- 1 - 主文 被告人を懲役8年に処する。 未決勾留日数中200日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成24年6月上旬頃から,横浜市a区bc丁目d番e号の当時の被告人方において,Aとその子であるBらと同棲を始めたが,同月下旬頃から,Aと共に,Bの顔面を叩いたり,顔にシャワーの水をかける,浴槽に顔を沈めるなどの虐待行為に及ぶようになっていた。そして,同年7月22日午前0時頃,BがAの足を踏んだことをきっかけにAがBを浴室に連れて行き,同所においてAがBの顔にシャワーの水をかけ,顔面を叩くなどの暴行を始め,約1時間経過後,被告人がAの求めに応じて交代した。 そして,被告人は,第1 同日午前1時頃から午前4時35分頃までの間,上記被告人方において,B(当時6歳)に対し,その頭部を浴槽に沈めたり,その右肩甲骨付近を足で蹴って同人の頭部を浴槽の壁面に打ち付けるなどの暴行を加え,よって,同人に頭蓋内損傷の傷害を負わせ,同日午前11時15分頃,同所において,同人を同傷害により死亡させ,第2 Aと共謀の上,同日からその翌日にかけて,同所から同所前駐車場に駐車中の自動車にBの死体を運んだ上,同車に同死体を積み込み,同車で同市f区gh番地i所在の雑木林内まで同死体を運搬し,同所に掘った穴に同死体を置いた上で土をかけて埋め,もって死体を遺棄した。 (証拠の標目)省略(争点に対する判断)第1 争点と当裁判所の判断- 2 -弁護人は,被告人は,Bの頭部に冠状縫合の離開を生じさせるような暴行は行っておらず,Bが被告人の暴行により死亡したとするには疑いが残ると主張している。 当 と当裁判所の判断- 2 -弁護人は,被告人は,Bの頭部に冠状縫合の離開を生じさせるような暴行は行っておらず,Bが被告人の暴行により死亡したとするには疑いが残ると主張している。 当裁判所は,被告人の暴行によりBの冠状縫合に離開が生じるとともに頭蓋内損傷が引き起こされてBが死亡した,と認定したので,以下その理由を説明する。 第2 事実経過について 1 本件公訴事実とA証言の信用性についてまず,検察官の主張の根拠となる証拠について検討する。 本件公訴事実は,被告人がBの「頭部付近を背後から足で蹴って同人の頭部を浴槽の壁に打ち付ける」暴行を加え,よって同人を頭蓋内損傷により死亡させた,というものであり,検察官は,その根拠として,Aの「被告人が,左肩を下にして浴室の床に横たわっていたBの後頭部を右足の裏で踏み付けるようにして蹴ったのを見た。」との証言が信用できると主張している。 しかしながら,当裁判所は,この証言を信用することはできない。その理由は,以下のとおりである。 Aは,「被告人がBの後頭部を蹴った際,Bの頭部は浴室の中央部付近にあり,Bの足は曲がっていたが浴室の壁についてはいなかった。」と証言している。しかしながら,浴室の幅が110センチメートルであるのに対し,Bの身長は92センチメートルであったから,Bの頭部が浴室の中央部にあったとすれば,Bの足が浴室の壁に突き当たり,極めて無理な体勢となることは明らかである。Aは,当公判廷において,その目撃した状況を図面に書き込んでいるが,その図面上のBは極端に小さく描かれており,現実の寸法と大きくかけ離れたものとなっている。これは,現実には,Aはそのような状況を目撃しておらず,想像からそのような状況を述べたためにこのような不自然な図面になったと考えざる さく描かれており,現実の寸法と大きくかけ離れたものとなっている。これは,現実には,Aはそのような状況を目撃しておらず,想像からそのような状況を述べたためにこのような不自然な図面になったと考えざるを得ない。 - 3 - しかも,Aは,捜査段階の当初,上記のような供述を行っていない。Aは,捜査段階の当初,「被告人がリビングの壁にBの頭部を打ち付けていた。」と供述していたが,その後,「これまで述べてきたことは嘘です。本当のことを話します。」と言ってその供述を変更し,「被告人が左足の甲でBの側頭部を蹴り,その後頭部を浴室の洗い場の右角辺りに打ち付けた。」と述べている。そして,その後再び供述が変更して証言内容どおりの供述になったというのであるが,その理由として,「混乱していて事実と異なる供述をしてしまったが,その後,傷害致死事件の取調べを受ける中で,警察官がB役をしながら犯行再現をするのを見て思い出した。」などと証言している。しかしながら,Aが,当公判廷において「やりすぎなんだよ。ばか。」と叫んだと表現するほど強烈な被告人の暴行を実際に見ていたとすれば,仮に混乱していたとしてもAの記憶に残っていないはずはない。Aは傷害致死事件の共犯として刑事責任を追及される立場にあり,虚偽の供述をして被告人に罪をなすり付ける動機を十分に有していた。このような立場にあるAが三たびにわたり状況の全く異なった供述をし,その最終供述をするに至ったきっかけが,警察官によるBの状態の再現にあったとすると,Aがこのように供述を変えていったのは,捜査の過程で警察官による明示的あるいは暗示的な誘導に迎合し,その供述を合わせていったと考えざるを得ない。 以上のように,被告人がBの頭部付近を蹴ったとのAの証言は信用することができない。 2 被告人供述の信用性に 示的あるいは暗示的な誘導に迎合し,その供述を合わせていったと考えざるを得ない。 以上のように,被告人がBの頭部付近を蹴ったとのAの証言は信用することができない。 2 被告人供述の信用性について他方,被告人は,逮捕時から,概ね一貫して公判で述べたとおりの内容を供述している。Aに責任を押し付けるような供述態度も窺われない。とりわけ,Bを逆さ吊りにして浴槽に沈めるなどの暴行をした事実については,Aも証言していない事実であり,自分にとって不利となる密室での苛烈な暴行を当初から供述し続けていることは,供述全体の信用性を高めるものといえる。足蹴り- 4 -に関する供述も,客観的事実と矛盾し,あるいは整合しない事実関係は含まれておらず,A証言と対比すれば,被告人供述の信用性が優っていることは明らかである。 そこで,本件の基本的事実経過については,被告人の供述に基づき認定することとする。 3 認定した事実経過争いのない事実及び主として被告人供述に基づいて認定した事実は,以下のとおりである。 被告人は,Aに浴室へ呼ばれ,平成24年7月22日午前1時頃から,Aに代わって,約1時間にわたり,断続的に,Bの顔にシャワーの水をかけ,顔を叩いたり,顔を浴槽に沈めたりした上,反省させるためにBを浴室内に留まらせた。 約1時間ほどしてから,被告人は,Bを浴室から居間へ連れて行ったが,Bの反抗的な発言に腹を立て,携帯電話の充電器のコードでその両手首を後ろ手に縛り,Bを再び浴室へ連れて行った。そして,Bの体を抱え上げてうつ伏せの状態でBを浴槽内に二度沈めたが,Bが簡単に立ち上がってしまったため,今度はBのくるぶし付近を持ち逆さ吊りにした状態で頭部を浴槽に沈めては上げるという暴行を数回行った。 その後,被告人はこれを止 態でBを浴槽内に二度沈めたが,Bが簡単に立ち上がってしまったため,今度はBのくるぶし付近を持ち逆さ吊りにした状態で頭部を浴槽に沈めては上げるという暴行を数回行った。 その後,被告人はこれを止め,Bを縛っていたコードをほどいた。Bは浴槽の壁をまたいで出ようとしたが,左足を滑らせて転び,その左側頭部と後頭部の間辺りを浴室出入口の段差にぶつけるとともに,その段差部分に立っていた被告人の右足にBの頭が接触した。被告人は,それまでのBの態度に対して不快な感情を募らせていたところ,Bの体が接触した瞬間に再び怒りを覚え,右足の甲でBの右肩甲骨付近を押し上げる様にして蹴り,Bの額を浴槽の壁面に打ち付けさせた。その後Bが立ち上がったので,被告人は,Bに浴室を掃除しておくように指示して,同日午前4時35分頃,Bを浴室に- 5 -残して自分の寝室へ移動した。 その二,三十分後,浴室から音が聞こえたので,被告人が浴室に向かうと,Bが浴槽内で倒れていた。次いで来たAがBを抱きかかえて居間に連れて行った。Bの体は冷たく,痙攣も起こしていた。被告人とAは,Bのお腹を押して水を吐かせたり,電気毛布で体を暖めたりしたものの,日頃の虐待が発覚するのを恐れて,救急車を呼ぶことはしなかった。Bは同日午前11時15分頃に死亡した。 第3 被告人の暴行とBの死亡との因果関係について被告人は,上記のような事実経過を前提とした上,被告人がBの右肩甲骨付近を蹴ってBの頭部が浴槽の壁面にぶつかったことは事実であるが,そのぶつかり方はトンという程度の軽いものであったと供述している。しかしながら,被告人の供述する上記認定の事実経過,Bの遺体の状況及びそこから推測される死因を総合判断すると,Bは,被告人による上記足蹴り行為によってその前頭部ないし前額部を打ち付けて冠 している。しかしながら,被告人の供述する上記認定の事実経過,Bの遺体の状況及びそこから推測される死因を総合判断すると,Bは,被告人による上記足蹴り行為によってその前頭部ないし前額部を打ち付けて冠状縫合が離開するとともに頭蓋内損傷を引き起こして死亡するに至ったと考えざるを得ない。以下,その理由について説明する。 1 前提事実Bの遺体は,平成25年4月に本件死体遺棄現場で発見された時点では,完全に白骨化していた。Bの頭蓋骨は,地面に露出し,冠状縫合のみが左右均等に離開していたが,他に縫合離開や骨折は見られなかった。 2 冠状縫合離開の原因についてそこで,このような冠状縫合の離開が生じた原因について検討する。 死後に離開が生じていないことまず,上記離開がBの死後に生じたとは考え難い。 Bの頭蓋骨は,遺棄された土中から何者かにより掘り出されて地表面に露出した状態で発見されたが,頭蓋骨の大きさや,歯形等の痕跡が見当たらな- 6 -いことに照らし,動物がかむなどしたことによって離開が生じたとは考えられない。また,頭蓋骨はその全部が露出する形で野ざらしになっていたことから,特に冠状縫合部分のみが自然に離開した可能性も極めて低いと考えられる。 前頭部ないし前額部へ相当強度の外力が加わったことが冠状縫合離開の原因と考えられることBの遺骨を解剖,鑑定したC医師は,前頭部に離開が生じる程度の外力が加わり,上下にずれるように冠状縫合が離開した可能性が高いと証言し,また,D医師は,臨床医の立場から,前頭部ないし前額部のほぼ中心部分に骨折する程度の強い外力が加わり,冠状縫合の離開が生じた可能性が高いと証言している。 両医師は,いずれも専門的知識と経験に基づき,前頭部ないし前額部へ加えられた外力が冠状縫 前額部のほぼ中心部分に骨折する程度の強い外力が加わり,冠状縫合の離開が生じた可能性が高いと証言している。 両医師は,いずれも専門的知識と経験に基づき,前頭部ないし前額部へ加えられた外力が冠状縫合離開を引き起こすに至る機序について,具体的かつ明快な説明をしており,十分な医学的合理性を備えているものと認められるから,両医師の各証言は信用に値する。 これに対し,E医師は,前頭部に外力が加わった場合には,矢状縫合が離開する可能性が高い旨証言している。しかしながら,他方,小児の骨の柔らかさや,前頭骨が比較的厚みのある骨であること,冠状縫合の離開により前方からの外力が吸収される可能性等を考慮した場合に上記両医師のように推論することに問題はないとも述べている。そうすると,前頭部に外力が加わった場合には,矢状縫合が離開する可能性が高いとのE医師の上記証言はあくまでも一般論を述べたものに過ぎず,Bの頭蓋骨を前提とした上記両医師の推論を覆すものとはいえない。 冠状縫合離開により,脳挫傷や硬膜外血腫等の頭蓋内損傷が生じ,これによりBが死亡したと推定されることC医師及びD医師は,いずれも,冠状縫合離開を生じさせるような外力が- 7 -加われば,脳挫傷等の頭蓋内損傷が生じ,これにより死亡する可能性があると証言しており,その信用性に疑問はない。実際に,Bは,被告人による一連の暴行が終了した後,二,三十分経過してから倒れ,痙攣等を起こして死亡しているところ,D医師は,このBが死亡するに至る経緯は,冠状縫合が離開するほどの外力により硬膜外血腫が生じ,これが次第に脳を圧迫することによって一定時間の意識清明期を経た後に死亡するに至る経過と整合的であると証言しており,臨床的な説明も納得できるものである。 側頭部への外力が冠状縫合離開 が生じ,これが次第に脳を圧迫することによって一定時間の意識清明期を経た後に死亡するに至る経過と整合的であると証言しており,臨床的な説明も納得できるものである。 側頭部への外力が冠状縫合離開の原因であるとは考えられないことなお,Bは浴室内で転倒して出入口の段差で左側頭部から後頭部の間辺りをぶつけており,これが冠状縫合離開の原因となり得るかが問題となる。 この点,E医師は,打撃点が左側頭部から後頭部付近だとすると,冠状縫合の離開は生じにくい,と証言している。さらに,仮に打撃点がより側頭部に近い位置であったとしても,D医師は,側頭部にある側頭骨は比較的薄く,仮に冠状縫合が離開するほど強打したのであれば,側頭骨自体に亀裂骨折等の損傷が生じる可能性が高いが,Bの側頭骨に亀裂骨折等はなく,冠状縫合が左右均等に離開していることも考えると,側頭部への衝撃による離開とは考え難い旨証言しており,十分に合理的な説明と考えられる。なお,E医師は,側頭部への外力により一部が離開した冠状縫合が,死後に徐々に左右均等に離開していったとか,打撃により中硬膜動脈に破裂が生じて冠状縫合が離開した可能性等を証言するが,いずれも左右均等の冠状縫合離開を合理的に説明するものではない。 そうすると,側頭部への外力が冠状縫合離開の原因とは考えられない。 3 その他の死因について 遷延性窒息被告人がBを逆さ吊りにして浴槽に沈めるなどの暴行をしていることから,遷延性窒息による死亡(溺死)が問題となる。 - 8 -この点,D医師は,遷延性も含め窒息状態に陥ると,呼吸不全になり,せき込むなどの症状が現れると証言しており,信用性に疑いはないところ,Bは,浴室で被告人に蹴られる直前,被告人と会話をするなどしており,その後Bが倒れ,居 性も含め窒息状態に陥ると,呼吸不全になり,せき込むなどの症状が現れると証言しており,信用性に疑いはないところ,Bは,浴室で被告人に蹴られる直前,被告人と会話をするなどしており,その後Bが倒れ,居間に連れて行った際にも,Bに呼吸不全の症状が現れたという話は,被告人供述及びA証言に全く現れておらず,そのような事実はなかったと認められる。 そうすると,Bの死因が遷延性窒息であるとは認められない。 低体温症Bが倒れた時点で体が冷たかったことから,低体温症による死亡が問題となり得る。 しかし,本件当時は夏であり,平成24年7月22日午前4時の横浜市内の気温は19.2度,被告人方の近隣の地点の水温は21.9度であったこと,Bは倒れる直前も水につかっていたわけではなかったことからすると,常識的にみて,低体温症による死亡は考え難い。また,D医師は,低体温症に陥ったとしても痙攣が生じることはないと証言しており,信用性に疑問はないところ,Bに痙攣が生じていたことは,被告人,Aが共に認めるところである。 そうすると,Bの死因が低体温症であるとは認められない。 4 被告人の暴行とBの冠状縫合の離開について上記に認定した一連の事実経過に照らすと,Bの前頭部ないし前額部に相当強度の外力が加わる可能性があるのは,被告人がBを足蹴りにして浴槽壁面に打ち付けた場面のみである。また,Bの死亡に至る経過をみても,上記足蹴りにより冠状縫合の離開が生じたと考えれば,これを生じさせた外力により硬膜外血腫などが発生し,一定時間の意識清明期を経過した後に突然倒れて死亡するに至ったとする死因に関する推論を最も整合的に説明することができる。 そして,被告人は,それまでのBの態度に対して不快な感情を募らせてい- 9 -たところ,B 経過した後に突然倒れて死亡するに至ったとする死因に関する推論を最も整合的に説明することができる。 そして,被告人は,それまでのBの態度に対して不快な感情を募らせてい- 9 -たところ,Bの体が接触した瞬間に再び怒りを覚えて足蹴りに及んでいることや,少なくともBの身体が持ち上がる程度の力を込めて蹴っていることからすると,被告人が思いきり蹴飛ばしたとの認識がなかったとしても,まだ柔らかい6歳の子供の頭蓋骨の冠状縫合を離開させるに足りる強度であった可能性は十分あると考えられ,他にBが前頭部ないし前額部を強く打ち付けるような場面がないという一連の事実経過に照らして総合判断すると,被告人による上記足蹴りこそが,Bの冠状縫合の離開を生じさせたと認定することができる。 なお,被告人は,「Bは,前頭部を浴槽の壁に打ち付けた際,いたた,とおでこを押さえる程度であった。」と供述しているが,当時Bは,被告人による一連の暴行により途方もない恐怖に陥れられた状況にあったのであるから,被告人の前でその痛みの表現を抑えたとも考えられる上,D医師が,骨折による痛みは,主として骨膜のずれにより生じるところ,冠状縫合の離開ではこのような骨膜のずれは生じにくい,と証言していることに照らし,被告人の上記供述は被告人の暴行によりBの冠状縫合の離開が生じたとの認定を妨げるものではない。 5 結論以上検討したところを総合すれば,被告人がBを足蹴りにしてその頭部を浴槽壁面に打ち付けさせたことにより,その頭部の冠状縫合に離開が生じるとともに頭蓋内損傷が引き起こされてBが死亡するに至った事実が認められる。 よって,被告人には傷害致死罪が成立する。 (法令の適用)罰条 判示第1の所為刑法205条 てBが死亡するに至った事実が認められる。 よって,被告人には傷害致死罪が成立する。 (法令の適用)罰条 判示第1の所為刑法205条判示第2の所為刑法60条,190条併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)- 10 -未決勾留日数の算入刑法21条訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書(量刑の理由)本件において量刑上最も重視したのは,被告人が幼い被害者に対して,長時間にわたって苛烈な暴行を繰り返し,遂には死亡するに至らせた点である。両手首を後ろ手に縛られ,逆さ吊りの状態で浴槽に沈められるなどされていた際に被害者が感じたであろう恐怖と苦痛は想像を絶するものがある。このような恐怖と苦痛の末に命を落としていった被害者が不憫でならず,本件犯行態様は執拗かつ非情というほかない。 被告人は,以前から被害者を虐待していた上,本件当日も躊躇なく長時間にわたり断続的な暴行を加えている。被害者の異変に気づいた後は救命措置を講じているものの,被害者への虐待が発覚するのを恐れて救急車を呼ばず,さらには自らが中心となって死体を遺棄までしている。こうした幼い命を軽視した身勝手な態度は,厳しい非難に値する。 これらの点を考えると,本件は,凶器を使用しないせっかんを動機とする傷害致死事案の中でも,重い部類に属する,と考えるべきである。 もっとも,被告人の被害者に対する虐待は,Aの影響を多分に受けていると認められること,本件犯行もAが被害者に暴行を加えたことが契機となっていること,被告人は捜査段階から一貫し 考えるべきである。 もっとも,被告人の被害者に対する虐待は,Aの影響を多分に受けていると認められること,本件犯行もAが被害者に暴行を加えたことが契機となっていること,被告人は捜査段階から一貫して事実を認め,法廷での態度からも自ら犯した罪に真摯に向き合おうとしていると認められることなど,被告人のために酌むべき事情もある。 以上の諸事情を考慮して,主文の刑が相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役10年)裁判員6名とともに審理し,評議を尽くした結論は上記のとおりである。 平成26年6月30日- 11 -横浜地方裁判所第6刑事部裁判長裁判官鬼澤友直 裁判官足立 勉 裁判官関口 恒
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