処理費用には整地費用も含まれるから,原告に整地費用に関する損害はないと主張する。 しかし,原告は本件干拓地に搬入するために公共残土を収集していたのであり,本来であれば中間処理が終われば直ちに本件干拓地へ搬入する契約であったから,公共残土処理を引き受ける際には,これを保管するための整地費用など見込んでいなかったものであって,本件においては,公共残土処理費用の中に整地費用は含まれていないものである。 ⑬ 転圧費用について被告は,建物等を建築するのではなく,暫定的に残土を置いておくだけであるから転圧の必要はないと主張するが,土砂を高く積み上げると土砂崩れの可能性があるのであって,転圧は必要であったのである。 ⑭ ガードマンの使用について被告は,ガードマンを置く必要はなく,交通整理員で足りると主張するが,高砂市の仮置場から廣村商店の保管場所までの移動には一般道を通行するから,事故防止のためにはガードマンを置く必要があったものである。 ⑮ 原告の土砂移転費用の請求の相当性について被告は,原告の土砂移転費用の請求が過大請求であると主張するが,原告の請求は客観的な積算資料に照らしても合理的で,むしろ安めに積算されたものである。 ⑯ リサイクル材の使用について被告は,整地にリサイクル材を用いる必要はないと主張するが,真砂土を用いて整地すると非常に高価につき,一番安いリサイクル材を用いて,真砂土を用いる場合の半分から3分の1の費用で行ったものである。 ⑰ 植樹費用について被告は,植樹が50本程度しか行われていないと主張するが,現在,法面に植樹された木が50本程度しか見えないのは,土砂を搬 分から3分の1の費用で行ったものである。 ⑰ 植樹費用について被告は,植樹が50本程度しか行われていないと主張するが,現在,法面に植樹された木が50本程度しか見えないのは,土砂を搬入して新しい法面ができる際に,以前に植樹した木が埋まっているからであって,原告が実際に植樹した本数は少なくとも700本に及ぶものである。 ⑱ 保証金の追加交付の有無について被告は追加の支払を否認するが,被告は,原告ら搬入業者に対し,平成5年9月,追加工事費の支払を求め,原告は,これを支払ったものである。 ⑲ ポンツーン整備費の返還について被告は,委任契約に準じて,被告の手元に残る金額とポンツーンの所有権の各3分の1が返還されるのみであると主張する。 しかし,ポンツーンの設置・管理はその所有者である被告がなすべきものであるから,原告がこれを被告に委任するという関係にはない。原告は,ポンツーンの設置・管理が本件契約の履行に不可欠であるから,本件契約の一内容として被告に金銭的に協力する義務を負い,これを履行したものである。したがって,本件契約解除によって,原状回復のためポンツーン整備費の全額が返還されるべきである。 ⑳ 損益相殺の主張について被告は,原告が受入残土量120万4990.45立方メートルを処分すれば約24億7000万円もの利益を得ると主張する。 しかし,本件契約が被告によって誠実に履行されていたのであれば,原告は1立方メートルあたり950円の利益を見込めたものであるが,受け入れた公共残土を他で処分するとすれば,1立方メートルあたり2091円の損害を被ることになるのであって,被告の主張は誤りである。 3 被告の主張(1) 被告の責任について① 本件契約における 共残土を他で処分するとすれば,1立方メートルあたり2091円の損害を被ることになるのであって,被告の主張は誤りである。 3 被告の主張(1) 被告の責任について① 本件契約における被告の土砂受入義務についてア土砂搬入契約において,土砂搬入がどちらの契約当事者の権利であり,また義務であるのかは,当該契約がなされた際の当事者双方の事情を考慮しなければ決定できないというべきである。本件において,被告は,広島県の「瀬戸内中央Bマリンリゾート構想」に基づき森ビル観光が本件干拓地内に計画していた「Bマリンリゾート事業」のため,土砂を一定数量確保することが必要不可欠であったことから,原告を含む搬入業者との間で土砂搬入契約を締結したのであって,そのため,同契約における土地利用料は搬入土量1立方メートル当たり100円と極めて低額に設定されている。したがって,本件契約においては,被告が原告に土砂搬入を求める権利を有し,原告において土砂を搬入する債務を負担するものというべきである。 イこれに対し,原告は,原告が本件契約履行の準備のため,膨大な量の公共残土を確保したこと,中間処理施設を建設したこと,ポンツーン整備費及び保証金として1億円の出費をしたことなどを理由として,被告に土砂受入義務が課されていると主張するが,本件のような公共機関が関わる埋立は,その計画が持ち上がってから実現するまで紆余曲折をたどるのが通常であり,そのような埋立にかかわることの多い原告のような業者においてはかかる実状を十分承知し,また埋立の実現までには相当の時間や費用を要するものであることも十分認識した上,公共機関に対し営業をかけてくるものであるから,原告は,このようなリスクを承知の上,上記のような準備をしたものであって,これをもって被告に土砂受入義務 間や費用を要するものであることも十分認識した上,公共機関に対し営業をかけてくるものであるから,原告は,このようなリスクを承知の上,上記のような準備をしたものであって,これをもって被告に土砂受入義務を課する理由にはならないというべきである。 ウなお,原告は,被告から,平成4年12月8日,ポンツーン建設を急がねばならず,その設置・維持管理費が必要ということで急遽1億円の支払を求められた旨主張する。しかし,上記1億円は,当初その全額が万一搬入業者が土砂搬入条件に違反した場合の制裁金に充てるための契約保証金とされていたものであったところ,搬入業者間において陸揚施設の設置方法等についての意見がまとまらなかったこと等から,搬入業者側から被告の方で陸揚施設を設置してもらいたいとの要請があり,被告が陸揚施設を設置するということになれば,そのための予算を平成4年12月20日の定例町議会に諮る必要があったことから,被告が原告らに振り込みを求めたものであって,原告らの便宜を図った結果である。 エ以上のとおり,被告には土砂受入義務が認められないというべきである。 ② 搬入期間の定めについてア前記①で述べた公共機関における埋立の実状に鑑みると,本件契約に記載された搬入期間は,確定的なものではなく,一応の目安に過ぎないというべきである。現に,本件干拓地内のゴルフ場の開設が計画されていた区域への土砂搬入は,「環境アセスメント終了後,地元協議の上,実施する」ものとされており,原告を含む搬入業者は,本件干拓地への土砂搬入が環境アセスメント終了後,地元協議の上,その同意が得られて初めて実施できるものであることを承知していたのであるから,地元住民等の同意が得られないことによって搬入期間がずれ込むことは十分予測していたものである。 後,地元協議の上,その同意が得られて初めて実施できるものであることを承知していたのであるから,地元住民等の同意が得られないことによって搬入期間がずれ込むことは十分予測していたものである。 イ本件契約における土砂搬入にあたって地元住民等の同意を得ることは不可欠である。法律上,地元住民等の同意が不可欠でないとしても,公共機関が関与する事業については,地元住民等の同意を無視してこれを行わないであろうことは,本件以前の同様の事業の通例,常識であり,これは原告も十分承知していたものであって,その意味で,地元住民等の同意の取得は,土砂搬入開始の前提条件である。したがって,地元住民等の同意が得られるまでは,土砂の搬入開始時期は未到来というべきである。 ウ原告が本件契約解除の意思表示を行った当時,地元住民等の同意が得られていなかったことについては当事者間に争いがないから,土砂搬入開始時期は未だ到来しておらず,被告の債務不履行を理由とする上記解除には効力はないというべきであるエまた,原被告間で本件契約書の調印がされたのは平成6年6月15日になってからのことであり,仮に,本件契約の成立が概ねの合意が成立した平成4年12月25日であるとしても,地方自治体が一方当事者であって内容的にも町民全体の利益に関わる重要な契約にあたって,契約書への調印がなされていない状況下ではその履行行為としての土砂搬入ができないのは当然のことというべきであって,そのことは原被告の共通認識であったはずである。したがって,少なくとも,本件契約書への調印がなされた平成6年6月15日までは搬入開始時期は到来していなかったというべきである。 ③ 搬入開始時期延期の合意についてア搬入開始時期延期の経緯(ア)「瀬戸内中央Bマリンリゾート 平成6年6月15日までは搬入開始時期は到来していなかったというべきである。 ③ 搬入開始時期延期の合意についてア搬入開始時期延期の経緯(ア)「瀬戸内中央Bマリンリゾート構想」に基づく埋立工事に対し,地元漁協及び地元E区住民は,平成4年12月5日,産業廃棄物を入れない等の条件を付し,県道の付け替え部分に限って,本件干拓地への土砂搬入を同意した。本件干拓地のうち,ゴルフ場の開設が計画されていた区域への土砂搬入は,「環境アセスメント終了後,地元協議の上,実施する」ものとされていたことから,原告を含む搬入業者も,本件干拓地への土砂搬入が県道の付け替え部分を除き,環境アセスメント終了後,地元と協議の上,その同意が得られてはじめて実施できるものであることを承知していた。 (イ)平成4年12月25日,原告を除く搬入業者との間で,土砂搬入契約が締結されたが,原告との間で本件契約書に調印がなされたのは平成6年6月15日のことであった。 (ウ)森ビル観光が,平成5年4月ころ,ゴルフ場事業から撤退する旨の意向を表明したことから,「瀬戸内中央Bマリンリゾート構想」に基づく事業内容を変更するとともに,搬入開始時期も延期せざるを得なくなり,被告は,搬入業者に対し,平成5年9月28日付け書面をもって,事業内容の変更に伴う搬入開始時期の延期要請を行ったところ,搬入業者はこれを異議なく承諾した。 (エ)被告は,平成5年10月ころから,開発面積の縮小に伴う事業内容の変更を企画し,その実現に向けて広島県や国との間で協議及び調整を行い,同年12月ころからは,再三にわたり,搬入業者に協力して土砂搬入に関する地元住民等への説明会を開催した。 (オ)被告と搬入業者とは,平成6年3月26日開催された土砂搬入会議におい を行い,同年12月ころからは,再三にわたり,搬入業者に協力して土砂搬入に関する地元住民等への説明会を開催した。 (オ)被告と搬入業者とは,平成6年3月26日開催された土砂搬入会議において,「土砂搬入開始は,防塵対策等周辺の対策完了後とする」旨,地元住民等の同意が得られてから土砂搬入を開始することを確認した。 (カ)しかしながら,県外,特に川崎市の公共工事から発生する公共残土に重金属等の有害物質や産業廃棄物が含まれているのではないかとの搬入土砂の安全性に対する地元住民等の不安は強く,そのため,地元住民等の同意はなかなか得られなかった。 (キ)このような状況下で,大新土木及び橋本汽船・荒木海運の共同体が,平成6年8月1日,訴外財団法人川崎建設業協会との契約に基づき,本件干拓地のうちの県道の付け替え部分へ搬入しようとして一旦陸揚げされた川崎市の公共残土に,本件契約の残土受入基準に適合しないコンクリート塊等が含まれていたこと等から,地元E区住民は,同月19日,土砂搬入に反対する旨の決議を行った。 そこで,被告は,原告ら搬入業者と協議の上,地元住民等の同意を得るための説明会を重ねて開催することを申し合わせ,被告はこれに積極的に協力してきた。 (ク)平成8年3月26日,地元住民は,中国電力が本件干拓地へ土砂を搬入することを同意した。 (ケ)平成9年11月4日,地元住民は,搬入業者が本件干拓地へ土砂を搬入することを同意した。 イ搬入開始時期延期の合意について(ア)第1に,仮に,本件契約書に記載された搬入期間が確定的なものであったとしても,被告と原告ら搬入業者とは,少なくとも陸揚施設全体が完成した平成5年6月30日まで土砂の搬入開始時期を延期する旨合意したものである。 (イ)第 された搬入期間が確定的なものであったとしても,被告と原告ら搬入業者とは,少なくとも陸揚施設全体が完成した平成5年6月30日まで土砂の搬入開始時期を延期する旨合意したものである。 (イ)第2に,前記ア(ウ)のとおり,原告も被告からの延期要請を承諾したものであるが,仮に,原告の明示の承諾がなかったとしても,原告を含む搬入業者は,その後の土砂搬入会議等において,搬入開始時期の延期について何ら異議を述べていないし,また,被告に対し,期限内の履行を求める書面を送付する等の行為にも及んでいないのであるから,原告は,搬入開始時期の延期を黙示的に承諾したというべきである。 (ウ)第3に,前記ア(オ)の際,原告も,土砂の搬入開始時期を地元住民等の同意が得られるまで延期する旨合意したものである。 (エ)第4に,原告は,平成6年6月15日に本件契約書に調印したものであるところ,本件契約書9条は,その当時地元住民等の同意が得られていないことを前提として,地元E区住民の同意を得るための説明義務が原告にあることを明確にしたものであって,原告と被告は,本件契約書調印に際し,土砂の搬入開始時期を地元住民等の同意が得られるまで延期する旨合意したというべきである。 ウ平成9年11月4日,土砂搬入に対する地元住民等の同意が得られたことから,その後,被告は,原告に対し,本件干拓地へ土砂搬入が可能となった旨を伝えたが,原告は,本件干拓地へ土砂搬入を拒絶した。 ④ 被告の帰責事由についてア地元住民等の同意と説明義務の帰属(ア)本件干拓地へ土砂搬入にあたって地元住民等の同意を得ることは不可欠であり,その意味で,地元住民等の同意の取得は,土砂搬入開始の条件である。そこで,原告と被告は,本件契約書9条において,土砂搬入に関 )本件干拓地へ土砂搬入にあたって地元住民等の同意を得ることは不可欠であり,その意味で,地元住民等の同意の取得は,土砂搬入開始の条件である。そこで,原告と被告は,本件契約書9条において,土砂搬入に関わる全ての事項についての説明義務が原告にあることを明確にした。また,原告を含む搬入業者は,共同事業体協定書を締結の上,当該共同事業体において管理業者と管理業務に関する協定書を締結し,当該管理業者に本件契約に定められた地元住民等への説明等の業務を委託する予定であった。更に,原告ら搬入業者も,上記説明義務が自らの側にあることを前提に,土砂搬入会議において,地元住民等に対する説明会の実施や同意取付に向けた企業努力の必要性を認識していた。 (イ)平成4年12月25日当時,本件干拓地の開発は森ビル観光が事業主体となって行っており,地元住民等から事業内容に関する説明を求められた場合には森ビル観光が説明を行うべき立場にあり,被告に,本件契約上,事業内容の説明義務が課せられるという関係にはなかった。 これに対して,原告は,開発事業とは別に被告を事業主体とする埋立事業があることを前提に,その事業主体たる被告に地元住民等への説明義務がある旨主張するが,本件干拓地への土砂搬入はあくまでも搬入業者が営利目的で行う土砂の搬入を被告がその所有地に受け入れるというものであって,被告を主体とする公共事業としての埋立事業が存在する訳ではない。 (ウ)森ビル観光撤退後においても,原告ら搬入業者に土砂搬入に関わる全ての事項についての説明義務があることは何ら変わりはなく,一方,被告に説明義務が発生することもない。 (エ)仮に,森ビル観光撤退後,事業主体となることを表明した被告に,事業内容についての説明が発生するとしても,前記③アで述べたとおり わりはなく,一方,被告に説明義務が発生することもない。 (エ)仮に,森ビル観光撤退後,事業主体となることを表明した被告に,事業内容についての説明が発生するとしても,前記③アで述べたとおり,被告が説明義務を怠ったという事実はない。また,地元住民等への説明は,地元住民等の同意を得るために行われるものであるから,誰が,何についての説明を行うかは,地元住民等の関心や利害との兼ね合いによって決まるところ,地元住民等の関心や利害は千差万別であり,事業内容について地元住民等の納得が得られなければ土砂搬入に関する説明に入れないという関係にはないというべきである。現に,森ビル観光撤退後,繰り返し実施された地元説明会において議論や質疑の対象となった事項は,搬入土砂の安全性の問題,事業計画の内容の問題,風塵被害の問題,工事車両の騒音問題等様々であった。 イ地元住民等の同意の取付が難航した理由地元住民等の同意の取付が難航したのは,森ビル観光撤退後の事業内容について地元住民等の理解が得られなかったということではなく,主として原告ら搬入業者が搬入する土砂に重金属等の有害物質が含まれるのではないかという搬入土砂の安全性に対する不信が主要な要因であり,地元説明会において地元住民から出た質問や意見の多くも,県外の土砂に対する地元住民等の不信に基づくものであった。 ウ平成6年8月1日の土砂搬入について被告は,平成6年7月25日ころ,川崎市との間で協定書を締結し,これに基づいて同年8月1日の土砂搬入が実施されたが,このように,被告が,地元住民等の同意が完全には得られていない状況下で,川崎市から土砂の搬入を認めたのは,地元住民等の同意を得るためのテストケースとしてのものであった。この土砂搬入は結果的には地元の反発を招い 被告が,地元住民等の同意が完全には得られていない状況下で,川崎市から土砂の搬入を認めたのは,地元住民等の同意を得るためのテストケースとしてのものであった。この土砂搬入は結果的には地元の反発を招いたが,土砂の搬入開始が,議会や原告を含む搬入業者,川崎市等から強く求められていたその当時の状況下において,被告が地元住民等の同意を得るためのテストケースとして川崎市からの土砂搬入を認めたのはやむを得ない措置であり,被告には何らの過失はないというべきである。 エ以上のとおり,仮に,土砂の搬入開始時期を徒過していたとしても,被告には帰責事由はないものである。 ⑤ 原告の履行不能の主張についてア原告は,被告が中国電力に本件干拓地への土砂搬入を認めたことが債務不履行(一部履行不能)を構成すると主張する。 しかし,本件干拓地には,被告が別に実施する公共工事で発生する土砂や中国電力との契約による土砂が搬入されることも予想されていた。 したがって,本件契約に基づく原告の権利は,原告の主張するような「本件干拓地全体を埋め立てる」ことを内容とするものではなく,本件干拓地に「概ね350万立方メートルの3分の1」の土砂を搬入することを内容とするものであって,本件契約は被告と中国電力との契約と何ら矛盾するものではなく,本件契約の一部不能をもたらすものではない。 イ原告は,アの債務不履行の結果,コスト増を招来し,本件契約全部の履行不能をもたらした旨主張する。 しかし,原告の上記主張は,原告が埋立場所を任意に選択できることを前提とするものであるが,本件契約上,そのような選択権はないのであって,原告の上記主張は,原告の一方的な思惑に過ぎないというべきである。 ウ原告は,被告の履行遅滞によって公共残土の確保が不 を前提とするものであるが,本件契約上,そのような選択権はないのであって,原告の上記主張は,原告の一方的な思惑に過ぎないというべきである。 ウ原告は,被告の履行遅滞によって公共残土の確保が不可能となったとして,本件契約全部が履行不能となったと主張する。 しかしながら,被告に履行遅滞はなく,また仮に原告が主張するように川崎市等からの信用を失ったとしても,公共残土の処分を必要としている自治体等は川崎市等以外にも数多く存在するのであって,公共残土の確保が不可能となったとの原告の上記主張は理由がないというべきである。 (2) 原告の損害について① 原告の搬入土量等について原告は,逸失利益の算定にあたり,原告の搬入土量が固定的なものであることを前提に,大新土木が撤退したことにより,その搬入土量が350万立方メートルの3分の1から同2分の1に増加したと主張する。 しかし,本件契約書記載の搬入土量は概ねの数字であって確定した数字ではなく,また,被告は,原告に対し,上記記載の土量を確実に本件干拓地に搬入することを保証したものではないから,これらを前提とした逸失利益の請求には理由がないというべきである。また,大新土木が撤退するためには被告の承諾が必要となるが,被告はこれに応じておらず,未だ大新土木との間の土砂搬入契約は存続しているものであって,原告の上記主張は理由がないものである。 ② 逸失利益について原告は,16億6250万円の逸失利益を請求している。 アまず,前記①のとおり原告の搬入土量は固定的なものではないから,それを前提とした逸失利益の請求には理由がないというべきである。 イ次に,原告の請求は,廣村商店が収集したとされる土砂を本件干拓地に搬入し得ることが前提であり, は固定的なものではないから,それを前提とした逸失利益の請求には理由がないというべきである。 イ次に,原告の請求は,廣村商店が収集したとされる土砂を本件干拓地に搬入し得ることが前提であり,そのためには当該土砂が本件契約における残土受入基準に適合している必要があるところ,当該土砂についての成分検査は実施されておらず,これが上記基準に適合しているかどうかは全く不明であって,原告の請求は前提を欠き理由がないというべきである。 ウ更に,原告が主張する収入を裏付ける証拠は,廣村商店が作成した確認書(甲57)のみであるところ,廣村商店は原告の構成員であって,実質的には原告そのものであるから,その信憑性は極めて低いというべきである。 ③ 原告が収集していたと主張する公共残土について原告は,廣村商店が被告の要請に基づき公共残土を確保していたことを前提として,土砂移転費用,搬入土砂整地費用等を請求する。 アしかし,まず,被告が廣村商店に対してそのような要請をした事実はない。 イ次に,全ての公共残土(甲74,212)が本件干拓地用に集められたと主張する点については,計量証明書等が不要かあるいは搬入基準の異なる別の場所を埋め立てるために搬入・保管されていたものである可能性が高いというべきである。 これに対して,原告は,集めた土砂が搬入条件に適合するかどうかの成分検査は廣村商店の保管場所から搬出する際に行われることになっていた旨主張するが,本件干拓地に搬入される土砂の安全性を確保するためには,予め発生場所毎に計量検査を実施して,サンプルを採取することが不可欠であるというべきである。 ウ搬入条件について(ア)まず,原告は,廣村商店の保管場所に集められた土砂は,被告との間で協定書 毎に計量検査を実施して,サンプルを採取することが不可欠であるというべきである。 ウ搬入条件について(ア)まず,原告は,廣村商店の保管場所に集められた土砂は,被告との間で協定書が締結された公共残土であると主張するが,原告が収集したとされる土砂のうち天川水系天川河道掘削工事分以外については,その明細が明らかにされておらず,また,保管場所への土砂受入簿(甲220)の中にはおおよそ公共工事とは無縁の工事名,工事場所の記載があるのであって,廣村商店の保管場所に集められた土砂の全てが協定書の締結された公共残土であるとの原告の主張は疑わしいというべきである。 (イ)次に,前記イでも述べたように,廣村商店の保管場所に集められた土砂については,発生場所毎に計量検査等がなされていないのであって,これが本件契約における残土受入基準に適合していたとの保証はどこにもないというべきである。 ④ 整地費用について原告は,搬入した土砂を積み上げるためにパワーショベルが必要とした上で,パワーショベル2台とブルドーザー1台を常用することを前提として,整地費用を請求する。 アしかし,工事費用は,取扱数量等の実績に基づき積算をするのが合理的かつ原則であって,機械を常用することを前提とした積算は通常は行われておらず,また,原告が請求する整地費用は過大である。 イまた,仮に,整地の必要があったとしても,整地にはブルドーザーだけで足り,パワーショベルを使用する必要は全くないというべきである。 ⑤ 土砂移転費用についてア廣村商店では自社で土砂の保管場所を有していたのであるから,必ずしも高砂市の所有するC町の仮置場で土砂を保管する必要はなかったはずであり,たまたま仮置場に保管していた土砂を高砂市の求めに ア廣村商店では自社で土砂の保管場所を有していたのであるから,必ずしも高砂市の所有するC町の仮置場で土砂を保管する必要はなかったはずであり,たまたま仮置場に保管していた土砂を高砂市の求めにより自社の有する残土保管場所に移転せざるを得なくなったとしても,そのリスクは廣村商店において負担すべきものである。 イまた,暫定的に土砂を置いておくだけであるから,転圧の必要はない。 ウそして,仮置場から廣村商店の保管場所までの道路は一部区間を除いて一般車両はほとんど通行していないのであるから,ガードマンを置くまでの必要もない。 ⑥ リサイクル材の使用について原告は,整地のためにリサイクル材を使用することを前提に請求をしているが,その必要性はないというべきである。 ⑦ 植樹費用等について原告は植樹700本を行ったこと等を前提に請求をしているが,実際には50本程度の植樹しかなされていないのであって,原告の請求は過大である。 ⑧ 損益相殺ア証拠によれば,廣村商店(原告)は,公共残土の処理費用として,1トン当たり1500円(1立方メートル当たり2700円)を受け取っていることになるところ,原告が主張する公共残土受入数量は216万8982.82トン(120万4990.45立方メートル)であるから,これが正しいとすると,廣村商店(原告)は公共残土の処理費用として少なくとも総額約32億5300万円もの収入を得ていることになる。 イ原告が逸失利益の算定において主張する経費が1立方メートル当たり1450円であり,これにはC港からB町までの海運費用800円が加算されているから通常のケースでの処理経費はこれを控除した1立方メートル当たり650円程度となる。そうすると,原告が主張する残土 たり1450円であり,これにはC港からB町までの海運費用800円が加算されているから通常のケースでの処理経費はこれを控除した1立方メートル当たり650円程度となる。そうすると,原告が主張する残土受入数量全部を処理したとしても,これに要する経費は約7億8300万円ということなる。 ウそうすると,廣村商店(原告)は,一方で損害を受けたとしても,他方で約24億7000万円もの利益を受けているから,損益相殺により,原告が被告に請求できる損害はないことになる。 4 争点(1) 被告の責任の有無① 本件契約の成立時期② 本件契約における被告の義務③ 搬入開始時期遅延の有無(搬入開始時期延期についての合意の有無及びその合意の内容)④ 搬入開始時期遅延についての被告の帰責性の有無(2) 原告の損害の有無及びその金額第3 争点に対する判断 1 証拠(甲82,乙17,証人D,同F。以下,各項目ごとの証拠については,各項目ごとに示す。)によれば,以下の各事実が認められる。 (1) Bマリンリゾート構想① 平成元年6月23日,広島県の「瀬戸内中央Bマリンリゾート構想」(以下「Bマリンリゾート構想」という。)が国の承認を受けた。 ② 平成元年10月ころ,森ビル観光がBマリンリゾート構想に参加し,平成4年1月29日,新たにゴルフ場施設を構想に盛り込んだ変更申請が国から承認された。 (2) 被告と中国電力との間の契約書の締結(乙3)被告は,平成4年3月19日,中国電力との間で,中国電力のB発電所建設工事に伴う浚渫工事及びその他の工事残土について,要旨次の内容を契約を締結した。 ① 中国電力は,工事残土を本件干拓地に埋立処分することができる。 ② 中国電力は,被告が指定する場所 建設工事に伴う浚渫工事及びその他の工事残土について,要旨次の内容を契約を締結した。 ① 中国電力は,工事残土を本件干拓地に埋立処分することができる。 ② 中国電力は,被告が指定する場所に工事残土を搬入するものとし,当該工事残土の処理は被告がその責任において行う。 ③ 工事残土の量は,22万立方メートルとし,その埋立処分の期間は,平成7年7月から平成9年9月までとする。 ④ 中国電力は,捨土料として5億6000万円を平成4年3月23日に被告に支払う。 (3) 被告による説明会の開催(甲75),原告の設立(甲18)被告は,平成4年6月16日,廣村商店,大新土木及び橋本汽船に対し,マリンリゾート構想にかかる本件干拓地への土砂搬入事業参加のための説明会を開催し,その後,被告からの共同体による参加の要請を受けて,廣村商店らは,原告を設立した(設立登記は同年12月14日)。 (4) 建設残土搬入承諾書の差し入れ(甲15)被告は,平成4年11月,原告に対し,本件干拓地への建設残土の搬入を承諾する旨の書面を差し入れたが,右書面では,搬入期間として,「平成5年2月より平成8年3月」と記載されていた。 (5) G漁業協同組合からの同意書の提出(甲28,29)G漁業協同組合は,平成4年12月5日,被告に対し,本件干拓地への土砂の搬入にかかる陸揚施設の設置工事について,県道付け替え部分の盛土のためという条件等を付した上で,同意書を提出した。 (6) 被告からの振込依頼及び原告による1億円の振込(甲2)被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民等からの同意も得られるものと考えており,平成5年からこれを開始できるものと判断し,そのためには,陸揚施設についての発注を速やかにする必要性があった 被告は,本件干拓地への土砂搬入について,地元住民等からの同意も得られるものと考えており,平成5年からこれを開始できるものと判断し,そのためには,陸揚施設についての発注を速やかにする必要性があったことから,平成4年12月8日,原告,大新土木及び橋本汽船に対し,「土砂の搬入にかかる費用の振込みについて(お願い)」と題する書面をもって,同月15日までに各1億円を振り込むよう依頼し,原告は,被告に対し,同月15日ころ,上記1億円を振り込んだ。 (7) 本件契約の締結(甲1,95の1~5,202,乙4,5)被告は,平成4年12月25日,原告,大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体との間で,本件干拓地への土砂の搬入について,それぞれ要旨次の内容の本件契約を締結した(但し,原告との間の本件契約書の作成は,後記■のとおり,平成6年6月15日である。)。その際,原告に対して,前記(2)の中国電力との契約のことは全く知らされていなかった。 ① 搬入期間平成4年度から平成9年度まで② 搬入土量概ね400万立方メートルの3分の1③ 搬入条件ア搬入土砂の種類及び土質については,被告と自治体が「建設残土の受け入れに関する協定書」を締結した残土とする。 イ搬入しようとする建設残土は,広島県公害防止条例施行規則に定める有害物質を含まないものであり,また,搬入にあたっては計量証明書及びサンプルを添付するものとする。 ウ B町公害対策審議会が答申した環境保全に関する協定書を遵守するものとする。 エ本件干拓地は,完成後上物工事を実施するので,地盤支持力を保持する上において,搬入土砂のシルト(粘性土)分を15パーセント以下,含水量は積み出し時点において,30パーセント以下のものであるものとする。 は,完成後上物工事を実施するので,地盤支持力を保持する上において,搬入土砂のシルト(粘性土)分を15パーセント以下,含水量は積み出し時点において,30パーセント以下のものであるものとする。 ④ 土地利用料の納付原告は,土地利用料として搬入した土量1立方メートルにつき100円を毎月末に精算し,翌々月の10日までにその代金を現金により被告に納めるものとする。 ⑤ 契約保証金ア原告は,契約保証金として1億円を被告に納めるものとする。 イ被告は,原告が前記③にかかる違反をしたときは,被告が定めた金額を契約保証金より制裁金として徴収するものとする。 ウ被告は,本工事が完了した後,原告に違反が認められないときは,契約保証金を原告に返還するものとする。 エ契約保証金の金利は,被告に帰属するものとする。 ⑥ 施工管理原告の土砂の搬入に関する施工管理については,被告の委託した管理業者に依頼するものとする。 ⑦ 安全対策等(9条)原告は,この契約に基づく土砂の搬入に伴う安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,地元E区住民に対して十分な説明を行い,被告に迷惑を及ぼさないものとする。 (8) 陸揚施設の完成等(甲87,88,乙6~9)① 被告は,平成5年1月25日,陸揚施設のうちのポンツーン建造工事を発注したが,このころ,被告と大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体との間で,前記(7)⑤の契約保証金1億円について,うち6666万6000円あるいは6666万7000円を陸揚施設の設置及び維持管理費用とし,残り3333万4000円あるいは3333万3000円を契約保証金とする旨の契約の内容を変更する旨合意された。 ② 同年3月8日,ポンツーン建造工 000円を陸揚施設の設置及び維持管理費用とし,残り3333万4000円あるいは3333万3000円を契約保証金とする旨の契約の内容を変更する旨合意された。 ② 同年3月8日,ポンツーン建造工事は完成した。 ③ 同5年6月30日,陸揚施設のうちの橋台部及び渡橋工事が完成し,陸揚施設全体が完成し,本件干拓地への土砂の搬入が可能な状態となった。 (9) 追加工事費の支払等(甲198~201,205)① 原告は,平成5年6月30日ころ,陸揚施設の建設工事を行った訴外中野建設株式会社から追加工事代金として663万6633円の支払を請求され,同年10月19日,これを支払った。 ② 原告は,平成7年11月24日ころ,陸揚施設の設計等を行った訴外基礎地盤コンサルタンツ株式会社から288万3279円の支払を請求され,同月28日,これを支払った。 (10)森ビル観光のゴルフ場事業の断念等(甲3)森ビル観光は,平成5年9月17日,本件干拓地についてのゴルフ場事業を断念することを正式に表明し,これを受けて,被告は,同月28日,原告に対し,「B町地域活性化に係る土砂搬入事業の遅延について(お願い)」と題する書面をもって,土砂搬入の延期を要請するとともに,搬入開始を同年12月を目標に努力したい旨表明した。 (11)原告からの質問書の送付及びこれに対する被告の回答(甲22の1,2,23)① 原告は,平成5年10月,被告に対し,埋立の開発行為についての被告の方針及び予定並びに陸揚施設の所有権の帰属及び維持管理の点についての質問書を送付した。 ② 被告は,同年11月9日,原告に対し,次のとおり回答した。 ア広島県に対する承認申請等を平成6年3月ころに予定している。 イ陸揚施設については,被告の所有で を送付した。 ② 被告は,同年11月9日,原告に対し,次のとおり回答した。 ア広島県に対する承認申請等を平成6年3月ころに予定している。 イ陸揚施設については,被告の所有であると認識している。 (12)土砂搬入会議(平成5年12月10日。甲54,79)被告は,森ビル観光の撤退に基づく事業縮小に伴い,平成5年12月6日,中国四国農政局と協議した結果,本件干拓地の造成についての承諾を得,同月10日の土砂搬入会議において,原告らに対し,開発面積を当初予定の70ヘクタールから環境アセスメント調査を必要としない50ヘクタール未満に縮小すること,地元住民等に対する説明を行い,土砂搬入開始を平成6年2月を目標に努力したい旨表明した。 (13)川崎市等に対する本件干拓地への公共残土の搬入要請(甲4~6)被告は,平成6年2月ころ,本件干拓地への土砂搬入の開始時期を同年4月1日からと予定し,同年2月16日付け書面をもって,川崎市及び社団法人川崎建設業協会に対し,同年4月から本件干拓地へ公共残土が搬入できるよう便宜を図ってもらえるよう依頼した。 (14)地元住民に対する説明会の実施等(甲30,31の1~3,乙51,53,54)その後,被告は,地元住民に対し,被告の「健康と福祉とゆとりのジョイフルアイランド構想」についての説明会を実施し,原告らもこれに同席したが,平成6年5月ころになっても,地元住民からは,被告の上記構想に基づく施設整備の内容が明らかでないなどとして,事業計画ができるまでの間の工事の中止を求められるといった状況もあり,また,県外からの土砂搬入についての不信感も強く,原告ら土砂搬入業者が地元住民に対して搬入土砂の安全性や搬入作業の手順等についての説明をするということが未だできないような られるといった状況もあり,また,県外からの土砂搬入についての不信感も強く,原告ら土砂搬入業者が地元住民に対して搬入土砂の安全性や搬入作業の手順等についての説明をするということが未だできないような状態であった。 (15)本件契約書の作成等(甲1,95の1~5,203,204)原告と被告との間の本件契約については,両者の間で陸揚施設の帰属等をめぐって見解の相違があったために,契約書の作成にまで至っていなかったところ,平成6年6月15日,本件契約書が作成されるに至ったが,平成4年12月25日の本件契約以降の事情の変更を受けて,概ね次の点が改められただけであったため,本件契約書の日付については双方合意の上で「平成4年12月25日」とされた。 ① 搬入期間については,従前は,平成9年度までとされていたものが,平成10年度までとされた。 ② 搬入土量については,従前は,概ね400万立方メートルとされていたものが,概ね350万立方メートルとされた。 ③ 従前は,契約保証金1億円とされていたものが,契約保証金3333万3000円,施設整備費6666万7000円とされた。 (16)被告による土砂搬入の受入決定等(甲7,24,25,85,86,97,98,103,206~211,乙14)被告は,前記(13)のとおり,川崎市等に対する依頼をしていたものの,それ以降,地元対策等の未解決の部分があったため,公共残土の受入についての明確な連絡ができずにいたところ,川崎市等も公共残土の処置について困惑し,原告を通じて,被告に対して,善処を求めるような事態に至った。これを受けた被告は,平成6年7月27日,原告らに対し,本件干拓地への土砂搬入を受け入れる旨通知したが,この時点においては,地元住民の同意は完全には得られていなかった 善処を求めるような事態に至った。これを受けた被告は,平成6年7月27日,原告らに対し,本件干拓地への土砂搬入を受け入れる旨通知したが,この時点においては,地元住民の同意は完全には得られていなかった。また,その前日に開催されたE区における説明会において,被告代表者である町長はE区住民の同意は必要ない旨の発言を行っていた。 (17)大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体による土砂搬入等(甲27,乙15,18の1~17)前記(16)のような状況の下で,平成6年8月1日,大新土木,橋本汽船らにより,川崎市からの公共残土の陸揚作業が行われたが,その中に,コンクリート片等が混入していたことから,地元住民等から抗議の声が上がり,本件干拓地への土砂搬入について,これに反対するという状況となった。 (18)地元住民に対する説明会の実施等(甲8,35,85,86,104)前記(17)のような事態を受け,被告は,地元住民に対する説明会を実施し,地元住民の理解を得ようとしたが,平成7年2月ころに至っても,打開の糸口すら見いだせないような状況であった。 また,同年8月1日には,広島県から被告に対し,漁協の同意が得られない場合には,陸揚施設を撤去するようにという旨の通知がなされるような事態ともなった。 (19)中国電力の建設残土の搬入及び本訴に至る経緯(甲9の1,2,10,11の1,2,12,乙16,17,34)① 被告は,前記(18)のような事態を打開するため,陸揚施設を本件干拓地への残土の搬入を希望していた中国電力に買い取ってもらうことを考え,中国電力に打診したが,中国電力は,陸揚施設の買取ではなく,その使用を希望した。 ② これを受けて,被告は,本件干拓地への中国電力から残土搬入を受け入れることにし,地元住民も, らうことを考え,中国電力に打診したが,中国電力は,陸揚施設の買取ではなく,その使用を希望した。 ② これを受けて,被告は,本件干拓地への中国電力から残土搬入を受け入れることにし,地元住民も,平成8年3月26日,これに同意した。 ③ これに対し,原告は,平成8年4月24日,被告に対し,中国電力からの残土搬入を許可することは本件契約に違反するなどとして,原告からの土砂搬入を認めるとともに中国電力からの残土搬入を許可しないよう要求する旨通知した。 ④ ③の通知を受けて,原告と被告との間で書面のやりとりが行われ,平成8年6月7日,原被告間で協議が行われたが,その際,原告は,被告に対し,次の条件を提示し,これが受け入れられない場合には,訴訟を提起する旨主張した。 ア中国電力が発注する土砂搬入事業について訴外有限会社上島開発興産が携われるよう,被告代表者は中国電力と交渉し,実現させること。 イ中国電力が残土搬入を行うについては,被告代表者は,原告の利益損失分として2億7000万円を中国電力に補償させるよう交渉し,実現させること。 ⑤ 中国電力は,平成8年8月19日,本件干拓地への土砂の搬入を開始した。 ⑥ 原告は,平成8年9月19日,広島地方裁判所に対し,本件訴訟を提起して,その中で,被告に対し,被告に債務不履行があったとして,本件契約を解除する旨の意思表示をなし,当庁に回付された後である同年11月13日,本件訴状は被告に送達された。 (20)E区住民の同意(甲83)被告は,平成9年11月4日,E区住民との間で,本件干拓地への土砂搬入についての協定書を締結した。 (21)土砂搬入許可(甲89)被告は,平成10年7月22日,大新土木に対し,本件干拓地への土砂搬入を許可した。 ( 民との間で,本件干拓地への土砂搬入についての協定書を締結した。 (21)土砂搬入許可(甲89)被告は,平成10年7月22日,大新土木に対し,本件干拓地への土砂搬入を許可した。 (22)E区長から被告に対する申入れ(甲236,237)E区長は,平成11年5月7日,被告に対し,以下の内容の申入れを行い,被告はこれに対する回答を行った。 ① 施行計画書を提示② 清水建設からボーリングの説明③ 搬入業者との契約書(土量,高さ等)の内容の提示④ 排水計画の全体像の提示⑤ 地元のチャック体制が完備するまでの搬入延期 2 争点(1)(被告の責任の有無)について(1) ■(本件契約の成立時期)について① 本件契約の成立時期については,前記1で認定したとおり,被告と大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体との間の土砂搬入契約と同じく,平成4年12月25日と認めるのが相当である。 ② これに対して,被告は,本件契約の成立時期について,実際に本件契約書への調印がなされた平成6年6月15日であると主張するが,被告においても原告以外の搬入業者である大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体との間の土砂搬入契約は平成4年12月25日に締結されたとしているところ,前記1で認定したとおり,大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体と同じく,陸揚施設の設置及び維持管理費用並びに追加工事費用を被告の求めに応じて負担しており,被告も原告と大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体と異なった対応をしていないこと,本件契約書への調印が平成6年6月15日まで遅れたのは,陸揚施設の帰属についての見解の相違(甲第203号証によれば,被告は被告の所有とすることに難色を示してものであった。)があったためであり,大新土木,橋本汽船・荒 印が平成6年6月15日まで遅れたのは,陸揚施設の帰属についての見解の相違(甲第203号証によれば,被告は被告の所有とすることに難色を示してものであった。)があったためであり,大新土木,橋本汽船・荒木海運の共同体との契約内容も変更されたこと,本件契約書の作成日付は原告被告が協議の上,平成4年12月25日とされたことが認められるのであって,これらの各事実に照らすと,本件においては,前記①のとおり認定するのが相当であって,これと見解を異にする被告の主張は採用できない。 (2) ②(本件契約における被告の義務)について① まず,原告は,被告が中国電力との間で土砂搬入契約を締結し,実際に本件干拓地へ土砂を搬入させた行為が本件契約に違反するものである旨主張するので,この点について検討するに,前記1で認定した各事実によれば,被告と中国電力との間の契約は本件契約以前に締結されていたものであったこと,本件契約においては,原告が本件干拓地へ搬入できる土量は,概ね350万立方メートルの3分の1であって,その数量は確定的なものではない(甲第19号証60頁によれば,搬入土量は約340万立方メートルと計算されている。)上,原告の土砂搬入に関する施工管理権は被告にあることが認められるのであって,これらに照らすと,被告が中国電力に本件干拓地への土砂搬入をさせた行為等が本件契約に違反するものであるとはいえず,原告のこの点についての主張は採用できない。なお,前記1で認定したとおり,被告が中国電力との契約について,本件契約締結時に原告に伝えておらず,この点が,原告が上記のような思いをもった原因の一つとも考えられるが,この点が上記認定を左右するものではない。 したがって,原告のこの点についての主張を前提とする各主張については,その余の点について判断するま のような思いをもった原因の一つとも考えられるが,この点が上記認定を左右するものではない。 したがって,原告のこの点についての主張を前提とする各主張については,その余の点について判断するまでもなく,理由がないといわざるを得ない。 ② 次に,本件契約において,被告に土砂受入義務があるかどうかについて検討する。 ア前記1で認定したとおり,本件干拓地への土砂搬入は,Bマリンリゾート構想に不可欠なものであるが,被告が山土等を買って本件干拓地の埋立を行おうとすれば,莫大な費用がかかることから,当初から公共残土で埋め立てる計画であったものであり(証人D第2回),本件契約において,被告は大きな利益を受ける立場にあった。 イ一方,原告ら搬入業者も,原告の主張のとおり,本件干拓地へ公共残土を搬入して処分することができれば,これによって大きな利益を得られる立場にあった。 ウ上記のような原告,被告の利害状況,前記1で認定した本件契約の内容(原告から被告に対する土地利用料の納付,契約保証金等としての多額の負担)からすれば,本件契約においては,被告は,基準に適合する土砂について,原告からこれを受け入れるべき義務を負うものというべきである。 これに対し,被告は,本件契約における土地利用料が搬入土量1立方メートル当たり100円と極めて低額に設定されているなどとして,本件契約においては,被告が原告に対し土砂搬入を求める権利を有し,原告において土砂を搬入する債務を負担するものというべきであると主張する。確かに,原告が実際に本件干拓地への土砂搬入ができれば大きな利益は得られるとはいうものの,被告の主張するように解すると,本件契約上,原告は数多くのしかも多額に及ぶ義務を一方的に負うことになるが,他方,被告は原告に対する権 干拓地への土砂搬入ができれば大きな利益は得られるとはいうものの,被告の主張するように解すると,本件契約上,原告は数多くのしかも多額に及ぶ義務を一方的に負うことになるが,他方,被告は原告に対する権利を有するのみで,原告に対する関係では法的には何らの義務を負わないことになり,これでは余りにも被告に一方的に有利な契約となってしまうのであって,被告の上記主張については,当裁判所としては,これを採用しない。 ③ そこで,更に,被告の土砂搬入義務の内容について検討する。 ア搬入土量について原告は,175万立方メートルの土砂を搬入する権利を有し,被告はこれを受け入れるべき義務を負うと主張する。 しかしながら,前記1で認定した各事実によれば,本件契約の土砂の搬入は本件干拓地の埋立を目的とするものであって,一応の搬入土量は計算上算出できるものの,それは確定的なものではなかったこと,そのため当初は概ね400万立方メートルの3分の1とされていたものが,その後事業内容の変更もあって,概ね350万立方メートルの3分の1と変更されていること,上記のいずれの場合も「概ね」という表現が使われているとともに,搬入できる土砂についても厳しい基準が定められていたこと,その後において原告の搬入土量を350万立方メートルの2分の1とする旨の原被告間の合意書等は作成されていないことが認められるのであって,これらの点に照らすと,本件契約の性格上,被告が原告より搬入を受け入れるべき土量には不確定な要素があり,結局「概ね350万立方メートルの3分の1」に止まるものであって,原告が主張するような175万立方メートルという確定的なものではなかったというべきである。 イ搬入開始時期について前記1で認定したとおり,本件契約上,搬入 に止まるものであって,原告が主張するような175万立方メートルという確定的なものではなかったというべきである。 イ搬入開始時期について前記1で認定したとおり,本件契約上,搬入時期については当初「平成4年度から平成9年度まで」とされ,その後「平成4年度から平成10年度まで」とされた。 これについて,被告は,紆余曲折をたどるのが通常である公共機関における埋立の実状に鑑みると,これは確定的なものではなく,一応の目安に過ぎないというべきであると主張する。 しかしながら,前記1で認定した各事実によれば,平成4年12月5日には,県道付け替え部分の限定付きながら,地元住民等からの同意は得られており,被告の担当者も本件干拓地への土砂搬入についての地元住民等からの同意も得られるものと考え,平成5年から土砂搬入を開始する予定で,陸揚施設発注のための準備をしたこと,その後に本件契約が締結されたこと,陸揚施設は平成5年6月30日に完成したこと,平成6年6月15日に作成された本件契約書においても,搬入期間については「平成4年度から平成10年度まで」とされたことが認められるのであって,これらの各事実を総合すると,当初,原告と被告は,平成5年3月までに搬入を開始する予定で本件契約を締結したが,陸揚施設の完成が遅れたため,陸揚施設の完成を待って搬入を開始することに合意した,すなわち,平成5年6月30日ころから搬入を開始することで合意していたと解するのが相当であり,この合意は法的な効力を持つものというべきである。 (3) ③(搬入開始時期遅延の有無)について① まず,被告は,平成5年9月28日付け書面をもって,搬入開始時期の延期要請を行い,原告も明示的ないし黙示的にこれを承諾した旨主張する。 これに対して 入開始時期遅延の有無)について① まず,被告は,平成5年9月28日付け書面をもって,搬入開始時期の延期要請を行い,原告も明示的ないし黙示的にこれを承諾した旨主張する。 これに対して,原告は,承諾しているものではない旨主張するが,前記1で認定した各事実によれば,森ビル観光のゴルフ場事業の断念を受けて,被告は本件干拓地の埋立後の開発事業についての再検討を迫られたこと,このため,被告は,原告ら搬入業者に対し,同年12月までの土砂搬入延期を求めたこと,これに対して,原告は,同年10月,被告に対し,今後の方針を明らかにするよう求めたこと,これに対して,被告は,目途として,平成6年3月ころという旨の回答をしたこと,平成6年6月15日作成された本件契約書においては,搬入期間が「平成9年度まで」となっていたものを「平成10年度まで」と遅らせたことが認められるのであって,これらの各事実を総合すれば,原告も被告からの延期要請について約1年程度すなわち平成6年3月ころまで延期することについては,これを承諾したものと認めるのが相当である。 ② 次に,被告は,平成6年3月26日開催された土砂搬入会議において,「土砂搬入開始は,防塵対策等周辺の対策完了後とする」旨確認されたとして,搬入開始を地元住民等の同意が得られるまで延期する旨の合意がなされた,また,本件契約書9条によって,同様の合意をした旨主張する。 この点について,D証人は,被告の主張に沿う証言をするが,前記1で認定したように,本件契約書9条は「原告は,この契約に基づく土砂の搬入に伴う安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,地元E区住民に対して十分な説明を行い,被告に迷惑を及ぼさないものとする。」と規定されており,原告に地元住民等の同意を取り付けなければならないとは 安全対策等については,適切な措置を講ずるとともに,地元E区住民に対して十分な説明を行い,被告に迷惑を及ぼさないものとする。」と規定されており,原告に地元住民等の同意を取り付けなければならないとは規定していないこと,前述したように,本件契約締結の時点では,原告も被告も本件干拓地への土砂搬入についての地元住民等の同意は得られると考えていたこと,前記1で認定したように,被告は,平成6年2月ころ,川崎市等に同年4月から本件干拓地へ公共残土が搬入できるよう依頼したことからすると,被告が主張するような確定的な期限のないような合意を原告がしたとまでは認められないというべきである。 ③ したがって,原告との関係において,被告において,遅くとも平成6年4月1日以降は搬入開始の遅延があったいうべきである。 (4) ④(搬入開始時期遅延についての被告の帰責性の有無)について被告は,本件契約上,原告に土砂搬入に関わる全ての事項についての地元住民等に対する説明義務があり,被告にはそのような義務はなく,また,事業内容についての説明義務はないし,仮にそのような説明義務があったとしても,説明義務を怠ったということはないから帰責性はないと主張する。 しかしながら,前記1で認定した各事実及び証拠によれば,森ビル観光撤退後における被告の「健康と福祉とゆとりのジョイフルアイランド構想」については,地元住民からは事業内容が明確でないなどといった状況もあり,また,地元住民等には,県外からの公共残土の搬入に対する不信感が強くあったところ(D証人第2回),被告代表者である町長がE区における説明会において,地元の同意は不要である旨の発言をしたこともあって,結局,原告ら搬入業者が土砂の安全性等についての説明を行っても,地元住民等は被告に対する不信感等もあって,こ である町長がE区における説明会において,地元の同意は不要である旨の発言をしたこともあって,結局,原告ら搬入業者が土砂の安全性等についての説明を行っても,地元住民等は被告に対する不信感等もあって,これを聞いてもくれないといった状態になっていたことが認められるのであって,このような状況に至った原因は,被告の見通しの甘さ及び地元住民らに対する対応の杜撰さがあったといわざるを得ないのであって,地元住民等の同意が得られず,土砂搬入開始が遅延したことについて,被告には帰責性があるというべきである。 (5) したがって,被告には,本件契約上,土砂搬入を受け入れるべき債務があったのにこれを怠った上,原告の再三にわたる催告にもかかわらず,被告は上記債務の履行をしなかったというべきであるから,原告の本件訴状に基づく本件契約解除の意思表示は,要件を満たすものであって,その効力を有するものというべきである。 3 争点(2)(原告の損害の有無及びその金額)について(1) 前記1で認定したとおり,原告は,本件契約についての保証金等として合計1億951万9912円を支出したことが認められ,これについては,本件契約解除に基づく原状回復としてその損害賠償を認めることができる。 (2) これに対して,原告の主張する逸失利益,土砂移転費用,搬入土砂整地費用については,いずれも原告が確定的な土砂を搬入することができることを前提とするものというべきところ,前記(2)③アで認定したとおり,本件契約においては,これは未だ確定的となっていなかったものであるといわざるを得ないから,当裁判所としては,これらについての損害の算定を行うことができないのであって,結局これらについての損害を認めることはできないといわざるを得ない。 (3) 一方,被告は,損益相殺の主張をするが,原 当裁判所としては,これらについての損害の算定を行うことができないのであって,結局これらについての損害を認めることはできないといわざるを得ない。 (3) 一方,被告は,損益相殺の主張をするが,原告が主張する逸失利益は原告が原告主張の数量の土砂を本件干拓地へ搬入することができたという前提でのものであって,その前提が成立しない本件においては,被告の損益相殺の主張についても成り立たないものであって,当裁判所としては,これも採用することができない。 第4 結論以上によれば,原告の本件請求は,被告の債務不履行に基づく損害賠償金として1億951万9912円を請求する限度においてその理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所呉支部裁判官横溝邦彦

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