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昭和39(ネ)1004 建物収去土地明渡請求控訴事件

裁判所

昭和44年5月30日 東京高等裁判所

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6,779 文字

主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し原判決別紙第二物件目録記載の建物部分を収去して同上第一物件目録記載の宅地二五坪二合を明渡せ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の主張並びに証拠の関係は、被控訴代理人において乙第五号証、同第六ないし第一二号証の各一、二を提出し、当審における被控訴会社代表者A本人尋問の結果を援用し、控訴代理人において、「乙第五号証の成立は認める。同第六ないし第一二号証の各一、二の成立はいずれも不知。」と述べ、当審証人B、同C、同Dの各証言と当審における控訴人本人尋問の結果を援用したほかは、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。但し原判決事実摘示のうち別紙被告の抗弁に対する原告の答弁三の(一)中に、「被告会社の設立後のものであり」とある(原判決一二枚目裏二行目)のを「被告会社の設立前のものであり」と訂正する。理由 一被控訴会社が原判決別紙第二物件目録記載の建物を所有していることは当事者間に争いがなく、そのうち同目録記載の建物部分が同上第一物件目録記載の宅地(以下本件土地という。)上に存することにより被控訴会社が本件土地を占有していることは被控訴会社の明らかに争わないところであるからこれを自白したものとみなす。二成立に争いのない甲第一号証、同第一一号証、原審並びに当審証人Dの証言、原審並びに当審における控訴人本人尋問の結果を総合すれば、「控訴人は昭和二一年春東京工業学校を卒業後、直ちに実父Dの主宰する品川軽車運送有限会社で運転手として働きDの事 原審並びに当審証人Dの証言、原審並びに当審における控訴人本人尋問の結果を総合すれば、「控訴人は昭和二一年春東京工業学校を卒業後、直ちに実父Dの主宰する品川軽車運送有限会社で運転手として働きDの事業の手助けをしていたがゆくゆくはDの跡をついで運送業を経営する意図を有しており、かつDのすすめもあつたところから、Dの友人Eが出物として進言した本件土地を将来に備えて買取ることとし、昭和二三年一二月二一日Dを代理人として当時疎開跡の空地てあつた本件土地を代金約三万五、〇〇〇円でその所有者から買受け、かねて旧円封鎖の際にDから贈与を受けていた金員に、自から貯えた資金を加えて右代金の支払を了し、同日東京法務局品川出張所受付第一〇、八五五号をもつて自己名義に売買を原因とする所有権取得登記を経由しじ後Dにその管理一切をまかせた。 出物として進言した本件土地を将来に備えて買取ることとし、昭和二三年一二月二一日Dを代理人として当時疎開跡の空地てあつた本件土地を代金約三万五、〇〇〇円でその所有者から買受け、かねて旧円封鎖の際にDから贈与を受けていた金員に、自から貯えた資金を加えて右代金の支払を了し、同日東京法務局品川出張所受付第一〇、八五五号をもつて自己名義に売買を原因とする所有権取得登記を経由しじ後Dにその管理一切をまかせた。」ことが認められ、この認定に反する原審証人F、同Aの各証言並びに当審における被控訴会社代表者A本人の供述はいずれも採用し難く、他に右認定を左右するに足る資料はない。三そこで進んで本件土地についてはたして被控訴会社にその主張のような賃借権があるか否かについて判断する。各成立に争いのない甲第二号証、同第四ないし第六号証、同第一〇号証、乙第五号証、原審証人Dの証言によつて成立の真正を認め得る甲第七号証、当審における被控訴会社代表者A本人尋問の結果によつて各成立の真正を認め得る乙第六ないし第一二号証の各一、二、原審証人D、同A、同G、同F、当審証人Cの各証言、当審における被控訴会社代表者A本人尋問の結果を総合し、これに本件口頭弁論の全趣旨を参酌すれば、「控訴人の実父Dは、昭和一七年八月七日安全自動車株式会社から東京都品川区ab丁目c番地にある木造トタン葺二階建建物の一階店舗部分を賃借し、該店舗において会社組織により運送業並 趣旨を参酌すれば、「控訴人の実父Dは、昭和一七年八月七日安全自動車株式会社から東京都品川区ab丁目c番地にある木造トタン葺二階建建物の一階店舗部分を賃借し、該店舗において会社組織により運送業並びに自動車の修理、整備事業を営んでいたが、昭和二五年頃右賃貸人会社から同社のガソリンスタンドの経営の開始を理由に店舗の明渡を要求され結局右要求に応ぜざるを得なかつたので、Dは昭和二〇年以来の事業の協力者であつたA及びあらたな協力者Gとはかり、その結果、かねてDの買受け所有していた東京都品川区ad丁目e番のfの土地六二坪六合三勺と同地上の鉄筋コンクリート造瓦葺平家建倉庫(一八坪)及び右土地の東側に隣接する前記控訴人の所有でDの管理する本件土地を使用して小型自動三輪車の販売及び修理業を営むこととし、そのためにあらたな会社の設立を目論み、同年八月二三日未登記であつた右六二坪六合三勺の土地と同地上の倉庫についてとりあえずD名義の所有権取得登記を経由するとともに、当時の右倉庫の使用者食糧営団からその明渡を受け、さらに右土地上にこれに隣接する控訴人所有の本件土地に約一〇坪跨つて建坪約三〇坪の木造トタン葺平家建工場を建築し、同建物の築造による本件土地の使用については控訴人の承諾を得、ついで昭和二六年八月頃右倉庫の南側にこれと接着して木造瓦葺二階建事務所(一、二階各六坪)を、右工場の北側にこれと接着してバラック建宿直室(約九坪)をそれぞれ建築し、右の各建物を事務所、工場、自動車車庫等に使用し、本件土地の空地部分を控訴人の承諾を得て修理車の置場または野外作業所として使用して、品川ダイハツ株式会社の商号のもとに、Dの主宰する事実上の会社として自動三輪車の販売及び修理業を開始するに至つたが、これとともに、正規に右商号の会社の設立の準備をはじめ、昭和二六年一二月一五 坪)を、右工場の北側にこれと接着してバラック建宿直室(約九坪)をそれぞれ建築し、右の各建物を事務所、工場、自動車車庫等に使用し、本件土地の空地部分を控訴人の承諾を得て修理車の置場または野外作業所として使用して、品川ダイハツ株式会社の商号のもとに、Dの主宰する事実上の会社として自動三輪車の販売及び修理業を開始するに至つたが、これとともに、正規に右商号の会社の設立の準備をはじめ、昭和二六年一二月一五 用して、品川ダイハツ株式会社の商号のもとに、Dの主宰する事実上の会社として自動三輪車の販売及び修理業を開始するに至つたが、これとともに、正規に右商号の会社の設立の準備をはじめ、昭和二六年一二月一五日定款を作成し、同二七年六月一七日その認証を受け、同年九月一二日には将来会社成立の暁これに使用させる目的で発起人の一人であつたGが設立準備中の被控訴会社の名においてその取締役会長名義で、―一方相手方は、本件土地についてはDが前記包括的管理権に基づき所有者たる控訴人の代理人となり、D所有の前記土地及び地上の倉庫、事務所、工場、宿直室については同人が本人として―Dとの間に、右各土地建物を包括して一体とし、これを被控訴会社において期間は別に定めることとし賃料一ケ月金一万五、〇〇〇円の約定で賃借する旨の契約を締結してその旨の土地家賃貸借契約書(乙第一号証)を作成し、右土地建物の引渡を受け、同年一〇月六日被控訴会社の設立登記がなされた後はD及びGが代表取締役に控訴人は監査役にそれぞれ就任し、被控訴会社は従来の営業をそのまま引継ぎ、右土地建物を従前どおり使用し、Dに対しては毎月金一万五、〇〇〇円宛の約定賃料を支払つていたが、その後被控訴会社の事業が次第に発展するについて被控訴会社自らも本件土地の東側に隣接する土地を購入し、これと本件上地を含む右従前の賃借地上に営業所、作業所、車庫等を新築または改築して現在に至つている。」ことを認めることがてきる。もつとも前掲乙第一号証の土地家賃貸借契約書には、賃借物件たる土地中に本件土地の表示がなく、賃借坪数として記載されている九三坪も実際とは相違していることが認められるけれども、原審証人G、同A、当審における被控訴会社代表者A本人の各供述によれば、右賃貸借の衝にあたつたG及びAらは当時本件土地が隣接のD所有の東京 いる九三坪も実際とは相違していることが認められるけれども、原審証人G、同A、当審における被控訴会社代表者A本人の各供述によれば、右賃貸借の衝にあたつたG及びAらは当時本件土地が隣接のD所有の東京都品川区北品川二丁目一六八番の三の土地六二坪六合三勺及び区道部分約五坪と一体として事務所、工場、車庫修理車置場等の利用に供されており、しかも右両者の土地を区分する明確な境界もなかつたところから、本件土地は隣地と一体としてDの所有に属するものと考え、一方Dも本件土地が控訴人の所有であることをとくに明言しなかつたため、右両土地及び区道部分を一体として実測してAが算出した九三坪を契約書に記載したことが認められ、また右契約書中に賃借建物として表示された木造瓦葺二階建一棟(三〇坪)は、原審証人Aの証言当審における被控訴会社代表者A本人の供述によれば、本件賃貸借契約当時存在した前記一八坪の倉庫とこれに接する二階建事務所(一、二階各六坪)を一棟の建物としてその延坪数を表示したものであることが認められるから、右契約書中の土地の地番坪数、建物の坪数が実際と相違して記載されたとの事実は、なんら前記賃貸借を否定するに足りず、また右契約書に本件土地部分の賃貸借についてDが控訴人を代理する旨の表示がなされていないことは控訴人主張のとおりであるが、代理人たるDに代理意思のあつたことは前記認定のとおりであり、一方相手方たる被控訴会社側においては本件土地の賃貸人がDでなく控訴人であつても一向に妨げない意図であつたことが本件口頭弁論の全趣旨上明らかであるから、右代理表示の欠缺のゆえをもつて、本件土地につき賃貸人を控訴人とする賃貸借を否定すべきではなく、前段認定に反する原審並びに当審証人D、当審証人B、原審並びに当審における控訴人本人の各供述部分はたやすく措信し難く、他に右認定 とは前記認定のとおりであり、一方相手方たる被控訴会社側においては本件土地の賃貸人がDでなく控訴人であつても一向に妨げない意図であつたことが本件口頭弁論の全趣旨上明らかであるから、右代理表示の欠缺のゆえをもつて、本件土地につき賃貸人を控訴人とする賃貸借を否定すべきではなく、前段認定に反する原審並びに当審証人D、当審証人B、原審並びに当審における控訴人本人の各供述部分はたやすく措信し難く、他に右認定 つて、本件土地につき賃貸人を控訴人とする賃貸借を否定すべきではなく、前段認定に反する原審並びに当審証人D、当審証人B、原審並びに当審における控訴人本人の各供述部分はたやすく措信し難く、他に右認定を左右するに足る資料はない。<要旨>四ところで株式会社の設立前にその設立後の営業に必要な敷地もしくは建物を賃借する行為はいわゆる開業</要旨>準備行為として会社設立のために法律上または経済上必要な行為とは異なり、財産引受に関する商法の特別規定に服する場合のほか、設立中の会社の機関たる発起人の権限に属するものということはできないから、発起人がたとえ設立中の会社の名において右のような開業準備行為をしたとしても、その効果は設立後の会社に帰属するものではなく、無効な行為として、設立後の会社においてこれを追認することも許さないとするのが通説判例の一致した見解であるが、他面設立後の会社が新規契約として右と同種の契約を締結することは別に法の禁止するところではない。いま本件についてこれをみるに、前記賃貸借契約が財産引受に関する商法所定の方式をふんでいないことは口頭弁論の全趣旨上明らかであるから右は無効な契約として、その効果を被控訴会社に帰属せしめるに由なく、被控訴会社において追認をなすことも許されないが、前段において認定したところに本件口頭弁論の全趣旨を加味すれば、「被控訴会社は昭和二七年一〇月六日設立以来前記賃貸借契約を承継したとの意思のもとに約定賃料を支払つており、一方Dおよび控訴人も被控訴会社の役員として当然右の事実を知りながら、被控訴会社の前記土地建物の使用について、その後昭和三七年頃役員間に紛争が生じ本訴等の提起となるまでは、なんらの異議を述べたこともなかつた。」ことを認めることができるから従前右当事者双方ともに黙示的に前記賃貸借契約の承継 の使用について、その後昭和三七年頃役員間に紛争が生じ本訴等の提起となるまでは、なんらの異議を述べたこともなかつた。 方Dおよび控訴人も被控訴会社の役員として当然右の事実を知りながら、被控訴会社の前記土地建物の使用について、その後昭和三七年頃役員間に紛争が生じ本訴等の提起となるまでは、なんらの異議を述べたこともなかつた。」ことを認めることができるから従前右当事者双方ともに黙示的に前記賃貸借契約の承継 の使用について、その後昭和三七年頃役員間に紛争が生じ本訴等の提起となるまでは、なんらの異議を述べたこともなかつた。」ことを認めることができるから従前右当事者双方ともに黙示的に前記賃貸借契約の承継を承認していたものというに妨げなく、無効な行為といえども、当事者双方諒解のうえ相互にこれを承認するときは、民法第一一九条但書の無効行為追認の法意に準じ、当事者の効果意思を尊重して、新たなる行為をなしたものと解するのが相当であり、しかも設立後の会社の同種新規契約の締結は別に法の禁止するところでないことは右説示のとおりであるから、本件の場合にあつては、被控訴会社が設立後に新規にDおよび控訴人との間に前と同様の内容の賃貸借契約を締結したと同視して差支えなく、従つてこの賃貸借を無効とすべき理由はない。控訴人は右賃貸借の衝にあたつたGは被控訴会社の代表権がなく、またDは被控訴会社の設立後代表取締役に就任したことによつて双方代理になるから、本件賃貸借は当然無効であり、たとい契約当事者がこれを有効と考えていたとしても法律行為の要素に錯誤があつてその効力を生ずるに由ないと主張するけれども、控訴人の右主張はいずれも被控訴会社の設立準備時代の行為を非難するものであつて、被控訴会社の設立後に新規に賃貸借契約がなされたと同一視されること前段認定のとおりである本件の場合にあつては、問題とするに足りないから右主張は採用の限りでない。もつともDは被控訴会社設立とともにその代表取締役となつたものであるから、右新規契約については商法第二六五条の制限を受けることになるが、成立に争のない乙第三号証によれば昭和三八年一一月九日に開かれた被控訴会社の取締役会において追認の決議がなされたことが認められるからこれまた問題とならない。五とすると、じ余の判断をまつまでもなく、被控訴人 ない乙第三号証によれば昭和三八年一一月九日に開かれた被控訴会社の取締役会において追認の決議がなされたことが認められるからこれまた問題とならない。五とすると、じ余の判断をまつまでもなく、被控訴人は控訴人に対して有する賃借権に基づき本件土地を占有するものであることが明らかであるから、控訴人の被控訴人に対する土地所有権に基づく本訴請求は失当であり、(なお控訴人の主張は、使用貸借の終了を原因としても明渡を求めるかのようにもみられるが、使用貸借と両立しない賃貸借の成立が認定されること前記のとおりであるから、この点ももとより失当である。 題とならない。五とすると、じ余の判断をまつまでもなく、被控訴人は控訴人に対して有する賃借権に基づき本件土地を占有するものであることが明らかであるから、控訴人の被控訴人に対する土地所有権に基づく本訴請求は失当であり、(なお控訴人の主張は、使用貸借の終了を原因としても明渡を求めるかのようにもみられるが、使用貸借と両立しない賃貸借の成立が認定されること前記のとおりであるから、この点ももとより失当である。)これを棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却すべきものとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官古山宏裁判官川添万夫裁判官右田尭雄)

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