【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役八月に処する。 原審における訴訟費用は被告人の負担とし差戻前の第一審における訴訟 費用は被告人及び同審相被告人Aの連帯負担と
主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役八月に処する。 原審における訴訟費用は被告人の負担とし差戻前の第一審における訴訟費用は被告人及び同審相被告人Aの連帯負担とする 理由 弁護人島秀一の控訴趣意は本件記録に綴つている控訴趣意書記載のとおりであるから引用する。 控訴趣意第四点について。 訴因の予備的又は択一的追加とは両者ともに起訴後において起訴に係る本来の訴因にこれと基本事実を同じうする訴因を追加することであるが、前者は第一次的には本来の訴因について審判を求め、これが認められたい場合において第二次的に追加した訴因について審判を求める趣旨であり、後者は本来の訴因及び追加した訴因のうちこれを認め得るいずれか一つの訴因について審判を求める趣旨であると解すべきであつて、訴因を予備的に追加するか或は択一的に追加するかは検察官の自由なる意思に委ねられているのであり、訴因の本質すなわち本来の訴因と追加すべき訴因とが所論にいわゆる両立するか相反撥するかに拘束さるべきものではない。それ故、原審第二回公判調書により明らかなように同公判期日において検察官が原審裁判官の許可を得て本来の訴因である窃盗未遂の訴因に対しこれと基本事実を同じうする窃盗既遂の訴因を予備的に追加したのは適法であること勿論であるから、原審の訴訟手続には所論のような違法がない。論旨は弁護人独自の見解に基くものであつて、採用に値しない。 同第一点について原判決が検察事務官(検察官事務取扱)作成に係る被告人の第二回供述調書を証拠に引用していることは所論のとおりである。 しかし昭和二五年一二月二二日附原審第一回公判調書によれば同公判期日において検察官から右供述調書の取調を請求し被告人においてその供述は任意になしたものでその調書 していることは所論のとおりである。 しかし昭和二五年一二月二二日附原審第一回公判調書によれば同公判期日において検察官から右供述調書の取調を請求し被告人においてその供述は任意になしたものでその調書は読聞かされて署名拇印したものである旨述べ弁護人とともにこれを証拠とすることに同意していることが明らがであり、記録を調査しても他に被告人の右供述が任意にされたものでないことを疑うべき資料がないから、同供述調書に記載する被告人の供述は任意性を有するものといわなければならない。それ故、右供述調書は証拠能力を有し原判決がこれを採証したのは適法であつて、原判決には所論のような違法がないから、本論旨も理由がない。 同第二点について。 原判決は本件犯罪の証拠として五条簡易裁判所(差戻前の第一審)の被告人B及び同Aに対する窃盗未遂被告事件の昭和二四年一二月二三日附第三回公判調書を挙げているのであるが、同公判調書を調査すると該調書中には証人Cの供述、被告人及び差戻前の第一審相被告人Aの供述その他が記載されていて、右相被告人Aの供述は同人が被告人と共に本件犯行を左したことを自白するもの被告人の供述はこれを否定するもの証人Cの供述は被告人の供述に添う事後の状況等に関するものであるからその内容は互に矛盾牴触しいずれかを取捨選択しなければ一定の事実を認定する資料とすることができない。 <要旨>刑事訴訟法第三三五条第一項にいわゆる証拠の標目は罪となるべき事実の全部或は一部を認定するに足る資料</要旨>の標目であることを必要とするのであるからたとえ同一の公判調書であつてもその中に数人の供述記載があつてそれぞれ供述内容を異にする場合仮に甲の供述部分だけを証拠とする趣旨であれば該証拠の標目は右公判調書中甲の供述記載として公判調書の一部分に限定すべきは当然である。それ故前 中に数人の供述記載があつてそれぞれ供述内容を異にする場合仮に甲の供述部分だけを証拠とする趣旨であれば該証拠の標目は右公判調書中甲の供述記載として公判調書の一部分に限定すべきは当然である。それ故前記のような公判調書を漫然証拠の標目として挙示した原判決は同法条の趣旨を誤解し証拠理由不備の違法あるものに帰するから本論旨は理由あり、原判決は到底破棄を免れない。 よつて控訴趣意第三点に対する判断を省略し刑事訴訟法第三九七条第三七八条第四号に従い原判決を破棄し、なお同法第四〇〇条但書第四〇四条により当裁判所において更に判決をすることとする。 罪となるべき事実は原判決摘示の事実と同じであるからこれを引用する。 右の事実は一、 被告人の検察官事務取扱検察事務官に対する第二回供述調書中同人の供述記載一、 差戻前の第一審における第三回公判調書中同審相被告人Aの供述記載一、 差戻前の第一審における証人Dに対する証人尋問調書中同人の供述記載一、 差戻前の第一審における検証調書の記載一、 Eの司法警察員に対する供述調書中同人の供述記載を綜合してこれを認める。 法律に照らすに、被告人の右所為は刑法第二三五条第六〇条に該当するから、その所定刑期範囲内で被告人を懲役八月に処し、訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一八二条を適用して主文第二項掲記のように被告人にこれを負担させることとする。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長判事富田仲次郎判事棚木靱雄判事入江菊之助)
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