- 1 -主文 原判決中,福井地方法務局長が平成18年11月27日付けで控訴人に対してなした司法書士の業務停止処分の取消請求に関する部分を取り消す。 控訴人の上記司法書士の業務停止処分の取消請求に係る訴えを却下する。 控訴人のその余の控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人(1) 原判決中「原告の土地家屋調査士の業務停止処分の取消請求に係る訴え,を却下する」とある部分を除き,その余を取り消す。 。 (2) 福井地方法務局長が平成18年11月27日付けで控訴人に対してなした同年12月3日から3週間司法書士の業務を停止するとの処分を取り消す。 (3) 被控訴人は,控訴人に対し,220万円及びこれに対する平成18年11月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人主文同旨第2事案の概要 本件は,土地家屋調査士及び司法書士の業務を行う控訴人が,いずれも平成18年11月27日付けで福井地方法務局長が控訴人に対してなした各懲戒処分(1か月間の土地家屋調査士業務停止処分及び3週間の司法書士業務停止処分)につき,裁量を逸脱した違法があるとして,上記各処分の取消しを求めるとともに,違法な上記各処分により精神的苦痛を受けたとして,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた訴訟の控訴審である。 原審は,控訴人の請求のうち土地家屋調査士の業務停止処分の取消請求に係る訴えを却下し,その余の請求を棄却したところ,控訴人は,訴え却下部分を- 2 -除き本件控訴を提起した。 なお,略語は,原判決に準ずるものとする。 前提事実次のとおり付加,補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正) 訴を提起した。 なお,略語は,原判決に準ずるものとする。 前提事実次のとおり付加,補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決4頁22行目「亡Aをとしたうえ」を「亡Aとしたうえ」と改,,める。 (2) 原判決6頁24行目から25行目「福井司法書士会会則」を「福井県司法書士会会則」と改める。 (3) 原判決7頁3行目「いわざるを得ないなどとして」の次に「平成18年,11月27日付けで,控訴人に対し」を加える。 ,(4) 原判決7頁14行目「本件各懲戒処分に付された期間」の次に「等」を加える。 (5) 原判決7頁17行目末尾に改行の上,以下のとおり加える。 「また,上記司法書士業の業務停止期間の終了日の翌日から2年が経過した」。 争点及びこれに関する当事者の主張次のとおり付加,補正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2の3及び4に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決7頁23行目「違法な職務行為」を削る。 ()(2) 原判決10頁5行目と6行目の間に次のとおり加える。 「また,相談センター設置規則及び調停センター設置規則を前提にしたとしても,既に業務停止期間終了日の翌日から2年が経過しているから,相談員や実施者としての資格を制約されることはない。よって,いずれにしても,- 3 -懲戒処分2の取消しによって回復すべき法律上の利益は存在せず,同処分の取消を求める訴えは,訴えの利益がない」。 (3) 原判決10頁15行目から16行目「誤信したことについても落ち度があるとはいえない」を「誤信したことについての過失は重大なものとはいえ。 ない」と改める。 。 (4) 原判決10頁22行目「落ち度があるとはいえ 15行目から16行目「誤信したことについても落ち度があるとはいえない」を「誤信したことについての過失は重大なものとはいえ。 ない」と改める。 。 (4) 原判決10頁22行目「落ち度があるとはいえない」を「その過失は重。 大なものとはいえない」と改める。 。 ,,(5) 原判決11頁25行目「重きに失し」の次に「また,懲戒処分1の当時処分に関して明確な基準がなかったため,恣意的で過重な処分がなされたものであって」を加える。 ,(6) 原判決12頁8行目「確認すべであったのに」を「確認すべきであった,のに」と改める。 ,(7) 原判決12頁17行目「かからわらず」を「かかわらず」と改める。 ,,(8) 原判決14頁1行目「落ち度があるとはいえない」を「の過失は重大な。 ものとはいえない」と改める。 。 (9) 原判決15頁1行目「重きに失し」の次に「また,懲戒処分2の当時,,処分に関して明確な基準がなかったため,恣意的で過重な処分がなされたものであって」を加える。 ,(10)原判決15頁4行目,同頁6行目,同頁8行目から9行目の各「不動産登記」を「不動産登記簿」と改める。 (11)原判決16頁10行目から11行目までを次のとおり改める。 「ア福井地方法務局長は,同種事案についてより軽い懲戒処分を行っているのであるから,控訴人に対する本件各懲戒処分の違法性を認識することが十分可能であり,実際に認識していたはずである。したがって,福井地方法務局長に少なくとも過失があることは明らかである」。 第3当裁判所の判断- 4 - 当裁判所は,本件各懲戒処分の取消しを求める訴えはいずれも却下すべきであり,かつ,控訴人のその余の請求を棄却すべきであると判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」 判所は,本件各懲戒処分の取消しを求める訴えはいずれも却下すべきであり,かつ,控訴人のその余の請求を棄却すべきであると判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決18頁10行目から23行目までを次のとおり改める。 「エところで,控訴人に対する懲戒処分2に係る業務停止期間は,平成18年12月23日に終了したものであるところ,その翌日から2年が経過したことは当裁判所に顕著である。したがって,現時点では,控訴人が相談センター設置規則や調停センター設置規則による相談員及び実施者の資格や活動を制約されることはなく,上記相談員及び実施者の資格を有しないという不利益を被っているとの控訴人の主張は,その前提を欠き,採用することができない。 (4) 以上のとおり,本件各懲戒処分の取消請求の訴えは,訴えの利益を欠くものであるから,不適法として却下を免れない」。 (2) 原判決19頁3行目から4行目の「日本司法書士連合会」を「日本司法書士会連合会」と改める。 (3) 原判決19頁11行目から13行目までを次のとおり改める。 「また,司法書士法47条は,司法書士が同法及び同法に基づく命令に違反したときに,法務局長等が当該司法書士に対し,戒告,2年以内の業務の停止,業務の禁止の各処分をすることができると規定するが,いずれの処分を選択し,その期間をどの程度とするか等についての具体的な定めは設けられていない。懲戒の可否,程度等の判断は,その性質上,懲戒事由の内容,被害の有無や程度,これに対する社会的評価,被処分者に対する影響,司法書士の職務の社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要である」。 - 5 -(4) 原判決19頁22行目「 由の内容,被害の有無や程度,これに対する社会的評価,被処分者に対する影響,司法書士の職務の社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要である」。 - 5 -(4) 原判決19頁22行目「懲戒処分1」の次に「について」を加える。 (5) 原判決22頁18行目「申し向けていれば」を次のとおり改める。 ,「申し向けるなり,Bに対し,亡A本人が委任状に押印するよう求め,それができない事情があればその事情を聴取するなりしていれば」,(6) 原判決23頁7行目から12行目までを削り,次のとおり加える。 「他方,控訴人は,本人確認が厳格に求められるようになったのは最近のことであって,本件滅失登記申請当時の実情を踏まえて判断されるべきであると主張する。しかし,本人確認の方法について議論があったとしても,本人確認ないし登記意思確認を不必要とすることにはならないというべきであるところ,控訴人は,本件滅失登記申請の依頼者と申請人が異なることを認識していながら,本件においてそもそも申請人たる亡Aの本人確認ないし登記意思確認をしようとすらしていないのであるから,その落ち度が軽いものであったということはできないというべきである」。 (7) 原判決24頁24行目と25行目の間に次のとおり加える。 「(イ) 控訴人は,他の懲戒事例と比較して,1か月間の業務停止という懲戒処分1の内容は,明らかに重く,処分の均衡を失していると主張する。 確かに,証拠(甲10,11)によれば,建物実地調査書に虚偽記載をした者について戒告とされた事例も存するが,他方,土地調査書の虚偽記載をした者について1か月間の業務停止とされた事例がある(なお,同事例では,本人確認の有無ないし方法に関する事柄は触れられていない。また,1か月間の業務停止とされたいくつかの例は,本件とは。)事 をした者について1か月間の業務停止とされた事例がある(なお,同事例では,本人確認の有無ないし方法に関する事柄は触れられていない。また,1か月間の業務停止とされたいくつかの例は,本件とは。)事案が異なり,必ずしも本件と比較して重いとまでいうことはできない。 加えて,本人確認ないし登記意思確認の重要性が認識されてきた現状に照らすと,他の懲戒事例と比較して均衡を失しているとまではいえない」。 (8) 原判決24頁25行目「(イ) 」を「(ウ) 」と,25頁6行目「(ウ) 」を- 6 -「(エ) 」と,25頁11行目「(エ) 」を「(オ) 」とそれぞれ改める。 (9) 原判決25頁8行目「しかしながら」と「上記のとおり」の間に次の,,とおり加える。 「懲戒処分にあたりその可否,程度等の判断が様々な要素を総合的に考慮してされるべきことは前記のとおりであり,その性質上,処分基準を明確化することは困難であるといわざるを得ないから,処分基準が不明確であることをもって直ちに処分が違法であるということはできない。また」,(,,,。 (10)原判決25頁15行目「甲2」と「40」の間に「8」を加える(11)原判決25頁25行目「平成18年1月4日」を「平成17年12月,27日ころ」と改める。 ,(12)原判決26頁8行目から9行目の「登記事項要約書の閲覧ないし謄写をしてその内容と」を「登記事項要約書の交付を受けるなどして登記内容と」と改める。 (13)原判決26頁11行目「福井地方法務局に対し」から13行目「謄写,をすることはなかった」までを次のとおり改める。 。 「×番3の建物の登記事項要約書の交付を受けるなどして登記内容を確認することなく,平成18年1月6日,本件抹消登記申請書に亡C名義の委任状を添付して,これらを福井地 た」までを次のとおり改める。 。 「×番3の建物の登記事項要約書の交付を受けるなどして登記内容を確認することなく,平成18年1月6日,本件抹消登記申請書に亡C名義の委任状を添付して,これらを福井地方法務局に提出した」。 (14)原判決27頁22行目「ことにつき落ち度がないとして」を「という過失は重大なものではないとして」と改める。 (15)原判決28頁17行目と18行目の間に次のとおり加える。 「(イ) 控訴人は,当時,本人確認の方法や程度については様々な考え方があり,実務上必ずしも大多数の司法書士が厳格に本人確認,登記意思確認を履践していたとはいい難い状況にあったことにかんがみれば,本件処分が均衡を欠くことは明らかであると主張する。 しかし,本人確認,登記意思確認の方法や程度について議論がされ- 7 -ていたことを踏まえても(甲36の1及び2,甲37ないし39,41ないし43,本件においては,最新の登記簿によって登記権利者)が誰であるかを確認したり,直接の依頼者であった金融機関の担当者に一言確認するなど,ごく簡単な方法すら行っていないことからすれば,本人確認ないし登記意思確認をしなかった過失の程度が軽微であるとはいえない。 また,他の懲戒事例(甲12の1及び2)との均衡に関しては,それらの事例における具体的態様が必ずしも明らかではないため,必ずしも直ちに比較は困難であるが,意思確認義務違反による処分内容が戒告にとどまる例がある一方,意思確認義務違反で業務停止2か月ないし3か月の例もみられることに照らし,本件が明らかに処分の均衡を欠くということはできない」。 (16)原判決28頁18行目「(イ)」を「(ウ)」と,同頁25行目「(ウ)」を「(エ)」と,29頁4行目「(エ)」を「(オ)」とそれぞれ改める。 (17)原判決29頁 ということはできない」。 (16)原判決28頁18行目「(イ)」を「(ウ)」と,同頁25行目「(ウ)」を「(エ)」と,29頁4行目「(エ)」を「(オ)」とそれぞれ改める。 (17)原判決29頁1行目「しかしながら」と「上記のとおり」の間に次,,のとおり加える。 「懲戒処分にあたりその可否,程度等の判断が様々な要素を総合的に考慮してされるべきことは前記のとおりであり,その性質上,処分基準を明確化することは困難であるといわざるを得ないから,処分基準が不明確であることをもって直ちに処分が違法であるということはできない。また」,(18)原判決29頁4行目「原告の取消請求を」から7行目「いずれも理由がない」までを次のとおり改める。 。 「国家賠償法上の違法があるとは認められないから,その余の点について判断するまでもなく,懲戒処分2の違法を理由とする国家賠償請求については理由がない」。 結論 - 8 -以上の次第で,原判決中,懲戒処分2の取消請求に係る訴えは訴えの利益がないから,同請求を棄却した部分を取り消し,上記訴えを却下することとする。 また,原判決中,損害賠償請求を棄却した部分は相当であり,同部分に係る本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官渡辺修明裁判官桃崎剛裁判官浅岡千香子
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