【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を横浜地方裁判所に差戻す。 理 由 弁護人岡村大並に被告人の控訴理由は、末尾添付の各控訴趣意書と題する書面に 記載す
主文 原判決を破棄する。 本件を横浜地方裁判所に差戻す。 理由 弁護人岡村大並に被告人の控訴理由は、末尾添付の各控訴趣意書と題する書面に記載するとおりであるが、記録を調べてみると、原審は昭和二五年三月二八日の公判において現場の検証及びその現場における証人二名の尋問をする旨の証拠決定をし、次いで同年四月四日弁護人岡村大から書面を以て、右検証並に証人尋問には被告人を立会わせられたい旨の申出をしたので、原審は右検証には被告人を立会わせたが、同月六日右証人の中のAの尋問を同月八日午後一時から横浜市a区b町c番地B病院においてする旨の決定をしたのに、この決定謄本を弁護人岡村大にだけ送達し、被告人にこれを送達した跡なく、又他の方法を以て被告人に右証人尋問の日時及び場所をあらかじめ通知した跡もない。そうして証人Aの尋問調書の記載によればその尋問に弁護人岡村大は立会つたことになつているが、被告人が立会つたと言う事実を看取するに足る資<要旨>料を見出すことができない。刑訴第一五七条第一項は、被告人又は弁護人は証人の尋問に立会うことができる</要旨>と規定し、被告人又は弁護人のいずれかに立会権を認めてそのいずれかに立会う機会を与えさえすれば右規定の要請を充たすことになるのであるが、本件の如くすでに、あらかじめ被告人を立会わせてもらいたい旨の意思の明示されている場合には弁護人はとにかく、被告人には必ず立会うことのできるような措置を採らなくてはならないと解することこそ、右規定の趣旨を完うする所以である。してみれば原審の右証人Aに対する尋問は違法と言うの外なく、しかもこの違法な尋問を記載した調書を断罪の証拠に供しているのであるから右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。従つて原判決は刑訴第三九七条に 審の右証人Aに対する尋問は違法と言うの外なく、しかもこの違法な尋問を記載した調書を断罪の証拠に供しているのであるから右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。従つて原判決は刑訴第三九七条に則つて、これを破棄しなければならない。そこで被告人の論旨第一の(2)はおのずから理由あるものと言わなくてはならないので、その他の論旨に対する判断を省略し、刑訴第四〇〇条本文に従い主文のように判決する。 (裁判長判事久礼田益喜判事尾後貫荘太郎判事三宅多六)
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