- 1 -平成24年10月29日判決言渡平成24年(行ケ)第10063号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年9月26日判決 原告X 被告特許庁長官指定代理人栗林敏彦 紀本 孝 氏原康宏 田村正明 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告が求めた判決特許庁が不服2011-9113号事件について平成24年1月5日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,拒絶審決の取消訴訟である。争点は,発明の新規性,進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯 - 2 -Aは,平成22年10月13日,名称を「鼻汁吸収用ナプキン」とする発明につき,特許出願をし(特願2010-230387号),平成23年3月31日,拒絶査定を受けたので,同年4月28日,不服審判請求をしたが,平成24年1月5日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決を受け,この謄本は同月23日に同人に送達された。 原告は,本件訴訟の提起に先立つ平成24年2月14日,本願発明に係る特許を受ける権利を譲り受け,同日,特許庁に対し,本願発明の特許出願人名義変更手続をした。 2 本願発明の要旨本願発明は,携帯可能な鼻汁吸収用のナプキンに関する発明で,請求項の数は3であり,うち請求項1の特許請求の範囲は以下のとおりである。 【請求項1(本願発明)】「液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する,繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸 「液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する,繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用ナプキン。」 3 審決の理由の要点(1) 本願発明は,下記引用例1に記載された発明(引用発明1)と実質的に同一であり,新規性を欠く。または,本願発明は引用発明1に基づいて当業者が容易に発明することができたもので,進歩性を欠く。 【引用例1】実願昭63-82579号(実開平2-3718号)のマイクロフィルム(甲1)【引用発明1】「圧縮綿保護紙,圧縮綿,及び台紙からなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り目3を有する,カード状に薄く折りたため,簡易携行が容易な生理用ナプキン。」【引用発明1と本願発明の一致点】 - 3 -「液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する,携行が容易な体液吸収用ナプキン」である点【引用発明1と本願発明の相違点(相違点1)】本願発明は「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用ナプキン」であるのに対して,引用発明1は「生理用ナプキン」である点【引用発明1と本願発明の実質的同一性の判断】「本願発明は,物の発明であるところ,上記本願発明と引用発明1との相違点1は,吸収する体液が異なる等の用途の相違である。 ・・・そして,本願明細書段落【0014】に『[実施例1]縦6cm,横13cmの長方形に裁断した中間シートの上下両面に,縦7cm,横14cmの長方形に裁断した表面シート及び裏面シートを重ね,外周縁及び長手方向中央の折り曲げ案内部を,ヒートエンボス加工によ 縦6cm,横13cmの長方形に裁断した中間シートの上下両面に,縦7cm,横14cmの長方形に裁断した表面シート及び裏面シートを重ね,外周縁及び長手方向中央の折り曲げ案内部を,ヒートエンボス加工により接着一体化して,図1に示す鼻汁吸収用ナプキンを作成した。図2はその平面図,図6は図2のX-X線断面図,図8は図2のY-Y線断面図である。』と記載されているように,本願発明は『縦約7cm,横約14cmの長方形状のナプキン』を実施の形態として含むものであり,引用発明1は,『縦約8cm,横約20cmの長方形状のナプキン』・・・を実施の形態として含むものであり,引用発明1の実施の形態のものが,本願発明の実施の形態のものよりやや大きいものの,両者とも,通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ際の通常の使用方法である,ティッシュペーパーを2つ折りにして使用する際の大きさ(商品によって多少異なるが,おおよそ縦10cm,横20cm程度)と同程度の大きさであるから,これら実施の形態における大きさの相違は,格別なものではない。 これらの点から見て,本願発明と引用発明1とは,その形状,構造,組成等において実質的な相違があるとは認められない,すなわち,上記相違点1は,実質的な相違点ではないから,本願発明と引用発明1を物の発明として別異の発明であるとすることはできない。 したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものである。」【相違点に係る構成の容易想到性判断】「ア.仮に,上記相違点1を実質的な相違点であると解した場合には,本願発明は,引用例1に記載された発明でないことになる。しかしながら,そのように解した場合には,下記イ~エに示すように,本願発明は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明を 点であると解した場合には,本願発明は,引用例1に記載された発明でないことになる。しかしながら,そのように解した場合には,下記イ~エに示すように,本願発明は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである。 - 4 -イ.生理用ナプキンが属する吸収性物品の技術分野では,おむつ,生理用ナプキン,ベッド用パッド,タンポン,よだれ掛け,拭き取り用品(ワイプ),傷用手当品などの液体吸収用途及びそれら用途に用いる物品は,同一の技術分野のものと認識されており,それらの構造,部材,材料等はそれら種々の用途及び物品に共通して利用,又は,相互に転用できることが技術常識である(例えば,特表平11-506503号公報の7頁19~25行,特表平11-501996号公報の6頁13~17行,特表平10-511720号公報の25頁13~16行,特開平6-254118号公報の9頁右欄50行~10頁左欄9行を参照)。また,拭き取り用品によって拭き取る液体として,汗や鼻汁等があることは常識である(例えば,特開2007-244568号公報の段落【0002】参照)。 ウ.ハンカチは拭き取り用品(ワイプ)の一種であり(例えば,<コンパクト版>小学館プログレッシブ英和中辞典(1997年2月10日第2版第27刷発行)の2024頁では,wipeの説明として『ふくのに使うもの(ハンカチ・タオルなど)』を掲載している。),また,ハンカチを,『繰り返し使用するための鼻汁吸収用』として使用することは,欧米では一般的な慣習である(例えば,前記『小学館プログレッシブ英和中辞典』の843頁では,handkerchief の説明として,『ハンカチ.手をふくよりは鼻をかんだり顔の汗をふいたりする.』を掲載し では一般的な慣習である(例えば,前記『小学館プログレッシブ英和中辞典』の843頁では,handkerchief の説明として,『ハンカチ.手をふくよりは鼻をかんだり顔の汗をふいたりする.』を掲載している。)から,繰り返し使用するための鼻汁吸収用の吸収体を,鼻に当てる側を内側にして折り畳んで携行することは慣用手段といえる。 エ.上記イ,ウで指摘した技術常識等に徴すれば,簡易携行が容易な吸収性物品(生理用ナプキン)であり,広げたときの大きさが通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ時の大きさと同程度である引用発明1を,携行用拭き取り用品(ワイプ)に転用し,鼻汁吸収用として繰り返し使用することは,吸収性物品の技術分野における当業者が容易に推考し得たことである。 オ.・・・仮に,・・・引用例1に記載の発明が,圧縮綿保護紙(6)の周縁端部と台紙(1)の周縁端部とが接合していない構成であったとしても,『液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有する吸収性物品において,周縁端部を接合する構成とすること』は,慣用手段であるから,引用例1記載の発明において,圧縮綿保護紙(6)の周縁端部と台紙(1)の周縁端部とを接合する構成にすることは,当業者が容易に推考し得たことである。」(2) 本願発明は,下記引用例2に記載された発明(引用発明2)と実質的に同一であり,新規性を欠く。または,本願発明は引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたもので,進歩性を欠く。 【引用例2】特開平7-231912号公報(甲2)【引用発明2】「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1の前面に,液透過性 - 5 -の表面シート6を張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と 【引用発明2】「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1の前面に,液透過性 - 5 -の表面シート6を張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めることによって吸収材5が固定され,上記皿状の外皮材1の周縁部を形成する側壁3の自由端にはフランジ4が形成され,上記フランジ4は吸収製品の長手方向Lの中央近傍で表面側Sが谷になるように二つ折にされ,この折り目のフランジ4同士が重なる小領域Aで互いに接合されている吸収製品。」【引用発明2と本願発明の一致点】「液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する,体液吸収製品」である点【引用発明2と本願発明の相違点(相違点A)】本願発明は「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用ナプキン」であるのに対して,引用発明2は「吸収製品」である点【引用発明2と本願発明の実質的同一性の判断】「本願発明は,物の発明であるところ,上記本願発明と引用発明2との相違点Aは,吸収する体液が異なる等の用途の相違である。 そして,・・・本願発明は『縦約7cm,横約14cmの長方形状のナプキン』を実施の形態として含むものであり,引用発明2の実施形態の1つでは,広げたときの大きさが長さ24cm,広幅10cmである・・・から,引用発明2の実施の形態のものが,本願発明の実施の形態のものよりやや大きいものの,両者とも,通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ際の通常の使用方法である,ティッシュペーパーを2つ折りにして使用する際の大きさと同程度の大きさであるから,これら実施の形態における大きさの相違は,格別なものではない。 ティッシュペーパーで鼻をかむ際の通常の使用方法である,ティッシュペーパーを2つ折りにして使用する際の大きさと同程度の大きさであるから,これら実施の形態における大きさの相違は,格別なものではない。 これらの点から見て,本願発明と引用発明2とは,その形状,構造,組成等において実質的な相違があるとは認められない,すなわち,上記相違点Aは,実質的な相違点ではないから,本願発明と引用発明2を物の発明として別異の発明であるとすることはできない。 したがって,本願発明は,引用例2に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものである。」【相違点に係る構成の容易想到性判断】「ア.仮に,上記相違点Aを実質的な相違点であると解した場合には,本願発明は,引用例2に記載された発明でないことになる。しかしながら,そのように解した場合には,下記イに - 6 -示すように,本願発明は,引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである。 イ.引用発明2は,非常にコンパクトに包装でき,製品の取り扱いが容易となるものである・・・から,携行も容易と認められる。 そうすると,上記4(3)イ,ウ(判決注:本願発明と引用発明1の相違点1に係る構成の容易想到性判断)で指摘した技術常識等に徴すれば,携行が容易な吸収製品であり,広げたときの大きさが通常市販のティッシュペーパーで鼻をかむ時の大きさと同程度である引用発明2を,携行用拭き取り用品(ワイプ)に転用し,鼻汁吸収用として繰り返し使用することは,吸収性物品の技術分野における当業者が容易に推考し得たことである。」 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(引用発明1と本願発明との一致点の し,鼻汁吸収用として繰り返し使用することは,吸収性物品の技術分野における当業者が容易に推考し得たことである。」 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(引用発明1と本願発明との一致点の認定の誤り等)引用例1に審決が摘示する引用発明1が記載されていることは知らないが,仮に引用発明1が記載されているとしても,審決は「体液吸収用」という機能を意図的に抽出ないし構成して,本願発明と引用発明1の一致点を認定したもので,誤りである。 なお,引用例1には,圧縮綿保護紙の周縁端部が台紙の周縁端部と接合されていることを明示する記載はない。 2 取消事由2(引用発明1と本願発明との実質的同一性の判断の誤り)本願発明は,用途によって発明を特定する性格のものではなく,本願発明の特許請求の範囲にいう「ナプキン」も,実質的には単に布状ないし繊維状の製品を意味するにすぎず,引用発明1にいう(生理用)「ナプキン」とは対象となる物が異なる。 仮に,本願発明が用途限定発明であるとしても,本願発明にいう「ナプキン」はその用途に特に適した形状,構造,組成等を有するものであって,引用発明1にいう(生理用)「ナプキン」とは対象となる物が異なる。本願発明においては,その大きさは構成要素とされていないのであるし(二つ折りにしたときに,ポケットやバッグに入る程度であれば足りる。),ハンカチを広げたときの大きさが,鼻をかむために広げたティッシュペーパーの大きさと同程度であるからといって,ハンカチを - 7 -鼻汁吸収用に転用することが自明であることにはならない。 ところで,引用例1には,生理用ナプキン以外の製品や用途に当該ナプキンを使用することについて記載も示唆もされていないし,生理用ナプキンという特定の用途に関する技術的事項を,その他の一般の体液吸収用ナプキ ろで,引用例1には,生理用ナプキン以外の製品や用途に当該ナプキンを使用することについて記載も示唆もされていないし,生理用ナプキンという特定の用途に関する技術的事項を,その他の一般の体液吸収用ナプキンに適用することが当業者にとって自明であるとする根拠は存しない。しかるに,審決は,「水様の鼻汁吸収用」に「ナプキン」を「繰り返し使用する」ことと「生理用」に「ナプキン」を使用することの用途の違いにつき何ら判断せずに,両発明の相違点1は実質的な相違点ではないと判断した。 前記のとおり,本願発明の対象となる物と引用発明1の対象となる物は異なるから,両発明が実質的に同一であるとした審決の判断は誤りである。 3 取消事由3(引用発明1と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性判断の誤り)吸収性物品であれば同一の技術分野に属するとは必ずしもいえないところ,引用発明1は,極めて限定された用途である「生理用ナプキン」の発明であり,ハンカチ等とは技術分野が異なるから,当業者にとっても,これを顔周辺に使用することは容易に想到できるものではない。使用の態様も,拭く,拭うという動作とともに使用されるか,一定の場所に置いて使用されるかが異なる。また,通常のハンカチは,ただ1枚の布から成り,ぬぐい取った水分を広い面積で吸い取るのに対し,生理用ナプキンは通常3層で構成され,表面の層は液体を透過させるだけで吸収するものではない。そうすると,当業者が生理用ナプキンをハンカチの代替品として転用することは困難である。 また,引用発明1の「生理用ナプキン」と本願発明の「鼻汁吸収用ナプキン」とは,形状,構造等が異なる。 そして,審決が根拠として挙げる甲第3ないし第7号証は,それぞれの用途に応じて個別の形状,構造を有し,異なる技術分野に属するから,これらに共通する技術常識を プキン」とは,形状,構造等が異なる。 そして,審決が根拠として挙げる甲第3ないし第7号証は,それぞれの用途に応じて個別の形状,構造を有し,異なる技術分野に属するから,これらに共通する技術常識を勘案して,引用発明1の「生理用ナプキン」を「鼻汁吸収用」に転用する - 8 -ことはできない。また,ハンカチを鼻汁吸収用に繰り返し使用することが欧米で一般的な慣習になっているかは知らないし(甲8),我が国においても同様の慣習があるか,また手等を拭くよりも一般的になっているかは疑問である。ハンカチを広げたときの大きさが,鼻をかむために広げたティッシュペーパーの大きさと同程度であるからといって,ハンカチを鼻汁吸収用に転用することが容易であることにはならない。しかも,ハンカチには「吸収体」と称するほどの高度の吸収性,保水性はない。なお,審決がハンカチの使用につき「鼻に当てる側を内側にして折り畳んで携行することは慣用手段」であるとした判断にも根拠はない。そうすると,審決が挙げる特許公報や辞典等を勘案しても,引用発明1と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性を肯定できるものではない。 なお,本願発明には,感冒等に起因して間断なく分泌,流出する水様の鼻汁を効率よく吸収,保持し,繰り返し使用できるという実用上の顕著な効果がある。 結局,引用発明1と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性を肯定した審決の判断は誤りである。 4 取消事由4(引用発明2の認定及び引用発明2と本願発明の一致点の認定の誤り)(1) 審決は,引用例2に記載されている失禁処理パッドに関する技術的事項と生理用ナプキンに関する技術的事項を合目的的に抽出して組み合わせ,引用発明2を恣意的に認定しており,誤りである。すなわち,引用例2に記載されている失禁処理パッドと生理用ナプキンと 関する技術的事項と生理用ナプキンに関する技術的事項を合目的的に抽出して組み合わせ,引用発明2を恣意的に認定しており,誤りである。すなわち,引用例2に記載されている失禁処理パッドと生理用ナプキンとは,その用途や適用部位に応じて適した形状,構造を有するにもかかわらず,用途等の違いを無視して上記のとおり抽出・組合せを行うのは不適切であり,審決がした引用発明2の認定は誤りである。 また,引用例2中には生理用ナプキンや失禁処理パッド等以外の体液の吸収用に使用することが記載されていない一方,本願明細書中にも鼻汁以外の体液の吸収用に使用することが記載されていないのであって,審決が両発明につき「体液吸収製品」と一括りにしたのは,過度の一般化であり,妥当でない。 - 9 -(2) 本願発明の液不透過性裏面シートは皿状に形成されたものではないから,引用発明2にいう「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1」に相当するものではない。また,引用発明2の小領域Aは製品全体にわたって設けられた折り曲げ案内部ではなく,折り畳んで所持するための本願発明の「折り曲げ案内部」とは構造も目的も異なる。したがって,これらの点を看過して審決がした引用発明2と本願発明の一致点の認定には誤りがある。 5 取消事由5(引用発明2と本願発明の実質的同一性の判断の誤り)前記4のとおり,本願発明にいう「液不透過性の裏面シート」は引用発明2にいう「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1」に相当するものではないし,引用発明2の小領域Aは本願発明にいう「折り曲げ案内部」に相当せず,これらは相違する。 引用発明2の「吸収製品」と本願発明の「ナプキン」とは,その用途も,技術分野も,適用対象(部位等)も,使用形態(繰り返し使用されるか,使い捨てか等)も異なるの 部」に相当せず,これらは相違する。 引用発明2の「吸収製品」と本願発明の「ナプキン」とは,その用途も,技術分野も,適用対象(部位等)も,使用形態(繰り返し使用されるか,使い捨てか等)も異なるのであって,引用発明1と同様,対象となる物が異なるから,引用発明2と本願発明と実質的に同一であるとした審決の判断は誤りである。 6 取消事由6(引用発明2と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性の判断の誤り)前記3と同様に,当業者が生理用ナプキンや失禁処理パッドをハンカチの代替品として転用することは困難であるし,本願発明には,水様の鼻汁を効率よく吸収,保持し,繰り返し使用できるという実用上の顕著な効果がある。 そうすると,引用発明2と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性を肯定した審決の判断は誤りである。 第4 取消事由に対する被告の反論 1 取消事由1に対し吸収性物品(吸収性製品)の技術分野では,水分を含む液体は吸収される対象と - 10 -なる液体として同等であることが当業者の技術常識である。しかるに,経血と鼻汁とは体液として,また水分を含む液体として同等であるところ,審決は,かかる技術常識を考慮し,引用発明1と本願発明の構成,機能の共通点を抽出して,一致点を認定したのであって,審決のかかる認定に誤りはない。 また,引用発明1のナプキンの台紙(1)上面の周縁端部と圧縮綿保護紙(6)の周縁端部とが接合されていなければ,装着動作時や,装着状態における歩行等の動作によって,圧縮綿保護紙(6)が圧縮綿(2)からずれたり,台紙(1),圧縮綿(2)から分離脱落したりして不都合が生じるのであって,「圧縮綿保護紙(6)の周縁端部は,台紙(1)の周縁端部と接合している」とする審決の認定に誤りはない。 2 取消事由2に対し本願発明は 綿(2)から分離脱落したりして不都合が生じるのであって,「圧縮綿保護紙(6)の周縁端部は,台紙(1)の周縁端部と接合している」とする審決の認定に誤りはない。 2 取消事由2に対し本願発明は物の発明であり,その特許請求の範囲にいう「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用」との文言は,「ナプキン」の「用途」に当たる。しかしながら,本願発明は,既に存在する物の未知の属性を発見し,この属性に基づいて新たな用途の使用に適することを見い出してされたわけではないから,用途発明(原告が主張する用途限定発明)には当たらないし,審決も本願発明が用途発明に当たるとして実質的同一性等の判断をしたわけではない。 ところで,吸収性物品の技術分野では,「ナプキン」とは「拭くための小さな布」,「布状あるいは繊維状の製品」程度を意味するところ(技術常識),本願発明と引用発明1とでは,「ナプキン」の語はかかる意味を有する点で共通する。したがって,本願発明と引用発明1とで対象となる物(ナプキン)が異なるとはいえない。 また,本願発明の用途に特に適した形状,構造,組成等は本願明細書又は図面で開示も示唆もされておらず,当業者にとってかかる事項は周知でも技術常識に属するわけでもないから,本願発明で用途を特定したことによって,当該用途に特に適した形状等を特定したことにはならない。 しかるに,本願発明の素材(本願明細書の段落【0009】~【0011】参照) - 11 -は,生理用ナプキンの素材として通常用いられているものであるから,本願発明の鼻汁吸収用ナプキンと引用発明1の生理用ナプキンとで異なる構造,組成等を有しているとはいえない。本願明細書の段落【0014】を参酌して本願発明の鼻汁吸収用ナプキンの大きさを検討すれば,引用発明1の生理用ナプキンと同程度の大きさを有 理用ナプキンとで異なる構造,組成等を有しているとはいえない。本願明細書の段落【0014】を参酌して本願発明の鼻汁吸収用ナプキンの大きさを検討すれば,引用発明1の生理用ナプキンと同程度の大きさを有するものにすぎない。 そうすると,本願発明と引用発明1とは,用途の点で一応相違するが,それ以外の点ですべて一致するのであり,この判断を前提として発明の実質的同一性を肯定した審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3に対し前記2のとおり,本願発明と引用発明1とは,用途の点で一応相違するが,それ以外の点ですべて一致するところ,吸収性物品の技術分野における技術常識,すなわち,経血と鼻汁とが吸収対象となる体液である点で同等であること,又は生理用ナプキンを繰り返し使用する鼻拭き用ハンカチに転用できることが自明であること,そしてワイプの1種であるハンカチを用いて,繰り返し鼻をかむことが,欧米では慣用手段であることから,引用発明1の生理用ナプキンを「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用」に転用することは,当業者が,容易に想到し得たことである。 乙第1号証等で吸収性物品の適用対象として,生理用ナプキンとフェーシャルティッシュ,顔用ティッシュが並べて記載されていることや本願明細書の段落【0011】の記載に照らせば,生理用ナプキン(引用発明1)と繰り返し使用する鼻拭き用ハンカチとは親和性があるから,本願発明と引用発明1とで使用される身体の部位が異なるという事情は,本願発明の容易想到性を否定するものではない。 したがって,上記と同趣旨の審決の判断に誤りはない。 4 取消事由4に対し(1) 引用例2の段落【0022】の記載からすれば,「吸収材5を上記皿状の外皮材1の底部に接着剤等により接合すること」と,「表面シート6を,皿状の外皮 - 12 -材1 4 取消事由4に対し(1) 引用例2の段落【0022】の記載からすれば,「吸収材5を上記皿状の外皮材1の底部に接着剤等により接合すること」と,「表面シート6を,皿状の外皮 - 12 -材1の前面に張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めること」とは,「吸収体5の皿状の外皮材1への固定」方法として,互いに置換可能であることが明らかである。 引用例2の生理用ナプキン(図1~5)の構成では,「吸収材5を表面シート6で被覆し,皿状の外皮材1の底部に固定」(段落【0024】)されているが,この構成を「表面シート6を,皿状の外皮材1の前面に張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込める」ように置き換えることができる(段落【0022】)。 したがって,引用例2に接した当業者にとって,かように引用例2の生理用ナプキンを置換した構成は自明であり,引用例2に記載されているのも同然の事項である。そうすると,引用例2の段落【0027】に記載された,折り目部分のフランジ4同士が重なる小領域Aで互いに接合された構成と,段落【0022】に記載された,表面シート6を,皿状の外皮材1の前面に張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込める構成とを,合わせ備えた構成が,引用例2に記載されているとして,引用発明2を認定したことは,適切であり,審決に誤りはない。 (2) 確かに,本願発明の実施例(図)では,裏面シートが皿状に加工されていないが,本願発明の特許請求の範囲の記載では,裏面シートを皿状に加工した構成を除外していないし,明細書及び図面を参酌し 。 (2) 確かに,本願発明の実施例(図)では,裏面シートが皿状に加工されていないが,本願発明の特許請求の範囲の記載では,裏面シートを皿状に加工した構成を除外していないし,明細書及び図面を参酌しても,裏面シートを皿状に加工した構成を除外すべき事情は存しない。また,本願発明の特許請求の範囲の記載では,「折り曲げ案内部」につき,「長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する」と特定されているにすぎず,「吸収製品全体に設け」ることは特定されていない。 5 取消事由5に対し本願発明の実施例(図)では,裏面シートが皿状に加工されていないが,本願発明の特許請求の範囲の記載では,裏面シートを皿状に加工した構成を除外していな - 13 -いし,明細書及び図面を参酌しても,裏面シートを皿状に加工した構成を除外すべき事情は存しない。また,本願発明の特許請求の範囲の記載では,「折り曲げ案内部」につき,「長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する」と特定されているにすぎず,「吸収製品全体に設け」ることは特定されていない。 引用発明1と同様に(前記2),本願発明と引用発明2とは,用途の点で一応相違するが,それ以外の点ですべて一致するのであり,この判断を前提として発明の実質的同一性を肯定した審決の判断に誤りはない。 6 取消事由6に対し引用発明1と同様に(前記3),吸収性物品の技術分野における技術常識や,欧米におけるハンカチの使用法(慣用手段)に照らせば,引用発明2の生理用ナプキン等を「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用」に転用することは,当業者が,容易に想到し得たことであるから,この旨の審決の判断に誤りはない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由4(引用発明2の認定及び引用発明2と本願発明の一致点の認定の誤り)について引用発明2を主たる引 到し得たことであるから,この旨の審決の判断に誤りはない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由4(引用発明2の認定及び引用発明2と本願発明の一致点の認定の誤り)について引用発明2を主たる引用発明とする進歩性欠如の判断の当否について検討する。 審決は,「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1の前面に,液透過性の表面シート6を張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じこめることによって吸収材5が固定され,上記皿状の外皮材1の周縁部を形成する側壁3の自由端にはフランジ4が形成され,上記フランジ4は吸収製品の長手方向Lの中央近傍で表面側Sが谷になるように二つ折にされ,この折り目のフランジ4が重なる小領域Aで互いに接合されている吸収製品。」と引用発明2を認定したが,このうち前半部分の「液不透過性の・・・固定され,」との部分は,引用例2の2つの実施例,すなわち生理用ナプキンと失禁処理パッドの実施例のうち後者の実施例に関する記載部 - 14 -分に概ね対応し,後半部分の「上記皿状の・・・吸収製品」との部分は,引用例2の請求項1の特許請求の範囲の記載の後段部分である「上記皿状の・・・ことを特徴とする吸収製品」との部分に概ね対応するものである。そして,引用例2の2つの実施例のうち長手方向の中央近傍に折り曲げ案内部を設けるのは,生理用ナプキンの実施例であるから,上記後半部分は引用例2の実施例のうち生理用ナプキンの実施例に概ね対応する。そうすると,審決は,引用例2の2つの実施例にまたがって引用発明2を認定したものであり,原告はこの点を捉えて審決の引用発明の認定を非難する。 ところで,引用例2の生理用ナプキンの実施例も,失禁処理パッドの実施例も,身体の装着部に対 実施例にまたがって引用発明2を認定したものであり,原告はこの点を捉えて審決の引用発明の認定を非難する。 ところで,引用例2の生理用ナプキンの実施例も,失禁処理パッドの実施例も,身体の装着部に対するフィット性を良好にするとともに装着部と吸収製品との間の隙間から排泄物が漏れ出る事態を防止し,かつ製造コストの低い吸収製品を提供するという引用例2記載の発明の目的を達成するために考案されたもので(段落【0008】ないし【0010】),外皮材やフランジ等の形状,構造はかかる目的を達成するための手段であるところ,段落【0022】には,「そして,上記吸収体5の皿状の外皮材1への固定は,表面シート6で吸収材5の全表面を包み,吸収材5を上記皿状の外皮材1の底部に接着剤等により接合することによって行うか,あるいは,上記表面シート6を,皿状の外皮材1の前面に張り付け,周縁のフランジ4面で密封シールすることにより,皿状の外皮材1と表面シート6との間の空間に吸収材5を閉じ込めることによって行うものである。」との記載があるから,引用例2においては,吸収体5の皿状外皮材1への固定方法として,表面シート6で包まれた吸収体(吸収材)5を外皮材1の底部に接着するか(生理用ナプキンの実施例),外皮材1の前面に吸収体5を張り付けた上で,その上方からフランジ4で覆って,吸収体5を外皮材1とフランジ4の間の空間に閉じ込めるか(失禁処理パッドの実施例)は,任意に選択可能な事柄と位置付けられていることが明らかである。そうすると,両実施例の間で排泄物の漏れ出しの防止方法に差異があるとしても(引用例2の段落【0024】,【0029】,【0035】,【0036】,図1,2,6,7を - 15 -参照),引用例2に接した当業者であれば,吸収体5の皿状外皮材1への固定方法を置き換えた構 引用例2の段落【0024】,【0029】,【0035】,【0036】,図1,2,6,7を - 15 -参照),引用例2に接した当業者であれば,吸収体5の皿状外皮材1への固定方法を置き換えた構成を読み取ることができるというべきであるから,審決が前記のとおりに引用発明2を認定した手法に誤りがあるとはいえない。 そして,鼻汁も人体が分泌する体液の一つであるから,引用発明2と本願発明とは「体液吸収製品」である点で一致するところ,両発明を「体液吸収製品」との技術概念で包括したとしても過度の一般化であるとはいえない。 そうすると,審決がした引用発明2の認定,これを受けた引用発明2と本願発明の一致点,相違点の認定に誤りはない。 原告は,本願発明の液不透過性裏面シートは皿状に形成されたものではないから,これが引用発明2にいう「液不透過性の弾力性発泡材シートから成る皿状の外皮材1」に相当するとした審決の判断は誤りである旨を主張するが,本願発明の特許請求の範囲には,「周縁端部が接合され,」等と特定されているのみで,液不透過性の裏面シートの周縁端部を底面より盛り上げるようにして皿状に構成する態様が除外されているわけではないから,原告の上記主張を採用することはできない。 また,原告は,引用発明2の小領域Aは製品全体にわたって設けられた折り曲げ案内部ではなく,折り畳んで所持するための本願発明の「折り曲げ案内部」とは構造も目的も異なると主張するが,本願発明の特許請求の範囲では「長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する」と特定されているにすぎず,製品全体にわたって「折り曲げ案内部」を設けることが特定されているわけではないから,引用発明2のように,周縁をなすフランジ4の長手方向中央に折り曲げの起点となる凹部を有する「小領域A」を設ける構成が除外されているわけで り曲げ案内部」を設けることが特定されているわけではないから,引用発明2のように,周縁をなすフランジ4の長手方向中央に折り曲げの起点となる凹部を有する「小領域A」を設ける構成が除外されているわけではない。また,引用発明2の吸収製品も,小領域Aで折り畳んでコンパクトにし,使用時にその状態でポケットに入れたり,ケースに入れたりして所持することができることは,当業者に自明であって,本願発明と引用例2記載の引用発明2との間で「折り曲げ案内部」の目的ないし機能が異なるとはいえない。そうすると,原告の上記主張を採用することはできない。 - 16 -結局,原告が主張する取消事由4は理由がない。 2 取消事由6(引用発明2と本願発明との相違点に係る構成の容易想到性判断の誤り)について審決が認定するとおり,本願発明と引用発明2とは,前者が「繰り返し使用するための,水様の鼻汁吸収用ナプキン」であるのに対して,後者は「吸収製品」である点で相違する(相違点A)。 ところで,花粉症等で多量の水様の鼻汁が間断なく分泌,流出する場合,吸収力に限界があるティッシュペーパーやハンカチを利用するのでは,例えば多量のティッシュペーパー等を用意する必要がある事態を生じて不都合であることは,「吸収製品」の当業者のみならず一般人でも了知している事柄であって,このため,吸収力の大きい吸収体を設けたマスク等が考案されている(甲16~18=本願明細書で引用された先行技術文献である公開特許公報)。 ここで,多量の水様の鼻汁が間断なく分泌,流出する事態が生じている場合に,多量のティッシュペーパー等の用意,携行を省略しようとすれば,当業者がある程度の時間継続して使用できる器具の必要を感じるのはごく自然の事柄であるし,上記の先行技術文献にも,かかる必要をみたすべく,種々の構成 ィッシュペーパー等の用意,携行を省略しようとすれば,当業者がある程度の時間継続して使用できる器具の必要を感じるのはごく自然の事柄であるし,上記の先行技術文献にも,かかる必要をみたすべく,種々の構成が考案されているものである。そうすると,欧米では鼻汁を拭くのにハンカチを使用する習慣があること(慣用手段)にもかんがみれば,「体液吸収製品」の当業者であれば,ある程度の時間の継続使用にも堪えるべく,引用発明2の「体液吸収製品」を「水様の鼻汁吸収用」に「繰り返し使用するため」に用いる発想を当然に抱くといい得る。 また,審決も引用する甲第3ないし第6号証の特許公表公報等には,吸収力の大きいポリマー吸収体は生理用ナプキンや失禁衣類のみならず体液等の拭き取り用(ワイプ)にも使用し得ることが記載されており(体液の種別の点でいえば,例えばよだれを拭き取ることが記載されている。),これは本件出願当時の当業者の技術常識と評価できるところ,かかる技術常識を勘案することによっても,上記当時,当業者が多量の水様の鼻汁を拭く用途に,生理用ナプキン等の構成部品である吸収 - 17 -力の大きい吸収体を用いる発想をごく容易に抱くものであるといい得る。 以上によれば,原告が主張するように,本願発明にいう「ナプキン」が,単語自体では単に「布状ないし繊維状の製品」を意味するにすぎないとしても,また引用発明2の「体液吸収製品」と本願発明の「水様の鼻汁吸収用ナプキン」とでは使用する身体の部位が異なり,吸収される体液の点に違いがあるとしても,「体液吸収製品」の当業者であれば,本件出願当時,引用発明2に基づいて相違点Aに係る本願発明の構成に容易に想到することができたというべきである。 原告は,本願発明の「水様の鼻汁吸収用ナプキン」と引用発明2の「体液吸収製品」の構造上の違いや使 時,引用発明2に基づいて相違点Aに係る本願発明の構成に容易に想到することができたというべきである。 原告は,本願発明の「水様の鼻汁吸収用ナプキン」と引用発明2の「体液吸収製品」の構造上の違いや使用態様の違いについて主張する。しかしながら,審決が認定するとおり,本願発明と引用発明2とは,「液透過性の表面シート,高吸水性の中間シート,及び液不透過性の裏面シートからなる積層構造を有し,周縁端部が接合され,かつ長手方向中央部に折り曲げ案内部を有する,体液吸収製品」である点との構成で一致し,両発明は前記相違点Aで相違するにすぎない。また両発明の「体液吸収製品」としての用途の差異は,前記のとおり,本願発明の容易想到性を否定するものではない。したがって,原告の主張に係る点は容易想到性の判断を妨げない。 結局,「体液吸収製品」の当業者であれば,本件出願当時,引用発明2に基づいて本願発明に容易に想到することができたというべきであり,本願発明による作用効果も,引用発明2に当業者の技術常識を勘案すれば予測し得る範囲内のものにすぎないから,この旨の審決の判断に誤りはなく,原告が主張する取消事由6は理由がない。そうすると,その余の争点について判断するまでもなく,進歩性を欠くとして本件出願の拒絶査定を維持した審決の結論に誤りはない。 第6 結論以上によれば,原告の本件請求は理由がないから,主文のとおり判決する。 - 18 -知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官真辺朋子 塩月秀平 裁判官真辺朋子 裁判官田邉 主文 理由 事実 争点 判断
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