- 1 -平成23年10月13日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(行ケ)第10128号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成23年9月15日判決原告 X被告株式会社輝事務所同訴訟代理人弁理士和田光子保崎明弘 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が取消2010-300564号事件について平成23年3月22日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,下記1の原告の本件商標に係る登録商標の指定役務中,第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」(以下「本件役務」という。)に対する不使用を理由とする当該登録の取消しを求める被告の下記2の本件審判請求について,特許庁が当該商標登録を取り消すとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 1 本件商標本件商標(登録第4809928号商標)は,「ドクターズ・サロン」の片仮名を横書きしてなり,平成16年1月14日に登録出願し,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動- 2 -物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽 ,動- 2 -物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,写真の撮影,通訳,翻訳」を指定役務として,同年10月15日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。 2 特許庁における手続の経緯被告は,平成22年5月24日,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも本件商標を本件役務について使用した事実がないことをもって,不使用による取消審判を請求し,当該請求は同年6月9日に登録された。 特許庁は,これを取消2010-300564号事件として審理し,平成23年3月22日,「登録第4809928号商標の指定役務中,第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」については,その登録は取り消す。」との本件審決をし,同年4月1日にその謄本が原告に送達された。 3 本件審決の理由は,要するに,本件商標の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に本件役務について使用したとは認められず,かつ,その不使用について商標法50条2項ただし書の「正当な理由」があったとも認められない,というものである。 4 取消事由本件役務について本件商標を使用していると認められないとした判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕(1) 原告は,本件審判請求の登録前3年以内である平成19年6月9日から平成22年6月8日までの間に,本件商標を掲載したホームページやブロ した判断の誤り第3 当事者の主張〔原告の主張〕(1) 原告は,本件審判請求の登録前3年以内である平成19年6月9日から平成22年6月8日までの間に,本件商標を掲載したホームページやブログを開設し- 3 -ているが,ホームページやブログの開設は,本件役務中の「電子出版物の提供」に該当する。 また,上記ホームページやブログを見ることができる状態にしたことは,本件役務中の「図書及び記録の供覧」に該当する。 (2) 本件審決は,「電子書籍」の社会的関係性を排して恣意的に捉え,原告が本件商標を使用していないと判断したものであり,その判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) ホームページやブログは,発売,頒布を目的とするコンピュータによって管理した出版物とはいえないから,その開設は,「電子出版物の提供」に該当しない。 (2) また,原告が提出したブログ投稿記事(甲1の1,甲5)には,「ドクターズ・サロン」との記載があるが,これらは単に団体の名称として記載されているにすぎず,「電子出版物の提供」や「図書及び記録の供覧」について使用されているとはいえない。 第4 当裁判所の判断 1 「電子出版物の提供」について(1) 原告は,ホームページやブログの開設は,本件役務中の「電子出版物の提供」に該当すると主張する。 (2) しかしながら,ホームページやブログが「電子出版物」の範疇に含まれるとしても,商標法上の役務とは,他人のためにする労務又は便益であって,独立して商取引の目的たり得るものをいうから,ホームページやブログを開設することが,その開設者にとって直ちに商標法上の役務である「電子出版物の提供」に該当するということはできないし,原告が開設したとするブログ(甲1の1~甲5)がそのような商標法上の役務の提供に該当する ることが,その開設者にとって直ちに商標法上の役務である「電子出版物の提供」に該当するということはできないし,原告が開設したとするブログ(甲1の1~甲5)がそのような商標法上の役務の提供に該当すると認めるに足りる証拠もない。 (3) なお,原告が開設したとするブログについて,仮に,商標法上の役務である「電子出版物の提供」に該当すると認める余地があるとしても,原告が同ブログ- 4 -に本件商標を使用している証拠として提出した各投稿記事(前掲各証拠)のうち,甲1の1の記事にある「(ドクターズ・サロン A)」との記載は,「A」という人物が「ドクターズ・サロン」に所属することを示しているに止まり,この記載から,当該ブログの開設のために本件商標が使用されているものと認めることはできない。 また,甲5の記事には,「ドクターズ・サロン情報のネット化」との記載や「ドクターズ・サロンを主宰するX です。」との記載があるが,前者は,一体として,当該記事の表題を構成しているものであり,後者は,原告が「ドクターズ・サロン」の主宰者であることを示しているに止まるものであるから,これらの記載から,当該ブログの開設のために本件商標が使用されているものと認めることもできない。 しかも,この記事は,投稿日時欄の表示から平成23年2月21日に投稿されたものと認められるから,本件審判請求の登録前3年以内である平成19年6月9日から平成22年6月8日までの間に,原告がブログの開設について本件商標を使用していたことを裏付けるものとはいえない。さらに,その余の投稿記事には,本件商標の記載は見当たらず,結局,原告が本件審判請求の登録前3年以内にブログの開設について本件商標を使用していたと認めるに足りる証拠はない。 (4) 小括以上によれば,原告の上記主張は理由がないという 載は見当たらず,結局,原告が本件審判請求の登録前3年以内にブログの開設について本件商標を使用していたと認めるに足りる証拠はない。 (4) 小括以上によれば,原告の上記主張は理由がないというほかない。 2 「図書及び記録の供覧」について(1) 原告は,ホームページやブログを見ることができる状態にしたことは,本件役務中の「図書及び記録の供覧」に該当すると主張する。 (2) しかしながら,「図書及び記録の供覧」とは,図書,記録その他必要な資料を収集,整理,保存して,一般公衆の利用に供する施設が提供する役務をいうと解すべきところ,原告が開設したホームページやブログにおいて,図書,記録その他必要な資料を収集,整理,保存し,一般公衆の利用に供する行為が行われていたとまで認めるに足りる証拠はない。 (3) 小括- 5 -以上によれば,原告の上記主張も理由がないといわざるを得ない。 3 このほかに,本件商標の商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に本件役務について使用したという事実の具体的な主張,立証はない。 4 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由は理由がなく,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官滝澤孝臣 裁判官髙部眞規子 裁判官齋藤巌
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