【DRY-RUN】○ 主文 原告Aの訴を却下する。 その余の原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 原告ら 1 被告Bは、広島市に対し金三三万三三五五円及びこれ
○ 主文原告Aの訴を却下する。 その余の原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一原告ら 1 被告Bは、広島市に対し金三三万三三五五円及びこれに対する昭和五三年六月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは、広島市に対し金三三万八四四三円及びこれに対する昭和五三年九月二二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。 3 被告広島市長は、被告B及び同Cに対し、同人らの休職期間中、給料、扶養手当、調整手当及び住居手当を支給してはならない。 4 訴訟費用は被告らの負担とする。 5 1、2項につき仮執行宣言二被告ら(被告広島市長の本案前の申立)主文第一項と同旨(被告らの本案に対する申立) 1 原告らの請求を棄却する。 2 主文第三項と同旨第二当事者の主張一請求原因 1 原告らは、広島市に居住する広島市民である。 被告Bは、元広島市管財部長及び元広島市土地開発公社参与で、昭和五二年七月二〇日背任罪で起訴され、同月二三日分限休職処分を受け、同年九月三日枉法収賄罪で追起訴されたものであるが、被告広島市長は、同人に対し給与として同五三年二月分一三万三三四二円、同三月分二〇万〇〇一三円を各支給した。 被告Cは、元広島市財政局長及び元広島市土地開発公社理事で、昭和五二年八月一一日背任罪で起訴され、同月一二日分限休職処分を受けたものであるが、被告広島市長は、同人に対し給与として同五三年二月分一三万五三七七円、同三月分二〇万三〇六六円を各支給した。 2 そこで昭和五三年(行ウ)第六号事件原告らは、被告Bにつき昭和五三年三月一七日付をもつて、同年(行ウ)第一八号事件原告らは、被告Cにつき同年七月六日付をもつて、広島市監査委員に対し被告広島市長の右公金の支出について監査並び 六号事件原告らは、被告Bにつき昭和五三年三月一七日付をもつて、同年(行ウ)第一八号事件原告らは、被告Cにつき同年七月六日付をもつて、広島市監査委員に対し被告広島市長の右公金の支出について監査並びに必要な措置を請求したが、同委員から被告Bにつき同年五月一日付をもつて、被告Cにつき同年八月一一日付をもつて、理由がない旨の通知を受けた。 3 被告B、同Cの起訴にかかる背任とは、広島市土地開発公社が昭和四九年三月二九日大和機工株式会社(以下単に大和機工という。 当時代表取締役D)との間で段原土地区画整理事業の代替地として同市<地名略>の宅地造成地を一三億七七六六万円で買収する契約を結び、八億七七〇〇万円を同社に支払い、残金の五億〇〇六六万円は広島県の造成完了検査にパスした後支払うことを決めていたのに、当時同公社の参与で公共用地の売買や代金の支払などに従事していた被告B、当時同公社理事の被告Cは、資金繰りに困つていたDらから完了検査前に残金の前払いを要請されたため、Dらと共謀のうえ、造成地は工事が未完了のうえ工事内容の変更等で相当期間完了検査が受けられないのに、同年七月三一日ころ、「近く工事が完成し、県の完了検査が終るので残金のうち四億円を支払う。」旨契約内容を変更し、同公社に損害を与えたというものである。 また、追起訴にかかる被告Bの収賄とは、右背任行為に関連して、大和機工に便宜を図つた報酬としてDからスイス製腕時計一個(二五万七〇〇〇円相当)を受けとつた、というものである。 被告B、同Cの右所為(特に被告Bの収賄)は、公務員の典型的な非違行為であり、市民の信頼を裏切る許し難い行為であつて、本来懲戒事由に当るべきところ、広島市長はこれを分限休職処分となし、あまつさえ、昭和五三年二月、一般職の職員の給与に関する条例(以下給与条例という)二二条四項を 民の信頼を裏切る許し難い行為であつて、本来懲戒事由に当るべきところ、広島市長はこれを分限休職処分となし、あまつさえ、昭和五三年二月、一般職の職員の給与に関する条例(以下給与条例という)二二条四項を適用して、被告B、同Cに対し、給料、扶養手当、調整手当及び住居手当(以下これらを一括して給与という)の六割という最上限の支給を強行し、その後右措置を継続している。 4 被告広島市長の右措置は、地方公務員法二九条(懲戒)一項を適用すべきところ同法二八条(分限)二項を適用した違法があり、また、仮に分限休職処分が違法でないとしても、職員の分限に関する条例(以下分限条例という)六条二項に基づき無給の措置をとるべきところ、裁量権を逸脱又は濫用して給与条例二二条四項を適用した違法がある。したがつて被告B、同Cに対する前記給与の支給は法律上の原因を欠くことになる。 5 よつて、原告らは、被告Bに対しその不当利得にかかる金三三万三三五五円及び遅延損害金を、被告Cに対しその不当利得にかかる金三三万八四四三円及び遅延損害金をそれぞれ広島市に返還することを求めるとともに、被告広島市長に対し、広島市に回復の困難な損害を生ずるおそれがあるので、被告B、同Cへの給与の支払の差し止めを求める。 二請求原因に対する認否請求原因1の事実は認める。 請求原因2の事実は、被告広島市長、同Cが原告Aの監査請求につき否認するほか、その余は認める。 請求原因3の事実中被告B、同Cが原告ら主張の要旨により起訴された事実及び被告広島市長が被告B及び同Cに対し昭和五三年二月以降給与条例を適用して給与の一〇〇分の六〇を支給している事実は認めるが、その余は争う。 請求原因4・5は争う。 三被告らの主張(被告広島市長) 1 被告B、同Cに対する処分の経過について被告Bは、昭和五二年七月二〇日に背 一〇〇分の六〇を支給している事実は認めるが、その余は争う。 請求原因4・5は争う。 三被告らの主張(被告広島市長) 1 被告B、同Cに対する処分の経過について被告Bは、昭和五二年七月二〇日に背任罪で起訴され、同年九月三日に枉法収賄罪で追起訴され、また、被告Cは同年八月一一日に背任罪で起訴され、現在、当該起訴に係る訴訟は広島地方裁判所において係争中である。 一方、被告広島市長は、被告Bに対し昭和五二年七月二三日に、被告Cに対し同年八月一二日に、刑事事件により公訴を提起されたことを理由として、地方公務員法二八条二項二号及び給与条例二二条四項の規定に基づき、それぞれ休職処分を行ない、給与は支給しないこととした。 ところが、被告Bは、地方公務員法四六条の規定に基づき、昭和五二年一二月六日に広島市公平委員会に対して、その休職期間中給与の一〇〇分の六〇を支給するよう措置要求を行い、同委員会は、昭和五三年二月九日に右措置要求について、被告Bに対し給与の一〇〇分の六〇を支給することが適当であると判定し、被告広島市長に対してその旨勧告を行なつた。 被告広島市長は、その勧告を受けて昭和五三年二月一〇日に被告Bに対し、同日から給与の一〇〇分の六〇を支給することを決定し、同日その旨の発令行為を行ない、現在に至つている。 また、被告広島市長は、右判定の趣旨並びに被告Cとほぼ同一の条件及び事情にある被告Bに給与を支給することとの均衡を考慮して、被告Cに対し、昭和五三年二月一〇日から給与の一〇〇分の六〇を支給することを決定し、同日その旨の発令行為を行ない、現在に至つている。 2 被告B、同Cに対する休職処分について被告B、同Cを休職処分に付したことに違法はない。 地方公務員法二八条二項二号において、職員が刑事事件に関し起訴された場合は、意に反してこれを休職にするこ 。 2 被告B、同Cに対する休職処分について被告B、同Cを休職処分に付したことに違法はない。 地方公務員法二八条二項二号において、職員が刑事事件に関し起訴された場合は、意に反してこれを休職にすることができることとされているが、被告B、同Cは背任罪で起訴されたところから、右の規定に基づき、休職処分に付したものであり、何ら違法なものではない。 なお、原告らは、被告B、同Cに対しては休職処分に付すべきではなく、懲戒処分に付すべきであると主張するが、そもそも懲戒処分と刑事休職処分とは、その趣旨・目的、処分の要件及び効果を異にするものであり、反論の限りでない。 3 被告B、同Cに対する給与の支給について被告B、同Cに対して給与を支給したことに違法はない。 分限条例は、休職に付した場合の手続、効果等を定めているものであるが、休職に付した場合の給与の支給について、その六条二項で、「別段の定のある場合の外、その休職の期間中いかなる給与も支給されない。」と規定しており、その規定にいう、「別段の定」とは、給与条例を指すものである。そして、給与条例は、その二二条四項において、休職者の給与として、本件のごとき刑事休職者に対する給与については、給与の「一〇〇分の六〇以内を支給することができる。」と規定しており、そこで、被告B、同Cに対しては、給与条例を適用して昭和五三年二月一〇日に、同日から給与の一〇〇分の六〇を支給することとしたもので、この処分に何ら違法はない。 4 回復の困難な損害について被告B、同Cに対する給与の支給は、広島市に回復の困難な損害を生じさせるものではない。 地方自治法の規定に基づく差止請求は、特に「当該行為により普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれがある場合」に限り、この請求を認めることとしている(地方自治法二四二条の二第一項ただ ない。 地方自治法の規定に基づく差止請求は、特に「当該行為により普通地方公共団体に回復の困難な損害を生ずるおそれがある場合」に限り、この請求を認めることとしている(地方自治法二四二条の二第一項ただし書)。そして、回復の困難な損害とは、原状回復及び金銭賠償が不能であるもの並びに抽象的には金銭賠償が可能であるけれどもなお社会通念上金銭賠償がほとんど不能とみられるような損害を含むものと解されているものである。 したがつて、被告B、同Cに対する給与の支給は、仮にそれが違法であるとしても、その支払により広島市に与える損害は、回復の困難な損害に当らないことが明らかである。 (被告B、同C) 1 地方公務員法二八条二項二号は、地方公務員が刑事事件に関し起訴された場合、その意に反してこれを休職にすることができる旨定め、さらに同条三項は休職にする場合の手続及び効果を条例で定める要がある旨規定するところ、広島市においては右規定を承けて分限条例及び給与条例を設けているが、刑事休職者に対しては分限条例六条二項及び給与条例二二条四項でいわゆる給与の六割支給ができる旨定めており、被告B、同Cが受けた給与は右諸規定に基づくもので、原告ら主張の如く法律上の原因を欠くものではない。 2 ところで、刑事被告人は有罪判決が確定するまでは無罪の推定を受けるものであるが、これは単に刑事法上の原理ではなく、我が国憲法の精神であり、他の行政法、民事法の分野でも当然に尊重適用されねばならない原理であるところ、被告B、同Cが起訴されたことのみを以て地方公務員法二九条一項を適用して懲戒処分に付すべきであつたとの主張は、被告B、同Cが起訴事実を認めている場合は格別、これを全面的に否認し争つている場合においては、右原理に照しそれ自体法的根拠のない主張であるといわねばならない。 3 地方公務員 べきであつたとの主張は、被告B、同Cが起訴事実を認めている場合は格別、これを全面的に否認し争つている場合においては、右原理に照しそれ自体法的根拠のない主張であるといわねばならない。 3 地方公務員法二八条二項二号の刑事休職処分は、働く意欲とその能力を有する者に対しその意に反して強制的に一切の職務から排除しながら、他方職員としての身分は存続させるものであるから、その職員は他に就職することも事実上不可能で、結局刑事休職者を無給とすることは、その職員の生活権を奪うことにほかならないところ、右結論が不当であることはいうまでもなく、それから考えると刑事休職者に対する前記諸規定は給与の六割支給を原則的に予定していると解されるのである。 4 被告Bは、昭和五二年一二月六日に地方公務員法に基づき広島市公平委員会に対して給与の六割支給の措置要求の申立をなし、同委員会は同五三年二月一〇日に広島市長に対し右申立どおりの勧告を行い、その結果、広島市長は同日被告B及び被告Cにいわゆる給与の六割支給の辞令を交付した事情にあるところ、右措置は右経緯に照し何ら違法ではない。 四被告らの主張に対する認否被告B、同Cに対する処分の経過に関する事実は認めるが、被告B、同Cに対する休職処分及び給与の支給が違法でないとの主張並びに給与の支給が広島市に回復困難な損害を与えないとの主張は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一原告らが広島市民であること、原告Aを除くその余の原告らが監査請求を経由したことは、当事者間に争いがない。 原告Aが監査請求を経由したことについては、当事者間に争いがあるところ、これを認めるに足りる証拠はないから、同原告の訴は不適法というべきである。 二被告Bは、元広島市管財部長及び元広島市土地開発公社参与で、昭和五二年七月二〇日原告ら主張の要旨の背任罪で起 あるところ、これを認めるに足りる証拠はないから、同原告の訴は不適法というべきである。 二被告Bは、元広島市管財部長及び元広島市土地開発公社参与で、昭和五二年七月二〇日原告ら主張の要旨の背任罪で起訴され、同月二三日分限休職処分を受け、同年九月三日原告ら主張の要旨の枉法収賄罪で追起訴されたこと、被告Cは、元広島市財政局長及び元広島市土地開発公社理事で、昭和五二年八月一一日原告ら主張の要旨の背任罪で起訴され、同月一二日分限休職処分を受けたこと、被告広島市長が被告Bに対し給与として昭和五三年二月分一三万三三四二円、同三月分二〇万〇〇一三円を、被告Cに対し給与として昭和五三年二月分一三万五三七七円、同三月分二〇万三〇六六円を各支給したことは、当事者間に争いがない。 三そこで、まず被告B、同Cに対する休職処分及び給与の支給についての事実関係についてみると、成立に争いのない甲第一ないし第三号証、乙第一ないし第三号証、証人E、同Fの各証言及び前記争いのない事実を総合すると、次のとおりの事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。 1 昭和五二年六月二九日、広島市財政局管財部長兼広島市土地開発公社用地部長の被告Bは、同公社が昭和四九年三月二九日大和機工と同市<地名略>の造成地(約一万八〇〇〇平方メートル)を一三億七七六六万円で売買契約を結んだ際代金のうち五億円は県の完了検査が済んだ後支払うと定めてあるのに、大和機工前社長Dから残金前払いの依頼を受け、当時部下だつた用地第一課長Gと契約内容の変更を計画し、同年七月二九日「近く完了検査が終わるので残金を支払う。」と契約を変更し、同社に四億円を支払つた背任の疑いで逮捕された。広島県警は、GがDから現金を受取つていたことから上司の被告Bにも収賄があるのは間違いないとみて追及していた。昭和五二年七月一 払う。」と契約を変更し、同社に四億円を支払つた背任の疑いで逮捕された。広島県警は、GがDから現金を受取つていたことから上司の被告Bにも収賄があるのは間違いないとみて追及していた。昭和五二年七月一七日付中国新聞は、被告Bの収賄につき、前記逮捕及び収賄追及の事実のほか、被告Bが契約変更の謝礼として外国製腕時計一個(三六万円相当)と現金二〇万円を受取つたことを自供した旨報道した。 被告Bは、昭和五二年七月二〇日前記逮捕と同趣旨の背任罪で起訴された。被告Bの起訴にかかる背任とは、広島市土地開発公社が昭和四九年三月二九日大和機工(当時代表取締役D)との間で段原土地区画整理事業の代替地として同市<地名略>の宅地造成地を一三億七七六六万円で買収する契約を結び、八億七七〇〇万円を同社に支払い、残金の五億〇〇六六万円は広島県の造成完了検査にパスした後支払うことを決めたのに、当時同公社の参与で公共用地の売買や代金の支払などに従事していた被告Bは、資金繰りに困つていたDらから完了検査前に残金の前払いを要請されたため、Dらと共謀のうえ、造成地は工事が未完成のうえ、工事内容の変更等で相当期間完了検査が受けられないのに、同年七月三一日ころ、「近く工事が完成し、県の完了検査が終わるので残金のうち四億円を支払う」旨契約内容を変更し、同公社に損害を与えた、というものである。 ところで、既に昭和五二年五月一四日元広島市用地第一課長兼広島市土地開発公社参与Gが同じく公社と大和機工との間の土地売買契約に関連する収賄容疑で逮捕されていたところから、広島市の人事管理当局は、捜査機関に事情聴取のため呼出された広島市の職員から捜査機関に対する供述内容について報告を受けると共に、人事課長Fを通じて被告Bから同人が逮捕される前、当時の土地開発公社の事務処理状況等を聴取したが、その際、被 聴取のため呼出された広島市の職員から捜査機関に対する供述内容について報告を受けると共に、人事課長Fを通じて被告Bから同人が逮捕される前、当時の土地開発公社の事務処理状況等を聴取したが、その際、被告Bは石油シヨツク後の当時の社会情勢から大和機工との間の前記契約変更は必要であつたものであり、また、工事完成の見込みについては確信があつた旨説明していた。そうしたこともあつて広島市の人事管理当局としては、被告Bが同年六月二九日に背任容疑で逮捕されるまで捜査機関が同被告の背任容疑について捜査していることは全然知らず、同被告の逮捕前には同被告の背任容疑を前提とした調査をしたことはなく、その後は捜査機関から状況を聞くすべもなく、結局被告Bについては起訴されたような非違行為があつたと確信するに至らないまま、広島市長は、起訴三日後の昭和五二年七月二三日地方公務員法二八条二項二号により被告Bを分限休職処分に付した。当時広島市においては分限条例六条二項の原則に従い起訴休職者にはその休職の期間中いかなる給与も支給されない慣例であつたので、被告Bも無給の休職処分とされた。 被告Bの背任罪による起訴のあつた翌日の昭和五二年七月二一日、同被告の上司である広島市財政局長兼広島市土地開発公社理事被告Cが同一内容の背任罪容疑で逮捕された。そして、同年八月一一日被告Cは右背任罪で起訴された。 逮捕前には広島市の人事管理当局は所管局長としての被告Cから前記契約変更についての報告を求めていたものの同被告にまで強制捜査が及ぶとは予想しておらず、逮捕後は同被告との接見が禁止されていたため容疑事実について直接事情聴取することができず、そのため被告Cについて起訴されたような非違行為があつたと確信するに至らないまま、起訴翌日の昭和五二年八月一二日広島市長は地方公務員法二八条二項二号により 事実について直接事情聴取することができず、そのため被告Cについて起訴されたような非違行為があつたと確信するに至らないまま、起訴翌日の昭和五二年八月一二日広島市長は地方公務員法二八条二項二号により被告Cを分限休職処分に付し、被告Bと同様無給の休職とした。 なお、前記Gは、公判廷において収賄の事実を認め、保釈後F人事課長らの事情聴取においてもこれを認めたため広島市の人事管理当局は直ちに同人の処分につき懲戒分限審査会に諮問して懲戒免職相当との答申を得、同人を懲戒免職処分に付した。 2 被告B、同Cに対する休職処分後、F人事課長らは公判廷を傍聴したが、両名は起訴事実を全面的に否認していた。 昭和五二年九月三日には被告Bは、前記背任行為に関連して、大和機工に便宜を図つた報酬としてDからスイス製腕時計一個(二五万七〇〇〇円相当)を受けとつたという収賄の罪で追起訴された。広島市の人事管理当局としては、右収賄容疑について新聞報道がされていたことは承知していたものの、追起訴前この件について特段の調査をしたということはなかつた。その後公判廷において被告Bは、Dの時計と交換した旨述べて収賄の事実を否認した。 被告B、同Cの保釈後、F人事課長は両名と個別に面接して確認したが、両名共起訴事実を全面的に否認していた。 その後もF人事課長らは公判廷を傍聴する等して被告B、同Cの被疑事件の推移を見守つてきたが、同課長が人事課長として在任していた昭和五三年三月末までは広島市の人事管理当局としては両名に起訴されたような非違行為があつたとの確信を抱くには至らなかつた。 3 被告Bは、前記休職処分後四か月余の昭和五二年一二月六日、広島市公平委員会に対し休職期間中月額給与の六割を支給するよう勤務条件に関する措置の要求をした。これに対し、同委員会は昭和五三年二月九日被告Bの生活実 、前記休職処分後四か月余の昭和五二年一二月六日、広島市公平委員会に対し休職期間中月額給与の六割を支給するよう勤務条件に関する措置の要求をした。これに対し、同委員会は昭和五三年二月九日被告Bの生活実態を考慮し、同被告は健康ではあるというものの広島市職員としての身分を有する限り他に就職することが事実上困難を伴うので、同被告に対し給料、扶養手当、調整手当及び住居手当のそれぞれ六割の支給をすることが相当であるとし、そのための所要の措置を講ずることが適当である旨判定した。 当時被告Bの同居親族は妻のみであつたが、収入は全くなく、毎月の支出は一〇万円を優に超え二〇数万円に達することが多く、給与の六割支給を受けなければ生活困難な状況であつた。 前記のとおり、広島市の人事管理当局は被告B、同Cに起訴されたような非違行為があつたと確信するに至らない状況であつたところ、公平委員会の判定を受けたため、被告広島市長は、昭和五三年二月一〇日被告Bに対し同日から給与の六割を支給することを決定し、その旨の発令行為をした。 また、当時被告Cの同居親族は母、妻、通学中の娘二人があり、若干母の農業収入はあつたもののほとんど収入はないといつてよく、学費を含めた毎月の支出は二〇万円から四〇万円に達することが多く、被告B同様、給与の六割支給を受けなければ生活困難な状況であつたので、被告広島市長は被告Bに対する前記判定の趣旨に従い、昭和五三年二月一〇日被告Cに対しても同日から給与の六割を支給することを決定し、その旨の発令行為をした。 以上のとおり認められる。 四次に以上認定の事実を基礎に被告B、同Cに対する休職処分及び給与の支給の是非について検討する。 1 被告B、同Cの起訴事実は、職務行為の公正さに対する社会一般の信頼を著しく毀損せしめるものであつて、同被告らがかかる所為に及ん 被告B、同Cに対する休職処分及び給与の支給の是非について検討する。 1 被告B、同Cの起訴事実は、職務行為の公正さに対する社会一般の信頼を著しく毀損せしめるものであつて、同被告らがかかる所為に及んだことが明らかとなつたときは、懲戒処分の対象となるべき性質のものである。ところが、被告B、同Cが起訴された当時、広島市の人事管理当局は両名が起訴されたような非違行為をしたとの確信を抱くに至つていなかつたのであるから、被告広島市長が前記各時点で被告B、同Cを懲戒処分に付することなく、地方公務員法二八条二項二号により分限処分に付したことに違法はない。 2 分限条例はその六条二項で「休職者は、別段の定のある場合の外、その休職の期間中いかなる給与も支給されない。」と規定し(乙第二号証)、「別段の定」として、給与条例はその二二条四項において起訴休職者に対しては「その休職の期間中、これに給料、扶養手当、調整手当及び住居手当のそれぞれ一〇〇分の六〇以内を支給することができる。」と規定している(乙第三号証)ところ、広島市公平委員会が被告Bの生活実態を考慮して同被告に給与の六割支給すべき旨判定し、これを受けて被告広島市長は被告B、同Cに対しその生活実態を考慮のうえ右条例に従い給与の支給をしたものであり、当時広島市の人事管理当局は両名に起訴されたような非違行為があつたと確信するに至つていなかつたのであるから、被告広島市長の右処分に裁量権の逸脱又は濫用等の違法はない。 3 以上のとおり、被告B、同Cに対する休職処分、給与の支給は法令の規定に従い適法になされたものであるから、給与の支給は法律上の原因を欠くものではなく適法である。 五よつて、原告Aの本件訴は不適法として却下し、被告B、同Cに対し広島市への不当利得金の返還を求め、被告広島市長に対し被告B、同Cへの給与支 給与の支給は法律上の原因を欠くものではなく適法である。 五よつて、原告Aの本件訴は不適法として却下し、被告B、同Cに対し広島市への不当利得金の返還を求め、被告広島市長に対し被告B、同Cへの給与支給の措置の是正を求めるその余の原告らの本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官森川憲明大前和俊吉田徹)原告目録(省略)
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