昭和52(行ウ)6 北辰電機製作所救済命令取消

裁判年月日・裁判所
昭和56年10月22日 東京地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 一 都労委昭和四七年不第四二号事件について被告が昭和五一年一二月七日付でし た命令は、右命令主文第二項においてP1を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格さ せ同時期より手当、退職金算出にあた

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主文 一都労委昭和四七年不第四二号事件について被告が昭和五一年一二月七日付でした命令は、右命令主文第二項においてP1を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させ同時期より手当、退職金算出にあたりその資格あるものとして取り扱い差額を支払うことを命じた部分を除き、これを取り消す。 二原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は被告の負担とし、参加によつて生じた費用は参加人らの負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一原告 1 都労委昭和四七年不第四二号事件について被告が昭和五一年一二月七日付でした命令は、これを取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二被告 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 本件命令参加人ら及び訴外P2(以下「申立人ら」という。なお、右のうちP1以下一九名の自然人のみをさして「申立人ら」ということもある。)は、被告に対し、原告を被申立人として不当労働行為救済の申立てをしたところ(都労委昭和四七年不第四二号事件)、被告は、昭和五一年一二月七日付で次の命令(以下「本件命令」という。)を発し、右命令書の写は同月二七日原告に交付された。 (一) 被申立人株式会社北辰電機製作所は、申立人P1ら一九名に対して、昭和四六年度昇給考課および夏季賞与考課の考課点を後記目録のとおり是正し、是正された考課点を基礎として、同人らの昇給査定額および夏季賞与査定額を決定し、その差額を支払わなければならない。 (二) 被申立人会社は、申立人P1、同P3、同P4、同P5、同P6、同P7、同P8、同P9、同P10、同P11、同P12を、昭和四六年六月に遡つてそれぞれ主事補に昇格させ、同時期より手当、退職金算出にあたり、その資格あるものとして取扱い、差額を 、同P5、同P6、同P7、同P8、同P9、同P10、同P11、同P12を、昭和四六年六月に遡つてそれぞれ主事補に昇格させ、同時期より手当、退職金算出にあたり、その資格あるものとして取扱い、差額を支払わなければならない。 (三) 被申立人会社は、今後申立人組合所属の組合員に対し、申立人組合の組合員であること、申立人組合の組合活動をしたことの故をもつて昇格、昇給、賞与につき差別してはならない。 (四) 被申立人会社は、本命令書受領後一週間以内に五五センチメートル×八〇センチメートル(新聞紙二頁大)の白紙に下記のとおり明瞭に墨書して、本社正門の従業員の見易い場所に、一〇日間掲示しなければならない。 記昭和年月日日本労働組合総評議会全国金属労働組合中央執行委員長 P13殿日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部執行委員長 P14殿日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部執行委員長 P15殿株式会社北辰電機製作所代表取締役 P16当社が、貴組合の組合員に対し、昭和四六年度昇格、昇給、夏季賞与の査定にあたり差別したことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後は、このようなことのないよう留意いたします。 この掲示は、同地方労働委員会の命令によって行なうものであります。 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。)(五) 被申立人会社は、第三項を除く前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に報告しなければならない。 (六) その余の申立てを棄却する。 目録<20487-001><20487-002> 2 しかし、本件命令は違法であるから、その取消しを求める。 二請求原因に対する被告及び参加人らの認否請求原因第1項の事実は認める。 三本件命令の適法性に 87-001><20487-002> 2 しかし、本件命令は違法であるから、その取消しを求める。 二請求原因に対する被告及び参加人らの認否請求原因第1項の事実は認める。 三本件命令の適法性についての被告及び参加人らの主張被告の認定した事実は、別紙命令書(以下「命令書」という。)理由「第1 認定した事実」欄(以下「命令書事実欄」という。)記載のとおりであり、また、被告のした法律上の判断は、命令書理由「第2 判断」欄(以下「命令書判断欄」という。)記載のとおりである。被告のしたこれらの事実認定及び法律上の判断には何らの瑕疵もないから、本件命令は適法である。 四被告及び参加人らの主張(命令書事実欄記載の事実)に対する原告の認否1(一) 1(当事者等)(1)の事実中、申立人らの原告会社(以下、単に「会社」という。)への入社年月日、学歴及び卒年は認め、その余は不知ないし争う。 (二) 1(2)の事実は、認める。 (三) 1(3)の事実は、争う。 会社は、訴外北辰電機労働組合(以下、「北辰労組」という。)から、昭和四七年三月二日以前の日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部(以下、「支部」という。)が同日上部団体たる日本労働組合総評議会全国金属労働組合(以下、「全金」という。)から組織単位で脱退しその名称を「北辰電機労働組合」と変更したとの通知を受け、かつ、同組合から右脱退・名称変更の手続及びその根拠について首肯するに足りる説明を受けた。よつて、会社としても、北辰労組を支部と組織体としての同一性を失わず、単に上部団体を脱退し名称変更を行つたにすぎないものとして取り扱つている。他方、P1ら一九名を含む一部組合員は、全金は個人加盟の労働組合であるとの見解から同日以降独自の組合を名乗つているが、右P1らは右のような見解の具体 変更を行つたにすぎないものとして取り扱つている。他方、P1ら一九名を含む一部組合員は、全金は個人加盟の労働組合であるとの見解から同日以降独自の組合を名乗つているが、右P1らは右のような見解の具体的根拠について会社に対し何らの説明も行つていない。同日以前の前記支部の規約及び同支部がかつて全金に加盟した際の経緯等に照らし、会社が、右P1らの見解に疑問を持つたことは当然である。 2(一) 2(支部における二つの流れと会社対応)(1)の事実中、昭和四二年春闘において会社が支部の反対をおし切つて一括妥結を実現したとの点は否認し、同年七月の支部役員選挙に関する点は不知。その余は認める。 (二) 2(2)の事実中、支部の役員選挙が毎年七月に行われていたことは認める。昭和四五、六年当時支部内に意見の対立があつたことも認めるが、その実情についてはかならずしも会社には明らかではなかつた。 (三) 2(3)の事実中、「たけのこ」が誰の作成にかかるものかは不知。その余は認める。 「たけのこ」の記事に対する会社の抗議は同紙の明白な虚偽の記載に対するものであつてその訂正を求めるのは当然であり、また、立候補者の言動に関する会社の申入れも言論の自由の正当な行使である。 (四) 2(4)の事実は、認める。 3 3(昭和四六年春闘中の会社の不当労働行為(都労委昭和四六年不第五二号事件の認定した事実)の事実は、認める。 4(一) 4(昭和四六年度昇給及び夏季賞与における会社査定分の差別)(1)の事実は、認める。 (二) 4(2)の事実中、昭和四四ないし四六年度における申立人ら及び申立人らと同卒年者の昇給査定額が、概ね命令書記載の査定額分布図のとおりであることは認める。 ただし、各査定額分布図に黒丸印で示された少数の者のみが「全金派」であるとの点は否認し、かような分類を前提に らと同卒年者の昇給査定額が、概ね命令書記載の査定額分布図のとおりであることは認める。 ただし、各査定額分布図に黒丸印で示された少数の者のみが「全金派」であるとの点は否認し、かような分類を前提にして「全金派」の査定額の高低を論じた部分は争う。 (三) 4(3)の事実中、申立人らの昭和四六年度夏季一時金査定額が命令書記載の査定額分布図及び④の表のとおりであることは認め、その余は否認ないし争う。 (四) 4(4)の事実は、認める。 (五) 4(5)の事実は、認める。 5(一) 5(主事補昇格)(1)の事実は、認める。 ただし、主事補の資格付与基準としての「平均者」とは、その勤務成績及び人物の点において平均レベルに達している者を意味するのであつて、現実の主事補資格取得年齢の平均値が三二歳になるという趣旨ではない。 (二) 5(2)の事実は、認める。ただし、実名で記載された者のみが「全金派」であるとの点は争う。 五原告の反論本件命令は、次の理由により、違法な行政処分である。 1 審問手続上の違法(一) 主事補昇格差別についての誤りP1ら四名(昭和三一年高卒)について、本件命令申立人らは被告に対し昭和四五年六月に同人らを主事補に昇格させることを求めた。これに対して、被告は、本件命令第二項において、同人らを昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させることを命じたが、これは、申立人らの求めていない救済を与えたものであつて、違法である。 被告は、右の点につき、「申立人らが不当労働行為として主張する会社の行為は二様にとれ、第一次的には四五年六月に、第二次的には四六年六月に、P1らを昇格させなかつたことと解される。そして、前者は行為の日から一年を徒過しており、継続する行為であるとの特段の立証もないから、当労働委員会はこれを受けることができず、この点 には四六年六月に、P1らを昇格させなかつたことと解される。そして、前者は行為の日から一年を徒過しており、継続する行為であるとの特段の立証もないから、当労働委員会はこれを受けることができず、この点を却下し、したがつて以下四六年六月の昇格差別について判断する。」(命令書判断欄2(3)記載)としている。しかし、調査・審問の過程において、申立人らは右のような主張をしておらず、被告もまたこの点に関する釈明を求めていないのである。したがつて、被告は、昭和四六年六月の昇格差別について、申立人らに救済を与えることはできないといわねばならない。 (二) 申立人らの主張していない事実を認定した誤り被告は、申立人らが主張もせず争点ともしていない諸事実を、本件命令に重大な影響を及ぼす基本的事実として認定した。かかる事実認定は、被申立人たる原告の反対主張及び反証の機会を不当に奪つたものであつて、重大な手続違背である。 (1) 労働委員会における審問手続に狭義の弁論主義が適用されるべきであることは、成文法上の明文規定こそ存在しないものの、右審問手続が準司法作用というべきものであつて、その手続において手続的正義が十分に保障されていなければならないことからして、当然である。事件の争点となつている具体的事実が双方当事者に知らされ当該事実の認定により不利益を被る当事者に対して十分な防御の機会が与えられなければならないことは、手続的主義の最低限の要件のひとつといわなければならない。審問手続においても、民事訴訟におけるのと同様、主張・立証責任が存在しているのであり、また、調査手続において争点を具体的に明確にすることが要請されているのは、まさにその後の審問手続における当事者の防御権の行使を容易ならしめる点を配慮しているにほかならない。 (2) しかるに、被告は、申立人らが調査 おいて争点を具体的に明確にすることが要請されているのは、まさにその後の審問手続における当事者の防御権の行使を容易ならしめる点を配慮しているにほかならない。 (2) しかるに、被告は、申立人らが調査・審問手続においてまつたく具体的に主張していない事実を、認定した。 命令書事実欄2(支部における二つの流れと会社の対応)記載の事実は、申立人らが調査・審問手続においてまつたく具体的に主張していない事実である。被告は、右認定事実を基礎に、「……この傾向は、遅くとも四五年夏ごろから四六年春闘にかけて労使関係が険悪化したことと軌を一にするから、……会社は四六年度昇給査定において、申立人らが全金派であることを理由として、同人らを不利益に取り扱つたとの一応の推定が成り立つ。」(命令書判断欄1(2)①記載)、「……本件人事考課が行なわれた時期が、会社が支部の執行部を支配してきた全金派を弱体化し批判派への支援を意図していた四六年春闘であることは、本件人事考課が公正に行なわれたと推定することを一層困難にする。」(同1(2)②記載)、「……四四年度および四五年度の査定も、会社が全金派対策を講じはじめていた時期のものであつて、公正なものとはいい得ないから、これを基準とすることは適当でない。)(同1(2)③記載)など、本件命令に直接影響を及ぼす判断を行つた。申立人らが調査・審問手続において右のごとき背景論を全くといつてよいほど展開していない以上、被告としては、かかる認定を行おうとするならば、申立人らに対して右背景論を主張・立証するか否かについての釈明を行わせ、もし行うのであればその具体的内容を明らかにすることにより、被申立人たる原告に対し反対主張及び立証を行う機会を与えなければならない。しかるに、被告は、何らかかる措置をとることもなく慢然と調査・審問を行い、この あればその具体的内容を明らかにすることにより、被申立人たる原告に対し反対主張及び立証を行う機会を与えなければならない。しかるに、被告は、何らかかる措置をとることもなく慢然と調査・審問を行い、この点を明らかにしないまま前記のような背景論の事実認定を行つた。 命令書事実欄1(3)記載の、申立外北辰電機労働組合の結成等の事実についても、右と同じく、申立人らが何ら具体的主張を行つていないにもかかわらず、被告は、一方的に、前記北辰電機労働組合の結成等に関する同組合の見解を原告が支持しているという認定を行つた。 (3) 以上のとおり、被告のいわゆる背景論に関する部分の事実認定は、被申立人たる原告の反論の機会を奪つたうえで行われた不当なものであつて、重大な手続違背である。 2 被告の事実認定の誤り(被告の認定した「全金派」について)被告は、本件命令において、「全金の運動方針を支持するグループ」なるものを認定しこれを「全金派」と呼んでいる(命令書事実欄2(2)記載)。しかし、右「全金派」は、既に述べたとおり申立人らの主張がないにもかかわらず被告が一方的にその存在を認定したものである(前記1記載)ほか、その定義(どのような徴憑をとらえて当該組合員を「全金派」に属すると認定するのか。)及び範囲(当時、「全金派」に属する組合員が何人存在したのか。)が、以下に詳述するとおり、極めてあいまいなものである。被告は、全金の運動方針を支持するグループを概括的に「全金派」と定義したうえ、申立人らについて、同人らを「全金派」と認定した根拠を何ら示すことなく同人らを「全金派」に属するものと認定し、同人らの他にも多数存在したはずの「全金派」の存在を無視して「全金派」をP1ら極めて少数者に限定して、本件命令における判断を行つたものである。また、仮に被告のいう「全金派」な に属するものと認定し、同人らの他にも多数存在したはずの「全金派」の存在を無視して「全金派」をP1ら極めて少数者に限定して、本件命令における判断を行つたものである。また、仮に被告のいう「全金派」なるものが存在したとしても、当時、会社の従業員をもつて組織する労働組合は全金東京地方本部北辰電機支部ただひとつであり、しかも、大がかりな分派活動が公然と行われていた訳ではない以上、会社において申立人らを「全金派」に属するものと判断することは不可能であつた。 (一) 被告は、本件命令において、自ら作り出した「全金派」なる概念を「全金の運動方針を支持するグループ」と定義し、しかも、その構成員を申立人らに限定するかのごとき認定をしている。しかし、昭和四六年当時、会社には、全金東京地方本部北辰電機支部(「支部」)という組合員一七〇〇余名の単一組合が存在したのみで、このなかに別段、「全金派」と称する組織が存在した訳ではない。本件のような事件においては、P1ら一九名の申立人らがそれぞれどのような組合活動をいかなる程度に行い、しかも会社が右各人の活動を認識しえたか否か、更に会社がどのような対応をしたか等の点について、具体的な認定を不可欠とするものである。 しかるに、本件命令は、何故P1ら一九名を「全金派」と位置づけたか(更に、何故、同人ら以外の同卒年者をすべて「批判派」としたか)について、具体的認定を欠いている。そればかりか、全証拠を検討しても、かくのごとく認定する根拠は見い出すことができない。なかでも、P17、P2、P18、P9、P19の五名については、昭和四六年当時「全金派」の積極的活動家であつたと認めるに足りる証拠は全く存在しない。 (二) 昭和四六年当時、全金東京地方本部北辰電機支部(支部)のなかに、概括的に見て「二つの流れ」があつたことは、事実である。 「全金派」の積極的活動家であつたと認めるに足りる証拠は全く存在しない。 (二) 昭和四六年当時、全金東京地方本部北辰電機支部(支部)のなかに、概括的に見て「二つの流れ」があつたことは、事実である。当時支部内においては、「たけのこ」と「いずみ」という二種類の公式機関紙が発行されており、両者の論調には一貫して明白な相違が見られ、申立人P20が前者の意見を代表していたものである。しかし、仮に右P20に代表される意見を支持する組合員を「全金派」と呼ぶとしても、被告が、本件命令において、申立人ら一九名のみを当時の「全金派」に分類し同人らを除く同卒年の組合員のなかには他に全金派は存在しないとした認定は、不合理であつて、これを裏付ける証拠は何ら存在しない。 (1) 被告の認定によれば、昭和三一年高卒者約一三〇名中「全金派」は八名、昭和三二年高卒者約一〇〇名中「全金派」は九名、昭和三二年中卒者三六名中「全金派」は四名、昭和三三年高卒者三六名中「全金派」は二名、昭和三〇年高卒者五四名中「全金派」は一名、昭和二三・二四・二五年中卒者一二名中「全金派」は一名であり(命令書事実欄4(2)記載の各分布図参照)、右認定によれば昭和四四ないし四六年当時の「全金派」の比率は、前記各卒年者中〇・一九パーセントから一一パーセントの間ということになる。ところが、他方、被告の認定によれば、右の時期における同支部の執行委員の比率は、昭和四四年「全金派」六名「批判派」九名、昭和四五年「全金派」八名「批判派」七名、昭和四六年「全金派」五名「批判派」一〇名であつて「命令書事実欄2(2)記載)、「全金派」の執行委員が全執行委員一五名中に占める比率は右の期間において三三・三ないし五三パーセントとなる。右執行委員選挙の結果に照らせば「全金派」が被告のいうような少数派にとどまるものでなかつ 、「全金派」の執行委員が全執行委員一五名中に占める比率は右の期間において三三・三ないし五三パーセントとなる。右執行委員選挙の結果に照らせば「全金派」が被告のいうような少数派にとどまるものでなかつたことは明白である。 昭和四四ないし四六年の執行委員選挙における「全金派」候補者の合計得票数は、昭和四四年度一一〇七票、同四五年度一二〇九票、同四六年度一〇〇三票であり、二名連記による投票であることを考慮しても、当時、「全金派」候補者に投票した者は組合員総数の三〇ないし四〇パーセントに相当する五〇〇ないし六五〇名というべきである。また、右各執行委員選挙の直後に行われた執行委員長選出のための直接選挙において、「全金派」のP20は、昭和四四年度に六九二票、同四五年度に七四二票、同四六年度に五四七票を、それぞれ獲得している。更に、昭和四七年三月に行われた全金脱退問題についての全員投票においても、全金脱退反対票は二五一票にものぼるのである。これらの事実に照らせば、昭和四六年当時全金の運動方針を支持する組合員は少なくとも全組合員の三〇ないし四〇パーセントを占めていたというべきである。 (2) 仮に、「全金派」の立候補者の推薦演説をしたり推薦ビラに名前を出したりして「全金派」の立候補者の選挙運動を行い、あるいは職場会議などで自分の意見を述べるなど、日常活動において「全金及び同地本を支持する」と見られていた組合活動家のみをさして「全金派」と呼称するとしても、次に述べるような事実に照らせば、本件命令申立人らの外にも多数の「全金派」が存在したことは、明白である。 (ア) 昭和四四年度執行委員選挙において、P20と同じく「春夏同時要求」と「考課制度」に反対する旨所信表明していた、いわゆる「全金派」執行委員候補者は、P20、P1、P21、P22、P23、P4、P6 ) 昭和四四年度執行委員選挙において、P20と同じく「春夏同時要求」と「考課制度」に反対する旨所信表明していた、いわゆる「全金派」執行委員候補者は、P20、P1、P21、P22、P23、P4、P6、P5、P11の九名である。このうち執行委員となつたのは、P20、P1、P21、P22、P23、P4の六名であるが、前記の者のうちP21、P22、P23の三名は、本件命令の申立人となつていない。 昭和四五年度執行委員選挙における「全金派」候補者は、P20、P4、P21、P24、P25、P1、P26、P7、P27、P28、P29の一一名である。このうち執行委員になつたのは、P20、P4、P21、P24、P25、P1、P26、P7の八名であるが、右の者のうちP21、P25、P26、P27、P29の五名は、本件命令の申立人となつていない。 更に、昭和四六年度執行委員選挙における「全金派」候補者は、P20、P1、P4、P25、P7、P24、P12、P22の八名で、このうち執行委員となつたのは、P20、P1、P4、P25、P7の五名であるが、右の者のうち、P25、P22の両名は前述のように本件命令の申立人となつていない。 以上のように、昭和四四ないし四六年度執行委員選挙において、P20と同様の所信を表明した立候補者ないし執行委員のみを見ても、本件命令申立人となつていない者が少なからず存在するのである。このことは、申立人ら(P1ら一九名)以外にも、多数の熱心な活動家である「全金派」が存在することをうかがわせるものである。 (イ) 次に、執行委員選挙において、「全金派」立候補者の推薦人となり、あるいは責任者としてその選挙運動に関与した組合員について述べれば、次のとおりである。 昭和四四年度執行委員選挙においてP1は組合員有志一六名の推薦を得て立候補した 金派」立候補者の推薦人となり、あるいは責任者としてその選挙運動に関与した組合員について述べれば、次のとおりである。 昭和四四年度執行委員選挙においてP1は組合員有志一六名の推薦を得て立候補したが、右推薦人一六名中誰一人として本件命令の申立人となつた者はいない。 また、昭和四四年度、同四五年度の執行委員選挙において「全金派」候補者の選挙運動に責任者として関与した組合員としては、証拠によつて明白に確認できる者だけでも一七名が認められるが、このうち本件命令の申立人となつているのはP8ひとりである。 (ウ) 職場討議における発言までも「全金派」認定における認定基準にするならば、「全金派」の数が相当な多数にのぼることは疑問の余地がなく、このことは、被告の判断の誤ちを一層明確化する。 (エ) 本件命令申立人であるP30は会社が同人に対して発令した配転命令の効力を争つて昭和四三年二月東京地方裁判所に提訴した(命令書事実欄2(1)記載)。右裁判の審理において、昭和四五年二月に原告P30側から九名の証人申請が行われ、うち四名が採用され、同年九月から同年末にかけて証人調が実施されている。右九名のうち六名は本件命令申立人となつていない。 3 不当労働行為の成否についての判断の誤り(一) 昇給及び夏季賞与査定での差別についての被告の判断の誤り(1) 被告は、申立人らの人事考課結果の低下が「昭和四五年夏ごろから四六年春闘にかけて労使関係が険悪化したことと軌を一にする」ことを理由に、会社が、本件命令申立人らが「全金派であることを理由として同人らを不利益に取り扱つたとの一応の推定が成り立つ」としている(命令書判断欄1(2)①記載)。しかし、右判断の前提となつている背景論及び「全金派」の存在は、既に述べたとおりいずれも申立人らの具体的主張に基づかずに被告が手続違背 一応の推定が成り立つ」としている(命令書判断欄1(2)①記載)。しかし、右判断の前提となつている背景論及び「全金派」の存在は、既に述べたとおりいずれも申立人らの具体的主張に基づかずに被告が手続違背をおかしたうえで認定したものである。したがつて、被告が違法に認定した右事実を、本件昇給差別判断の前提資料とすることは、許されない。 (2) 被告の右推定は、昭和四六年当時本件命令申立人らが被告のいう「全金派」であり、かつ右当時会社がこれを認識しており、しかも、同卒年者中には本件命令申立人ら以外に「全金派」は存在しなかつたとの前提に立たなければ成立しえないが、右のいずれも前提事実も証明されていない。いいかえれば、「全金派」の積極的活動を行つた者は不利益な取扱いを受け、そうでない者は不利益取扱いを受けなかつたとの事実が立証されてはじめて不当労働行為と推定しえることであるが、前記2において述べたとおり被告のいう「全金派」活動家が本件命令申立人ら以外にも多数存したにもかかわらず、これらの他の「全金派」活動家についても同様の不利益取扱いがなされたとの立証は皆無である。 要するに、当時全従業員のなかでかなりの割合を占めていた多数の「全金派」のうち、人事考課の特に低かつたP1ら一九名だけが本件命令の申立人となつたのである。しかるに、被告は、当時多数存在した「全金派」のうち、右一九名のみを「全金派」と認定し他をすべて非「全金派」と認定して、考課上の差別を判断するという誤ちをおかしたものである。 (3) 被告は、会社の行つた昇給考課について、「会社は申立人らと比較すべき同卒年者等の考課点および評定要素別評定点に関する疎明資料を提出せずして単に申立人らの評定点が低い理由のみを述べるにとどまつているから、なんら本件人事考課の公正さについての有効な疎明とはなり得ない 同卒年者等の考課点および評定要素別評定点に関する疎明資料を提出せずして単に申立人らの評定点が低い理由のみを述べるにとどまつているから、なんら本件人事考課の公正さについての有効な疎明とはなり得ない。」「会社は、評定要素中、申立人らを『企業への協力度』『将来性』などについて、これらの考課項目の適否は別として、著しく低く評定しているが、それを首肯せしめるに足る具体的な疎明はなく……本件人事考課の公正さは疑問がある。」(命令書書判断欄1(2)②記載)としているが、これは、次の理由により誤りである。 (ア) 原告は、昭和四六年度の昇給・夏季賞与に関する考課点の全社平均、同卒年平均、同職種平均の一覧表、及び申立人ら各人ごとに同職種者多数との同年度における昇給・夏季賞与の考課点の比較及び年令比較等を行つた一覧表等を提出している。原告は、本件審問において提出した各資料により、申立人らの考課点が同卒年平均や同職種平均そして会社平均よりもやや低い傾向にあることを明らかにし、更に、なぜ他の従業員に比してそのように低い傾向にあるかを、申立人らの評定要素別評定点ごとに個別立証したものである。したがつて、本件人事公課の公正さについては十分に証明がなされているというべきである。 (イ) 被告は、会社が評定要素中の「企業への協力度」「将来性」などについて申立人らを著しく低く評定しているというが、これは、事実に反する。会社の昭和四五ないし四七年度の考課表における「企業への協力度」及び「将来性」に関する評定ランク巾は、前者が0~5、後者が0~3であるところ、申立人らの各評定点は、「企業への協力度」は2ないし1、「将来性」は1であり、平均よりやや悪いとはいえ、決して著しく低いものではない。 (ウ) 「企業への協力度」「勤務態度」「将来性」等の評定要素はいずれもそれを判断す 、「企業への協力度」は2ないし1、「将来性」は1であり、平均よりやや悪いとはいえ、決して著しく低いものではない。 (ウ) 「企業への協力度」「勤務態度」「将来性」等の評定要素はいずれもそれを判断する具体的基準の存在するものであつて、原告は、申立人ら各人ごとに、同人らのこれらの評定要素がなぜ平均よりやや低いかを逐一明らかにしている。 「企業への協力度」は、「会社の方針あるいは部門方針をどのように理解し、またどのように受けとめ、日常の会社生活において方針実現のためどのように行動したか」あるいは「会社の示す各種の合理化施策への協力に関し、いかなる姿勢を示しているか」等の点を評価するものである。本件命令申立人らの多くが「企業への協力度」につき低く評価されたのは、品質向上のための技術研究会であるQCサークルにおける活動実績、業務上の提案(会社は提案制度を設けている。)についての実績・取り組み方などの具体的事実に基づく評価の結果である。したがつて、抽象的、主観的評価との批判は当たらない。 「勤務態度」は、規律面を評価する項目だが、具体的な評価対象項目が例示されており、その評価基準、評価対象は客観的に明らかである。この項目については、本件命令申立人らのほとんどは3であり、必らずしも評価が低いわけではなく、また、評価理由となつた具体的事実は立証されている。 「将来性」の項目は、課せられた責任を十分果たしているか否かという責任感を評価しようとするものであるが、仕事に対する責任感の有無を従業員の具体的な仕事ぶりから評価することは十分可能であり、現に申立人らに対する実際の評価が具体的事実をふまえて行われたことは証拠により明らかである。 (二) 主事補昇格についての被告の判断の誤り被告は、P1ら四名(昭和三一年高卒)及びP6ら七名(昭和三二年高卒)の主事 る実際の評価が具体的事実をふまえて行われたことは証拠により明らかである。 (二) 主事補昇格についての被告の判断の誤り被告は、P1ら四名(昭和三一年高卒)及びP6ら七名(昭和三二年高卒)の主事補昇格差別について、会社は同人らが「全金派」であることを嫌つて同人らを昇格させなかつたものと判断しているが(命令書判断欄2(4)及び同3(2)記載)、被告の右判断は、次の理由により、誤つている。 (1) 右判断の前提となつている背景論及び「全金派」の存在については、既に前記1、2において述べたとおり、いずれも本件命令申立人らの具体的主張に基づかずに被告が手続違背をおかしたうえで認定したものである。したがつて、被告が違法に認定した右事実を、本件主事補昇格差別判断の前提資料とすることは、許されない。 (2) 被告は、昭和三一年高卒者一二九名中P1ら四名のみが「全金派」でそれ以外の一二五名はすべて全金派以外の組合員であること(申立人らのうちP2、P28、P17、P18の四名が昭和四五年六月に主事補に昇格していることすら無視している。)、及び、昭和三二年高卒者一〇一名中P6ら七名にP31、P32を加えた九名のみが「全金派」でそれ以外の九二名はすべて全金派以外の組合員であることを前提として、右判断を行つているが、既に前記2において述べたとおり、当時の「全金派」は本件命令申立人らに限定されるものではなく、他に相当数の「全金派」が存在したのであるから、被告の右判断は、その前提を欠き、失当である。 4 本件命令主文における裁量権濫用・逸脱の違法被告は、申立人らの昇給及び夏季賞与査定額の是正方法として、「申立人ら全金派の同卒年毎の考課点平均と、その同卒年全員(申立人らを含む。)の考課点平均との差を申立人らのそれぞれの考課点に加算したものを、申立人らの新たな考課点 び夏季賞与査定額の是正方法として、「申立人ら全金派の同卒年毎の考課点平均と、その同卒年全員(申立人らを含む。)の考課点平均との差を申立人らのそれぞれの考課点に加算したものを、申立人らの新たな考課点として同人らの昇給査定額を新たに決定し直すことを適当と思料する」(命令書判断欄1(2)③記載)として、主文第一項のとおり原告会社に対し査定額の是正及び差額の支払を命じたが、右命令は、次の理由により、裁量権を逸脱・濫用した違法なものである。 (一) 被告は申立人らと同卒年者の考課点平均を基準に査定額是正を行つているが、会社における人事考課査定では元来卒業年度を基準にしていない。考課表の考課評定要素の各項目をみれば明らかなとおり、考課の対象は、「仕事の成果」、「仕事のレベル」、「能力」等であつて、「卒年」のいかんは問題にならない。しかるに、被告は、会社の採用していない年功序列的考課査定方法に依拠して、査定額是正を命じたものであり、違法である。 (二) 被告は、右の点について、「卒業年度に無関係に考課査定をなしても、同卒年者のあるグループの分布は、同卒年者全体の考課点の分布とほぼ一致することが経験上明らかである」として、本件命令における査定額是正方法が適法なものである旨主張するが、前記2(二)において述べたとおり、被告の認定した「全金派」が各同卒年者全体のうちに占める割合は〇・一九ないし一一パーセントにすぎないから、仮に被告のいう「全金派」なるグループが存在したとしてもこのような極めて少数の人間によつて構成されるグループの人事考課の結果が当然に同卒年者全体の人事考課の結果の分布と一致すると解することはできない。 (更に、本件においては、被告のいう「全金派」すなわちP1ら一九名は、実際は、当時かなりの多人数存在した「全金派」のうち特に人事考課の低い者 の人事考課の結果の分布と一致すると解することはできない。 (更に、本件においては、被告のいう「全金派」すなわちP1ら一九名は、実際は、当時かなりの多人数存在した「全金派」のうち特に人事考課の低い者を行為的に抽出したものである。したがつて、申立人らの考課点の分布が同卒年者全体の考課点の分布と一致しないことは、経験則上明らかといわねばならない。)(三) 被告が、本件命令主文第一項において命じた査定額是正の内容は、申立人らが被告に対し申立てた救済の程度を大巾に超えた、はなはだしく不当かつ異常なものとなつている。 申立人らは、被告に対し、申立人ら一九名の昇給及び夏季賞与の査定額を同人らを除いた同卒年者又は同格者の中央値まで是正することを求めた。しかるに、被告の命令の内容に従えば、昇給査定額については、P1の昇給考課点は三六点という同卒年平均を五点も上まわる異常な好成績となり、P2、P28、P9、P11の四名はいずれも三二点で同卒年平均を一点上まわり、P4、P7、P8、P10、P12、P24、P30、P20、P19、P17の一〇名は同卒年平均と一致し、わずかに、P18、P3、P6、P5の四名のみが同卒年平均を下まわることになる。これは、救済申立ての範囲すら超えた異常なものである。そして、被告の命令による右是正の結果は、考課点の同職種平均と対比すれば、更に、その異常さが顕著である。夏季賞与査定額についても、被告の命令による是正の結果、平均点を超える者三名、平均点と同点の者一二名、なお平均点に達しない者四名となり、P1の成績は平均点を三点上まわるなど、異常な結果となつている。 六原告の反論に対する被告及び参加人らの再反論(被告・参加人ら) 1 審問手続上の違法の主張について原告は、命令書事実欄1(当事者等)(3)記載の事実及び同2(支部におけ 常な結果となつている。 六原告の反論に対する被告及び参加人らの再反論(被告・参加人ら) 1 審問手続上の違法の主張について原告は、命令書事実欄1(当事者等)(3)記載の事実及び同2(支部における二つの流れと会社の対応)記載の事実について、被告が申立人らの主張に基づかずに右事実を認定したものであるとし右認定を手続違背であると主張する。しかし、原告の右主張は失当である。 (一) 原告の右主張は、労働委員会の不当労働行為審査手続にいわゆる狭義の弁論主義が当然に適用されることを前提とするものである。しかし、労働委員会の不当労働行為審査手続は一応労使の双方の当事者対立の構造をとつているけれども、そこでは、公益的ないし後見的機能を旨とする行政処分の性質上、通常の民事訴訟におけるような厳格な弁論主義(判断の基礎となる主要事実は当事者の主張がなければ認定できないとするいわゆる狭義の弁論主義)は妥当しないものと解されるし、これを採用したものと解される成文法上の根拠もない。したがつて、労働委員会としては、救済命令を発するにあたり、その結論に影響を及ぼすと考えられる事実については、当事者の主張立証の有無にかかわらず職権によつてもこれを審理し、その結果認定し得た事実を総合判断して妥当な結論を得べきものである。 (二) 原告が手続違背による認定と主張する前記各事実は、いずれも、主要事実たる会社の不当労働行為意思の存在を推認させる間接事実として被告が認定したものである。間接事実は、当事者の主張がなくても、裁判所はこれを採用することができ、主張責任の法理の適用はないから、原告の主張は、いわゆる狭義の弁論主義の下でも成立しないのである。 (三) 命令書事実欄2記載の事実について、本申立人らは本件不当労働行為救済申立書において、同人らが「いずれも昭和四六年春闘以前か 、原告の主張は、いわゆる狭義の弁論主義の下でも成立しないのである。 (三) 命令書事実欄2記載の事実について、本申立人らは本件不当労働行為救済申立書において、同人らが「いずれも昭和四六年春闘以前から申立人組合の積極的活動家として申立人支部において活発な活動を行つてきたものである」ところ、「被申立人は、申立人らのこれら活動を嫌悪し、申立人組合を被申立人のいいなりになる組合とするため、さまざまな攻撃を行つてきたが、これらの一部については、申立人組合はすでに貴委員会に対して不当労働行為として提訴し、貴委員会昭和四六年不第五二号北辰電機事件として係属中である。本申立は前記申立の差別待遇部分について具体的に明らかにし、救済を求めるものである。」と主張しているのであるから、右昭和四六年不第五二号事件の事実関係を本件申立てと直接関連する背景として、昭和四六年春闘以前の会社の同人らに対する攻撃を本件申立ての一般的背景として、それぞれ主張していることは明らかである。そして、申立人らは、右主張の立証方法として、昭和四七年九月一二日付証拠申立書において「申立人らの組合活動、労使関係」を立証するためにP20の証人尋問を求め、また、同日付で右不五二号事件命令書を提出し、被申立人たる原告は、P33証言をもつて反証を行つているのであるから、原告が右背景論を争点として認識しており現実に反証をなしたことは明らかである。以上のとおり、命令書事実欄2記載の事実は、申立人らの主張・立証に基づき、被申立人たる原告の反証を経たうえで、認定したものであるから、手続違背をいう原告の主張は失当である。 命令書事実欄1(3)記載の事実についても、前記支部における二つの流れが二つの団体への分離に至つたことを前記背景論に関連する事実として申立人らが立証し、原告も反証を行つたうえで、認定さ 当である。 命令書事実欄1(3)記載の事実についても、前記支部における二つの流れが二つの団体への分離に至つたことを前記背景論に関連する事実として申立人らが立証し、原告も反証を行つたうえで、認定されたものである。したがつて、何ら、原告会社の反論の機会を奪つたものではない。 2 事実認定上の誤りの主張について(「全金派」について)原告は、被告の認定した「全金派」はその範囲があいまいなものであつて、更に、会社において申立人らを「全金派」と判断することは当時不可能であつたと主張する。しかしながら、被告の認定した「全金派」とは、その上部団体である全金及び地本を支持するグループであつて、単に「全金派」の執行委員候補者に投票していた組合員ではない。それは、「全金派」の立候補者の推薦演説をしたり、推薦ビラに名前を出したりして、「全金派」の立候補者の選挙運動を行い、あるいは職場会議などで自分の意見を述べるなど、日常活動において全金及び地本を支持するとみられていた組合活動家のグループを指すのであつて、決して範囲のあいまいなものではない。昭和四六年春闘当時の、会社の発行する社内報「北辰ジヤーナル」には「一部反会社勢力」「一部執行委員」「一部組合員」など、全金の活動方針を指示するグループを示す文言が何度か記載されているのであり、また、当時の執行委員選挙における「全金派」候補者への推薦演説、推薦ビラにおける名前の記載や、職場会議における発言内容、教宣ビラ、機関紙の記載、管理職からの報告等から会社が「全金派」の範囲を知ることは容易であつた。したがつて、会社が、昭和四二年ごろから支部内部に「全金派」と「批判派」の二つの流れが存在し申立人らが「全金派」の主要な構成員であることを十分認識していたとの被告の認定に、誤りはない。 3 昇給査定額・夏季賞与査定額の差別に 二年ごろから支部内部に「全金派」と「批判派」の二つの流れが存在し申立人らが「全金派」の主要な構成員であることを十分認識していたとの被告の認定に、誤りはない。 3 昇給査定額・夏季賞与査定額の差別に関する判断について(一) 原告は、本件人事考課の公正さについて十分に証明がなされていると主張するが失当である。原告の提出した考課点の会社平均、同卒年平均、同職種平均の一覧表は同卒年者個々人の考課点に裏付けられていることの証明を欠く単なる数値の提示にすぎず、また、申立人らの各人ごとに同職種者多数との考課点の比較及び年齢比較等を行つた一覧表は詳細ではあるが申立人ら「全金派」の考課点と同卒年者または同格者のそれとを比較できるものではなく、本件人事考課における争点である「会社が、申立人ら全金派とそれ以外の同卒年者または同格者を同様に公正に評価したかどうか」(命令書判断欄1(2)(②)記載)に直接関係のないものであつて、原告が提出を強調する右二種類の疎明資料はいずれも争点に対して価値が乏しいものである。会社における人事考課では、「九つの評定要素毎に評定点をつけたものを合計したものを考課点とし」ているから(命令書事実欄4(4)記載)、人事考課の公正さを判断するためには、九つの評定要素ごとに申立人らの評定点と同人らと比較すべき同卒年者らの評定点を具体的に対比して検討しなければならない。したがつて、申立人らと比較すべき同卒年者らの評定要素別評定点を明らかにすることは、原告の間接反証の前提であつて、この前提を欠く原告の反証が有効性に欠けるのは当然である。 4 本件命令主文について原告は、被告が本件命令主文第一項で命じた昇給及び夏季賞与査定額是正の内容ははなはだしく不当かつ異常なもので申立人らが申し立てた救済の程度を大巾に超えるものになつていると主張するが、 主文について原告は、被告が本件命令主文第一項で命じた昇給及び夏季賞与査定額是正の内容ははなはだしく不当かつ異常なもので申立人らが申し立てた救済の程度を大巾に超えるものになつていると主張するが、右主張は、次のとおり全く根拠がないものである。 申立人らが、「同人らを除いた同卒年者または同格者の査定額の中央値」を是正基準とすることを求めた(命令書判断欄1(1)記載)のに対し、被告委員会は、「同卒年全員(申立人らを含む。)の考課点平均」を基準とした(同欄1(2)③記載)のである。そして、申立人らの考課点及び査定額は極めて低いから、後者の是正基準の方が考課点及び査定額ともに、前者の是正基準を下まわるのである。したがつて、本件命令の是正結果は、申立人らの請求する救済の内容を若干下まわつているのであつて、右是正方法は、請求する救済の内容と実質的に同様の救済の内容を会社の人事考課制度の枠内で命じたものにすぎない。 (参加人ら) 5 「全金派」について(一) 昭和四六年以前に支部内部に二つの相対立する潮流が存在したことは、昭和四四年度執行委員選挙に際して、春夏同時要求に反対し考課全廃を要求する組合員と、春夏同時要求に賛成し考課全廃を要求しない組合員という二つの集団が存在したことによつても明らかである。 (二) 申立人ら一九名の全金派以外にも、昭和四六年当時において全金派として積極的に公然と活動を行つた者が存在していたことは事実である。しかし、これらの者は例外的であつて、昭和四六年当時の考課査定においては、これらの者も申立人ら同様低い評定を受けていたと推測するべきである。このことは、命令書事実欄記載の各査定額分布図において、黒丸で示された申立人ら全金派と同じ低いランクに白丸で示された組合員(被告は非全金派と認定した。)が例外的に分布していることを見 るべきである。このことは、命令書事実欄記載の各査定額分布図において、黒丸で示された申立人ら全金派と同じ低いランクに白丸で示された組合員(被告は非全金派と認定した。)が例外的に分布していることを見ても明らかである。 いずれにせよ、原告の指摘するこれら申立人ら以外の例外的な全金派がいずれのレベルに考課査定されているかについて(申立人らと違つてこれらの全金派がいずれも平均ないし平均よりも高いランクに考課査定されているといつた事実)、原告は何ら主張も立証もしていないのであるから、原告の指摘する申立人以外の例外的な全金派の存在を考慮したとしても、本件命令において被告の行つた判断の正しさに何ら本質的な変化をもたらすものではない。 第三証拠(省略) 理由 第一本件救済命令申立人らが被告に対し原告を被申立人として不当労働行為救済の申立てをしたところ、被告は右申立てにかかる都労委昭和四七年不第四二号事件について昭和五一年一二月七日付で請求原因第一項記載の本件命令を発し、右命令書の写しが同月二七日原告に交付されたことは、当事者間に争いがない。 第二手続違背の主張についての判断一原告は、被告委員会が本件命令主文第二項において申立人P1ら四名を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させることを命じたことにつき、右は申立人らの求めていない救済を与えたものであつて違法であると主張するので、まず、この点につき判断する。 1 労働組合法二七条一項は、労働委員会は、使用者が同法七条の規定に違反した旨の申立てを受けたときは、調査、審問を行う、と規定し、労働委員会規則三二条一項は、右申立ては申立書を管轄委員会に提出して行う旨、同条二項は、右申立書には「不当労働行為を構成する具体的事実」「請求する救済の内容」を記載しなければならない旨規定する。 労働委員会規則三二条一項は、右申立ては申立書を管轄委員会に提出して行う旨、同条二項は、右申立書には「不当労働行為を構成する具体的事実」「請求する救済の内容」を記載しなければならない旨規定する。 右規定によれば、労働委員会は、申立人の申立てに基づき不当労働行為に対する救済を与えると解せられるから、申立人の申立てをしていない具体的な事実を不当労働行為と認め救済を与えることはできない。しかし、申立人がいかなる事実を不当労働行為と主張して救済を求めているかは、申立人の意思の解釈の問題であり、申立人の意思を合理的に判断して決めるべきである。一方、労働委員会は、不当労働行為によつて生じた状態を回復するために広い裁量権を有しており、個々の事案に応じた適切な是正措置を決定し、これを命ずる権限をもつと解せられる。したがつて、申立書に記載される「請求する救済の内容」は、労働委員会の裁量権の発動を促すものであつて、救済命令の内容を限定するものではないから、労働委員会は、申立人の請求する救済の内容を参考として、自己の裁量で救済命令の内容を決定することができると解するのが相当である。 2 これを本件についてみるに、成立に争いのない乙第一号証の一、二及び四によれば、申立人らは「請求する救済の内容」として、「被申立人は申立人P1ら四名を昭和四五年六月に遡つてそれぞれ主事補に昇格させ、同時期により手当、退職金算出にあたり、その資格あるものとして取扱い、差額を支払わなければならない。」との命令を求めたが、申立書の「不当労働行為を構成する具体的事実」としては「申立人P1・同P3は昭和三一年三月、同P4は昭和三四年六月、同P5は昭和三五年一月にいずれも昭和三一年高卒の資格で入社したものであるところ、同年度高卒者は申立人四名の外一名を除いてすべて主事補の資格を昭和四六年六 3は昭和三一年三月、同P4は昭和三四年六月、同P5は昭和三五年一月にいずれも昭和三一年高卒の資格で入社したものであるところ、同年度高卒者は申立人四名の外一名を除いてすべて主事補の資格を昭和四六年六月までに与えられている。」「被申立人会社においては、入社後約一三年たてば主事補として昇格し、同資格が付与されると手当、退職金計算において有利な取扱を受けることになつているが、上記申立人等以外すべて昇格し、差別が生ずるについて被申立人は何等合理的説明を行わず、この差別の生じる実質的理由は上記申立人等の活発な労働組合活動以外にない。よつて、これは明らかに不当労働行為であり、平均的時点における昇格の承認とこれに付随する手当、退職金算定面での是正をもとめるものである。」と記載したこと、申立人らの昭和四七年九月一二日付準備書面には「昭和三一年度高卒者について具体的にみると、昭和四三年六月には二%、昭和四四年六月には五七%、昭和四五年六月には三六%、昭和四六年六月には二%の者が主事補に昇格しており、申立人P1、P3、P4、P5を含む五名のみが未だ主事補に昇格していない。従つて昭和四四年六月には主事補となつたものが半数をこえている。 従って上記申立人らについては、遅くとも昭和四五年六月には昇格がなされている筈である。」と記載されていること、申立人らが昭和五一年七月二〇日に被告に提出した準備書面には「昭和三一年高卒者について、同年同学歴者と資格任命状況を比較すると……昭和三一年二月から昭和三五年一〇月までに入社した者のうち、昭和四三年一二月に二名が、昭和四四年六月に七三名が、昭和四五年六月に四七名が、昭和四六年六月に二名が昇格しており、その後、昭和四七年六月には昇格者はまつたくなく、未昇格者は長期欠勤の経歴を持つP34を除けば全金を支持する申立人P1、P3、 三名が、昭和四五年六月に四七名が、昭和四六年六月に二名が昇格しており、その後、昭和四七年六月には昇格者はまつたくなく、未昇格者は長期欠勤の経歴を持つP34を除けば全金を支持する申立人P1、P3、P4、P5の四名にすぎない。これらの未昇格者は……明らかに昇格からとり残されているのであつてそのうち四名が全金支持派であることは、全金支持派に集団的な差別取扱が昇格者のピークである昭和四四年ころから継続的に加えられており、おそくとも昭和四五年六月には主事補昇格発令がされるべきであつたことが明らかである。」と記載されていること、が認められる。 右認定の事実によれば、申立人らは、遅くとも昭和四五年六月までに主事補に昇格できたはずであるから昭和四五年六月に昇格させなかつたことを不当労働行為と主張して救済を求めているが、申立人らの意思を合理的に解釈すれば、申立人らの主張する具体的不当労働行為を昭和四五年六月に昇格させなかつたという一回限りの不作為に限定するものではなく、昭和四五年六月に昇格させなかつたことが不当労働行為として救済されない場合には、昭和四六年六月に主事補に昇格させなかつたことを不当労働行為と主張して救済を求める趣旨をも含むと解するのが相当である。 してみれば、被告委員会が、本件命令において、「申立人らが不当労働行為として主張する会社の行為は二様にとれ第一次的には四五年六月に、第二次的には四六年六月に、P1らを昇格させなかつたことと解される。」(命令書判断欄2(3)記載)として、昭和四六年六月の申立人P1ら四名に対する昇格差別について判断を行つたのは、申立人らの申し立てていない具体的事実について、これを不当労働行為に該当するものと判断したものとはいえず、また、「請求する救済の内容」に明示して記載されていないにもかかわらず本件命令主文第二 たのは、申立人らの申し立てていない具体的事実について、これを不当労働行為に該当するものと判断したものとはいえず、また、「請求する救済の内容」に明示して記載されていないにもかかわらず本件命令主文第二項において申立人P1ら四名を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させることを命じたことについても、申立書に記載される「請求する救済の内容」の性質が前述のとおりであることに照らせば、これを違法ということはできない。 3 よつて、この点についての原告の主張は理由がないものといわなければならない。 二原告は、また、被告委員会は本件命令において申立人らが主張もせず争点ともしていない事実(命令書事実欄2及び同1(3)記載の事実)を本件命令の結論に重大な影響を及ぼす基本的事実として認定しているものであつて本件命令には被申立人たる原告の反対主張及び反証の機会を不当に奪つた重大な手続違背が存在すると主張するので、次に、この点につき判断する。 1 労働委員会における調査・審問手続は、いわゆる準司法行為ではあつても、労働委員会という行政機関による救済手続であるから、民事訴訟におけるような厳格な制約の下に常に手続が行われることを要求すべきものではなく、また、労働組合法、労働委員会規則にもこの点について規定した条項は存在しないことをも考慮するならば、労働委員会の調査・審問手続においては民事訴訟におけるようないわゆる狭義の弁論主義が当然に適用されるものということはできない。しかしながら、労働組合法二七条一項が審問の手続においては使用者及び申立人に対し証拠を提出し証人に反対尋問をする十分な機会が与えられなければならない旨規定し、労働委員会規則三二条が労働委員会に対する申立ては不当労働行為を構成する具体的事実を記載した申立書を提出して行なう旨規定し、同規則三七条一項は、労働 する十分な機会が与えられなければならない旨規定し、労働委員会規則三二条が労働委員会に対する申立ては不当労働行為を構成する具体的事実を記載した申立書を提出して行なう旨規定し、同規則三七条一項は、労働委員会が調査を開始するときは申立書の写しを被申立人に送付しそれに対する答弁書及びその理由を疎明するための証拠の提出を求めなければならない旨規定し、同規則四〇条一項が審問は当事者の立合いのもとで行う旨規定し、同条一三項が会長は審問を終結するにさきだつて当事者に対し終結の日を予告して最後陳述の機会を与えなければならない旨規定している点に照らせば、労働委員会における調査・審問手続においても、不当労働行為を構成する具体的事実が当事者双方に知らされ右事実の認定につき当事者に十分な防御の機会が与えられることが要請されているのであつて、調査・審問手続において一方当事者の防御権行使の機会を不当に奪うことは許されないものといわねばならない。 2 これを本件についてみるに、申立人らは、被告委員会に提出した申立書(前掲乙第一号証の一)に、申立人らは「いずれも昭和四六年春闘以前から申立人組合の積極的活動家として申立人支部において活発な活動を行つて来たものである。被申立人は、申立人等のこれら活動を嫌悪し、申立人組合を被申立人のいいなりになる組合とするため、さまざまな攻撃を行つてきたが、これらの一部については、申立人組合はすでに貴委員会に対して不当労働行為として提訴し、貴委員会昭和四六年(不)第五二号北辰電機事件として係属中である。本申立は前記申立の差別待遇部分について具体的に明らかにし、救済を求めるものである。」と記載し、証拠として右事件(都労委昭和四六年不第五二号不当労働行為救済申立事件)の命令書(成立に争いのない乙第三号証の一)のほか乙第三号証の一三ないし二〇の書 明らかにし、救済を求めるものである。」と記載し、証拠として右事件(都労委昭和四六年不第五二号不当労働行為救済申立事件)の命令書(成立に争いのない乙第三号証の一)のほか乙第三号証の一三ないし二〇の書証を提出しているが、右命令書は、「昭和四五年九月の支部役員選挙をめぐる労使の動き」「昭和四六年春闘における労使の言動」と題して、昭和四五年九月の支部役員選挙及び昭和四六年春闘の経緯、右の時期における労使の言動、「たけのこ」「いずみ」両紙の掲載記事の内容等の事実を認定し、「申立外北辰支部における二つの流れ」と題して、「申立外北辰支部の中には、遅くとも昭和四五年夏ごろからは、その上部団体である申立人全金および同地本を支持するグループ(以下『全金派」という)とこれらに批判的なグループ(以下「批判派」という)が存在していたと認められる。支部発行の二つの組合員向け印刷物、『たけのこ』および『いずみ』は明らかにその傾向を異にし、前者は全金派の、後者は批判派の主張を掲載するものであつた。本件事実が生起した時点においては、支部の執行部は全金派が大勢を制していたと認められるが、本件申立てがなされた時点においては、批判派がこれに代つていたことが窺われ、これが北辰支部が本件申立ての申立人となつておらず、支部に属する当時の執行委員五名が加わつている理由であると考えられる。」と判断している。更に、成立に争いのない乙第六号証の六ないし二一によれば、申立人らは、支部における二つの流れとこれに対する会社の対応を立証するため、証人P20の尋問を行い、被申立人である会社は、P20証人の反対尋問を行つたほか、証人P33に対する尋問の一部をもつて、右立証の反証活動を行つている、と認められる。また、申立人らの提出した最終準備書面(成立に争いのない乙第一号証の四)には、「昭和四二年こ 反対尋問を行つたほか、証人P33に対する尋問の一部をもつて、右立証の反証活動を行つている、と認められる。また、申立人らの提出した最終準備書面(成立に争いのない乙第一号証の四)には、「昭和四二年ころ、住友銀行から会社にP35専務が派遣されたが、これと前後して会社は、社内報『北辰ジヤーナル』を発刊し、以後これによつて系統的な全金批判をおこない、全金北辰支部の活動家に対して、職場から切りはなし、その影響力を弱める目的で配転攻撃をかけた。昭和四三年ころ当時活発な職場活動を誇つていたデジタル職場から、申立人P30らを、営業関係等に配転したのはその一例であつた。」「一方、北辰支部の役員選挙については、従来、さしたる対立はなかつたが、昭和四二年の役員選挙から、全国金属の方針を支持する執行部に対して対立候補がグループを作つて争うようになった。この対立グループの多くのメンバーは『労友会』に所属し、時間中に会社施設を利用するという便宜を受けながら選挙活動を行つた。これらの役員選挙の際には、全金の方針を支持する組合員のグループ(全金支持派ないし全金派という)と全金の方針を批判するグループ(反全金派という)は画然と区別され、それぞれ、自派の推す組合員の当選のために公然と職場内で活動を行つていた。この対立は、昭和四二年以降、年を追つて激化するに至つた。」「執行部のなかの全金派と反全金派の勢力比はその後数年間は一進一退をくりかえしていたが、昭和四六年四月、会社のP35専務は管理職会報において、全金派を指して『反企業、反会社的策動には厳しく対決していく』と語り、全金派おいおとしのための全面的対決に会社がのり出すことを宣言した(北辰ジヤーナル一八三号)。会社は、これにもとづき、春闘において、北辰支部がとうていのむことのできない、三年間の『労使休戦』という、労働組合 おとしのための全面的対決に会社がのり出すことを宣言した(北辰ジヤーナル一八三号)。会社は、これにもとづき、春闘において、北辰支部がとうていのむことのできない、三年間の『労使休戦』という、労働組合の争議権を放棄せよとの条件を賃上げ回答に付し、ことさらに争議を長期化させる一方、北辰支部内の反全金派と呼応し、文書等による全金派へのひぼう中傷をくりかえし、組合員と全金派執行部との離反をはかり、春闘後の役員選挙において会社の積極的な介入もあつて執行部の多数を反全金派ににぎらせることに成功し、昭和四七年三月、全金からの組合員の大量脱退を行わせ『北辰労組』を名のらせて組合の分裂状態を作らせるに至つた。」「右の事態に際し、全金派は、あくまでも全国金属労働組合に残り、北辰電機支部として活動したが、会社はこれに対しても猛烈な組織破壊攻撃をかけた。すなわち、大量脱退後、いちはやく、それまでの全金北辰支部を継承するのは『北辰労組』であると一方的にきめつけ、チエツクオフした組合費を全金北辰支部に渡さず、財政的にしめつけ……これらの会社の行動は、一環した全国金属労働組合を支援する活動家を嫌悪し、これを排除しようという単一の不当労働行為意思にもとづく、系統的な不当労働行為である。」と記載されている。 右の事実によれば、命令書事実欄2及び同1(3)記載の事実(原告の主張によれば、被告委員会が申立人らの主張を欠くにもかかわらず認定したという事実)について、申立人らは、被告委員会に提出した申立書及び準備書面をもつて主張し、これら事実についての立証活動を行つており、原告は反証の機会が与えられた、と認めることができる。してみれば、本件命令には申立人らの主張がない事実を認定し原告の防禦権行使の機会を不当に奪つた重大な手続違背が存在する旨の、原告の主張は理由がなく、採用する 機会が与えられた、と認めることができる。してみれば、本件命令には申立人らの主張がない事実を認定し原告の防禦権行使の機会を不当に奪つた重大な手続違背が存在する旨の、原告の主張は理由がなく、採用することができない。 第三不当労働行為の成否についての判断被告は、昭和四六年度昇給及び同年度夏季賞与における会社の申立人らに対する査定額並びに会社が昭和四六年六月に申立人P1、P6ら一一名を主事補に昇格させなかつたことは、いずれも、申立人らの労働組合活動を理由としてこれを不利益に取り扱つたもので労働組合法七条一号、三号の不当労働行為に該当すると主張し、原告は、被告の右認定・判断を争うので、以下、前提となる事実を認定したうえ、会社の前記行為が不当労働行為に該当するか否かについて判断する。 (事実関係について)命令書事実欄1(1)の事実中申立人らの会社への入社年月日学歴及び卒年、同1(2)の事実、同2(1)の事実(ただし、昭和四二年春闘において会社が支部の反対をおし切つて一括妥結を実現したとの点及び同年七月の支部役員選挙に関する点を除く。)、同2(2)の事実中支部の役員選挙が毎年七月に行われていたこと及び昭和四五、六年当時支部内に意見の対立のあつたこと、同2(3)の事実(ただし、「たけのこ」を全金派が握っていたとの点を除く。)、同2(4)の事実、同3の事実、同4(1)の事実、同4(2)の事実中昭和四四ないし四六年度における申立人ら及び同卒年者の昇給査定額が概ね命令書記載の査定額分布図のとおりであること、同4(3)の事実中申立人らの昭和四六年度夏季一時金査定額が命令書記載の査定額分布図及び④の表のとおりであること、同4(4)の事実、同4(5)の事実、同5(1)の事実並びに同5(2)の事実(ただし、実名で記載された者のみが「全金派」であるとの点を除 定額が命令書記載の査定額分布図及び④の表のとおりであること、同4(4)の事実、同4(5)の事実、同5(1)の事実並びに同5(2)の事実(ただし、実名で記載された者のみが「全金派」であるとの点を除く。)は、当事者間に争いがない。当事者間に争いのない右各事実に、成立に争いのない甲第一ないし第五号証、同第七、八号証、同第一〇ないし第一八号証、同第二五ないし第三〇号証、同第三三ないし第三五号証、乙第三号証の一ないし四、同第三号証の一〇、同第三号証の一四、一五、同第三号証の三七、三八、同第三号証の四三、同第三号証の四九、同第三号証の五一、同第四号証の一の一ないし三、同第四号証の四ないし七、同第四号証の八の一、二、同第四号証の九の一ないし一七、同第四号証の一〇、同第六号証の一ないし二六、同第六号証の三二、丙第二三号証、証人P33の証言により成立を認める甲第六号証、同第九号証、証人P36の証言により成立を認める甲第二二ないし二四号証、同第三一号証、同第三六、三七号証、前掲乙第六号証の二、三により成立を認める乙第三号証の五ないし七、前掲乙第六号証の五により成立を認める乙第三号証の一一の一ないし四、前掲乙第六号証の六により成立を認める乙第三号証の一三、同第三号証の一六、弁論の全趣旨により成立を認める甲第一九ないし第二一号証、乙第三号証の四四、四五、丙第五、六号証、同第八、九号証、同第二七号証、同第三一号証、同第三三ないし第四二号証、証人P33及び同P36の各証言並びに弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 一当事者等 1 原告は、肩書地に本社及び本社工場を有し、工業計測器、自動制御装置等の製造販売を主たる業務とする会社であり、従業員は本件命令申立当時二三〇〇名である。 2 昭和四三年六月当時、会社の従業員は 等 1 原告は、肩書地に本社及び本社工場を有し、工業計測器、自動制御装置等の製造販売を主たる業務とする会社であり、従業員は本件命令申立当時二三〇〇名である。 2 昭和四三年六月当時、会社の従業員は、労働組合として、日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部(「支部」)を結成していた。支部は、日本労働組合総評議会全国金属労働組合(「全金」)及び日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部(「地本」)を上部団体とし、組合員数は昭和四七年三月二日当時一七四九名であつた。 支部は、最高決議機関として全組合員により構成される総会を、次級決議機関として代議員により構成される代議員会を有し、これらに次ぐ決議機関として常任代議員及び執行委員により構成される常任代議員会を有し(昭和四五年一〇月ないし昭和四六年八月当時で、代議員数は八五名、常任代議員数は二九名である。)、執行機関として執行委員一五名(うち、執行委員長一名、副委員長一名、書記長一名)により構成される執行委員会を有する。執行委員会の下には専門部として、会計部、教育宣伝部(教宣部)、組織部、文化部、厚生部、調査部、渉外部、人事部、機関紙部、青年婦人部、経営問題調査会が置かれ、各部長(会長)は執行委員の中から選出される。 執行委員は、各ブロツク又は組合員一〇名以上の推薦による候補者から二名連記による組合員の直接投票により選出される。執行委員選挙は毎年七月に行われていた(なお、昭和四五年には選挙違反行為があつたため、昭和四六年には春闘が長期化したことなどから、いずれも九月に行われている。)。 3 昭和四六年の執行委員選挙後、支部は、全金、地本が右選挙期間中に選挙に介入する内容のビラを支部組合員に配布したこと、全金の機関紙「全国金属」に掲載された支部に関する記事の内容が事実と いる。)。 3 昭和四六年の執行委員選挙後、支部は、全金、地本が右選挙期間中に選挙に介入する内容のビラを支部組合員に配布したこと、全金の機関紙「全国金属」に掲載された支部に関する記事の内容が事実と異なつていたこと等を問題として、全金、地本の指導を批判した。昭和四七年二月二九日の支部第一四回定期総会において、全金の階級的革命的路線、闘争至上主義に反対する組合員らは、全金脱退を提案し、これが決議され、ついで、同年三月二日に組合員全員による直接無記名投票が行われ、投票総数一五六一票中賛成一二六六票、反対二五一票という投票結果により、支部は全金・地本を脱退すること及び組合名称を「北辰電機労働組合」と変更することを決定した。 支部組合員のうち約五〇名は、右総会及び直接無記名投票は支部規約に違反してなされたもので無効であり従前の支部は依然として全金・地本に加盟して存続しているとの見解をとつて、昭和四七年三月以降も従前の支部名称を使用して組合活動を継続している。これが、参加人支部であり組合員数は本件命令申立当時五八名である。 (申立人P1ら一九名並びに申立後命令前に取り下げたP32及びP31は、昭和三六年ころ当時から支部の組合員であつたが、昭和四七年三月以降は、いずれも、参加人支部に所属している。)支部組合員のうち約一六五〇名は、前記総会及び直接無記名投票を有効なものと解し、昭和四七年三月以降訴外北辰電機労働組合(「北辰労組」)に所属して組合活動を行つている。 二支部内部における組合運営をめぐつての意見対立 1 支部組合員の間には、昭和四二年ころから、組合運営及び会社の提唱する生産性向上施策への対応をめぐつて、全金・地本の指導を尊重して会社の生産性向上施策に対し批判的態度をとることを主張する立場と全金・地本の指導を観念的な階級闘争主義に基づく 組合運営及び会社の提唱する生産性向上施策への対応をめぐつて、全金・地本の指導を尊重して会社の生産性向上施策に対し批判的態度をとることを主張する立場と全金・地本の指導を観念的な階級闘争主義に基づくものとして批判し会社の生産性向上施策に積極的に協力することを主張する立場との意見の対立があつた。この対立は、昭和四五、六年ころに至り、きわめて顕著になつた。 2 (「たけのこ」と「いずみ」)昭和四六年当時、支部には、論調を異にする二つの印刷物が発行されていた。 すなわち、支部教宣部が発行する印刷物「たけのこ」は、会社の方針に対立する記事を掲載した。例えば、「たけのこ」四二九号(昭和四六年四月九日付)は、『名目毎月一万円、実質二万円以上の値下げ』との見出しで、教宣部が会社回答を昨年と比較した結果、「名目上約一万円、実質では二万円以上の値下げとなることが明らかになりました。」との記事を載せ、「たけのこ」四三〇号(同月一二日付)は、『一万・二〇万は人件費最優先?!』との見出しで、「会社は……人件費を最優先に考えて出した回答」と言つているが、「会社業績の面」からみて「人件費を優先した回答とは受取れません。そして配当は昨年並を維持すると述べているので、これでは私達だけにしわよせした回答と言わざるを得ません。」との記事を掲載した。また、「たけのこ」四九八号(昭和四六年七月二三日付)は、昭和四六年春闘中に一部執行委員と全金本部が都労委へ不当労働行為の救済を申し立てたことにつき、『都労委への申立は当然・私生活にまで及ぶ不当労働行為』との見出しで、会社が職場会議での発言や態度のみならず私生活に対してまで不当な圧力をかけ干渉していると非難し、執行委員五名による救済命令申立てを積極的に支持していくことを呼びかけた。「たけのこ」五〇七号(昭和四六年八月五日付)は、 発言や態度のみならず私生活に対してまで不当な圧力をかけ干渉していると非難し、執行委員五名による救済命令申立てを積極的に支持していくことを呼びかけた。「たけのこ」五〇七号(昭和四六年八月五日付)は、『会社は組合の質問に明確に答えよ』との見出しで、会社が行つている社員教育の内容は組合介入であり法律で禁止されているものであると報じた。 他方、遅くとも昭和四六年春闘前ごろから、支部機関紙部は、「いずみ」と題する印刷物の発行を始めた。右「いずみ」の記事は、「たけのこ」の論調と明らかに異なつていた。例えば、「いずみ」号外三号(発行日不詳)は、『労使の配分はどうなつている?』と題して、他のオートメ二社(横河電機・山武ハネウエル)と会社とを比較した結果、付加価値は横河が最大で北辰は二分の一、人件費は北辰が最高で横河は約二分の一、と報じ、「いずみ」(昭和四六年四月二六日発行)の主張欄は『提案を前向きに検討しよう』と題され、「四月二二日に出された会社提案を条件としてではなく提案として受けとめたとき、その内容は組合が主張している労使協議制の精神を十分尊重したうえでの提案であり、いずれの会社施策にも、組合の意見を十分に反映させられるものです。」とか、「生産性の向上には、単に妨害しないというような態度や絶対反対の姿勢を根本的に改め、前向きかつ積極的に取組むことが重要である。………こうした基本的な態度をもつて、会社提案を前向きに受けとめていきたいものと思う。」といつた記事を掲載している。また、「いずみ」三一一号(昭和四七年二月二一日付)は『全金の教育内容に疑問』の見出しで、全金の行っているリーダー教育の内容について『労働者は社会変革を目指して団結し、闘う事以外に生活向上はない』という前近代的なものであるとして、これを批判し、「いずみ」号外(同年二月二三日付)は で、全金の行っているリーダー教育の内容について『労働者は社会変革を目指して団結し、闘う事以外に生活向上はない』という前近代的なものであるとして、これを批判し、「いずみ」号外(同年二月二三日付)は、『渦まく脱退の声』との見出しで、支部のブロツク単位での職場討議において全金脱退決議が次々に成立している事実を好意的に報道した。 3 (「労友会」の存在)また、昭和四二年ころ、支部組合員の一部は「労友会」なる組織を結成したが(会員数は、昭和四六年当時、約四〇〇名である。)、右労友会の網領のなかには、「われわれは、経済要求の実現を主眼とし、政治闘争の偏重を避けるとともに、観念的階級闘争を排除する。」「われわれは、日共による組合支配と、左右両極の全体主義的暴力支配に反対し、人間性の尊厳と自由を重んじる。」といつた条項が存在している。労友会の発行した「労友会のしおり」(昭和四六年四月一日付)には、「はじめに」として、「おおざつぱに言つて、北辰の組合には二つの大きな流れ、もつと率直にいえば二大勢力があります。その一つは、代々木の本部につながる大組織である日共・民青の組織です。もう一つは、北辰の組合員だけで自主的に作られている純粋に内部的な組織である『労友会』です。日共・民青の人たちが長い間にわたつて組合を牛耳つてきたため、労友会に対するデマや中傷が乱れとんでいます。故意に悪意の宣伝や噂を流す人もいます。そのため、労友会はかなり多くの組合員に誤解をうけ、なにかウサン臭げな目でみられることもあります。 このしおりは、一般の組合員の方々に、労友会のほんとうの姿を知つてもらい、一人でも多くの人がともに活動に参加するよう訴える目的で作られたものです。」といつた内容が記載され、更に「私たちのめざす組合活動」として、「労使の関係を階級間の敵対関係とは見ず、『生産 つてもらい、一人でも多くの人がともに活動に参加するよう訴える目的で作られたものです。」といつた内容が記載され、更に「私たちのめざす組合活動」として、「労使の関係を階級間の敵対関係とは見ず、『生産で協力、分配で対立』の関係と考えます。」「賃金や利益の共通の源資である付加価値を増大させること、能率を高めること、働き甲斐のある職場をつくること等は、労使双方にとつて協力できるし、協力しなければならない分野だと思います。」「生産の向上や合理化は必要であり、推進すべきだと考えます。」「労使の関係を基本的に『階級と階級の対立』の関係にあるとする共産党の考え方に対して、私たちは労使は『協力』から出発すべき関係にあると考えています。われわれが取るべき配分を大きくするためには、そのモトになるべき成果が大きくなくてはなりません。この成果を大きくするという目的については、労使双方の利害は完全に一致しており、このためには協力にもとづく共同作業が必要であると考えています。」「技術革新のテンポが早く、経済の国際化が進んで、企業間競争がますます激しくなつている今日、生産性が不十分な企業が社会にとり残されてしまうことは明らかです。」私たちは労働組合として、生産性の向上に真剣にとりくんでいかなければならないと考えています。といつた内容の記載があり、また、「私たちの活動と成果」のなかには、「私たちは少しでもムダな争議をなくし、業績の向上が組合員の利益につながることを願つて、春闘時に夏の一時金まで含め要求、解決することを主張し、四十二年には全体の運動に発展させました。これは多数組合員に受け入られ、現在では日共・民青グループの頑迷な抵抗にもかかわらずスツカリ定着しています。」との記載がある。労友会が昭和四六年八月に発行した「自らの意思と自らの手で自らの生活を守ろう」と題する 合員に受け入られ、現在では日共・民青グループの頑迷な抵抗にもかかわらずスツカリ定着しています。」との記載がある。労友会が昭和四六年八月に発行した「自らの意思と自らの手で自らの生活を守ろう」と題するビラには、「労友会はイデオロギー集団ではありません。社会党を支持する人も自民党を支持する人もおります。いま職場では、日共・民青のグループが『労友会は思想で差別している』と攻撃をかけてきていますが、事実はまつたく逆で、日共・民青こそが自らのイデオロギーを大衆運動のなかにもちこみ混乱させていることは、歴史的にも明らかであり、よく知られていることです。」「わたくし達は日共・民青の労働政策・路線に反対しているのです。これは、まつたくわたくし達の自由であり、何人も侵害することのできない権利です。これこそ、規約・運動方針の保証するところであり、個々人の基本的な権利です。それとも日共・民青は、自らのイデオロギーを宣伝するのは規約違反ではないが、民主的労働運動のために活動することは違反になるものでしようか、なんともバカげた、自分本位の『理論』です。自分の自由は認めるが、他人の自由は認めない―これほど日共・民青の独善的・非民主的体質が露呈しているものはありません。組合の団結を破壊するのは、こうした日共・民青の組合支配です。わたくし達は、民主的な労働運動に常にくわえられる定り文句の『会社側だ、会社と一体だ』についても同様に考えています。自分に都合がわるければ『会社側だ』といい、主張できることがなくなれば『会社の回し者だ』と叫ぶのは、日共・民青が、いつでも、どこでも行つている常套手段です。まじめな意見交換は歓迎しますが、中傷と暴論はわたくし達のとるところではありません。」との記載がある。労友会が昭和四七年一月二八日に発行した「わたくし達の労働組合を自らの手で守り いる常套手段です。まじめな意見交換は歓迎しますが、中傷と暴論はわたくし達のとるところではありません。」との記載がある。労友会が昭和四七年一月二八日に発行した「わたくし達の労働組合を自らの手で守りぬこう」と題するビラには、「いま北辰の組合では、『全金問題』が大きな関心をよび、あらゆる職場で激しい議論がまき起つています。」「総評・全金や日共・民青は、機関紙やビラ、職場での口コミを通して、単に労友会の活動だけではなく、北辰の組合全体の路線を誹諦し中傷しています。」「わたくし達は、労働組合主義に立脚しています。労働組合を革命のためや党勢拡大のために利用する政治主義や社会変革の路線ではありません。」「総評・全金の社会変革路線や日共・民青の革命路線こそが、北辰の支部規約に反しているのです。」「総評・全金は、階級闘争の立場から、単なる経済闘争を排して、階級的な政治闘争との結合をとなえていますが、この考え方は、わたくし達の組合で定めた目的と相容れません。」との記載がある。 4 (「北隆会」の結成)会社の監督職約三〇〇名(会社における監督職のほぼ全員であり、支部組合員でもある。)は、昭和四六年一〇月一三日、「北隆会」なる組織を結成したが、北隆会がそのころ発行した「全金問題に対し北隆会はこう考える」と題するビラには、「過去の北辰労組の運動は、階級的闘争主義を根幹としたものであつたことは、今更申すまでもないことです。其処から我々は何を得たでしようか。同業社中もつとも高い労働分配率でありながらなお最低の収入であり、不況となればとたんに賃金支払能力が極度に低下し、将来にわたる我々の生活の安定に、不安を与える企業体質の弱体化でしかなかつたといえます。其の原因は北辰の生産性の低さにほかなりません。」「生産性運動は今後の我々の組合運動のあり方、労使関係のあり方を 将来にわたる我々の生活の安定に、不安を与える企業体質の弱体化でしかなかつたといえます。其の原因は北辰の生産性の低さにほかなりません。」「生産性運動は今後の我々の組合運動のあり方、労使関係のあり方を支える理念として高く評価されるべきものであります。こうした基調にたつ北辰労組として、労使関係を階級的、絶対的対立とする旧態依然たる思想で事象をとらえ、それをもつて下部を指導する全国金属に加盟していることにどのような意味があるでしようか。」「北辰の生産性を高めることにより、生活を向上、安定させようとする我々の路線に対し、反対の立場をとる全金とは、運動方針を決定するに当りハツキリと決別すべきであります。北辰会は、此の様な状態を踏まえて、北辰労組はただちに全国金属を脱退すべしとの結論に到達しました。此れを此所に表明し、全組合員の皆様に訴えるものであります。」との記載があつた。 5 (執行委員選挙)前述のような支部内部における組合運営をめぐる意見対立を反映して、昭和四二年頃から支部執行委員選挙の立候補者も、おおむねこれらの意見のどちらかを代表するものとなり、激しい選挙戦が行われるようになつた。 支部執行委員選挙は、前記認定(一、2記載)のとおり、各ブロツク又は組合員一〇名以上の推薦による立候補者に対し、二名連記による組合員の直接投票によつて、行われるが、選挙に際しては、候補者の所信のほか候補者の年齢、組合歴、推薦ブロツク(又は推薦組合員名)、責任者氏名等を各候補者について記載した「選挙公報」が選挙管理委員会から組合員に配布されるほか、選挙ポスター(責任者氏名はこれにも記載される。)が掲示され、また、勤務時間外に職場等において立候補者自身又はその支援者による所信表明、演説等が行われるという状況であった。 昭和四四年七月に行われた第五〇代執行委員選挙 名はこれにも記載される。)が掲示され、また、勤務時間外に職場等において立候補者自身又はその支援者による所信表明、演説等が行われるという状況であった。 昭和四四年七月に行われた第五〇代執行委員選挙には、三四名が立候補し、このうち二二名が「選挙公報」において所信表明を行つた(各ブロツクから一名の立候補者を推薦することが義務づけられていることから、推薦を受けて立候補しても、予め当選しても就任を辞退する意味で「公報」に所信表明等を掲載しない候補者もいる。)。右所信表明において春夏同時要求に反対し考課全廃を主張するなど同じ傾向の意見を掲げた候補者は八名であつた。これら八名の、氏名、年齢、組合歴、責任者氏名、推薦者氏名(P1は組合員一〇名以上の推薦によつて立候補した。また、P23はブロツク推薦によつて立候補しているが、「公報」に支援者としての推薦者の氏名が記載されている。)は、別紙(一)(表1)記載のとおりである(いずれも、「選挙公報」の記載による。)。また、これらの者の得票数、候補者中の得票数順位、当落選の別及び昭和四七年三月以降の所属組合(参加人支部に所属しているか否か)は、別紙(一)(表1)記載のとおりである。 昭和四五年九月に行われた第五一代執行委員選挙(前述のとおり選挙違反行為があつたため再び行われたやりなおし選挙である。)には、三二名が立候補した。これらの者の得票数、候補者中の得票数順位、当落選の別及び責任者氏名は、別紙(二)(表2)のとおりである。 昭和四六年春闘は、賃上げ及び夏季一時金要求に対する回答のなかで会社が支部に対し労使休戦を含む提案を行い、支部執行部の闘争スケジユールが職場投票の結果たびたび否決されるなどの事態が生じ、長期化した等のため、第五二代執行委員選挙は、同年九月に行われた。(なお、前記支部第一四回定期総会(昭 含む提案を行い、支部執行部の闘争スケジユールが職場投票の結果たびたび否決されるなどの事態が生じ、長期化した等のため、第五二代執行委員選挙は、同年九月に行われた。(なお、前記支部第一四回定期総会(昭和四七年二月二九日開催)の議案書は、昭和四六年九月に行われた執行委員選挙について、「この選挙の特徴は、現在の組合に流れている大きく分けて二つの意見が真向から対立し、日共民青路線か、民主的労働組合路線かということで組合員に二者択一させる結果になつた。このことは、そのまま、三役選挙に持ちこまれ、きびしい選挙戦が繰広げられた。」(傍点部分太ゴシツク体)と記載している。)右選挙には、三一名が立候補し、一八名が「選挙公報」において所信表明を行っているが、右一八名のうち一〇名はいずれも所信中に左記の六項目を掲げている。 (一) 友愛と信義の輪を拡げ、真の団結を築く。 (二) 労使の相互理解に協議制の確立で生活向上を実現する。 (三) 経営革新を迫り、わたくしたち働く者の豊かな生活を実現する。 (四) やりたい放題、組合軽視の経営態度を改めさせ対等の労使関係を確立する。 (五) 企業と労働組合の破壊主義者、日共、民青からわたくしたちの組合を守る。 (六) 日共・民青の憎しみと破壊から働く者の良心と生活を守る。 一八名中残りの八名は、いずれも所信中に、会社の介入を排除する、時間延長なしの完全週休二日制実現、考課制度反対等を掲げている。これら八名の、氏名、年齢、組合歴、責任者氏名(いずれも「公報」の記載による。)並びに得票数、候補者中の得票数順位、当落選の別及び昭和四七年三月以降の所属組合(参加人支部に所属しているか否か)は、別紙(三)(表3)記載のとおりである。 三会社の支部に対する対応 1 (会社の施策と支部の対応)会社が支部に提案した施策とこれに対する支 三月以降の所属組合(参加人支部に所属しているか否か)は、別紙(三)(表3)記載のとおりである。 三会社の支部に対する対応 1 (会社の施策と支部の対応)会社が支部に提案した施策とこれに対する支部の対応は、昭和四六年当時次のとおりであつた。 (一) 調整年金の導入会社は、昭和四四年に、調整年金制度の導入(厚生年金基金設立)を決定し、支部に対して検討を要請した。支部においては、一部執行委員の間に調整年金といつた問題は国が社会福祉政策の一環として実施すべきものであつて国の政策の怠慢を一企業が肩代りするかのごとき制度には反対するといつた意見が存在したことから、執行部としての対応方針が決定できないまま、昭和四六年に至つていた。右制度導入には法令上、労働組合のほかに従業員の同意が必要とされていたことから、会社は、この間、従業員への制度内容の説明のため、パンフレツト配布や説明会の開催等を行つた。そして、支部が会社に対し「組合として慎重に検討し、早急に結論を出す」というのみで具体的な対応を行わなかつたことから、会社は、昭和四六年二月二三日、従業員各人に対して調整年金導入についての同意を求める旨の文書を配布し、同意書に記名・捺印のうえ管理職へ提出することを求めた。これに対し、支部執行部は、「会社の行つている同意書に捺印せず、態度保留すること」を決定し、組合員に呼びかけたが、同年三月八日までに従業員のうち八三・五パーセントの者が同意書に捺印して提出した(同意書を提出しなかつた者は、出張・病休といつた特別の事情があつた、ごく少数の者を除き、調整年金制度に反対する者であつた。)。支部は、職場討議を経て同年四月二日組合員全員投票を行つた結果、調整年金制度導入に同意する旨決定した。調整年金制度は、同年一一月一日付で厚生省より正式認可され発足した。 (二) する者であつた。)。支部は、職場討議を経て同年四月二日組合員全員投票を行つた結果、調整年金制度導入に同意する旨決定した。調整年金制度は、同年一一月一日付で厚生省より正式認可され発足した。 (二) 週五日制(週休二日制)の実施会社は、昭和四六年一月一二日、全従業員を対象に「週五日制と余暇利用についてのアンケート」を実施し(回収率七五パーセント、うち賛成は九四パーセントであつた。)、同年二月二三日、支部に対し文書で週五日制実施案を提示すると同時にこれに伴う同年四月一日からの就業時間変更について協議を申し入れた。支部においては、一部執行委員の間に土曜を休日にするために他の五日(月曜ないし金曜)の勤務時間が延長されることを労働条件強化ととらえて反対する意見があつて、執行部として右提案に最終的結論がだせなかつた。結局、週五日制は同年四月一日から暫定的に実施され、翌昭和四七年四月一日から完全な形で実施された。 (三) タイムカード廃止会社は、昭和四六年二月一日、会社掲示板及び北辰ジヤーナル紙上で、同月一六日からタイムカードを廃止し出勤簿による出退勤管理を実施する旨を発表した。これに対し、支部は、同月三日、会社に対し、廃止の目的、運用基準、実施期日を明確にするよう要求し、同月一二日、団体交渉を申し入れた。会社は、タイムカード廃止は労働条件の変更ではないので団交の必要はない旨回答したが、支部との関係を考慮して、実施期日を延期し、団交に応じた。支部の中では、一部執行委員の間に、タイムカード廃止に伴う運用によつては労働条件強化につながるとの不安があつた。そこで、執行部は、右団交の席上会社に対し「出勤簿等の態様に関する覚書」の交換を条件としてこの件を了承したいと申し出たが、会社は、労働条件の変更ではないので支部と協定を行う必要はないとして覚書の交換を こで、執行部は、右団交の席上会社に対し「出勤簿等の態様に関する覚書」の交換を条件としてこの件を了承したいと申し出たが、会社は、労働条件の変更ではないので支部と協定を行う必要はないとして覚書の交換を拒否した。結局、運用上の基準について労使間で覚書として確認されないまま、同月一六日、タイムカードは廃止された。 2 (昭和四六年春闘の経緯)昭和四六年春闘における支部と会社の交渉経緯は、おおむね次のとおりである。 支部は、昭和四六年三月一〇日、賃上げ組合員一人平均一万五〇〇〇円、夏季一時金組合員一人当り平均三五万円の要求を、その他一〇項目の要求とともに、会社に対し提出した。会社は、同年四月二日の団体交渉において、賃上げ組合員一人当り一万円(税込・定期昇給を含む。)、夏季賞与組合員一人当り二〇万円(税込)の回答を行つたが、右回答には、回答の条件として「組合の提案」が添えられていた。すなわち、回答書には、「回答別紙に記した『組合への提案』は単なる要望事項にとどまるものではなく、組合がこれに賛同し、積極的に協力することによつてこそ、はじめて今回答が裏づけを得ることが出来る。いわば回答のための条件であることをはつきり申し上げ、相携えてこの苦況をのりこえ、次の発展へ協力する労使関係を築きたいと念願するものであります。」と記載され、回答別紙には「組合への提案」として「(1)労使休戦について向う三年間、労使休戦したい。そのための基盤を話し合いたい。(2)賃金体系について新しい賃金体系を実施するため、会社と組合とで協議する機関を設置する。そのための今年度分の源資は今年度賃上げ配分に含めて追って回答する。(3)生産効率向上について一五棟完成にともない、近日中に生産効率向上のための配置転換その他の諸施策を実施するのでこれについて了解すること。(4)調整 資は今年度賃上げ配分に含めて追って回答する。(3)生産効率向上について一五棟完成にともない、近日中に生産効率向上のための配置転換その他の諸施策を実施するのでこれについて了解すること。(4)調整年金の同意について可及的速やかに組合としての同意書を提出すること (5)銀行振込について従業員全員に対し給与ならびに賞与については全額を銀行振込により支払うことに同意してほしい。 (6)DP部門の就業形態の変更について DP部門(特にオペレータ)の特別な就業形態の採用については交替制度に基く具体的提案を近く行うので、これを了承すること。(7)その他」と記載されていた。 支部執行部は同日会社回答を不満として、同月七日から闘争体勢に入ることを決定した。ところが、支部常任代議員会は同月六日執行部の右決定(同月七日から闘争体勢に入ること)を否決した。支部は、同月八日の全員集会を経て、同月一三日から闘争体勢に入ることになつた。しかし、その後も全金本部役員の参加した闘争委員会で決定された闘争スケジユールが、職場闘争委員会において否定されるなど異常な事態が生じ、昭和四六年春闘は、過去に例をみないほど長期にわたつた。昭和四六年春闘は、同年六月三〇日、全員投票の結果、(賛成一〇八二票、反対三〇五票)、ようやく妥結し終結した。 3 (「北辰ジヤーナル」)会社総務部門は、昭和四二年九月ころから週刊の社内報「北辰ジヤーナル」を編集・発行しており、同誌の中で社内事情として労使関係についても触れ、団体交渉の経過、会社回答の説明、早期妥結の要望、ストによる会社の被害、支部の運動の批判などの内容の記事も掲載していた。 「北辰ジヤーナル」第一八〇号(昭和四六年三月一五日付)は、「論壇・調年に対する悪宣伝について」と題して、「調整年金は従業員の八三・五%が同意した(八日 動の批判などの内容の記事も掲載していた。 「北辰ジヤーナル」第一八〇号(昭和四六年三月一五日付)は、「論壇・調年に対する悪宣伝について」と題して、「調整年金は従業員の八三・五%が同意した(八日現在)。その後も出張から帰つて来た人や、その後同意することに考えをかえた人が毎日何人かづつ同意の印を押しに来ている。これは従業員の大多数の人の理解と協力の賜であり、喜ぶべきことだと思う。しかし、一部にはこの調整年金に反対するものがいる模様で、最近また組合教宣部発行のビラ「たけのこ」が宣伝を行つている。その悪宣伝もはなはだ内容に乏しく、三年ほど前に発表された連合会の某氏の発言を材料にしたり、基金の四〇%が赤字だとケチをつけるだけで、我々大多数を納得させるような議論は何も見当らない。」「このように、従業員にとつて得にこそなれ、損にならない調年に対して、連日否定的な宣伝を行つている『たけのこ』の狙いがどこにあるのか、むしろ我々はその狙いを見極める必要があるのではなかろうか。現在会社は、調年と並んでタイムカード廃止と週五日制移行のための諸準備を急いでおり、これまで組合に対し説明を行い話し合いを進めてきた。 これらの問題に対して教宣部「たけのこ」の論調を見る限り、組合執行部はおよそ会社の立場、考え方を理解しようとする姿勢を持たぬかのように感ぜられる。いや理解しないばかりかむしろこれまでの交渉経過を分析すれば、こうした会社の施策に何かとケチをつけ疑惑をもたせ、その挙句、会社が組合を無視して『強行』したという印象を皆に持たせておいて、実は労使の離間をはかろうとしているのではないかと思わざるをえない。調年の場合でも過日は『会社が従業員を強迫して同意させた』など、とんでもないことをマコトシヤカに宣伝し、会社は強引だという印象を植付けようとしている。あるいはまた、 のではないかと思わざるをえない。調年の場合でも過日は『会社が従業員を強迫して同意させた』など、とんでもないことをマコトシヤカに宣伝し、会社は強引だという印象を植付けようとしている。あるいはまた、タイムカード廃止にしても、もともと協定にするような性質のものではない事柄を協定しろと難題をもちかけ、会社が断ると、それを待ちかまえていたように、会社協定を拒否、更には団交を拒否したと大見出しで宣伝する。こうみてくると、調年にしろタイムカードにしろ、会社の『一方的強行』を印象づけて、労使に不信感を醸成しようとする狙いは全く同じである。同じ手口をもつて週五日制の問題まで強行と断じられて、このような狙いの的とされてはたまつたものではない。会社の発展を願う気持は皆同じである。相携えてこのような動きに乗ぜられぬよう注意したい。」との記事を掲載している。 「北辰ジヤーナル」第一八三号(同年四月五日付)は、「反会社的策動には断固対決を―P35専務語る」との見出しで、同月一日に開催された定例管理職会報におけるP35専務の発言を紹介しているが、そのなかには、同専務が「労使休戦による建て直しが必要とされる現状から組合にも協力を呼びかけて行きたい。特に管理職はミドルという意識ではなく経営の一翼であるということをつよく認識し、お互いの連帯と組織化を強めることにより、反企業、反会社的策動には厳しく対決していくようお願いしたいと語つた。」との記事がある。 「北辰ジヤーナル」第一九四号(同年六月二八日付)は、「論壇・反会社的言動は労使共同の敵」の見出しで、「四月二日の回答以来約三か月にも及ぶ異常なこの春季交渉は進展のないまま夏季交渉へと移り、去る一六日、会社は妥結のための最終回答を行つた。しかるに組合の教宣部発行の『たけのこ』は会社の態度を改めさせ、増額させよう(二四日 か月にも及ぶ異常なこの春季交渉は進展のないまま夏季交渉へと移り、去る一六日、会社は妥結のための最終回答を行つた。しかるに組合の教宣部発行の『たけのこ』は会社の態度を改めさせ、増額させよう(二四日発行)の一点張りで、会社の最終提案を全く理解しようとしていない。会社としては一万二〇万の増額はもうありえないことは再三再四説明しており、増額のための団交などこの時期に至つて全く応じられない。一部組合員はこの長期闘争を利用して、さまざまな反会社的言動を繰り返して来た。例えば、会社が増額し得ないことを承知で増額のための団交を要求し、これを踏み台にストを打つ、不法入門により会社の秩序を乱し、労使間に不信感を煽り立てる。あるいはまた、会社が説明した経理数字を逆手にとつて間違つた観念を組合員に植え付けるような悪宣伝を繰り返し、『もつと出るはずだ。』と主張して長期ドロ沼闘争に引きづり込んでゆく。こうしたやり方は、あきらかに労使の離反をはかるものであり、結果として生産性向上を妨げるものである。このような闘争を繰り返せば、企業の経済的基盤を危くすることは誰の目にも明らかであろう。会社を発展させ、労働条件の維持向上をはかるためには、生産性を向上させ、企業の経済的な基盤を強化しなければならないことは、今や万人の認める普遍的な原理である。従つて良識ある従業員なら、企業基盤の強化のために努力しようとしない人はいないと思う。しかるに、もし企業基盤を弱め、そして結果的に労働条件の悪化を招く言動があつたとするなら、これは当然反会社的な者として非難されるであろう。会社の発展のために努力している経営者が、このような反会社的分子ときびしく対決する姿勢を示すこともまた当然である。即ち、反会社的言動は労使共同の敵である。一部組合員は、会社が反会社的言動に対決するという姿勢を示せば、 努力している経営者が、このような反会社的分子ときびしく対決する姿勢を示すこともまた当然である。即ち、反会社的言動は労使共同の敵である。一部組合員は、会社が反会社的言動に対決するという姿勢を示せば、直ちに組合活動を威圧するものだとして、全くスジ違いの論法により反発している。これなど、明らかに自らの反会社的立場を組合というカクレミノによつて隠蔽しようとしているにすぎない。会社は正しい組合活動に対して威圧を加えようとしたことはないし、そのような考えは全くない。問題は組合活動に名を借りた企業破壊的活動であり、反会社的言動にある。このような者に対しては、たとえそれが組合というカクレミノをつけていようとも、企業と従業員の生活を守る立場から、会社、従業員が一致して徹底的に対決していかなければならないと思う。」との記事を掲載している。 「北辰ジヤーナル」第二二七号(昭和四七年二月二四日付)は、「論壇・―悪循環を断ち切つて―新しい北辰への前進」の見出しで、「今般の監督者セミナーにおいてP37講師はこの問題にふれ、北辰の現状を招いた要因は、管理のアマさと、これまでの硬直化した労使関係とにあると指摘され、他の要因はないと強調された。 管理のアマサについては、先生の指摘をまつまでもなく、過去何回となく取沙汰されながら、なかなか改善の手段がとれず、というよりほとんど為すところがなかつたという実情であつた。長年、職制と一般との離反をはかり、企業秩序を破壊しようとする左翼集団が、組合の名をかりて職場にはびこつた結果、中には声ばかり大きい日共、民青の鼻息をウカガウ管理監督者がいたとも取沙汰されていた。一部の職場では反会社的言動がマカリ通り、又全社的に配転の話などはひとまずゴネてみる風潮もあり、それに自信を得て出て来たのがP30の起した訴訟だつたといえる。 会社のやるこ いたとも取沙汰されていた。一部の職場では反会社的言動がマカリ通り、又全社的に配転の話などはひとまずゴネてみる風潮もあり、それに自信を得て出て来たのがP30の起した訴訟だつたといえる。 会社のやることにはまず色眼鏡でウタがつて見るような宣伝に管理監督者自身まで惑わされ自信を喪失していたのである。通常の企業ならとつくに欠陥を露呈すべきこのマネジメント体制の弱さも高度成長による量的拡大ブームの陰に隠されて、今日まで、もちこたえて来たのだといえる。」「一方の硬直した労使関係の方はこれまでも度々指摘され乍ら、やはり為すところがなかつたといつてもよかろう。その結果が内部留保を食いつぶし、今日のようなイザという時の底力を自ら減殺した。 昨春闘のように会社が切端つまつて企業防衛のために一歩ふみ出し組合員の良識に訴えるPRをくりひろげたのであったが、これに対しても都労委に提訴するなどの抵抗がなされた。何か会社のすることを悪く悪くとるやり方、これが会社にムダな労力を費やさせ、マネジメントを弱体化する悪循環を生んで来たことは残念ながら間違いない事実である。」と報じた。 「北辰ジヤーナル」第二二九号(昭和四七年三月一一日付)は、「論壇・春のいぶき―新しい労使関係に残される課題―」の見出しで、「さて思いかえすと二月にはいろいろなことがあつたように思う。………うるう年で二九日まであつたが、その日は池上において労組の定期総会が行なわれ、全金脱退を堂々と決議した。これなどは新聞の労働界の記事にこそとりあげられていなかつたが、当社の従業員にとつては忘れることの出来ない事件ではないだろうか。当日六時半ごろ東京地方には震度四の激震があつて二月を締括った形になつたが、そのような経過を経ての、この頃の春の兆しは、文字どおり一陽来復の感がする。この一陽来復に私たちは何を期待でき いだろうか。当日六時半ごろ東京地方には震度四の激震があつて二月を締括った形になつたが、そのような経過を経ての、この頃の春の兆しは、文字どおり一陽来復の感がする。この一陽来復に私たちは何を期待できるだろうか。当社企業発展の上での大きなガンの一つといわれた、いわゆる『硬直的労使関係』については、当事者の一方である労働組合が文字どおり、主体的な変革をとげたことにより、改善への大きな一歩をふみ出したといえよう。」「新しい人間の生き方を求め、それが実現しうる明るい経営社会を運営することが基本課題であることは勿論だが、その実現のためのさまざまな施策が、これまでの日共民青主導型といわれる組合活動によつてデイスターブされて来た。」「しかし、ここに気がかりなこともないではない。それはこれまでにも度々とりあげられた反社会的分子の策動である。企業の発展というよりは、社会体制ぐるみの企業の崩壊を目標とする政治主義的闘争集団は、当社が新しい経営社会秩序を維持し、明るい人間関係、明るい職場を作ることを当然に好まない。したがつて、何んとか経営状態にあるいは施策に非建設的なケチをつけ、職制間に離反をはかろうとすることが予想される。この場合、仮に目的のためには手段をえらばぬといつた特有のやり方がとられるとすれば又もや、論理以前の主張や訴え、事実無根のデマ、為にするクスグリなどが頻繁に、私たちの目にふれることになろう。」との記事を掲載し、また、「社内ニユース・組合近代化に監督者の役割大―監督者会報開かる―」の見出しで、「三月三日(金)朝七時四五分より健保卓球室において監督者会報が開かれた。冒頭P35専務は今回の組合の全金脱退において果たした監督者各位の力は大きい。今後も労使関係近代化のため大いに頑張つてほしいと述べ………P35専務に引き続きP38常務も、組合の全金脱退 が開かれた。冒頭P35専務は今回の組合の全金脱退において果たした監督者各位の力は大きい。今後も労使関係近代化のため大いに頑張つてほしいと述べ………P35専務に引き続きP38常務も、組合の全金脱退は今後の労使関係近代化のために誠に喜ばしい。しかし、問題はこれで終つたのではなくこれからスタートするのである。 一部組合員の中には第二組合結成の動きもあるやにきいている。又、脱退に伴う法的手続等もこれからやらなければならないことと思う。各位のご努力を期待すると強調した。」「当日は朝会報に参加する監督者が早く通勤してくる途次、石油スタンド前に又もや全金ビラまきが来てビラをくばる風景があり、このため一部監督者は社内警備のため会報に参加できないという事態もあり、度重なる全金のいやがらせにいきどおりを感じる一幕であつた。」との記事を掲載している。 4 (会社の別件不当労働行為)被告委員会は、会社が昭和四六年春闘中に、(1)全金及び地本を非難、中傷するような文書を配布、掲示したこと、(2)全金及び地本の役員が交渉委員となつていることを理由として支部との団体交渉を拒否したこと、(3)休憩時間中の会社構内における支部の集会に全金及び地本の役員が参加することを阻止したことは、いずれも、支部の執行部を支配するところの全金の運動方針を支持するグループを弱体化し、全金の運動方針に批判的なグループへの支援を意図したものであるとして、不当労働行為に該当すると判断し、昭和四七年六月二〇日、救済命令(都労委昭和四六年不第五二号不当労働行為救済申立事件)を発した。 5 (観察指導表)会社では、個々の従業員の教育、処遇、配転等を考慮する資料を得るため、従業員自身の提出する自己申告制度及び昇給、一時金査定のための管理職による考課制度のほかに、管理職が個々の従業員について観察指 会社では、個々の従業員の教育、処遇、配転等を考慮する資料を得るため、従業員自身の提出する自己申告制度及び昇給、一時金査定のための管理職による考課制度のほかに、管理職が個々の従業員について観察指導表を作成して会社総務部門に提出する制度を採つていた。右観察指導表は、昭和三九年ころから作成されていたが、昭和四五年一〇月に作成された観察指導表の記入項目としては、(1)職務内容 (2)資格要件 (3)職務遂行能力 (4)参考事項 (5)性格 (6)現職の適否 (7)配転の可否 (8)適性、将来の職務系統、昇進 (9)本人の申告に対する意見 (10)教育のほか、 (11)その他として、本人についてとくに説明すべきこと(健康状態、家庭、交友、思想、信条、特技など)が掲げられている。 四会社の昇給・昇格制度 1 会社は、従前から人事考課に基づいて昇給及び賞与の会社査定額を決定していた。昇給考課は、前年の四月から当年の三月までを対象とし、毎年四月中旬ごろ行われる。夏季賞与の考課は、前年の冬季賞与対象期間後の六か月間を対象として、昇給考課直後に行われる。 2 会社は、昭和四五年度から、別紙(七)(考課表)記載の考課表を用い、九つの評定要素ごとにつけた評定点の合計点数(最高点は四二点、最低点は六点となる。)をもつて考課点とすることにした。そして、右考課点に年齢を考慮して換算点を計算し、査定金額を求めている。 3 右考課の第一次評定者は、原則として担当補佐ないし担当である(会社の職制は、管理職として総括(いわゆる本部長クラス)―担当(部長クラス)―担当補佐(課長クラス)が存在し、その下の監督者として、直接部門(工場)にスーパーバイザー、アシスタント・スーパーバイザー、リードマンが、間接部門(事務)に主任が存在した。なお、営業部門は、右職制と異なり、管理 長クラス)が存在し、その下の監督者として、直接部門(工場)にスーパーバイザー、アシスタント・スーパーバイザー、リードマンが、間接部門(事務)に主任が存在した。なお、営業部門は、右職制と異なり、管理職として支店長、監督職としてセールスマネジヤーがいる。)。 しかし、監督者がいる場合には、スーパーバイザー又は主任が第一次評定を行い、担当補佐ないし担当がこれを修正する第二次評定を行つていた。そして、担当補佐ないし担当が決定した評定点を、総括が総務部門に提出し、各総括と総務部門の人事担当者が部門間の評定点較差の調整を行う。 4 会社は、右人事考課を行うため、別紙(一三)記載の「考課評定依頼の件」及び「考課評定実施要領」を配布している。各担当ないし担当補佐は、右実施要領に基づいて考課を実施する。 5 右実施要領によれば、考課評定要素のうち、「職務(資格要件)」としてまとめられている考課評定要素Ⅰ「経験・知識・技能」、同Ⅱ「判断力・指導統率力・責任度」、同Ⅲ「創造性・企画力・積極度」については、「本人の年令・学歴等には一切関係なく、あくまで本人の現在行つている職務自体を純粋に評価対象として評定する」「この職務評価は前述したとおり、本人自身の能力とは無関係に、あくまで職務だけについて評価するものである。従つて、いくら本人が高い能力を持つていても、実際に行つている職務が低位のものであれば、評点は低くなつてもやむを得ない。また、逆に、配転後間もない者については、不慣れ等の理由でその職務を全うする能力を具備するに至つていない例が多い。しかし、この場合も本人の現在の能力とは関係なく、配転先でどのような職務についたかということが評価の対象となる。」とされている。 「職務遂行能力」としてまとめられている考課評定要素のうちⅣ「成果(顕在的能力)」については、「職務 能力とは関係なく、配転先でどのような職務についたかということが評価の対象となる。」とされている。 「職務遂行能力」としてまとめられている考課評定要素のうちⅣ「成果(顕在的能力)」については、「職務に関連して、本人の能力が、その職務の資格要件をどの程度満たしているかを評定する。この場合、主観的評価は極力避け、あくまで本人の仕事の成果あるいはできばえを通じて評価する。」「職務遂行能力の評定は他人との比較ではなく、あくまでその職務が要求している成果と、本人が実際にあげ得た成果との比較によつて行われる。従つて、仮に同じ程度の能力の者でも、高い職位についている者に対しては、評定がそれだけ厳しくなることになる。」とされている。同Ⅴ「期待(潜在的能力)」については、「現職務とは直接関係なく、例えば仮に他の適切な職務をやらせたとすれば、さらに高い能力を発揮するであろうと期待される能力、あるいは配転後間もないため、現在十分な成果をあげ得ないが、今後期待される能力等について評価するものである。この評定でも、できるだけ主観を排し、被評定者の日頃の勉強ぶりとか、勤務態度と通じて適正な評価を行うものとする。」としている。同Ⅵ「協調性・勤勉性」については、「各職務が次第に組織化されまた高度化しつつある現在、協調性と勤勉性は仕事のできばえに大きな影響を与え………グループとしての成果にも関係してくる。このような意味から勤務態度として特に協調性、勤勉性について評価するものである。」とされている。 更に、職務・職能だけではとらえにくい側面の評定を「その他」としてまとめている。これは、会社の「人事管理がある面では終身雇用を前提としたものであること、職務給ないし職能給への移行が行なわれていないこと、あるいは労使関係が依然として微妙な段階にあり、この動向如何が企業の発展を大き れは、会社の「人事管理がある面では終身雇用を前提としたものであること、職務給ないし職能給への移行が行なわれていないこと、あるいは労使関係が依然として微妙な段階にあり、この動向如何が企業の発展を大きく左右するものとなつてきたことなどの背景を考慮し、過渡的措置として設定した考課評定要素であ」り、「これらの評定は、かなり主観的な総合判定によらざるを得ない面もあるが、現段階ではやむを得ない。」とされている。そのうち、考課評定要素Ⅶ「企業への協力度」については、「会社の方針あるいは部内方針をどのように理解し、またはどのように受けとめ、日常の会社生活において、方針実現のためにどのように行動したかを評定する。あるいはまた、会社の示す各種の合理化施策への協力に関し、如何なる姿勢を示しているか等も評価対象となる。これらは、仕事に関してのみならず、広く本人の企業活動全体を通じて総合的に判断し、過去一年間の実績から今後を予測する」とし、その評点の基準を「特に協力した者五点、かなり協力した者四点、人並みに協力した者三点、やや協力の足りない者二点、協力の足りない者一点、非協力な者〇点」としている。同Ⅷ「勤務態度」については、「協調性・勤勉性以外の一般的な勤務状況を把えて評価するものである。従つて、その職務に固有の協調性とか勤勉性ということではなく、一人の従業員あるいは産業人としての資格要件を基準として評定する。」「あるいはまた、本人の社内外での言動によつて企業の対外信用をそこない、企業に不利益をもたらす場合もある。このような点も含めて総合的に判断し評価する。」とし、評価の対象項目として、「(1)欠勤、(2)休暇日数及休暇の取り方、(3)出勤時刻、(4)所定内及び所定外勤務時における執務態度、勤務密度、能率(5)上司に対する態度、(6)公私の区別」を例示してい 価の対象項目として、「(1)欠勤、(2)休暇日数及休暇の取り方、(3)出勤時刻、(4)所定内及び所定外勤務時における執務態度、勤務密度、能率(5)上司に対する態度、(6)公私の区別」を例示している。同Ⅸ「将来性」については、「本人の資質・人物を総合的に判定し、将来に期待する意味を含めて評価する。この評価項目は……「期待(潜在的能力)」の場合より、その評価対象の幅は広く、かつ、やや長期的な視点から評価するものである。なお、評価時点で将来を見通すものであつて、現時点の評価が次回以降の評価を拘束するものではない。」としている。 6 会社は、昭和三四年一〇月一日、「役付従業員資格規程」を制定・施行して、役付従業員の資格を参事、参事補、主事及び主事補に区分し、有資格従業員に対し資格手当を支給するとともに、資格在職年数に応じて退職金に功労付加金を加給することにした。そして、定期昇格は、毎年一回行い、資格の付与及び昇給は、勤務成績、人物を参酌のうえ、所定の資格基準により行う旨定めた。右の資格付与・昇格基準によれば、主事補の職務内容は「監督的職務または広範囲かつ高度の知識、技術を必要とする職務」とされ、その職務能力は「定められた範囲の分担業務について段取、企画立案、調査をなし、直属部下を監督指導して、独立の判断により実際業務を推進しうる者。上級専門職を補佐して高度の知識技能を必要とする専門職を遂行しうる者」と定められている。 7 昭和四三年三月ごろ、退職金の改訂等の問題について、団体交渉が行われた。 そこで、支部は、会社に対し、功労付加金算定の基礎となる資格在任期間を明らかにするよう求めた。会社は、高校を卒業して入社した従業員の主事補昇格の平均年齢は三二才(入社後一三年目)であるとの基準を示した。 8 主事補の資格を付与するか否かは、昇格対象者の中から、 期間を明らかにするよう求めた。会社は、高校を卒業して入社した従業員の主事補昇格の平均年齢は三二才(入社後一三年目)であるとの基準を示した。 8 主事補の資格を付与するか否かは、昇格対象者の中から、総務部門の人事担当者と当該対象者の所属部門の総括との協議によつて決定される。その際には、対象者の職務内容及び職務能力が前記基準に定める内容、能力を満たしているか、対象者の勤務成績及び人物に問題がないか、が考慮される。右判定の資料としては、過去二回(一年分)の賞与の考課点及び過去三回(三年分)の昇給の考課点が用いられる。 五申立人らに対する昭和四六年度の昇給、夏季賞与及び主事補昇格に関する取扱等 1 (申立人らの卒年等)申立人らの学歴、卒年及び入社年月日は、別紙(四)(表4)記載のとおりである(なお、申し立て後命令前に取り下げたP32及びP31(被告は右両名も「全金派」と認定している。)についても記載した。)。 2 (協定内容)支部と会社とは、昭和四六年七月六日、昭和四六年度昇格及び夏季賞与について、次のとおり協定した。 (一) 昇給(1) 組合員一人当り一万円を増額する。 (2) 配分方法卒年別一律九二パーセント九二〇〇円会社査定分八パーセント八〇〇円(二) 夏季賞与(1) 支給額は、組合員一人当り二〇万円とする。 (2) 配分方法比例分九二パーセント一八万四〇〇〇円会社査定分八パーセント一万六〇〇〇円 3 (申立人らの昇給査定額―同卒年者との比較)申立人らとそれ以外の同卒年者との昭和四六年度昇給における会社査定額(昭和三一年高卒者、昭和三二年高卒者、昭和三二年中卒者については、昭和四四、四五年度昇給における会社査定額をも掲げる。)は、別紙(五)(グラフ①ないし⑥)記載のとおりである(なお、右グラフには 額(昭和三一年高卒者、昭和三二年高卒者、昭和三二年中卒者については、昭和四四、四五年度昇給における会社査定額をも掲げる。)は、別紙(五)(グラフ①ないし⑥)記載のとおりである(なお、右グラフには、昭和三二年高卒者として前記P32、P31の査定額を、昭和三二年中卒者には被告が「全金派」と認定したP39、P40、P41の査定額を、昭和三三年高卒者には同じく被告が「全金派」と認定したP42の査定額を、それぞれ特定した。)。 4 (申立人らの夏季賞与査定額―同卒年者との比較)申立人らとそれ以外の同卒年者の昭和四六年度夏季賞与における会社査定額は、別紙(六)(グラフ⑦ないし⑨及び表⑩)記載のとおりである(右グラフには、昭和三二年高卒者としてP32、P31の査定額を、昭和三二年中卒者には被告が「全金派」と認定したP43、P41の査定額を、それぞれ特定した。)。 5 (申立人らの考課点)昭和四六年度昇給考課は、昭和四五年四月から昭和四六年三月までを対象とし、同年四月中旬ごろ行われた。昭和四六年度夏季賞与の考課は、昭和四五年一一月一六日から昭和四六年五月一五日までを対象とし、同月ごろ行われた。 申立人らの昭和四六年度昇給及び同年度夏季賞与における、考課の評定要素別及び合計考課点数、並びに、合計考課点数の同卒年平均点は、別紙(八)(表5)のとおりである(右表には、P32及びP31の考課点も記載した。)。 右申立人らの昭和四六年度昇給考課点、同年度夏季賞与の考課点及び年齢と、申立人らと同一職種についている従業員らのそれらの平均とを比較すれば、別紙(一四)(表11)記載のとおりとなる。 6 (申立人らの主事補昇格)昭和三一年高卒者及び昭和三二年高卒者の昭和四六年六月昇格時における主事補昇格状況、並びに、申立人らの昇格状況は、別紙(九)(表6、表7) 表11)記載のとおりとなる。 6 (申立人らの主事補昇格)昭和三一年高卒者及び昭和三二年高卒者の昭和四六年六月昇格時における主事補昇格状況、並びに、申立人らの昇格状況は、別紙(九)(表6、表7)記載のとおりである(右表にはP32及びP31についても記載した。)。 六申立人らの支部における労働組合活動 1 (申立人らの組合役員歴)申立人らの支部における組合役員歴は、別紙(一〇)(表8)記載のとおりである。(なお、右表には、申立後命令前に取り下げたP32、P31の両名(被告は「全金派」と認定している。)及び被告が命令書において「全金派」と認定したP40、P39、P41、P43、P42の組合役員歴も記載した。)昭和四四年の第五〇代執行委員選挙においては、申立人らのうち、P20、P1、P4及びP6は春夏同時要求反対、考課全廃を所信に掲げて立候補し(得票数等は、別紙(一)(表1)記載のとおり。)、P7は同様の所信を掲げて立候補していたP21、P23両名の推薦人として「選挙公報」に名前を出している(なお、P5、P11の両名も右選挙に立候補しているものではあるが、P5は「公報」において一身上の都合により辞退するが、執行委員選挙にあたつては要求を値切らず、会社に対しては組合の主張を正々堂々と最後まで貫き通せる人を選出して下さいとの意見を述べている。P11は所信表明を行つていない。そして、両名の得票数はいずれも一票のみである。)。(また、被告が「全金派」と認定したP31はP20の責任者、P40はP21・P23の推薦人となつている。)昭和四五年の第五一代執行委員選挙においては、申立人らのうち、P20、P1、P4、P24、P7及びP28が立候補している(得票数等は別紙(二)(表2)記載のとおりであるが、P28の得票数は零票である。)。 昭和四六 代執行委員選挙においては、申立人らのうち、P20、P1、P4、P24、P7及びP28が立候補している(得票数等は別紙(二)(表2)記載のとおりであるが、P28の得票数は零票である。)。 昭和四六年の第五二代執行委員選挙においては、申立人らのうち、P20、P1、P4、P7、P24及びP12が会社の介入排除等を所信に掲げて立候補し(得票数等は、別紙(三)(表3)記載のとおり)、P8はP4の責任者となつている。(また、被告が「金派」と認定したP31はP20の責任者となつている。)なお、申立人らないし申立人らと同一所信を掲げた立候補者の責任者あるいは推薦者、並びに、後記P30裁判について証人申請された者のうち、昭和三〇、三一、三二年度高卒者及び昭和三二年度中卒者の組合役員歴は、別紙(一二)(表10)のとおりである。 2 (P30裁判)申立人P30は、会社の配転命令を争つて、昭和四三年、会社を被告として、当庁に地位確認請求訴訟を提起した(当庁昭和四三年(ワ)第一三二八八号地位確認請求事件。以下、右訴訟をさして「P30訴訟」という。)。 右訴訟は、配転について組合との事前協議制の確立をめざす全金本部・地本の指導及び支援の下に行われ(「配転の事前協議制の確立」は、昭和四六年の第五二代執行委員選挙においてP20も所信のなかに公約として掲げている。)、会社もこのことを認識し右訴訟におけるP30の支援者の氏名等も把握していた。 P30訴訟において、原告側から昭和四五年二月二七日付証人申請書で申請された証人(P30訴訟の支援者と解される。)の氏名、証人採用のいかん、証人尋問実施年月日、昭和四七年三月以降の所属組合(参加人支部に属しているか否か)は、別紙(一一)(表9)のとおりである。申立人らのうち、P20、P1、P10及びP5が証人として申請されて いかん、証人尋問実施年月日、昭和四七年三月以降の所属組合(参加人支部に属しているか否か)は、別紙(一一)(表9)のとおりである。申立人らのうち、P20、P1、P10及びP5が証人として申請されている(ただし、いずれも採用されていない。また、被告が「全金派」と認定したP43も証人として申請されているが採用されていない。)。 3 (ビラ配布・職場での行動)申立人P3は、会社において、しばしば、全金の運動方針を支持し会社を非難する内容のビラ配布を行つているほか、昭和四六年三、四月ころ、職場の朝会で監督職が調整年金について説明しようとすると大声で「反対。反対。」と言つて一方的に反対の旨の発言を行い、また、そのころ、監督職がパートタイムの従業員に対して調整年金の説明をしていると同じ職場の申立人P19のほかP44、P45といつた従業員とともに「パートタイムの従業員だけにかくれたところで調整年金の説明をするのはけしからん。」と抗議し、就業時間中に組合のビラを朗読していたP44、P45の行為を注意した監督職に対し、P19とともに抗議している。 4 (昭和四七年三月以降における所属組合)なお、申立人らが、昭和四七年三月以降、いずれも、参加人支部に所属していることは、既に前記一において認定したとおりである。被告が「全金派」と認定したP32、P31、P40、P39、P41、P42もまた、昭和四七年三月以降参加人支部に所属している。 (不当労働行為成否の判断)一被告は、支部内の全金の運動方針を支持するグループを「全金派」と呼び、これに批判的なグループを「批判派」と呼んで、申立人ら全金派組合員の昇給・夏季賞与の査定額の分布状況及び昇格状況と全金派以外の同卒年者ないし同格者の昇給・夏季一時金の査定額の分布状況及び昇格状況とを全体的に比較したうえ、会社は、 」と呼んで、申立人ら全金派組合員の昇給・夏季賞与の査定額の分布状況及び昇格状況と全金派以外の同卒年者ないし同格者の昇給・夏季一時金の査定額の分布状況及び昇格状況とを全体的に比較したうえ、会社は、申立人らが全金派であることを理由に、同人らを不利益に取り扱つた、と推定している。 二企業内の唯一の組合に特定の傾向を有する組合活動を行う集団が存在する場合において、組合員が右集団に属して右特定の傾向を有する組合活動を行う故をもつて、使用者である企業が右組合員個人の賃金・昇格を差別的に取り扱うことは、当然、労働組合法七条一号の不当労働行為に該当し、また、右のような差別的取扱いをすることによつて右集団の活動に打撃を与え組合の運営に支配介入をすることは、同法七条三号の不当労働行為に該当すると解される。 ところで、労働委員会に対して不当労働行為の救済を求める申立人は、不当労働行為該当の事実が存在することを立証しなければならないが、個々の組合員らが前記のように特定の集団に属して組合活動を行う故をもつて昇給・昇格等で差別されている(労働組合法七条一号該当)と主張する場合には、個々の組合員について不利益取扱いの成否を考えなければならないから、申立人が、(一)使用者が右集団を嫌悪していることのほかに、(二)個々の組合員に対する昇給・昇格等が右集団に属しない者に対する昇給・昇格等に比べて差異があること、(三)右昇給・昇格等の基礎となるべき個々の組合員の勤務の実績ないし成績が右集団に属しない者のそれとの間に隔りのないこと、を個別的に立証する必要がある。 これに対し、使用者が特定の集団に属して組合活動を行う組合員らの昇給・昇格等を差別することにより右集団の活動に打撃を与え組合の運営に支配介入している(労働組合法七条三号該当)と主張する場合には、右集団について不利 用者が特定の集団に属して組合活動を行う組合員らの昇給・昇格等を差別することにより右集団の活動に打撃を与え組合の運営に支配介入している(労働組合法七条三号該当)と主張する場合には、右集団について不利益な取扱いがあるかどうかを考えれば足りるから、申立人としては、(一)使用者が右集団を嫌悪していることのほかに、(二)右集団に属する組合員の昇給・昇格等が全体として右集団に属さない他の組合員たちの昇給・昇格等に比べて差異があることを、いわゆる大量観察により立証すれば足り、右立証がされれば、使用者において、右差異が合理的理由に基づく等の特段の事情を立証しないかぎり、右差別は特定の集団に属して組合活動を行つたことを理由とするものであり、不当労働行為に該当すると推認するのが相当である。 もつとも、右のような大量観察によつて特定の集団に属する組合員の昇給・昇格等が他の組合員に比べ全体として差別されていると認められるためにも、本来、右特定集団と比較対照すべき集団との間において、それぞれの集団に属した各組合員の提供した労働の質量等、すなわち勤務の実績ないし成績が全体的にみて隔たりなく均一性を有することが前提となるべきものである(一般に個々の組合員について差別がされているかどうかを認定するにあたつては、経験則上個々の組合員の勤務実績ないし成績が他の個々の組合員のそれと隔りがなく均一であるとの推定は直ちに働くものではないから、その間の均一性についての立証が必要とされる。しかし、単一の組合のなかで勤務成績と関係のない組合活動上の見解の差により成立した特定の集団には、特段の事情がない限り、組合全体又はその特定の集団以外の組合員全体とほぼ等しい勤務実績ないし成績の者が分布するものと推定されるから、その両集団を全体として比較する場合には、その間の均一性の立証は、通常 段の事情がない限り、組合全体又はその特定の集団以外の組合員全体とほぼ等しい勤務実績ないし成績の者が分布するものと推定されるから、その両集団を全体として比較する場合には、その間の均一性の立証は、通常、必要がないものというべきである。)。したがつて、右特定の集団に属する組合員が組合員全体又は右集団以外の組合員全体に比べて極端に少ない場合又は特定の集団に属する組合員の範囲が明確でない等明らかに比較されるべき両集団の勤務実績ないし成績の均一性が確保されているものとはいえない場合には、大量観察によるべき前提を欠き、結局、差別されていると主張する当該組合員各人についての個別立証が必要とされることになるものというべきである。 本件命令は前記のようにいわゆる大量観察によつて申立人ら全金派に対する不利益取扱いを推認しているので、この点を中心に以下検討する。 三 (いわゆる全金支持派と全金批判派の存在)前記(事実関係)一、二及び三2で認定した事実を総合すれば、昭和四二年ごろから支部内において全金の運動方針を批判する集団が現われたこと、右全金に批判的な者は労友会を結成し活動していること、執行委員選挙においても全金の方針に従い会社の施策に反対する者とこれに対立して全金に批判的な所信を掲げる者とが立候補していること、昭和四六年春闘時までに支部内において右対立した意見を反映し論調の異なる二つの印刷物が発行され始めたこと、昭和四六年春闘時には執行部の闘争案が否決されていること、昭和四七年三月には全員投票によつて全金脱退を決定しているが、右投票の無効を主張し全金として組合活動を継続する者がいること、が認められる。 右認定事実によれば、昭和四二年ごろから、支部内において全金批判派が現われ、昭和四五、六年当時にも、支部内において全金支持派と全金批判派が存在していた 活動を継続する者がいること、が認められる。 右認定事実によれば、昭和四二年ごろから、支部内において全金批判派が現われ、昭和四五、六年当時にも、支部内において全金支持派と全金批判派が存在していたと認められる。 そして、申立人らは、いずれも昭和四七年三月以降も参加人支部に所属していることからして、昭和四五、六年当時から全金支持派に属していたと推認できる(申し立て後命令を取り下げたP32及びP31も同様である。)。 四 (会社の全金支持派に対する態度)前記(事実関係)三で認定した事実、特に北辰ジヤーナルに掲載された記事内容によると、会社は、調整年金導入等会社の施策に反対し、昭和四六年春闘の会社回答案に反発し非難する全金支持派の言動を(前掲乙第六号証の一一、一七、二〇及び証人P33の証言によれば、右言動は全金支持派の組合員によつてなされたと認められる。)、「反社会的言動」と批判してこれを嫌悪していたと認めるのが相当である。 五 (昭和四四年四月から昭和四六年四、五月ごろまでの間全金支持派全体が差別されていたか) 1 前記のように被告は、申立人ら全金派組合員の査定額の分布状況及び昇格状況と全金派以外の同卒者ないし同格者の査定額の分布状況及び昇格状況とを比較したうえ、会社は、申立人らが全金派であることを理由に、同人らを不利益に取り扱つた、と推定している。 しかしながら、前記認定事実によれば、次の事実が指摘できる。 (一) 昭和四四年七月に行われた執行委員選挙において、申立人らのうちP20、P1、P4、P6は、全金の方針を支持する所信を明らかにして立候補している。同趣旨の所信を明らかにした申立人ら以外の候補者には、P21、P22、P23、P25がいる。 右候補者らの得た投票総数は、一一〇七票であり、P6とP25とが落選したが、その外の六名の 補している。同趣旨の所信を明らかにした申立人ら以外の候補者には、P21、P22、P23、P25がいる。 右候補者らの得た投票総数は、一一〇七票であり、P6とP25とが落選したが、その外の六名の候補者は当選している。 申立人のうちP7は、P21及びP23の推薦者となつている。P20の責任者にP31がなつているほか、P20を除く他の前記候補者の責任者には、P46、P47、P26、P48、P49、P50、P51がそれぞれなつている。 また、P1候補の推薦者にP52、P53、P54、P45、P55、P56、P57、P58、P59、P60、P61、P62、P46、P63、P64、P65が、P21及びP23両候補の推薦者には申立人P7以外にP40、P66が、それぞれなつている。 (二) 昭和四五年九月の執行委員選挙では、申立人らのうちP20、P1、P4、P7、P24、P28が立候補している。 前記(一)で名前の出たP21、P25、P26も立候補している。 P21の責任者にはP66が、P24の責任者にはP67が、P1の責任者にはP63が、P7の責任者にはP68が、それぞれなつている。 右候補者の総得票数は一二八八票である。右立候補者のうちP28を除いた八名が当選している。 (三) 昭和四六年九月に行われた執行委員選挙においては、申立人のうちP20、P1、P4、P7、P24、P12が全金の運動方針支持の所信を明らかにして立候補している。申立人以外に同様の所信を明らかにして立候補した者にP25、P22がいる。 右候補者の得た投票総数は一〇〇三票である。P69、P1、P4、P25、P7の五名が当選している。 申立人のうちP8がP4の責任者になり、P31がP20の責任者となつている。その他前記候補者の責任者には、P70、P51、P71、P72、P23、 、P1、P4、P25、P7の五名が当選している。 申立人のうちP8がP4の責任者になり、P31がP20の責任者となつている。その他前記候補者の責任者には、P70、P51、P71、P72、P23、P26がなつている。 (四) P30訴訟において、原告側証人として、申立人のうちP20、P1、P10、P5が昭和四五年二月二七日付で申請されているが、申立人以外にもP73、P74、P75、P76、P43、P22、P67、P40、P21が申請されている。 (五) 前記執行委員選挙及びP30訴訟において、申立人ら(P31も含む。)以外で名前の出た組合員三八名のうち、昭和三〇年高卒者にはP52、P50、昭和三一年高卒者にはP73、P56、P70、昭和三二年高卒者にはP74、P76、P59、P64、昭和三二年中卒者にはP53、P66、がいる。 (六) 昭和四六年三月八日までに、従業員のうち八三・五パーセントの者が調整年金に同意する旨の書面に捺印し会社に提出している。右書面を提出しなかつた者の大部分は、調整年金に反対する者であつた。 (七) 昭和四六年六月三〇日、昭和四六年春闘の妥結をはかるか否かを決める全員投票が行われている。投票結果は、賛成一〇八二票に対し反対三〇五票であつた。 (八) 昭和四七年三月二日、全金を脱退するか否かを決める全員投票が行われている。その結果は、賛成一二六六票に対し反対二五一票であつた。 右の事実によれば、昭和四四ないし四六年ごろ、全金の方針に従つた活動を行つていた者は、執行委員選挙及びP30裁判で活動していた者に限つても、申立人ら以外に三八名を挙げることができる(会社は、右活動を認識していたと推認できる。)。まして、全金の方針を支持していた組合員の数は、相当多数になる(おおざつぱにいつて、昭和四六年六月当時、全金の方針を支持する 三八名を挙げることができる(会社は、右活動を認識していたと推認できる。)。まして、全金の方針を支持していた組合員の数は、相当多数になる(おおざつぱにいつて、昭和四六年六月当時、全金の方針を支持する組合員は少なくとも三〇〇名前後はいたと推測できる。)。 とすれば、申立人ら及び申立人以外で全金派と特定できた六名(取り下げた二名を含む。)のみを考課対象期間の全金派として、他に全金の運動方針を支持する組合員が相当数いたと認められるにもかかわらず、これを考慮することなく、他の同卒者と比較して、申立人ら全金派が全体として全金派であることを理由に不利益に取り扱われていると速断することは到底できない。 2 被告及び参加人は、「全金派」とはその上部団体である全金及び地本を支持するグループであつて、単に「全金派」の執行委員候補者に投票していた組合員ではない、それは「全金派」の立候補者の推薦演説をしたり、推薦ビラに名前を出したりして、「全金派」の立候補者の選挙運動を行い、あるいは職場会議などで自分の意見を述べるなど、日常活動において全金及び地本を支持するとみられていた組合活動家のグループをさすのである、と主張している。 しかしながら、(一)被告が全金派と認定した申立人ら全員が右のような組合活動家であつたと認めるに足る的確な証拠はない。すなわち、申立人ら及び全金派と特定された六名の中には、前記1(一)ないし(三)のように、執行委員選挙に立候補し積極的な選挙活動をした者あるいは全金支持派の候補者の責任者ないし推薦者として活動した者も認められるが、一方、執行委員選挙に名前の出てこない者もいる。また、申立人らの中には、前記(事実関係について)六3認定のように、職場においてビラを配布する等して全金支持の意見を明らかにしていたと認められる者もいるが、右のような事情を 前の出てこない者もいる。また、申立人らの中には、前記(事実関係について)六3認定のように、職場においてビラを配布する等して全金支持の意見を明らかにしていたと認められる者もいるが、右のような事情を認めるに足る証拠のない申立人もいる。したがつて、査定対象期間中、申立人ら全員が一様に全金を支持する積極的活動をしていたと認めることはできない。(二)更に被告が全金派と認定した申立人と申立人以外の六名をもつて、全金を支持する組合活動家の全体であると認めることもできない。すなわち、前記1で検討したところによれば、被告が全金派と認定した組合員以外にも、全金支持の所信を明らかにして執行委員選挙に立候補した者及び全金を支持する立候補者の責任者あるいは推薦者となつた者が相当数いるのであるから、申立人らのみをもつて全金支持の組合活動家全体であると認めることも困難である。 したがつて、被告及び参加人の右主張は、採用できない。 3 更に、参加人は、申立人ら以外に「全金派」が存在していたとしても、本件考課ではこれらの者も申立人ら同様低い評定を受けていたと推測される旨主張する。 しかし、右主張を認めるに足る証拠はない。 六 (昭和四六年度昇給及び夏季賞与における差別について) 1 申立人らの昭和四六年度昇給額及び夏季賞与額が他の同卒年者のそれに比べて低いことは、すでに認定したとおりである。 しかし、申立人らの昇給額及び賞与額が低いことをもつて、全金派全体が集団的に差別されていると推認することができないことは、前記五で説示したとおりである。 2 被告は、申立人ら全金派組合員の査定額を同卒年者と比較すると、昭和四四年度、昭和四五年度、昭和四六年度と、年度が下がるに従つて最低位への集中傾向が顕著になつている旨認定している。 そこで、昭和三一年高卒申立人らの昇給額、昭和三 査定額を同卒年者と比較すると、昭和四四年度、昭和四五年度、昭和四六年度と、年度が下がるに従つて最低位への集中傾向が顕著になつている旨認定している。 そこで、昭和三一年高卒申立人らの昇給額、昭和三二年高卒申立人らの昇給額及び昭和三二年中卒申立人らの昇給額について、昭和四四年度、昭和四五年度及び昭和四六年度の分布状況を比較してみるに、右申立人らの昭和四六年度の昇給査定額は最低位に集中しているが、右申立人らは昭和四四年度においてもすでに低い査定しか受けておらず、昭和四四年度から昭和四六年度までの昇給額分布の移動状況をもつて、右申立人らに対する昇給差別が全金支持派であることを理由とするまで推認することは困難である(なお、右申立人らの昇給額移動状況をもつて、全金派全体の昇給額移動状況と認めることができないのは、すでに説示したところから明らかである。)。 3 また、昭和四六年度の昇給及び夏季賞与額は、別紙(七)記載の考課表を用いての考課の結果に基づいて決定されているものであるが、申立人ら各人について、その比較対象として適当な全金派以外の同卒年者と同等の勤務実績ないし成績をあげていたこと及びそれと比較してどの程度低い査定がされ不利益な取扱いを受けたのかについて、個別的にこれを認定する的確な証拠はない(被告委員会の手続においては、いわゆる大量観察による立証の反証として原告より申立人各個人の評定要素別評定点は提出されているがこれと比較対象すべきものとしては考課点の会社平均、同卒年平均、同職種平均及び同職者多数との考課点比較・年齢比較しか提出されておらず、これらは、大量観察による比較資料としてはともかく、個別的な比較の資料としては十分なものではなく、比較対象として適当な全金派以外の同卒年者個人の考課点及び評定要素別評定点等個別的、客観的にこれを比較する らは、大量観察による比較資料としてはともかく、個別的な比較の資料としては十分なものではなく、比較対象として適当な全金派以外の同卒年者個人の考課点及び評定要素別評定点等個別的、客観的にこれを比較することのできる資料の提出はない。また、本訴においてもその資料は提出されていない。)。 したがつて、全金派に属する申立人ら各人について、個別的に全金派以外の同等の者と比較して昭和四六年度の昇給、夏季賞与に関し不利益な取扱いがされているものと認めることもできない。 七 (主事補昇格における差別について) 1 会社従業員は、主事補昇格により、資格手当の支給を受けるとともに、資格在職年数に応じて退職金に功労付加金が加給されるという利益を受ける。そして、会社では、高校卒業者は、平均入社後一三年目をもつて主事補に昇格するとの基準がある。しかし、主事補昇格には勤務成績が問題とされる。具体的には、過去二回の賞与の考課点及び過去三回の昇給の考課点が考慮されている。 2 (昭和三一年高卒者について)昭和三一年高卒者中申立人P3、同P1、同P4及び同P5は、昭和四六年六月までに、主事補の資格を付与されていない。昭和三一年高卒従業員一二九名中、昭和四六年六月までに主事補の資格を付与されていない者は、右申立人らを含めた五名のみである。 しかし、右申立人らが主事補の資格を付与されていないことをもつて全金派全体に対する不利益な取扱いであると推認することができないのは、前記五で説示したとおりである。 しかも、P3、P4、P5の昭和四四年度、昭和四五年度、昭和四六年度の昇給査定額及び昭和四六年度夏季賞与査定額をみれば、右三名の考課点は同卒年者中最も低い位置にあつたと認められ(これをもつて直ちに右三名に対する不利益取扱いと認められないことは、前記説示のとおりである。)、また、 び昭和四六年度夏季賞与査定額をみれば、右三名の考課点は同卒年者中最も低い位置にあつたと認められ(これをもつて直ちに右三名に対する不利益取扱いと認められないことは、前記説示のとおりである。)、また、P4は昭和三四年六月八日、P5は昭和三五年一〇月一一日の入社と、入社時期が遅いのであるから、右申立人三名を昭和四六年六月に主事補に昇格させなかつたことが、合理的な理由を欠き、同人らの組合活動を理由とする不利益な取り扱いと認めることはできない。 ところが、申立人P1の昭和四四年度、昭和四五年度、昭和四六年度昇給査定額及び昭和四六年度夏季賞与査定額をみれば、中位より低い位置にはあるが、著しく低いとは認められず、また、すでに主事補に昇格している申立人P2、同P28、同P17、同P18の昇給査定額あるいは考課点に比べて劣つているものとは認められず、入社年月日も昭和三一年四月一日であるから、同人を昭和四六年六月に主事補に昇格させなかつた合理的理由を見いだすことはできず、一方、P1は昭和四三年八月から支部書記長の要職にあつて全金を支持する組合員の中核として活動していたと認められるから、P1を昭和四六年六月に主事補に昇格させなかつたことは、同人が全金派のなかでも特に活発に組合活動を行つていたことを理由に不利益に取り扱つたもので、全金の方針を支持する組合員らの活動に打撃を与えることを意図していたものと認めるのが相当であり、会社のP1に対する右行為は、労働組合法七条一号、三号所定の不当労働行為に該当すると解される。 3 (昭和三二年高卒者について)申立人P6、同P7、同P8、同P9、同P10、同P11、同P12、申立てを取り下げたP31、同P32は、昭和三二年高卒者であるが、昭和四六年六月までに主事補の資格を付与されていない。昭和三二年高卒従業員一〇一名のう 、同P8、同P9、同P10、同P11、同P12、申立てを取り下げたP31、同P32は、昭和三二年高卒者であるが、昭和四六年六月までに主事補の資格を付与されていない。昭和三二年高卒従業員一〇一名のうち、昭和四六年六月までに主事補の資格を付与されていない者は、右申立人ら九名を含めた一〇名のみである。 しかし、右申立人らが主事補の資格を付与されなかつたことをもつて全金派全体を不利益に取り扱つたものと推認することができないのは前記説示のとおりである。 しかも、右申立人九名の昭和四四年度、昭和四五年度、昭和四六年度の昇給査定額及び昭和四六年度夏季賞与査定額をみれば、右九名の考課点は同卒年者中最も低い位置にあつたと認められるから、右申立人らを昭和四六年六月に主事補に昇格させなかつたことが、合理的理由を欠き、同人らの組合活動を理由とする不利益な取り扱いと認めることはできない。 第四結論以上の検討の結果によれば、会社が昭和四六年度昇給及び夏季賞与考課評定において申立人ら一九名を不利益に取り扱つたこと、並びに会社が昭和四六年六月にP1、P6ら一一名を主事補に昇格させなかつたことはいずれも不当労働行為に該当すると判断して原告に対し前記のとおりの原状回復のための行為(請求原因1(本件命令)記載)を命じた本件救済命令は、会社が昭和四六年六月にP1を主事補に昇格させなかつたことが不当労働行為に該当するとの点を除き、判断を誤つたもので違法である。 したがつて、本件救済命令は、主文第二項中のP1を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させ同時期より手当、退職金算出にあたりその資格あるものとして取り扱い差額を支払うことを命じた部分を除き、その根拠を欠き取消しを免れない(本件命令のうち主文第三項(不作為命令)、第四項(ポスト・ノーテイス)については、P1に対す あたりその資格あるものとして取り扱い差額を支払うことを命じた部分を除き、その根拠を欠き取消しを免れない(本件命令のうち主文第三項(不作為命令)、第四項(ポスト・ノーテイス)については、P1に対する前記昇格差別が不当労働行為と認定される以上、そのすべての部分について根拠を欠くものということはできないのであるが、被告はあくまでも申立人ら一九名全員に対する昇給、夏季賞与考課評定差別、P1、P6ら一一名に対する昇格差別の全てが不当労働行為に該当することを前提として右不作為命令(主文第三項)及びポストノーテイス(主文第四項)を命じているものと解されるから、右前提を欠くに至つた以上、主文第三、四項の命令もまたこれを取り消すのが相当である。)。 よつて、原告の本訴請求中、本件救済命令主文第二項中のP1を昭和四六年六月に遡つて主事補に昇格させ同時期より手当、退職金算出にあたりその資格あるものとして取り扱い差額を支払うことを命じた部分の取消しを求めた点は失当であるからこれを棄却し、その余の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条但書、九四条を各適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官越山安久小林正明三村量一)(別紙)命令書東京都労委昭和四七年(不)第四二号昭和五一年一二月七日命令申立人日本労働組合総評議会全国金属労働組合外二一名被申立人株式会社北辰電機製作所 主文 1 被申立人株式会社北辰電機製作所は、申立人P1ら一九名に対して、昭和四六年度昇給考課および夏季賞与考課の考課点を後記目録のとおり是正し、是正された考課点を基礎として、同人らの昇給査定額および夏季賞与査定額を決定し、その差額を支払わなければならない。 2 被申立人会社は、申立人P1 および夏季賞与考課の考課点を後記目録のとおり是正し、是正された考課点を基礎として、同人らの昇給査定額および夏季賞与査定額を決定し、その差額を支払わなければならない。 2 被申立人会社は、申立人P1、同P3、同P4、同P5、同P6、同P7、同P8、同P9、同P10、同P11、同P12を、昭和四六年六月に遡ってそれぞれ主事補に昇格させ、同時期より手当、退職金算出にあたり、その資格あるものとして取扱い、差額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、今後申立人組合所属の組合員に対し、申立人組合の組合員であること、申立人組合の組合活動をしたことの故をもって昇格、昇給、賞与につき差別してはならない。 4 被申立人会社は、本命令書受領後一週間以内に五五センチメートル×八〇センチメートル(新聞紙二頁大)の白紙に下記のとおり明瞭に墨書して、本社正門の従業員の見易い場所に、一〇日間掲示しなければならない。 記昭和年月日日本労働組合総評議会全国金属労働組合中央執行委員長 P13殿日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部執行委員長 P14殿日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部執行委員長 P20殿株式会社北辰電機製作所代表取締役 P16当社が、貴組合の組合員に対し、昭和四六年度昇格、昇給、夏季賞与の査定にあたり差別したことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後は、このようなことのないよう留意いたします。 この掲示は、同地方労働委員会の命令によつて行なうものであります。 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 5 被申立人会社は、第三項を除く前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に報告しなければならない。 6 その余の申立てを棄却する。 目録<20 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 5 被申立人会社は、第三項を除く前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に報告しなければならない。 6 その余の申立てを棄却する。 目録<20487-003> 理由 第1 認定した事実 1 当事者等(1) 申立人日本労働組合総評議会全国金属労働組合(以下「全金」という。)は、全国の金属機械産業に従事する労働者が組織する個人加盟の労働組合であり、申立人日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部(以下「地本」という。)は東京都内の全金組合員が組織する労働組合であり、申立人総評全国金属労働組合東京地方本部北辰電機支部(以下「支部」という。)は、被申立人会社の従業員である全金組合員五八名(本件申立て当時)が組織する労働組合である。 申立人P1ら一九名は、すべて支部組合員で、かつ後記のとおり全金派の組合員であり、被申立人会社への入社年月日、学歴および卒年はつぎのとおりである。 <20487-004><20487-005>(2) 被申立人株式会社北辰電機製作所(以下「会社」という。)は、肩書地に本社および本社工場を有し、工業計測器、自動制御装置等の製造販売を主たる業務とする会社であり、従業員は約二、三〇〇名(本件申立て当時)である。 (3) なお、会社の従業員で以前全金の組合員であつた約一、六五〇名は、昭和四七年三月二日申立外北辰電機労働組合を結成し、従前の支部が組合として全金および地本を脱退したものであるとの見解をもち、会社もこの見解を支持している。 2 支部における二つの流れと会社の対応(1) 昭和四二年春闘において、会社は支部の賃金引上げのみの要求に対して、賃金引上げと夏季一時金の一括妥結を提案し、支部の反対をおし切つてこれを実現した。そして七月の支部役員選挙では と会社の対応(1) 昭和四二年春闘において、会社は支部の賃金引上げのみの要求に対して、賃金引上げと夏季一時金の一括妥結を提案し、支部の反対をおし切つてこれを実現した。そして七月の支部役員選挙では、従来になく全金を批判する立候補者が多勢出た。さらに、会社は九月には週刊の社内報「北辰ジャーナル」第一号を発行し、以後同誌の中で、社内事情として労使関係についても触れ、団体交渉の経過、会社回答の説明、早期妥結の要望、ストによる会社の被害、支部の運動の批判なども掲載した。そして、四三年二月には本件申立人P30の配置転換問題(現在東京地方裁判所係属中)なども起つた。 (2) 支部は、毎年七月に役員選挙を行なつていたが、前記のとおり四二年の選挙から、全金の運動方針を支持するグループ(以下「全金派」という。)と、これに批判的なグループ(以下「批判派」という。)とが、それぞれ立候補者を立てて争つた。そして当選した執行委員一五名の前者対後者の比は、四二年九:六、四三年六:九、四四年六:九、四五年八:七、四六年五:一〇であつた。 (3) 支部教宣部発行の印刷物「たけのこ」は、全金派が握つており、その論調は会社と正面から対立するものであつた。そして賃上げ1万円、夏季賞与三〇万円で妥結した四五年春闘後、「たけのこ」二〇四号(六月八日付)が、職制の賃上げは平均四万円位に、夏季賞与は組合員平均の二倍から五倍になるらしい旨の記事を掲載したところ、会社は支部に対し事実と異なると抗議した。また、七月の支部役員選挙は前述のとおり批判派が多数の立候補者を立てたため、選挙戦が過熱し、その結果選挙違反問題なども起きて、選挙をやり直すこととなつたが、九月のやり直し選挙の公報において、立候補者の主張の中に「労働条件を低下させようとする会社の諸々の干渉や、団結をこわし、組合を弱体化させ の結果選挙違反問題なども起きて、選挙をやり直すこととなつたが、九月のやり直し選挙の公報において、立候補者の主張の中に「労働条件を低下させようとする会社の諸々の干渉や、団結をこわし、組合を弱体化させようとする動きを」とか「もし混乱が続くならば、会社はこれまで行なつてきた組合に対する干渉を強め……」とか「会社は…組合員をないがしろにしても、利益をあげようとする傾向は、今後ますます強まります。」などと、明らかに全金派のものと思われる主張があった。 これにつき同月二二日、会社は、支部執行委員長および選挙管理委員長に対して「選挙運動に際して、反会社的宣伝を行ない、故なく会社を誹謗中傷するが如き行為は厳にこれを慎んでほしい。」との文書による申入れをなし、同時に同文の書面を社内に掲示した。 (4) 他方遅くとも昭和四六年春闘以前に発行され始めたと思われる支部機関紙部の印刷物「いずみ」は、批判派の主張を掲載し、「たけのこ」の論調とは顕著に異なつていた。例えば「いずみ」号外三号(発行日不詳)は、労使の配分につき、会社は付加価値は同業の横河電機の半分であるのに、人件費は同社の二倍で、同業の大手三社中最高であると述べ、また四六年四月二六日付同誌は、労使休戦と生産性向上運動への積極的協力を主張している。 3 昭和四六年春闘中の会社の不当労働行為(都労委昭和四六年不第五二号事件の認定した事実)当委員会は、会社が四六年春闘中に①全金および地本を非難、中傷するような文書を配布、掲示したこと、②全金および地本の役員が交渉委員となつていることを理由とする支部との団体交渉を拒否したこと、③全金および地本の役員が、休憩時間中の会社構内における支部の集会に参加することを阻止したことは、いずれも支部の執行部を支配する全金派を弱体化し、此判派への支援を意図するものであるとして したこと、③全金および地本の役員が、休憩時間中の会社構内における支部の集会に参加することを阻止したことは、いずれも支部の執行部を支配する全金派を弱体化し、此判派への支援を意図するものであるとして、不当労働行為に該当すると判断し、昭和四七年六月二〇日、救済命令を発した。 4 昭和四六年度昇給および夏季賞与における会社査定分の差別(1) 支部と会社とは昭和四六年七月六日、四六年度昇給および夏期賞与についてつぎの内容の協定を締結した。 ① 昇給(ア) 組合員一人あたり一万円を増額する。 (イ) 配分方法(ⅰ) 卒年別一律九二% 九、二〇〇円(ⅱ) 会社査定分八% 八〇〇円② 夏季賞与(ア) 支給額、組合員一人あたり二〇万円(イ) 配分方法(ⅰ) 比例分九二% 一八四、〇〇〇円(ⅱ) 会社査定分八% 一六、〇〇〇円(2) 昇給差別(申立人が救済を求める具体的事実その一)昭和四六年度昇給の会社査定額についての、申立人ら全金派とそれ以外の同卒年者ないし同格者との比較および判明した限りの昭和四四年度および四五年度との比較は、つぎの①ないし⑥のグラフのとおりである。すなわち(ⅰ) 三一年高卒全金派の四四年度の査定額は、①(ア)にみるとおり、中位から下位に分布しており、なお同列ないし下位に四二名の全金派以外の者がいたのが、四五年度は、①(イ)にみるとおり、これが二三名となり、さらに四六年度は、①(ウ)にみるとおり一三名となつている。 (ⅱ) 三二年高卒全金派の四四年度の査定額は、②(ア)にみるとおり、中位から下位に分布しているが、なお同列ないし下位に三七名の全金派以外の者がいたのが、四五年度は、②(イ)にみるとおり、これが一一名となり、さらに四六年度は、②(ウ)にみるとおり皆無になつている。 (ⅲ) 三二年中卒者の四四年度の査定額 ないし下位に三七名の全金派以外の者がいたのが、四五年度は、②(イ)にみるとおり、これが一一名となり、さらに四六年度は、②(ウ)にみるとおり皆無になつている。 (ⅲ) 三二年中卒者の四四年度の査定額は、③(ア)にみるとおり、ほぼ中位から下位に分布しており、なお同列ないし下位に一六名の全金派以外の者がいたのが、四五年度は、③(イ)にみるとおり、これが六名となり、さらに四六年度は、③(ウ)にみるとおり、これが一〇名となつているけれども、全体の中位値が八〇〇円となつて前年度(七〇〇円)を一〇〇円上廻つているから、全金派の分布は前年をわずかに下廻つている。 (ⅳ) ④、⑤、⑥にみるとおり、三三年高卒全金派、三〇年高卒全金派、二三・二四・二五年中卒全金派は、最下位または最下位から2番目および3番目である。 (ⅴ) したがつて、全金派の査定額の分布は、四四年度において既に中位以下であつたが、四五年度はその傾向がより顕著になり、四六年度になると様相ががらりと変つて、全金派はほとんど全員が最下位に集中し、これと同列ないしこれ以下の全金派以外の者は、特殊の事情があると考えられる数名に過ぎなくなつている。 <20487-006><20487-007><20487-008><20487-009><20487-010>(3) 夏季賞与の差別(申立人が救済を求める具体的事実その2)昭和四六年度夏季賞与の会社査定額についての、申立人ら全金派とそれ以外の同卒年者ないし同格者との比較は、つぎの①ないし③のグラフおよび④の表のとおりであり、①においては、全金派と同列ないし下位の全金派以外の者は皆無であり、②および③においては、全金派より下位の全金派以外の者は皆無で、同列の者がわずかに二名であり、④表においても、全金派は中央値を大幅に下廻つており、結局全金派は、ほと 位の全金派以外の者は皆無であり、②および③においては、全金派より下位の全金派以外の者は皆無で、同列の者がわずかに二名であり、④表においても、全金派は中央値を大幅に下廻つており、結局全金派は、ほとんど全員が最下位に集中しており、これと同列の全金派以外の者は特殊の事情があると考えられるわずか数名に過ぎない。 <20487-011><20487-012><20487-013>(4) 昇給および賞与の会社査定額については、会社は人事考課に基づいて決定している。その方法は、つぎのような考課表を用いて九つの評定要素毎に評定点をつけたものを合計したもの(最低点は六点、最高点は四二点となる。)を考課点とし、これを卒年基準で若干修正したうえで考課額を決定しており、四五年度からこの方法によつている。 考課表<20487-014><20487-015>(5) 会社は、昇給考課については、前年の四月から当年の三月までの考課期間について、当年の四月ごろ考課を行ない、夏季賞与についてもその直後ごろ行なつており、両者間の考課点の差は微小である。そして四六年度昇給および夏季賞与の考課点の申立人らと同卒年者の比較はつぎの表のとおりである。 昭和四六年度昇給、夏季賞与、評定要素別評定点 ( )内は賞与時評定<20487-016><20487-017> 5 主事補昇格(1) 会社は、昭和三四年に「役付従業員資格規程」を制定・施行し、参事、参事補、主事、主事補の資格区分を設定し、資格の付与および昇格は勤務成績、人物を参酌のうえ、所定の資格基準により毎年一回以上行なつており、右資格従業員には資格手当を支給するほか、資格在職年数に応じて退職金に功労付加金を加給していた。そして主事補の資格付与基準は平均者三二歳であつた。 (2) 昭和四六年六月昇格時までの申立人ら全金派 、右資格従業員には資格手当を支給するほか、資格在職年数に応じて退職金に功労付加金を加給していた。そして主事補の資格付与基準は平均者三二歳であつた。 (2) 昭和四六年六月昇格時までの申立人ら全金派組合員と同卒年者との主事補への昇格の状況を比較すると、つぎの①、②表のとおりである。(実名は申立人ら全金派組合員、ローマ字の頭文字はそれ以外の者)① P1ら昭和三一年高卒全金派組合員四名に対する昇格差別(申立人が救済を求める具体的事実その三)<20487-018>② P6ら昭和三二年高卒全金派組合員七名に対する昇格差別(申立人が救済を求める具体的事実その四)<20487-019>(注、P31およびP32は本件申立て後退職、取下げ。)第2 判断 1 昭和四六年度昇給および夏季賞与における査定額の差別について(1) 申立人らは、会社は昭和四六年度昇給および夏季賞与の査定額の決定にあたつて、同人らが全金派であることを理由として差別したと主張して、一九名の昇給および夏季賞与の査定額を、同人らを除いた同卒年者または同格者の中央値まで是正することを求め、被申立人は査定額の差別は公正な人事考課に基づくものであると主張して、申立ての棄却を求めた。 (2) 昇給査定額の差別について① 第一の四(2)のグラフ①、②、③で認定したとおり、申立人ら全金派組合員の査定額を同卒年者と比較すると、昭和四四年度、四五年度、四六年度と、年度が下るに従つて最低位への集中傾向が顕著になつており、しかもこの傾向は、遅くとも四五年夏ごろから四六年春闘にかけて労使関係が険悪化したことと軌を一にするから、特段の理由がない限り、会社は四六年度昇給査定において、申立人らが全金派であることを理由として、同人らを不利益に取り扱つたとの一応の推定が成り立つ。 ② 会社は、申立人らは昇給 と軌を一にするから、特段の理由がない限り、会社は四六年度昇給査定において、申立人らが全金派であることを理由として、同人らを不利益に取り扱つたとの一応の推定が成り立つ。 ② 会社は、申立人らは昇給考課における考課点が低いという特段の理由があると述べて、第一の四(5)認定の申立人らの評定要素別評定点を提出して、同人らの考課点が低い根拠について立証を試みた。 しかしながら、(ア)本件人事考課における争点は、会社が、申立人ら全金派とそれ以外の同卒年者または同格者を同様に公正に評定したかどうかであるにもかかわらず、会社は申立人らと比較すべき同卒年者等の考課点および評定要素別評定点に関する疎明資料を提出せずして単に申立人らの評定点が低い理由のみを述べるにとどまつているから、なんら本件人事考課の公正さについての有効な疎明とはなり得ない。また、(イ)会社は、評定要素中、申立人らを「企業への協力度」「将来性」などについて、これらの考課項目の適否は別として、著しく低く評定しているが、それを首肯せしめるに足る具体的な疎明はなく、かえつて申立人らが生産性向上運動等の会社の方針を支持しない全金派の組合員であることを理由としていると考えられ、従つて本件人事考課の公正さには疑問がある。さらに、(ウ)第一の三認定のとおり、本件人事考課が行なわれた時期が、会社が支部の執行部を支配してきた全金派を弱体化し、批判派への支援を意図していた四六年春闘中であることは、本件人事考課が公正に行なわれたと推定することを一層困難にする。したがつて、(エ)上記(ア)(イ)(ウ)によつて、昇給査定額の差別を申立人らの考課点が低いことに帰せしめる会社の主張は採用できず、前記①の推定を覆すに足る疎明もないから、昭和四六年度昇給査定における申立人ら全金派に対する差別を正当化する特段の理由はな 定額の差別を申立人らの考課点が低いことに帰せしめる会社の主張は採用できず、前記①の推定を覆すに足る疎明もないから、昭和四六年度昇給査定における申立人ら全金派に対する差別を正当化する特段の理由はないというべきであり、結局本件昇給査定額の差別は、申立人らが全金派であることを理由とするものとみるのが相当である。 ③ そこで四六年度昇給査定額の差別の救済の程度について検討するに、第一の二(1)認定のように、四四年度および四五年度の査定も、会社が全金派対策を講じはじめていた時期のものであつて、公正なものとはいい得ないから、これを基準とすることは適当でない。そこで、申立人ら全金派の同卒年毎の考課点平均と、その同卒年全員(申立人らを含む。)の考課点平均との差を申立人らのそれぞれの考課点に加算したものを、申立人らの新たな考課点とし、これを基礎として同人らの昇給査定額を新たに決定し直すことを適当と思料する。(なお、小数点以下の端数は切り捨てることとする。)(3) 夏季賞与査定額の差別について会社が、申立人ら全金派を不利益に扱つたことは、第一の四(3)認定のとおりであり、それを正当視しえないことも、前記(2)2(エ)判断のとおりであるから、夏季賞与査定額の差別も同様に不当労働行為である。その救済については前記(2)3と同様とする。 ② P1ら三一年高卒全金派四名の主事補昇格差別について(1) 申立人らは、会社はP1らが全金派であることを嫌つて、昭和四六年六月に至るも同人らを主事補に昇格させないと主張して、三一年高卒者の過半数が主事補に昇格した四四年六月の次の昇格時期である。四五年六月に、三一年高卒者である同人らを主事補に昇格させることを求めた。 (2) 被申立人は、四五年六月にP1らを主事補に昇格させることを求める申立人の請求は、同時期に同人らを主事 昇格時期である。四五年六月に、三一年高卒者である同人らを主事補に昇格させることを求めた。 (2) 被申立人は、四五年六月にP1らを主事補に昇格させることを求める申立人の請求は、同時期に同人らを主事補に昇格させなかつたことをもつて不当労働行為というに帰着すると主張して、労働組合法第二七条第二項により申立ての却下を求め、また昇格は勤務成績・人物を参酌のうえ、所定の資格基準に従つて公正に行なわれたものであると主張して、申立ての棄却を求めた。 (3) 申立人らが不当労働行為として主張する会社の行為は、二様にとれ第一次的には四五年六月に、第二次的には四六年六月に、P1らを昇格させなかつたことと解される。そして、前者は行為の日から一年を徒過しており、継続する行為であるとの特段の立証もないから、当労働委員会はこれを受けることができず、この点を却下し、したがつて以下四六年六月の昇格差別について判断する。 (4) 会社は、P5およびP4は、昇格基準の一三年に達しておらず、また四名とも、四六年度の昇給および夏季賞与の人事考課にみられるごとく、成績が悪かつたから昇格させなかつたものであるという。 しかしながら、第一の五(2)①認定のとおり、同人らと同様の年数の全金派でない者は全員が四六年六月までに昇格しているから、この点に関する会社の主張は採用できず、またP1ら四名の人事考課が悪かつたとの主張については、前記一(2)②(エ)判断のとおり理由がなく、他方、三一年高卒者一二九名中、全金派以外の者は、第一の五(2)①認定のとおり、病気欠勤歴のあるU一名を除いた全員が昇格しており、申立人ら全金派のみが昇格していないことからして、結局P1ら四名を昇格させなかつたことは、同人らが全金派であることを嫌つたためとみるのが相当である。 3 P6ら三二年高卒全金派七名の主事補昇 ており、申立人ら全金派のみが昇格していないことからして、結局P1ら四名を昇格させなかつたことは、同人らが全金派であることを嫌つたためとみるのが相当である。 3 P6ら三二年高卒全金派七名の主事補昇格差別について(1) 申立人らは、会社はP6らが全金派であることを嫌つて同人らを主事補に昇格させなかつたと主張して、昭和四六年六月に同人らを主事補に昇格させることを求め、被申立人は、昇格は勤務成績・人物を参酌のうえ、所定の資格基準に従つて公正に行なわれたものであると主張して、申立ての棄却を求めた。 (2) 会社は、P6ら七名が勤務成績・人物等の諸点において、平均者の水準に達していない理由として、同人らの四六年度の昇給および夏季賞与における人事考課が悪かつたことを挙げる。 しかしながら、同人らの人事考課が悪かつたとの主張は、前記一(2)②(エ)判断のとおり理由がなく、他方三二年高卒者一〇一名中全金派以外の者は、社歴二年余に過ぎないK一名を除いた全員が昇格しているにもかかわらず、本件の当初からの申立人である全金派九名(うちP31、P32は申立て後退職し、取下げているから、申立てを維持しているのは七名となつている。)のみが昇格していないことをあわせ考えると、結局、P6ら七名を主事補に昇格させなかつたことは、同人らが全金派であることを嫌つたためとみるのが相当である。 第3 法律上の根拠以上の次第であるから、(1)昭和四六年度昇給および夏季賞与の会社査定額についての差別、および(2)昭和四六年六月に、P1、P6ら一一名を主事補に昇格させなかつたことは、いずれも労働組合法第七条第一号および第三号に該当する。 よつて、労働組合法第二七条および労働委員会規則第三四条第一項第三号、第四三条を適用して主文のとおり命令する。 昭和五一年一二月七日東京都地方 も労働組合法第七条第一号および第三号に該当する。 よつて、労働組合法第二七条および労働委員会規則第三四条第一項第三号、第四三条を適用して主文のとおり命令する。 昭和五一年一二月七日東京都地方労働委員会会長 P77別紙(一)(表1)<20487-020>別紙(二)(表2)<20487-021>別紙(三)(表3)<20487-022>別紙(四)(表4)<20487-023>別紙(五) グラフ①~⑥<20487-024><20487-025><20487-026><20487-027><20487-028>別紙(六)<20487-029><20487-030>表⑩<20487-031>別紙(七) 考課表<20487-032>別紙(八)(表5)昭和46年度昇給、夏期賞与、評定要素別評定点( )内は賞与時評定<20487-033>別紙(九)(表6) 昭和31年高卒従業員の主事補昇格状況<20487-034>(表7) 昭和32年高卒従業員の主事補昇格状況<20487-035><20487-036>別紙(一〇)(表8)<20487-037><20487-038><20487-039>別紙(一一)(表9)<20487-040>別紙(一二)(表10><20487-041>別紙(一三)総連四五第一号昭和四五年四月九日各部門担当、担当補佐殿総務部門担当昭和四五年度昇給考課評定依頼の件昭和四五年度定期昇給を実施するに当り、所属員の考課評定を下記によりお願い申し上げます。 なお、本年度は、従来の評定方法とかなり異つておりますので、別添昭和四五年度考課評定実施要領を参照し、新制度の趣旨等を十分ご理解のうえ、適正な評定をお願いいたします。 記 1 原則昇給の評定は各人の過去一 は、従来の評定方法とかなり異つておりますので、別添昭和四五年度考課評定実施要領を参照し、新制度の趣旨等を十分ご理解のうえ、適正な評定をお願いいたします。 記 1 原則昇給の評定は各人の過去一年間の職務内容と、その遂行能力、その他にもとづき、今後の能力の伸び等を評定するものです。 2 評定準拠期間昭和四四年四月~昭和四五年三月(勤怠計算は昭和四四年二月一六日より四五年二月一五日までに準拠して行なう) 3 考課評定実施要領別添考課表に基き実施する。(評定要領は別添昭和四五年度考課評定実施要領を参照) 4 提出期日四月一五日(地方は一七日)までに各部門単位で小職まで提出されるようお願いいたします。(但し、次の各部門は総括コーデイネータ、又は幹事の方がまとめて提出して下さい)IM、PM、東営、航空、舶用、AV機器、大阪、西日本 5 提出書類(別添様式による)考課表(各人別に部門担当が評定したもの) 6 その他(1) 今回も昨年と同様部門間の調整は全社的に集計したものに準拠して行ないますので、部門担当毎に考課表のみ提出願います。 (2) 但し、今回新しい考課要素に基づき評定をお願いいたします関係上、評定点の全社調整に相当の時間をかけて慎重に調整いたしたいと考えますので、提出期日を厳守願います。 (3) 評定期間中の所属変更者ならびに長期出向者については、原則として現所属に依頼しますので、関係所属長相互に連絡して評定して下さい。 (4) 考課表(各人別)は従来各所属で保管している例がありますが必ず総務部門へ提出して下さい。 また、所属によつては合計点だけのリストを送付してくる場合もありますが、今回必ず各評定要素別に評定点を明記してご提出下さい。 (5) 昇給は五〇円単位とし、端数の切捨て、切上げは従来どおり実施いたします。 (6) ては合計点だけのリストを送付してくる場合もありますが、今回必ず各評定要素別に評定点を明記してご提出下さい。 (5) 昇給は五〇円単位とし、端数の切捨て、切上げは従来どおり実施いたします。 (6) 考課評定を実施するに当り、一般的に次の点にご留意下さい。 (イ) 被評定者の評定期間中の状況から、来る一年間の将来を予想して評定して下さい。 (ロ) 評定にあたつては、評定期間以外の古いことや、私心感情を混えず行なうことは当然です。また、気持が落ちつかない状態や、またはあることから頭が一杯のとき等、精神的に不安定な状態を避けて評定する方が望ましいことは申し上げるまでもありません。 (ハ) 傘下にスーパー・バイザー、または主任のいるところでは、一次評定をSV、主任に行なわせる等、できるだけ客観的に評定するよう考えて下さい。 (ニ) その他、詳細は評定実施要領をご参照下さい。 以上昭和四五年度昇給考課評定実施要領 1 考課制度改正の趣旨(1) グループ制の廃止従来のグループ制は本来職務のランクを意味するものであつたが、近年次第に職務との関連が稀簿となり、年功的なものに変質してしまつたので、これを廃止し、客観的な職務評価にもとづく点数制を柱とする考課制度に変更する。 (2) 職務遂行能力の総合評定の廃止正しい能力評価を行なうためには、人の優劣を見極めるための何らかの基準が必要で、それには本人の行なつている職務が要求する能力、知識、態度などを本人がどれだけ満たしたかを基準として判断すべきである。 さらにまた、評定の際、能力とは無関係な学歴・卒年・年功というようなものに対する配慮が介入してくるので、一層正しい能力評価が困難となつている。 今回は、このような対人比較による総合判定方式を改め、職務との関連で評価する要素と、そうでない要素とを明確に区別し、 うなものに対する配慮が介入してくるので、一層正しい能力評価が困難となつている。 今回は、このような対人比較による総合判定方式を改め、職務との関連で評価する要素と、そうでない要素とを明確に区別し、人事考課のより客観性を期したい。 (3) 教育等への活用人事考課は、単に昇給査定分の計算のためのものではない。むしろ、被評定者の評価を通じて本人に対する教育方針、昇進、配転等に活用するのが本来の趣旨といつてもよい。 この点は、従来と変つたわけではないが、結果的には総合点による対人比較に主として意が用いられていたため、このような趣旨が生かされなかつたきらいがある。 今回は各考課要素の評定を通じて、人事政策を有効に発動するための基礎資料としたい。 2 考課評定要素の再編成ならびに評点ウエイト以上の趣旨にもとづき、考課評定要素を設定し、それぞれ次のとおり評点をつけるものとする。(別添考課表を参照) 1 職務(資格要件)一八点A 経験、知識、技能一~六B 判断力、指導統率力、責任度一~六C 創造性、企画力、積極度一~六 2 職務遂行能力一二点A 成果(顕在的能力)一~五B 期待(潜在的能力)一~三C 協調性、勤勉性一~四 3 その他一二点A 企業への協力度 〇~五B 勤務態度 〇~四C 将来性 〇~三合計六~四二 3 各考課要素の評定基準(1) 職務(資格要件)従来のグループ制に代るものであるが、本人の年齢・学歴等には一切関係なく、あくまで本人の現在行なつている職務自体を純粋に評価対象として評定するものである。即ち、その職務が完全に遂行されるためには、どのような要件が必要かを客観的に評価し(本人が現在その要件を具備しているかどうかはこの際関係ない)、これを点数に表示してランク付けを行なう。 この ある。即ち、その職務が完全に遂行されるためには、どのような要件が必要かを客観的に評価し(本人が現在その要件を具備しているかどうかはこの際関係ない)、これを点数に表示してランク付けを行なう。 このような職務評価は本来職務分析等の手法を通じて行なうべきものとされているが、必ずしも職務分析によらなくとも、評定者の職務内容の把握力あるいは評定能力の向上によつて、できるだけ客観性を指向し得るものと考えられる。 A 経験、知識、技能各職務が要求する経験・知識・技能は職務により差があり、それぞれ一定の序列にランク付けることができる。この経験・知識・技能を評価し、全社、全職務の中でどのように位置づけたらよいかを判断する。判断した結果は一~六段階で評点する。社内(管理職を除く)で最も高い程度のものを必要とする職務を六点とし、逆の場合を一点とする。 なお、会社、全職務と比較することが困難な場合は、次の評定単位の中で比較してもよい。(この評定単位は以下のB項及びC項についても適用する)① 製造直接部門(工計)② 製造間接部門(工計) ブラント含む③ 技術関係部門④ デイジタル関係部門⑤ 営業関係部門(工計) 国際含む⑥ 機器関係直接部門⑦ 機器関係間接部門技術設計、営業含む⑧ 一般管理部門B 判断力、指導統率力、責任度Aと同様、本人の行なつている職務にはどの程度の判断力・指導統率力ならびに責任度が要求されるかを評定し、一~六段階で評点する。 C 創造性、企画力、積極度同様に、その職務に要求される創造性・企画力・積極度を評定し、一~六段階で評点する。 注(1) 以上三要素に関する、大ざつぱな評定基準を別表に示したので、これを参照されたい。 (2) この職務評価は前述したとおり、本人自身の能力とは無関係に、あくまで職務だけ ~六段階で評点する。 注(1) 以上三要素に関する、大ざつぱな評定基準を別表に示したので、これを参照されたい。 (2) この職務評価は前述したとおり、本人自身の能力とは無関係に、あくまで職務だけについて評価するものである。従つて、いくら本人が高い能力を持つていても、実際に行なつている職務が低位のものであれば、評点は低くなつてもやむを得ない。また逆に、配転後間もない者については、不慣れ等の理由でその職務を全うする能力を具備するに至つていない例が多い。 しかし、この場合も本人の現在の能力とは関係なく、配転先でどのような職務についたかということが職務評価の対象となる。 (2) 職務遂行能力A 成果(顕在的能力)職務に関連して、本人の能力が、その職務の資格要件をどの程度満たしているかを評定する。この場合、主観的評価は極力避け、あくまで本人の仕事の成果あるいはできばえを通じて評価する。 職務の資格要件は、職種によつて異るので、職能評価の具体的方法も職種によつて異る。例えば、製造と営業では能力の把握の仕方が異つて当然であろう。また、職位によつても、中位の職位では知識、技能に重点を置いた評価がなされるであろうし、上位職では指導統率力とか創造性に力点を置いた職務評価がなされてしかるべきである。評定者は、それぞれの職種と職位に応じた適切な評価方法によつて妥当な評点を行なうものとする。 評定は一~五段階で評点する。 B 期待(潜在的能力)現職務とは直接関係なく、例えば、仮に他の適切な職務をやらせたとすれば、さらに高い能力を発揮するであろうと期待される能力、あるいは配転後間もないため、現在十分な成果をあげ得ないが、今後期待される能力等について評価するものである。この評定でも、できるだけ主観を排し、被評定者の日頃の勉強ぶりとか、勤務態度を通じて適 力、あるいは配転後間もないため、現在十分な成果をあげ得ないが、今後期待される能力等について評価するものである。この評定でも、できるだけ主観を排し、被評定者の日頃の勉強ぶりとか、勤務態度を通じて適正な評価を行なうものとする。 評定は一~三段階で評点する。 C 協調性、勤勉性各職務が次第に組織化され、また高度化しつつある現在、協調性と勤勉性は仕事のできばえに大きな影響を与えるものと考えられる。 また、これらは、本人の職務だけでなく、本人の属するグループとしての成果にも関係してくる。このような意味から勤務態度として特に協調性、勤勉性について評定するものである。 評定は一~四段階で評点する。 注(1) 職務遂行能力の評定は他人との比較ではなく、あくまでその職務が要求している成果と、本人が実際にあげ得た成果との比較によつて行なわれる。 従つて、仮に同じ程度の能力の者でも、高い職位についている者に対しては、評定がそれだけ厳しくなることになる。 (2) 潜在能力の評定は何らかの事情で適職につき得ないため、能力が十分発揮されないでいる者を救済する意味もあるので、゛他の適切な職務゛を想定する場合は、当然同程度以上の職位を想定して、それとの比較によつて評価が行なわれるべきである。 (3) 協調性、勤勉性に関し、いずれを重く見るかはその職務による。 (3) その他職務及び職能だけでは把えにくい側面の評定である。これは当社の人事管理がある面では終身雇用を前提としたものであること、職務給ないしは職務給への移行が行なわれていないこと、あるいは労使関係が依然として微妙な段階にあり、この動向如何が企業の発展を大きく左右するものとなつてきたことなどの背景を考慮し、過渡的措置として設定した考課評定要素である。(但し、B「勤務態度」は必ずしも過渡的要素ではない) 妙な段階にあり、この動向如何が企業の発展を大きく左右するものとなつてきたことなどの背景を考慮し、過渡的措置として設定した考課評定要素である。(但し、B「勤務態度」は必ずしも過渡的要素ではない)これらの評定は、かなり主観的な総合判定によらざるを得ない面もあるが、現段階ではやむを得ない。 A 企業への協力度会社の方針あるいは部門方針をどのように理解し、またはどのように受けとめ、日常の会社生活において、方針実現のためどのように行動したかを評定する。あるいはまた、会社の示す各種の合理化施策への協力に関し、如何なる姿勢を示しているか等も評価対象となる。 これらは、仕事に関してのみならず、広く本人の企業活動全体を通じて総合的に判断し、過去一年間の実績から今後を予測するものである。 評定は〇~五段階とし、次の基準で評点する。 特に協力した者五点かなり協力した者四人並みに協力した者三やや協力の足りない者二協力の足りない者一非協力的な者 〇B 勤務態度ここでいう勤務態度は(2)-C項で評定された協調性・勤勉性以外の一般的な勤務状況を把えて評価するものである。従つて、その職務に固有の協調性とか勤勉性ということではなく、一人の従業員あるいは産業人としての資格要件を基準として評定する。もちろん、これらの資格要件の欠如は直接・間接にその職務の成果に大きな影響をもたらし、また、本人の地位等によつては、まわりの者に与える影響も大である。 あるいはまた、本人の社内外での言動によつて企業の対外信用をそこない、企業に不利益をもたらす場合もある。このような点も含めて総合的に判断し評価する。 なお、評価の対象項目として例示すれば次のとおり。 (1) 欠勤(2) 休暇日数及び休暇の取り方(3) 出勤時刻(4) 所定内及び所定外勤 合もある。このような点も含めて総合的に判断し評価する。 なお、評価の対象項目として例示すれば次のとおり。 (1) 欠勤(2) 休暇日数及び休暇の取り方(3) 出勤時刻(4) 所定内及び所定外勤務時における執務態度、勤務密度、能率(5) 上司に対する態度(6) 公私の区別評定は〇~四段階で評点する。 C 将来性本人の資質・人物を総合的に判定し、将来に期待する意味を含めて評価する。この評価項目は(2)-B「期待(潜在的能力)」の場合より、その評価対象の幅は広くかつ、やや長期的な視点から評価するものである。 なお、評価時点で将来を見通すものであつて、現時点の評価が次回以降の評価を拘束するものではない。 評定は〇~三段階で評定する。 4 考課表の記載要領(1) 考課表は各人別に記載する。 (2) 職務内容(資格要件)は要点を簡明に箇条書きで記載する。 (3) 評定ランクの欄には、各考課評定要素について該当するランクに○印を付ける。 (4) 備考欄には、評定にあたつて特に配慮した点などを記載する。 (5) 評点は、評定ランクをそのまま評点として記入する。(今回は最終評点を各要素毎にIBMでリストアツプしますので、お手数ですが、必ず各要素別の評点を明記して下さい)(6) 最終評点で第一次評点を修正する場合は、合計点だけを修正するのでなく、必ず各要素別の修正点を記入する。 (7) 記事欄には、評定期間中の本人に関する特記事項、今後の育成方針など、人事管理面で特に配慮すべき事項を記入する。 以上昇給考課評定資料職務評価基準A 経験・知識・技能<20487-042>B 判断・指導統率力・責任度<20487-043>C 創造性・企画力・積極度<20487-044><20487-045><20487-046> 能<20487-042>B 判断・指導統率力・責任度<20487-043>C 創造性・企画力・積極度<20487-044><20487-045><20487-046>

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