昭和22(つ)7 強姦殺人被告事件につきなした判事忌避申立却下の決定に対する抗告

裁判年月日・裁判所
昭和22年12月8日 最高裁判所第一小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所 0
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  抗告理由は、一、不服ノ要点、本件忌避申立ハ偏頗ヲ事由トスルモノニシテ原決 定ノ如ク訴訟遅延ノ目的ニ出テタルモノニ非ス、然

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判決文本文3,003 文字)

主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  抗告理由は、一、不服ノ要点、本件忌避申立ハ偏頗ヲ事由トスルモノニシテ原決 定ノ如ク訴訟遅延ノ目的ニ出テタルモノニ非ス、然ルニ忌避ノ目的カ茲ニ在ルモノ トシ却下セルハ目的ヲ曲解誤認セルモノニシテ決定ハ不当不法ナリ忌避ノ目的カ偏 頗ノ虞存スルコト即忌避ノ原因ニ関シテハ前記申立書ニ詳述疏明シアリ、二、却下 決定ハ本月三十一日ノ公判廷ニ於テ為サレタルモノヽ如シ然レトモ同日被告人ノ弁 護人ハ二名共立会セス故ニ適法ノ開廷ナカリシモノナリ従ヒテ本件却下決定ハ適法 ニ告知セラレサル違法アリ、三、要求如上ノ理由ニ依リ右却下決定ヲ取消シ忌避申 立ニ対シ相当ノ裁判ヲ為ス為メ大阪高等裁判所ニ事件ヲ移送セラレムコトヲ求ム」 といひ、同補充理由は、一、抗告人ノ忌避申立ノ当否ハ申立事件ニ於テ宜シク御審 判ヲ仰ク、二、原審カ刑事訴訟法第二十九条ニ依リ右申立ヲ却下セルハ甚シキ妄断 ナリ、イ、被告人ハ勿論抗告人ニ於テ本件訴訟ヲ遅延セシムル必要モ利益モ毫末存 在セス本件未決勾留既ニ一年ニ満ツ右忌避ハ当該判事ノ予断偏頗ノ虞アルニ由ル実 ニ已ムヲ得サルニ出ツ原審ハ此ノ忌避ヲ以テ訴訟遅延ノ目的ノミニ出テタルモノト ノ心証ヲ得タル所以ノモノハ抗告人ノ推認シ得サル所ナリ抗告人ハ同条ニ依ル却下 ヲ為シタル真意ヲ疑フモノナリ、ロ、本被告事件ハ忌避申立書ニ記載セル如ク稀有 ノ窒息死ノ原因ニ付キ法医学上ノ再鑑定ヲ必要トスルモノト確信ス控訴審ニ於ケル 弁護ノ重点実ニ茲ニ存シ被告事件ノ運命又方ニ茲ニ繋ル此ノ再鑑定ノ却下ハ直ニ如 上予断偏頗ノ具現ナリ忌避亦已ムヲ得サルナリ、ハ、再鑑定カ許サル、ナラハ訴訟 ハ当然遅延スヘシ、然レトモ此ノ遅延ハ被告人ノ甘受感佩スル所ナリ遅延ハ被告ノ 希望スル罪責ノ減免ノ必要的先決条件ナリ忌避ノ申立カ訴訟ノ遅延ノミヲ目的トス ル ヲ得サルナリ、ハ、再鑑定カ許サル、ナラハ訴訟 ハ当然遅延スヘシ、然レトモ此ノ遅延ハ被告人ノ甘受感佩スル所ナリ遅延ハ被告ノ 希望スル罪責ノ減免ノ必要的先決条件ナリ忌避ノ申立カ訴訟ノ遅延ノミヲ目的トス ルモノニ非サルヤ明々白々些ノ疑ヲ挾マサルヘシ、ニ、刑訴二九条ハ訴訟遅延ニ依 - 1 - リ或ハ恩赦ヲ受ケントシ或ハ軽キ新法ノ適用ヲ受ケントスルカ如キ遅延自体カ被告 ノ利便ニ供用セラル、場合即忌避ノ申立カ法廷戦術其ノ他ノ事由ヨリシテ訴訟ノ遅 延ヲ招致スル方便トシテ仮用セラレ濫用セラルヽ場合ニ適用セラルヘキモノト信ス、 本件ニ於テハ如上事由全然存在セス原審ハ此ノ存在ヲ証明シ得ルヤ否ヤカカル証憑 ナキニ拘ラス右忌避申立ニ関シ同条ヲ適用セントスルハ同条ノ法意ヲ誤解スルカ又 ハ同条ヲ濫用スルノ不法又ハ不当ノ存スルコト寔ニ明白ナリ、ホ、如上ノ次第ナル ヲ以テ原決定ヲ取消シ忌避ノ当否ヲ審判スルヲ相当トスル旨御裁判相成リ度シ」と いうにある。  しかし、裁判所法第七条によれば、最高裁判所は、上告の外、「訴訟法において 特に定める抗告」について裁判権を有するのであるが、ここにいう「訴訟法におい て特に定める抗告」とは、日本国憲法の施行に伴う民事訴訟法の応急的措置に関す る法律第七条又は日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第 十八条に定めた抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するもの と定められた抗告をいうのである。訴訟法にかような特別の定めのあるものを除い ては、高等裁判所の決定及命令に対する抗告を含まないものと解さなければならな い。けだし、裁判所法中、高等裁判所の裁判権に関する第十六条第二号には、「第 七条第二号の抗告を除いて、地方裁判所の決定及び命令に対する抗告」とあり、又 地方裁判所の裁判権に関する第二十四条第三号には、「第七条第二号の抗告を除い て、簡 の裁判権に関する第十六条第二号には、「第 七条第二号の抗告を除いて、地方裁判所の決定及び命令に対する抗告」とあり、又 地方裁判所の裁判権に関する第二十四条第三号には、「第七条第二号の抗告を除い て、簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告」とあるのに対比すれば、若し最高裁 判所の裁判権が高等裁判所の決定及び命令に対する抗告を含むものとするときは、 最高裁判所の裁判権に関する第七条第二号には、「高等裁判所の決定及び命令に対 する抗告」と定むべきであり、又さように定めたであらう。そればかりでなく、高 等裁判所が第一審又は第二審としてした決定及び命令に対する抗告に限るか、又は 高等裁判所が第三審としてした決定及び命令に対する抗告をも含むかについて、明 - 2 - かに定むべきであつたらう(裁判所構成法第五十条参照)。しかるに同条には単に 「訴訟法において、特に定める抗告」といつて、原審裁判所等を掲げない特殊の表 現を用いている点より見れば、その意義を前述のように解する外はないのである。 かかる字句は、従来裁判所の裁判権を定めていた裁判所構成法第二十七条、第三十 七条、第五十条にも用いられていなかつた全く新しい特殊な表現であつて、「特に」 の意義は、特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告を意味することは、 かかる沿革に照らしても窺い知ることができる。更に又、裁判所法第八条には「最 高裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有す る」とあるが、ここに「特に定める権限」とは、特に最高裁判所に属すると定めら れた権限を意味することは、まことに事理明白であつて、「特に」の意義は、この 場合も第七条第二号の場合も同様である。(なお、第十七条、第二十五条、第三十 四条、参照)。  要するに、裁判所法は、最高裁判所の使命任務の重要性に鑑みその負担を軽減す るため 、「特に」の意義は、この 場合も第七条第二号の場合も同様である。(なお、第十七条、第二十五条、第三十 四条、参照)。  要するに、裁判所法は、最高裁判所の使命任務の重要性に鑑みその負担を軽減す るため、一般的に見て比較的重要でない抗告について制限を設けたものと解するを 相当とする。そして訴訟法の応急的措置に関する前記法律において、憲法適否の問 題についてのみ特に最高裁判所に抗告する道を設けたものである。その他の法律に おいて特に最高裁判所に抗告を許している規定は、現存していない。  さて、本件についてみるに、その抗告理由は原決定において、法律、命令、規則 又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が、不当であることを問題 としているものでないことは、抗告状自体により明かである。それ故、本件抗告は、 これを不適法として棄却すべきものとし刑事訴訟法第四百六十六条に則り主文のと おり決定する。右決定は裁判官全員の一致した意見である。   昭和二十二年十二月八日      最高裁判所第一小法廷 - 3 -          裁判長裁判官    岩   松   三   郎             裁判官    沢   田   竹 治 郎             裁判官    真   野       毅             裁判官    斎   藤   悠   輔 - 4 -

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