平成28(行ウ)10 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年12月6日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文19,128 文字)

平成29年12月6日判決言渡平成28年(行ウ)第10号所得税更正処分等取消請求事件主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 渋谷税務署長が原告に対し平成26年3月13日付けでした平成22年分の所得税の更正処分のうち,総所得金額2億2041万2431円及び納付すべき税額2701万0800円を超える部分並びに同更正処分に係る過少申告加 算税の賦課決定処分を取り消す。 2 渋谷税務署長が原告に対し平成26年11月26日付けでした平成23年分の所得税の更正処分のうち,総所得金額2億2656万3857円及び納付すべき税額1039万2700円を超える部分並びに同更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 渋谷税務署長が原告に対し平成26年11月26日付けでした平成24年分の所得税の更正処分のうち,総所得金額2億0850万1443円及び納付すべき税額576万8200円を超える部分並びに同更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 本件は,原告が,自身の平成22年分,平成23年分及び平成24年分の所得税の確定申告において,外国の金融機関であるJPMorganChaseBank,N.A.に開設した取引口座を通じて支払を受けた配当金(別紙2別表2順号3に記載のもの。以下「本件JPM配当金」という。)に係る配当所得の金額を総所得金額に含めて所得税額を計算するとともに,別紙2別 表2順号5ないし12に記載の各金融機関に開設した取引口座を通じて支払を 受けた各配当金(以下「本件各国内払配当金」という。)に係る配当所得につき租税特別措置法(平成25年法律第5号によ 表2順号5ないし12に記載の各金融機関に開設した取引口座を通じて支払を 受けた各配当金(以下「本件各国内払配当金」という。)に係る配当所得につき租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。以下「措置法」という。)8条の4第1項による申告分離課税の特例(以下「本件特例」という。)を適用して他の所得と分離して所得税額を計算したところ,所轄の渋谷税務署長が,当該各確定申告において本件特例の適用選択が可能な本件JPM 配当金に係る配当所得の金額を総所得金額に含めて所得税額を計算したことが同条2項に該当し,本件特例を適用することができないため,これを適用して他の所得と分離して計算していた本件各国内払配当金に係る配当所得の金額を全て減算し,これと同額を総合課税(所得税法22条及び89条による課税をいう。以下同じ。)の配当所得の金額に加算するべきであるなどとして,原告 に対し上記各年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことから,原告が,これらの処分(更正処分については確定申告又は更正の請求による金額を超える部分)の各取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め」に記載のとおりである(同別紙における略称は, 以下においても用いることとする。)。 2 前提事実(当事者間において争いがないか,掲記の証拠等により認められる。)(1) 事実経過の概要ア平成22年分ないし平成24年分の所得税の確定申告(ア) 平成22年分の所得税の確定申告 原告は,平成23年3月14日,渋谷税務署長に対し,平成22年分の所得税の確定申告書(以下「平成22年分当初申告書」といい,当該申告書に係る申告を「平成22年分当初申告」という。)を提出した。 原告は,平成23年3月14日,渋谷税務署長に対し,平成22年分の所得税の確定申告書(以下「平成22年分当初申告書」といい,当該申告書に係る申告を「平成22年分当初申告」という。)を提出した。 原告は,平成24年4月3日,渋谷税務署長に対し,平成22年分の所得税の修正申告書(以下「平成22年分修正申告書」といい,これと 平成22年分当初申告書とを併せて「平成22年分確定申告書等」とい う。)を提出した。 (イ) 平成23年分の所得税の確定申告原告は,平成24年3月14日,渋谷税務署長に対し,平成23年分の所得税の確定申告書(以下「平成23年分当初申告書」といい,当該申告書に係る申告を「平成23年分当初申告」という。)を提出した。 原告は,平成24年4月11日,渋谷税務署長に対し,平成23年分の所得税の修正申告書(以下「平成23年分修正申告書」といい,当該申告書に係る申告を「平成23年分修正申告」という。また,平成23年分当初申告書と平成23年分修正申告書とを併せて「平成23年分確定申告書等」という。)を提出した。 (ウ) 平成24年分の所得税の確定申告原告は,平成25年3月13日,渋谷税務署長に対し,平成24年分の所得税の確定申告書(以下「平成24年分確定申告書」といい,当該申告書に係る申告を「平成24年分確定申告」という。また,平成22年分確定申告書等,平成23年分確定申告書等及び平成24年分確定申 告書を併せて「本件各確定申告書等」という。)を提出した。 イ本件各更正処分等の経緯(ア) 渋谷税務署は,後記(イ)の平成22年分更正処分等に先立ち,原告の平成22年分の所得税について税務調査を行い,同税務署担当者から原告に対し た。 イ本件各更正処分等の経緯(ア) 渋谷税務署は,後記(イ)の平成22年分更正処分等に先立ち,原告の平成22年分の所得税について税務調査を行い,同税務署担当者から原告に対し,本件JPM配当金は,措置法8条の4第1項が規定する上 場株式等の配当等に該当することを指摘した。 (イ) 渋谷税務署長は,平成26年3月13日付けで,原告に対し,平成22年分の所得税の更正処分(以下「平成22年分更正処分」という。)及び同更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成22年分賦課決定処分」といい,これと平成22年分更正処分とを併せて「平 成22年分更正処分等」という。)をした。 (ウ) 原告は,平成26年5月13日,渋谷税務署長に対し,平成23年分修正申告に対する更正の請求(以下「平成23年分更正の請求」といい,当該請求に係る請求書を「平成23年分更正請求書」という。)及び平成24年分確定申告に対する更正の請求(以下「平成24年分更正の請求」といい,これと平成23年分更正の請求とを併せて「本件各更 正の請求」という。また,平成24年分更正の請求に係る請求書を「平成24年分更正請求書」といい,これと平成23年分更正請求書とを併せて「本件各更正請求書」という。)をした。 (エ) 渋谷税務署長は,平成26年11月26日付けで,原告に対し,本件各更正の請求について,いずれも更正すべき理由がない旨の通知処分 (以下「本件各通知処分」という。)をした。 また,渋谷税務署長は,同日付けで,原告に対し,平成23年分の所得税の更正処分(以下「平成23年分更正処分」という。)及び同更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成23年分賦課決定処分」といい, 務署長は,同日付けで,原告に対し,平成23年分の所得税の更正処分(以下「平成23年分更正処分」という。)及び同更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成23年分賦課決定処分」といい,これと平成23年分更正処分とを併せて「平成23年 分更正処分等」という。)並びに平成24年分の所得税の更正処分(以下「平成24年分更正処分」といい,これと平成22年分更正処分及び平成23年分更正処分とを併せて「本件各更正処分」という。)及び平成24年分更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定処分(以下「平成24年分賦課決定処分」といい,これと平成24年分更正処分とを併せ て「平成24年分更正処分等」という。また,平成22年分賦課決定処分,平成23年分賦課決定処分及び平成24年分賦課決定処分を併せて「本件各賦課決定処分」といい,これと本件各更正処分とを併せて「本件各更正処分等」という。)をした。 ウ本件訴訟に至る経緯 (ア) 原告は,平成26年5月13日,渋谷税務署長に対し,平成22年 更正処分等を不服として異議申立てをしたところ,同署長は,同年7月9日付けで,当該異議申立てをいずれも棄却する旨の決定をした。 原告は,同年8月8日,国税不服審判所長に対し,当該決定を不服として審査請求をした。 (イ) 原告は,平成27年1月26日,渋谷税務署長に対し,本件各通知 処分,平成23年分更正処分等及び平成24年分更正処分等を不服として,異議申立てをした。 これらの異議申立てについては,渋谷税務署長が審査請求として取り扱うことが適当であると認めて原告に通知し,原告がこれに同意したことから,国税不服審判所長に対する審査請求がされたものとみなされる こととなった。 いては,渋谷税務署長が審査請求として取り扱うことが適当であると認めて原告に通知し,原告がこれに同意したことから,国税不服審判所長に対する審査請求がされたものとみなされる こととなった。 (ウ) 国税不服審判所長は,上記(ア)の審査請求と上記(イ)の審査請求を併合し,平成27年7月8日付けで,当該各審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をし,当該裁決の裁決書謄本は同月15日付けで原告に対し送付された。 (エ) 原告は,平成28年1月8日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 (2) 本件各確定申告書等及び本件各更正請求書における配当所得に関する記載内容等ア所得の内訳書の記載方法等(乙15)所得の内訳書は,所得税に係る申告書第2表の「所得の内訳(源泉徴収 税額)」欄に所得を記載しきれないなどの場合に,その申告書の付属書として使用されるものであり,申告分離課税を選択した配当所得については,同書の「所得の種類」欄に「配当」と記載しその文字を丸で囲むこととされている。 イ平成22年分の所得税(甲1,2) 平成22年分当初申告書の所得の内訳書においては,株式会社一休から 受領した配当金(別紙2別表2順号1に記載のもの。以下「一休配当金」という。)及び本件JPM配当金については,「所得の種類」欄に「配当」の文字が丸で囲まれずに記載され,本件各国内払配当金(別紙2別表2順号5ないし9の金融機関に係るものに限る。)については,「所得の種類」欄に「配当」の文字が丸で囲まれて記載されている。また,平成22年分 修正申告書の所得の内訳書においては,上記の平成22年分当初申告書と同様の記載に加えて,UBS証券株式会社D支店に開設した取引口座を通じて支払を受けた配当金 記載されている。また,平成22年分 修正申告書の所得の内訳書においては,上記の平成22年分当初申告書と同様の記載に加えて,UBS証券株式会社D支店に開設した取引口座を通じて支払を受けた配当金で優先出資証券に係るもの(別紙2別表2順号2に記載のもの。以下「UBS証券優先出資配当金」という。)について,「所得の種類」欄に「配当」の文字が丸で囲まれずに記載されている。 そして,平成22年分確定申告書等においては,上記の「所得の種類」欄の「配当」の文字が丸で囲まれていない配当金に係る収入金額については総合課税の収入金額(申告書第1表㋔の欄)に,これが丸で囲まれている配当金に係る収入金額については申告分離課税の収入金額(申告書第3表㋢の欄)に,それぞれ計上されている。また,平成22年分確定申告書 等はいずれも税理士法人山田&パートナーズにより作成,提出されている。 ウ平成23年分の所得税(甲5,6,8)(ア) 平成23年分確定申告書等の各所得の内訳書においては,一休配当金,UBS証券優先出資配当金及び本件JPM配当金については,「所得の種類」欄に「配当」の文字が丸で囲まれずに記載され,本件各国内 払配当金(別紙2別表2順号6ないし12の金融機関に係るものに限る。)については,「所得の種類」欄に「配当」の文字が丸で囲まれて記載されている。 そして,平成23年分確定申告書等においては,上記「所得の種類」欄の「配当」の文字が丸で囲まれていない配当金に係る収入金額につい ては総合課税の収入金額(申告書第1表㋔の欄)に,これが丸で囲まれ ている配当金に係る収入金額については申告分離課税の収入金額(申告書第3表㋢の欄)に,それぞれ計上されている。また,平成23年分確定申告書等はいずれも税理 1表㋔の欄)に,これが丸で囲まれ ている配当金に係る収入金額については申告分離課税の収入金額(申告書第3表㋢の欄)に,それぞれ計上されている。また,平成23年分確定申告書等はいずれも税理士法人山田&パートナーズにより作成,提出されている。 (イ) また,原告は,平成23年分更正請求書において,本件JPM配当 金に係る配当所得を総合課税から申告分離課税の適用を受けるものに変更する旨記載するとともに,新たにBanquePictet&CieSAに開設した取引口座を通じて支払を受けた配当金(別紙2別表2順号4に記載のもの。以下「Pictet配当金」という。)に係る配当所得を申告分離課税の適用を受けるものとして記載し,これらの配 当所得について,平成23年分更正請求書に添付した平成23年分の所得税の確定申告書付表において本年分の損益通算前の分離課税配当所得金額として加えた。 エ平成24年分の所得税(甲7,9,弁論の全趣旨)(ア) 平成24年分確定申告書の所得の内訳書においては,一休配当金, UBS証券優先出資配当金及び本件JPM配当金については,「[総合課税の所得]」との記載の下に,「所得の種類」欄に「配当所得」の文字が丸で囲まれずに記載され,本件各国内払配当金(別紙2別表2順号7ないし11の金融機関に係るものに限る。)については,「[分離課税の所得]」との記載の下に,「所得の種類」欄に「配当所得」の文字 が丸で囲まれて記載されている。 そして,平成24年分確定申告書においては,上記「所得の種類」欄の「配当所得」の文字が丸で囲まれていない配当金に係る収入金額については総合課税の収入金額(申告書第1表㋔の欄)に,これが丸で囲まれている配当金に係る収入金額については申告分離課税の収入金 種類」欄の「配当所得」の文字が丸で囲まれていない配当金に係る収入金額については総合課税の収入金額(申告書第1表㋔の欄)に,これが丸で囲まれている配当金に係る収入金額については申告分離課税の収入金額(申 告書第3表㋢の欄)に,それぞれ計上されている。また,平成24年分 確定申告書は税理士法人K・T・Twoにより作成,提出されている。 (イ) また,原告は,平成24年分更正請求書において,本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税から申告分離課税の適用を受けるものに変更する旨記載するとともに,新たにPictet配当金に係る配当所得を申告分離課税の適用を受けるものとして記載し,これらの配当所得に ついて,平成24年分更正請求書に添付した平成24年分の所得税の確定申告書付表において本年分の損益通算前の分離課税配当所得金額として加えた。 (3) 別紙2別表2に記載の各配当金と措置法8条の4第1項該当性について別紙2別表2に記載の各配当金のうち,一休配当金及びUBS証券優先出 資配当金は,措置法8条の4第1項に規定する上場株式等の配当等には該当せず,本件JPM配当金,Pictet配当金及び本件各国内払配当金は,上場株式等の配当等に該当する(甲14,弁論の全趣旨)。 (4) 本件各更正処分等の内容ア本件各更正処分等の内容は,別紙3別表1ないし3の「更正処分等」欄 に記載のとおりである。 イ本件各更正処分においては,原告が本件各確定申告等において申告分離課税の対象とした本件各国内払配当金に係る配当所得につき,いずれも総合課税の対象とすべきものであるとして,本件各国内払配当金に係る配当所得の金額全額が,申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額から 減算されるとともに,同額が総合課税の配当所 ,いずれも総合課税の対象とすべきものであるとして,本件各国内払配当金に係る配当所得の金額全額が,申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額から 減算されるとともに,同額が総合課税の配当所得の金額に加算された。また,平成23年分更正処分及び平成24年分更正処分では,平成23年分修正申告及び平成24年分確定申告において計上されていなかったPictet配当金に係る配当所得が,総合課税の配当所得の金額に加算されるとともに,BanquePictet&CieSAでの取引に係る利 子所得,雑所得及び株式等の譲渡所得(損失)の金額が計上された。(甲 3,12,13) 3 被告の主張する所得税額被告が本件訴訟において主張する原告の各年分の納付すべき所得税額は,別紙2別表1に記載のとおりであり,いずれも本件各更正処分の金額を上回るものである。 4 争点(1) 平成22年分当初申告,平成23年分当初申告及び平成24年分確定申告(以下「本件各当初申告等」という。)によって本件各国内払配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第2項該当性) (2) 本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることの可否(3) 本件各更正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配当金及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第1項の「確定申告書を提出したとき」の意義) 5 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(本件各当初申告等によって本件各国内払配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第2項該当性))に 5 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(本件各当初申告等によって本件各国内払配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第2項該当性))について(被告の主張) 居住者が本件特例の適用を受けるためには,①支払を受けるべき上場株式等の配当等を有すること,②当該上場株式等の配当等に係る配当所得につき措置法8条の4第1項の規定の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したこと,③同一年中に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について所得税法22条及び89条の適用(以下「総合課税の 適用」という。)を受けていないこと(措置法8条の4第2項)の各要件を 満たす必要がある。 原告は,平成22年分当初申告書,平成23年分当初申告書及び平成24年分確定申告書(以下,これらを併せて「本件各当初申告書等」という。)のいずれにおいても,上場株式等の配当等に当たる本件各国内払配当金に係る配当所得については申告分離課税の適用対象として記載しているものの, 同じく上場株式等の配当等に当たる本件JPM配当金に係る配当所得については総合課税の適用対象として記載している。そうすると,原告は,本件各当初申告等により,同一年中に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について総合課税の適用を受けているから,上記③の要件を欠く。 したがって,本件各当初申告等によって本件各国内払配当金に係る配当所 得につき本件特例の適用を受けることはできない。 (原告の主張)ア措置法8条の4第2項における総合課税の適用を受けた場合とは,納税者が自らの選択意思により総合課税の適用を選択した場合に限られ,国税通則法23条1項1号に該当する法令解釈又は計算 原告の主張)ア措置法8条の4第2項における総合課税の適用を受けた場合とは,納税者が自らの選択意思により総合課税の適用を選択した場合に限られ,国税通則法23条1項1号に該当する法令解釈又は計算の誤りがある場合はこ れに当たらない。 本件各当初申告等において,原告は,措置法8条の4第1項の上場株式等の配当等は,措置法37条の12の2と同様,金融商品取引業者を通じて取引がされるものに限定されると誤信していたものであり,このことは,原告が同じ外国金融市場で取引されている同じ銘柄の株式等であっても 金融商品取引業者以外が取り扱った場合のみを申告分離課税の対象外として本件各当初申告等をしていることからも裏付けられる。また,本件JPM配当金に係る配当所得につき適用される税率は,総合課税の適用対象とした場合は最高税率の40パーセントであるのに対し,申告分離課税の適用対象とした場合は7パーセントにとどまる上,本件JPM配当金は外 国法人からの配当金であるため,課税方法の選択にかかわらず配当控除の 対象外となるから,原告が総合課税の適用を選択するメリットは何もなくデメリットしかないのであり,本件JPM配当金が上場株式等の配当等に該当することを正しく認識していれば,申告分離課税の適用を選択していたことは明らかである。 このように,原告は,本件各当初申告等において,錯誤により本件JP M配当金が上場株式等の配当等には該当しないと誤信し,本件JPM配当金に係る配当所得には総合課税が強制適用されるものと考えて総合課税の対象となる配当所得として計上したものであり,原告自らの選択意思により総合課税の適用を選択してはいない。 イまた,本件特例の適用を受けるための確定申告書の記載方法は,所得の 内訳書の「所得の種類」 る配当所得として計上したものであり,原告自らの選択意思により総合課税の適用を選択してはいない。 イまた,本件特例の適用を受けるための確定申告書の記載方法は,所得の 内訳書の「所得の種類」欄に「配当」と記載し,その「配当」という文字を丸で囲むことによるとされているが,所得の内訳書に記載された配当が,上場株式等の配当等に該当するか否かが明示される様式となっていない。 そのため,所得の内訳書の外形上,「配当」の文字が丸で囲まれている配当所得については本件特例の適用を選択したことが表示されるが,「配当」 の文字が丸で囲まれていない配当所得については,上場株式等の配当等に該当するものについて総合課税の適用を選択したのか,上場株式等の配当等に該当しないために法令上当然に総合課税の適用がされたものか,あるいは,上場株式等の配当等に該当しないと錯誤したために法令上当然に総合課税の適用となると錯誤したのか,区別ができない。 したがって,原告が本件各当初申告書等の所得の内訳書において,本件JPM配当金につき「配当」の文字を丸で囲んでいないことをもって,総合課税の適用を選択したことにはならない。 ウよって,本件各当初申告等において,本件JPM配当金に係る配当所得につき総合課税の適用を受けた場合には当たらず,措置法8条の4第2項 に該当しないから,本件各当初申告等によって本件各国内払配当金に係る 配当所得につき本件特例の適用を受けることができる。 (2) 争点(2)(本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることの可否)について(原告の主張) ア国税通則法23条1項1号が定める事由には,税額等の計算の誤りのみならず,税法の解釈の誤りに 告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることの可否)について(原告の主張) ア国税通則法23条1項1号が定める事由には,税額等の計算の誤りのみならず,税法の解釈の誤りによって納税者が措置法8条の4第1項のような選択規定の適用を誤った場合も含まれる。 そして,当初申告要件(当初の確定申告時に選択した場合に限り適用が可能となる旨の要件をいう。以下同じ。)が課されている選択規定であっ たとしても,当該当初申告要件等の趣旨に反しない場合には,選択規定の適用を誤ったことについて更正の請求が認められる。 イ本件では,原告は,上記(1)(原告の主張)アのとおり,本件JPM配当金について,上場株式等の配当等の該当性につき法令解釈を誤り,総合課税の適用により所得税を計算するという計算の誤りがあったのであるから, 国税通則法23条1項1号の事由に当たり,本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることができる。 また,仮に本件特例につき当初申告要件が課されていると解したとしても,本件各更正の請求は,事後的に申告分離課税の適用を選択し直すとい うものではなく,その当初申告要件の趣旨に反するものではないため,更正の請求をすることができる。 ウなお,被告は,原告には本件JPM配当金が上場株式等の配当等に該当するかについての錯誤はなかったこと等を主張するが,本件各通知処分に付記された理由は,上場株式等の配当等に係る配当所得について総合課税 の適用を選択して申告していること,すなわち措置法8条の4第2項に該 当することであり,これと異なる理由をいう上記被告の主張は,理由の差替えとして許されない。 (被告の主張)ア本件各当 を選択して申告していること,すなわち措置法8条の4第2項に該 当することであり,これと異なる理由をいう上記被告の主張は,理由の差替えとして許されない。 (被告の主張)ア本件各当初申告書等の所得の内訳書において,本件JPM配当金に係る配当所得については「所得の種類」欄に記載の「配当」あるいは「配当所 得」の文字が丸で囲まれていないなどの記載内容からは,原告が本件JPM配当金に係る配当所得は上場株式等の配当等に係る配当所得に該当しないという誤った認識を有していたことはうかがわれない上,確定申告に係る各種手引には上場株式等の配当等に係る配当所得についての申告方法等の説明がされていることや,本件各当初申告書等はいずれも税務の専門家 である税理士法人により作成されたものであることなどからすると,本件各当初申告等において,本件JPM配当金に係る配当所得につき総合課税の適用対象としたことについて原告に錯誤があったとは考え難い。 イまた,後記(3)(被告の主張)のとおり,本件特例の適用を受けるためには当初申告においてその要件を満たす必要があり,これを更正の請求によ り事後的に変更することはできない。 ウしたがって,本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることはできない。 (3) 争点(3)(本件各更正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配 当金及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第1項の「確定申告書を提出したとき」の意義))について(原告の主張)ア措置法8条の4第1項の規定では,当初申告時に選択をした場合に限り 本件特例を適用するといった文言がな 条の4第1項の「確定申告書を提出したとき」の意義))について(原告の主張)ア措置法8条の4第1項の規定では,当初申告時に選択をした場合に限り 本件特例を適用するといった文言がないから,その文理上,当初申告要件 は設けられていないというべきであり,これは,当初申告要件が課されている他の規定の文言に照らしても明らかである。また,措置法通達8の4-1が,措置法8条の4第1項の規定を適用したところにより確定申告書を提出した場合には,その後においてその者が更正の請求をし,又は修正申告書を提出するときにおいても,同項の規定を適用するとしているのは, 確定申告時における納税者の選択意思が更正の請求等においても及ぶことを前提に,修正申告又は更正の請求の対象となっている上場株式等の配当等については,確定申告書上に措置法8条の4第1項の規定を適用した旨の記載があるか否かにかかわらず,当該上場株式等の配当等以外の上場株式等の配当等について同項の規定を選択適用していれば,本件特例の適用 が受けられることを明らかにしているものであり,当初申告要件が課されていないことが明らかである。 イ本件では,原告は,本件各更正請求書において,本件各国内払配当金のほか本件JPM配当金及びPictet配当金についても申告分離課税の適用対象とする旨を記載しており,これらをもって本件特例の適用を受け ようとする旨の記載ある確定申告書を提出したといえるから,本件各更正の請求によって,本件各国内払配当金に加え,本件JPM配当金及びPictet配当金についてもこれらに係る配当所得につき本件特例の適用を受けることができる。 (被告の主張) 本件特例の適用に関し,当初申告において上場株式等の配当等に係る配当所得につき総合課税の 配当金についてもこれらに係る配当所得につき本件特例の適用を受けることができる。 (被告の主張) 本件特例の適用に関し,当初申告において上場株式等の配当等に係る配当所得につき総合課税の適用を受けた場合に,更正の請求や修正申告によって事後的にこれを変更することができる旨を定めた規定は,所得税法及び措置法上設けられていないから,本件特例は,当初申告において上記(1)(被告の主張)の①~③の適用要件をいずれも満たした場合に限り適用されるもので ある。 また,措置法通達8の4-1の定めは,本件特例を適用する確定申告書を提出した後に修正申告又は更正の請求をする場合に,事後的に総合課税の適用対象へと変更することはできないことを留意的に明らかにしたものであり,更正の請求により事後的に本件特例の適用を受けられるように変更することを認める趣旨ではない。 したがって,本件各更正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配当金及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることはできない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各当初申告等によって本件各国内払配当金に係る配当所得に つき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第2項該当性))について(1) 本件特例の概要等(甲18,乙13)本件特例は,居住者が平成21年1月1日以後に受けるべき上場株式等の配当等を有する場合に,当該上場株式等の配当等に係る配当所得につき,本 件特例の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したときには,他の所得と区分して,その年中の当該上場株式等に係る配当所得の金額に対し,総合課税の適用による場合とは異なる税率により所得税を課するというものであり(措置法8条の4第1項 申告書を提出したときには,他の所得と区分して,その年中の当該上場株式等に係る配当所得の金額に対し,総合課税の適用による場合とは異なる税率により所得税を課するというものであり(措置法8条の4第1項),総合課税の適用のほかに申告分離課税の適用を選択できるという制度である。 その沿革としては,「金融所得課税の一体化」の政策課題の達成に向けた平成20年度税制改正において,上場株式等に係る配当所得の金額及び譲渡所得等に対する10パーセントの軽減税率を廃止するとともに,上場株式等の譲渡損失と配当所得との間の損益通算の仕組みが導入されることとされたが,上場株式等の譲渡所得については申告分離課税によることが可能であっ たところ,この上場株式等の譲渡損失と配当所得との間の損益通算を導入す るに当たって課税方式の均衡化を図る必要があったことから,上場株式等の配当所得についても,その課税方式を申告分離課税とする特例(本件特例)が創設されたというものである。 上場株式等の配当等に係る配当所得につき,総合課税の適用を受ける場合と申告分離課税の適用を受ける場合とではその適用税率が異なるほか,総合 課税の場合には,配当控除(所得税法92条1項)が適用されるのに対し,申告分離課税の場合には,配当控除の適用がない(措置法8条の4第1項後段)点や,総合課税の場合には,株式等について,原則として株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上損失の金額が生じてもその損失の金額はなかったものとみなされる(措置法37条の10第1項後段)のに対し,申告分離課 税の場合には,上場株式等に係る譲渡損失の金額について,その損失が生じた年の上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができ,上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能となる(措置法37条の12の 税の場合には,上場株式等に係る譲渡損失の金額について,その損失が生じた年の上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができ,上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能となる(措置法37条の12の2第1項)という点に違いがあるといえる。 (2) 本件各当初申告等によって本件特例の適用を受けることの可否 ア措置法8条の4第2項は,居住者がその年中に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について総合課税の適用を受けた場合には,その者がその同一の年中に支払を受けるべき他の上場株式等の配当等に係る配当所得については,本件特例を適用しない旨を定めるところ,上記(1)で述べたところによれば,その制度上,上場株式等の配当等に係る配当 所得のうち,一部については上場株式等に係る譲渡損失との損益通算をしつつ,他の部分について配当控除の適用を受けるといったことは相当でないというべきであり,同項の趣旨には,上場株式等の配当等に係る配当所得について,申告分離課税の適用により上場株式等に係る譲渡損失との損益通算をする場合にはその年中に受ける全ての上場株式等の配当等に係 る配当所得についてしなければならないこととし,その一部でも総合課税 の適用を受けた場合には,当該年中の上場株式等の配当等に係る配当所得全体について総合課税の適用を受けることとして,上記のような事態が生ずることを回避するということがあると解される。 そうすると,確定申告において,上場株式等の配当等に係る配当所得につき,現に総合課税の適用を受けたものがある以上は,措置法8条の4第 2項にいう総合課税の適用を受けた場合に該当するというべきである。 この点につき原告は,同項に該当するのは納税者が自らの選択意思により総合課税 けたものがある以上は,措置法8条の4第 2項にいう総合課税の適用を受けた場合に該当するというべきである。 この点につき原告は,同項に該当するのは納税者が自らの選択意思により総合課税の適用を選択した場合に限られるとし,要するに,誤信や誤解のない意思によってこれを選択したことが必要であるとの主張をするが,同項の文言からは,現に総合課税の適用を受けていることをもって足り, 納税者の内心の意思内容等が要件として加えられてはいないと解するのが自然であるし,申告書からは看取できない納税者の誤信や誤解の有無という主観的事情により本件特例の適用が左右されるとすれば,確定申告による租税債務の確実かつ迅速な確定という要請を害することになるというべきであるから,当該原告の主張は採用できない。 イ本件では,前記前提事実(2)イ,ウ(ア)及びエ(ア)のとおり本件各当初申告書等の所得の内訳書において,上場株式等の配当等に該当する本件JPM配当金につき「所得の種類」欄に記載された「配当」又は「配当所得」の文字が丸で囲まれておらず,かつ,本件JPM配当金に係る収入金額が総合課税の収入金額に計上されているから,これにつき総合課税の適用を 受けていることは明らかであり,本件各当初申告等において,上場株式等の配当等に係る配当所得について現に総合課税の適用を受けているものといえ,措置法8条の4第2項に該当するといえる。なお,原告は「所得の種類」欄の「配当」又は「配当所得」の文字を丸で囲まなかったのみでは,総合課税の適用を外形的に表示したことにはならない旨の主張をする が,上記に述べたところに加え,後記2で説示するとおり,本件各当初申 告書等の記載自体に錯誤があるとは認められないことからすれば,本件各当初申告等に ことにはならない旨の主張をする が,上記に述べたところに加え,後記2で説示するとおり,本件各当初申 告書等の記載自体に錯誤があるとは認められないことからすれば,本件各当初申告等において本件JPM配当金に係る配当所得が総合課税の適用を受けていることは客観的に明らかというべきであり,原告の主張は失当である。 ウよって,原告は本件各当初申告等において,上場株式等の配当等である 本件JPM配当金に係る配当所得について総合課税の適用を受けており,措置法8条の4第2項に該当するから,本件当初申告等によって他の上場株式等の配当等に当たる本件各国内払配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることはできない。 2 争点(2)(本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告 分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることの可否)について(1) 原告は,本件JPM配当金は措置法8条の4第1項の上場株式等の配当等に該当しないと誤信してこれに係る配当所得を総合課税の適用対象としたことが国税通則法23条1項1号の事由に当たるとして,本件各更正の請求により,本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分 離課税の適用対象に変更できる旨を主張する。 (2)アこの点,前記前提事実(2)イ,ウ(ア)及びエ(ア)によれば,本件各確定申告書等において,本件各国内払配当金に係る配当所得については申告分離課税の適用対象として記載がされている一方,本件JPM配当金に係る配当所得については,総合課税の適用対象として記載がされている。 イところで,前記1(1)のとおり,上場株式等の配当等に係る配当所得については総合課税の適用と申告分離課税の適用とを選択することができるところ,措置法8 適用対象として記載がされている。 イところで,前記1(1)のとおり,上場株式等の配当等に係る配当所得については総合課税の適用と申告分離課税の適用とを選択することができるところ,措置法8条の4第2項が,その年中に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得について総合課税の適用を受けた場合に,同一の年中に支払を受けるべき他の上場株式等の配当等に係る配当所得について は,本件特例を適用しない旨を定めていることからすれば,同項の適用場 面となる前提として,同一の年中に支払を受けるべき上場株式等の配当等に係る配当所得の一部のみが総合課税の適用対象として確定申告がされる場合があることが想定されていると解されるから,そのような確定申告書の記載をもって法律の規定に反するものであるとはいえない。そうすると,本件各確定申告書等において,上場株式等の配当等である本件各国内払配 当金に係る配当所得につき申告分離課税の適用対象として記載しつつ,本件JPM配当金に係る配当所得については総合課税の適用対象として記載したとしても,そのこと自体,何ら国税に関する法律の規定に反するものではないというべきであり,また計算を誤ったものであるということもできない。 さらに,前記前提事実(2)イ,ウ(ア)及びエ(ア)のとおり,本件各確定申告書等においては,本件JPM配当金につき「所得の種類」欄に記載した「配当」又は「配当所得」の文字を丸で囲んでいないということに加えて,本件JPM配当金に係る収入金額を総合課税の収入金額として計上していることや,当該申告書がいずれも税務の専門家である税理士法人により作 成されていることからすれば,原告は,本件JPM配当金に係る配当所得につき,申告分離課税の適用対象とするつもりで誤って逆 いることや,当該申告書がいずれも税務の専門家である税理士法人により作 成されていることからすれば,原告は,本件JPM配当金に係る配当所得につき,申告分離課税の適用対象とするつもりで誤って逆の記載をしたというようなものではなく,総合課税の適用対象とする認識で,上記の本件各確定申告書等の記載をしたものと認めるのが相当であり,上記(1)の原告が主張する誤信は単に法律の理解を誤っていたといういわば表示されない 動機の錯誤と評すべきものにすぎず,本件各確定申告書等の記載についての錯誤であるということはできない。 なお,原告は,被告による本件JPM配当金についての錯誤の有無に関する主張が理由の差替えに当たり許されない旨主張するが,当該原告の主張は,平成23年分更正処分及び平成24年分更正処分に包摂されてもは や取消しを求める利益のない本件各通知処分に付されていた理由と,被告 が本件訴訟においてこれらの更正処分の適法性を基礎付ける理由として主張する内容とを比較しようとするものであって,比較の対象を誤っており,失当である。 (3) したがって,本件各確定申告書等において本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用を受けるものとしたことについて,課税標準等若しく は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っておらず,又は当該計算に誤りがあったということはできないから,国税通則法23条1項1号には該当せず,本件JPM配当金に係る配当所得を総合課税の適用対象から申告分離課税の適用対象に変更するために更正の請求をすることはできない。 3 争点(3)(本件各更正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配当金 及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第1 はできない。 3 争点(3)(本件各更正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配当金 及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることの可否(措置法8条の4第1項の「確定申告書を提出したとき」の意義))について(1) 原告は,本件各更正請求書において,本件JPM配当金やPictet配当金に係る配当所得についても申告分離課税の適用を受けるものとして記載 している(前記前提事実(2)ウ(イ)及びエ(イ))ところ,このことをもって本件特例の適用を受けることができる旨の主張をする。 (2) しかしながら,措置法8条の4第1項は,本件特例の適用要件として,当該上場株式等の配当等に係る配当所得につき同項の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したときと定めているところ,確定申告書と は,所得税法第2編第5章第2節第1款及び第2款の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいい(措置法2条1項10号,所得税法2条1項37号),これと別に定義されている更正の請求に係る更正請求書(措置法2条1項16号,国税通則法23条3項)が確定申告書に当たらないことは文理上明らかというべきであり,また,本件特例については, 確定申告書にその適用を受けようとする旨の記載がなかった場合であっても その適用を可能とするような救済規定も設けられていない。なお,原告は措置法通達8の4-1についての主張もするが,当該通達は,確定申告の時点で申告分離課税の適用を選択した場合には,その後の更正の請求や修正申告書の提出においても申告分離課税によることになることを留意的に明らかにしたもの(甲25)であり,本件特例を適用せず確定申告をした場合であっ ても,更正の請求において申告分離課 正の請求や修正申告書の提出においても申告分離課税によることになることを留意的に明らかにしたもの(甲25)であり,本件特例を適用せず確定申告をした場合であっ ても,更正の請求において申告分離課税の適用を受けることとすれば本件特例の適用を受けることができるという趣旨でないことは明らかである。 そして,前記2に説示したところによれば,本件各更正の請求によって,当初の確定申告書の提出の当時から本件JPM配当金に係る配当所得が申告分離課税の適用対象とされていたことにすることができないことも明らかで ある。 (3) したがって,本件各更正請求書において本件JPM配当金及びPictet配当金に係る配当所得を新たに申告分離課税の適用を受けるものとして記載したとしても,措置法8条の4第1項の本件特例の適用を受けようとする旨の記載のある確定申告書を提出したときには該当しないから,本件各更 正の請求によって本件各国内払配当金,本件JPM配当金及びPictet配当金に係る配当所得につき本件特例の適用を受けることはできないというべきである。 4 本件各更正処分等の適法性について以上に説示したところによれば,本件各国内払配当金,本件JPM配当金及 びPictet配当金に係る配当所得について,いずれも本件特例は適用されず,総合課税の適用対象とすべきものであるということができ,これを前提とすると,原告が納付すべき平成22年分,平成23年分及び平成24年分の所得税の額は別紙2別表1のとおりに計算されることが認められる(弁論の全趣旨)。そして,本件各更正処分における税額は,別紙2別表1に記載の金額を 下回るものであるから,本件各更正処分はいずれも適法であると認められる。 また,本件各更正処分に基づいて, 。そして,本件各更正処分における税額は,別紙2別表1に記載の金額を 下回るものであるから,本件各更正処分はいずれも適法であると認められる。 また,本件各更正処分に基づいて,これらに係る過少申告加算税の額を計算すると,別紙3別表1ないし3の「過少申告加算税の額」欄に記載の金額のとおりとなることが認められ(弁論の全趣旨),これらは本件各賦課決定処分における税額と同額であるから,本件各賦課決定処分もまたいずれも適法であると認められる。 5 以上によれば,原告の請求にはいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官大畠崇史 裁判官古屋勇児(別紙2省略) (別紙3省略)

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